JP2849704B2 - 酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法 - Google Patents
酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法Info
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- JP2849704B2 JP2849704B2 JP27204295A JP27204295A JP2849704B2 JP 2849704 B2 JP2849704 B2 JP 2849704B2 JP 27204295 A JP27204295 A JP 27204295A JP 27204295 A JP27204295 A JP 27204295A JP 2849704 B2 JP2849704 B2 JP 2849704B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物イオン伝導体と
して各種分野で使用される三斜晶系の結晶構造をもつビ
スマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法に
関する。
して各種分野で使用される三斜晶系の結晶構造をもつビ
スマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器,電気機器,機械,生物工学等
の分野では、製品の高機能化及び高性能化に寄与する材
料の発展には著しいものがある。高機能,高性能を満足
する材料としては、新しい酸化物系セラミックスについ
ても大きな期待が寄せられている。ビスマス系の複酸化
物もその一例であり、たとえば酸化ビスマス(Bi2 O
3)と五酸化バナジウム(V2 O5 )の二成分系化合物
が知られている。この二成分系では、平衡状態図におけ
る安定相の数及び構造に関して種々の報告がされてお
り、混乱や矛盾が見られる。とりわけ、酸化ビスマスに
対する五酸化バナジウムの割合が15モル%にある領域
に存在するとされている相については、単斜晶系で記述
されているが、種々の実験結果を満足に説明できなかっ
た。その後の研究により、五酸化バナジウムと結晶化学
的な性質が類似した酸化リンと酸化ビスマスとの二成分
系でも、類似の化合物が存在することが明らかになっ
た。この二成分系では、組成が酸化ビスマスと五酸化リ
ンのモル比が23:4であり、三斜晶系に属する結晶構
造をもつことが判明した。
の分野では、製品の高機能化及び高性能化に寄与する材
料の発展には著しいものがある。高機能,高性能を満足
する材料としては、新しい酸化物系セラミックスについ
ても大きな期待が寄せられている。ビスマス系の複酸化
物もその一例であり、たとえば酸化ビスマス(Bi2 O
3)と五酸化バナジウム(V2 O5 )の二成分系化合物
が知られている。この二成分系では、平衡状態図におけ
る安定相の数及び構造に関して種々の報告がされてお
り、混乱や矛盾が見られる。とりわけ、酸化ビスマスに
対する五酸化バナジウムの割合が15モル%にある領域
に存在するとされている相については、単斜晶系で記述
されているが、種々の実験結果を満足に説明できなかっ
た。その後の研究により、五酸化バナジウムと結晶化学
的な性質が類似した酸化リンと酸化ビスマスとの二成分
系でも、類似の化合物が存在することが明らかになっ
た。この二成分系では、組成が酸化ビスマスと五酸化リ
ンのモル比が23:4であり、三斜晶系に属する結晶構
造をもつことが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、五酸化
リン−酸化ビスマスの二成分系の挙動を参考にしなが
ら、五酸化バナジウム−酸化ビスマスの二成分系につい
て調査検討した。その結果、五酸化バナジウム−酸化ビ
スマスの二成分系においても同様な三斜晶系の結晶構造
をもつ複酸化物系化合物が生成されることを見い出し
た。本発明は、この知見に基づき完成されたものであ
り、酸化物イオン伝導体として好適なビスマス・バナジ
ウム酸化物系化合物を提供することを目的とする。
リン−酸化ビスマスの二成分系の挙動を参考にしなが
ら、五酸化バナジウム−酸化ビスマスの二成分系につい
て調査検討した。その結果、五酸化バナジウム−酸化ビ
スマスの二成分系においても同様な三斜晶系の結晶構造
をもつ複酸化物系化合物が生成されることを見い出し
た。本発明は、この知見に基づき完成されたものであ
り、酸化物イオン伝導体として好適なビスマス・バナジ
ウム酸化物系化合物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のビスマス・バナ
ジウム酸化物系化合物は、その目的を達成するため、一
般式Bi46V8 O89(原子比率)で表され、三斜晶系の
結晶構造をもつことを特徴とし、イオン伝導体用材料と
して種々の分野で使用される。このビスマス・バナジウ
ム酸化物系化合物は、酸化ビスマス又は加熱により酸化
ビスマスに分解される化合物と、五酸化バナジウム又は
加熱により五酸化バナジウムに分解される化合物とを、
酸化ビスマス:五酸化バナジウムのモル比が23:4と
なるように混合し、この混合物を950℃以下の温度で
