JP2845101B2 - 車両用路面摩擦抵抗推定装置 - Google Patents

車両用路面摩擦抵抗推定装置

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JP2845101B2 JP23665593A JP23665593A JP2845101B2 JP 2845101 B2 JP2845101 B2 JP 2845101B2 JP 23665593 A JP23665593 A JP 23665593A JP 23665593 A JP23665593 A JP 23665593A JP 2845101 B2 JP2845101 B2 JP 2845101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、路面の状態から路面の
摩擦抵抗を推定する、車両用路面摩擦抵抗推定装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の前輪の操舵角や車速等に
応じて、後輪を操舵するような4輪操舵機構が開発され
ているが、このような4輪操舵機構には、路面の状態を
検出してその路面摩擦抵抗係数(路面摩擦抵抗)を推定
するような装置がそなえられている場合がある。
【0003】この路面摩擦抵抗推定装置について、図1
4〜図19を用いて説明する。図14は上述のような4
輪操舵機構の全体構成を模式的に示す図であって、図1
4において、25,26は操舵輪としての前輪、15,
16は後輪、105はステアリングハンドル(以下、ハ
ンドルという)である。前輪25,26を連結するよう
に配設された前輪操舵用タイロッド106Aには、ラッ
ク&ピニオン等の図示しない機械式駆動機構の他に、パ
ワーステアリング用の油圧シリンダ106が付設されて
いる。この油圧シリンダ106には、ハンドル105の
操舵状態に応じて油圧を給排する進相バルブ113が設
けられている。
【0004】また、後輪15,16を連結するように配
設された後輪操舵用タイロッド107Aには、後輪操舵
用の油圧シリンダ107が付設され、この油圧シリンダ
107にも、後輪操舵用バルブ108が設けられてい
る。これらの進相バルブ113及び後輪操舵用バルブ1
08は、コントローラ18によりハンドル角θH ,車速
V,パワーステアリングの作動油圧力(以下、パワステ
圧と略す)P,後輪操舵角(以下、操舵角を舵角と略
す)及びオルタネータ115AのL端子出力115等に
基づいて制御されるようになっている。
【0005】このため、コントローラ18には、ハンド
ル角センサ20,車速センサ(車速検出手段)19,2
つのパワステ圧センサ112,後輪操舵角センサ114
及びオルタネータ115AのL端子出力115等が接続
され、これらの各検出情報がコントローラ18に入力さ
れるようになっている。このコントローラ18の前後輪
の操舵にかかる概略構成を説明すると、図15に示すよ
うに、デジタル信号として入力されたハンドル角センサ
20,車輪速センサ19,オルタネータのL端子出力1
15からの各情報に基づいて後輪操舵モードの判定を行
なう一方で、アナログ信号として入力されたパワステ圧
センサ112からの各情報及びハンドル角センサ20,
車速センサ19からの各情報に基づいて路面摩擦抵抗推
定部18Dにおいて、路面の状態(路面摩擦抵抗係数
μ)が推定される。
【0006】そして、これらの判定された後輪操舵モー
ドと推定された路面摩擦抵抗μの値と上述のハンドル角
センサ20,車速センサ19及び後輪操舵角センサ11
4からの各情報とに基づいて各制御の制御量が設定さ
れ、これらがデジタル・アナログ変換されて、前輪の進
相バルブ113及び後輪操舵用バルブ108へ出力され
るようになっている。
【0007】ところで、操舵時に車両の操舵輪25,2
6に作用する力を模式的に示すと図17のようになる。
図17に示すように、車両の操舵時は、通常はタイヤの
向き(前輪舵角δf )とタイヤの進行方向(車両の進行
方向)との間にすべり角βf が発生する。又、この時タ
イヤには、タイヤの進行方向と直交する方向にコーナリ
ングフォースCFが発生する。
【0008】このコーナリングフォースCFは、タイヤ
の接地面に対する摩擦力であり、図16に示すように、
その大きさは路面とタイヤとの間の摩擦係数μに依存し
ている。また、単位横すべり角βf 当りに発生するコー
ナリングフォースの値(図16のグラフの傾きに相当)
は路面摩擦抵抗μの値によって変化する。
【0009】そこで、上述の路面摩擦抵抗推定部18D
では、この横すべり角βf とコーナリングフォースCF
とを、それぞれステアリングの操舵角θH とパワーステ
アリング装置30の作動油圧Pから算出し、図16に示
すマップから路面摩擦抵抗μを推定するのである。パワ
ステ圧Pは、路面摩擦抵抗μとすべり角βf に比例する
ので、 P=K1 ・βf ・ μ(K1 は定数) と表すことができる。
【0010】また、すべり角βf は、 βf =K3 ・V2 ・θH /(μ+K2 ・V2 ) と表すことができる。なお、K2 , K3 は定数である。
そして、上述の2つの式より、 P/θH =μ・K1 ・K3 ・V2 /(μ+K2 ・V2 ) となる。
【0011】したがって、パワステ圧Pとハンドル角θ
H と車速Vとを検出することにより、路面の摩擦抵抗μ
を推定することができる。ところで、車両の走行状態が
定常的な旋回状態では、上記の方法で路面の摩擦抵抗μ
を推定することができるが、過渡状態においては推定が
困難になる場合がある。
【0012】つまり、操舵中においては、進相バルブ1
13のバルブ特性やタイヤ慣性の影響等によって、図1
8(a)に示すようなハンドル操作を行なった場合に、
図18(b)に示すように、パワステ圧Pに位相進みや
位相遅れなどが生じ、このような場合には、上記の式を
適用することができなくなる。そこで、この装置では、
図19に示すような処理を行なうことにより、路面の摩
擦抵抗μを安定して出力する。
【0013】まず、パワステ圧Pを、図19に示すよう
に数HZ フィルタによりノイズを除去する。この後、2
次フィルタを用いて操舵時の位相の進みを取り除く。そ
して、この処理を行なった値より、P/θH が算出され
る。また、このコントローラ18には、パワーステアリ
ング装置のバルブ113の特性や位相遅れ分の影響を取
り除くため条件判定部18Eが設けられており、P/θ
H が算出された後、この条件判定部18Eにより、次の
条件を満たしている場合にのみ路面摩擦抵抗μが推定さ
れる。
【0014】つまり、|θH |>10°,ハンドル10
5が切込時,P/θH >0のときに、路面摩擦抵抗μが
推定されるのである。そして、上述のP/θH と路面摩
擦抵抗μとの関係式をマップ化した路面摩擦抵抗推定部
18Dにおいて、P/θH 及び車速Vをパラメータとし
て路面摩擦抵抗μが推定される。
【0015】最後に、この出力値の急激な変化を避け
て、出力値を安定化させるための出力値安定化手段18
Hが設けられており、出力された路面摩擦抵抗μの値の
1秒あたりの変化が微小な範囲内になるようにリミッタ
を作動させ、さらに、数HZ フィルタを通して、より安
定化されて出力される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の路面摩擦抵抗推定装置には、パワステ圧力を
検出するための高圧力のパワステセンサ112が2つ必
要となるため、コスト増加を招いてしまう。また、上述
したような路面摩擦抵抗推定装置では、パワステ圧力か
ら路面摩擦抵抗を推定するため、パワステ圧が殆ど発生
しない直進状態では、路面摩擦抵抗を推定することがで
きないという課題がある。
【0017】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、大幅なコスト増を招くことなく、直進走行時
にも路面摩擦抵抗μを推定することができるようにし
た、車両用路面摩擦抵抗推定装置を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用路面摩擦抵抗推定装置は、車両の左駆
動輪と右駆動輪との間における差動状態を制限する差動
制限機構と、該左駆動輪及び該右駆動輪の回転速度を検
出する左輪側回転速度検出手段及び右輪側回転速度検出
手段と、該車両のハンドル角を検出するハンドル角検出
手段とをそなえるとともに、該車両の車体速を検出する
車体速検出手段と、該車体速検出手段により算出された
車体速と該ハンドル角検出手段からの検出情報とに基づ
いて該左右駆動輪の基準回転速度差を算出する基準回転
速度差演算手段とが設けられ、該差動制限機構の作動状
態と、該車両の車体速と、該左右駆動輪の回転速度差と
該左右駆動輪の基準回転速度差と、の差とから該車両の
走行している路面の摩擦抵抗を推定する路面摩擦抵抗推
定手段が設けられていることを特徴としている。
【0019】また、請求項2記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置は、四輪駆動車の前後の駆動輪のう
ち、いずれか一方の駆動輪を構成する左駆動輪と右駆動
輪との間における差動状態を制限する差動制限機構と、
該車両の差動制限機構がそなえられた側の左駆動輪及び
右駆動輪の回転速度を検出する左輪側回転速度検出手段
及び右輪側回転速度検出手段と、該車両の差動制限機構
のそなえられていない側の左駆動輪及び右駆動輪の回転
速度を検出する左輪側回転速度検出手段及び右輪側回転
速度検出手段と、該差動制限機構がそなえられている側
の左輪側回転速度検出手段と該右輪側回転速度検出手段
とからの検出情報と、該差動制限機構のそなえられてい
ない側の左輪側回転速度検出手段と該右輪側回転速度検
出手段とからの検出情報と、該差動制限機構の作動状態
と、に基づいて該車両の駆動輪のスリップ率差の変化量
を演算する演算手段が設けられ、該スリップ率差の変化
