JP2842888B2 - リボヌクレアーゼインヒビターを有効成分とする癌細胞転移抑制剤 - Google Patents

リボヌクレアーゼインヒビターを有効成分とする癌細胞転移抑制剤

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、癌細胞転移抑制剤に関するものであり、詳
しく述べると、胎盤性リボヌクレアーゼインヒビターを
有効成分とし、肺癌、乳癌、大腸癌などを原発巣とする
癌細胞転移、特に肺癌細胞の肺転移に対して抑制効果が
期待できる癌細胞転移抑制剤に関するものである。
「従来の技術」 現在、癌の治療法として外科療法、放射線療法、化学
療法、免疫療法等がある。これらのうちで外科手術と放
射線療法が最も根治的意義を有している。ただ、手術及
び放射線療法は、いずれも局所療法であるので、腫瘍が
局所の範囲内にとどまっている限りは、これらの治療法
も有用であるが、局所の範囲を越えて拡がっているよう
な進行性のものとか、あるいは系統的疾患においては大
きな限界がある。一方、化学療法や免疫療法は、全身療
法であるという特質を有し、ともに比較的新しい分野の
治療法であるが、進歩がめざましく今後の発展が強く期
待できる領域である。
外科療法、放射線療法および免疫化学療法は、それぞ
れ原理の異なった治療法であり、その効用と限界もまた
自ずと異なっている。従って、これらの各種治療法の適
正な組合せは、それぞれ相乗的に作用しあい足りないと
ころを補いあって治療効果を高めるのに役立ち、このよ
うな多面的、集約的な複合治療法によって初めて悪性腫
瘍治療の向上がもたらされる。そして、このような複合
治療のなかで、癌細胞の血管新生抑制という新しい観点
からの治療法の確立が急務である。
従来の癌化学療法は、5−フルオロウラシル(5−F
U)、マイトマイシンC(MMC)、シスプラチン(CDD
P)、アドリアマイシン(ADR)等に代表される核酸やタ
ンパク質の合成阻害剤を主に用いた多剤併用療法が主流
であった。しかしながら、これらは、その強い副作用の
ために未だ化学療法を限られた補助療法の域にとどめ、
また、その使用法も副作用との関係で、量的にも非常に
限られるために、治療成績も満足できる状態でないのが
現状である。
一方、近年、本来の生体がもっている免疫防御機構で
ある異物排除機構を高めることによって癌を治療する試
みをも行われ、そのために用いられる代表的な薬物とし
ては、インターフェロン類及びインターロイキン類をは
じめとする種々のリンホカイン類が知られている。しか
しながら、これらの物質は、いずれも本来は異物が侵入
してきた時にのみ局所で産生され、局所で種々の生体反
応を惹起するものであるために、これらの物質を癌治療
に応用するために全身投与すると発熱等の副作用も出現
することが多かった。更に、癌細胞が生体にとって異物
としては認識されにくいためか、治療応用可能な癌が極
めて限定されていて、治療成績も余りよいとは言えない
のが現状である。
「発明が解決しようとする課題」 このように、従来、臨床に使用されている核酸やタン
パク質の合成阻害剤からなる抗腫瘍剤は、副作用が強
く、効果の面からも満足できる状態ではない。
また、生体への免疫賦滑作用による抗腫瘍剤、いわゆ
るBRM(Biological response modifiers)製剤も、発熱
等の副作用がある上に、治療対象とされる腫瘍の種類に
大きな制約があった。
従って、本発明の目的は、生体成分である毒性の低い
物質を使用し、生体本来の制御機構を利用した癌治療を
行い得るようにした癌細胞転移抑制剤を提供することに
ある。
「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するため、本発明は、胎盤性リボヌク
レアーゼインヒビターを有効成分とする癌細胞転移抑制
剤を提供するものである。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
リボヌクレアーゼインヒビターは、RNAを切る酵素、
すなわちリボヌクレアーゼとコンプレックスを形成し、
その活性を特異的に阻害する物質であり、基本的には生
体のあらゆる臓器、組織中に存在し、生体のタンパク合
成に関与して、細胞の増殖制御に深く関わっている物質
であると考えられる。リボヌクレアーゼインヒビター
は、現在、遺伝子工学の分野において、例えばメッセン
ジャーRNAを細胞から採取するときに、リボヌクレアー
ゼによってメッセンジャーRNAが分解されるのを防ぐ試
