JP2847617B2 - 高分子量ポリ乳酸及びその成形体の製造方法 - Google Patents

高分子量ポリ乳酸及びその成形体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量ポリ乳酸及び
その成形体の製造方法に関し、更に詳しくは、安価な乳
酸プレポリマーを原料とし、スクリュ式押出機により高
分子量のポリ乳酸及びその成形体を連続的に製造するこ
とができる高分子量ポリ乳酸及びその成形体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】乳酸を原料とするポリ乳酸は、容易に加
水分解することや、透明性及び剛性がよいこと等から、
手術用糸などの医療用材料としても注目されている。こ
のようなポリ乳酸は、一般には、乳酸を脱水縮重合させ
てオリゴマーとし、それをアンチモン化合物やスズ化合
物等の触媒の存在下で解重合させ環状ジエステルである
ラクチドを得、更にオクチル酸スズ、ジエチル亜鉛など
の触媒の存在下で開環重合することにより製造されてい
る。また、このラクチドの開環重合を加熱セグメントを
有する押出機内で行った技術も提案されている(例え
ば、特公表平3−502115号公報参照)。
【0003】しかし、このようにラクチドを経由してポ
リ乳酸を製造する方法の場合は、乳酸から原料となるラ
クチドを製造する工程及び精製工程に多大な費用と人手
がかかる。このため、それが製造コストを上昇させ、引
いては製品価格を上昇させる大きな要因となっている。
【0004】このような問題を解決するものとして特公
平2−52930号公報では、乳酸を不活性ガス雰囲気
中において、触媒の存在下で加熱、重縮合させ(実施例
では180℃、4時間)、最終的に220〜260℃、
圧力10mmHg以下の条件で重縮合反応(実施例では26
0℃、2mmHg、8時間)を完結させ、分子量が4,00
0〜20,000のポリ乳酸を製造する方法が提案され
ている。
【0005】しかし、この方法では、非常に高い温度で
加熱する必要があり、また減圧レベルも過酷である。更
に、後段の重縮合反応でさえ8時間も要しており、エネ
ルギーの損失等を考慮すれば、製造コスト的には満足で
きるものではなく、得られるポリ乳酸の分子量も上限が
20,000程度(実施例では18,000)である。
【0006】また、従来は、得られたポリ乳酸を一旦ペ
レット化し、それを原料としてフィルムや容器等に成形
加工していた。しかし、ポリ乳酸は容易に加水分解して
分子量が低下してしまうため、保管中に吸湿した場合、
分子量の低下により成形体の引張強度等の機械的特性が
低下するという問題がある。このため、成形工程の前に
乾燥工程が必要となるので工数が多くなり、それがコス
トにも影響している。また、ポリ乳酸は熱安定性が低い
ため、ペレット化の過程等で加えられる熱履歴により劣
化し、それが成形体の品質にまで悪影響を及ぼす場合も
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来の製造技術における工程の煩雑さ、反応条件の
過酷さ等に起因する製造コストの上昇という問題を解決
し、簡便かつ低コストで、工業的に製造できるポリ乳酸
及びその成形体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはラクチドを
経由しない高分子量ポリ乳酸の製造法について検討して
きたところ、重量平均分子量が5,000未満の低分子
量の乳酸オリゴマーは通常の乳酸の重縮合反応で容易に
得られるが、これよりも高分子量のポリ乳酸への重縮合
反応の進行は極めて遅いことが判明した。そこで、この
乳酸オリゴマーの高分子量化条件について種々検討した
ところ、スクリュ式押出機内で当該高分子量化反応を一
定の条件下に行えば、比較的低温及び低真空度で、短時
間に反応が進行すること、更に生成した高分子量ポリ乳
酸をそのまま押し出して成形すれば、ペレット製造工程
を経由することなく有利に所望の成形体が得られること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は重量平均分子量500〜
