JP2848665B2 - 液晶性ポリマーフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

液晶性ポリマーフイルムおよびその製造方法

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JP2848665B2 JP2090899A JP9089990A JP2848665B2 JP 2848665 B2 JP2848665 B2 JP 2848665B2 JP 2090899 A JP2090899 A JP 2090899A JP 9089990 A JP9089990 A JP 9089990A JP 2848665 B2 JP2848665 B2 JP 2848665B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、異方性溶融物を形成する液晶性ポリマーで
構成され、機械的特性の異方性および寸法安定性が改善
された液晶性ポリマーフィルムおよびその製造方法に関
する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 工業用フィルムとして、フィルムの縦方向、すなわち
引取り方向(以下、MD方向という)およびMD方向と直交
する幅方向(以下、TD方向という)に対する機械的特性
などが良好なポリエチレンテレフタレートフィルムが汎
用されている。また、各種用途における製品の高精度
化、高性能化、高機能化に対応して、ポリエチレンテレ
フタレートの改質やフィルム成形加工技術の改良によ
り、フィルムの機械的特性、耐熱性および寸法安定性な
どの特性をさらに高めることが検討されている。しかし
ながら、フィルムの特性は構成ポリマーに主に支配され
るので、ポリエチレンテレフタレートを素材とする限
り、機械的特性、耐熱性などを高めるには限度がある。
また、ポリエチレンテレフタレートは線膨脹係数が大き
く、寸法安定性が十分でない。
一方、異方性溶融物を形成する液晶性ポリマー、すな
わちサーモトロピック液晶性ポリマーは、エンジニアプ
ラスチックの領域に属し、機械的性質、寸法安定性、耐
薬品性、耐熱性および電気的特性などが優れており、各
種の分野における要求性能を満足するフィルム用素材と
して注目されている。しかしながら、この液晶性ポリマ
ーは、フィルム成形により高弾性率のスプリットファイ
バーが得られること(特公昭60−42287号公報参照)か
らも明らかなように、配向性が高いので、フィルムの異
方性が著しく大きい。すなわち、液晶性ポリマーからな
るフィルムは、MD方向に対する引張り弾性率及び機械的
強度が大きいものの、MD方向と直交するTD方向に対する
引張り弾性率及び機械的強度が著しく小さい。
そこで、TD方向の機械的強度が大きく、異方性の小さ
な液晶性ポリマーフィルムを製造する方法が提案されて
いる。例えば、特公昭59−25471号公報及び特開昭61−8
9816号公報には、異方性の大きな複数の液晶性ポリマー
フィルムを貼合わせて多軸配向積層フィルムを得ること
が開示されている。しかしながら、この方法は、複数の
液晶性ポリマーフィルムの配向軸を交差させて積層する
必要があるので、液晶性ポリマーフィルムを連続工程で
工業的に製造することが困難である。
特公昭63−33450号公報及び特開昭61−102234号公報
には、インフレーション法によるフィルム成形時に、MD
方向およびTD方向に延伸することにより、異方性の小さ
な液晶性ポリエステルフィルムを製造することが開示さ
れている。しかしながら、これらの方法を液晶性ポリエ
ステルに適用しても、未だ異方性が大きく、前記ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの機械的特性(MD及びTD
方向の引張り弾性率:約4×104kgf/cm2、MD及びTD方向
の引張り強度:2.2×103kgf/cm2)以上の特性を示す液晶
性ポリマーフィルムが得られない。
従って、本発明の目的は、機械的特性の異方性が小さ
く、しかもポリエチレンテレフタレートフィルムよりも
高弾性率高強度の液晶性ポリマーフィルムおよびその製
造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、寸法安定性に優れた液晶性ポリ
マーフィルムおよびその製造方法を提供することにあ
る。
[発明の構成] 上記目的を達成するため、本発明は、異方性溶融物を
形成する液晶性ポリマーを溶融して環状スリットから押
出し、筒状フィルムを引き取り方向と、引き取り方向と
直交する幅方向とに延伸する方法であって、液晶性ポリ
マーの溶融物を環状スリットから下方へ押出し、筒状フ
ィルムを、幅方向の延伸倍率が2〜8倍、引き取り方向
の延伸倍率が2.5〜30倍、かつ0.25≦幅方向の延伸倍率
/引き取り方向の延伸倍率≦1.5で延伸する液晶性ポリ
マーフィルムの製造方法を提供する。
さらに、前記方法によって製造される液晶性ポリマー
フィルムであって、 (a)引き取り方向の引張り弾性率が1×105〜4×105
kgf/cm2、幅方向の引張り弾性率が、引き取り方向の引
張り弾性率の0.5〜1.5倍、および (b)引き取り方向の引張り強度が3.2×103〜7.5×103
kgf/cm2、幅方向の引張り強度が、引き取り方向の引張
り強度の0.5倍以上、 である液晶性ポリマーフィルムを提供する。
本明細書において、液晶性ポリマーとは、加熱によっ
