JP4004990B2 - スリップ率演算方法、タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにスリップ率演算のプログラムおよびタイヤ減圧判定のプログラム - Google Patents

スリップ率演算方法、タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにスリップ率演算のプログラムおよびタイヤ減圧判定のプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスリップ率演算方法、タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにスリップ率演算のプログラムおよびタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、4輪駆動車におけるタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算方法および装置、なたびにスリップ率演算のプログラムを用いて、タイヤの空気圧低下の判定を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車輪回転情報を用いてタイヤの空気圧低下(減圧)を検出するタイヤ空気圧低下検出装置(DWS)がある。この装置では、減圧の検出性能を向上させるための種々の方法がある。たとえば駆動輪に生じているスリップ率(駆動輪と従動輪の車輪速度比から1を引いたもの)を算出したのち、得られたスリップ率と駆動輪の左右輪比の関係を用いて、現在走行中の駆動力による左右輪比を補正し、タイヤの空気圧低下を判定する方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
かかる方法では、摩耗度合の異なるタイヤや仕様違いのタイヤを混用した場合でも、減圧の判定精度を向上させて、誤報(誤判定)を防止することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−170828号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、駆動輪と従動輪の車輪速度比から1を引いたスリップ率を用いているが、従動輪を有しない4輪駆動車では正確なスリップ率を求めることができないため、判定精度を向上させることが難しい。
【0006】
本発明は、叙上の事情に鑑み、4輪駆動車におけるタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算方法および装置、ならびにスリップ率演算のプログラム、および該スリップ率演算方法および装置を用いてタイヤの空気圧低下の判定を向上させて、誤報を防止することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のスリップ率演算方法は、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算方法であって、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める工程と、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める工程と、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める工程と、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求める工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明のスリップ率演算装置は、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算装置であって、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める差演算手段と、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める関数演算手段と、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める荷重配分演算手段と、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算手段を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明のスリップ率演算のプログラムは、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるためにコンピュータを、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める差演算手段、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める関数演算手段、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める荷重配分演算手段、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算手段として機能させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、請求項1記載のスリップ率を演算する各工程と、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、請求項2記載のスリップ率演算装置と、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する減圧判定手段を備えてなることを特徴とする。
【0012】
本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、請求項3記載のスリップ率演算のプログラムとして機能させるともに、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する減圧判定手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のスリップ率演算方法、タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにスリップ率演算のプログラムおよびタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
【0014】
図1に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、たとえば車両のエンジンの駆動トルクが前軸と後軸とにそれぞれ配分される比率を制御する駆動制御装置を搭載する4輪車両(4輪駆動車)に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRRの空気圧が低下しているか否かを検出するものであり、タイヤにそれぞれ関連して設けられた通常の回転情報検出手段1を備えている。前記駆動制御装置は、通常車両の走行性(運動特性)を向上させるものである。前後のトルク配分率は、電子制御方式のものであればCAN(Control Area Network)などの通信によって知ることが可能である。また、機械式のものであっても、その特性を理解すれば、車輪の走行状態からある程度予想することができる。たとえばエンジンのトルクによって前後のトルク配分がほぼ決定されるものであれば、エンジンのトルクを入手することでトルク配分率を推測することができる。
【0015】
