JP2845576B2 - 簡易保温用加熱器 - Google Patents

簡易保温用加熱器

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JP2845576B2
JP2845576B2 JP14272890A JP14272890A JP2845576B2 JP 2845576 B2 JP2845576 B2 JP 2845576B2 JP 14272890 A JP14272890 A JP 14272890A JP 14272890 A JP14272890 A JP 14272890A JP 2845576 B2 JP2845576 B2 JP 2845576B2
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千里雄 森田
健一 伊藤
宜則 徳永
陽次 伊藤
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NIITAKA KAGAKU KOGYO KK
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、天ぷらなどの食品類等を適温状態で長時間
に亘って簡易的に保温する加熱器の構成及びその改良に
関する。
[従来の技術] この種の簡易的な保温用器具の従来例としては次のよ
うなものを挙げることができる。先ず、(イ)リン酸水
素2ナトリウムの水和物などの蓄熱材をアルミ板材等の
金属材複層構成の間隙内に充填した器具である。この器
具の用法は、器具の全体を5乃至10分間煮沸して利用す
るものである。次に、(ロ)生石灰と水との組合わせな
どの発熱性反応物を予め分離状態で収納し、使用に際し
これらを混合しその発熱に応じて生じる水蒸気が保温熱
源として利用するものである。
[発明が解決しようとする課題] 前記した(イ)の従来例については、煮沸等の蓄熱操
作が煩雑で、しかもその蓄熱のために比較的に長い時間
を要すること。また、その蓄熱温度は経時的に低下傾向
にあり、保温温度、即ち、保温対象物を保温時間内にお
いて一定温度に維持できない欠点があった。
また、前記した(ロ)の従来例については、生じる水
蒸気を間接利用のみならず直接利用する場合にも、それ
に対する密閉構造等の特別な構成を要し構成が複雑とな
り高価となる欠点があり、また、特に水蒸気を直接利用
する場合には対象物に水分が付着してしまうという弊害
がある。
また、保温熱源として、加熱性熱源が利される他の装
置に於いては、保温面上の温度状態を所定時間内に亘り
適温状態に調節するのが困難か、又は例えば電気的で精
巧な調節機能部を備えることが必要である等の欠点があ
り、また加熱性熱源に比してより広い保温面の全体に渡
って均一な適温状態を得るのが困難であった。
そこで、本発明は、上記した従来例に於ける諸欠点を
解消し、簡易的な操作で速やかに保温動作させることが
でき、利用に安全で、また長時間に亘り保温対象物を弊
害なく均一な適応状態で保温し得る簡易保温用加熱器の
提供を目的とした。
[課題を解決するための手段] 上記した目的を達成するため、本発明は、簡易保温用
加熱器につき次のような構成とした。
先ず、本発明の第一の構成特徴は次のとおりである。
即ち、保温皿等を外部への通気部分を有して支持する器
状のコンロと、このコンロの器状内に配設される上面部
が開放され中にアルコールを主成分とする燃料を収容す
る燃料受器及び前記燃料の上方位置にて触媒体をその有
する多数の貫通状の細孔が上下方向にありかつこの細孔
を介して前記燃料受器内に通ずる状態で支持しさらに前
記燃料受器内に通ずる通気孔を有する触媒受皿と、この
触媒受皿上に前記触媒体の側面部を包囲するように配さ
れた筒状壁と、及び前記触媒体の上面に対向して沿って
配された天板とからなることを特徴とする。
上記した本発明の構成特徴に於いて、コンロは、陶磁
器のほか、金属、耐熱性プラスチック等の耐熱材から形
成される。またコンロとしては、その器状内に燃料受器
を支持することができる有底の収納部を備えるもののほ
か、燃料受器を嵌合状態で支持する支持棚部を備えたも
のであってもよい。またコンロにはその器状の上縁から
外方へ延設された延周部が備えられていてもよい。また
さらにこの延周部の上面上に放射状に形成された三つ以
上の突条及び/又は均等な位置に形成された支持突起を
有するものであってもよい。従って、支持され得る保温
皿等はコンロの器状の上縁部上若しくは前記した延周上
に上記した突条又は支持突起を介して載設されることに
なる。なお、保温皿等としては、本来の保温皿のほか、
カップ状の受器、鍋類、焼物用受網、ヤカンなどのもの