て軟化流動し成形可能となり、かつ溶融時に複屈折を有
する異方性溶融相を示すサーモトロピック液晶ポリマー
とその組成物を意味する。
またフィルムとは、当該技術分野でシート等と呼ばれ
ることのある比較的薄く、実質的に平らな構造物全てを
含む意味に用いる。
本発明のフィルムを構成する液晶性ポリマーとして
は、例えば、下記の構成成分からなるポリマーが挙げら
れる。
(1)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸の一種
又は二種以上 (2)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオー
ルの一種又は二種以上 (3)芳香族ヒドロキシカルボン酸の一種又は二種以上 (4)芳香族チオールカルボン酸の一種又は二種以上 (5)芳香族ジチオール、芳香族チオールフェノールの
一種又は二種以上 (6)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの一種
又は二種以上。
上記構成成分からなる液晶性ポリマーは、 i)構成成分(1)と(2)とからなるポリエステル、 ii)構成成分(3)からなるポリエステル、 iii)構成成分(1)と(2)と(3)とからなるポリ
エステル、 iv)構成成分(4)からなるポリチオールエステル、 v)構成成分(1)と(5)とからなるポリチオールエ
ステル、 vi)構成成分(1)と(4)と(5)とからなるポリチ
オールエステル、 vii)構成成分(1)と(3)と(5)とからなるポリ
エステルアミド、 viii)構成成分(1)と(2)と(3)と(5)とから
なるポリエステルアミド などの組合せとして選択される。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4″−トリフェニルジ
カルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタ
ン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4′
−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3′−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボン酸、ナフタ
レン−1,6−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;
芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロ
ゲン置換体、例えば、クロロテレフタル酸、ジクロロテ
レフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル
酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メト
キシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸などが挙げら
れる。
脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸など
の脂環族ジカルボン酸;脂環族ジカルボン酸のアルキ
ル、アルコキシまたはハロゲン置換体、例えば、トラン
ス−1,4−(1−メチル)シクロヘキサンジカルボン
酸、トランス−1,4−(1−クロロ)シクロヘキサンジ
カルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、4,4″−ジヒドロ
キシトリフェニル、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキ
シフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニ
ル、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナ
フタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタンなどの芳香族ジオール;芳香族ジオールのアルキ
ル、アルコキシまたはハロゲン置換体、例えば、クロロ
ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、1−ブチルハ
イドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイ
ドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレ
ゾルシン、4−メチルレゾルシンなどが挙げられる。
脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シクロヘ
キサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオー
ル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、ト
ランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シ
クロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサ
ンジメタノールなどの脂環族ジオール;脂環族ジオール
のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、例え
ば、トランス−1,4−(1−メチル)シクロヘキサンジ
オール、トランス−1,4−(1−クロロ)シクロヘキサ
ンジオールなどが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペン
チルグリコールなどの直鎖状又は分岐状脂肪族ジオール
が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキ
シ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸な
どの芳香族ヒドロキシカルボン酸;芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体、例えば、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル
−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息
香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、
6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、3−
クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4
−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−
ジクロロ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。
芳香族メルカプトカルボン酸としては、4−メルカプ
ト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト
−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸な
どが挙げられる。
芳香族ジチオールとしては、ベンゼン−1,4−ジチオ
ール、ベンゼン−1,3−ジチオール、ナフタレン−2,6−
ジチオール、ナフタレン−2,7−ジチオールなどが挙げ
られる。
芳香族メルカプトフェノールとしては、4−メルカプ
トフェノール、3−メルカプトフェノール、2−メルカ
プトフェノールなどが挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンとしては、
4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノ
ール、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フ
ェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,4−フェニレン
ジアミン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−ア
ミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、
4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒド
ロキシジフェニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフ
ェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェ
ニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4′−ジアミノフェニルスルフィド(チ
オジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−エチレンジアニリ
ン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジア
ミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4′
−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)な
どが挙げられる。
前記各構成成分からなる前記ポリマーi)ないしvii
i)は、構成成分及びポリマー中の組成比、シーケンス
分布によっては、溶融時に複屈折を有しないものも存在
するが、本発明で用いられるポリマーは上記ポリマーの
うち溶融時に複屈折を有するものに限られる。
なお、前記以外の液晶性ポリマーには、芳香族ポリア
ゾメチンが含まれる。芳香族ポリアゾメチンの具体例と
しては、ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フェニレ
ンニトリロエチリジン−1,4−フェニレンエチリジ
ン)、ポリ(ニトリロ−2−メチル−1,4−フェニレン
ニトリロメチリジン−1,4−フェニレンメチリジン)、
及びポリ(ニトリロ−2−クロロ−1,4−フェニレンニ
トリロメチリジン−1,4−フェニレンメチリジン)など
が挙げられる。
さらに前記以外の液晶性ポリマーにはポリエステルカ
ーボネートが含まれる。このポリマーは本質的には4−
オキシベンゾイル単位、ジオキシフェニル単位、ジオキ