加熱することにより製造される。或いは、混合物を95
0℃以上の温度で加熱溶融して調整した融液を使用し、
引上げ法,ブリッジマン法又は徐冷法で単結晶として得
ることもできる。
ジウム酸化物系化合物は、その目的を達成するため、一
般式Bi46V8 O89(原子比率)で表され、三斜晶系の
結晶構造をもつことを特徴とし、イオン伝導体用材料と
して種々の分野で使用される。このビスマス・バナジウ
ム酸化物系化合物は、酸化ビスマス又は加熱により酸化
ビスマスに分解される化合物と、五酸化バナジウム又は
加熱により五酸化バナジウムに分解される化合物とを、
酸化ビスマス:五酸化バナジウムのモル比が23:4と
なるように混合し、この混合物を950℃以下の温度で
加熱することにより製造される。或いは、混合物を95
0℃以上の温度で加熱溶融して調整した融液を使用し、
引上げ法,ブリッジマン法又は徐冷法で単結晶として得
ることもできる。
【0005】本発明のビスマス・バナジウム酸化物系化
合物は、一般式Bi46V8 O89で表され、三斜晶系に属
する結晶構造をもつ新規な複酸化物である。この複酸化
物は、酸化ビスマス:五酸化バナジウムのモル比が2
3:4の混合物から得られる。酸化ビスマスと五酸化バ
ナジウムとのモル比が23:4にないと、生成物は隣接
相との混合物になり、三斜晶系の単一相にならない。一
般式Bi46V8 O89で表されるビスマス・バナジウム酸
化物系化合物は、格子定数がa=11.545Å,b=
11.547Å,c=20.665Å,α=76.27
度,β=87.51度,γ=119.82度である。ビ
スマス・バナジウム酸化物系化合物は、図1の示差熱分
析曲線に示されるように約950℃で一致溶融する。そ
こで、粉末の製造では、950℃より低い温度で原料を
加熱する。他方、単結晶を製造する場合には、950℃
以上の高温加熱によって溶融させた融液を使用する。
合物は、一般式Bi46V8 O89で表され、三斜晶系に属
する結晶構造をもつ新規な複酸化物である。この複酸化
物は、酸化ビスマス:五酸化バナジウムのモル比が2
3:4の混合物から得られる。酸化ビスマスと五酸化バ
ナジウムとのモル比が23:4にないと、生成物は隣接
相との混合物になり、三斜晶系の単一相にならない。一
般式Bi46V8 O89で表されるビスマス・バナジウム酸
化物系化合物は、格子定数がa=11.545Å,b=
11.547Å,c=20.665Å,α=76.27
度,β=87.51度,γ=119.82度である。ビ
スマス・バナジウム酸化物系化合物は、図1の示差熱分
析曲線に示されるように約950℃で一致溶融する。そ
こで、粉末の製造では、950℃より低い温度で原料を
加熱する。他方、単結晶を製造する場合には、950℃
以上の高温加熱によって溶融させた融液を使用する。
【0006】
実施例1:純度99.9%以上の酸化ビスマス(Bi2
O3 )及び純度99.9%以上の五酸化バナジウム(V
2 O5 )を、それぞれの割合が85.185モル%及び
14.815モル%となるように秤量し、メノウ乳鉢で
エチルアルコールと共に十分混練した。得られた混合物
を室温で乾燥した後、白金ルツボに充填し、カンタル線
発熱体を備えた電気炉にチャージした。電気炉内で、混
合物を室温から加熱し、800℃に60時間保持した。
次いで、白金ルツボを電気炉から取り出し、生成物をメ
ノウ乳鉢中で十分に粉砕混合した。更に、同様な手順に
よって850℃に60時間保持する熱処理を施し、均一
相をもつビスマス・バナジウム酸化物系化合物を合成し
た。得られた生成物を分析した結果、一般式Bi46V8
O89で表される三斜晶系に属する化合物であった。この
化合物の粉末X線回折パターンを図2に、面間隔実測
値,相対強度及び面指数(hkl)を表1,表2に示
す。
O3 )及び純度99.9%以上の五酸化バナジウム(V
2 O5 )を、それぞれの割合が85.185モル%及び
14.815モル%となるように秤量し、メノウ乳鉢で
エチルアルコールと共に十分混練した。得られた混合物
を室温で乾燥した後、白金ルツボに充填し、カンタル線
発熱体を備えた電気炉にチャージした。電気炉内で、混
合物を室温から加熱し、800℃に60時間保持した。
次いで、白金ルツボを電気炉から取り出し、生成物をメ
ノウ乳鉢中で十分に粉砕混合した。更に、同様な手順に
よって850℃に60時間保持する熱処理を施し、均一
相をもつビスマス・バナジウム酸化物系化合物を合成し
た。得られた生成物を分析した結果、一般式Bi46V8
O89で表される三斜晶系に属する化合物であった。この
化合物の粉末X線回折パターンを図2に、面間隔実測
値,相対強度及び面指数(hkl)を表1,表2に示
す。
【0007】
【表1】
【0008】
【表2】
【0009】得られた粉末を焼結し、焼結体について電
気電導度及び酸化物イオン輸率の温度依存性を調査し
た。電気電導度と温度との関係を図3に、酸化物イオン
輸率と温度との関係を図4に示すように、得られた酸化
物化合物が良好な酸化物イオン伝導体であることが判
る。
気電導度及び酸化物イオン輸率の温度依存性を調査し
た。電気電導度と温度との関係を図3に、酸化物イオン
輸率と温度との関係を図4に示すように、得られた酸化
物化合物が良好な酸化物イオン伝導体であることが判
