JPS6327632Y2

JPS6327632Y2 -

Info

Publication number: JPS6327632Y2
Application number: JP1985155343U
Authority: JP
Priority date: 1985-10-10
Filing date: 1985-10-10
Publication date: 1988-07-26
Also published as: JPS6189330U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）この考案は調理用容器に関し、一層詳細には、
容器を二重構造に形成し、この二重構造部内にエ
チレングリコールのような粘調性を有し、高沸
点、低融点であり、かつ比熱の小さな液体を熱媒
体として充填するとともに、熱媒体と内鍋の外壁
面との接触面積を大きくし、鍋、釜、煮沸器等と
して用いて好適な調理用容器に関する。

（背景技術）現在用いられている調理用容器は、その底面を
直接に電熱ヒータあるいは各種バーナー等で加熱
するものである。このため、バーナー等の熱は容
器の外周面に沿つて上方へ逃げてしまい、熱効率
に劣る。また容器の内部の温度分布は均一でな
く、特に煮物用の鍋にあつては、煮物が均質にな
されないという欠点がある。

また、天ぷら鍋にあつては、材料投入時に油温
が低下しないようにするために、材料投入量を少
しづつにしたり、あるいは内容積の大きな天ぷら
鍋を用いて多量の油を注入して熱容量を大きくし
て使用している。しかるに一度使用された油は油
温の上昇・低下が繰り返されるため酸化してしま
い、何回も繰り返して使用することができず、熱
容量を大きくするために用いられた油は無駄に廃
棄されてしまうという欠点がある。

さらに、最近は熱源として爆発の危険のない電
熱を使用する家庭も多くなつてきているが、電熱
は他の燃料と比較して高価なものであり、電熱を
効率よく使用することができる調理用容器の開発
が望まれている。

さらにまた、鍋を二重構造とし、その二重構造
内に熱媒体を充填し、バーナー等で過熱する保温
効果の優れているものも出現しているが、鍋内の
もの（例えば天ぷら油など）と熱媒体との熱の授
受（熱媒体から鍋内のものへの熱の伝達）がスム
ーズに行えていないなどの不具合がある。

そこで、この考案は上記事情に鑑みなされるも
のであり、熱伝導性に優れた調理用容器を提供す
ることを目的とする。

（問題点を解決するための手段）この考案に係る調理用容器は上記問題点を一掃
するものであり、次の構成を備えてなる。

容器の底部および外側の壁部により密閉部を形
成し、この密閉部内に、エチレングリコールのよ
うな、粘調性を有し、高沸点、低融点であり、か
つ比熱の小さな液体を熱媒体として充填するとと
もに、電熱ヒータを前記密閉部内で密閉部底部側
に位置するように配置し、密閉部内上面には、少
なくともその傾斜壁に容器中心部から放射状に、
かつ突出端面が密閉部内底面に接触しないように
フインを複数枚突設したことを特徴としている。

（実施例）以下この考案の好適な実施例を、調理用容器を
天ぷら鍋として用いた場合について、添付図面に
基づき詳細に説明する。

１は天ぷら用の鍋であり、内鍋１ａとこの内鍋
１ａの外表面を覆う外鍋１ｂとを、外鍋１ｂの上
端縁を内鍋１ａの上端縁近傍の外周面に全周に亘
つて溶着し、収容部２と密閉部３とから成る二重
構造に形成される。

４は熱源としての電熱ヒータであり、前記密閉
部３内であつて鍋１の底部に配設される。

７はフインであり、内鍋１ａの外壁、すなわち
密閉部３の内上面に容器中心から放射状に設けら
れている。フイン７は密閉部３内上面全面に亘つ
て設けてもよいが、第２図のように、内上面の傾
斜部のみに設けてもよい。また、フイン７は外鍋
１ｂには接触しないように突設している。

５は前記収納部２内に注入される天ぷら油であ
り、６は密閉部３内に充填される熱媒体である。
この熱媒体６としてトリエチレングリコールが好
適に用いられ、トリエチレングリコールは沸点が
287.4℃、凝固点が−7.2℃、比熱が0.53という物
理的性質を有し、無色無臭の甘味のあるやや粘調
な不揮発性の液体である。なお、煮物用あるいは
煮沸用の調理用容器にあつてはこの熱媒体として
エチレングリコールを用いてもよく、エチレング
リコールは沸点が197.6℃、凝固点が−13.0℃、
比熱が0.56という物理的性質を有する液体であ
る。