シカルボニル単位及びテレフタロイル単位を含んでい
る。
前記各液晶性ポリマーは、従来公知の方法で製造する
ことができる。
好ましい異方性溶融相を形成するポリエステルは、6
−ヒドロキシ−2−ナフトイル、2,6−ジヒドロキシナ
フタレン及び2,6−ジカルボキシナフタレンなどのナフ
タレン単位を約10モル%以上含有する。
好ましいポリエステルアミドは、上記ナフタレン単位
と、4−アミノフェノール又は1,4−フェニレンジアミ
ンからなる単位との反復単位を含有する。具体的には以
下の通りである。
(A)本質的に下記反復単位[I]及び[II]からなる
ポリエステル: このポリエステルは、単位[I]を約10〜90モル%及
び単位[II]を約10〜90モル%含有する。一態様におい
て単位[I]は約65〜85モル%(例えば、約75モル%)
の量まで存在する。他の態様において、単位[II]は約
15〜35モル%、好ましくは約20〜30モル%の低濃度の量
で存在する。また環に結合している水素原子の少なくと
も一部は、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原
子、フェニル基、置換フェニル基及びこれらの組み合せ
からなる群から選ばれた置換基で置換されていてもよ
い。
(B)本質的に下記の反復単位[II]、[III]及び[I
V]からなるポリエステル: このポリエステルは単位[II]を約30〜70モル%含有
する。このポリエステルは、好ましくは、単位[II]を
約40〜60モル%、単位[III]を約20〜30モル%及び単
位[IV]を約20〜30モル%含有する。また環に結合して
いる水素原子の少なくとも一部は、炭素数1〜4のアル
コキシ基、ハロゲン原子、フェニル基、置換フェニル基
及びこれらの組み合せからなる群から選ばれた置換基に
より置換されていてもよい。
(C)本質的に下記反復単位[II]、[IV]、[V]及
び[VI]からなるポリエステル: (式中、Rはメチル基、塩素、臭素原子またはこれらの
組み合せを意味し、芳香環上の水素原子に対する置換基
である) このポリエステルは、単位[II]を約20〜60モル%、
単位[IV]を約5〜35モル%、単位[V]を約5〜18モ
ル%及び単位[VI]を約20〜40モル%含有する。このポ
リエステルは、好ましくは、単位[II]を約35〜45モル
%、単位[IV]を約15〜25モル%、単位[V]を約10〜
15モル%及び単位[VI]を約25〜35モル%含有する。た
だし、単位[IV]と[V]の合計モル濃度は単位[VI]
のモル濃度に実質的に等しい。また、環に結合している
水素原子の少なくとも一部は、炭素数1〜4のアルキル
基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、フェ
ニル基、置換フェニル基及びこれらの組み合せからなる
群から選ばれた置換基により置換されていてもよい。こ
の完全芳香族ポリエステルは、一般に、温度60℃でペン
タフルオロフェノールに0.3W/V%の濃度で溶解したと
き、少なくとも2.0dl/g、例えば2.0〜10.0dl/gの対数粘
度を示す。
(D)本質的に下記反復単位[I]、[II]、[VII]
及び[VIII]からなるポリエステル: 一般式O−Ar−O [VII] (式中、Arは少なくとも1個の芳香族環を含む2価基を
意味する)で示されるジオキシアリール単位 (式中、Arは前記に同じ)で示されるジカルボキシアリ
ール単位 ポリエステルは、単位[I]を約20〜40モル%、単位
[II]を10モル%を越え、約50モル%以下、単位[VI
I]を5モル%を越え、約30モル%以下、及び単位[VII
I]を5モル%を越え、約30モル%以下の量で含有す
る。このポリエステルは、好ましくは、単位[I]を約
20〜30モル%、例えば、約25モル%、単位[II]を約25
〜40モル%、例えば、約35モル%、単位[VII]を約15
〜25モル%、例えば、約20モル%、及び単位[VIII]を
約15〜25モル%、例えば、約20モル%含有する。また、
環に結合している水素原子の少なくとも一部は、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハ
ロゲン原子、フェニル基、置換フェニル基及びこれらの
組み合せからなる群から選ばれた置換基で置換されてい
てもよい。
単位[VII]と[VIII]は、ポリマー主鎖内でこれら
の単位を両側の他の単位に結げている2価の結合が、1
または2以上の芳香環上で対称的配置にある(例えば、
ナフタレン環上に存在するときは互いにパラの位置か、
かたは対角環上に配置されている)と言う意味で対称的
であるのが好ましい。ただし、レゾルシノール及びイソ
フタル酸から誘導されるような非対称単位も使用でき
る。
好ましいジオキシアリール単位[VII]は であり、好ましいジカルボキシアリール単位[VIII]は である。
(E)本質的に下記反復単位[I]、[VII]、[VII
I]からなるポリエステル: 一般式O−Ar−O [VII] (式中、Arは前記に同じ)で示されるジオキシアリール
単位 (式中、Arは前記に同じ)で示されるジカルボキシアリ
ール単位 このポリエステルは、単位[I]を約10〜90モル%、
単位[VII]を5〜45モル%及び単位[VIII]を5〜45
モル%の量で含有する。このポリエステルは、好ましく
は単位[I]を約20〜80モル%、単位[VII]を約10〜4
0モル%及び単位[VIII]を約10〜40モル%含有する。
