JP2841286B2 - 法面への樹木導入方法 - Google Patents

法面への樹木導入方法

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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、法面への樹木導入
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】法面の周辺景観との調和や法面の永続的
安定化、自然界への回復などを図る上で、法面を樹木に
よって緑化させることが好適であることから、従来で
は、樹木種子をポットで発芽・生育させた幼苗(所謂ポ
ット苗)や苗木を植栽する樹木導入の工法をとってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ポット苗や
苗木を法面に移植することは、ポット苗や苗木にとって
は、生育環境条件がそれまでとは大きく変化することか
ら活着不良が生じ易く、生育上で問題があった。
【0004】また、ポット苗や苗木を得る上で、専用の
広い栽培地を要すると共に、移植するまでの間の保存に
手数のかゝる管理を必要とし、特に苗木は、枝を張って
嵩張ることから、車両による運搬量に制約を受け易い上
に、この苗木にしてもポット苗にしても、重いことに加
えて丁寧に取り扱わねばならないことから、法面への持
ち込みが非常に困難で重労働となり、施工性の面で問題
があった。
【0005】かゝる点において、樹木種子を法面に直播
きすれば、上記の不都合を伴うことがないのであるが、
播種の状況を目視確認することは不可能と言っても過言
でないことから、播種に偏りが生じて樹林化が不均一に
なることは避け得ず、かつ、不均一であっても樹林化が
成されるならば未だしも、降雨や凍上によって樹木種子
が流亡してしまうことに加えて、たとえ発芽したとして
も、その生育初期に強し日差しを受けて枯れたり、或い
は、幼苗が周りの草木に被圧されて生育不良が生じ、樹
林化どころか、疎らにも樹木を生育させることも望み薄
であった。
【0006】本発明は、かゝる実情に鑑みてなされたも
のであって、播種による樹木導入の形態が、ポット苗や
苗木の植栽に比べて顕著に有利である点に着目して、か
ゝる形態を採る上で好適な種子ポット、即ち、播種状況
を目視確認できることから偏りのない播種が達成され、
かつ、樹木種子の流亡が確実に防止される上に、周りの
草木に被圧されることもなく、しかも、強い日差しを受
けても順調に幼苗を生育させることを可能とした樹木導
入方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するに
至った本発明による法面への樹木導入方法は、時間の経
過と共に腐蝕して土壌と同質化したり、脆弱化する腐蝕
性材料から成り、打ち込み先端部を斜めに切断した筒状
体の内部先端側に、この筒状体の打ち込み後に、樹木種
子を前筒状体に挿入して、法面上に所定間隔に、確実
に設置されなる点に特徴がある。即ち、樹木種子が、
土壌、有機質材、肥料等と混合して筒状体に設置された
り、筒状体を法面に打ち込んだ後に、樹木種子を接着し
たシート状の樹木種子担持体と、土壌、有機質材、肥料
等の一種以上とを筒状体に投入するなどの方法で設置さ
れる。また、樹木種子が、腐蝕性材料より成る袋体に担
持され、この袋体に、有機質材、肥料、植物性繊維、保
水剤、土壌改良材の一種以上と樹木種子とを収容されて
筒状体に設置される。筒状体の形態においては、打ち込
み後端部に、端部保護用のキャップを取り外し可能に設
けてあるキャップ付筒状体を使用したり、筒状体の上部
側を残すようにして打ち込み、周面部に形成した開口を
通して光を採り入れるようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】上記の特徴構成によれば、法面の
所定箇所に腐蝕材料からなる筒状体を、この筒状体の上
部側を残すように法面に打ち込んだ後、筒状体に樹木種
子を挿入し、筒状体の内部先端側に樹木種子が法面に密
着するように設置される。而して、筒状体の打ち込み箇
所を目視することで、樹木種子の播種状況を正確に把握
できることから、偏りのない均一播種が達成される。
【0009】そして、腐蝕性材料からなる箇状体及び樹
木種子担持体等はポット苗や苗木に比べて軽量であるこ
とに加えて、樹木種子を担持体等に保持させているの
で、これを多少手荒に扱っても問題がない上に嵩張ら
ず、従って、運搬や法面への持ち込みの作業性はもとよ
