JP4457654B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステルの製造方法に関し、特に重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を回収して再利用する脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
現在、地球環境を考慮した材料や製品に対する関心が高まっており、物質のリサイクル技術等、地球資源の使用を最小限に留める技術に期待が寄せられている。
脂肪族ポリエステルは、堆肥中、土中、海水中、下水中等の微生物によって分解される特徴を有するので地球環境に極めて有用であるとして注目され、繊維、フィルム、シート等種々の成形品として用いられている。このような脂肪族ポリエステルの成形品は、一定期間放置するとその表面に曇り(ブリード、白化現象と同義。)が生じて表面光沢が消失するという問題があった。こうした問題は、脂肪族ポリエステルの製造時、ポリマーの生成と同時にオリゴマーが生成されるが、生成したオリゴマーを取り除かないで成形すると、一定期間後に成形品の表面にオリゴマーが析出することによるものであった。このため、脂肪族ポリエステルのポリマーからオリゴマーを取り除く方法が研究されている。
特許文献1には、数平均分子量10,000以上の脂肪族ポリエステルの粉末、ペレット、成形品を、有機溶媒を用いて脂肪族ポリエステルの融点よりも低い温度で洗浄してオリゴマーを除去する方法が記載されている。
特開2002−3606号公報
しかしながら、上記特許文献1には、脂肪族ポリエステルの洗浄方法については記載されているが、洗浄抽出されたオリゴマー等の成分の処理法や再利用については記載されていない。
通常、脂肪族ポリエステルの洗浄工程で用いられる有機溶媒は、そのまま廃棄されるか、一部を精製・回収した後に廃棄されている。しかし、そうした有機溶媒中には、抽出されたオリゴマーが含まれているため、このように廃棄処分されることは地球環境上問題であり、また、脂肪族ポリエステルのコストアップの大きな要因となる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、品質に影響を与えることなく製造原単位を向上させ、環境負荷低減化に寄与する脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン及び/又はその誘導体とを少なくとも有する原料を重合して脂肪族ポリエステルを製造する方法において、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を分離・回収した後、該オリゴマー成分を脂肪族ポリエステルの原料として用い、該脂肪族ポリエステルの原料のうち、前記オリゴマー成分以外の原料の合計量100重量部に対して、前記オリゴマー成分の量が5重量部以下であることを特徴とする。
この発明によれば、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を再利用して脂肪族ポリエステルの原料として用いるので、脂肪族ポリエステルの原料コストを抑制することができる。また、分離・回収したオリゴマー成分を廃棄せずに再利用するので、環境負荷を低減することができる。
脂肪族ポリエステルの原料として用いるオリゴマー成分の量が、他の原料の合計量に対して多すぎると、オリゴマー成分を用いずに製造された場合と比較して、得られる脂肪族ポリエステルの分子量が減少したり、生産性が低下したりすることがある。したがって、この発明によれば、そうした問題が起こらない範囲内にオリゴマー成分の使用量を制限したので、品質のよい脂肪族ポリエステルを製造することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、脂肪族ポリエステルの原料として用いる前記オリゴマー成分が、重合後の脂肪族ポリエステルと有機溶媒との接触処理により該有機溶媒中に抽出されたものであることを特徴とする。
この発明によれば、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を、効率よく簡便に分離することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、抽出に用いた前記有機溶媒を、前記オリゴマー成分中の該有機溶媒含量が5重量%以下となるまで加熱蒸発させて除去することを特徴とする。
オリゴマー成分中の有機溶媒は、オリゴマー成分を再利用する際に、水やアルコール等の副生成物と共に留去され廃棄又は回収される。この発明によれば、再利用するオリゴマー成分中の有機溶媒含量が制限されるので、廃棄する有機溶媒量を少なくすることができ、その結果、環境汚染を防止することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、抽出された前記オリゴマー成分を含む前記有機溶媒に、脂肪族ポリエステルに対する貧溶媒を添加した後、抽出に用いた該有機溶媒を加熱蒸発させて除去することを特徴とする。