さらに好ましくは、このポリエステルは、約60〜80モル
%の単位[I]、約10〜20モル%の単位[VII]、及び
約10〜20モル%の単位[VIII]を含有する。また環に結
合している水素原子の少なくとも一部は、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン
原子、フェニル基、置換フェニル基及びこれらの組み合
せよりなる群から選ばれた置換基で置換されていてもよ
い。
好ましいジオキシアリール単位[VII]は であり、好ましいジカルボキシアリール単位[VIII]は である。
(F)本質的に下記反復単位[I]、[IX]、[X]及
び[VII]からなるポリエステルアミド: (式中、Aは少なくとも1個の芳香環を含む2価基また
は2価トランス−シクロヘキサン基を意味する)で表わ
される単位 一般式Y−Ar−Z [X] (式中、Arは前記に同じ。YはO、NHまたはNR、ZはNH
またはNRをそれぞれ意味し、Rは炭素数1〜4のアルキ
ル基またはアリール基を意味する)で表わされる単位 一般式O−Ar−O [VII] (式中、Arは前記に同じ)で表わされるジオキシアリー
ル単位 このポリエステルアミドは、単位[I]を約10〜90モ
ル%、単位[IX]を5〜45モル%、単位[X]を5〜45
モル%、及び単位[VII]を約0〜40モル%の量で含有
する。また環に結合している水素原子の少なくとも一部
は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコ
キシ基、ハロゲン原子、フェニル基、置換フェニル基及
びこれらの組み合せよりなる群から選ばれた置換基より
置換されていてもよい。
好ましいジカルボキシアリール単位[IX]は であり、好ましい単位[X]は であり、好ましいジオキシアリール単位[VII]は である。
本発明の異方性溶融相を形成するポリマーには、一つ
のポリマー鎖の一部が前記異方性溶融相を形成するポリ
マーのセグメントから構成され、残りの部分が異方性溶
融相を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから構成さ
れるポリマーも含まれる。
前記液晶性ポリマーのなかで好ましいポリマーは、完
全芳香族ポリエステルおよび完全芳香族ポリエステルア
ミドである。
完全芳香族ポリマーは、一般溶剤には実質的に不溶で
ある傾向を示し、従って、溶液加工には適さない。しか
しながら、これらのポリマーは通常の溶融加工法により
容易に加工することができる。なお、特に好ましい完全
芳香族ポリマーはペンタフルオロフェノールにはいくら
か可溶である。
液晶性ポリマーは、成膜性などを損わない範囲で適宜
の分子量を有していてもよい。例えば、好適な完全芳香
族ポリエステルは、通常重量平均分子量が約2,000〜20
0,000、好ましくは約10,000〜50,000、特に好ましくは
約20,000〜25,000である。また好適な完全芳香族ポリエ
ステルアミドは、通常、分子量が約5,000〜50,000、好
ましくは約10,000〜30,000、例えば、15,000〜17,000で
ある。分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーならびにその他のポリマーの溶融形成を伴な
わない標準的測定法、例えば圧縮成形フィルムについて
赤外分光法により末端基を定量することにより実施でき
る。またペンタフルオロフェノール溶液にして光散乱法
を用いて分子量を測定することもできる。
完全芳香族ポリエステルアミドは、温度60℃でペンタ
フルオロフェノールに0.1重量%濃度で溶解したとき、
一般に、少なくとも約2.0dl/g、例えば約2.0〜10.0dl/g
の対数粘度(I.V.)を示す。
前記完全芳香族液晶性ポリマーのなかで好ましい液晶
性ポリマーは、前記一般式[I]および[II]で表わさ
れる反復構成単位を少なくとも60モル%以上含む完全芳
香族ポリエステル(A)(D)、特に一般式[I]およ
び[II]で表わされる反復構成単位100モル%の完全芳
香族液晶性ポリマー(A)である。このようなポリマー
は、一般に他の液晶性ポリマーよりも機械的特性、寸法
安定性、耐薬品性、耐熱性および電気的特性に優れてい
る。
液晶性ポリマーは、通常、熱変形温度が80〜400℃、
好ましくは120〜350℃程度であり、耐熱性に優れる。特
に熱変形温度150〜250℃の液晶性ポリマーは成膜性に優
れるので好ましい。
本発明の液晶性ポリマーフィルムは前記液晶性ポリマ
ー単独で形成されていてもよく、その他の異方性溶融相
を形成するポリマー;異方性溶融相を形成しない熱可塑
性樹脂;熱硬化性樹脂;可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、架橋剤、
滑剤などの添加剤;無機繊維、ウィスカー、炭酸カルシ
ウム、高分散性けい酸、アルミナ、水酸化アルミニウ
ム、タルク粉、マイカ、硫酸バリウムなどの充填剤など
を含有するポリマー組成物で形成されていてもよい。な
お、ポリマー組成物中の異方性溶融相を形成するポリマ
ーと他の成分とは熱力学的に相溶していてもよい。
前記ポリマー組成物中、液晶性ポリマーは少なくとも
50重量%、好ましくは少なくとも80重量%含有される。
液晶性ポリマーフイルムの膜厚は特に制限されない
が、通常、1〜500μm、好ましくは10〜250μm程度で
ある。
本発明の液晶性ポリマーフイルムは、引張り弾性率を