が含まれる。また保温皿等を支持する際の外部への通気
部分は、例えばコンロの器状の上縁部を切欠いて、また
は前記した突条若しくは支持突起による間隙によって構
成される。また燃料受器の配設構成は、前記したよう
に、コンロの器状内の底部面上に支持されることによ
り、若しくは前記したように支持棚部上に支持される等
によることができる。またこの場合、燃料受器がコンロ
上の対応部に接点支持されることが好適条件である。
また、アルコールを主成分とする燃料としては、石ケ
ン基材中にアルコールを含有させたもの、ペースト状の
もののほか、アルコール自体をそのまま利用することが
できる。なお、アルコールには、メタノール、エタノー
ルなど触媒燃焼を起生する各種のものが含まれる。ま
た、触媒体としては、アルミナセメント等のアルミナ主
成分とした担体に白金、パラジウム又は白金黒などの触
媒材に有するハニカム状に形成して、また後記するよう
に、クロス状触媒材からなるもの若しくはペレット状触
媒材などを同様に構成して利用することができる。な
お、この触媒体の高さは、必要な温度上昇を図るため
に、10mm以上であることが好適条件である。
また、この本発明の第一の構成での簡易保温用加熱器
に関し、触媒体の細孔の目の大きさは、次の試験1によ
る、第13図の温度特性A1〜A3と第14図の温度特性B1〜B3
との対比から、より急速な温度上昇を図り得る点で2.0m
m角前後であることが好適条件である。
(試験1) 次の条件下に於いて、コンロ上に載設された保温皿面
上の各部の温度特性を細孔の目の大きさ2.0mm角の触媒
体を使用した場合を第13図に、また同1.0mm角の触媒体
を使用した場合を第14図に夫々示した。
保温皿 ;円形平面で20mmφ、平均厚5.0mmの陶
磁器製 触媒体 ;円筒形で34mmφ、高さ15mm 天 板;鉄板製で33mmφ 筒状壁 ;鉄板製で内径56.8mmφ 固定燃料:石ケン基材中にメタノール約90重量%
含有、重量25g コンロ等のその他の構成条件は後記の実施例と同じ。
なお、温度特性A1、B1は保温皿の中央位置、同A2、B2
は保温皿の中央から3cmの位置、同A3、B3は保温皿の中
央から5cmの位置のものである。
また、筒状壁及び天板は夫々金属板材等の耐熱材をも
って形成される。この天板は筒状壁の上縁部等上に載設
される構成であってもよいが、これらを一体的に形成し
たものであってもよい。なお、上記の場合、両者間には
外部へ流通する口部が形成されていることが条件であ
る。
また、天板の大きさについては、次の試験2に於け
る、第15図の温度特性C1及びC2と、第16図の温度特性D1
及びD2との対比から、触媒体の断面径に対し僅かに小さ
い径であること、即ち、触媒体の細孔の目を全て覆うこ
とができる程度であることが急速な温度上昇を図り最高
温度を高めるために好適な条件である。
(試験2) この試験は、コンロ上に載設された保温皿面上の所定
位置での温度特性を測定したものであり、断面径が34mm
φ高さ15mmの触媒体に対し、第15図では、径32mmφの天
板を用いた場合、第16図では径35mmφの天板を用いた場
合であって、温度特性C1、D1は保温皿面の中央位置、ま
た同C2、D2は保温皿面中央から5cmの位置でのものであ
る。なお、その他の条件は前記試験1に同じである。
また、本発明の第二の構成特徴に於いては、特に、天
板が前記コンロ上部に前記触媒体の上面に対向して沿っ
て載設されその際周縁が前記コンロの器状の延周部上乃
至はより外側に位置する大きさである点で前記本発明の
構成特徴とは差異がある。この場合、天板面上には、保
温のため、コンロの上面部位置に於ける保温効果の均一
化に支障がない限り、適宜小孔を設けることができる。
この小孔は好適には、前記触媒体に対面しない面上部の
位置に穿設されていることである。またこの小孔には円
形孔のほか、長形孔、切欠き形状のものが含まれる。ま
た前記した天板上の小孔はコンロの上部での昇温状態に
応じてその位置、大きさ及び数が適宜設定される。また
天板の大きさは、コンロ上に前記したような延周部が形
成されている場合には、この延周部面内に天板の周縁部
が位置する程度であることが好適条件である。また天板
には適宜操作用の突部を設けることができるほか、天板
自体が蝶番等を介して、コンロ上面に対し開閉自在にコ
ンロ上に連接されると共に、その天板の下面上に変形自
在な吊り下げ部材により触媒受皿を水平な状態で支持す
る構成をも採用することができる。また天板の延周部を
備えるコンロ上への載設構成において、天板面と延周部
面との間に一定の間隙を設けることが好適条件である。
なお、この間隙は例えばコンロの延周部面上に放射状に
