JP2676394B2 - コーティング種子 - Google Patents

コーティング種子

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、種子が栄養土でコーティングされたコー
ティング種子に関する。
〔従来の技術〕
日本人の主食である米は、ほとんど水田で栽培され
る。この水田栽培において、非常に面倒な作業が田植え
である。
田植えは、以前、苗代を作り、この苗代で成育した苗
を水田に移植するようにしていた。この移植作業は、手
作業で随分と多人数を要するものであったが、近年、育
苗箱で苗を育成し、この苗を田植え機で田植えができる
ようになり、かなりの人員が削減できるようになってい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、いくら機械化が進んでも育苗箱で苗を
育成したりする作業はなくならない上、高価な機械が必
要なためにコストが嵩むと言う問題がある。しかも、一
般の田植え機は、苗の横取りピッチを変更することが困
難であるため、育苗箱に苗を育成する際、その横方向の
ピッチを機械の横取りピッチに合うように播種しなけれ
ばならないのであるが、種子は小さいので1粒ずつピッ
チを揃えて播種することが困難である。そこで、ピッチ
が揃わない部分があり、どうしても欠株がでると言う問
題等もある。
一方、他所で育苗して改めて田植えを行うと言う作業
を行う必要がない直播による方法がある。
この直播方法では、労働力が削減できると言う利点が
あるが、従来の直播方法では以下のような問題点があっ
た。
すなわち、たとえば、植え込みが浅いと倒伏する可能
性があるなどの問題があり、通常播種後に覆土するよう
になっているのであるが、覆土すると種子が酸欠を起こ
して発芽しないことが多い。また、覆土をしないように
するため、田に30mm程度の深さのV溝を形成し、そのV
溝の底に播種し無覆土にする方法もあるが、裸籾の場
合、鳥害の虞や無覆土であるとV溝の底ある種子が田に
水を入れると流されて溝底を移動したりする虞もある。
しかも、無覆土の状態で除草剤を散布すると除草剤の影
響で発芽しないと言う大きな問題がある。
また、上記酸欠状態による発芽不良をなくすために、
コーティング種子が提案されている。このコーティング
種子は、酸素を発生する薬剤(カルパー)で種籾が酸欠
になることを防ぎ、酸欠により発芽しないと言うような
ことがないようにするものである。
このコーティング種子を用いた場合、酸欠による発芽
不良が従来より減少するのであるが、このコーティング
種子は、酸素発生剤が比較的硬くコーティングを厚くす
ると逆に発芽を妨害することになるので、コーティング
が比較的薄いものになっている。
したがって、このコーティング種子を用いた場合も、
除草剤の影響を受けやすく裸籾同様に播種後覆土しなけ
ればならない。このため、充分な発芽率を得られないの
が現状である。
この発明は、上記のような問題点を解決することがで
きるコーティング種子を提供することを目的としてい
る。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、このような目的を達成するために、種子
がその周りを栄養土で囲まれてなる種子団子であって、
前記栄養土が多孔質粘土鉱物,木炭粉、および、これら
に吸着された栄養成分と微生物により構成されているこ
とを特徴とする種子団子を要旨としている。
〔作 用〕
この発明にかかるコーティング種子は、上記のように
構成されているので、木炭粉によって団子全体が黒色で
熱吸収性がよい。また、種子が木炭粉によって遮光され
る。多孔質粘土鉱物および木炭粉が栄養成分を充分吸収
した状態にされていて、その栄養成分を種子に徐々に供
給することができるとともに、多孔質粘土鉱物および木
炭粉が除草剤の影響を緩和して種子および芽に直接影響
を与えない。さらに、厚くコーティングしても多孔質粘
土鉱物が水に溶けやすいので、発芽を妨げることがな
い。
〔実 施 例〕
以下に、この発明を、その実施例をあらわす図面を参
照しつつ詳しく説明する。
第1図は、この発明にかかるコーティング種子の断面
を模式的にあらわしている。
図にみるように、このコーティング種子Aは、種子1
が栄養土2でくるまれている。栄養土2は、主にゼオラ
イトやモンモリロナイトなどの多孔質粘土鉱物に木炭の
混合されたもので構成され、多孔質粘土鉱物および木炭
に栄養成分および微生物が吸収されている。
栄養成分としては、とくに限定されないが、木炭にリ
ン成分が保持され、多孔質粘土鉱物には、窒素成分やカ
リ成分が保持される。なお、窒素成分としては、0.1重
量%程度吸収されていることが好ましい。すなわち、こ
の程度の窒素成分が吸着されていると、種子1の発芽が
極めて良好になる。
微生物は、木炭粉に保持されるようになっていて、と
くに限定されないが、たとえば、植物の根の先端に付着
して植物を病気等から守ったり、成長を助けると言われ
ているラクト・バチルス菌などが挙げられる。
種子1としては、特に限定されないが、たとえば、籾
や麦などが挙げられる。