量の一定周期毎の平均値と、該スリップ率差の変化量の
一定周期毎の最大値と最小値との差と、から該車両の走
行している路面の摩擦抵抗を推定するように構成されて
いることを特徴としている。
【0020】また、請求項3記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置は、上述の請求項1又は2記載の構成
に加えて、該差動制限機構が、該車両における左輪駆動
軸と右輪駆動軸との間で、駆動力を授受することで該左
右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達制御機構をそな
え、該駆動力伝達制御機構が、該左右の各駆動軸のうち
の一方の駆動軸側に連結されてこの一方の駆動軸側の回
転速度を一定の変速比で変速して出力しうる変速機構
と、該左右の各駆動軸のうちの他方の駆動軸側と上記変
速機構の出力部側との間に介装されて、係合時に上記の
左右の各駆動軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量
可変制御式トルク伝達機構とから構成されていることを
特徴としている。
【0021】また、請求項4記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置は、上述の請求項1又は2記載の構成
に加えて、該差動制限機構が、該車両における左輪駆動
軸と右輪駆動軸との間に、エンジンからの駆動力を入力
される入力部と、上記の左右の駆動軸間の差動を許容し
つつ該入力部から入力された駆動力を上記の左右の各駆
動軸に伝達する差動機構と、該駆動力の伝達状態を制御
して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
達制御機構とをそなえ、該駆動力伝達制御機構が、該駆
動軸側に連結されてこの駆動軸側の回転速度を一定の変
速比で変速して出力しうる変速機構と、該変速機構の出
力部分側と上記の入力部側との間に介装されて、係合時
に上記駆動軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を
行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから構
成されていることを特徴としている。
【0022】また、請求項5記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置は、上述の請求項1又は2記載の構成
に加えて、該差動制限機構が、該車両における左輪駆動
軸と右輪駆動軸との間に、エンジンからの駆動力を入力
される入力部と、上記の左右の駆動軸間の差動を許容し
つつ該入力部から入力された駆動力を上記の左右の各駆
動軸に伝達する差動機構と、駆動力の伝達状態を制御し
て上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達
制御機構とをそなえ、該駆動力伝達制御機構が、該入力
部側に連結されてこの入力部側の回転速度を一定の変速
比で変速して出力しうる変速機構と、該変速機構の出力
部分側と該駆動軸側との間に介装されて、係合時に上記
駆動軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行ない
うる伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから構成され
ていることを特徴としている。
【0023】さらに、請求項6記載の本発明の車両用路
面摩擦抵抗推定装置は、上述の請求項1〜5のいずれか
に記載の構成に加えて、該車両が、所定の運転状態の場
合にのみ該路面の摩擦抵抗の推定を更新するように構成
されていることを特徴としている。
【0024】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の車両用路面摩擦
抵抗推定装置では、左輪側回転速度検出手段及び右輪側
回転速度検出手段から左右駆動輪の回転速度が検出され
る。そして、これらの情報に基づいて左右の駆動輪間の
車輪速差が算出されるとともに、車体速検出手段では車
体速が推定される。
【0025】また、ハンドル角検出手段により車両の操
舵角が検出され、このハンドル角情報と上述の車体速と
から左右輪の基準回転速度差が算出される。そして、こ
の基準回転速度差と左右駆動輪間の車輪速差と差動制限
機構の差動状態とから路面摩擦抵抗が推定される。ま
た、上述の請求項2記載の本発明の車両用路面摩擦抵抗
推定装置では、差動制限機構がそなえられた側の左輪側
回転速度検出手段及び右輪側回転速度検出手段から、左
右駆動輪の回転速度がそれぞれ検出されるるとともに、
差動制限機構がそなえられていない側の左輪側回転速度
検出手段及び右輪側回転速度検出手段から左右輪の回転
速度が検出される。
【0026】また、演算手段では、これらの情報と差動
制限機構の作動状態とに基づいて、左右の駆動輪間のス
リップ率差の変化量が算出される。さらに、この駆動輪
間のスリップ率差の変化量の一定周期毎の平均値と、最
大値と最小値との差が算出される。そして、これらのス
リップ率差の変化量の一定周期毎の平均値と、スリップ
率差の変化量の一定周期毎最大値と最小値との差との関
係から路面摩擦抵抗が推定される。
【0027】また、上述の請求項3記載の本発明の車両
用路面摩擦抵抗推定装置では、駆動力伝達制御機構によ
り、車両の左輪回転軸側と右輪回転軸側との間で駆動力
の授受が行なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの
一方の回転軸側の回転速度が変速機構により変速され、
この変速機構の出力部側と左右の各回転軸のうちの他方
の回転軸側との間に速度差が生じ、伝達容量可変制御式
トルク伝達機構を係合させることで上記の左右の各回転
軸間で駆動力の授受が行なわれる。即ち、伝達容量可変
制御式トルク伝達機構を係合させると、左右の各回転軸
のうちの他方の回転軸側と変速機構の出力部側とのうち
の高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回
転軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して
低速側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、左
右駆動輪の駆動力が任意の割合で積極的に配分され、こ
れにより直進時であっても路面摩擦抵抗μを推定するこ
とができる。
【0028】また、上述の請求項4記載の本発明の車両
用路面摩擦抵抗推定装置では、入力軸の駆動力が差動機
構を介して左輪駆動軸及び右輪駆動軸のそれぞれに伝達
されるが、このとき上記の左右の各駆動軸に出力される
駆動力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整され
る。つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構によ
り、駆動軸側の部材が一定の変速比で変速され、この変
速機構の出力部側と上記入力部側との間に速度差が生じ
て、伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させるこ
とで上記駆動軸側と上記入力部側との間でで駆動力の伝
達が行なわれる。即ち、伝達容量可変制御式トルク伝達
機構を係合させると、変速機構の出力部側と入力部側と
のうちの高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速
側の駆動軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対
応して低速側の駆動軸では駆動力が増加する。これによ
り、左右の駆動力配分が調整される。
【0029】また、上述の請求項5記載の本発明の車両
用路面摩擦抵抗推定装置では、入力軸の駆動力が差動機
構を介して左輪駆動軸及び右輪駆動軸のそれぞれに伝達
されるが、このとき上記の左右の各駆動軸に出力される
駆動力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整され
る。つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構によ
り、入力部側の部材が一定の変速比で変速され、この変
速機構の出力部側と上記駆動軸側との間に速度差が生じ
て、伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させるこ
とで上記駆動軸側と上記入力部側との間でで駆動力の伝
達が行なわれる。即ち、伝達容量可変制御式トルク伝達
機構を係合させると、変速機構の出力部側と駆動軸側と
のうちの高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速
側の駆動軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対
応して低速側の駆動軸では駆動力が増加する。これによ
り、左右の駆動力配分が調整される。
【0030】さらに、上述の請求項6記載の本発明の車
両用路面摩擦抵抗推定装置では、車両の運転状態が所定
の場合に路面摩擦抵抗の推定が更新される。
【0031】
【実施例】以下、図面により、本発明の第1実施例とし
ての車両用路面摩擦抵抗推定装置について説明すると、
図1はその制御系の機能構成を示す模式的なブロック
図、図2は本装置をそなえた車両の駆動系を示す模式的
な構成図、図3は図2に示す駆動力配分装置を具体的に
説明するための模式図、図4はその駆動力配分装置の他
の例を示す模式的な構成図、図5はその制御系の一部を
示す制御ブロック図、図6はその原理を説明するための
グラフでありタイヤスリップ率と左右駆動輪間のトルク
移動量との関係を示すグラフ、図7はその作用を説明す
