JP2840184B2 - 焼却炉の燃焼制御装置 - Google Patents

焼却炉の燃焼制御装置

Info

Publication number
JP2840184B2
JP2840184B2 JP25151093A JP25151093A JP2840184B2 JP 2840184 B2 JP2840184 B2 JP 2840184B2 JP 25151093 A JP25151093 A JP 25151093A JP 25151093 A JP25151093 A JP 25151093A JP 2840184 B2 JP2840184 B2 JP 2840184B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
incinerator
target value
detecting
furnace temperature
operation amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP25151093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07103444A (ja
Inventor
学 中島
博昭 河端
和夫 能勢
万希志 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP25151093A priority Critical patent/JP2840184B2/ja
Publication of JPH07103444A publication Critical patent/JPH07103444A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2840184B2 publication Critical patent/JP2840184B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Incineration Of Waste (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,焼却炉の燃焼制御装置
に係り,例えば都市ごみ,産業廃棄物等を焼却または熱
分解する流動床式焼却炉の燃焼制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年ますます増大する都市ごみ,産業廃
棄物等を焼却又は熱分解して効率的に処理するために各
種の焼却炉が開発されている。流動床式焼却炉もその一
つであるが,この炉は例えば炉内に砂を充填し,空気を
下部から炉内に吹き込むことによりこの砂を流動化さ
せ,その中にごみ等を投入して均一に加熱・熱分解させ
るものである。そして,さまざまなごみ質にも対処でき
るように炉内温度を制御する方法が開発されているが,
本発明者らは,いわゆる適応的同定手法を用いることに
より制御を行う装置を開発した(特願平5−02006
1号)。図4は従来の焼却炉の燃焼制御装置A0 の一例
における概略構成を示す模式図である。図4に示すごと
く従来の焼却炉の燃焼制御装置A0 は,焼却炉1の炉内
温度を検出するセンサ2と,焼却炉1に加えられる操作
量を検出するセンサ3a ,3b,…,3e と,センサ2
により検出された炉内温度とセンサ3a ,3b ,…,3
e により検出された操作量とに基づいて,焼却炉1の炉
内温度と操作量との関係を表す伝達関数の係数を適応的
同定手法を用いて演算する演算器4と,演算器4により
演算された係数を用いて推定される焼却炉1内の到達温
度が所望の値になるように操作量を補正する補正器5と
を備え,補正器5により補正された操作量を焼却炉1に
加えることにより炉内温度を制御するように構成されて
いる。尚,操作量としてはごみ供給量,一次空気流量・
温度及び二次空気流量・温度を用いており,図中のセン
サ3a はごみ供給量を,センサ3b は一次空気流量を,
センサ3c は一次空気温度を,センサ3d は二次空気流
量を,センサ3e は二次空気温度をそれぞれ検出するも
のである。
【0003】以下,この従来装置A0 の動作について略
述する。先ず,センサ2により焼却炉1の炉内温度が検
出され,センサ3a ,3b ,…,3e により各操作量が