5,000の乳酸プレポリマーをスクリュ式押出機内に
おいて加熱下かつ減圧下で水分を除去しながら重縮合反
応させることを特徴とする重量平均分子量10,000
以上のポリ乳酸の製造方法に係るものである。また、本
発明は重量平均分子量500〜5,000の乳酸プレポ
リマーをスクリュ式押出機内において加熱下かつ減圧下
で水分を除去しながら重縮合反応させ、生成する重量平
均分子量10,000以上のポリ乳酸を当該スクリュ式
押出機から押し出すことにより成形することを特徴とす
るポリ乳酸成形体の製造方法に係るものである。
【0010】本発明に用いる重量平均分子量500〜
5,000の乳酸プレポリマーは、常法、即ち乳酸を加
熱下かつ減圧下、不活性雰囲気中で重縮合反応させるこ
とにより得られる。
【0011】具体的には、例えば原料モノマーである乳
酸を、例えば回分式の反応槽中に仕込み、槽内を窒素ガ
スやアルゴンガス等の不活性ガスで置換して不活性雰囲
気にしたのち、加熱下かつ減圧下で重縮合反応を行い、
プレポリマーを得る。
【0012】乳酸はD−体、L−体などの光学活性体又
は光学活性をもたないDL−体及びこれらの混合物のい
ずれでもよく、好ましくは純度が85%以上のものを用
いる。
【0013】加熱温度は100〜220℃が好ましく、
130〜180℃が更に好ましい。加熱温度が低すぎる
と反応が進行せず、高すぎると解重合が起こるので好ま
しくない。また、減圧レベルは、200mmHg以下が好ま
しく、100mmHg以下が更に好ましい。この減圧レベル
が高すぎる(減圧が不充分である)と、除去されずに反
応液中に残存する水や未反応モノマーにより、反応の円
滑な進行が妨げられるので好ましくない。
【0014】反応に際しては、必要に応じて触媒を用い
ることができる。この触媒としては、塩化第一スズ、オ
クチル酸スズ、酸化アンチモン等を挙げることができ
る。これらの触媒は、トルエン、THF(テトラヒドロ
フラン)等の溶媒に完全溶解させたのち、反応系に添加
することが好ましい。また、前記触媒群の毒性が高いこ
とを考慮すれば、酢酸マンガン、アセチルアセトナトア
ルミニウム、酢酸アルミニウム、ジエチル亜鉛等を触媒
として用いることもできる。これらの触媒は、例えば、
重縮合反応の促進触媒として酢酸マンガンを用い、反応
途中における副反応を抑制し、反応液中のポリマー/モ
ノマー間の平衡状態をポリマー側に移行させるための触
媒として酸化アンチモンを用いる等、適宜組み合わせて
用いることができる。触媒の使用量は、生成するプレポ
リマー総量に対して、0.001〜2重量%が好まし
く、0.05〜0.5重量%が更に好ましい。
【0015】回分式反応槽では、重量平均分子量(M
w)が500〜5,000のプレポリマーを得る。これ
は、重量平均分子量が5,000以上のポリマーを回分
式反応槽で得ることは困難であり、500以下のポリマ
ーでは次工程における反応時間が長くなりすぎるため、
プロセスとしては実用的でないことによる。
【0016】このようにして得られる乳酸プレポリマー
をスクリュ式押出機に供給し、加熱下かつ減圧下で水分
を除去しながら重縮合反応を行い、高分子量ポリ乳酸を
得る。
【0017】本発明で用いるスクリュ式押出機として
は、通常プラスチックの成形に用いられる、スクリュ、
シリンダ、加熱ユニット、駆動装置、脱気のためのベン
ト口等からなる、単軸又は二軸スクリュ式押出機を用い
ることができる。このうち、二軸スクリュ式押出機が好
ましく、この二軸スクリュ式押出機としては、スクリュ
の回転方向が同方向又は異方向のもの、スクリュのフラ
イトが相互にかみ合っているもの又はかみ合っていない
もののいずれをも用いることができる。本発明において
は、箇別に温度制御可能なように分割されてシリンダの
周囲に設けられた複数箇の加熱ユニットとそれらのユニ
ット部分のシリンダ内部から脱気可能な複数のベント口
とを有し、スクリュ長さ(L)とスクリュ径(D)の比
(L/D比)が、30〜70のかみ合い型の二軸スクリ
ュ式押出機が好ましい。このように加熱ユニットとベン
ト口の数が多い二軸スクリュ式押出機を用いることによ