るためのフローチャート、図8は本装置とともに車両に
そなえられた差動制御装置の一例を示す模式的な断面
図、図9(a),(b)はともに図8におけるA−A矢
視断面図である。
【0032】まず、第1実施例について説明すると、こ
の車両用路面摩擦抵抗推定装置を説明する前に、この装
置をそなえた自動車の駆動系について説明する。この自
動車は、図2に示すように、エンジン1からの駆動力を
トランスミッション2を介して遊星歯車で構成されたセ
ンタデフ3で受けて、センタデフ3から、前輪側と後輪
側とに伝達するような4輪駆動車である。
【0033】特に、このセンタデフ3には、前後輪の差
動を適当に制限しうるセンタデフ差動制限機構5が設け
られている。この差動制限機構5は、ここでは油圧式の
多板クラッチにより構成され、供給油圧に応じて前後輪
の差動を制限しながら、前後輪への駆動力配分を制御で
きるようになっており、前後輪間の駆動力配分を制御す
る装置となっている。
【0034】このようにして、センタデフ3から配分さ
れた駆動力の一方は、フロントデフ4を通じて左右の前
輪25,26に伝達されるようになっている。一方、セ
ンタデフ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシ
ャフト6を介してリヤデフ8に伝達され、このリヤデフ
8を通じて左右の後輪15,16に伝達されるようにな
っている。なお、符号7はドライブピニオン及びリング
ギアからなるベベルギア機構である。
【0035】リヤデフ8部分には、変速機構10と伝達
容量可変制御式トルク伝達機構としての多板クラッチ機
構12とからなる駆動力伝達制御機構9A(以下、駆動
力伝達制御機構を広義に示す場合は符号9とする)が設
けられ、リヤデフ(差動機構)8及び駆動力伝達制御機
構9Aから左右駆動力調整装置70が構成される。な
お、この差動機構8として、ここではベベルギア式のも
のが用いられているが、差動機構8は、2つの駆動軸間
の差動を許容しつつエンジンから入力された駆動力をこ
れらの各駆動軸に伝達できるものであれば良く、例えば
遊星歯車式のものなど歯車機構あるいはローラ機構等か
らなる他の公知の差動機構を適用することができるのは
勿論のことである。また、この多板クラッチ機構12は
油圧式のもので、油圧を調整されることで左右輪への駆
動力配分を制御できるようになっている。
【0036】そして、この駆動力伝達制御機構9Aの多
板クラッチ機構12の油圧系は、前述の前後駆動力調整
装置の多板クラッチ機構5の油圧系とともに、コントロ
ールユニット18によって制御されるようになってい
る。つまり、多板クラッチ機構12の油圧系及び多板ク
ラッチ機構5の油圧系は、各クラッチ機構にそれぞれ付
設された図示しない油圧室と、油圧源を構成する電動ポ
ンプ24及びアキュムレータ23と、この油圧を上記の
油圧室に所要量だけ供給させるクラッチ油圧制御バルブ
17とからなっている。そして、クラッチ油圧制御バル
ブ17の開度をコントロールユニット18によって制御
されるようになっている。
【0037】なお、コントロールユニット18では、車
輪速センサ19FL,19FR,19RL,19RR,
ハンドル角センサ20,ヨーレイトセンサ21,加速度
センサ(又は加速度演算手段)22などからの情報に基
づいて、クラッチ油圧制御バルブ17の開度を制御す
る。ここで、この左右駆動力調整装置70の要部を説明
すると、図3に示すように、プロペラシャフト6の後端
に設けられて回転駆動力(以下、駆動力又はトルクとい
う)を入力される入力軸6Aと、入力軸6Aから入力さ
れた駆動力を出力する左輪回転軸(左後輪15の駆動
軸)13と右輪回転軸(右後輪16の駆動軸)14とが
設けられており、左輪回転軸13と右輪回転軸14と入
力軸6Aとの間に左右駆動力調整装置70が介装されて
いる。
【0038】そして、この左右駆動力調整装置70の駆
動力伝達制御機構9Aは、次のような構成により、左輪
回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しながら、
左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆動力
を所要の比率に配分できるようになっている。すなわ
ち、左輪回転軸13と入力軸6Aとの間及び右輪回転軸
14と入力軸6Aとの間に、それぞれ変速機構10と多
板クラッチ機構12とが介装されており、左輪回転軸1
3又は右輪回転軸14の回転速度が、変速機構10によ
り変速(この例では、増速)されて駆動力伝達補助部材
としての中空軸11に伝えられる。
【0039】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデファレンシャルケース(以
下、デフケースと略す)8Aとの間に介装されており、
この多板クラッチ機構12を係合させることで、デフケ
ース8A及び中空軸11のうちの高速回転している方の
部材から低速回転している方の部材へと、駆動力が送給
されるようになっている。これは、対向して配設された
クラッチ板における一般的な特性として、トルクの伝達
が、速度の速い方から遅い方へ行なわれるためである。
なお、この例の場合には、左右の回転軸13,14の間
の差動が大きくてデフケース8Aよりも回転軸13又は
14が所定比(変速機構10の減速比に対応する比)以
上に高速にならない限りは、デフケース8Aが低速側と
なり中空軸11が高速側となって、中空軸11からデフ
ケース8Aへと駆動力が送給されるようになっている。
【0040】したがって、例えば右輪回転軸14と入力
軸6Aとの間の多板クラッチ機構12が係合されると、
右輪回転軸14へ配分される駆動力は入力軸6A側から
のルートで増加又は減少(この例では主として減少)さ
れて、この分だけ、左輪回転軸13へ配分される駆動力
が減少又は増加(この例では主として増加)する。この
ギア機構式の変速機構10を、右輪回転軸14に設けら
れたものを例に説明すると次のようになる。
【0041】すなわち、図3に示すように、右輪回転軸
14には第1のサンギア10Aが固着されており、この
第1のサンギア10Aは、その外周において第1のプラ
ネタリギア(プラネタリピニオン)10Bに噛合してい
る。また、第1のプラネタリギア10Bは、第2のプラ
ネタリギア10Dと一体に固着され、共にキャリヤに設
けられたピニオンシャフト10Cを通じて、ケーシング
(固定部)に固着されて回転しないキャリア10Fに枢
支されている。これにより、第1のプラネタリギア10
Bと第2のプラネタリギア10Dとが、ピニオンシャフ
ト10Cを中心として同一の回転を行なうようになって
いる。
【0042】さらに、第2のプラネタリギア10Dは、
右輪回転軸14に枢支された第2のサンギア10Eに噛
合しており、第2のサンギア10Eは、中空軸11を介
して多板クラッチ機構12のクラッチ板12Aに連結さ
れている。また、多板クラッチ機構12の他方のクラッ
チ板12Bは、入力軸6Aにより駆動されるデフケース
8Aに連結されている。
【0043】そして、この実施例の構造では、第1のサ
ンギア10Aが第2のサンギア10Eよりも大きい径に
形成されているので、第2のサンギア10Eの回転速度
は第1のサンギア10Aよりも大きくなり、この変速機
構10は増速機構としてはたらくようになっている。し
たがって、クラッチ板12Aの回転速度がクラッチ板1
2Bよりも大きく、右輪側の多板クラッチ機構12を係
合させた場合には、この係合状態に応じた量のトルク
が、右輪回転軸14側からデフケース8A側へ送給され
るようになっている。
【0044】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構10及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて右輪回転軸14側の多板クラッチ機
構12を適当に係合させ、右輪回転軸14により多く配
分したい場合には、その配分比に応じて左輪回転軸13
側の多板クラッチ機構12を適当に係合させる。
【0045】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。なお、左右の多板ク
ラッチ機構12が共に完全係合することのないように設
定されており、左右の多板クラッチ機構12のうち一方
が完全係合したら他方の多板クラッチ機構12は滑りを
生じるようになっている。
【0046】上述のこの実施例の変速機構10は、2つ
のプラネタリギア機構を直列的に結合してなるいわゆる
ダブルプラネタリギア機構で構成されているが、この変
速機構10自体は、入力された回転速度を一定の速度比
で加速又は減速して出力する機構であればよく、例えば
ベルトやチェーン等を用いた機構なども考えられ、ギア
機構に限定されるものではない。
【0047】また、この実施例では、変速機構10は、
左輪回転軸13又は右輪回転軸14の回転速度を増速し
て中空軸11に伝えるような増速機構として構成されて
いるが、この変速機構10の第1のプラネタリギア10
B及び第2のプラネタリギア10Dの大小関係を逆転さ
せて、変速機構10を減速機構として駆動力伝達制御機
構9Aを構成してもよい。
【0048】また、駆動力伝達制御機構9Aの他の例と
しては、例えば図4に示すような機構が考えられる。こ
の駆動力伝達制御機構9Aでは、図4に示すように、変
速機構31及び多板クラッチ機構42が上述の機構と異
なっている。ここでも、右側の装置について説明する。
【0049】変速機構31は、入力軸6A側のデフケー
ス8Aの左右側部にそれぞれ設けられ、2組の直列な遊
星歯車機構からなり、第1のサンギア31Aと第2のサ
ンギア31Eと第1のプラネタリギア31Bと第2のプ
ラネタリギア31Dとピニオンシャフト31Cとプラネ
タリキャリア31Fとからなり、第1のサンギア31A
のプレート部分は駆動力伝達補助部材41になってい
る。
