JP2847943B2 - 回転電機の水抜き構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は電動機や発電機などの回転電機の水抜き構造
に関する。

［従来の技術］ 一般に、電動機や発電機などの回転電機では、ケーシ
ングの底部に水抜き孔が設けられているが、例えば、車
両に搭載されるスタータでは、車体の下方から被水を受
けた場合などに、水抜き孔からスタータ内部へ浸水する
虞がある。

そこで、従来より、第６図に示すように、ケーシング
100の水抜き孔101に水抜きパイプ200を取り付けて、水
抜き孔101からの浸水を防止する技術が提案されてい
る。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、水抜きパイプ200を用いた従来の水抜き構
造では、高圧洗車機の使用などにより、ケーシング100
の外壁面に沿って、水抜きパイプ200とケーシング100と
の当接面に高圧の直撃水を受けた際には、高圧水が水抜
きパイプ200の取付部201に当たり、ケーシング100の外
壁面と水抜きパイプ200の取付部201との間に隙間（第６
図参照）を生じさせて、その隙間からスタータ内部にま
で浸水することがあった。

本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その
目的は、高圧水を受けた場合でも、水抜き孔からの浸水
を防止することのできる回転電機の水抜き構造を提供す
ることにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、回転電機のケ
ーシングに形成された水抜き孔と、この水抜き孔に取り
付けられる水抜きパイプとから成る回転電機の水抜き構
造において、前記水抜きパイプには、前記水抜き孔に取
り付けた際に、前記水抜き孔の外周で弾性変形を伴って
前記ケーシングの外壁面に密着する弾性変形部が形成さ
れ、前記ケーシングの外壁面には、前記ケーシングの外
壁面に密着する前記弾性変形部の外周を囲む環状の段差
部が形成されたことを技術的手段とする。

［作用および発明の効果］ 上記構成よりなる本発明は、ケーシングの外壁面に密
着する弾性変形部の外周が、ケーシングの外壁面に形成
された段差部によって囲まれるため、水抜きパイプの取
付部に高圧の直撃水を受けた場合でも、その高圧水が、
直接、弾性変形部の外周にかかるのを防いで、弾性変形
部がケーシングの外壁面から押し広げられるのを防止す
ることができる。

むしろ、弾性変形部の外周が段差部によって囲まれる
ことで、直撃水が弾性変形部をケーシングの外壁面に押
さえ付けるように作用するため、弾性変形部のケーシン
グ外壁面に対する密着度が高まることになる。

これらの結果、水抜きパイプの取付部に高圧の直撃水
を受けても、弾性変形部が押し広げられてケーシングの
外壁面との間に隙間が生じるようなことはなく、ケーシ
ング内部への浸水を防止することができる。

［実施例］ 次に、本発明の回転電機の水抜き構造を図面に示す一
実施例に基づき説明する。

第１図は水抜き構造の断面図、第２図は本発明が適用
されるスタータの側面図である。

本実施例の水抜きパイプ１は、第２図および第３図
（第２図のＡ視図）に示すように、減速ギヤタイプのス
タータ（本発明の回転電機）２に適用され、スタータ２
のモータケーシング（エンドフレーム）３とマグネット
スイッチのケーシング４に形成されたそれぞれの水抜き
孔５、６に取り付けられている。

この水抜きパイプ１は、先端部に２か所の排水口７、
８が形成されて、内部が排水口７、８に連なる排水通路
9aを成す排水筒９と、この排水筒９を水抜き孔５、６へ
取り付けるための取付部（後述する）より成る。

２か所の排水口７、８は、矩形状に開口して、排水筒
９の側面下方に対向（対称位置）して形成されている。

排水筒９には、第１図に示すように、排水通路9aの中
央部に排水孔10を形成する天井板11が設けられている。
また、その排水孔10より上方（第１図上側）において、
排水筒９の内周面から径方向に突設されたルーバ12が形
成されている。

取付部は、水抜き孔５、６へ差し込まれて、ケーシン
グ３、４の内壁面に係止される複数の爪部13と、水抜き
孔５、６に取り付けた際に、水抜き孔５、６の外周で、
弾性変形を伴ってケーシング３、４の外壁面に密着する
弾性変形部14より成る。なお、爪部13は、排水筒とは別
体で形成されて、排水筒９の上端内周部に組み付けられ
ている。また、弾性変形部14は、排水筒９の上端外周部
にフランジ状に形成されて、ゴムなどの弾性体により排
水筒９と一体に設けられている。