り、押出機のシリンダの異なるゾーンごとに反応段階に
応じた温度制御ができるとともに、反応段階により生じ
た副生物を、それぞれの物質に適した条件(温度、減圧
度)で留去することができるので好ましい。
【0018】加熱温度は100〜220℃が好ましく、
130〜180℃が更に好ましい。この加熱温度が10
0℃未満の場合は反応速度が遅くなりすぎ、220℃を
超える場合は重縮合反応と並行して解重合反応が起こる
ので好ましくない。また、反応時間は前記温度範囲内で
あれば、通常は回分操作を含めて約10〜30分で十分
である。
【0019】減圧レベルは、200mmHg以下が好まし
く、100mmHg以下が更に好ましい。この減圧レベルが
高すぎる(減圧が不充分である)と、除去されずに反応
液中に残存する水により、反応の円滑な進行が妨げられ
るので好ましくない。
【0020】重縮合反応は水分を除去しながら行う必要
がある。これは重縮合反応を速やかに進行させるうえで
重要であり、スクリュ式押出機に備えられたベント口か
ら脱気することにより容易に行うことができる。
【0021】また、この反応では、触媒を用いることが
できる。この触媒としては、重縮合反応の促進用触媒と
しての塩化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、テ
トラフェニルスズ、スズ(単体)、オクチル酸スズ、四
塩化チタン、チタン酸ブチル、チタン酸グリコール、酸
化亜鉛、三酸化アンチモン、酸弗化アンチモン、酢酸ア
ンチモン、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、炭酸マ
ンガン、酢酸マンガン等を挙げることができる。これら
の触媒は、それらが有する性質を考慮して、反応の任意
の段階において1種以上を適宜添加することができる。
【0022】また、本発明ではスクリュ式押出機のスク
リュの回転数も重縮合反応の進行を促進させるうえで重
要であり、シリンダ内面から重縮合反応に必要な熱量を
充分に供給するために、反応開始時には50rpm 以下の
低速で運転し、次に反応が進行してポリマーの粘性が上
がると表面更新により効果的に水を除去するために、6
0rpm 以上に上げて運転し、反応段階に応じて回転数を
変更することが望ましい。
【0023】かくして重量平均分子量10,000以上
のポリ乳酸が得られる。
【0024】さらに、本発明においては、前述の処理操
作で得られた高分子量ポリ乳酸を、反応槽であるスクリ
ュ式押出機よりダイを介して押し出すことにより又は一
旦溶融状態のポリマーを貯留後、射出成形等の他の成形
手段を用いることにより、ペレット調製を経由すること
なく、所望形状の成形体を得ることができる。
【0025】次に、明細書に添付した図1を参照しなが
ら、本発明の製造方法の一例を説明する。回分式の反応
槽10において製造された加熱溶融状態のプレポリマー
を、ホッパー12に供給する。このホッパー12に供給
されたプレポリマーは、ギヤ3の作用により、適当量が
押出機1に供給される。この時、付設された触媒投入口
から必要に応じて触媒を添加することができる。
【0026】押出機1内部に供給されたプレポリマー
は、スクリュ(図示せず)により混練されながらシリン
ダ内部を進む過程で、複数の加熱ユニット16により、
ゾーンごとに異なる温度で加熱され、重縮合反応する。
この反応過程においては、加熱による熱量のみならず、
スクリュの混練によりポリマー相互間で発生する剪断発
熱による熱量が加わるので、実際に加えた熱量以上の熱
量が供給されることとなり、反応がより円滑に進行す
る。しかし、他方ではこうした熱量の過剰供給が原因
で、ポリマーの熱分解が起こることから、シリンダ温度
はポリマーが熱分解を起こさないように厳密に設定され
制御されることが必要である。
【0027】また、この時、シリンダ内部は真空ポンプ
9により減圧されており、その結果、複数のベント口2
を通って、水等の低分子量体が押出機1のシリンダ内部
から気体として排出される。ここで、上流側ベント口2
からは、主として反応の進行の妨げとなる水が、下流側