【0050】そして、この駆動力伝達補助部材41と右
輪回転軸14との間に、多板クラッチ機構42が介設さ
れる。この多板クラッチ機構42は、回転軸14側のク
ラッチ板42Bと駆動力伝達補助部材41側のクラッチ
板42Bとが交互に重合してなり、図示しない油圧系か
ら供給される油圧に応じて、その係合状態を調整され
る。
【0051】このため、多板クラッチ機構42が係合す
ると、回転軸14側から、多板クラッチ機構42,第1
のサンギア31A,第1のプラネタリギア31B,第2
のプラネタリギア31D,第2のサンギア31Eを経
て、入力軸6A側のデフケース8Aへ至る駆動力の伝達
路が形成される。ここでは、第1のサンギア31Aが第
2のサンギア31Eよりも大きい径に形成されているの
で、第2のサンギア31Eの回転速度は第1のサンギア
31Aより大きくなり、この変速機構31は駆動力伝達
補助部材41を入力軸6A側よりも減速する減速機構と
してはたらくようになっている。
【0052】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも大きく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、右輪回転軸14側から入力軸6A側へ送給(返
送)されるようになっている。一方、左輪回転軸13に
そなえられる変速機構31及び多板クラッチ機構42
も、同様に構成されており、入力軸6Aからの駆動トル
クを左輪回転軸13により多く配分したい場合には、そ
の配分したい程度(配分比)に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構42を適当に係合し、右輪回転軸1
4により多く配分したい場合には、その配分比に応じて
左輪回転軸13側の多板クラッチ機構42を適当に係合
する。
【0053】このとき、多板クラッチ機構42が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構42の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。また、左右の多板ク
ラッチ機構42が共に完全係合することのないように設
定されており、左右の多板クラッチ機構42のうち一方
が完全係合したら他方の多板クラッチ機構42は滑りを
生じるようになっている。
【0054】駆動力伝達制御機構9Aを上述のように構
成することにより、ブレーキ等のエネルギーロスを用い
てトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要
量を他方に転送することによりトルク配分が調整される
ため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来すること
なく、所望のトルク配分を得ることができるのである。
【0055】また、この変速機構31においても、第1
のプラネタリギア31B及び第2のプラネタリギア31
Dの大小関係を逆転させて、この変速機構31を増速機
構として構成してもよい。ところで、図1に示すよう
に、コントロールユニット18には、車両の車体速度V
Bを推定して算出する推定車体速演算部216がそなえ
られている。
【0056】ここで、推定車体速演算部216による車
体速の算出について説明すると、推定車体速演算部21
6は、図5に示すように、車輪速センサ19FL,19
FR,19RL,19RRにより検出された回転速度デ
ータ信号のうち下から(小さい方から)2番目の大きさ
の車輪速データを選択する車輪速選択部216aと、こ
の選択した車輪速データ等から推定車体速を設定する推
定車体速算出部216cとからなっている。
【0057】特に、推定車体速算出部216cでは、車
輪速選択部216cで選択した車輪速データをフィルタ
216bにかけて雑音成分を除去して得られる車輪速デ
ータSVWと、前後加速度センサ36で検出された前後
加速度をフィルタ216dにかけて雑音成分を除去して
得られる前後加速度データGxとに基づいて、ある時点
の両データSVW,Gxから、その後の車速を推定する
ようになっている。つまり、ある時点の車輪速データS
VWをV2 ,前後加速度データGxをaとすると、この
時点よりも時間tだけ後の理論上の車体速VBは、VB
=V2 +a・tで算出できる。
【0058】なお、回転速度データ信号のうち下から2
番目の大きさの車輪速データを採用するのは、各車輪1
5,16,25,26は通常いずれも渦回転側にスリッ
プしている場合が多いからである。したがって、本来な
ら最も低回転側の車輪速を採用するのが好ましいが、デ
ータの信頼性を考慮して下から2番目の車輪速を採用し
ているのである。
【0059】ここで、本車両用路面摩擦抵抗推定装置の
構成について説明すると、本装置は、タイヤのスリップ
率と駆動力との関係を利用して路面の滑り易さを示す路
面摩擦抵抗μを推定するものであり、コントロールユニ
ット18の演算手段18′と駆動輪側の車輪速センサ1
9RL,19RRとハンドル角センサ20とから構成さ
れ、この演算手段18′において、路面摩擦抵抗μを推
定することができるようになっている。
【0060】そこで、まずタイヤのスリップ率について
ついて説明すると、スリップ率S(%)は、タイヤが駆
動状態にある時と制動状態にある時とで区別して、車輪
速V(=VR又はVL)と車体速VBとから、駆動状態
にある時は、 S=(V−VB)/V ・・・・・(1A) と定義し、制動状態にある時は、 S=(VB−V)/VB ・・・・・(1B) と定義する。
【0061】ところで、タイヤのスリップ率Sと駆動力
(又は制動力)Tとの関係を示すと、図6のようにな
る。この図に示すように駆動力Tが同じであっても、路
面摩擦抵抗μの大きさによりタイヤのスリップ率Sは大
きく異なる。つまり、このグラフの線形領域部分に着目
すると、この直線部分の傾き(左右輪の駆動力差ΔTと
左右輪のスリップ率差ΔSとの比ΔT/ΔS=スリップ
率差の変化量)は、例えば低μ路では小さくなり、高μ
路になるほど大きくなる。したがって、このスリップ率
の変化量ΔSと駆動力の移動量ΔTとにより、路面摩擦
抵抗μを推定することができるのである。
【0062】このため、図1に示すように、演算手段1
8′には、基準回転速度差演算手段18Fと、路面摩擦
抵抗推定手段(又は、路面摩擦抵抗推定部)18Dと、
推定値記憶手段18Iと、推定条件判定部18Eと、第
1及び第2の出力値安定化手段18H,18Lと、減算
部18B,18Jと絶対値算出手段18Gとがそなえら
れており、演算手段18′では、車輪速センサ19R
L,19RRからの回転速度データ信号RL,RRに基
づいて、減算部18Jにより左右の駆動輪間の車輪速差
信号dvrd(=RL−RR)が算出される。
【0063】また、基準回転速度差演算手段18Fは、
推定車体速演算部216により算出された車体速VB
と、ハンドル角センサ20により検出されたハンドル角
θH とに基づき、駆動輪15,16の理論的な回転速度
差VO を車両の旋回状態から幾何学的に算出するもので
ある。この基準回転速度差演算手段18F内には、例え
ば図1中のブロック内に図示するようなマップがそなえ
られ、車体速VB及びハンドル角θH をパラメータとし
て基準回転速度差VO を算出し、回転速度差信号dvh
rとして出力するようになっている。
【0064】そして、減算部18Bにより、上述の左右
駆動輪の車輪速差信号dvrdと基準回転速度差V
O (信号dvhr)との差ΔV(信号ddvr)が算出
された後、絶対値算出手段18Gで絶対値処理される。
このように求められた速度差ΔVと車体速VBとが後述
する路面摩擦抵抗推定部18Dに入力される。また、図
1に示すように、路面摩擦抵抗推定部18Dには、制御
量設定部18Cが接続されており、トルク移動量ΔTの
信号は、一方で路面摩擦抵抗推定部18Dに入力される
ようになっている。
【0065】制御量設定部18Cは、車両の走行状態に
応じて左右駆動輪間のトルク移動量ΔTを決定するもの
であり、この制御量設定部18Cから出力されたトルク
移動量ΔTの指令値にしたがって、駆動力伝達制御機構
9Aの多板クラッチ機構12の油圧系が制御されるよう
になっている。そして、路面摩擦抵抗推定部18Dで
は、このトルク差指令値ΔTと速度差ΔVと車体速VB
とに基づいて路面摩擦抵抗μが推定されるのである。
【0066】また、この路面摩擦抵抗推定部18Dに
は、図1中のブロック内に図示するように、ΔT,ΔV
及びVBをパラメータとするマップがそなえられてお
り、このマップによって路面摩擦抵抗μが推定される。
なお、このマップにおいて横軸はΔT/ΔVであって、
縦軸は路面摩擦抵抗μである。ここで、このマップにつ
いて簡単に説明する。
【0067】通常、路面の摩擦抵抗μが低くて滑りやす
い場合は、駆動輪間でのトルク移動量ΔTは小さくて
も、駆動輪間の回転速度差(=VL−VR)が大きく生
じる。また、路面の摩擦抵抗μが高い場合は、例えば大
舵角の場合等は、駆動輪間でのトルク移動量ΔTは大き
くなるが、回転速度差は小さい。また、あるトルク移動
量ΔT1 の時、路面の摩擦抵抗μが小さければ、回転速
度差ΔVは大きく、又これとは逆に、路面の摩擦抵抗μ
が大きければ、回転速度差ΔVは小さい筈である。
【0068】したがって、ΔT/ΔVが小さい程、路面
摩擦抵抗μも小さくなり、図1に示すようなマップから
路面摩擦抵抗μを推定することができるのである。な
お、ΔT/ΔVの値は、車体速VBに影響されるので、
車体速VBをパラメータとして、車体速VBの大きさに
より異なるマップを用いて路面摩擦抵抗μを推定するよ
うになっている。
【0069】また、このマップの代わりに、路面摩擦抵
抗推定部18Dで図6に示すマップの線形領域部分を用
いて路面摩擦抵抗μを推定するようにしてもよい。この
マップは、スリップ率と駆動(又は制動)トルクとの関
係から路面摩擦抵抗μを推定するものであって、マップ