検出される。次に,演算器4により伝達関数の係数が演
算される。この演算に用いられる適応的同定手法は,演
算誤差(推定値の誤差)を用いることを特徴とするもの
である。具体的には「システムと制御」(1981)V
ol.25,No.8の第476ページ〜489ページ
に紹介された逐次型最小自乗推定法に演算誤差に対する
不感帯の概念を加えたものであり,以下の通り導出され
る(ただし,ここでは従来例記載内容を説明の便宜上簡
略化等している)。
【0004】いま,ごみ供給コンベア速度を入力,炉頂
部温度の実測値と基準温度との差を出力として制御対象
のモデルを組み立てる。その燃焼の動特性モデルとして
次の(1)式に示すような一次のモデルを用いるものと
する。 y〔k+1〕+ay〔k〕=bu〔k〕 …(1) ここで,y〔k〕は出力,u〔k〕は入力,kは時刻を
表すためのパラメータ,a,bは未知の係数である。従
って,係数a,bを求めることが同定の目的となる。こ
のため,次の(3)式に示すような不感帯付きの適応的
同定手法を用いた。
【数1】
【数2】 ここで,ae 〔k〕,be 〔k〕は係数a,bの推定
値,m〔k〕は不感帯,e〔k〕は推定値の誤差,wm
は推定値の誤差e〔k〕に対する不感帯,λは忘却係数
(0<λ<1)である。この手法を用いた演算器4内
で,センサ2により検出された炉内温度と,センサ
a ,3b ,…,3e により検出された操作量とに基づ
いて伝達関数の係数(未知の係数の推定値ae ,be
が演算される。この係数ae ,be を用いて推定される
焼却炉1内の到達温度が指定温度(所望の値)となるよ
うに操作量が補正器5により補正される。補正器5によ
り補正された操作量を焼却炉1に加えることにより炉内
温度が制御される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
焼却炉の燃焼制御装置では,適応的同定を行いながらそ
の結果を用いて制御しているため,時間的にゆるやかな
制御対象の動特性の変化に対応できるものの,時間的に
速い変化の外乱の影響を考慮していない。したがって,
外乱により炉内温度の変動が大きくなると,操作量も大
きく変化して,焼却炉の燃焼状態が不安定になるおそれ
があり,改善の余地があった。本発明は,このような従
来の技術における解題を解決するために,焼却炉の燃焼
装置を時間的にゆるやかな制御対象の動特性の変化に対
応しつつ,時間的に速い変化の外乱の影響をも低減する
ことができるように改良し,高い信頼性と良好な制御性
とを有する焼却炉の燃焼制御装置を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は,焼却炉の燃焼状態を表す炉内温度を検
出する第1の検出手段と,上記焼却炉に加えられる操作
量を検出する第2の検出手段と,上記第1の検出手段に
より検出された炉内温度と上記第2の検出手段により検
出された操作量とに基づいて,上記焼却炉の炉内温度と
操作量との関係を表す伝達関数の係数を適応的同定手法
を用いて演算する第1の演算手段とを具備した焼却炉の
燃焼制御装置において,外部入力された目標値について
上記第1の演算手段により演算された係数を用いて上記
焼却炉に加わる外乱に対する補償を行う補償手段を設
け,上記補償手段により補償された目標値に基づいて上
記焼却炉の燃焼状態を制御してなることを特徴とする焼
却炉の燃焼制御装置として構成されている。また,第2
の発明は,焼却炉の燃焼状態を表す炉内温度を検出する
第1の検出手段と,上記焼却炉に加えられる操作量を検
出する第2の検出手段と,上記第1の検出手段により検
出された炉内温度と上記第2の検出手段により検出され
た操作量とに基づいて,上記焼却炉の炉内温度と操作量
との関係を表す伝達関数の係数を適応的同定手法を用い
て演算する第1の演算手段とを具備した焼却炉の燃焼制
御装置において,上記第1の検出手段により検出された
炉内温度の目標値からの偏差を該目標値に取り込んだ偏
差付目標値について上記第1の演算手段により演算され
た係数を用いて上記焼却炉に加わる外乱に対する補償を
行う補償手段を設け,上記補償手段により補償された偏
差付目標値に基づいて上記焼却炉の燃焼状態を制御して
なることを特徴とする焼却炉の燃焼制御装置として構成
されている。