形成された三つ以上の突条及び/又は均等な位置に形成
された支持突起を設けることによることができる。ま
た、当該第二の構成特徴において触媒受皿上に配される
筒状壁については必須ではないが、必要に応じてその構
成要素として含めることができる。
なお、本発明に係る簡易保温用加熱器に於いては、前
記した保温皿等は必須ではなく、保温対象物に直接適用
することができる。また必要に応じて保温対象物に対
し、例えば紙材からなる蓋を適用することができる。
[作 用] 本発明に於いては次のような作用が生じる。先ず、触
媒燃焼に適した温度条件にない場合にあっては、触媒体
は触媒受皿上に支持された状態で燃料受器内にて着火状
態の燃料の火気によって予熱される。その後に燃料は消
化されその触媒体が所定位置にセットされる。この場
合、燃料受器がその上縁から外方への延設壁を有し、こ
の延設壁面上に触媒受皿の下面部分が接面状態で支持さ
れる構成を採用するときには、触媒受皿のセット操作の
みで前記固形燃料の消化を図ることができる。
次に、特に、昇温状態にある消化後の固形燃料面から
は比較的に多量のアルコール蒸気の発生がみられる。こ
のアルコール蒸気は触媒受皿上の通気孔から流入する空
気と混合状態で触媒体の細孔内に及ぶ。この細孔内では
上記の混合気体が触媒体面に接触することによって触媒
酸化されて発熱する。
この発熱は触媒体上に保持されるが、本発明の前記第
一の構成特徴に於いて、筒状壁は触媒体上の熱が風など
周囲環境によって影響されることを防いで安定した温度
状態を維持するように作用する。このことは次の試験例
3での第17図に示す保温皿面上の温度特性E1〜E3と第18
図に示す温度特性F1〜F3との対比によって確認される。
つまり、筒状壁を有しない場合には保温皿面上の温度特
性が極めて不安定である(第11図参照)。
(試験3) この試験は、コンロ上に載設された保温皿面上の所定
位置に於ける温度特性を次の条件下に測定したものであ
り、筒状壁を有する場合について第17図に、また筒状壁
を有しない場合について第18図に夫々示した。なお、温
度特性E1とF1、同E2とF2及び同E3とF3は保温皿の中央、
その中央から3cm及びその中央から5cmの夫々の位置につ
いての特性である。
また、触媒体上の熱はその周囲に発散されるが、その
熱の発散は触媒体の直上方に於いて極めて大きい。この
とき、天板は上記の発散熱をこの天板面に沿った方向に
分散する作用を発揮する。この作用によってコンロ上の
保温皿面に対する加熱作用を均一化する。このことは、
天板を有しない場合の第19図に示す保温皿上の温度特性
G1及びG2と天板を有する場合の第20図に示す同温度特性
H1及びH2との対比によって確認される。なお、温度特性
G1とH1、同G2とH2は、保温皿面上の中央位置、その中央
から5cmの位置での夫々の特性である。
また、燃料の上部では触媒体からの熱輻射によってア
ルコールの蒸散の促進が図られているが、触媒受皿部分
が前記したように、燃料受器上の延設壁面上に接面する
状態で支持される構成が採用される場合には、触媒体の
熱が触媒受皿を介して燃料受器自体に伝導され、燃料受
器自体が高温状態に維持される結果、収容する燃料から
のアルコールの蒸散をその下部からも実効的に図り得る
作用が発揮される。また、この際、燃料受器がコンロ上
に接点支持される構成が採用される場合には、燃料受器
上からコンロへの散逸を最小限にすることができる。
また、触媒受皿面上の通気孔が筒状壁内の位置に穿設
された構成が採用される場合には、流入空気が触媒体が
側周面と筒状壁内面との間を通過することを強制され
る。従って、前記したアルコール蒸気との混合気体を予
め昇温状態とすることができ、これによってその触媒酸
化の効率化を図り得る。このことは、他の条件を同一に
して、燃料受器内に通ずる通気孔を触媒受皿面上であっ
て筒状壁外の位置に形成した場合の試験4に於いて、そ
の試験の結果である第21図に示す温度特性I1及びI2と前
記試験1での温度特性A1及びA3との夫々の対比によって
確認される。
また、本発明の前記第二の構成特徴に於いては、コン
ロの器状の開放された上面部が天板によって閉止される
状態にある。従って、周囲環境の影響に対処するための
特別な構成要素は必須的ではない。またこの場合には触
媒体の熱はコンロの器状内の広い域内にて発散される。
この発散熱はさらに天板面に沿って分散されて保温対象
物乃至は保温皿に及ぶ。この際、この分散熱は天板面を
介して間接的に保温対象物乃至は保温皿に及ぶ。なお、
天板が銅、アルミニウム等の高い熱伝導性の材料からな
るものである場合には、天板面全体の温度の平均化にと
って好適である。また天板面上に小孔が穿設されている