の横軸はタイヤのスリップ率、縦軸は駆動(又は制動)
トルクの左右移動量である。
【0070】つまり、トルク移動量がΔTの時、左右の
タイヤのスリップ率差ΔSが大きいほど路面摩擦抵抗μ
が低く、スリップ率差ΔSが小さいほど路面摩擦抵抗μ
が高いことから、トルク移動量ΔTと車両の左右のタイ
ヤのスリップ率差ΔS(=左輪のスリップ率SL−右輪
のスリップ率SR)との比ΔT/ΔSの値、即ちマップ
の勾配から路面摩擦抵抗の値を推測するものである。
【0071】なお、図6では、路面摩擦抵抗を高μ,中
μ,低μの3段階に分けて図示しているが、単純に高
μ,低μの2段階に分けても良いし、また逆に、さらに
細分化して路面摩擦抵抗を求めてもよい。また、図中の
ΔSh ,ΔSm ,ΔSl はそれぞれ高μ路,中μ路,低
μ路の時のタイヤのスリップ率差である。
【0072】ところで、コントロールユニット18内に
は、推定値記憶手段18Iと推定条件判定部18Eとが
設けられており、推定値記憶手段18Iには今回の路面
摩擦抵抗μが推定される直前に推定された路面摩擦抵抗
μの値が記憶されている。そして、推定条件判定部18
Eにおいて、車両の状態が所要の条件を満足している時
のみ、路面摩擦抵抗推定部18Dで推定された路面摩擦
抵抗μを出力し、そうでない場合は、推定値記憶手段1
8Iから前回に推定された路面摩擦抵抗μを出力するよ
うになっている。
【0073】この推定条件判定部18Eについて説明す
ると、以下の〜の条件がすべて成立した場合に今回
推定された路面摩擦抵抗μを出力する。 |θH |>θ0 :ハンドル角θH の大きさが、ある閾
値θ0 より大。 |θH ′|<θ0 ′:ハンドル角θH を時間微分した
値θH ′(ハンドル角速度)の大きさが閾値θ0 ′より
小。
【0074】|GY |<GY0:横加速度GY の大きさ
が閾値GY0より小。 ΔT>ΔT0 :左右駆動輪トルク移動指令値ΔTが閾
値ΔT0 より大。 |GX |<GX0:前後加速度GX の大きさが閾値GX0
より小。 さらに、第1の出力値安定化手段18Hで、推定された
路面摩擦抵抗μの大きさの変動率が例えば1秒当り±
0.2以内に規制され(リミッタ処理)、第2の出力値
安定化手段18Lにおいて、例えば1Hzのフィルタ処
理により出力値が安定化されるようになっている。
【0075】そして、上記〜の条件が1つでも満た
されていない場合は、推定値記憶手段18Iから直前に
推定された路面摩擦抵抗μが出力され、上記〜の条
件がすべて満たされている場合にのみ、路面摩擦抵抗μ
推定値が更新されて出力される。本発明の第1実施例と
しての車両用路面摩擦抵抗推定装置は、上述のように構
成されているので、例えば図7に示すようなフローチャ
ートにしたがって、路面摩擦抵抗μが推定される。
【0076】まず、ステップS1において、左右駆動輪
15,16の車輪速VL,VRと、車体速VBと、ハン
ドル角θH と、左右駆動輪間のトルク移動ΔTとがコン
トローラ18に取り込まれる。次いで、ステップS2
で、上述の基準回転速度差演算手段18Fにより、基準
回転速度差VO が算出される。
【0077】そして、この基準回転速度差VO と、ステ
ップS1で取り込まれた各値に基づいて、ΔVが以下の
式によって算出される(ステップS3)。 ΔV=(VL−VR)−VO この速度差ΔVと、左右駆動輪間のトルク移動ΔTとか
ら路面摩擦抵抗推定部18Dにおいて、路面摩擦抵抗μ
の値が推定される(ステップS4)。
【0078】この後、ステップS5において、今回推定
した路面摩擦抵抗μが更新条件を満足しているかどうか
が判断される。そして、1つでも満足していない更新条
件があれば、次にステップS6に進んで、直前に推定さ
れた前回の路面摩擦抵抗μを保持して、今回推定された
路面摩擦抵抗μはキャンセルされる。そして、この後ス
テップS7に進む。
【0079】また、更新条件を全て満たしている場合
は、ステップS5から直接ステップS7に進んで、リミ
ッタ処理やフィルタ処理が施された後、ステップS8で
路面摩擦抵抗μが出力されるのである。このように、本
発明では、路面摩擦抵抗μを駆動輪の車輪速差VL−V
Rと駆動輪間のトルク移動量ΔTとから推定するように
なっているので、旋回時のみならず、直進走行時にも路
面摩擦抵抗μを推定することができる。
【0080】また、従来の路面摩擦抵抗μの推定装置で
は、路面摩擦抵抗μを推定するためにパワーステアリン
グ装置の油圧センサ等を設ける必要があるが、本装置で
は、新たにセンサ等を設ける必要がなく、製造コストを
ほとんど上昇させることなく路面摩擦抵抗μを推定する
ことができる。また、このようにして路面摩擦抵抗μを
推定することにより、路面摩擦抵抗μに応じた駆動力配
分を行なうことができ、車両の走行性能を向上させるこ
とができる。
【0081】また、上述したような車両用路面摩擦抵抗
推定装置を、例えば以下に詳述するような車両用差動制
限制御装置をそなえた車両にも適用することができる。
この差動制限制御装置は、図8に示すように、上述の左
右駆動力調整装置70のような変速機構はそなえない装
置であり、左右輪に差動が生じた場合にこれを制限し
て、左右輪間でのトルクの移動を行なうようにした装置
である。この装置について以下簡単に説明する。
【0082】図8に示すように、プロペラシャフト6の
後端には、入力軸401が結合されており、入力軸40
1によりドライブピニオンギア402が一体回転するよ
うに支持されている。また、入力軸401は、軸受41
2を介してケース413の前部内に回転自在に支持され
ている。ドライブピニオンギア402には、クラウン歯
車403が噛合しており、このクラウン歯車403に
は、ボルト431によって動力伝達用環状部材404お
よび第1のハウジング405が一体に結合されている。
【0083】リヤデフ8は、遊星歯車機構を用いた遊星
歯車式ディファレンシャルであって、動力伝達用環状部
材404はこの内部に形成され、環状部材404の内周
面に形成されたリングギア407と、左側輪15の車軸
とスプライン結合するサンギア408と、右側輪16の
車軸とスプライン結合するキャリヤ409と、このキャ
リヤ409に軸410a,410bを介して取り付けら
れたプラネタリギア411a,411bとから構成され
ている。
【0084】また、キャリヤ409の右側には、第2の
ハウジング406が設けられており、この第2のハウジ
ング406はベアリング428を介して環状支持部材4
18に支持されている。そして、このリヤデフ8には、
差動制限装置400が設けられており、リヤデフ8の差
動を制限できるようになっている。
【0085】この差動制限装置400は、差動制限機構
としての多板クラッチ414と、この多板クラッチを駆
動する駆動装置417と、この駆動装置417を制御す
るコントローラのリヤデフ制御部(図示せず)とから構
成されている。多板クラッチ414は、環状部材404
の内部に設けられており、一方のクラッチディスク41
4aを支持するホルダ部415aは軸410a,410
bを介してキャリヤ409に結合されて、クラッチディ
スク414aがキャリヤ409と一体回転するようにな
っており、他方のクラッチディスク414bを支持する
ホルダ部415bはサンギア408の設けられた中空シ
ャフト416に形成されて、クラッチディスク414b
がサンギア408と一体回転するようになっている。
【0086】さらに、駆動装置417は、キャリヤ40
9と第2のハウジング406との間に介設された力方向
変換機構429と、この力方向変換機構429を駆動す
る電磁式クラッチ機構430とからなっている。なお、
このリヤデフ8は電磁式クラッチ機構により差動制限を
行なうので電磁制御式ディファレンシャルという。力方
向変換機構429は、キャリヤ409と第2のハウジン
グ406との間に介装されたボール421と、図9
(a)に示すように、このボール421を収容する菱形
(又は矩形)の室425とからなり、室425は、キャ
リヤ409側に形成された溝422とキャリヤ409と
第2のハウジング406との間の環状部材423に形成
された溝424とによって形成されている。
【0087】そして、環状部材423は、キャリヤ40
9と第2のハウジング406との間に介装されて、通常
時にはこれらの部材に対して回転方向にフリーであっ
て、ボール421を介してキャリヤ409と一体回転し
ているが、第2のハウジング406側(つまり、クラウ
ン歯車403や動力伝達用環状部材404側)の回転ト
ルクを受けると、キャリヤ409に対して差回転を生じ
て、この回転トルクによる力が、方向を変更されて、ク
ラッチ414の押圧力として作用するようになってい
る。
【0088】環状部材423に第2のハウジング406
側の回転トルクを作用させるのは、電磁式クラッチ機構
430であり、この電磁式クラッチ機構430は、環状
部材423と第2のハウジング406側の部材426と
の間に介装されたクラッチ427と、磁石419と差動
制限機構制御手段としてのソレノイド(EMCDコイ
ル)420とからなる電磁式クラッチ駆動系とからなっ
ている。
【0089】つまり、クラッチ427が第2のハウジン
グ406の内側に配設されていて、第2のハウジング4
06のさらに内側には磁石419が設置され、この一
方、第2のハウジング406の外側に、磁石419を吸
引しうるソレノイド420が設置されている。これによ
り、ソレノイド420が作動すると、磁石419が第2
のハウジング406側に引き付けられて、第2のハウジ
ング406との間でクラッチ416が係合するようにな
っている。
【0090】そして、クラッチ416が係合するように
なると、環状部材423が、第2のハウジング406側
の回転トルクを受けて、第2のハウジング406側と一
体的に回転しようとする。この時に、第2のハウジング
406側(したがって、サンギア407側)とキャリヤ
409とが回転速度差(差回転)を生じていれば、つま
り、左右輪間に回転速度差が生じていれば、環状部材4