【0007】また,第3の発明は,焼却炉の燃焼状態を
表す炉内温度を検出する第1の検出手段と,上記焼却炉
に加えられる操作量を検出する第2の検出手段と,上記
第1の検出手段により検出された炉内温度と上記第2の
検出手段により検出された操作量とに基づいて,上記焼
却炉の炉内温度と操作量との関係を表す伝達関数の係数
を適応的同定手法を用いて演算する第1の演算手段とを
具備した焼却炉の燃焼制御装置において,上記第1の検
出手段により検出された炉内温度の目標値からの偏差に
含まれる所定の成分を打ち消す対抗成分を演算する第2
の演算手段と,上記第2の演算手段により演算された対
抗成分を上記目標値に取り込んだ対抗成分付目標値につ
いて上記第1の演算手段により演算された係数を用いて
上記焼却炉に加わる外乱に対する補償を行う補償手段
と,上記補償手段により補償された対抗成分付目標値に
基づいて上記焼却炉の燃焼状態を制御してなることを特
徴とする焼却炉の燃焼制御装置として構成されている。
さらには,上記第1の演算手段による上記伝達関数の係
数の演算を演算誤差に対する不感帯に基づいて行なう焼
却炉の燃焼制御装置である。さらには,上記不感帯の幅
をプラス側とマイナス側とで異なる大きさとした焼却炉
の燃焼制御装置である。さらには,上記操作量が被燃焼
物の供給量である焼却炉の燃焼制御装置である。さらに
は,上記焼却炉が流動床式焼却炉である場合,上記操作
量に加えて,一次空気の供給量及び/又は温度をも操作
量として用いる焼却炉の燃焼制御装置である。さらに
は,上記焼却炉が流動床式焼却炉である場合,上記操作
量に加えて,二次空気の供給量及び/又は温度をも操作
量として用いる焼却炉の燃焼制御装置である。上記所定
の成分には,振動成分のみならず焼却炉の特性に悪影響
を及ぼす特徴一般を含む。
【0008】
【作用】第1の発明によれば,焼却炉の焼却状態を表す
炉内温度が第1の検出手段により検出され,上記焼却炉
に加えられる操作量が第2の検出手段により検出され,
上記第1の検出手段により検出された炉内温度と上記第
2の検出手段により検出された操作量とに基づいて,上
記焼却炉の炉内温度と操作量との関係を表す伝達関数の
係数が適応的同定手法を用いて第1の演算手段により演
算されるに際し,外部入力された目標値について,上記
第1の演算手段により演算された係数を用いて上記焼却
炉に加わる外乱に対する補償が補償手段により行われ
る。そして,上記補償手段により補償された目標値に基
づいて,上記焼却炉の燃焼状態が制御される。上記外乱
補償のためのゲインは,適応的同定手法を用いて演算さ
れた係数により定まる定数であり,例えば周知の最終値
の定理から一義的に導かれる。従って,適応的同定手法
を用いることにより時間的にゆるやかな制御対象の動特
性の変化に対応しつつ,この適応的同定手法から導出さ
れたゲインを用いて外乱補償を行うことにより従来例で
は対処できなかった時間的に速い変化の外乱の影響をも
低減できる。これにより高い信頼性が得られる。第2の
発明によれば,上記第1の検出手段により検出された炉
内温度の目標値からの偏差を該目標値に取り込んだ偏差
付目標値について,上記第1の演算手段により演算され
た係数を用いて上記焼却炉に加わる外乱に対する補償が
補償手段により行われる。そして,上記補償手段により
補償された偏差付目標値に基づいて上記焼却炉の燃焼状
態が制御される。このように,炉内温度の目標値からの
偏差を該目標値に取り込んだ形でフィードバックしてい
るため,上記目標値に対応する操作量についても上記偏
差分だけの変化を生ずることになる。これにより操作量
の変化を抑えた外乱抑制が行なえる。従って,この場合
は装置の信頼性を一層向上させることができる。第3の
発明によれば,上記第1の検出手段により検出された炉
内温度の目標値からの偏差に含まれる所定の成分を打ち
消す対抗成分が第2の演算手段により演算される。上記
第2の演算手段により演算された対抗成分を上記目標値
に取り込んだ対抗成分付目標値について,上記第1の演
算手段により演算された係数を用いて上記焼却炉に加わ
る外乱に対する補償が補償手段により行われる。上記補
償手段により補償された対抗成分付目標値に基づいて上
記焼却炉の燃焼状態が制御される。
【0009】このように,フィードバックループに上記
第2の演算手段を加えることにより,焼却炉に特有の振