り施工性の面で優れると共に、筒状体の打ち込んだ後、
種子担持体等を筒状体に挿入し、押圧を加えると、筒状
体内において種子が法面表層の土壌に密着するので、樹
木種子は発芽活動を開始し、発芽時における樹木種子の
根の活着性も優れたものとなる。
【0010】更に、前記のような種子担持体等の設置に
より、法面に設置された種子のまわりが箇状体によって
囲われることで、降雨や凍上によって樹木種子が流亡す
ることが防止されると共に、筒状体によって強い日差し
が遮られることから、樹木種子の発芽・生育にとって好
ましい条件が得られ、更には周りの植物による被圧も効
果的に防止される。
【0011】しかも、やがては筒状体が腐蝕し崩壊した
り、脆弱化することから、樹木の根の地山への侵入が妨
げられるようなことがなく、かつ、筒状体は最終的には
土壌と同質化されたり、脆弱化するので、筒状体による
樹木の生長阻害等もなく、筒状体が法面に半永久的に残
るような公害問題も避けることができ、生育条件が良好
であることに加えて偏りのない播種が達成されること
で、緑化のための法面の樹林化が均一に達成される。
【0012】上記の本発明による樹木導入方法は、良質
土の切土法面や盛土法面、客土吹き付け法面、柵工の埋
め戻し土、既存草木生育法面などにおいて、好適に用い
られるが、これらの法面であっても、或いは対象の法面
が痩せ地などであっても、肥沃な苗床を得ることを考慮
して、上記の樹木種子と共に土壌、有機質資材、肥料等
を混合する等して箇状体に収容したり、樹木種子担持体
に、有機堆肥、化学肥料、植物性繊維、保水剤、土壌改
良材の一種以上を収容させておくことか好ましい。
【0013】また、個々の筒状体の打ち込み後端部に、
端部保護用のキャップを取り外し可能に設けておけば、
或いは、いずれかの筒状体に保護キャップを取り外し可
能に設けておいて、これを転用することで、または、箇
状体打ち込みのアタッチメントとして保護キャップを用
意することで、筒状体端部の損傷を伴わせないで、筒状
体の打ち込みを難なく行うことができる。更に、筒状体
内部への適度な光を期する上で、また、排水を兼ねる
ためにも筒状体の法面からの露出部に開口を形成するこ
とが望ましい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。尚、ここで説明する実施例は、請求項4で示した
種子担持体を使用するものについて主に説明する。図1
Aは法面への樹木導入用筒状体を示し、時間の経過と共
に腐蝕して土壌と同質化したり、脆弱化する腐蝕性材料
(例えば竹筒、厚手の段ボール紙や分解腐蝕性のプラス
チックなど)から成る筒状体2であり、この筒状体2の
周面に、光用の開口aを形成したり、この筒状体2の
打ち込み先端部を斜めに切断する。図1のBは樹木種
子bの担持体3である。
【0015】具体的には、上記の樹木種子担持体3は、
時間の経過と共に腐蝕して土壌と同質化する例えば水溶
性のシートによる袋に、土壌、有機堆肥、化学肥料、植
物性繊維、保水剤、土壌改良材の少なくとも一種と樹木
種子bとを混合した植生基材4を収容して成るものであ
って、この担持体3を筒状体2法面への打込後に、箇状
先端側に詰め込んで、担持体3を筒状体2の内部に
保持させるようにしている。
【0016】この担持体3に収容される樹木種子bとし
ては、周りの植物による被圧の影響を受け難いヤマハギ
やイタチハギ、コマツナギなどの他に、周りの植物によ
る被圧の影響を受け易いとされるヤマハンノキやヤシャ
ブシ、クヌギ、赤松、シャリンバイ、アラカシなどが任
意に選択される。
【0017】図2は、本発明の樹木導入方法を法面に施
工した拡大断面図である。図2に示すように、箇状体が
法面表面(法面土壌又は法面に吹付けられた厚層客土吹
付け面)に打ち込まれ、その後樹木種子担持体が挿入さ
れた状況を示している。
【0018】上記の筒状体2は、高さが5〜20cm程
度で直径が2〜10cm程度のものであるが、これに限
られるものではなくて寸法の設定は不問であり、かつ、
打ち込み強度を充分に確保する上からは厚手のものが好
ましい。また、採光用の開口aとして、これを直径が1
〜2cm程度の小径孔にして筒状体2の周面部に拡散さ
せているが、この開口aを箇状体2の軸線方向に長いス
リット形状などに変更可能であり、好ましくは、筒状体
の上部側を残すようにして打ち込み、法面近傍に開口a
を存させるようにして、この開口aを通して光を取り入
れると共に排水機能を有せしめることもできる。
【0019】上記の本発明の法面への樹木導入方法は、