23は、キャリヤ409に対して差回転を生じ、このよ
うに環状部材423がキャリヤ409に対して差回転を
生じると、図9(b)に示すように、ボール421と溝
422,424の傾斜面とを介して、差回転方向の力
が、これと直交する方向の力、つまり、リヤデフの軸心
方向や車軸方向に並行な力に変換されて、この力により
キャリヤ409が軸心方向へ駆動されて、シャフト41
0a,410b,ホルダ部415aを通じて、多板クラ
ッチ414が押圧されて係合するようになっている。
【0091】このような多板クラッチ414の係合力
は、左右輪の回転速度差とソレノイド420で生じる電
磁力の大きさとに対応することになり、ソレノイド42
0への電流を調整することで、多板クラッチ414の係
合力、したがって、差動制限力を制御できるのである。
そして、このような差動制限制御装置を用いて、左右駆
動輪間の車輪速差とスリップ率差とを算出し、これらの
値と差動制限による左右駆動輪間のトルク移動量とから
路面摩擦抵抗μを推定することができるようになってい
るのである。
【0092】また、本装置では、上述した差動制限制御
装置に限らず、左右輪の差動状態を適切に制御できるよ
うにした差動制限装置であれば、路面摩擦抵抗μを推定
することができる。次に、本発明の第2実施例としての
車両用路面摩擦抵抗推定装置について説明すると、図1
0はその原理について説明するためのグラフであって図
6に対応するグラフ、図11は路面摩擦抵抗の傾向を示
すマップ、図12(a)〜(c)はいずれもその特性値
の計算方法について説明するためのグラフ、図13はそ
の作用を説明するためのフローチャートである。
【0093】図10に示すように、高μ路(路面摩擦抵
抗μが大)と低μ路(路面摩擦抵抗μが小)とでは、左
右輪のトルク移動量が同じであってもタイヤのスリップ
率差は異なる。本実施例でもこの特性を利用して路面摩
擦抵抗μを推定するようになっており、路面の摩擦抵抗
μの推定方法が第1実施例と異なっている。また、本装
置は、第1実施例と同様に、左右駆動輪間で駆動力配分
を調整することができる左右駆動力調整装置70ととも
に車両にそなえられている。また、この車両について
も、第1実施例と同様に、センタデフをそなえ前後輪を
駆動しうる4輪駆動車である。
【0094】本装置では、演算手段18′内の減算部1
8Bにおいて左右駆動輪間のスリップ率差の変化量αを
下式(2)にしたがって算出し、このスリップ率差の変
化量αを用いて路面摩擦抵抗μを推定するようになって
いる。 α=(ΔVr−ΔVf)/(ΔT・VB) ・・・・・(2) ただし、ΔVrは、左右駆動力調整装置70がそなえら
れた側の左右駆動輪15,16の車輪速度差(VL−V
R)であり、車輪速センサ19RL,19RRにより検
出された車輪速情報に基づいて算出される。また、ΔV
fは、左右駆動力調整装置70が設けられていない側の
左右駆動輪25,26の車輪速度差であって、車輪速セ
ンサ19FL,19FRからの車輪速情報に基づいて算
出される(図2参照)。
【0095】このスリップ率差の変化量αについて簡単
に説明する。左右駆動輪15,16の車輪速差ΔVrに
は、旋回による内外輪の車輪速差の分と、左右の荷重移
動による車輪速差の分と、左右のトルク移動による車輪
速差の分とが含まれていが、路面の摩擦抵抗を知るに
は、駆動輪間のトルク移動量ΔTに対する駆動輪の車輪
速差が分かれば良い。
【0096】第1実施例では、この左右駆動輪の車輪速
差ΔVrから駆動輪の基準回転速度差VO を減じること
により、旋回による内外輪の車輪速差の影響を取り除い
ているが、それでも車両の左右の荷重移動による車輪速
差が含まれている。そこで、本実施例では、駆動輪の車
輪速差ΔVrから左右駆動力調整装置70が設けられて
いない側の左右駆動輪(この場合前輪)25,26の車
輪速度差ΔVfを引くことにより、旋回による内外輪差
の分と左右の荷重移動による車輪速差の影響を取り除い
ている。
【0097】すなわち、式(2)の分子は、駆動輪間の
トルク移動による左右の車輪速差のみとなる。したがっ
て、スリップ率差の変化量αは、左右駆動輪15,16
にトルク移動が発生した時に、単位トルク移動当り、ど
れだけ左右駆動輪のタイヤスリップ率差(SL−SR)
が変化するかを示している。
【0098】また、トルク移動量ΔTは、移動トルク量
設定部18Aにおいてトルクの移動指令があった場合
に、実際にトルク移動が完了するまでの応答遅れ分を考
慮して、トルク移動量ΔTに1次遅れの処理が施されて
いる。なお、車体速VBは、上述の推定車体速演算部2
16において算出される。そして、コントロールユニッ
ト18では、上述のスリップ率差の変化量αから、一定
時間毎のαの平均値αAVと一定時間毎のαの最大値と最
小値との差αPPが算出されるようになっており、このα
AVとαPPとに基づいて、図11に示すようなマップから
路面摩擦抵抗μが推定されるようになっている。
【0099】つまり、アスファルトのような比較的路面
摩擦抵抗μの大きな(つまり、αの値が小さい)路面で
は、αAV,αPPともに比較的小さな値となり、氷上路の
ようなμの小さな路面では、これらの値が大きくなる傾
向にある。したがって、例えばαAV,αPPの値が、図1
1中の線A内の領域にあるときは、路面が低μ路である
と判断したり、線Aと線Bとの間にある時は中μ路であ
ると判断するようになっている。また、同様に、線Bよ
り下側にある時は高μ路と判断するようになっている。
【0100】ところで、図12(a)〜(c)に示すよ
うに、このようなαAV,αPPの値は、例えば300ms
の一定周期毎に、その直前の300ms間のαの値の変
動に基づいて算出されるようになっている。これは、ス
リップ率差の変化量αが車輪速差ΔVr,ΔVfの小さ
な変化にも反応してしまうため、これらの平均値αAV
最大値と最小値との差αPPとを導入することにより、ス
リップ率差の変化量αを安定化しているのである。
【0101】また、コントロールユニット18の演算手
段18′には、推定条件判定部18Eが設けられてお
り、この推定条件判定部18Eにおいて、車両の状態が
所要の条件を満足している時のみ、路面摩擦抵抗推定部
18Dで推定された路面摩擦抵抗μを出力し、そうでな
い場合は、その直前に推定された路面摩擦抵抗μを出力
するようになっている。
【0102】この推定条件判定部18Eについて説明す
ると、以下の条件がすべて成立した場合に路面摩擦抵抗
μを出力する。 |θH |>θ0 :ハンドル角θH の大きさが、ある閾
値θ0 より大。 |θH ′|<θ0 ′:ハンドル角θH の時間微分(ハ
ンドル角速度)の大きさθH ′が閾値θ0 ′より小。
【0103】ΔT>ΔT0 :左右駆動輪トルク移動指
令値ΔTが閾値ΔT0 より大。 |GX |<GX0:前後加速度GX の大きさが閾値GX0
より小。 また、コントロールユニット18には、第1実施例と同
様に、出力された路面摩擦抵抗μを安定化させるための
第1及び第2の出力値安定化手段18H,18Lも設け
られている。
【0104】第1の出力値安定化手段18Hはリミッタ
であり、例えば推定された路面摩擦抵抗μの大きさの変
動率を1秒当り±0.2以内に規制するものである。ま
た、第2の出力値安定化手段18Lは、例えば1Hzの
フィルタである。本発明の第2実施例としての車両用路
面摩擦抵抗推定装置は、上述のように構成されているの
で、例えば図13に示すようなフローチャートにしたが
って、路面摩擦抵抗μが推定される。
【0105】まず、ステップSA1において、左右駆動
輪間のトルク移動量にフィルタ処理が施された値ΔTが
算出されるとともに式(2)によりスリップ率差の変化
量αが算出される。そして、ステップSA2では、トル
ク移動量ΔTが所定値TO より大きいかどうかが判断さ
れ、トルク移動量ΔTが所定値TO よりも小さい場合
は、ステップSA3に進んで図示しないタイマのカウン
タt4 を0にリセットしてリターンされる。これは、左
右輪のトルク移動量ΔTが小さ過ぎると、計算の精度が
低下するためである。
【0106】また、トルク移動量ΔTが所定値TO より
も大きい場合は、ステップSA4に進んでタイマのカウ
ントt4 を1つ加算する。そして、次にステップSA5
でタイマのカウントt4 が1であるかどうかが判断され
る。なお、タイマのカウントt4 の初期値は0である。
そして、タイマのカウントt4 が1の場合は、ステップ
SA6に進んでαsum=αとし、この後ステップSA7
でαmax =α,αmin =αとしてステップSA13に進
む。なお、αはスリップ率差の変化量、αsum はαの累
積加算値、αma x はαの最大値、αmin はαの最小値で
ある。
【0107】このような、ステップSA6,SA7の処
理を行なった以降の制御周期では、ステップSA5でタ
イマのカウントt4 が2以上となり1ではなくなるの
で、ステップSA8に進んで、αsum =αsum +αと計
算して、次にステップSA9に進む。そして、ステップ
SA9では、αがαmax よりも大きいかどうかが判断さ
れ、αの方が大きい場合は、ステップSA10でこのα
を新たにαmax としてステップSA11に進む。
【0108】また、ステップSA9でαの方が小さい場
合は、次にステップSA11に進む。そして、ステップ
SA11では、αがαmin よりも小さいかどうかが判断
され、αの方が小さい場合はステップSA12でこのα
を新たにαmin としてステップSA13に進む。
【0109】また、ステップSA11でαの方が大きい
場合は、次にステップSA13に進む。そして、このス
テップSA13でタイマが所定数カウント(例えば、こ
こでは30)されたかどうかが判断される。ここで、タ
イマのカウントt4 が30になっている時は、ステップ
SA14に進んで、累積的に加算されたαsum を30で
除してαの平均値αAVが算出される。また、これととも
にαmax からαmin を減じることによりαの最大値と最