場合には、この小孔を介して触媒体からの輻射熱及び熱
気流が保温対象物乃至は保温皿に及ぶ。また、穿設され
る場合には、天板の触媒体と対面しない部分にて間接的
に、また天板の周縁部付近に存在する保温対象物等又は
その部分に直接的に上記輻射熱等を及ばしめて、保温温
度の上昇と共に、天板全体の保温状態の均一化をより確
実性をもて図ることができる。
また、触媒体の細孔内を流通した気流は、コンロの円
周部と天板との間に間隙から、また小孔が存在する場合
にはその小孔から外部へ流出される。
また、天板の周縁部がコンロの延周部面内に位置する
構成の場合には、天板の特にその周縁部分からの熱の散
逸をその延周部が防ぎ保温効果を安定化させるように作
用する。
なお、燃料受器上に延設壁を有する構成が採用され、
その延設壁面上に触媒受皿部分が接面状態で支持される
場合の作用、また燃料受器が高温状態で維持される場合
の作用、また燃料受器がコンロ上に接点支持され場合の
作用及び触媒受皿上の通気孔が前記筒状壁内に位置する
場合の作用は、本発明の前記した第一の構成特徴に於け
るものと同様に発揮される。
[実施例] 本発明に係る実施例での簡易保温用加熱器を第1及び
第2図に示す。この簡易保温用加熱器は器状の周胴部2
を備えるコンロ1と、この周胴部2内に支持され中に固
形燃料21を収納する燃料受器14と、この燃料受器14上に
配され触媒体32を支持する触媒受皿22と、この触媒体32
の側周部を包囲する状態で触媒受皿22面上に配された筒
状壁35と、この触媒体32の上面に沿って上方に配された
天板40と、コンロ1上に載設された保温皿45等からな
る。
コンロ1に於いて、その周胴部2の下部は脚部2aとし
て機能するものであり、この脚部2a上には吸気孔3…が
均等位置に夫々切欠いた状態で形成されている。またコ
ンロ1内の中部位置には、第3図にも示すように、中央
位置に挿設穴4が形成されるように支持棚部5が設けら
れている。またこの支持棚部5は切欠き部7…の間隔で
三方に設けられている。また、支持棚部5の各至端縁中
央には夫々凹部6が形成されている。なお、コンロ1内
は支持棚部5によって下空部8と上空部9に区分され
る。また、コンロ1はその周胴部2上縁から外方への円
周部10が一体的に形成されている。この延周部10面上に
は、放射状に突条11…が一定の間隔で形成され、これら
の突条11…の最外端位置には、より上方に突出した支持
突起12を夫々有する。なお、13、13は縁周部10縁から側
方に突設されている係合突部であって対称位置にある。
また、燃料受器14は、第4図にも示すように、上面が
開放された受器部15の上縁から外方へ延設された周縁に
上方への斜壁19を有する延設壁18を一体的に備える。ま
た受器部15の上縁位置には外方への嵌設突部16…が前記
凹部6…に対応して形成されている。この燃料受器14は
その受器部15を挿設穴4内に挿入状となし、各嵌設突部
16…を夫々対応する支持棚部16の内向面上に接点支持さ
せることによってコンロ1上に支持されている。なお、
嵌設突部16上の突起部17は支持棚部16の下方に位置して
受器部15の離脱防止に寄与している。
また、固形燃料21は、石ケン成分を基材としこれにメ
タノールを含有させたものであって、円柱形を呈する。
この固形燃料21については、裸体のまま、若しくは可燃
性の樹脂フィルムで予め包装されたものなどを用いるこ
とができる。
また、触媒受皿22は、前記燃料受器14の延設壁18面内
に載設し得る程度の大きさであって、その周縁部には前
記斜壁19に対応する斜壁29を有する。またこの触媒受皿
22面中央には連通孔24が穿設され、この連通孔24の縁部
に沿ってはその近傍に立設部25が形成されている。この
立設部25の内側は連通孔24の縁部によって挿設凹部26が
構成され、この凹部26内に触媒体32が挿設支持される。
また立設部25の上面には直径2.0mmの通気孔27…が等間
隔で穿設されている。またこの触媒受皿22面上には内向
きに開いた係止爪…が形成されている。また、30、30は
斜壁29上縁から上部に延設された突片部であり、夫々対
称位置に形成されていて、吊り輪31の端部が夫々係合さ
れている。
また、触媒体32はアルミナセメントを担体とする白金
触媒であり、貫通状の多数の細孔33を有するハニカム状
を呈する。前記した挿設凹部26内へは細孔33…を有する
面を上下の向きにして挿設される。
また、筒状壁35は、鉄板製で触媒体32に対しその側周
部から一定間隔を構成する断面径で上下面が開放された
円筒形状を呈している。また筒状壁35の下部縁には係止
周部36が外方へ延設され、この係止周部36の周端部には
前記係止爪28…に対応して切欠き部37…が穿たれ、また