動特性などを抑制することができる。また上記第2の演
算手段への入力として炉内温度の目標値からの偏差を用
いることにより演算量を大幅に減少さることができる。
これにより装置の負荷を低減することができる。上記第
1〜第3の発明において,上記第1の演算手段により上
記伝達関数の係数の演算を,演算誤差に対する不感帯に
基づいて行えば,このような不感帯域に在る微小誤差に
ついては係数演算に一々反映させることなく,安定した
制御を行うことができる。さらに,上記不感帯の幅をプ
ラス側とマイナス側とで異なる大きさとした場合,不感
帯の上下の幅を独立に決めることができる。これにより
例えば適応的同定の感度の内,炉内温度の上昇あるいは
下降のいずれか一方の感度のみを上げることができるこ
ととなり,制御対象の動特性の変動により速く対応させ
ることができる。さらに,上記操作量として被焼却物の
供給量が用いられる。さらに,上記焼却炉が流動床式焼
却炉の場合,上記操作量に加えて,一次空気の供給量及
び/又は温度も操作量として用いられる。さらに,上記
焼却炉が流動床式焼却炉の場合,上記操作量に加えて,
二次空気の供給量及び/又は温度も操作量として用いら
れる。このように幅広い操作量を選択できるため,良好
な制御性を得ることができる。その結果,高い信頼性と
良好な制御性とを有する焼却炉の燃焼制御装置を得るこ
とができる。
【0010】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明(第1〜第
3の発明)を具体化した実施例につき説明し,本発明の
理解に供する。尚,以下の実施例は,本発明を具体化し
た一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格の
ものではない。ここに,図1は本発明の一実施例に係る
焼却炉の燃焼制御装置A1 の概略構成を示す模式図,図
2は装置A1 の制御ブロック図,図3は装置A1 を用い
た実験結果を示す図である。また,前記図4に示した従
来の焼却炉の燃焼制御装置A0の一例における概略構成
を示す模式図と共通する要素には同一符号を使用した。
図1に示すごとく,本発明(第1〜第3の発明)の一実
施例に係る焼却炉の燃焼制御装置A1 は,焼却炉1の燃
焼状態を表す炉内温度を検出するセンサ2(第1の検出
手段に相当)と,焼却炉1に加えられる操作量を検出す
るセンサ3a ,3b ,…,3e (第2の検出手段に相
当)と,センサ2により検出された炉内温度とセンサ3
a ,3b ,…,3e により検出された操作量とに基づい
て,焼却炉1の炉内温度と操作量との関係を表す伝達関
数の係数を適応的同定手法を用いて演算する No.1演算
器4(第1の演算手段に相当)とを具備した点で従来例
と同様である。しかし,第1の発明では,外部入力され
た目標値について No.1演算器4により演算された係数
を用いて焼却炉1に加わる外乱に対する補償を行う補償
器5′(補償手段に相当)を設け,この補償器5′によ
り補償された目標値に基づいて焼却炉1の燃焼状態を制
御する点で従来例と異なる。また,第2の発明では,セ
ンサ2により検出された炉内温度の目標値からの偏差を
該目標値に取り込んだ偏差付目標値について No.1演算
器4により演算された係数を用いて焼却炉1に加わる外
乱に対する補償を行う補償器5′(補償手段に相当)を
設け,この補償器5′により補償された偏差付目標値に
基づいて焼却炉1の燃焼状態を制御する点で従来例と異
なる。
【0011】また,第3の発明では,センサ2により検
出された炉内温度の,目標値からの偏差に含まれる所定
の成分を打ち消す対抗成分を演算する No.2演算器6
(第2の演算手段に相当)と, No.2演算器6により演
算された対抗成分を上記目標値に取り込んだ対抗成分付
目標値について No.1演算器4により演算された係数を
用いて焼却炉1に加わる外乱に対する補償を行う補償器
5′(補償手段に相当)とを設け,この補償器5′によ
り補償された対抗成分付目標値に基づいて焼却炉1の燃
焼状態を制御する点で従来例と異なる。上記所定の成分
には,振動成分のみならず,焼却炉1の特性に悪影響を
及ぼす特徴一般を含む。さらに,第1〜第3の発明共,
No.1演算器4による伝達関数の係数の演算を演算誤差
に対する不感帯に基づいて行うこととしてもよく,その
