JP4395901B2 - 新規遺伝子治療用薬剤 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍、PTCA後再狭窄及び移植片対宿主病等に対する新規遺伝子治療用薬剤、詳しくは(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又は動物の体内で当該グアニン誘導体に変換可能な誘導体を含有する遺伝子治療用薬剤、更に詳しくは遺伝子治療において、使用する遺伝子として好ましくは当該グアニン誘導体を燐酸化する酵素の遺伝子、より好ましくはチミジンキナーゼ遺伝子、特に、ウイルス(ヘルペス等)のチミジンキナーゼ遺伝子と共に使用する、当該グアニン誘導体を含有する遺伝子治療用薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌に対する遺伝子治療の臨床的手法としては、(1)癌細胞に癌抑制遺伝子であるp53遺伝子や癌遺伝子のアンチセンス遺伝子を導入するといった癌関連の遺伝子を直接標的とするもの、(2)腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)や癌細胞に各種のサイトカイン遺伝子や同種組織抗原遺伝子等を導入し、癌に対する免疫の増強を図るもの、(3)癌細胞にヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK遺伝子)を導入し、ヘルペスウイルスの治療薬であるガンシクロビル(GCV)を投与し癌細胞を死滅させるといった、癌細胞に自殺遺伝子を導入し新たに癌細胞を薬剤感受性にするもの、(4)造血細胞に多剤耐性遺伝子を導入し、抗癌剤に対する耐性を増強させてから、癌に対して大量の化学療法を行うもの、等がある(松下栄紀等、肝胆膵 34(4):433−438、1997参照。)。
【0003】
このような手法を用いて、メラノーマ、脳腫瘍、乳癌、大腸癌、肺癌、卵巣癌、腎癌等各種の癌を対象に臨床プロトコールが承認されている。肝細胞癌に対して、早くから上記(3)の手法を用いたものが報告されており( Huber BE, Richards CA, Krenisky TA : Retroviralmediated gene therapy for the treatment of hepatocellular carcinoma : an innovative approach for cancer therapy. Proc Natl Acad Sci USA 88 : 8039-8043, 1991参照。)、最近では脳腫瘍に対しての臨床的報告も見られる( Ram Z. et al., Nat. Med. 3(12), p1354-1361,
1997 参照。)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如く、遺伝子治療法は人体に遺伝子を導入して行う治療であり、種々の方法が提案されているが、何れも完全な方法とは言えない。従って、種々の方法、特にその薬剤、遺伝子やそれを運ぶベクターについて研究が進められているが、現在のところそれと併用されて使用される遺伝子治療用薬剤の研究はあまり進んでいない。例えば、ガンシクロビルが報告されている( ST Clair MH, Lambe CU, Furman PA : Inhibition by ganciclovir of cell growth and DNA synthesis of cells biochemically tranformed with herpesvirus genetic information. Antimicro Agents Chemother 31 : 844-849, 1987参照。)が、ガンシクロビルは骨髄抑制や生殖毒性が出現するのでこのことが投与制限因子になっている。ガンシクロビルと同じグアニン系抗ウイルス剤としてアシクロビル(ACV)が知られているが、アシクロビルは治療効果が極めて弱い。
このような情況下に、特に抗腫瘍剤として安全性が高く治療効果が優れている遺伝子治療用薬剤の開発が求められている。
【0005】
