JP2730672B2 - Ag−Ti−S三元系化合物とその製造方法 - Google Patents

Ag−Ti−S三元系化合物とその製造方法

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JP2730672B2
JP2730672B2 JP34454195A JP34454195A JP2730672B2 JP 2730672 B2 JP2730672 B2 JP 2730672B2 JP 34454195 A JP34454195 A JP 34454195A JP 34454195 A JP34454195 A JP 34454195A JP 2730672 B2 JP2730672 B2 JP 2730672B2
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ternary compound
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sulfur
silver
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弘昭 和田
紀彦 石井
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KAGAKU GIJUTSUCHO MUKIZAISHITSU KENKYUSHOCHO
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KAGAKU GIJUTSUCHO MUKIZAISHITSU KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、Ag−Ti−S
三元系化合物とその製造法に関するものである。さらに
詳しくは、この発明は、固体アイオニクス材料のイオン
伝導体等として有用な新規化合物であるAg−Ti−S
三元系化合物とその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、Ag−Ti−S三
元系化合物の相関係については、層間挿入化合物である
Agx TiS2 (0≦x<0.67)を除いてほとんど
報告がなく、立方晶系の三元系化合物の存在については
全く知られていなかった。この発明は、以上通りの事情
を鑑みてなされたものであり、たとえば石英封管法によ
り製造される新規なAg−Ti−S三元系化合物とその
製造方法を提供することを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、Ag−Ti−S三元系化合物で
あり、立方晶系の結晶構造を有することを特徴とする新
規な化合物であるAg8 TiS6 を提供する(請求項
1)。また、この発明は、銀およびチタンの金属もしく
はその化合物と硫黄とを混合し、この混合粉末を加圧し
て圧粉体とし、これを真空引きした条件下で加熱するこ
とを特徴とするAg8 TiS6 で示される立方晶系の構
造を有するAg−Ti−S三元系化合物の製造方法(請
求項2)を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】この発明においては、前記の通
り、固体アイオニクス材料のイオン伝導体等として有用
な、新規なAg−Ti−S三元系化合物としてのAg8
TiS6 で表わされる化合物を提供するものであるが、
その製造においては、硫黄とともに、適宜に、銀および
チタンの単体金属もしくはその化合物を用いて圧粉体と
し、これを真空引きした条件下において加熱する。
【0005】この場合の銀、チタンの化合物の代表例と
しては、その硫化物、たとえば硫化銀、四硫化三チタン
等が好適なものとして例示される。そして、いずれの場
合にも、混合粉として圧粉体とするためのこれらの原料
物質は、AgとTiとSの原子比が、略8:1:6とな
るように混合するのが好ましい。そして、この混合粉末
を加圧して圧粉体とし、これを真空引きした条件下で加
熱する。
【0006】この時、より具体的には、たとえば真空引
きした石英封管中で550〜900℃の温度で加熱する
ことによって、立方晶系の結晶構造を有する新規な化合
物であるAg8 TiS6 を得る。なお、出発原料として
は、市販のものをそのまま使用してもよいが、得られる
化合物を固体アイオニクス材料として用いる場合には、
不純物を含まない純度の高いものを使用することが望ま
しい。また、製造時には固相化学反応を促進させるた
め、圧粉体とするための混合粉末からなる原料の粒径は
小さい方が良く、特に数μm以下であることが望まし
い。
【0007】これらの原料はそのまま真空または不活性
気体雰囲気中で充分に混合し、加圧成形し圧粉体とす
る。加圧条件は特に限定されないが、たとえば1〜2t
on/cm2 の静水圧であることが望ましい。また、原
料の混合割合は、AgとTiとSの割合が前記の通り、
その原子比で略8:1:6の割合であることが望まし
く、組成比がこの割合から大きくずれると、目的とする
化合物の単一相を得ることが難しくなる。
【0008】圧粉体を真空引きして加熱する場合、焼成
温度を550〜900℃とする時には、その温度に応じ
て加熱時間を設定すればよく、たとえば石英封管を用い
て加熱温度を550℃とする場合には、2〜3日程度と
することができる。石英封管を用いる時は、加熱終了後
は石英封管を水中において急冷する。上記の方法によっ
て得られるこの発明の化合物は、通常は、黒色を呈する
粉末状の物質であり、硫黄が四面体的に密充填し、その
間隙にチタンと銀が位置する等方的構造を有し、立方晶
系としての格子定数がa=10.628±0.001
Å、V=1200.5±0.1Å3 、空間群が、
【0009】
【数1】 F3m(No.216) 密度が5.96g/cm3 、融点が795℃である立方
晶系の結晶構造を有するAg8 TiS6 であることが確
認されている。この発明のAg8 TiS6 の面指数(h
kl)、面間隔(dÅ)(d0 は実測値、dc は計算
値)および粉末X線回折強度(I%)(I0 は実測強
度)等の粉末X線および単結晶X線回折法による分析結
果を示したものが表1である。
【0010】
【表1】 以下、実施例を示し、さらに詳しくAg8 TiS6 で示
される立方晶系の結晶構造を有するこの発明の化合物に
ついて説明する。
【0011】
【実施例】純度99.9%以上の硫化銀(Ag2 S)粉
末と純度99.7%以上の四硫化三チタン(Ti
3 4 )粉末と純度99.9999%以上の硫黄(S)
粉末をAgとTiとSの原子比が8:1:6の割合とな
るようにグローブボックス中で秤量し、めのう乳鉢内で
約5分間混合した後、この混合粉末を加圧して圧粉体を
得た。
【0012】次に、この圧粉体を透明石英管中に真空封
入し、550℃に設定された横型管状電気炉内に入れ、
2日間加熱し、その後、石英管を取り出し、水中で急冷
した。このような方法で得られた試料は、Ag8 TiS
6 単一相であり、粉末X線回折法により各反射の面間隔
(d0 )および回折強度の測定結果は、前記の表1に示
した通りであった。
【0013】また、立方晶系としての格子定数は、a=
10.628±0.001Å、V=1200.5±0.
1Å3 であった。この格子定数および表1に示した各面
指数(hkl)より計算した面間隔(dc Å)は、実測
値である面間隔(d0 Å)と極めてよく一致した。ま
た、直流および交流法による導電率の測定結果から、こ
の試料は室温でlogσAg + =−2〜−3の値を示す銀
イオン伝導体であり、その輸率が1であることが確認さ
れた。
【0014】
【発明の効果】固体アイオニクス材料の銀イオン伝導体
等として有用な、新規なAg−Ti−S三元系化合物が
提供される。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag8 TiS6 で表わされる立方晶系の
    結晶構造を有するAg−Ti−S三元系化合物。
  2. 【請求項2】 銀およびチタンの金属もしくはその化合
    物と硫黄とを混合し、この混合粉末を加圧して圧粉体と
    し、これを真空引きした条件下で加熱することを特徴と
    する請求項1のAg8 TiS6 で表わされる立方晶系の
    結晶構造を有するAg−Ti−S三元系化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 金属銀とチタンと硫黄、または硫化銀と
    四硫化三チタンと硫黄とを、Ag:Ti:S(原子比)
    が略8:1:6になるように混合する請求項2の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 石英封管中で550〜900℃の温度で
    加熱する請求項2または3の製造法。
JP34454195A 1995-12-04 1995-12-04 Ag−Ti−S三元系化合物とその製造方法 Expired - Lifetime JP2730672B2 (ja)

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