場合不感帯の幅をプラス側とマイナス側とで異なる大き
さとすれば,この点でも従来例と異なる。以下,この装
置A1 の動作について略述する。先ず,センサ2により
焼却炉1の炉内温度が検出され,センサ3a ,3b ,…
e により各操作量が検出される。次に,前述した適応
的同定手法を用いた No.1演算器4によりセンサ2によ
り検出された炉内温度と,センサ3a ,3b ,…,3e
により検出された各操作量とに基づいて伝達関数の係数
(即ち,制御対象の動特性モデルにおける未知の係数の
推定値ae ,be )が演算される。この同定法を用いて
制御を行うに当たって,例えば単位重量当たりのごみの
発熱量の変動は,時間的には緩やかなものであるので,
これを制御対象の動特性の変動と考えて同定を行うこと
ができる(ここまでは従来例と同様である)。
【0012】一方,例えばごみ供給コンベアへのごみの
載り方にはバラつきが存在し,その変動はランダムに発
生する速い変動であるので通常上記同定のモデルの変動
から除外される。しかし,現実にはこの速い変動が外乱
となって,コンベア速度を大きく変化させすぎると焼却
炉1の燃焼状態を安定化することが難しくなることがあ
る。こういった事実を考慮し,図2に示すような制御系
Bを組むこととした。この制御系Bにおいては,図2に
示すようにフィードフォワードゲインC及びディジタル
フィルタを通した誤差(偏差)のフィードバックの2つ
によって炉頂部温度(炉内温度)を制御している。フィ
ードフォワードゲインCは,前記動特性モデルを用いて
適応的同定を行うことによって求められた係数ae ,b
e により定まる実数であり,外乱がない場合は出力は目
標値と一致するように,例えば周知の最終値の定理を用
いて次の(10)式のように導出される。 C=(1−ae )/be …(10) 第1の発明では,補償器5′はこのフィードフォワード
ゲインCによって構成されており,これにより外乱補償
を行うことによって外乱の影響を低減することができ
る。さらに,第2の発明では,フィードバックされた炉
頂部温度の目標値からの偏差を該目標値に取り込んだ偏
差付目標値を上記補償器5′への入力として用いること
によって操作量の変化を抑えることができる。例えば,
焼却炉の起動から停止までの間の炉内温度の理想的な変
化を目標値の特性カーブとし,この特性カーブに対応さ
せた操作量のカーブを予め設定しておけば,操作量カー
ブからの変化は上記偏差に対応する分だけとなる。これ
により,操作量の変化を抑えた外乱制御を行うことがで
きる。さらに,第3の発明ではこのフィードバックルー
プに No.2演算器6としてディジタルフィルタを加える
ことによって,制御対象である焼却炉に特有の振動特性
などの抑制を図ることができる。尚,この場合,炉頂部
温度を直接ディジタルフィルタに入力してもよいが,図
2に示すように炉頂部温度の目標値からの偏差をディジ
タルフィルタに入力すれば同フィルタにおける演算量の
大幅な減少を図ることができる。これにより,装置A1
の負荷を低減することができる。ところで,本実施例に
おいても従来例と同様, No.1演算器4による伝達関数
の係数ae ,be の演算に際しては,演算誤差に対する
不感帯が用いられる。従ってこのような不感帯域に在る
微小誤差については係数演算に一々反映させることな
く,安定した制御を行うことができる。
【0013】しかし,従来の手法では,前述の如く不感
帯の上下幅を一定としているため,実際に要求される不
感帯域とは必ずしも一致しないことがある。例えばセン
サの種類によっては一方的のみの不感帯が存在すること
がある。そこで,前述の(3)式の代わりに次の
(3′)式で示すような不感帯m〔k〕を設定すること
とした。
【数3】 ここで,e〔k〕は推定値の誤差,Wl (<0),Wu
(>0)はそれぞれ不感帯の上限,下限である。また,
上記(3′)式の不感帯m〔k〕の計算式を次の
(3″)式のように設定してもよい。
【数4】 このように,不感帯の上下の幅を独立に決めることによ
り,適応同定の感度をを上げる際に,例えば炉内温度の
上昇あるいは下降のいずれか一方の感度のみを上げるこ
とができる。これにより操作量を任意に増やしたり減ら
したりすることができる。つまり,不感帯域を変えるこ
とによって焼却炉の動特性の変動により速く対応させる