小値との差αPPが算出される。
【0110】そして、この後、ステップSA15でタイ
マのカウントt4 が0にリセットされた後リターンされ
る。また、ステップSA13でタイマのカウントt4
30でない時は、そのままリターンされる。このよう
に、本実施例では、路面摩擦抵抗μの判定指標としてス
リップ率差の変化量αを導入して、このスリップ率差の
変化量αの一定周期毎の平均値αAVと、最大値と最小値
との差αPPとを用いて路面摩擦抵抗μを推定することに
より、より高い精度で路面摩擦抵抗μを推定することが
できる。
【0111】つまり、スリップ率差の変化量αを算出す
る段階で、差動制限機構の設けられた側の駆動輪の車輪
速差ΔVrから差動制限機構の設けられていない側の駆
動輪の車輪速度差ΔVfを減じているので、旋回による
内外輪差の分と左右の荷重移動による車輪速差の影響が
取り除かれる。したがって、推定条件判定部18Eにお
いて、横加速度GY の条件がなくなり、横加速度センサ
を不要とすることができる。そして、これによりコスト
を低減することができる。
【0112】なお、本実施例の装置も、第1実施例の場
合と同様に、図8に示すような差動制限制御装置をそな
えた車両にも適用することができる。
【0113】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車両用路面摩擦抵抗推定装置によれば、車両の左
駆動輪と右駆動輪との間における差動状態を制限する差
動制限機構と、該左駆動輪及び該右駆動輪の回転速度を
検出する左輪側回転速度検出手段及び右輪側回転速度検
出手段と、該車両のハンドル角を検出するハンドル角検
出手段とをそなえるとともに、該車両の車体速を検出す
る車体速検出手段と、該車体速検出手段により算出され
た車体速と該ハンドル角検出手段からの検出情報とに基
づいて該左右駆動輪の基準回転速度差を算出する基準回
転速度差演算手段とが設けられ、該差動制限機構の作動
状態と、該車両の車体速と、該左右駆動輪の回転速度差
と該左右駆動輪の基準回転速度差との差と、から該車両
の走行している路面の摩擦抵抗を推定する路面摩擦抵抗
推定手段が設けられるという構成により、パワーステア
リング装置に油圧センサ等を設ける必要がなく、製造コ
ストをほとんど上昇させることなく路面摩擦抵抗を推定
することができる。
【0114】また、請求項2記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置によれば、四輪駆動車の前後の駆動輪
のうち、いずれか一方の駆動輪を構成する左駆動輪と右
駆動輪との間における差動状態を制限する差動制限機構
と、該車両の差動制限機構がそなえられた側の左駆動輪
及び右駆動輪の回転速度を検出する左輪側回転速度検出
手段及び右輪側回転速度検出手段と、該車両の差動制限
機構のそなえられていない側の左駆動輪及び右駆動輪の
回転速度を検出する左輪側回転速度検出手段及び右輪側
回転速度検出手段と、該差動制限機構がそなえられてい
る側の左輪側回転速度検出手段と該右輪側回転速度検出
手段とからの検出情報と、該差動制限機構のそなえられ
ていない側の左輪側回転速度検出手段と該右輪側回転速
度検出手段とからの検出情報と、該差動制限機構の作動
状態と、に基づいて該車両の駆動輪のスリップ率差の変
化量を演算する演算手段が設けられ、該スリップ率差の
変化量の一定周期毎の平均値と、該スリップ率差の変化
量の一定周期毎の最大値と最小値との差と、から該車両
の走行している路面の摩擦抵抗を推定するように構成さ
れるので、高い精度で路面摩擦抵抗を推定することがで
きる。
【0115】また、横加速度センサが不要となり、これ
によりコストを低減することができる。また、請求項3
記載の本発明の車両用路面摩擦抵抗推定装置によれば、
該差動制限機構が、該車両における左輪駆動軸と右輪駆
動軸との間で、駆動力を授受することで該左右輪の駆動
力を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、該駆動力
伝達制御機構が、該左右の各駆動軸のうちの一方の駆動
軸側に連結されてこの一方の駆動軸側の回転速度を一定
の変速比で変速して出力しうる変速機構と、該左右の各
駆動軸のうちの他方の駆動軸側と該変速機構の出力部側
との間に介装されて、係合時に該左右の各駆動軸間で駆
動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達
機構とから構成された車両用左右駆動力調整装置である
という構造により、車両の旋回時のみならず、直進走行
時にも路面摩擦抵抗を推定することができる。
【0116】また、このようにして路面摩擦抵抗を推定
することにより、路面摩擦抵抗に応じた駆動力配分を行
なうことができ、車両の走行性能が向上する。また、請
求項4記載の本発明の車両用路面摩擦抵抗推定装置によ
れば、該差動制限機構が、該車両における左輪駆動軸と
右輪駆動軸との間に、エンジンからの駆動力を入力され
る入力部と、上記の左右の駆動軸間の差動を許容しつつ
該入力部から入力された駆動力を上記の左右の各駆動軸
に伝達する差動機構と、該駆動力の伝達状態を制御して
上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制
御機構とをそなえ、該駆動力伝達制御機構が、該駆動軸
側に連結されてこの駆動軸側の回転速度を一定の変速比
で変速して出力しうる変速機構と、該変速機構の出力部
分側と上記の入力部側との間に介装されて、係合時に上
記駆動軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行な
いうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから構成さ
れるので、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク
配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方
に転送することによりトルク配分が調整されるため、大
きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、所
望のトルク配分を得ることができる。
【0117】また、請求項5記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置によれば、該差動制限機構が、該車両
における左輪駆動軸と右輪駆動軸との間に、エンジンか
らの駆動力を入力される入力部と、上記の左右の駆動軸
間の差動を許容しつつ該入力部から入力された駆動力を
上記の左右の各駆動軸に伝達する差動機構と、該駆動力
の伝達状態を制御して上記の左右輪への駆動力配分を調
整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、該駆動力伝達
制御機構が、該入力部側に連結されてこの入力部側の回
転速度を一定の変速比で変速して出力しうる変速機構
と、該変速機構の出力部分側と該駆動軸側との間に介装
されて、係合時に上記駆動軸側と上記入力部側との間で
駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝
達機構とから構成されるので、ブレーキ等のエネルギー
ロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のト
ルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分が
調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招
来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0118】また、請求項6記載の本発明の車両用路面
摩擦抵抗推定装置によれば、該車両が、所定の運転状態
の場合にのみ該路面の摩擦抵抗の推定を更新するように
構成されるという構造により、正確に路面摩擦抵抗を推
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置における制御系の全体構成を示す模式的なブ
ロック図である。
【図2】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置をそなえた車両の駆動系を示す模式的な構成
図である。
【図3】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置にそなえた車両の駆動力配分装置を具体的に
説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置にそなえた車両の駆動力配分装置の他の例を
示す模式的な構成図である。
【図5】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置における制御系の一部を示す制御ブロック図
である。
【図6】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置における原理を説明するためのグラフであり
タイヤスリップ率と左右駆動輪間のトルク移動量との関
係を示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置における作用を説明するためのフローチャー
トである。
【図8】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置とともに車両にそなえられた差動制御装置の
一例を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第1実施例としての車両用路面摩擦抵
抗推定装置とともに車両にそなえられた差動制御装置の
部分的な断面図であって、(a),(b)はともに図8