薬として使用されている。
リボヌクレアーゼインヒビターは、癌細胞のように速
い増殖能を持ちながら癌細胞とは異なり高度に制御され
た組織に多量含まれていると推定され、その調製材料と
してはヒト胎盤が好ましく用いられている。すなわち、
リボヌクレアーゼインヒビターは、Blackburnの方法
(J.Biol.Chem.252巻、5904〜5910ページ、1977年)に
より、ヒト胎盤よりリボヌクレアーゼセファロースを用
いた親和クロマトグラフィーにより精製することができ
る。また、リボヌクレアーゼインヒビターは、例えばRN
asin(米国Promega Biotec社)、Human placental ribo
nuclease inhibitor(英国Amersham社)、Ribonuclease
inhibitor(宝造酒株式会社)として市販されており、
容易に入手できる。
リボヌクレアーゼインヒビターは、本発明者らのグル
ープ及びValleeらのグループにより、N末端構造が完全
には同定されていないまでも一次構造が決定されている
物質である(Biochemistry、27巻、8545〜8553ページ、
1988年)。
本発明は、この胎盤性リボヌクレアーゼインヒビター
を癌細胞転移抑制剤として使用するものであり、その投
与形態は、静脈内、皮下、筋肉内及び腫瘍内のいずれで
もよい。リボヌクレアーゼインヒビターを投与するため
の担体としては、例えば10mM還元型グルタチオンを含む
滅菌されたリン酸緩衝液などが適当である。
リボヌクレアーゼインヒビターの投与量は、特に限定
されないが、後述する実施例に示されるように、5〜10
00ng/mouseの投与量でいずれも効果が認められており、
極めて微量でその効果を発現する。
リボヌクレアーゼインヒビターの毒性については、後
述する実施例に示されるように、マウスに対して実験を
行なった投与量の範囲では、いずれも体重の減少や毛艶
の変化などが認められず、極めて毒性が低いことが確認
されている。従って、有効投与量の範囲内において、副
作用は殆ど生じないと考えられる。
本発明による物質は、肺移及びリンパ節転移などに対
する癌細胞転移抑制剤として有効である。また、本発明
による物質は、公知の活性物質と併用して抗腫瘍作用を
高めることもできる。
「作用」 本発明において、リボヌクレアーゼインヒビターがど
のような作用機序で癌細胞転移抑制剤を発現するのか
は、未だ解明されていない。しかしながら、推測によれ
ば次のように考えられる。
すなわち、リボヌクレアーゼインヒビターは、分子量
約50,000のタンパクで生体内はアンジオゲニンと1:1の
複合体を形成している。一方、Lobbらの報告(Proc.Nat
l.Acad.Sci.84巻、2338ページ、1987年)によると、リ
ボヌクレアーゼインヒビターは、血管新生活性を持つア
ンジオゲニンの活性を強く抑制することが示されてお
り、癌細胞に栄養補給を行うべく新生される血管の伸長
をも同時に阻害する可能性を有している。従って、この
リボヌクレアーゼインヒビターは、アジオゲニンによる
血管新生作用を阻害し、リボヌクレアーゼ活性を阻害す
る作用を有していると考えられ、これらの作用によって
癌細胞転移抑制剤を発現すると考えられる。
また、本発明者らの実験によれば、リボヌクレアーゼ
インヒビターは、培養乳癌細胞及び正常内皮細胞の増殖
に関しては、なんらの影響も与えなかったことから、細
胞に対して直接的な作用を示さないことも考えられる。
しかしながら、マウスMeth A肉腫細胞、乳癌細胞、黒
色腫細胞及びヒト乳癌細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞等の
担癌動物に対して、微量の腹腔内投与、皮下投与、腫瘍
内投与により、顕著な癌細胞増殖抑制効果及び延命効果
を認め、完全に治癒する動物も観察された。
また、マウスのルイス肺癌細胞を用いた肺転移モデル
の系でリボヌクレアーゼインヒビター処理と原発巣の外
科的手術との併用により肺転移及びリンパ節転移が有意
に抑制された。したがって、外科的手術後の癌転移予防
のための手段の一つである抗転移剤として使用可能であ
る。
「参考例及び実施例」 次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明す
る。
なお、これらの参考例及び実施例において使用したリ
ボヌクレアーゼインヒビターは、Blackburnの方法(J.B
iol.Chem.252巻、5904〜5910ページ、1977年)により、