ことができる。これにより,良好な制御性が得られる。
更に,温度制御そのものは,操作量として少なくともご
みの供給量を操作することによって行うことができる。
しかし,この制御によって規定のごみの焼却量が焼却で
きない場合には二次空気量を操作して炉の温度雰囲気を
下げるようにし,ごみ焼却量を増やしても,炉頂温度が
指定温度を上回らないようにして焼却炉1の規定焼却量
を達成できるようにすることが有効である。更に,操作
量として二次空気温度,一次空気量,一次空気温度等を
加えて制御を行うことにより,ごみ焼却量の調整の幅を
より広くすることができる。このように幅広い操作量を
選択できるため,一層良好な制御性を得ることができ
る。
【0014】引続いて,この装置A1 を用いた実験結果
について略述する。ここでは上記図2に示した制御系を
既設の流動床式焼却炉に組み込み,目標温度(目標値)
を910℃,不感帯の下限値W1 =4,上限値Wu
5,忘却係数λ=0.99として実験を行った。また,
サンプル周期は10秒とした。まず,通常制御時の12
0分間の炉頂部温度変化を図5(a)に,適応制御適用
時の120分間の温度変化を図5(b)に示す。それぞ
れ,目標温度の上下15℃の所に直線を引いておく。図
5(a)の温度変化に比べ,図5(b)ではほとんど上
下30℃の領域内におさまっていることが分かる。この
温度変化の標準偏差を求めると,通常制御時では18.
6,適応制御適用時では14.6となっており,本制御
装置A1 を用いることによって温度変動を抑制できるこ
とが確認できた。また,図5(a)と同時刻の排ガス内
の実測CO濃度を図5(c)に,図5(b)のときのC
O濃度を図5(d)に示す。排ガス内CO濃度は燃焼評
価として重要な指標であるが,このCO濃度を平均値で
見ると,通常制御時は59.4ppm,適応制御適用時
は12.7ppmと,低減することができ,このことか
らも炉内の燃焼が安定となっていることが確認できた。
以上のように制御装置A1 では,適応的同定を行いなが
らその結果を用いて制御を行っているために,時間的に
緩やかな制御対象の動特性の変化に対応しつつ,時間的
に速い変化の外乱の影響をも低減することができる。こ
れにより,高い信頼性が得られる。更に上記適応的同定
に含まれる不感帯域の調整や操作量の選択により良好な
制御性も得られる。その結果,高い信頼性と良好な制御
性とを有する焼却炉の燃焼制御装置を得ることができ
る。尚,上記実施例では,流動床式焼却炉の温度制御装
置を例示したが,実使用に際しては他の種類の焼却炉例
えば固定床式焼却炉に適用してもなんら支障はない。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記したように構成されている
ため,適応的同定を行いながらその結果を用いて制御を
行って,時間的に緩やかな制御対象の動特性の変化に対
応しつつ,時間的に速い変化の外乱の影響をも低減する
ことができる。これにより,高い信頼性が得られる。更
に上記適応的同定に含まれる不感帯域の調整や操作量の
選択により良好な制御性も得られる。その結果,高い信
頼性と良好な制御性とを有する焼却炉の燃焼制御装置を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る焼却炉の燃焼制御装
置A1 の概略構成を示す模式図。
【図2】 装置A1 の制御ブロック図。
【図3】 装置A1 を用いた実験結果を示す図。
【図4】 従来の焼却炉の燃焼制御装置A0 の一例にお
ける概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 …燃焼制御装置 1…焼却炉 2…センサ(第1の検出手段に相当) 3a ,3b ,…,3e …センサ(第2の検出手段に相
当) 4… No.1演算器(第1の演算手段に相当) 5′…補償器(補償手段に相当) 6… No.2演算器(第2の演算手段に相当)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 能勢 和夫 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 中山 万希志 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 昭57−117013(JP,A) 特開 平3−122414(JP,A) 特開 平4−260712(JP,A) 特開 平4−208306(JP,A) 特開 昭63−187018(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23G 5/50 G05B 11/32 G05D 23/19