る。
【0010】実施例2:実施例1で調製された粉末混合
物を乾燥後、同じ電気炉に装入した。室温から100℃
/時の昇温速度で加熱し、990℃に1時間保持した
後、10℃/時の降温速度で500℃まで冷却し、その
後は電気炉の電源を切り、自然冷却で室温まで徐冷し
た。得られた化合物は、透明黄色の単結晶体であり、一
般式Bi46V8 O89で表される三斜晶系の結晶構造をも
つビスマス・バナジウム酸化物系化合物であることが確
認された。
物を乾燥後、同じ電気炉に装入した。室温から100℃
/時の昇温速度で加熱し、990℃に1時間保持した
後、10℃/時の降温速度で500℃まで冷却し、その
後は電気炉の電源を切り、自然冷却で室温まで徐冷し
た。得られた化合物は、透明黄色の単結晶体であり、一
般式Bi46V8 O89で表される三斜晶系の結晶構造をも
つビスマス・バナジウム酸化物系化合物であることが確
認された。
【0011】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のビスマ
ス・バナジウム酸化物系化合物は、新規な三斜晶系の結
晶構造を持ち、優れた酸化物イオン輸率を示すことか
ら、センサー材料,電解質材料,酸素ポンプ材料,燃料
電池材料等の高機能酸化物イオン伝導体として使用され
る。
ス・バナジウム酸化物系化合物は、新規な三斜晶系の結
晶構造を持ち、優れた酸化物イオン輸率を示すことか
ら、センサー材料,電解質材料,酸素ポンプ材料,燃料
電池材料等の高機能酸化物イオン伝導体として使用され
る。
【図1】 化合物Bi46V8 O89の示差熱分析曲線
【図2】 化合物Bi46V8 O89の粉末X線回折パター
ン
ン
【図3】 化合物Bi46V8 O89の温度に応じた電気電
導度の変化
導度の変化
【図4】 化合物Bi46V8 O89の温度に応じた酸化物
イオンの輸率の変化
イオンの輸率の変化
Claims (3)
- 【請求項1】 一般式Bi46V8 O89(原子比率)で表
され、三斜晶系の結晶構造をもつ酸化物イオン伝導体用
ビスマス・バナジウム酸化物系化合物。 - 【請求項2】 酸化ビスマス又は加熱により酸化ビスマ
スに分解される化合物と、五酸化バナジウム又は加熱に
より五酸化バナジウムに分解される化合物とを、酸化ビ
スマス:五酸化バナジウムのモル比が23:4となるよ
うに混合し、この混合物を950℃以下の温度で加熱
し、一般式Bi46V8 O89で表される三斜晶系の結晶構
造をもつ酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸
化物系化合物を製造する方法。 - 【請求項3】 酸化ビスマス又は加熱により酸化ビスマ
スに分解される化合物と、五酸化バナジウム又は加熱に
より五酸化バナジウムに分解される化合物とを、酸化ビ
スマス:五酸化バナジウムのモル比が23:4となるよ
うに混合し、この混合物を950℃以上の温度で加熱溶
融し、得られた融液から引上げ法,ブリッジマン法又は
徐冷法で一般式Bi46V8 O89で表される三斜晶系の結
晶構造をもつ酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウ
ム酸化物系単結晶を製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27204295A JP2849704B2 (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27204295A JP2849704B2 (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0986930A JPH0986930A (ja) | 1997-03-31 |
JP2849704B2 true JP2849704B2 (ja) | 1999-01-27 |
Family
ID=17508313
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27204295A Expired - Lifetime JP2849704B2 (ja) | 1995-09-26 | 1995-09-26 | 酸化物イオン伝導体用ビスマス・バナジウム酸化物系化合物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2849704B2 (ja) |
-
1995
- 1995-09-26 JP JP27204295A patent/JP2849704B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0986930A (ja) | 1997-03-31 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
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R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
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