ヒト胎盤よりリボヌクレアーゼセファロースを用いた親
和クロマトグラフィーにより精製した。また、リボヌク
レアーゼインヒビターの投与に際しては、10mM還元型グ
ルタチオンを含む滅菌されたリン酸緩衝液を担体として
用いた。
参考例1(マウスMeth A肉腫細胞に対するリボヌクレア
ーゼインヒビターによる腫瘍増殖抑制効果と延命効果) 雌Balb/c(6週齢)マウスにMeth A肉腫細胞2.0×105
個を皮内移植し、腫瘍容積として200〜300mm3となった1
0日目から16日目まで、連続7回、リボヌクレアーゼイ
ンヒビターを10ng/mouse、100ng/mouse及び1000ng/mous
eの投与量で腫瘍内あるいは腹腔内投与し、腫瘍容積の
推移と平均生存日数を観察した。また、比較のため、既
知抗癌剤の5−FUについて、投与量20mg/kg/dayで、腹
腔内投与により同様の実験を行った。その結果を表1と
表2に示した。
この結果、種々の投与量で腫瘍増殖抑制効果が認めら
れたが、至適投与量としては100ng/mouseの投与量で腫
瘍内投与した条件下で最大効果が得られ、既知抗癌剤の
5−FU(20mg/kg/day,ipx7)より優れた抗腫瘍効果が得
られた。更に、10ng/mouseの腫瘍内投与でも5−FUと同
等の腫瘍増殖抑制を示し、何らの毒性も認められなかっ
た。一方、延命効果としては、リボヌクレアーゼインヒ
ビター100ng/mouseの腫瘍内投与と1000ng/mouseの腹腔
内投与においてのみ未処置群に比較し、有意な延命効果
を示した。
また、100ng/mouse腫瘍内投与群では1/8に90日以上生
存し、かつ腫瘍の完全治癒か観察された。これらのこと
は、ある程度増殖した時期での腫瘍に対してもリボヌク
レアーゼインヒビターの投与により治療効果が得られる
という意義のある成績である。
参考例2(マウスMM46乳癌細胞に対するリボヌクレアー
ゼインヒビター投与による腫瘍増殖抑制効果) 雌C3H/HeマウスにマウスMM46乳癌細胞5×105個を皮
内移植し、移植後10日目から18日目まで連続9回、リボ
ヌクレアーゼインヒビターを50〜1000ng/mouseの範囲の
投与量で腫瘍内及び腹腔内投与した。腫瘍移植後42日目
にマウスを殺し、実際の腫瘍を摘出し腫瘍重量を測定し
た。また、比較のため、既知抗癌剤のニムスチンについ
て、投与量5mg/kg/dayで、腹腔内投与により同様の実験
を行った。その結果を表3に示した。
リボヌクレアーゼインヒビターの50、100、500ng/mou
seの腫瘍内投与では、腫瘍増殖抑制率として72.9%から
88.9%と強い抑制効果を示した。一方、500ng/mouseの
腹腔内投与でも80.3%の抑制率を示した。一方、ニムス
チン(5mg/kg/d,ipx9)では有意な腫瘍増殖抑制効果が
認められなかったことから、腫瘍内あるいは腹腔内投与
のどちらの投与ルートでもリボヌクレアーゼインヒビタ
ーは有効であることを確認できた。
参考例3(マウスMM46乳癌細胞に対するリボヌクレアー
ゼインヒビター投与による腫瘍増殖抑制効果と延命効
果) 雌C3H/Heマウス(6週齢)にマウスMM46乳癌細胞2×
105個を皮下移植し、移植後1日目から9日目まで連続
9回、リボヌクレアーゼインヒビターを10〜10000ng/mo
useの範囲の投与量で腹腔内投与した。腫瘍移植後14日
目の腫瘍容積を測定し、平均生存日数を観察した。ま
た、比較のため、既知抗癌剤のニムスチンについて、投
与量5mg/kg/dayで、腹腔内投与により同様の実験を行っ
た。その結果を表4と表5に示した。
リボヌクレアーゼインヒビターは、10ng/mouseの投与
量では腫瘍増殖抑制率として35、8%と余り強い効果は
得られず、50ng/mouse、500ng/mouse、1000ng/mouse範
囲の投与量で腹腔内投与した時に75%以上の抑制率を示
した。腫瘍増殖抑制効果と同様に50ng/mouse以上の投与
量で延命増加率として166.8%以上の効果を示し、ニム
スチン(5mg/kg/day,ipx9)の効果より優れていた。特
に、リボヌクレアーゼインヒビター50ng/mouseの腹腔内
投与した群では7/9が60日以上生存、生存した全てが完
全治療動物であった。従って、リボヌクレアーゼインヒ
ビターの腹腔内投与に対して、マウスMM46乳癌細胞は感
受性の高い癌細胞株であることも判明した。
参考例4(マウスB16黒色腫細胞に対するリボヌクレア
ーゼインヒビター投与による腫瘍増殖抑制効果と延命効