のベント口2からは、高分子量化の妨げとなる乳酸エー
テル等の低分子化合物や、主としてポリマーの解重合反
応により生じた少量のラクチド等が回収される。このよ
うにして回収されたラクチドは、フィルタ18を経て循
環され、反応槽10に送られた後、プレポリマーとして
押出機に供給し、再利用することもできる。
【0028】重縮合反応の終了後、生成した溶融状態の
ポリ乳酸はスクリュにより押し出され、スクリーン4を
経て、更にダイ5を通って押し出されることにより、フ
ィルムやシート等の成形体に成形される。また、溶融状
態のポリ乳酸を一旦アキュームレータ等に貯蔵し、射出
成形又は中空成形等の成形法を適用すれば、所望形状の
中空容器等の成形体を得ることもできる。
【0029】なお、プレポリマーの供給開始時には、押
出機1内部に原料が充填されていないので、低粘度のポ
リマーが重合反応が完了する前に押し出される場合があ
る。そのため、このような供給開始時においても十分な
滞留時間(即ち、反応時間)が確保できるように、押出
機1の出口部分1aにストップバルブを装着し、このス
トップバルブを閉じたり開けたりすることにより、いか
なる段階においても十分な原料の滞留時間(反応時間)
を確保することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。
【0031】実施例1 図1に示すようなフローの製造工程により、ポリ乳酸成
形体を製造し、その成形体を得た。まず、D,L−乳酸
(純度90%)を回分式の反応槽に仕込み、不活性ガス
雰囲気中で120〜180℃で6時間反応させ、Mwが
3,500のプレポリマーを得た。このプレポリマーを
不活性ガス雰囲気中で押出機に供給し、重縮合反応を行
った。反応に際しては、ホッパーを冷水により冷却し
て、加熱によるプレポリマーの飛散を防止した。なお、
押出機としては、L/D比42、スクリュ径32mm及び
同方向回転タイプの二軸スクリュ式押出機で、図2に示
すように、シリンダの計12ゾーンのそれぞれが異なる
温度に設定可能で、かつ5,8,11の3箇所のゾーン
に脱気可能なベント口を有しているものである。なお、
ここでいうゾーンとは、シリンダの異なる位置が異なる
加熱温度に設定可能という意味で用いており、各ゾーン
間が区切られているという意味に限定されるものではな
い。また、その運転条件は次のとおりである。 (運転条件) 原料供給量:2.8kg/h スクリュ回転数:30rpm シリンダ温度:ゾーン2=130℃ ゾーン3〜11=150〜180℃ ゾーン12=160℃ また、シリンダのゾーン1に取り付けられた投入口か
ら、供給したプレポリマーに対して0.5重量%となる
量の塩化第一スズを添加した。なお、反応は、シリンダ
内を50〜80mmHgに減圧して、水等の低分子量体をベ
ント口から除去しながら行った。反応時間(押出機内の
滞留時間より算定)は、約10.5分であった。このよ
うにして重合反応終了後、直ちにTダイを通して押し出
し、フィルムを得た。重合反応終了時のポリマーはMw
=33,900、融点152℃であった。また、得られ
たフィルムの引張強さは145kgf /cm2 、伸びは35
%であった。
【0032】実施例2 Mw=4,500のL−乳酸プレポリマーを用い、実施
例1と同じ押出機により、ポリ乳酸を製造し、その成形
体を得た。まず、ホッパーから不活性ガス雰囲気中でプ
レポリマーを供給したのち、塩化第一スズを触媒投入口
から添加し(0.05重量%量)、押出機の出口部に取
り付けたストップバルブを閉じた状態で、約10分間、
回分操作により重縮合反応を行った。スクリュ回転数は
20rpm 、シリンダ温度は、ゾーン2を120℃、ゾー
ン3〜10を130〜170℃、ゾーン11及び12を
140℃に設定した。また、ホッパーは実施例1と同様
の目的で冷却した。その後、ストップバルブを開放し、
スクリュ回転数を80rpm に上げ、3.3kg/hで原
料を連続供給しながら重縮合反応させ、ポリマーを不定
型物として押し出した。この過程でシリンダ内の圧力を
40〜100mmHgに保持し、水等の低分子量体をベント
口から除去した。合計反応時間(押出機内の滞留時間よ