この発明によれば、脂肪族ポリエステルに対する貧溶媒を、オリゴマー成分を含む有機溶媒に添加し、有機溶媒を加熱蒸発させて除去することにより、その有機溶媒に含まれるオリゴマー成分を貧溶媒中に析出させることができる。その結果、そうした有機溶媒を加熱蒸発させて除去することにより、貧溶媒中に析出させたオリゴマー成分を効率的に分離することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法によれば、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を回収し、脂肪族ポリエステルの原料として再利用するので、品質に影響を与えることなく製造原単位を向上させることができる。また、本発明によれば、オリゴマー成分を廃棄物として処理する必要性がなく、環境負荷を低減できるので、環境負荷低減化に寄与する脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とを少なくとも有する原料を重合して脂肪族ポリエステルを製造する方法において、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を分離・回収した後、そのオリゴマー成分を脂肪族ポリエステルの原料として用いる方法である。すなわち、本発明の脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とその誘導体とを重縮合又は共重縮合させるか、又は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とを重縮合又は共重縮合させることによって製造される。
脂肪族ポリエステルを製造する際においては、ポリマーだけでなく、オリゴマーも生成されるが、本発明においては、オリゴマーを分離・回収し、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体と共に脂肪族ポリエステルの原料として再利用する。
こうした本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法について、以下、詳細に説明する。
脂肪族ジオールとは、脂環式ジオールを含むものであり、その具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が好適に挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、特にエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種又2種以上を好ましく用いることができる。
これらの他に、重合に支障がない範囲で1価又は3価以上のアルコールを併用することもできる。1価のアルコールの使用量が多いと目的の重合度の脂肪族ポリエステルが得られず、3価以上のアルコールの使用量が多いとゲル化し易く成形性不良の脂肪族ポリエステルとなることがある。
脂肪族ジカルボン酸は、脂環式ジカルボン酸を含むものであり、その具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸が挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、上記の脂肪族ジカルボン酸の炭素数が1以上4以下程度の低級アルキルエステルや無水物が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
上記の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体のうち、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸又はこれらの無水物、又はこれらの低級アルキルエステルが好ましく用いられ、特にコハク酸、無水コハク酸又はこれらの混合物がより好ましく用いられる。これらは単独でも2種以上混合して用いてもよい。重合に支障が出ない範囲で1価又は3価以上のカルボン酸又はその誘導体を併用してもよい。1価のカルボン酸の使用量が多いと目的の重合度の脂肪族ポリエステルが得られず、3価以上のカルボン酸の使用量が多いとゲル化し易く成形性不良の脂肪族ポリエステルとなることがある。