TM(kgf/cm2)、引張り強度をTS(kgf/cm2)とすると
き、下記の特性を有する。
(a)TM(kgf/cm2) MD方向:1×105〜4×105kgf/cm2 TD方向:MD方向のTM×0.5〜1.5倍、好ましくはMD方向
のTM×0.75〜1.25倍、更に好ましくはMD方向のTM×0.8
〜1.1倍 (b)TS(kgf/cm2) MD方向:3.2×103〜7.5×103kgf/cm2 TD方向:MD方向のTS×0.5倍以上、好ましくはMD方向の
TS×0.75〜1.25倍、更に好ましくはMD方向のTS×0.8〜
1.1倍 このように本発明の液晶性ポリマーフィルムは、ポリ
エチレンテレフタレートフィルムよりも引張り弾性率お
よび引張り強度が大きいだけでなく異方性が著しく小さ
く、機械的特性に優れている。特に好ましい液晶性ポリ
マーフィルムは等方性を示す。
また本発明の液晶性ポリマーフィルムは、熱膨脹係数
が著しく小さく寸法安定性に優れている。すなわち、液
晶性ポリマーフィルムは、 (C)熱膨脹係数 MD方向:−1×10-5〜+1×10-5/℃、好ましくは−
5×10-6〜−1×10-6/℃ TD方向:−1×10-5〜+2×10-5/℃、好ましくは1
×10-5〜+1.5×10-5/℃程度である。本発明の好ましい
液晶性ポリマーフィルムは、TD方向に膨脹する傾向を示
す。
また液晶性ポリマーフィルムは、膜厚25μmにおい
て、酸素ガス及び炭酸ガス透過性が1.0cc/m2・24時間・
気圧以下、水蒸気透過率が約1.5g/m2・24時間・気圧以
下であり、ガスバリア性にも優れる。
本発明の液晶性ポリマーフィルムは、前記液晶性ポリ
マー又はポリマー組成物(以下、単に液晶性ポリマーと
いう)を押出し成形機により、熱溶融押出して、フィル
ム成形した後、延伸し、冷却することにより製造でき
る。押出し成形機としては、慣用のフィルム成形機、例
えば、インフレーションダイを備えた成形機などが使用
できる。
なお、液晶性ポリマーの溶融押出し温度は、ポリマー
の構成単位の種類や組成比などに応じて選択できる。前
記好ましい液晶性ポリマーの適切な溶融押出し温度は、
例えば、180〜360℃程度の範囲から選択できる。
以下に、本発明の液晶性ポリマーフィルムの好ましい
製造方法であるインフレーション成形法について説明す
る。
インフレーションダイを備えた成形機を用いる方法に
おいては、溶融した液晶性ポリマーをインフレーション
ダイの環状スリットから押出し、押出された筒状フィル
ムを膨脹させながら引取る。
上記環状スリットの間隙、すなわちリップクリアラン
スは、通常0.2〜10mm、好ましくは0.5〜4mm程度であ
る。環状スリットの直径は、成形するフィルムの幅に応
じて設定でき、特に制限されないが、環状スリットの直
径が大きすぎる場合には、筒状フィルムを安定して膨脹
させることが困難となり、フィルムの特性が低下し易い
ので、200mm以下、好ましくは120mm以下である。
本発明の方法は、溶融ポリマーをインフレーションダ
イから下方へ押出し、筒状フィルムを引取る方法であ
る。より詳細には、液晶性ポリマーは、溶融粘度が比較
的小さいだけでなく、溶融状態でのフィルムの強度
(腰)が、オレフィン系ポリマーなどよりも小さい。従
って、溶融した液晶性ポリマーを上方へ押出す場合に
は、溶融状態のフィルムに自重が作用し、安定して膨脹
させることが困難であり、異方性がさほど改善されな
い。これに対して、溶融した液晶性ポリマーを下方へ押
出す場合には、筒状フィルムを自重により落しながら膨
脹させ、円滑に引取ることができるので、安定かつ均一
に膨脹させることができ、異方性の小さなフィルムが得
られる。
ダイから押出された筒状フィルムは、膨脹させるまで
の間、そのまま自然冷却してもよく、冷却筒、加熱筒ま
たは保温筒などを通過させてもよい。膨脹させるときの
フィルム温度は、自然冷却または保温筒を使用して調整
するのが好ましい。
筒状フィルムを膨脹させるときの好ましいフィルム温
度は、通常、液晶性ポリマーの二次転移温度以上であっ
て、かつ押出し温度よりも10〜100℃、特に20〜70℃程
度低い温度である。フィルム温度が低すぎる場合には、
延伸効果が低下し、高すぎる場合には、筒状フィルムを
均一に膨脹させることが困難である。
筒状フィルムを膨脹させてTD方向に延伸すると共に、
引取りながらドラフトをかけてMD方向に延伸する。筒状
フィルムの膨脹は、筒状フィルムの内側から外力を作用
させる方法、例えば、空気、窒素、炭酸ガスなどの気体
をインフレーションダイの内側から圧入する方法、イン
サートマンドレルを使用して筒状フィルムを押し拡げる
方法などの慣用の方法で行なうことができる。好ましい
方法は筒状フィルムに気体を圧入する方法である。この
場合、必要に応じて、圧入する気体の流量、圧力および
温度を、筒状フィルムの膨脹性を損わない範囲に調整す
るのが好ましい。気体圧入法では、フィルムの温度と圧
入気体の圧力とがバランスしたダイの下方位置で筒状フ
ィルムを膨脹させ延伸することができる。4 TD方向の延伸倍率、すなわちブロー比は、1.5〜10
倍、好ましくは2〜8倍、さらに好ましくは2.5〜6倍
程度である。TD方向の延伸倍率が1.5倍未満である場合
には、延伸効果が小さく異方性が大きくなり、10倍を越
える場合には、筒状フィルムが破裂する場合がある。
MD方向の延伸倍率、すなわちMD方向のドラフト比は、
1.5〜40倍、好ましくは2.5〜30倍、さらに好ましくは5