良質土の切土法面や盛土法面、客土吹き付け法面、柵工
の埋め戻し土、既存草木生育法面などで好適に用いられ
るが、上記の担持体3には、土壌、有機堆肥、化学肥
料、植物性繊維、保水剤、土壌改良材の一種以上による
植生基体4を収容して、肥沃な苗床を得られるようにし
ているので、痩せ地の法面であっても好適に用いること
ができる。
【0020】例えば客土吹き付け法面を対象にしての樹
木導入による法面の緑化工法について説明すると、先ず
は図3に示すように、モルタルガン機やエアロシーダ等
の吹付機によって法面6上に張設されたネット7に厚層
客土8を吹き付け、必要に応じて、樹木の生育上で好適
とされる隙間寸法の格子の目を形成するように、地山方
向および等高線方向に線引き等の目印を付ける。
【0021】この格子状の線引き等の目印の交点を樹木
種子bの播種地にして、図4(A)に示すように、線引
き交点の播種地に筒状体2を位置させ、かつ、図4
(B)に示すように、筒状体2の上部側を残すようにし
て筒状体2を客土吹き付け法面9に打ち込むのであり、
この筒状体2の打ち込み後に、筒状体2の内部先端側に
樹木種子bの担持体3を挿入してが客土吹き付け法面9
に密着するように設置する。やがては図4(C)に示す
ように、樹木種子bが発芽・生育するのである。
【0022】また、図4に示すように、筒状体2の法面
への打込時に、箇状体2の打ち込み後端部を保護する上
で、この筒状体2の打ち込み後端部に、例えば金属製の
保護キャップ5を取り外し可能に設けることが好まし
く、かつ、図示の例では、保護キャップ5として、筒状
体2の打ち込み後端側を閉じる蓋形状にして、保護キャ
ップ5の全面を箇状体の打ち込み面にすることができる
ようにしているが、箇状体2の打ち込み端縁のみを保護
する断面コの字状のリング形状にしてもよい。筒状体2
の打ち込みに際して、この筒状体2の打ち込み後端部に
は保護キャップ5を設けることで、端部の損傷を伴わせ
ないで筒状体2の打ち込みを難なく行うことができ、か
つ、打ち込みを終えたならば、蓋形状の保護キャップ5
が樹木種子bの生育にとって邪魔になることから、ま
た、保護キャップ5が法面上に永久的に残って公害問題
に繋がることから、必ずこの保護キャップ5を取り外す
ものとする。
【0023】この取り外した保護キャップ5は、これを
別の筒状体2に転用可能であることから、筒状体2の全
てに保護キャップ5を備えさせておく必要はなく、或い
は、筒状体2の打ち込みのアッタチメントとして保護キ
ャップを用意すれば、全ての筒状体2に保護キャップ5
を備えさせる必要もないのである。
【0024】上記したように本発明によれば、格子状に
線引きした交点に筒状体2を打ち込み樹木種子担持体を
挿入することで、樹木種子bの播種状況を正確に把握す
ることができ、或いは線引等の目印をしていなくても、
客土吹き付け法面9に対する筒状体2の打ち込み箇所を
目視することで、樹木種子bの播種状況を正確に把握で
きることから、樹木種子bの均一播種が容易に達成され
る。
【0025】そして、上記の筒状体2及び種子担持体3
は、軽量である上に嵩張らないことから、運搬や法面9
への持ち込みの作業性はもとより施工性の面で優れ、し
かも、種子担持体3が客土吹き付け法面9に密着するの
で、発芽時における樹木種子bの根の活着性も優れたも
のとなる。
【0026】また、客土吹き付け法面9に設置された種
子担持体3のまわりが筒状体2によって囲われること
で、降雨や凍上によって樹木種子bはもとより植生基材
4の流亡が効果的に防止される。そして、筒状体2の上
部開口ならびに周面部の開口aを通して適度に光を採り
入れながらも、筒状体2が強い日差しを遮ることから、
更には、周面部の開口a或は、箇状体の底部から過剰の
雨水が排水されることで、樹木種子bの発芽・生育にと
って好ましい条件が得られると共に、周りの植物による
被圧を受けることも筒状体2によって効果的に防止され
る。
【0027】しかも、筒状体2はやがては腐蝕し崩壊す
ることから、樹木の根の地山への侵入や樹木の肥大成長
が妨げられるようなことがなく、かつ、筒状体2は最終
的には土壌と同質化されるので公害問題も避けることが
でき、全体として、生育条件が良好であることに加えて
偏りのない播種が達成されることで、緑化のための法面
6の均一な樹林化が達成されるのである。
【0028】尚、筒状体2の内部先端側に対する担持体
3の保持態様として、担持体3をルーズな状態で筒状体
2の内部先端側に入れ込むようにし、筒状体2の内径よ
り小径の棒状体などにより、担持体3を挿入後に押圧
し、担持体3を筒状体内の法面土壌面或は厚層客土面に