前記回転情報検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転角速度および車輪速度を測定するための車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転角速度および車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転情報検出手段1の出力はABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化スイッチ4および警報器5が接続されている。
【0016】
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0017】
前記回転情報検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転情報検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤの回転角速度Fiが算出される。
【0018】
ところで、タイヤは規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤがたとえ正常内圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、たとえば回転角速度Fiから初期差異の影響を排除する方法がある。この方法では、まず、つぎに示される初期補正係数K1、K2、K3を算出する。
K1=F1/F2 ・・・(1)
K2=F3/F4 ・・・(2)
K3=(F1+K1×F2)/(F2+K2×F4) ・・・(3)
【0019】
ついで、この算出された初期補正係数K1、K2、K3を用いて式(4)〜(7)に示されるように新たな回転角速度F1iを求めるようにしている。
F11=F1 ・・・(4)
F12=K1×F2 ・・・(5)
F13=K3×F3 ・・・(6)
F14=K2×K3×F4 ・・・(7)
【0020】
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左右タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。そして、前記F1iに基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Viを算出する。
【0021】
一般に4輪駆動車の場合、常に駆動トルクがかかっている車輪と、その車輪が充分に駆動できない場合に補助的に駆動する車輪が存在する。以下、前者を主駆動輪、後者を従駆動輪と呼ぶ。また、後輪が主駆動輪(常に駆動がかかっている)、前輪が従駆動輪(補助的に駆動がかかる)の車両を例として説明する。
【0022】
まず、駆動輪の相対速度比である左右輪比が、駆動力(これは(前後輪比−1)から計算されるスリップ率で表わされる)によって、どのように変化するかを求め、走行中の駆動輪の相対速度比を補正したのち、タイヤの空気圧の低下を判定することができる。
【0023】
そこで、本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪駆動車においてもスリップ率による車輪速度の補正を行なうスリップ率演算装置、回転情報検出手段1、車輪速度を記憶する記憶手段および減圧判定手段から構成されている。この減圧判定手段において、空気圧の低下を検出するための判定値DELとして、つぎの式(8)に示されるように、対角線上にある一対の車輪からの信号の合計から対角線上にある他の一対の車輪からの信号の合計を引算し、その結果と2つの合計の平均値との比率を用いる。
DEL={(V1+V4)/2−(V2+V3)/2}/{(V1+V2+V3+V4)/4}×100(%) ・・・(8)
【0024】
ここで、V1〜V4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの車輪速度である。
【0025】
前記スリップ率演算装置では、前後輪のタイヤそれぞれに生じているスリップ率を推定するにあたり、つぎの式(9)に示されるように、車輪速度から得られる、前2輪の車輪速度の和と後2輪の車輪速度の和の比から1を引いたもの(以下、DFRという)と、駆動トルクの前後配分率と、左右前輪と左右後輪それぞれの軸荷重(接地荷重)との関係を用いている。
DFR=(主駆動輪(後2輪)の車輪速度の和)/(従駆動輪(前2輪)の車輪速度の和)−1 ・・・(9)
【0026】
このDFRは、2輪駆動車の場合、駆動輪(後2輪)のスリップ率を表すものであるが、4輪駆動車の場合、前後輪タイヤのスリップ率の差を表す。
【0027】
したがって、前記スリップ率演算装置は、車輪速度から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差DFRを求める差演算手段と、該スリップ率の差DFRと前記4輪車両の駆動制御装置から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める関数演算手段と、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める荷重配分演算手段と、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率、すなわち減少率または増加率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算手段から構成されている。
【0028】
さらにタイヤ減圧判定のプログラムは、制御ユニット2を、差演算手段、関数演算手段、荷重配分演算手段、スリップ率演算手段(スリップ率演算のプログラム)として機能させるとともに、記憶手段、減圧判定手段として機能させている。
【0029】
つぎにスリップ率演算処理について説明する。まず4輪駆動車の駆動トルクの配分率が、(従駆動輪/主駆動輪)で、0/100〜50/50である場合、前記スリップ率の差DFRと従駆動輪(前輪)への駆動配分率Tf(0≦Tf≦50)との関係は、つぎの式(10)のような一次関数で表される。
DFR=A×Tf+C ・・・(10)
【0030】
この式は、駆動配分率Tf=0のときには従駆動輪(前輪)のスリップ率がゼロとなり、すべてのトルクが主駆動輪(後輪)に作用するため、DFRは最大になる。しかし、駆動配分率Tfが大きくなるにしたがい、従駆動輪(前輪)へトルクが配分されるため、従駆動輪(前輪)のスリップが生じ、さらに主駆動輪(後輪)へのトルクが減少するために、主駆動輪(後輪)のスリップが減少することを示している。また、係数C(>0)は、駆動配分率Tf=0のときの初期値である。
【0031】
前記係数A(A<0)は、差DFRの減少率(勾配)であり、図3に示されるように、主駆動輪(後輪)のスリップ率Srの減少率(勾配mr<0)と従駆動輪(前輪)のスリップ率Sfの増加率(勾配mf>0)により、Sr−Sf=(mr−mf)Tf+Cであることから、つぎの式(11)のように表される。
A=(スリップ率Srの減少率mr)+(スリップ率Sfの増加率mf)・・・(11)
【0032】
ここで、駆動配分率Tfの増加による主駆動輪(後輪)のスリップ率Srの減少率と従駆動輪(前輪)のスリップ率Sfの増加率は、ほぼ左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重に反比例している。つまり、(左右後輪の接地荷重):(左右前輪の接地荷重)=4:6であるならば、(主駆動輪(後輪)のスリップ率の減少率):(従駆動輪(前輪)のスリップ率の増加率)=6:4になる。したがって、駆動配分率Tfと荷重配分がわかれば、従駆動輪(前輪)と主駆動輪(後輪)のスリップ率Sf、Srを推定することができる。たとえば前記車両の左右前輪の接地荷重の割合(%)と左右後輪の接地荷重の割合(%)をそれぞれMf、(100−Mf)とすると、つぎの式(12)の関係が得られる。