〜25倍程度である。MD方向の延伸倍率が1.5倍未満であ
る場合には、バブルと称される筒状フィルムを安定して
膨脹させることが困難であり、40倍を越える場合には、
MD方向への配向が強く異方性の大きなフィルムとなり易
い。なお、MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率の比
は、所望するフィルムの特性に応じて設定できる。
さらに、TD方向の延伸倍率とMD方向の延伸倍率との比
率はフィルムの異方性に大きく影響する。TD方向の延伸
倍率とMD方向の延伸倍率との比率は、TD方向の延伸倍
率、すなわちブロー比をDtd、MD方向の延伸倍率、すな
わちドラフト比をDmdとすると、 0.25≦DTD/DMD≦1.5で延伸する。このような条件で延
伸する場合には、液晶性ポリマーフィルムの異方性が著
しく改善され、等方性または等方性に近いフィルムが得
られる。
なお、前記の好ましいTD方向の延伸倍率においてはDt
d/Dmdが小さくても優れた特性を示す。
TD方向の延伸倍率DtdおよびMD方向の延伸倍率Dmdは、
インフレーションダイの環状スリットの直径をd、膨脹
したバブル状の筒状フィルムの直径をD、環状スリット
からの溶融物の吐出線速度をV、筒状フィルムの引取り
速度をv、環状スリットの面積をs、フィルムの断面積
をSとするとき、とするとき、下記式で表される。
Dtd=d/D Dmd=v/V=s/S 延伸処理が施された後、自然冷却または保温筒を使用
して、ニップロールを通過させるときのフィルム温度を
調整するのが好ましい。ニップロールを通過させるとき
の好ましいフィルム温度は、50〜170℃、特に70〜150℃
程度である。フィルム温度が低すぎる場合には、高弾性
率を示す液晶性ポリマーから成形されるフィルムに皺が
発生し易く、高すぎる場合には、筒状フィルムが融着し
易い。
このようなインフレーション成形法では、筒状フィル
ムを膨脹させてTD方向に延伸しながら、引取ってMD方向
に延伸するので同時二軸配向が可能である。
上記のようにして得られたフィルムには、必要に応じ
て熱処理が施される。この熱処理は、フィルムの緊張下
または無緊張下で行なうことができる。熱処理は、適宜
の雰囲気、例えば、空気、窒素、真空雰囲気中で、70〜
300℃程度の温度で行なうことができる。熱処理の温度
履歴サイクル、熱処理時間、張力などは、フィルムの種
類、必要とするフィルム物性に応じて設定できる。
さらに、液晶性ポリマーフィルムには、コロナ放電処
理などの表面処理を施してもよい。
なお、本発明の好ましい液晶性ポリマーフィルムとそ
の特性は次の通りである。
(A)MD方向の引張り弾性率が1×105〜4×105kgf/cm
2、TD方向の引張り弾性率がMD方向の引張り弾性率×0.7
5〜1.25であり、MD方向の引張り強度が3×103〜7.5×1
03kgf/cm2、TD方向の引張り強度がMD方向の引張り強度
×0.75〜1.25である液晶性ポリマーフィルム。
(B)MD方向の引張り弾性率が1×105〜4×105kgf/cm
2、TD方向の引張り弾性率がMD方向の引張り弾性率×0.8
〜1.1であり、 3.2×103〜7.5×103kgf/cm2、TD方向の引張り強度がM
D方向の引張り強度×0.8〜1.1である液晶性ポリマーフ
ィルム。
(C)MD方向の熱膨脹係数が−5×10-6〜−1×10-6/
℃、TD方向の熱膨脹係数が1×10-5〜+1.5×10-5/℃で
ある液晶性ポリマーフィルム。
(D)異方性溶融物を形成する液晶性ポリマーが、前記
一般式[I]および[II]で表わされる反復構成単位を
少なくとも60モル%以上含む液晶性ポリマー、好ましく
は前記一般式[I]および[II]で表わされる反復構成
単位100モル%の液晶性ポリマーであるフィルム。
(E)液晶性ポリマーを少なくとも80重量%含む液晶性
ポリマーフィルム。
本発明の液晶性ポリマーフィルムは、包装用フィル
ム、写真フィルム、磁気記録テープなどの記録媒体用フ
ィルム、電気絶縁用フィルムなどの種々の用途で使用で
きる。
[発明の効果] 本発明の液晶性ポリマーフィルムは、機械的特性の異
方性が小さく、しかもポリエチレンテレフタレートフィ
ルムよりも大きな弾性率及び強度を示す。また線膨脹係
数が小さく、寸法安定性に優れる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
実施例1 前記反復単位[I]および[II]で構成されたポリエ
ステル(A)からなる液晶性ポリマー(ポリプラスチッ
ク(株)製、商品名ベクトラA900)のペレットを、予め
150℃の温度で8時間乾燥し、インフレーションダイを
備えた押出し機を用いて、下記の条件でダイから下方へ
押出し、厚み29μmのフィルムを得た。
押出し温度:290℃ リップクリアランス:1.0mm ブロー比:5.0 MD方向のドラフト比:7.0 Dtd/Dmd=0.71 なお、押出し時の剪断速度を下記式に基づいて算出し
たところ、190sec-1であった。
=6Q/wH2ρ :剪断速度(sec-1) Q:吐出量=6.94g/秒 w:ダイの円周長さ=15.7cm H:リップクリアランス=0.1cm ρ:密度=約1.4g/cm3 実施例2 MD方向のドラフト比を、4.0とする以外(Dtd/Dmd=1.2
5)、実施例1と同様にして、厚み50μmのフィルムを
得た。
実施例3 MD方向のドラフト比を、9.0とする以外(Dtd/Dmd=0.