また、本発明が対象とする脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とヒドロキシカルボン酸との共重縮合体であってもよい。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−n−酪酸、3−ヒドロキシ−n−酪酸、4−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−n−吉草酸、3−ヒドロキシ−n−吉草酸、4−ヒドロキシ−n−吉草酸、5−ヒドロキシ−n−吉草酸、2−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、2−ヒドロキシ−i−ヘキサン酸、3−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、4−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、5−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、6−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、リンゴ酸等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらに光学異性体が存在する場合には、ヒドロキシカルボン酸は、D体、L体又はラセミ体のいずれであってもよく、固体、液体又は水溶液であってもよい。
これらのうち、特に乳酸又はグリコール酸が好ましく用いられる。乳酸やグリコール酸は、30%以上95%以下の水溶液として容易に入手できるので好ましい。
脂肪族ジオールは、脂肪族ポリエステルの製造に使用される脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に対して実質的に等モル用いられるが、一般的には、重合反応時に留出する量を勘案して使用されるので、実際の使用量は必ずしも等モルである必要はない。脂肪族ジオールの使用量は、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体1モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは0.8モル以上であり、通常2モル以下、好ましくは1.5モル以下である。
上記の他に、さらに他の共重合成分を導入することができる。他の共重合成分としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸類、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。芳香環を有する共重合成分は、脂肪族ポリエステルを構成する全ジオール及び全ジカルボン酸中に50モル%以下となるように共重合させることができ、好ましくは30モル%以下となるように共重合させることができる。
このようにして得られた脂肪族ポリエステルの融点は、一般には90℃以上200℃以下の範囲内にある。
次に、脂肪族ポリエステルの製造工程について詳しく説明する。
脂肪族ポリエステルは、一般のポリエステルを製造する際に適用される溶融重合法で製造される。具体的には、原料として、上述した脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とを用い、エステル化反応工程及びエステル交換反応工程のうち一方又は両方の反応工程を経た後、重合工程を経て製造される。
エステル化反応工程及び/又はエステル交換反応工程における反応温度は、下限が通常50℃、好ましくは120℃であり、上限が通常300℃、好ましくは260℃である。反応温度が低すぎると反応が効率的に進行せず、反応温度が高すぎると分解反応が顕著となる傾向がある。また、エステル化反応工程及び/又はエステル交換反応工程は、常圧から微減圧下で実施される。
エステル化反応工程及び/又はエステル交換反応工程における反応時間は、下限としては通常20分、好ましくは30分であり、上限としては5時間、好ましくは3時間である。
エステル化反応工程中及び/又はエステル交換反応工程中においては、カルボン酸及び/又はその誘導体とアルコールとが反応してエステル結合が形成される。カルボン酸とアルコールとのエステル化反応が主体の場合は主に水が生成し、エステル交換反応が主体の場合は交換されたアルコールが生成するので、それらを系外に留出させながら反応させることが望ましい。留出物の生成量は、エステル化反応及び/又はエステル交換反応が進むにつれて減少することから、それらの反応の進行度合いは、生成された留出物の留出量又は反応生成物の末端基濃度で追跡することができる。
このとき、エステル化反応工程及び/又はエステル交換反応を促進するために、必要に応じて触媒を添加してもよい。添加する触媒としては、後述の重合触媒と同様のものを使用することができる。
脂肪族ポリエステルの結晶化を早めるた又はその透明性や強度を向上させるために、核剤を添加してもよい。核剤の添加時期は、エステル化反応の開始時やエステル交換反応の開始時でもよいし、重合反応の開始時であってもよいが、操作性や安全性の面からは、エステル化反応の開始時かエステル交換反応の開始時であることが望ましい。核剤の具体例としては、タルク、ポリエチレンワックス、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩等が挙げられる。
重合工程は、重合触媒の存在下で行うのが好ましい。重合触媒は、エステル化反応開始前から重合工程中の任意の時点で添加される。重合触媒を添加した後は、さらにエステル化反応及び/又はエステル交換反応を進行させるか、次の重合工程に移るかのいずれかとなる。