密着安定させる方法をとれば、より良好に樹木種子の発
芽活動が開始される。
【0029】また、樹木種子bを植生基材4に混合し
て、これを袋状の担持体3に収容させた実施例について
主に説明したが、シート状の担持体3に例えば水溶性糊
剤によって樹木種子bを接着しておき、このシート状の
樹木種子担持体3を、箇状体2を打ち込んだ後に、筒状
体に挿入し、その後、土壌、有機質材、肥料等の一種以
上を筒状体2に投入して樹木種子の覆土としてもよく、
また、この逆に先に土壌等を投入した後にシート状樹木
種子担持体を挿入し、土壌等の面と密着させることもで
きる。
【0030】以上の実施例は、樹木種子を袋状、シート
状の種子担持体を使用する実施例について述べたが、種
子担持体を使用することにより、現場における品質管理
が確実でかつ容易であるとか、施工性に優れている等と
いう特異な効果が期待できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹木導入
方法によれば、これを法面に施工することで、樹木種子
の根の活着面で好適なように、樹木種子を法面に密着さ
せるように設置でき、しかも、樹木種子の播種状況を目
視によって正確に把握できることから、樹木種子の均一
な播種が達成される。
【0032】そして、筒状体等の使用材料が軽量で且つ
嵩張らないことから取り扱いや施工性の面で優れる上
に、法面に設置された種子等のまわりが筒状体によって
囲われることで、降雨や凍上による樹木種子の流亡が効
果的に防止され、かつ、強い日差しが遮られることから
樹木種子の発芽・生育にとって好ましい条件が得られ、
更には周りの植物による被圧も効果的に防止される。
【0033】しかも、筒状体が腐蝕し崩壊することか
ら、樹木の生長が阻害されることがないと共に公害問題
も避けることができ、全体として、生育条件が良好であ
ることに加えて偏りのない播種が達成されることで、緑
化のための法面の樹林化が均一に達成される。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは、本発明に使用する筒状体の斜視図、B
は、袋状に形成した樹木種子入りの植生基材を明示した
担持体の一部を裂いて示した分解斜視図である。
【図2】本発明を施工した拡大断面図である。
【図3】法面への客土吹き付けの状態を示す緑化工法の
説明図である。
【図4】(A)〜(C)は客土吹き付け法面を対象にし
た本発明の工程手順を示す説明図である。
【符号の説明】
2…箇状体、3…樹木種子担持体、4…植生基材、5…
保護キャップ、a…開口、b…樹木種子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−294132(JP,A) 特開 平8−298811(JP,A) 実公 昭50−32436(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 17/20 102

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腐蝕性材料から成り、打ち込み先端部を
    斜めに切断した箇状体を法面に打ち込んだ後、この筒状
    体の底部に樹木種子を設置することを特徴とする法面へ
    の樹木導入方法。
  2. 【請求項2】 樹木種子が、土壌、有機質材、肥料等と
    混合されて設置される請求項1に記載された法面への樹
    木導入方法。
  3. 【請求項3】 筒状体を法面に打ち込んだ後に、樹木種
    子を接着したシート状の樹木種子担持体と、土壌、有機
    質材、肥料等の一種以上とを筒状体に投入する請求項1
    に記載された法面への樹木導入方法。
  4. 【請求項4】 樹木種子が、腐蝕性材料よりなる袋体に
    担持され、この袋体に、有機質材、肥料、植物性繊維、
    保水剤、土壌改良材の一種以上と樹木種子と収容して
    ある請求項1に記載された法面への樹木導入方法。
  5. 【請求項5】 筒状体の打ち込み後端部に、端部保護用
    のキャップを取り外し可能に設けてあるキャップ付筒状
    体を使用する請求項1〜4に記載された法面への樹木導
    入方法。
  6. 【請求項6】 箇状体の上部側を残すようにして打ち込
    み、周面部に形成した開口を通して光を採り入れる請求
    項1〜5に記載された法面への樹木導入方法。
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