ケーシング３、４の外壁面には、ケーシング３、４の
外壁面に密着する弾性変形部14の外周を囲む環状の防水
壁15（本発明の段差部）が形成されている。

この防水壁15は、ケーシング３、４の外壁面から突設
されて、その内径が、弾性変形部14の外径より若干大き
いか、あるいは若干の締代を持つ程度の大きさに設けら
れるとともに、その高さが、弾性変形部14の先端部の厚
みと同じか、それ以上の高さに設けられている。

本実施例の水抜き構造によれば、弾性変形部14の外周
が、ケーシング３、４の外壁面に形成された防水壁15に
よって囲まれているため、例えば、高圧の直撃水をケー
シング３、４の外壁面に沿って受けた場合でも、その高
圧水が、直接、弾性変形部14の外周にかかるのを防い
で、弾性変形部14がケーシング３、４の外壁面から押し
広げられるのを防止することができる。

また、弾性変形部14の外周側面が防水壁15の内周面と
密着しており、さらに、弾性変形部14の先端部の厚みよ
り防水壁15の高さの方が高い（あるいは同じ）ため、防
水壁15を乗り越えて弾性変形部14にかかる直撃水は、弾
性変形部14をケーシング３、４の外壁面に押さえ付ける
ように作用することになり、弾性変形部14のケーシング
３、４外壁面に対する密着度が高まることになる。

これらの結果、水抜きパイプ１の取付部に高圧の直撃
水を受けても、弾性変形部14が押し広げられてケーシン
グ３、４の外壁面との間に隙間が生じるようなことはな
く、水抜き孔からケーシング３、４内部への浸水を防止
することができる。

第４図に本発明の第２実施例を示す。

第１実施例では、弾性変形部14の外周を囲む環状の防
水壁15を、ケーシング３、４の外壁面に突設した状態で
形成したが、本実施例では、第４図に示すように、弾性
変形部14が密着する部分のみ、ケーシング３、４を凹状
に削り込んだ段差部15を形成しても良い。

第５図に本発明の第３実施例を示す。

本実施例では、第１実施例で示した防水壁15の先端部
に、弾性変形部14を覆うような顎部15aを設けたもので
ある。

従って、防水壁15の内周部に弾性変形部14を収めるた
めに、防水壁15の内径を、第１実施例の場合より若干大
きく設定する必要がある。

なお、顎部15aは、防水壁15の全周に亘って形成して
も良く、または、適宜、間隔を開けて複数箇所に設けて
も良い。

上述記の実施例では、本発明の水抜き構造を減速ギヤ
タイプのスタータ２に用いたが、他のタイプのスタータ
（例えば遊星ギヤタイプのスタータ）に適用しても良
い。さらには、スタータ以外の電動機、あるいは発電機
等の回転電機に適用しても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図および第３図は本発明の第１実施例を示すもの
で、第１図は水抜き構造を示す断面図、第２図はスター
タの側面図、第３図は第２図のＡ視図である。第４図は
本発明の第２実施例を示す水抜き構造の断面図、第５図
は本発明の第３実施例を示す水抜き構造の断面図、第６
図は従来技術による水抜き構造の断面図である。 図中 １……水抜きパイプ、２……スタータ（回転電機） ３、４……ケーシング、５、６……水抜き孔 14……弾性変形部、15……防水壁（段差部）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転電機のケーシングに形成された水抜き
   孔と、 この水抜き孔に取り付けられる水抜きパイプとから成る
   回転電機の水抜き構造において、 前記水抜きパイプには、前記水抜き孔に取り付けた際
   に、前記水抜き孔の外周で弾性変形を伴って前記ケーシ
   ングの外壁面に密着する弾性変形部が形成され、 前記ケーシングの外壁面には、前記ケーシングの外壁面
   に密着する前記弾性変形部の外周を囲む環状の段差部が
   形成されたことを特徴とする回転電機の水抜き構造。