重合触媒としては、ポリエステルの重合触媒として知られる公知の触媒を使用することができ、例えば、Ge、Ti、Sb、Mg、Hf、Zn、Zr、Co、Ni、Sn、Si、P及びFe等から選ばれる1又は2以上の元素を含む化合物を用いることができる。これらのうちで、Ge、Ti、Sb、Mg、Hf及びZnから選ばれる1又は2以上の元素を含む化合物が特に好ましく用いられる。その具体例としては、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄等の金属酸化物、チタニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、テトラエトキシシラン、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド等の金属アルコキシド類、ジルコニウムアセチルアセトナート、ハフニウムアセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート等のアセチルアセトナート類、塩化亜鉛、塩化スズ、ジルコニウムクロライド等の塩化物、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、安息香酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、シュウ酸スズ等のカルボン酸塩、ハフニウムTHF錯体、ジブチルスズオキサイド、リン酸亜鉛等が挙げられる。さらには、硫酸、スルホン酸、塩酸、メタンスルホン酸等のプロトン酸等も挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して用いてもよい。
重合触媒の添加時の形態は特に制限されないが、重合触媒をそのままで添加してもよいし、例えば、水溶液、アルコール溶液、グリコール溶液、又は酸と共存した状態等で添加してもよい。重合触媒の添加量としては、使用する原料モノマーの合計量に対して、0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上であり、3重量%以下、好ましくは1.5重量%以下である。
重合温度の下限は、通常100℃、好ましくは150℃であり、重合温度の上限は、350℃、好ましくは300℃である。重合を効率よく行うために、減圧下で反応を行うが、通常は徐々に反応系内の減圧度を高め、最終的には1.3kPa〜1Paの減圧下で反応を行う。重合反応を進行させるためには、減圧度は高いほうが有利であるが、実質的な設備対応の面からは、通常は0.7kPa〜10Paの範囲で重合させることが望ましい。
重合時間は、所望の分子量に応じて調整されるが、通常、下限は1時間であって、上限は15時間、好ましくは6時間で実施される。
重合により得られた脂肪族ポリエステルのGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)ポリスチレン換算数平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3万以上であり、通常30万以下、好ましくは20万以下である。
重合により所定の分子量に到達した脂肪族ポリエステルは、重合槽の出口からダイヘッドを介してストランド状に押し出され、引き続いて冷却ペレタイズ化処理される。このようにしてペレット状の脂肪族ポリエステルが得られる。
重合後の脂肪族ポリエステル中には、ポリマーの他にモノマーやオリゴマーが存在する。通常このままフィルム等の成形品として使用すると、フィルム表面にオリゴマーが次第にブリードアウトしてくるため、外観不良等の問題が生じる。このため、脂肪族ポリエステル中のオリゴマーを除去することは、品質向上のためには重要なポイントとなる。
次に、脂肪族ポリエステル中からオリゴマーを除去する方法について説明する。
脂肪族ポリエステル中からオリゴマーを除去するための方法としては、真空ベントを有した脱揮押出機に通す方法、COによる超臨界抽出法、有機溶媒を用いた洗浄方法等が挙げられるが、これらの方法のうち、抽出効率、操作性及びコストの観点から、有機溶媒を用いた洗浄方法が好ましく適用される。
有機溶媒を用いた脂肪族ポリエステルの洗浄は、上記の方法で得られたペレット状の脂肪族ポリエステルと有機溶媒とを接触させることにより行われる。その接触は、静置状態又は流通若しくは撹拌等の流動状態のいずれの条件下でもよく、また、洗浄操作は、連続態様又はバッチ態様のいずれの操作をとってもよい。
洗浄用の有機溶媒としては、脂肪族ポリエステル中からオリゴマーを除去できるものであれば各種のものを用いることができるが、例えば、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が使用可能である。このうちアセトンが最も抽出効率に優れているので好ましく使用できる。有機溶媒とペレット状の脂肪族ポリエステルとの浴比(ペレット状の脂肪族ポリエステルに対する有機溶媒の重量比)は、任意の設定で問題ないが、通常1.0以上3.0以下の範囲内に設定されることが好ましい。その浴比が大きすぎると、処理設備が過大になったりコストアップにつながる場合があり、またその浴比が小さすぎると、オリゴマー除去に時間がかかったり、オリゴマーの除去が不充分となる場合がある。