本発明の目的は、優れた遺伝子治療用薬剤の開発、特に薬効面と安全性の両方から特にヒトの体内で薬剤として効果を有効に発揮するための有用性が高い薬剤の開発にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、下記構造式(1)で示される化合物:(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又は動物体内で当該化合物に変換可能な誘導体(以下、併せて「グアニン誘導体」と略称することがある。)を遺伝子治療用薬剤成分として使用し、使用する遺伝子として好ましくは当該グアニン誘導体を燐酸化する酵素の遺伝子、特に当該遺伝子が、好ましくはヘルペス等のウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子、特にHSV-1, HSV-2, VZVのチミジンキナーゼ遺伝子と共に使用することにより当該グアニン誘導体がヒト等の動物体内、特に腫瘍細胞等疾患部位の細胞内で燐酸化、特に三燐酸化され阻害すべきDNA鎖の生長を止めることで細胞毒性を発揮すること、更に隣接する当該標的とする細胞に対しても同様に阻害作用を示すこと、従ってこのグアニン誘導体が腫瘍、PTCA後再狭窄及び移植片対宿主病等の遺伝子治療用薬剤として使用可能であること、を見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
【0007】
【化1】
【0008】
即ち、本発明は、(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又はその医薬上許容される塩若しくはそのヒドロキシメチル基の水酸基の少なくとも1個がアミノ酸でエステル化されたもの(グアニン誘導体)を含有するチミジンキナーゼ遺伝子を使用する遺伝子治療用の薬剤であり腫瘍、PTCA後再狭窄又は移植片対宿主病等の治療に用いることができる。なお、本発明では、腫瘍の治療に使用される。また、本発明の遺伝子治療用薬剤には下記の発明も含まれる。
【0009】
本発明の遺伝子治療用薬剤では、当該遺伝子治療として自殺遺伝子療法による治療であるチミジンキナーゼ遺伝子を使用する遺伝子治療が選択される。
1.なお、上記薬剤は、ヒト用の治療剤であり、好ましくは腫瘍、PTCA後再狭窄及び移植片対宿主病の何れかの治療用(本発明に使用する「治療」には治療、改善、悪化防止、予防等での当該グアニン誘導体の使用が含まれる。)であってもよい。本発明では、腫瘍の治療に使用される。
2.1日当たりヒトに対して0.001〜10000mg/kg非経口投与用特に静脈内投与用、又は0.005〜50000mg/kg経口投与用である上記薬剤。
【0010】
本発明の遺伝子治療用薬剤では、遺伝子治療に使用する遺伝子は、上記グアニン誘導体を燐酸化する酵素の遺伝子であるチミジンキナーゼ遺伝子、好ましくはウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子と共に使用されればよい。
3.当該ウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子がヘルペス(HSV-1, HSV-2及びVZVを含む。)のチミジンキナーゼ遺伝子である上記薬剤。
4.チミジンキナーゼ遺伝子が標的細胞にウイルスベクターで導入するための遺伝子である上記薬剤。
【0011】
上記酵素の遺伝子として、好ましくは上記ヘルペス等のウイルスチミジンキナーゼ遺伝子が採用されるが、その遺伝子は、標的とする細胞に適当なベクター(ウイルスベクター等)を使用して必要な細胞に運ぶこともできるし、直接体内の必要細胞に、例えばリポソームで導入することもできる。
5.なお、上記薬剤において、グアニン誘導体は、前記構造式(1)の化合物において、ヒドロキシメチル基の水酸基の少なくとも1個がアミノ酸でエステル化された誘導体であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遺伝子治療用薬剤について実施の形態を説明する。
本発明の遺伝子治療用薬剤は遺伝子治療に使用する薬剤であり、従来から知られている方法や今後開発される遺伝治療法を利用して治療、即ち各種疾患の治療、改善、予防に、使用される薬剤である。本発明の薬剤はグアニン誘導体(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又は動物の体内で当該化合物に変換可能な誘導体を含有するもので、好ましくは当該化合物を燐酸化する酵素の遺伝子、より好ましくはチミジンキナーゼ遺伝子、特に好ましくはウイルス(上記ヘルペス等)のチミジンキナーゼ遺伝子と共に使用する遺伝子治療用薬剤である。なお、本発明では、前記誘導体として(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又はその医薬上許容される塩若しくはそのヒドロキシメチル基の水酸基の少なくとも1個がアミノ酸でエステル化されたものが選択され、チミジンキナーゼ遺伝子、好ましくはウイルス(上記ヘルペス等)のチミジンキナーゼ遺伝子と共に使用される。また、本発明では、腫瘍の治療、改善、予防に使用される。
【0013】