り算定)は、約15分であった。重合反応終了時のポリ
マーは、Mw=16,500、融点135℃であった。
また、得られた不定型物は、溶剤に溶解させ、紙等のコ
ーティング剤として利用できた。その場合のコーティン
グ膜は、長期間経過後も剥離することがなかった。
【0033】実施例3 いずれもMw=4,300のD,L−乳酸プレポリマー
とL−乳酸プレポリマーとの混合物(混合比3:7)を
用い、実施例1と同じ押出機により、ポリ乳酸を製造
し、その成形体を得た。まず、ホッパーから不活性ガス
雰囲気中でプレポリマーを供給したのち、オクチル酸ス
ズを触媒投入口から添加し(0.5重量%量)、押出機
の出口部に取り付けたストップバルブを閉じた状態で、
約10分間、回分操作により重縮合反応を行った。スク
リュ回転数は25rpm 、シリンダ温度は、ゾーン2〜4
を130℃、ゾーンを5〜8が160℃、ゾーン9〜1
1を170℃、ゾーン12を130℃に設定した。ま
た、ホッパーは実施例1と同様の目的で冷却した。その
後、ストップバルブを開放し、スクリュ回転数を70rp
m に上げ、3.6kg/hで原料を連続供給しながら重
縮合反応させ、ポリマーを不定型物として押し出した。
この過程でシリンダ内の圧力を100mmHgに保持し、水
等の低分子量体をベント口から除去した。合計反応時間
(押出機内の滞留時間より算定)は、約17分であっ
た。重合反応終了時のポリマーは、Mw=14,20
0、融点130℃であった。また、得られた不定型物
は、溶融状態で基材に厚さ0.3mmで接着させ、防食
用ライニング剤として利用した。この場合、長期間経過
後もポリマーと基材は剥離することがなく、亀裂も生じ
なかった。
【0034】実施例4 Mw=4,800のL−乳酸プレポリマーを用い、実施
例1と同じ押出機により、ポリ乳酸を製造し、その成形
体を得た。まず、ホッパーから不活性ガス雰囲気中でプ
レポリマーを供給したのち、炭酸マンガンを触媒投入口
から添加し(0.25重量%量)、押出機の出口部に取
り付けたストップバルブを閉じた状態で、約20分間、
回分操作により重縮合反応を行った。スクリュ回転数は
30rpm 、シリンダ温度は、ゾーン2〜3を130℃、
ゾーン4〜11を160℃、ゾーン12を150℃に設
定した。また、ホッパーは実施例1と同様の目的で冷却
した。その後、ストップバルブを開放し、スクリュ回転
数を70rpm に上げ、4.6kg/hで原料を供給しな
がら重縮合反応させ、ポリマーを不定型物として押し出
した。この過程でシリンダ内の圧力は50〜90mmHgに
保持し、水等の低分子量体をベント口から除去した。合
計反応時間(押出機内の滞留時間より算定)は、約27
分であった。押し出したポリマーは、150℃に保持し
たタンクに貯蔵し、その後Tダイにより農業用フィルム
に成形した。重合反応終了時のポリマーはMw=32,
700、融点148℃であった。また、前記フィルムの
引っ張り強さは134kgf/cm 2 であり、伸びは50%で
あった。
【0035】実施例5 Mw=3,800のL−乳酸プレポリマーを120℃で
加熱溶解させ、脱水反応促進用触媒として、酢酸マンガ
ンを0.25重量%量添加し、均一になるように混合し
た。このプレポリマーを用い、実施例1と同じ押出機に
より、ポリ乳酸を製造し、その成形体を得た。まず、ホ
ッパーから不活性ガス雰囲気中で前記プレポリマーを供
給したのち、押出機の出口部に取り付けたストップバル
ブを閉じた状態で、約15分間、回分操作により重縮合
反応を行った。スクリュ回転数は30rpm 、シリンダ温
度は、ゾーン2〜3を130℃、ゾーン4〜7を150
〜170℃、ゾーン8〜12を140℃に設定した。ま
た、ホッパーは実施例1と同様の目的で冷却した。次
に、シリンダのゾーン6の位置に取り付けられた触媒投
入口から重合促進及びラクチド生成抑制用触媒として酸
化アンチモンを0.25重量%量添加し、更に5分間回
分操作をした。この過程でシリンダ内の圧力を75〜1
00mmHgに保持して、水等の低分子量体をベント口から
除去した。その後、ストップバルブを開放することによ
り先端ノズルから不定型物としてポリマーを押し出し