それらの近傍には夫々上方への係止突部38…が形成され
ている。切欠部37…内に夫々対応する係止爪28…に及ば
しめて、筒状壁35をその中心軸回りに回転操作して、係
止爪28を係止突部38上に係止させることによって、筒状
壁35を触媒受皿22面上に固定することができる。
また、天板40は、筒状壁35の上縁部に支持杆部39…を
介して支持された状態で一体的に形成されている。従っ
て、天板40の周縁と筒状壁35の上縁との間には流通口42
が支持杆部39…によって区分された状態で構成される。
また天板40の下面中央には突起41が形成され、前記した
筒状壁35の触媒受皿22上への固定状態に於いて、突起41
が触媒体32上面を押接することによって、触媒体32が触
媒受皿22上に固設状態となる。
なお、43はコンロ1用の吊下げ用取手であり、その両
端は突部13、13上に係合されている。
上記した簡易保温用加熱器に対する操作は次のとおり
である。先ず、触媒受皿22をその面上に備えられている
触媒体32等と一体的に取り外して固形燃料14内に固形燃
料21を挿入する。次いで、触媒体32の触媒燃焼のための
温度条件が満足されないときには、固形燃料21に着火
し、その火気に触媒体32を数秒間晒す。これによって、
触媒体32が条件温度(例えば20℃以上)にまで上昇され
活性化される。なお、温度条件が満足される場合には、
上記した操作を省略することができる。次いで、触媒受
皿22を燃料受器14の延設壁18面上に載設することによっ
て、触媒体32等が所定位置にセットされる。この際、触
媒受皿22による閉止作用によって、固定燃料21の燃焼が
消化される。次いで、保温皿45がコンロ1上の所定位置
に上載される。この場合、その高台46は各突条11…上に
ある(第5図参照。) 以後に於いては、第5図に示すように、固形燃料21か
ら蒸散したアルコール蒸気21aは周囲の空気と混合状態
で細孔33…内に及び、その内面たる触媒体32に接触して
酸化される。この酸化による発熱は触媒体32に高温にす
る。この触媒体32の温度上昇に応じて燃料受器14内に細
孔33…に通じる上昇気流が生じる。これにより、外部空
気48が吸気孔3を介して下空部8内に流入し、さらに切
欠部7…、上空部9、流通口42及び通気孔27…を介して
新鮮な空気を燃料受器14内のアルコール蒸気21aに供給
する。この結果、触媒体3に於ける酸化が安定的に生じ
る。この触媒体32からの輻射熱及び昇温気流は天板40を
介して保温皿45面中央部に作用して温度上昇させるほ
か、流通口42…から直接的に保温皿45の他の周囲部分を
加熱する。この結果、保温皿45全体の温度上昇が図られ
る。なお、コンロ1の上部域に及んだ昇温気流は各突条
11…間の間隙から延周部10面に沿って流動して外部にま
で流出する。この昇温気流によって保温皿45の特に周縁
部分の保温作用が発揮される。また、触媒体32上に生じ
た熱は触媒受皿22から接面状態にある延設壁18を介して
受器部15上に及ぶ。この熱伝導及び触媒体32下面部から
の熱輻射によって固形燃料21に熱が付与される結果、固
形燃料21からのアルコール蒸気21aの蒸散が促進され
る。これによって保温皿45面でのお温度の安定が図られ
ると共に、固形燃料21を効果的に利用することができ
る。
なお、コンロ1上での燃料受器14の接点支持構成は、
この燃料受器14からコンロ1への熱の伝導を最小限に
し、加熱作用を安定させると共に加熱効率を高めるのに
寄与する。
また、本発明の第二の実施例での簡易保温用加熱器を
第6図及び第7図に示す。
この簡易保温用加熱器は、特に周縁がコンロ1の延周
部10面上に及ぶ天板50が適用されるものである。
この天板50はその周縁寄りの面上に複数の小孔51…を
有し、操作突部52及び連継片部54が適宜その周縁部から
突出状に形成されている。またこの天板50は、その連継
片部54上に蝶番63の一片部が固定され、この蝶番63の他
片部がコンロ1の延周部10面上に固定されることによっ
てコンロ1上に開閉自在に連接されている。
また、天板50面上にはさらに二つ一対の支持孔53、53
が夫々対称位置に穿設されており、これらの各対の支持
孔53、53縁上に夫々チェーン62の一端を掛止している。
これらの各チェーン62の他端は夫々触媒受皿55上の突片
部61、61上に掛止されている。このとき、各チェーン62
の長さは、第6図に示すように、天板50が開状態にある
場合に於いて、触媒受皿55を約2〜3cm吊り上げるに十
分なものである。
なお、触媒受皿55は、前記した触媒受皿22と同じく燃
料受器14上であって延設壁18上に載設するに合致した大
きさであり、連通孔57は同24に、立設部58は同25に、通