56)、実施例1と同様にして、厚み22μmのフィルムを
得た。
実施例4 ブロー比を3.5、MD方向のドラフト比を4.5(Dtd/Dmd
=0.78)とする以外、実施例1と同様にして、厚み63μ
mのフィルムを得た。
実施例5 ブロー比6.0、MD方向のドラフト比を5.0(Dtd/Dmd=
1.20)とする以外、実施例1と同様にして、厚み33μm
のフィルムを得た。
実施例6 ブロー比6.0、MD方向のドラフト比を6.0(Dtd/Dmd=
1.0)とする以外、実施例1と同様にして、厚み28μm
のフィルムを得た。
実施例7 ブロー比を6.5、MD方向のドラフト比を5.0(Dtd/Dmd
=1.30)とする以外、実施例1と同様にして、厚み31μ
mのフィルムを得た。
実施例8 ブロー比を7.0、MD方向のドラフト比を7.0(Dtd/Dmd
=1.0)とする以外、実施例1と同様にして、厚み20μ
mのフィルムを得た。
実施例9 ブロー比を6.5、MD方向のドラフト比を6.0(Dtd/Dmd
=1.08)とする以外、実施例1と同様にして、厚み26μ
mのフィルムを得た。
実施例10 ブロー比を7.0、MD方向のドラフト比を6.0(Dtd/Dmd
=1.17)とする以外、実施例1と同様にして、厚み24μ
mのフィルムを得た。
比較例1 実施例1の液晶性ポリマーのペレットを、予め150℃
の温度で8時間乾燥し、リップクリアランス0.2mmのT
ダイ押出し機から、290℃の押出し温度で押出し、ドラ
フト比8.0の条件で引取り、厚み25μmのフィルムを得
た。
比較例2 市販の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
を試験に供した。
そして、フィルムの引張り弾性率および引張り強度
を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、テンシロ
ン)を用い、引張り速度5mm/分、温度25℃で測定した。
また線膨脹係数を、下記のサーモメカニカルアナリシ
ス(Thermomechanical analysis)法により測定した。
すなわち、セイコー電子(株)製、TMA−100を用い、幅
5mm、長さ10mmの供試フィルムに10gの荷重をかけ、−50
℃から10℃/分の速度で昇温して寸法変化曲線を求め、
−30℃と30℃における勾配から線膨脹係数を算出した。
結果を表に示す。
表より明らかなように、各実施例の液晶性ポリマーフ
ィルムは、比較例2のポリエチレンテレフタレートフィ
ルムよりも、MD方向及びTD方向の引張り弾性率及び引張
り強度が著しく大きい。また、比較例1の液晶ポリマー
フィルムよりも異方性が小さく機械的特性に優れる。さ
らに、熱膨脹係数も小さく寸法安定性がよい。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異方性溶融物を形成する液晶性ポリマーを
    溶融して環状スリットから押出し、筒状フィルムを引き
    取り方向と、引き取り方向と直交する幅方向とに延伸す
    る方法であって、液晶性ポリマーの溶融物を環状スリッ
    トから下方へ押出し、筒状フィルムを、幅方向の延伸倍
    率が2〜8倍、引き取り方向の延伸倍率が2.5〜30倍、
    かつ0.25≦幅方向の延伸倍率/引き取り方向の延伸倍率
    ≦1.5で延伸する液晶性ポリマーフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法によって製造される液
    晶性ポリマーフィルムであって、 (a)引き取り方向の引張り弾性率が1×105〜4×105
    kgf/cm2、幅方向の引張り弾性率が、引き取り方向の引
    張り弾性率の0.5〜1.5倍、および (b)引き取り方向の引張り強度が3.2×103〜7.5×103
    kgf/cm2、幅方向の引張り強度が、引き取り方向の引張
    り強度の0.5倍以上、 であることを特徴とする液晶性ポリマーフィルム。
  3. 【請求項3】引き取り方向の線膨張係数が−1×10-5
    +1×10-5/℃、幅方向の線膨張係数が−1×10-5〜+
    2×10-5/℃である請求項2記載の液晶性ポリマーフィ
    ルム。
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