上述した鍋１は、内鍋１ａと外鍋１ｂから成る
密閉型でもよく、さらに第３図に示すように開放
型でもよい。

開放型の鍋１は、第３図の内鍋１ａと外鍋１ｂ
との溶着部の拡大図で示すように、図において８
はチヤンバーであり、前記溶着部を貫通するパイ
プ９を介して密閉部３に連通し、加熱されて膨張
した熱媒体６が流入する。

１１は天ぷら油５の温度を制御する調温器であ
り、密閉部３内の適宜位置に設けられた温度セン
サ１２によつて熱媒体６の温度を検出し、電熱ヒ
ータ４をON、OFF制御して油温を所定の温度と
する。

この考案は以上のように構成したので、電熱ヒ
ータ４に通電すると、熱媒体６が加熱され、フイ
ン７に沿つて円滑に対流しつつ内鍋１ａおよびフ
イン７を介して熱は収容部２内の天ぷら油５にス
ムーズに伝わる。

そして、天ぷら用の材料を天ぷら油５内に投入
すれば、油温は一時的に低下するが、熱媒体６に
蓄えられた熱がフイン７を介して内鍋１ａの全面
から供給されるため、油温の低下は短時間であつ
て、しかも低下する温度も極めて僅かなものとな
る。

なお、上述の実施例においては調理用容器を天
ぷら鍋として用いたが、煮物用鍋、釜、煮沸器等
として用いられても、熱媒体の対流により収容部
全面から加熱されるので、加熱処理は短時間にか
つ効率よく行われ、収容部内は均一な温度とな
る。

また、熱媒体としてトリエチレングリコール、
エチレングリコールを用いたが、これらのものと
物理的性質が同等の液体であれば他の液体を使用
してもその作用効果は同じである。

（考案の効果）以上のように本考案に係る調理用容器によれば
次のような顕著な作用効果を奏する。

まず、用いる熱媒体が比熱の小さな液体であ
るので温度の立ち上がりが早い。

用いる熱媒体は粘調性のある液体なので、熱
媒体の対流が起りにくく、特に下層への伝熱が
起りにくく、容器底面から大気中への放熱が少
ないのでこの点で熱効率に優れる。熱媒体の対
流はほとんど熱媒体の上層で起り、その際に少
なくとも密閉部内上面の傾斜壁に放射状に突設
されているフインによつて熱媒体の流れが整流
され、フインが粘調性のある熱媒体の対流を助
長する結果、密閉部内上面が効率よく加熱され
る。またフインが設けられていることによつて
密閉部内上面の伝熱面積が大きくなつているか
らこの点からも熱効率に優れ、またフイン突出
端面が密閉部内底面に接触しないように設定さ
れているので、フインから熱媒体外層および密
閉部内底面へ伝熱することがなく、前述のよう
に容器底面からの大気中への放熱を抑制してい
る。

以上本考案につき好適な実施例を挙げて種々説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではなく、考案の精神を逸脱しない範囲内で多く
の改変を施し得るのはもちろんのことである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の好適な実施例を示し、第１図は天
ぷら鍋の縦断面図、第２図は密閉部３内拡大断面
図、第３図は内鍋１ａと外鍋１ｂとの溶着部拡大
断面図である。１……鍋、１ａ……内鍋、１ｂ……外鍋、２…
…収容部、３……密閉部、４……電熱ヒータ、５
……天ぷら油、６……熱媒体、７……フイン、８
……チヤンバー、９……パイプ、１１……調温
器、１２……温度センサ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

容器の底部および外側の壁部により密閉部を形
成し、この密閉部内に、エチレングリコールのよ
うな、粘調性を有し、高沸点、低融点であり、か
つ比熱の小さな液体を熱媒体として充填するとと
もに、電熱ヒータを前記密閉部内で密閉部底部側
に位置するよう配置し、密閉部内上面には、少な
くともその傾斜壁に容器中心部から放射状に、か
つ突出端面が密閉部内底面に接触しないようにフ
インを複数枚突設したことを特徴とする調理容
器。