気孔59は同27に、及び斜壁60は同29に夫々合致してい
る。また立設部58及び連通孔57縁部によって構成される
挿設凹部内には触媒体32が挿設支持されている。
また、他の構成部であるコンロ1、燃料受器14及び固
形燃料21は前記第一の実施例でのものと全く同じであ
る。従って、この簡易保温用加熱器は、第8図に示すよ
うに、下から順に燃料受器14、触媒受皿55、触媒体32及
び天板50の配列が基本構成となっている。
上記した第二の実施例での簡易保温用加熱器は次のよ
うに操作され、その機能が発揮される。
先ず、天板50が突部52を操作することによって蝶番63
を介して上方に開かれると、それに伴って触媒受皿55が
持ち上げられる(第6図参照。)。このとき、触媒受皿
55は各チェーン62の自在性能に応じて水平に維持されて
いて、触媒体32の挿設状態が保持される。次いで、必要
に応じて露出する固形燃料21への着火し、その後、天板
50を操作して触媒受皿55を適宜降下させることによって
触媒体32の下部をその火災に晒すことができる。次い
で、さらに天板50を完全に閉じると、触媒受皿55は燃料
受器14上の所定位置にセットされる。この際、固形燃料
21は消火される。
次いで、第9図に示すように、保温皿65は、コンロ1
上に天板50面を介して載設される。
この保温皿65に対する加熱作用は前記した原理に基づ
く触媒体32に於ける発熱作用による。この場合、触媒体
32からの輻射熱49及び昇温気流はコンロ1の上空部9の
域内に面する天板50面部分全体に渡って連続的に及ん
で、保温皿65の中央部分に対しては天板50面を介して間
接的に、また保温皿65の周縁寄りの部分に対しては小孔
51…を介して直接的に加熱作用を発揮する。また、コン
ロ1の上部に達した気流は延周部10面と天板50面部との
間隙64を介して、及び小孔51…を介して外部に流出す
る。
なお、図中、67は保温皿65面内を広域部68と狭域部59
とに区分する中仕切であり、狭域部69内には定量の天つ
ゆ液70、また広域部68内には天ぷらなどが被加熱対象と
して受容される。また72は保温皿65用の蓋である。
上述した各実施例での簡易保温用加熱器についての場
合を含め、本発明に於いては、第10図及び第12図に示す
ような形態の触媒体をも同様に適用することができる。
触媒体73は第11図に示す断面形状からなるものであり、
クロス状触媒材74及び75を上、下方向に夫々凸状に形成
し、これらの間に同種又は異種のクロス状触媒材76を波
状にして包み込んで、重ね合わせた周縁部を輪状の金属
製枠材77によって固定したものである。この触媒体73で
はクロス状触媒材74、75及び76自体の網目74a、75a等に
よって細孔が構成される。なお、これらの触媒材74、75
及び76はシリカファイバ若しくはアルミナファイバなど
の担体に白金などの担持させ、これを編成したものであ
る。また、触媒体78は、フレーム79上に網状の金属製外
包材80を包被して容器として形成し、この容器内に多数
のペレット状触媒材81…を充填して構成されている。こ
の触媒体78では外包材80の網目80a…及び各触媒材81…
間の間隙によって細孔が構成される。なお、触媒材81
は、前記した触媒体32と同様な材料をペレット状(円柱
状、球状など)に形成したものである。
<試験例I> 上記第一の実施例を使用に供した場合の試験結果を次
に示す。
なお、条件は次のとおり。
触媒体 ;断面径34mmφ、高さ15mm、細孔の目2.0m
m角 天 板;径33mmφ、厚0.6mmの鉄製円板 筒状壁 ;内径56.8mmφ、高さ14mmの鉄板製の円筒
体 固形燃料;石ケン基材にメタノール約90重量%含
有、25g量 保温皿 ;220mmφ、厚平均5.0mmの円形平面で陶磁
器製 保温皿用蓋;図示する形状及び大きさの厚0.1mmの上
質紙製 保温対象物;約10cm大10gの天ぷら その他好適条件による。
この試験例Iの結果を第22図に示した。図中、保温皿
45面上の中央位置及び中央から5cm位置での温度特性をJ
1、J2で示した。
また、このとき保温皿45面上の中央に受容した保温対
象物の温度特性J3で示した。
なお、第23図には、同時に燃料受器14の受器部15底面
上の温度特性Kを示した。
この結果から、本発明による場合、保温皿45面上では
140℃前後の高い温度状態が長時間に亘って維持され、
保温対象物である天ぷらが70℃〜80℃の適温状態に長時
間保たれていることが確認され、また焦げ付きなどの弊
害もなかった。
<試験例II> 前記第二の実施例を使用に供した場合の試験結果を次
に示す。
なお、条件は次のとおり。
コンロ ;周胴部2上部の内径110mm円周部10外縁ま