果) 雌BDFIマウス(6週齢)にB16黒色腫細胞(melanom
a)1×105個を皮下移植し、移植後1日目から20日目ま
で連続20回、リボヌクレアーゼインヒビターを5〜500n
g/mouseの範囲の投与量で腹腔内投与した。腫瘍移植後2
1日目の腫瘍容積を測定し、平均生存日数を観察した。
また、比較のため、既知抗癌剤のシスプラチン及び酢酸
コーチゾンについても所定の投与量で同様な実験を行っ
た。その結果を表6と表7に示した。
リボヌクレアーゼインヒビターの5〜500ng/mouseの
投与量では約50%前後の腫瘍増殖抑制率しか示さず、シ
スプラチン(1mg/kg/day,ipx20)及び酢酸コーチゾン
(50mg/kg/day,scx20)の効果には及ばなかった。しか
しながら、リボヌクレアーゼインヒビターの50ng/mouse
/day,ipx20と、100ng/mouse/day,ipx20の投与量では、
シスプラチン及び酢酸コーチゾンに比較してやや劣るも
のの延命効果が有意に認められた。
参考例5(腎被膜下移植法(SRC)によるヒト結腸癌細
胞(Co−4)に対するリボヌクレアーゼインヒビターの
腫瘍増殖抑制効果) 雌ICR/CDIマウス(6週齢)の腎臓被膜下にヒト結腸
癌細胞株(Co−4)の10mm3細胞塊を移植し、移植後1
日目から5日目まで連続5回、リボヌクレアーゼインヒ
ビターを10〜1000ng/mouseの範囲で投与量で腹腔内投与
した。腫瘍移植後6日目にマウスを屠殺し、実体顕微鏡
下で腫瘍の短径と長径を計測し腫瘍容積を算出した。ま
た、比較のため、既知抗癌剤の5−FU、マイトマイシン
C、ニムスチン、アドリアマイシン、シスプラチンにつ
いても所定の投与量で同様な実験を行った。その結果を
表8に示した。
リボヌクレアーゼインヒビターは、何れの投与量にお
いても阻止率としては約30〜35%の範囲で、既知の抗癌
剤よりもやや劣った腫瘍増殖抑制効果しか示さなかっ
た。しかし、1000ng/mouse、ipx5の投与量ではニムスチ
ン(10mg/kg/day,ipx2)に匹敵する効果を示した。
参考例6(ヌードマウスに移植されたヒト結腸癌細胞
(Co−4)の増殖に対するリボヌクレアーゼインヒビタ
ーの抗腫瘍活性) 雌Balb/c nu/nu(−)マウスにCo−4腫瘍片、200〜2
50mm3の腫瘍を移植し、腫瘍移植後2日目から16日目ま
で1日置きに8回リボヌクレアーゼインヒビターを腹腔
内投与した群と、移植後25日目から34日目迄連日リボヌ
クレアーゼインヒビターを腹腔内投与した群で比較検討
した。その結果を第1図に示した。投与量としては100n
g/mouseと500ng/mouseを用いた。
初期の投与では、両投与量共に顕著な増殖抑制効果を
示し、25日目から開始した後期の投与の際でもリボヌク
レアーゼインヒビターを腹腔内投与している限り腫瘍の
増殖抑制効果が維持されることを立証できた。このこと
は、ヒト結晶癌細胞の増殖抑制効果とリボヌクレアーゼ
インヒビター生体内での存在との間に何らかの相関関係
がある可能性を示唆している。
参考例7(ヌードマウスに移植されたヒト乳癌細胞(M
Χ−1)の増殖に対するリボヌクレアーゼインヒビター
の抗腫瘍活性) 雌Balb/c nu/nu(−)マウスにMΧ−1腫瘍片、2×
2mmを移植し、移植後13日目で腫瘍容積が532±139mm3
達した時をday 1とし、リボヌクレアーゼインヒビター
の5〜500ng/mouse/dayの投与量で1週間に6回腹腔内
投与し、これを4週間連続する条件で検討した。リボヌ
クレアーゼインヒビター腹腔内投与した群で投与後28日
目での腫瘍重量を計測した結果を表9に示した。また、
比較のため、既知抗癌剤の酢酸コーチゾン、ニムスチン
についても所定の投与量で同様の実験を行い、その結果
も併せて表9に示した。
リボヌクレアーゼインヒビター10ng/mouse/dayの腹腔
内投与した群では酢酸コーチゾン(50mg/kg/day,ipx2
4)及びニムスチン(2mg/kg/day,ipx24)より優れた抗
腫瘍効果が認められた。
リボヌクレアーゼインヒビター100ng/mouse/dayの腹
腔内投与した群の典型的な腫瘍容積の推移を表10に示し
た。ここでは腫瘍増殖曲線を投与前の腫瘍容積(To)と
投与後の腫瘍容積(Tt)の比として表した。
表10から100ng/mouseの腹腔内投与により未処理群に
比較し、顕著な腫瘍増殖抑制効果が投与期間中明らかと
なった。
実施例(リボヌクレアーゼインヒビターのルイス肺癌細