本発明の遺伝子治療用薬剤は、各種遺伝子治療法の中で、腫瘍細胞等標的細胞に好ましくは自殺遺伝子を導入し当該標的細胞を抑制する方法に使用することができる。その際、本発明に使用する前記グアニン誘導体をプロドラックとして使用するものであり、酵素遺伝子の作用により標的細胞中で本発明に使用するグアニン誘導体を好ましくは三燐酸に変換してドラックとするものである。この場合、自殺遺伝子とプロドラッグの選択が必要となるが、好ましくは自殺遺伝子として単純ヘルペスチミジンキナーゼを使用することができる。この手法に関しては、ガンシクロビルの使用例が報告( Ram Z. et al., 前記報告参照。)されているので、この方法に準じて本発明の遺伝子治療用薬剤を調製し、使用することができる。
【0014】
本発明の薬剤を遺伝子治療用に使用する場合、ヒト、その他動物の疾患の治療(前記治療、改善、悪化防止、予防等での使用を含む。)を目的とした遺伝子による治療、即ち疾患の治療、改善、悪化防止、予防等幅広く使用することができる。この方法が適用される疾患としても遺伝子が利用される疾患であれば何れも使用可能であるが、好ましくは各種の腫瘍、PTCA後再狭窄及び移植片対宿主病等への使用が期待できる。腫瘍については、各種部位に発生する、良性、悪性の腫瘍、癌が含まれる。移植片対宿主病ついて、臓器移植では臓器や細胞の種類は、特に制限されない。
【0015】
薬剤の有効成分として本発明に使用する前記グアニン誘導体としては、前記構造式(1)で示される遊離形の形態で使用することができるが、医薬上許容される塩やエステルその他の関連誘導体、その他患者等動物の体内で前記構造式(1)で示される化合物に変換できる誘導体の形態、例えば前記構造式(1)で示される化合物において、ヒドロキシメチル基の水酸基の両方又は一方がアミノ酸でエステル化された誘導体やグアニン環に存在するカルボニル基が水酸基に共鳴した異性体で当該水酸基が水素原子で置換された誘導体(プリン環を有する)(特開平5−78357号、6−227982号及び特開平7−188231号公報等参照。)でも使用可能であり、これ等全ての形態も本発明の薬剤の有効成分に使用するグアニン誘導体に含まれる。
【0016】
ヒトに投与する場合、経口、非経口投与何れも可能である。その製剤を製造する場合、各種の公知の製剤技術を利用して必要とされる経口又は非経口の製剤を製造することができる。
【0017】
その使用量については患者の症状、重症度、健康状態等に応じて適宜選択されるが、非経口投与、特に静脈内投与する場合、好ましくは1日当たり0.001〜10000mg/kg程度、より好ましくは0.01〜1000mg/kg程度、更に好ましくは0.1〜20mg/kg程度使用することができる。同様に経口投与する場合、好ましくは1日当たり0.005〜50000mg/kg程度、より好ましくは0.05〜5000mg/kg程度、更に好ましくは0.1〜2000mg/kg程度使用することができる。
1日1回から数回に分けて投与することができるが、通常は1日当たり1〜3回投与すればよい。症状等に応じて間歇的に又は集中的に投与することもできる。
【0018】
本発明の薬剤を投与する場合、好ましくはウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子を導入する必要があり、特にウイルスベクター産生細胞を局所に移植する場合には、ウイルスベクターを患部に十分に行き渡らせる必要があるためベクター産生細胞移植の後に、上記薬剤を投与するのが好ましい。
【0019】
チミジンキナーゼ遺伝子を導入するには、従来から知られている導入方法や今後開発されるベクター等導入方法を採用することができる。
腫瘍(国際出願特表平9−504518号公報参照。)、PTCA後再狭窄(国際出願特表平9−504558号参照。)やHSV-1チミジンキナーゼ導入について、特にウイルスベクターを全身又は局所感染させる方法が考えられ、その方法としては、使用するウイルスベクター液を直接局所に注射する方法、ウイルスベクター産生細胞を直接腫瘍内に移植する方法や、ウイルスベクターをハイドロゲル中に包み込んで滞留させることにより、ウイルスベクターの局所への感染性を向上させる方法もある。更に、移植片対宿主病の場合の適応についてはドナーから取り出した移植片に ex vivoで遺伝子を導入し、その後患者に移植する方法(国際出願公開WO97/45142号公報参照。)もある。
【0020】
又、ウイルスベクター以外にも、直接遺伝子を細胞内、特に細胞核内に注入する方法、赤血球ゴーストや、リポソームやポリカチオンやイムノジーン(抗体に目的遺伝子をコンジュゲートさせたもの)といった各種公知の物理学的製剤技術でHSV-1チミジンキナーゼ遺伝子を局所に送り込む方法も採用可能である。
【0021】