洗浄温度は、使用する有機溶媒やポリマーのグレードによっても異なるが、通常10℃以上55℃以下の範囲内で設定され、洗浄時間においても、3時間以上30時間以下の範囲内で設定される。
このような洗浄によって、重合後の脂肪族ポリエステル中の残存モノマーやオリゴマーを大幅に低減することができる。このときのモノマーやオリゴマーの抽出量は、洗浄前の脂肪族ポリエステル量に対して、約1重量%以上3重量%以下程度である。
こうして洗浄されたポリマーは、オリゴマーを含む有機溶媒と固液分離された後に乾燥され、最終製品となる。一方、オリゴマーを含む有機溶媒は、いったん回収缶へ移送される。
その後、有機溶媒中のオリゴマーは、オリゴマーを含む有機溶媒を加熱蒸発して有機溶媒を除去することにより分離される。具体的には、蒸留塔や薄膜蒸発機等を用いた加熱操作で有機溶媒を除去・回収する。このときの加熱操作条件については、使用する有機溶媒によりその温度、圧力等は異なるが、回収缶出部の条件としては、通常、60℃〜200℃の範囲内の温度条件、13.3kPa〜常圧の範囲内の圧力条件下で設定される。
また、オリゴマーを含む有機溶媒中に、脂肪族ポリエステルに対する貧溶媒を添加して、オリゴマーを分離してもよい。ここで用いられる貧溶媒としては、水等が挙げられる。こうした貧溶媒の添加により、有機溶媒に含まれるオリゴマーを析出させることができるので、薄膜蒸発機等の設備が不要である。また、加熱操作の際、貧溶媒を添加しない場合と比較して低い温度で有機溶媒を除去することができ、プロセス面やコスト面で有利である。
オリゴマー成分は、有機溶媒が除去されることにより濃縮ヘビーエンド成分として回収される。なお、本願でいう「オリゴマー成分」には、オリゴマーの他、原料やモノマー、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒が除去された後のオリゴマー成分中には、有機溶媒が僅かに残存するが、残存した有機溶媒は、再利用時のエステル化反応工程又はエステル交換反応工程にて水又はアルコール等の副生物と共に留去され廃棄又は回収される。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法においては、こうして回収されたオリゴマー成分を脂肪族ポリエステルの原料として再利用する。再利用するオリゴマー成分中の有機溶媒は、その含量が5重量%以下になるまで濃縮されていることが好ましく、2重量%以下にまで濃縮されていることがより好ましい。再利用に供されるオリゴマー成分中の有機溶媒含量を上記の範囲に制限することにより、廃棄する有機溶媒量を少なくすることができ、その結果、環境汚染を防止することができる。具体的には、水質汚染の指標の1つとなっているCOD(化学的酸素要求量)負荷抑制に有利である。
脂肪族ポリエステルの原料として回収したオリゴマー成分を再利用する場合に、総原料中のオリゴマー成分の量は、オリゴマー成分以外の原料の合計量を100重量部としたとき、5重量部以下であることが好ましく、3重量部以下となることがより好ましい。脂肪族ポリエステルの原料として用いるオリゴマー成分の量が、他の原料の合計量に対して多すぎると、オリゴマー成分を用いずに製造された場合と比較して、得られる脂肪族ポリエステルの分子量が減少したり、生産性が低下したりすることがあるが、本発明においては、そうした問題が起こらない上記の範囲内にオリゴマー成分の使用量を制限するので、分子量の低下や生産性の低下等の問題を抑制でき、品質のよい脂肪族ポリエステルを製造することができる。
以上説明したように、本発明では、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を廃棄することなく脂肪族ポリエステルの原料として有効に再利用するので、品質に影響を与えることなく製造原単位を向上させることができる。また、分離・回収したオリゴマー成分を廃棄せずに再利用するので、環境負荷を低減することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
最初に、脂肪族ポリエステルを製造すると共に、その脂肪族ポリエステルに含まれるオリゴマー成分の回収操作を行った。
脂肪族ポリエステルの原料として、1,4−ブタンジオール118.3kgと、コハク酸133.5kgと、リンゴ酸5.0kgと、タルク0.2kgと、90%の乳酸水溶液に二酸化ゲルマニウムを0.072kg溶解させたもの7.22kgとを、1mの攪拌機付き反応槽に入れた後、220℃まで昇温させ2時間エステル化反応を行った。その後、70分かけて徐々に減圧度を高め、最終的に67Paの圧力に制御し、減圧を開始した後5時間経過したところで留出ラインを閉とすると同時に、窒素を導入して常圧(大気圧)に復圧し、重合を停止させた。引き続き窒素にて0.6MPaまで反応槽内を加圧し、反応槽の底部に取り付けられたダイヘッドから、重合後の脂肪族ポリエステルをストランド状に抜き出しなから冷水にて冷却固化させ、引き続き切断して脂肪族ポリエステルペレットを得た。