での径150mmアルミダイカスト製 触媒体 ;断面径32mmφ、高さ15mm、細孔の目1.0mm
角 天 板;径130mmφ、厚1.0mmアルミ製円板 小孔径 ;7mmφ 小孔の位置;天板面中央から30mm位置に8つ、及び同
50mm位置に8つ夫々均等間隔で有する。
固形燃料;石ケン基材にメタノール約90重量%含有、
25g量 保温皿 ;220mmφ、厚平均5.0mmの円形平面で陶磁器
製 保温皿用蓋;図示する形状及び大きさの厚0.1mmの上質
紙製 保温対象物;約10cm大10gの天ぷら2個及び天つゆ液40m
l その他好適条件による。
この試験例IIの結果を第24図及び第25図に示した。第
24図中、保温皿65面上の中央位置、中央から3cm位置及
び中央から5cm位置までの温度特性を夫々L1、L2及びL3
で示した。また、第25図には、同時に、保温皿65の受容
部68の天ぷらにつき、中央位置及び中央から5cm位置の
温度特性をM1及びM2で示し、また天つゆ液の温度特性を
Nで示した。なお、N1、N2は板50の中央位置及びその縁
部での温度特である。
これらの結果から、本発明による場合、保温皿65面上
では、100℃前後の比較的高い温度状態が数時間に亘っ
て維持され、しかも保温皿65面全体に平均化された温度
状態にあることを確認することができる。またこの保温
皿65面上の温度特性はそのまま反映され、その受容する
いずれの対象物も約50℃〜70℃の適温状態に維持される
ことが確認される。またこの際、焦げ付き、保温皿のひ
び割れなどの弊害も生じなかった。また、天板50の面上
にても適法状態が得られることが確認される。
[発明の効果] 本発明では簡易保温用加熱器を上述したように構成し
たので、次のような効果が発揮される。
先ず、連続的な加熱状態で保温効果が発揮されるか
ら、所定時間内に亘って安定した保温状態が維持され
る。
また、触媒体等の発熱機能部に対しより広い面の受容
部からなる保温皿等に対しても平均的な保温状態が維持
される。これによって、比較的に多量の対象物を保温で
きる。
また、主として、天板をもって、場合によっては触媒
体の側面を包囲する特別な筒状壁によって保温状態が調
節されるものであるから、構成が極めて簡単であり、ア
ルコールを主成分とする固形燃料を燃焼源とすることと
相俟って、簡単な構成により経済的利用を図ることがで
きる。
また、保温皿等が陶磁器製であるときには熱の外部へ
の発散が少なく保温性能に優れているが、前記した保温
皿に対する平均化された加熱状態は、加熱状態に偏りが
ある場合のこの保温皿のひび、及びそれに基づく割れ等
の弊害を解消する。
また、燃料は前記のようにアルコールを主成分とする
ものであるから、取り扱い操作が簡単で、またほとんど
消火状態での利用であるから安全である。また加熱に際
し、水蒸気などの媒体を必要としないから、その利用範
囲は広い。
【図面の簡単な説明】
第1図…本発明に係る簡易保温用加熱器の平面図、第2
図…同イ−イ縦断面図、第3図…同部分横断面図、第4
図…同部分分解斜視図、第5図…同説明的な破断面正面
図、第6図…同説明的な破断面正面図、第7図…同破断
面平面図、第8図…同部分分解斜視図、第9図…同縦断
面図、第10図…触媒体の斜視図、第11図…同縦断面図、
第12図…同破断面斜視図、第13図…温度特性図、第14図
…温度特性図、第15図…温度特性図、第16図…温度特性
図、第17図…温度特性図、第18図…温度特性図、第19図
…温度特性図、第20図…温度特性図、第21図…温度特性
図、第22図…温度特性図、第23図…温度特性図、第24図
…温度特性図、第25図…温度特性図。 図面符号の説明 1……コンロ、2……周胴部、10……延周部、11……突
条、12……支持突起、14……燃料受器、21……固形燃
料、22……触媒受皿、24……連通孔、27……通気孔、32
……触媒体、33……細孔、35……筒状壁、40……天板、
42……流通口、45……保温皿、47……蓋、50……天板、
51……小孔、55……触媒受皿、57……連通孔、62……懸
垂チェーン、63……蝶番、65……保温皿、72……蓋、73
……触媒体、78……触媒体。
フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−5211(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47J 36/00 F24C 5/20 F24B 1/20

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保温皿等を外部への通気部分を有して支持