上記に関して種々の報告が見当たるが、最近公開の特許情報(国際出願公開WO93/10218、WO96/05321、WO97/45142及びWO97/44065参照。)を参考にすることもできるし、特にガンシクロビルを使用した遺伝子治療法(Ram Z. et al., Therapy of malignant brain tumors by intratumoral implantation of retroviral vector-producing cells, Nature Medicine, vol. 3, No.12, 1354-1361, 1997等参照。)を参考にすることもできる。この場合、薬剤成分としてのガンシクロビルに代えて、本発明に使用する薬剤成分(グアニン誘導体)を使用する上で参考になる。
【0022】
本発明の遺伝子治療用薬剤は好ましくは各種の腫瘍、悪性及び非悪性に拘わらず、腫瘍の治療に効果を発揮するが、前記チミジンキナーゼと共に各種インターロイキン等のサイトカイン類を併用してベクターで運ぶこともできる。その方法としては前記特表平9−504518号明細書の記載が参考となる。当該特表平9−504518号明細書においては特にベクターの使用方法が参考になるが、本発明においてサイトカインを使用しない場合には、サイトカインの併用に関する部分以外を参考にすることができる。特に、相互作用薬としてのガンシクロビルを使用する部分が、本発明に使用する前記グアニン誘導体の使用に関して参考になる。従って、チミジンキナーゼによるベクターの使用等に関して本発明の参考となる記載内容に関しては本件明細書に組み込まれ、本件明細書の一部を構成する。
【0023】
本発明の遺伝子治療用薬剤を実施する場合、本発明単独で実施することもできるが、同時に他の腫瘍細胞に対する薬剤や治療/処置を併用して目的とする腫瘍細胞の成長を阻害し、妨げ、或いは破壊することができる。
【0024】
前記遺伝子治療用薬剤に加えて、グアニン誘導体(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又は動物の体内で当該化合物に変換可能な前記誘導体を含有する抗腫瘍、PTCA後再狭窄抑制又は移植片対宿主病制御用薬剤も本発明に含まれる。この場合、前記遺伝子治療用薬剤は、この発明:前記グアニン誘導体を含有する抗腫瘍、抗動脈硬化又は抗アレルギー用薬剤の1例として説明される。
【0025】
遺伝子治療用以外の薬剤の説明、即ち、当該抗腫瘍、PTCA後再狭窄抑制又は移植片対宿主病制御用薬剤の発明についての詳細な説明として、その薬剤成分に使用するグアニン誘導体、その投与形態、製剤、1日当たりの投与量、適応としての抗腫瘍、PTCA後再狭窄抑制又は移植片対宿主病制御等の適応についての説明は、前記遺伝子治療用薬剤の説明において説明された通りである。即ち、前記遺伝子治療用薬剤の説明のうち、使用する遺伝子や当該遺伝子の使用法(ベクター遺伝子の使用含む。)に関する説明以外の説明は、全て特に不必要又は矛盾しない限りこの発明の説明に援用される。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
HSV- 1チミジンキナーゼ遺伝子導入細胞に対する細胞毒性
本発明に使用するグアニン誘導体(前記構造式(1)で示される化合物の遊離形)、ガンシクロビル及びアシクロビル(比較例1及び1’)について、HSV-1チミジンキナーゼ遺伝子導入細胞に対する細胞毒性試験を行った。
【0028】
細胞は、ヒト肺小細胞腫瘍由来のRERF-LC-MA細胞に、Molony mouse leukemia virus由来のベクターにチミジンキナーゼ遺伝子を組み込んだウイルスベクターを感染させることにより作製したRERF-LC-MA/LTRNL細胞を使用した。又、HSV-1チミジンキナーゼ遺伝子を導入しないコントロールの細胞としてRERF-LC-MA/LTRNL細胞を使用した。これら細胞の作製方法や細胞毒性の測定は長谷川等により報告された方法( Hasegawa Y. et al., Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 8 (6) (1993) p655-661参照。)に従った。この細胞毒性の測定方法に基づいて、MTT ( 3-(4,5-ジメチルチアゾ−ル-2-イル) -2,5-ジフェニル-テトラゾリウム ブロミド)を使用する比色定量法により細胞毒性を確認した。
【0029】
RERF-LC-MA/LTRNL細胞を培養培地( E-MEM、10%FBS)で希釈し、96ウエル平板に1ウエル当たり2×103個の細胞を播いた。次に、本発明に使用する薬剤成分(グアニン誘導体)、ガンシクロビル及びアシクロビルを様々な濃度でウエルに添加した。次に、湿潤環境下、37℃、5%CO2で4日間培養し、4日目にMTTを使用する比色定量法により細胞毒性を確認した。
【0030】