(主駆動輪(後輪)のスリップ率の減少率):(従駆動輪(前輪)のスリップ率の増加率)=Mf:(100−Mf) ・・・(12)
【0033】
前記式(10)〜(12)から、駆動配分率Tfであるときの主駆動輪(後輪)のスリップ率Sr(Tf)と従駆動輪(前輪)のスリップ率Sf(Tf)は、つぎの式(13)、(14)のようにして求めることができる。
Sr(Tf)=C−(A×Mf/100)×Tf ・・・(13)
Sf(Tf)={A×(100−Mf)/100}×Tf ・・・(14)
【0034】
なお、前記係数Aは、差DFRと駆動配分率Tfのデータから回帰演算を行なうことにより、つぎの式(15)から求めることもできる。
A={nΣDFR×Tf−(ΣDFR)×(ΣTf)}/{nΣTf2−(ΣTf)2} ・・・(15)
【0035】
また、前記初期値Cは、駆動配分率Tf=0のときの実測値を用いてもよいが、つぎの式(16)から求めることもできる。
C=ΣDFR/n−(A/n)×ΣTf ・・・(16)
【0036】
また、前記左右前輪の接地荷重Fzfと左右後輪の接地荷重Fzrは、たとえばつぎの式(17)、(18)から求めることができる。
Fzf=Mv×g×Lr/L−Mv×Gx×H/L ・・・(17)
Fzr=Mv×g×Lf/L+Mv×Gx×H/L ・・・(18)
ここで、Mv:車両の質量
g:重力加速度
Lr:車両の重心と後輪車軸とのあいだの車両前後方向の距離
Lf:車両の重心と前輪車軸とのあいだの車両前後方向の距離
L:前輪車軸と後輪車軸とのあいだの距離
Gx:前後方向加速度
H:車両の重心高さ
である。
【0037】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
車両として、正常空気圧(2.2×105Pa)の3つの新品タイヤと1つの摩耗タイヤ(摩耗度合:80%)が装着された電子制御式4輪駆動車(後輪主導タイプ:排気量3000cc)を用意した。前記タイヤのタイヤサイズは235/65R17である。前軸と後軸への駆動トルクの配分率は、(前輪/後輪)=0/100〜50/50の範囲で駆動制御装置のコンピュータにより制御されている。また、この駆動トルクの配分率は、駆動制御装置からCAN経由でタイヤ空気圧低下検出装置に取り込まれる。
【0039】
まず前記駆動制御装置と前記実施の形態におけるスリップ率演算のプログラムおよびタイヤ減圧判定のプログラムを格納するタイヤ空気圧低下検出装置を搭載した車両の走行試験を行なった(実施例)。ついで従来のタイヤ空気圧低下検出装置を搭載した車両の走行試験も行なった(比較例)。その結果、本実施例では、駆動輪に異種タイヤを装着していても空気圧判定の精度が向上しているため、誤報を発することがなかった。これに対し、比較例では、タイヤが正規圧であるのにかかわらず、誤報を発した。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、摩耗度合の異なるタイヤや仕様違いのタイヤを混用した場合でも、誤警報なく空気圧判定を行なうことができるため、車両性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ空気圧低下検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1のタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】4輪駆動車の前後輪のスリップ率と駆動配分率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 回転情報検出手段
2 制御ユニット
3 表示器
4 初期化スイッチ
5 警報器

Claims (6)

  1. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算方法であって、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める工程と、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める工程と、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める工程と、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求める工程を含むスリップ率演算方法。
  2. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算装置であって、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める差演算手段と、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める関数演算手段と、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める荷重配分演算手段と、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算手段を備えてなるスリップ率演算装置。
  3. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤのスリップ率を求めるためにコンピュータを、前記タイヤから得られる車輪回転情報から前輪タイヤのスリップ率と後輪タイヤのスリップ率との差を求める差演算手段、該スリップ率の差と前記4輪車両から得られる前軸と後軸への駆動トルクの配分率との関係から、関係式を求める関数演算手段、左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分を求める荷重配分演算手段、前記駆動トルクのトルク増分に伴う前輪タイヤと後輪タイヤそれぞれのスリップ率の変化率が前記左右前輪の接地荷重と左右後輪の接地荷重の配分に反比例する関係に基づいて、前記関係式から前記前輪タイヤおよび後輪タイヤのスリップ率を求めるスリップ率演算手段として機能させるためのスリップ率演算のプログラム。
  4. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、請求項1記載のスリップ率を演算する各工程と、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する工程を含むタイヤ空気圧低下検出方法。
  5. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、請求項2記載のスリップ率演算装置と、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する減圧判定手段を備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
  6. 前軸と後軸への駆動トルクの配分を制御することができる4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、請求項3記載のスリップ率演算のプログラムとして機能させるともに、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、走行中の駆動輪の相対速度比を補正し、タイヤの空気圧の低下を判定する減圧判定手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
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