    することができる器状のコンロと、このコンロの器状内
    に配設される上面部が開放され中にアルコールを主成分
    とする燃料を収容する燃料受器及び前記燃料の上方位置
    にて触媒体をその有する多数の貫通状の細孔が上下方向
    にありかつこの細孔を介して前記燃料受器内に通ずる状
    態で支持しさらに前記燃料受器内に通ずる通気孔を有す
    る触媒受皿と、この触媒受皿上に前記触媒体の側面部を
    包囲するように配された筒状壁と、及び前記触媒体の上
    面に対向して沿って配された天板とからなることを特徴
    とする簡易保温用加熱器。
  2. 【請求項2】前記コンロが、その器状の上縁から外方へ
    延設された延周部と、この延周部の上面上に放射状に形
    成された三つ以上の突条及び/又は均等な位置に形成さ
    れた支持突起を有することを特徴とする請求項1の簡易
    保温用加熱器。
  3. 【請求項3】前記燃料受器が前記コンロ上に接点支持さ
    れることによって配設されてなることを特徴とする請求
    項1又は2の簡易保温用加熱器。
  4. 【請求項4】前記燃料受器がその上縁から外方への延設
    壁を有し、この延設壁面上に前記触媒受皿の下面部分が
    接面する状態で支持されていることを特徴とする請求項
    1、2又は3の簡易保温用加熱器。
  5. 【請求項5】前記天板が前記筒状壁の内径より小さい径
    の大きさであって、前記筒状壁の上縁部上に通気部分を
    有して支持されてなることを特徴とする請求項1、2、
    3又は4の簡易保温用加熱器。
  6. 【請求項6】前記触媒受皿上の通気孔が、前記筒状壁内
    の位置に穿設されていることを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5の簡易保温用加熱器。
  7. 【請求項7】保温皿等を通気部分を有して支持すること
    ができる器状のコンロと、この器状内に配設される上面
    部が開放され中にアルコールを主成分とする燃料を収容
    する燃料受器及び前記燃料の上方位置にて触媒体をその
    有する多数の貫通状の細孔が上下方向にありこの細孔を
    介して前記燃料受器内に通ずる状態で支持しさらに前記
    燃料受器内に通ずる通気孔を有する触媒受皿と、及び前
    記コンロ上部に前記触媒体の上面に対向して沿って通気
    部分を有し載設されその際周縁が前記コンロの器状の周
    縁部上乃至はより外側に位置する大きさの天板とからな
    ることを特徴とする簡易保温用加熱器。
  8. 【請求項8】前記天板面上に、小孔が穿設されてなるこ
    とを特徴とする請求項7の簡易保温用加熱器。
  9. 【請求項9】前記小孔が前記触媒体に対面しない面上部
    分の位置に穿設されてなることを特徴とする請求項8の
    簡易保温用加熱器。
  10. 【請求項10】前記コンロが、その器状の上縁から外方
    へ延設された延周部と、この延周部の上面上に放射状に
    形成された三つ以上の突条及び/又は均等な位置に形成
    された支持突起を有することを特徴とする請求項7、8
    又は9の簡易保温用加熱器。
  11. 【請求項11】前記天板の周縁が、前記コンロの延周部
    面内にあることを特徴とする請求項10の簡易保温用加熱
    器。
  12. 【請求項12】前記触媒受皿上に前記触媒体の側面部を
    包囲するように配された筒状壁を有することを特徴とす
    る請求項7、8、9、10又は11の簡易保温用加熱器。
  13. 【請求項13】前記燃料受器が前記コンロ上に接点支持
    されることによって配設されてなることを特徴とする請
    求項7、8、9、10、11又は12の簡易保温用加熱器。
  14. 【請求項14】前記燃料受器がその上縁から外方への延
    設壁を有し、この延設壁面上に前記触媒受皿の下面部分
    が接面する状態で支持されていることを特徴とする請求
    項7、8、9、10、11、12又は13の簡易保温用加熱器。
  15. 【請求項15】前記天板が前記コンロ上に開閉自在に連
    接されると共に、この天板の開時に前記燃料受器に対し
    所定距離の上方位置にまで前記触媒受皿を水平な状態で
    離間させることができるようにこの天板の下面上に前記
    触媒受皿が変形自在な吊り部材と連接されていることを
    特徴とする請求項7、8、9、10、11、12、13又は14の
    簡易保温用加熱器。
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