胞に対する抗転移効果) ルイス肺癌細胞を雌BDFI(5週齢)マウスの耳に皮内
移植し、リボヌクレアーゼインヒビターを10〜1000ng/m
ouseの投与量で腫瘍移植後1日目から10日間連続腹腔内
投与し、原発巣を腫瘍移植後14日目に外科的に摘出し
た。その後、21日目にマウスを屠殺し、胸部リンパ節と
肺への癌細胞の転移をリンパ節転移重量並びに肺転移結
節数を測定することにより明らかにした。また、比較の
ため、既知抗癌剤の5−FU、レンチナン、酢酸コーチゾ
ンについても所定の投与量で同様な実験を行った。その
結果を表11に示した。
リボヌクレアーゼインヒビターの10〜1000ng/mouseの
投与量では14日目での腫瘍増殖抑制作用は認められず、
50ng/mouse/dayの至適投与条件で51.7%の肺転移抑制と
56.0%のリンパ節転移抑制が認められた。一方、5−FU
(5mg/kg/day,ipx10)では49.5%の肺転移抑制効果が認
められたが、酢酸コーチゾン(50mg/kg/day,ipx10)で
は肺転移が2倍に増進した。この肺転移の増進の理由は
分からないが、酢酸コーチゾンに免疫抑制作用に依存し
ている可能性もある。いわゆる免疫賦活剤であるレンチ
ナン(1mg/kg/day,ipx10)では全く肺転移抑制効果が認
められなかったことからもリボヌクレアーゼインヒビタ
ーによる肺およびリンパ節転移の抑制作用は、免疫賦活
作用のみによるメカニズムではないと考えられる。
「発明の効果」 以上述べたように、本発明の胎盤性リボヌクレアーゼ
インヒビターを有効成分とする癌細胞転移抑制剤は、高
い抗腫瘍活性を有し、特に乳癌および結腸癌等の固形癌
に対して顕著な効果を示し、且つこれら原発巣の固形癌
を外科的に摘出した際に問題となる肺及びリンパ節転移
に対しても有効であることから手術後の転移防御に充分
対処できる。しかも、毒性の極めて低いことから長期間
使用可能である点も特徴的である。更に、水溶性である
ために非常に扱いやすく、かつ製剤も安定である。
【図面の簡単な説明】
第1図はヌードマウスに移植されたヒト結腸癌細胞(Co
−4)の増殖に対するリボヌクレアーゼインヒビターの
抗腫瘍活性を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 桜井 敏晴 神奈川県川崎市多摩区菅仙谷3―1―14 ―105 (56)参考文献 特開 平1−93537(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.84(1987)p. 2238−2241 Br.J.Cancer,Vol. 57,No.6(1988)p.587−590 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 38/43 CA(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】胎盤性リボヌクレアーゼインヒビターを有
    効成分とする癌細胞転移抑制剤。
  2. 【請求項2】胎盤性リボヌクレアーゼインヒビターを有
    効成分とする肺転移及びリンパ節転移に対する癌細胞転
    移抑制剤。
JP1126387A 1989-05-19 1989-05-19 リボヌクレアーゼインヒビターを有効成分とする癌細胞転移抑制剤 Expired - Fee Related JP2842888B2 (ja)

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DE3935132A DE3935132A1 (de) 1989-05-19 1989-10-18 Antitumormittel, mittel zum unterdruecken von tumorzellmetastasen und verfahren zum behandeln von krebs und zum kontrollieren von tumorzellmetastasen
FR8914226A FR2647017A1 (fr) 1989-05-19 1989-10-30 Agent antitumoral et agent antimetastatique contenant un inhibiteur de la ribonuclease comme composant actif
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