なお、上記の重合工程において、減圧を開始した後は徐々に温度を上昇させ、3時間後に235℃に到達した時点で235℃で温度制御した。また、重合の進行とともに液粘度が次第に上昇して撹拌モーターの負荷許容値を超える危険性があるため、撹拌モーターの回転数を60rpm、30rpm、15rpmと段階的に低下させつつ脂肪族ポリエステルの重合を行った。
次に、ペレット化した脂肪族ポリエステル190kgと、有機溶媒であるアセトン237.5kg(浴比1.25)とを、0.8mの洗浄・乾燥機に充填して温度50℃まで昇温させた。昇温後12時間経過した時点で洗浄アセトンを洗浄・乾燥機から抜き出し、アセトン回収タンクに移送した。一方、ポリマーについては、温度80℃まで更に昇温させて真空乾燥させた。このとき、圧力を徐々に低下させ、最終到達真空度を1.33kPaとした。また、ポリマーの最終製品量は186kgであり、IV値は1.81であった。IV値は、ポリマーの固有粘度(極限粘度)を示すものであり、その値が大きいほどポリマーの分子量が大きいことを示す。
なお、回収した洗浄アセトンは、そこに含まれるオリゴマー成分を再利用するためにバッチ蒸留され、その結果、仕込量の80%のアセトンが精製回収された。蒸留塔の底部に残留した濃縮ヘビーエンド成分については、薄膜蒸発機を用いて常圧下、塔底温度160℃にて濃縮後取り出し、オリゴマー成分を得た。得られたオリゴマー成分は、3.6kgであり、オリゴマー成分中のアセトン量は、1.5重量%であった。
(実施例1)
原料として、1,4−ブタンジオール5.92kgと、コハク酸6.68kgと、リンゴ酸0.25kgと、タルク0.01kgと、90%の乳酸水溶液に二酸化ゲルマニウムを0.0072kg溶解させたもの0.36kgと、上記のように回収したオリゴマー成分0.13kg(オリゴマー成分以外の原料100重量部に対して1重量部)とを、0.05mの攪拌機付き反応槽に入れた後、220℃まで昇温させ2時間エステル化反応を行った。
その後、70分かけて徐々に減圧度を高め、最終的に67Paに圧力制御し、減圧開始後5時間経過したところで留出ラインを閉とすると同時に、窒素を導入して常圧に復圧し、重合を停止させた。このとき得られた脂肪族ポリエステルのIV値は1.82であり、オリゴマー成分未添加条件で製造した場合の脂肪族ポリエステルのIV値(1.81)とほぼ同等であった。
(実施例2)
上記のように回収したオリゴマー成分を0.40kg(オリゴマー成分以外の原料100重量部に対して3重量部)添加した以外は、実施例1と同様の原料及び操作にて脂肪族ポリエステルを製造した。このとき得られた脂肪族ポリエステルのIV値は1.80であった。
参考例1
上記のように回収したオリゴマー成分を0.79kg(オリゴマー成分以外の原料100重量部に対して6重量部)添加した以外は、実施例1と同様の原料及び操作にて脂肪族ポリエステルを製造した。このとき得られた脂肪族ポリエステルのIV値は1.72であった。
参考例2
上記のように回収したオリゴマー成分を1.32kg(オリゴマー成分以外の原料100重量部に対して10重量部)添加した以外は、実施例1と同様の原料及び操作にて脂肪族ポリエステルを製造した。このとき得られた脂肪族ポリエステルのIV値は1.51であった。

Claims (4)

  1. 脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体とを少なくとも有する原料を重合して脂肪族ポリエステルを製造する方法において、重合後の脂肪族ポリエステル中に含まれるオリゴマー成分を分離・回収した後、該オリゴマー成分を脂肪族ポリエステルの原料として用い、該脂肪族ポリエステルの原料のうち、前記オリゴマー成分以外の原料の合計量100重量部に対して、前記オリゴマー成分の量が5重量部以下であることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
  2. 脂肪族ポリエステルの原料として用いる前記オリゴマー成分が、重合後の脂肪族ポリエステルと有機溶媒との接触処理により該有機溶媒中に抽出されたものであることを特徴とする請求項に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  3. 抽出に用いた前記有機溶媒を、前記オリゴマー成分中の該有機溶媒含量が5重量%以下となるまで加熱蒸発させて除去することを特徴とする請求項に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  4. 抽出された前記オリゴマー成分を含む前記有機溶媒に、脂肪族ポリエステルに対する貧溶媒を添加した後、抽出に用いた該有機溶媒を加熱蒸発させて除去することを特徴とする請求項2又は3に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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