におけるA−A矢視断面図である。
【図10】本発明の第2実施例としての車両用路面摩擦
抵抗推定装置の原理について説明するためのグラフであ
って図6に対応するグラフである。
【図11】本発明の第2実施例としての車両用路面摩擦
抵抗推定装置における路面摩擦抵抗の傾向を示すグラフ
である。
【図12】本発明の第2実施例としての車両用路面摩擦
抵抗推定装置における作用を説明するためのグラフであ
って、(a)はスリップ率差の変化量αの推移を示すグ
ラフ、(b)はスリップ率差の変化量αの一定周期毎の
平均値αAVの推移を示すグラフ、(c)はスリップ率差
の変化量αの一定周期毎の最大値と最小値との差α PP
推移を示すグラフである。
【図13】本発明の第2実施例としての車両用路面摩擦
抵抗推定装置における作用を説明するためのフローチャ
ートである。
【図14】従来の4輪操舵機構をそなえた車両を示す模
式的な構成図である。
【図15】従来の4輪操舵機構の構成を示す模式的なブ
ロック図である。
【図16】タイヤすべり角とコーナリングフォースとの
関係を示すグラフである。
【図17】車両旋回時の操舵輪に働く力を示す模式図で
ある。
【図18】ハンドルに入力される操舵角(ハンドル角)
と出力されるパワステ圧との関係を示すグラフであり、
(a)が操舵角に関し、(b)がパワステ圧に関してい
る。
【図19】従来の路面摩擦抵抗推定装置を示す模式的な
ブロック図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスミッション 3 センタデフ 4 フロントデフ 5 センタデフ差動制限機構 6 プロペラシャフト 6A 入力軸 7 ベベルギア機構 8 リヤデフ 8A デファレンシャルケース 9,9A 差動制限機構としての駆動力伝達制御機構 10,31 変速機構 10A,31A 第1のサンギア 10B,31B 第1のプラネタリギア(プラネタリピ
ニオン) 10C,31C ピニオンシャフト 10D,31D 第2のプラネタリギア(プラネタリピ
ニオン) 10E,31E 第2のサンギア 10F,31F キャリア 11 中空軸 12,42 伝達容量可変制御式トルク伝達機構として
の多板クラッチ機構 12A,12B,42A,42B クラッチ板 13,14 駆動軸 17 クラッチ油圧制御バルブ 18 コントロールユニット 18′ 演算手段 18A トルク移動指令値出力部 18B,18J 減算部 18C 制御量設定部 18D 路面摩擦抵抗推定手段(路面摩擦抵抗推定部) 18E 推定条件判定部 18F 基準回転速度差演算手段 18G 絶対値算出手段 18H,18L 出力値安定化手段 18I 推定値記憶手段 19FL,19FR,19RL,19RR 回転速度検
出手段としての車輪速センサ 20 ハンドル角センサ 21 ヨーレイトセンサ 22 加速度センサ 23 アキュムレータ 24 電動ポンプ 25,26 前輪 36 前後加速度センサ 41 駆動力伝達補助部材 70 左右駆動力調整装置 105 ハンドル 106,107 油圧シリンダ 106A,107A タイロッド 108 後輪操舵用バルブ 112 パワステセンサ 113 進相バルブ 114 後輪操舵角センサ 115 オルタネータL端子出力 115A オルタネータ 216 推定車体速演算部 216a 車輪速選択部 216b フィルタ 216c 推定車体速算出部 216d フィルタ 400 差動制限装置 401 入力軸 402 ドライブピニオンギア 403 クラウン歯車 404 動力伝達用環状部材 405 第1のハウジング 406 第2のハウジング 407 リングギア 408 サンギア 409 キャリヤ 410a,410b 軸 411a,411b プラネタリギア 412 軸受 413 ケース 414 多板クラッチ 414a,414b クラッチディスク 415a,415b ホルダ部 416 中空シャフト 417 駆動装置 418 環状支持部材 419 磁石 420 ソレノイド 421 ボール 422,424 溝 423 環状部材 425 室 427 クラッチ 428 ベアリング 429 力方向変換機構 430 電磁式クラッチ機構 431 ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 113:00 123:00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の左駆動輪と右駆動輪との間におけ
    る差動状態を制限する差動制限機構と、 該左駆動輪及び該右駆動輪の回転速度を検出する左輪側
    回転速度検出手段及び右輪側回転速度検出手段と、 該車両のハンドル角を検出するハンドル角検出手段とを
    そなえるとともに、 該車両の車体速を検出する車体速検出手段と、 該車体速検出手段により算出された車体速と該ハンドル
    角検出手段からの検出情報とに基づいて該左右駆動輪の
    基準回転速度差を算出する基準回転速度差演算手段とが
    設けられ、 該差動制限機構の作動状態と、該車両の車体速と、該左
    右駆動輪の回転速度差と該左右駆動輪の基準回転速度差
    との差と、から該車両の走行している路面の摩擦抵抗を
    推定する路面摩擦抵抗推定手段が設けられていることを
    特徴とする、車両用路面摩擦抵抗推定装置。
  2. 【請求項2】 四輪駆動車の前後の駆動輪のうち、いず
    れか一方の駆動輪を構成する左駆動輪と右駆動輪との間
    における差動状態を制限する差動制限機構と、 該車両の差動制限機構がそなえられた側の左駆動輪及び
    右駆動輪の回転速度を検出する左輪側回転速度検出手段
    及び右輪側回転速度検出手段と、 該車両の差動制限機構のそなえられていない側の左駆動
    輪及び右駆動輪の回転速度を検出する左輪側回転速度検
    出手段及び右輪側回転速度検出手段と、 該差動制限機構がそなえられている側の左輪側回転速度
    検出手段と該右輪側回転速度検出手段とからの検出情報
    と、該差動制限機構のそなえられていない側の左輪側回
    転速度検出手段と該右輪側回転速度検出手段とからの検
    出情報と、該差動制限機構の作動状態と、に基づいて該
    車両の駆動輪のスリップ率差の変化量を演算する演算手
    段が設けられ、 該スリップ率差の変化量の一定周期毎の平均値と、該ス
    リップ率差の変化量の一定周期毎の最大値と最小値との
    差と、から該車両の走行している路面の摩擦抵抗を推定
    するように構成されていることを特徴とする、車両用路
    面摩擦抵抗推定装置。
  3. 【請求項3】 該差動制限機構が、 該車両における左輪駆動軸と右輪駆動軸との間で、駆動
    力を授受することで該左右輪の駆動力を調整しうる駆動
    力伝達制御機構をそなえ、 該駆動力伝達制御機構が、 該左右の各駆動軸のうちの一方の駆動軸側に連結されて
    この一方の駆動軸側の回転速度を一定の変速比で変速し
    て出力しうる変速機構と、 該左右の各駆動軸のうちの他方の駆動軸側と上記変速機
    構の出力部側との間に介装されて、係合時に上記の左右
    の各駆動軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変
    制御式トルク伝達機構とから構成されていることを特徴
    とする、請求項1又は2記載の、車両用路面摩擦抵抗推
    定装置。
  4. 【請求項4】 該差動制限機構が、 該車両における左輪駆動軸と右輪駆動軸との間に、エン
    ジンからの駆動力を入力される入力部と、上記の左右の
    駆動軸間の差動を許容しつつ該入力部から入力された駆
    動力を上記の左右の各駆動軸に伝達する差動機構と、該
    駆動力の伝達状態を制御して上記の左右輪への駆動力配
    分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、 該駆動力伝達制御機構が、 該駆動軸側に連結されてこの駆動軸側の回転速度を一定
    の変速比で変速して出力しうる変速機構と、 該変速機構の出力部分側と上記の入力部側との間に介装
    されて、係合時に上記駆動軸側と上記入力部側との間で
    駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝
    達機構とから構成されていることを特徴とする、請求項
    1又は2記載の、車両用路面摩擦抵抗推定装置。
  5. 【請求項5】 該差動制限機構が、 該車両における左輪駆動軸と右輪駆動軸との間に、エン
    ジンからの駆動力を入力される入力部と、上記の左右の
    駆動軸間の差動を許容しつつ該入力部から入力された駆
    動力を上記の左右の各駆動軸に伝達する差動機構と、駆
    動力の伝達状態を制御して上記の左右輪への駆動力配分
    を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、 該駆動力伝達制御機構が、 該入力部側に連結されてこの入力部側の回転速度を一定
    の変速比で変速して出力しうる変速機構と、 該変速機構の出力部分側と該駆動軸側との間に介装され
    て、係合時に上記駆動軸側と上記入力部側との間で駆動
    力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機
    構とから構成されていることを特徴とする、請求項1又
    は2記載の、車両用路面摩擦抵抗推定装置。
  6. 【請求項6】 該車両が、所定の運転状態の場合にのみ
    該路面の摩擦抵抗の推定を更新するように構成されてい
    ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の
    車両用路面摩擦抵抗推定装置。
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