た。合計反応時間(押出機内の滞留時間より算定)は、
約25分であった。重合反応終了時のポリマーはMw=
15,600、融点133℃であった。また、得られた
不定型物は、溶剤に溶解させ、紙等のコーティング剤と
して利用できた。その場合のコーティング膜は、長期間
経過後も剥離することがなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の製造方法は、一般に使用されて
いるスクリュ式押出機中において、乳酸を原料として製
造したプレポリマーを重縮合してMw=10,000以
上のポリ乳酸を得、更にそれから成形体を得る工程を連
続的に行う方法である。このような構成から、本発明は
下記の優れた効果を有するものである。 1.製造コストの低下 高価なラクチドではなく、安価で大量生産できる乳酸を
原料としており、更にペレット化も不要となるため、製
造コストを引き下げることができる。また、本発明の方
法によれば、所謂just-in-timeでの製造、出荷ができる
ため、ペレットの保存、品質管理等にかかる費用も不要
となる。 2.品質の向上 混合能力、熱交換能力及び脱気能力が優れているスクリ
ュ式押出機を用いているので、反応系の厳密な温度制御
及び反応性を損なう水等の低分子量体を除去でき、高粘
度反応系でありながら触媒の機能を十分に発揮させるこ
とができる。このため、重縮合反応から成形までを短時
間で完了させることができるので、ポリマーに加えられ
る熱履歴が大きく減少され、ポリマー及び成形体の熱に
よる劣化を防止できる。更に、ペレット化の工程が不要
となるため、ペレット製造工程における熱分解及びペレ
ット保存中における吸湿による加水分解等にともなう製
品の品質低下を防止することができる。 3.その他の効果 乳酸は金属に対して腐食性を有するが、本発明の方法に
おいては耐食加工処理が容易な回分式の反応槽中でより
腐食性の低いプレポリマーを製造し、このプレポリマー
を原料として押出機による重縮合プロセスがなされるた
め、押出機が受ける腐食を著しく小さくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明するための概略図であ
る。
【図2】スクリュ式押出機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 スクリュ押出機 2 ベント口 3 ギヤポンプ 4 スクリーン 5 ダイ 9 真空ポンプ 10 回分式反応槽 12 ホッパー 16 加熱ユニット 18 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 炭廣 幸弘 広島県広島市安芸区船越南1丁目6−1 株式会社日本製鋼所内 (72)発明者 横田 佳代子 広島県広島市安芸区船越南1丁目6−1 株式会社日本製鋼所内 (72)発明者 小柳 邦彦 広島県広島市安芸区船越南1丁目6−1 株式会社日本製鋼所内 (56)参考文献 特開 平7−53684(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量500〜5,000の乳
    酸プレポリマーをスクリュ式押出機内において加熱下か
    つ減圧下で水分を除去しながら重縮合反応させることを
    特徴とする重量平均分子量10,000以上のポリ乳酸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量500〜5,000の乳
    酸プレポリマーをスクリュ式押出機内において加熱下か
    つ減圧下で水分を除去しながら重縮合反応させ、生成す
    る重量平均分子量10,000以上のポリ乳酸を当該ス
    クリュ式押出機から押し出すことにより成形することを
    特徴とするポリ乳酸成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 重縮合反応が、100〜220℃で行わ
    れる請求項1又は2記載の製造方法。
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