HSV-1チミジンキナーゼを発現するRERF-LC-MA/LTRNL細胞に対する本発明に使用するグアニン誘導体、ガンシクロビル及びアシクロビルのIC50値は、それぞれ0.66μg/ml、3.2μg/ml及び125μg/ml以上であった(図1参照。)。これに対して、コントロールのRERF-LC-MA/LTRNL細胞に対する本発明に使用するグアニン誘導体、ガンシクロビル及びアシクロビルのIC50値は、それぞれ135μg/ml、201μg/ml及び250μg/ml以上であった。この結果から、本発明に使用する前記グアニン誘導体が従来品と比較すると細胞毒性効果において優れていることが分かった。
【0031】
(実施例2)
マウスの顆粒球マクロファージ前駆細胞( CFU-GM )の成長阻害効果
本発明に使用するグアニン誘導体(前記構造式(1)で示される化合物の遊離形)、ガンシクロビル及びアシクロビル(比較例2及び2’)について、マウスの顆粒球マクロファージ前駆細胞(CFU-GM)に対する成長阻害効果の試験を行った。
【0032】
マウスの顆粒球マクロファージ前駆細胞(CFU-GM)のコロニー形成は岡野等の方法( Okano A. et al., Transplantation 48 (1989 ) p495-498参照。)に従って行った。
【0033】
CFU-GMの成長阻害効果は次のようにして測定した。マウスC57BL/6N Crj10週齢雌性の大腿骨骨髄から骨髄細胞を調製し、様々な濃度のグアニン誘導体、ガンシクロビル又はアシクロビルを添加した薬剤入り半固形培地( Iscove's modified Dulbecco's medium, 0.8% カルボキシメチルセルロース、20%FBS、200unit/mlマウスインターロイキン-3 )に4×104細胞/mlの濃度で播いた。35mm平板上で湿潤環境下、37℃、5%CO2で7日間培養し、出現するCFU-GMコロニーの個数を位相差顕微鏡下でカウントした。
【0034】
マウスの顆粒球マクロファージ前駆細胞( CFU-GM )のコロニー形成に対するグアニン誘導体、ガンシクロビル及びアシクロビルのIC50値は、それぞれ66μg/ml以上、18μg/ml及び26μg/mlであった(図2参照。)。
以上の結果から、本発明に使用するグアニン誘導体はガンシクロビルやアシクロビルと比較して投与された際の骨髄毒性が弱いことが予想され、このことから安全性が極めて高いことが分かった。
【0035】
前記実施例及び比較例、特に図1及び2の結果から明らかなように、本発明の薬剤は、即ちグアニン誘導体を含有する遺伝子治療用薬剤は、治療効果及び安全性の両方を考慮すると従来知られているガンシクロビル及びアシクロビルと比較し有用性において極めて優れていることが分かる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の(-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン(塩や体内で当該化合物に変換可能な誘導体を含む。)を含有する遺伝子治療用薬剤は、従来公知のガンシクロビルやアシクロビルを使用する場合と比較すると、特に抗腫瘍剤として薬効及び安全性の両方を考慮した有用性の面で優れている。各種、各部位の腫瘍は勿論、それ以外の治療でもPTCA後再狭窄や移植片対宿主病等広く、治療、改善、悪化防止、予防等の薬剤、特にヒトに使用することが期待できる。
【0037】
更に、当該グアニン誘導体は、上記遺伝子治療用薬剤として使用できる外に、腫瘍、PTCA後再狭窄や移植片対宿主病等広く、その治療、改善、悪化防止、予防等の薬剤の有効成分として使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において実施されたHSV-1チミジンキナーゼ遺伝子導入細胞に対する細胞毒性試験結果を示した図である。
図中、−○−:本発明;−◇−:アシクロビル;及び−▲−:ガンシクロビルを表す。
【図2】実施例2において実施されたマウスの顆粒球マクロファージ前駆細胞(CFU-GM)の成長阻害効果の試験結果を示した図である。
図中、−●−:本発明;−□−:アシクロビル;及び−△−:ガンシクロビルを表す。
Claims (3)
- (-)-9-[1'S,2'R-ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン-1'-イル]メチルグアニン又はその医薬上許容される塩若しくはそのヒドロキシメチル基の水酸基の少なくとも1個がアミノ酸でエステル化されたものを含有することを特徴とするチミジンキナーゼ遺伝子を使用する腫瘍の遺伝子治療用の薬剤。
- 当該チミジンキナーゼ遺伝子がヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子である請求項1記載の薬剤。
- 1日当たり0.001〜10000mg/kg非経口投与用、又は0.005〜50000mg/kg経口投与用である請求項1記載の薬剤。
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