木炭は、特に限定されないが、多孔質粘土鉱物に対し
て20重量%程度にすることが好ましい。
栄養土の厚みは、特に限定されないが、種子径の2〜
7倍程度が好ましい。
この発明にかかるコーティング種子は、上記のように
種子が栄養土で囲まれているので、多孔質粘土鉱物およ
び木炭に吸収された栄養成分が徐々に種子に供給され、
植物の成長が非常に良好なものとなる。したがって、籾
を直播しても、従来のように発芽が不良で株立ちが揃わ
ないと言う問題がなくなる。また、栄養土には、木炭が
混合されているので、光が種子まで透過しにくくなる。
すなわち、種子によっては、光によって発芽状態が変化
するため、冷暗所に保存しなければならないのである
が、このコーティング種子の場合、木炭が遮光体となる
ため、保存性が非常によいのである。しかも、木炭およ
び多孔質粘土鉱物は、ともに多孔質であるため、内部の
種子の温度変化が少ない。
一方、使用時において、栄養土は、すぐに土壌と同化
してしまうが、種子のまわりに存在しているため、多孔
質粘土鉱物および木炭に吸着した栄養成分が種子および
根の成長を助けるようになっている。しかも、木炭が黒
いため、太陽熱を吸収して種子付近の土壌温度が高くな
るため、より一層発芽が助長されることとなる。また、
ゼオライトなどの粘土鉱物は土壌の改質に用いられるも
のであって、このコーティング種子を用いれば、収穫
後、農地を耕起するので、間接的に土壌改良剤を施用し
たことになり、経年的に土壌が改良されていくことにも
なる。また、栄養土が多孔質で酸素を保持して種子の周
りを取り囲んでいるので、コーティングを厚くしても種
子が酸欠を起こすことがない。しかも、栄養土は、土に
同化しやすく種子の発芽を妨げることがないので、コー
ティングを厚くしても発芽が妨げられることがない。コ
ーティングを厚くすれば、その径が大きくなり、1粒ず
つ間隔を置いて播種したりすることが容易となる。
なお、種子が籾の場合、第2図にみるように、代かき
した田7に深さ30mm程度のV溝8を形成し、そのV溝の
底81に各コーティング種子Aを一定間隔を開けて置くと
ともに、上から押さえ、図に鎖線で示すように埋設する
ようにすることが好ましい。このようにすれば、種子が
地面より充分深い所に位置するので、覆土しなくても倒
伏する心配がない。しかも、種子が栄養土でコーティン
グされているので、除草剤が直接種子に影響を与えるこ
とがないので、除草剤で発芽が抑制されることがない。
栄養土の成分が、ゼオライト,木炭,ラクトバチルス
菌,塩化アンモニウムでその厚みが10mm,15mm,20mmのコ
ーティング籾をそれぞれ上記の方法で播種したところ、
全てのコーティング種子が良好な発芽状態を示した。一
方、栄養土の成分がゼオライト,ラクトバチルス菌,塩
化アンモニウムでその厚みが10mm,15mm,20mmのコーティ
ング籾をそれぞれ上記の方法で播種したところ、厚みが
10mmのものは80%,15mmのものは60%,20mmのものは30%
の発芽率しなかった。
この発明にかかるコーティング種子は、上記の実施例
に限定されない。たとえば、上記の実施例では、種子が
麦であったが、他の植物の種子でも構わない。上記の実
施例では、栄養成分として、窒素成分だけであったが、
カリウム成分やリン成分も吸着させるようにしても構わ
ない。上記の実施例では、直播による方法しか例示して
いないが、勿論、従来のように、育苗箱で育苗する場合
にも用いることがてきる。このコーティング種子は粒を
大きくすることができるので、取り扱い性がよく、田植
え機の横取りピッチに合わせて苗を育成することが容易
である。
〔発明の効果〕
この発明にかかるコーティング種子は、以上のよう
に、多孔質粘土鉱物,木炭粉、および、これらに吸着さ
れた栄養成分と微生物により構成されている栄養土でコ
ーティングされてなるので、種子の保存性,発芽性、お
よび、芽の成長が非常によくなる。したがって、単位面
積当たりに撒く種子の量が少なくても良くなる。また、
従来のように幾株も重なるように生えることがなくなる
ので、1本の茎が太くなり倒伏が無くなるとともに、収
穫量も増大する。さらに、病虫の害も少なくなる。しか
も、粒径を大きくすることができるので、種子の植え付
け作業が非常に容易になる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明にかかる種子団子の1例を模式的にあ
らわす断面図、第2図はその播種方法の1例を説明する
田の断面図である。 A……コーティング種子 1……種子 2……栄養土

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質粘土鉱物,木炭粉、および、これら
    に吸着された栄養成分と微生物により構成されている栄
    養土でコーティングされてなるコーティング種子。
  2. 【請求項2】栄養成分として0.1重量%の窒素成分が含
    まれている特許請求の範囲第1項記載のコーティング種
    子。
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