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却炉の燃焼状態を表す炉内温度を検出
    する第1の検出手段と,上記焼却炉に加えられる操作量
    を検出する第2の検出手段と,上記第1の検出手段によ
    り検出された炉内温度と上記第2の検出手段により検出
    された操作量とに基づいて,上記焼却炉の炉内温度と操
    作量との関係を表す伝達関数の係数を適応的同定手法を
    用いて演算する第1の演算手段とを具備した焼却炉の燃
    焼制御装置において,外部入力された目標値について上
    記第1の演算手段により演算された係数を用いて上記焼
    却炉に加わる外乱に対する補償を行う補償手段を設け,
    上記補償手段により補償された目標値に基づいて上記焼
    却炉の燃焼状態を制御してなることを特徴とする焼却炉
    の燃焼制御装置。
  2. 【請求項2】 焼却炉の燃焼状態を表す炉内温度を検出
    する第1の検出手段と,上記焼却炉に加えられる操作量
    を検出する第2の検出手段と,上記第1の検出手段によ
    り検出された炉内温度と上記第2の検出手段により検出
    された操作量とに基づいて,上記焼却炉の炉内温度と操
    作量との関係を表す伝達関数の係数を適応的同定手法を
    用いて演算する第1の演算手段とを具備した焼却炉の燃
    焼制御装置において,上記第1の検出手段により検出さ
    れた炉内温度の目標値からの偏差を該目標値に取り込ん
    だ偏差付目標値について上記第1の演算手段により演算
    された係数を用いて上記焼却炉に加わる外乱に対する補
    償を行う補償手段を設け,上記補償手段により補償され
    た偏差付目標値に基づいて上記焼却炉の燃焼状態を制御
    してなることを特徴とする焼却炉の燃焼制御装置。
  3. 【請求項3】 焼却炉の燃焼状態を表す炉内温度を検出
    する第1の検出手段と,上記焼却炉に加えられる操作量
    を検出する第2の検出手段と,上記第1の検出手段によ
    り検出された炉内温度と上記第2の検出手段により検出
    された操作量とに基づいて,上記焼却炉の炉内温度と操
    作量との関係を表す伝達関数の係数を適応的同定手法を
    用いて演算する第1の演算手段とを具備した焼却炉の燃
    焼制御装置において,上記第1の検出手段により検出さ
    れた炉内温度の目標値からの偏差に含まれる所定の成分
    を打ち消す対抗成分を演算する第2の演算手段と,上記
    第2の演算手段により演算された対抗成分を上記目標値
    に取り込んだ対抗成分付目標値について上記第1の演算
    手段により演算された係数を用いて上記焼却炉に加わる
    外乱に対する補償を行う補償手段と,上記補償手段によ
    り補償された対抗成分付目標値に基づいて上記焼却炉の
    燃焼状態を制御してなることを特徴とする焼却炉の燃焼
    制御装置。
  4. 【請求項4】 上記第1の演算手段による上記伝達関数
    の係数の演算を演算誤差に対する不感帯に基づいて行な
    う請求項1,2又は3記載の焼却炉の燃焼制御装置。
  5. 【請求項5】 上記不感帯の幅をプラス側とマイナス側
    とで異なる大きさとした請求項4記載の焼却炉の燃焼制
    御装置。
  6. 【請求項6】 上記操作量が被燃焼物の供給量である請
    求項1〜5のいずれかに記載の焼却炉の燃焼制御装置。
  7. 【請求項7】 上記焼却炉が流動床式焼却炉である場
    合,上記操作量に加えて,一次空気の供給量及び/又は
    温度をも操作量として用いる請求項6記載の焼却炉の燃
    焼制御装置。
  8. 【請求項8】 上記焼却炉が流動床式焼却炉である場
    合,上記操作量に加えて,二次空気の供給量及び/又は
    温度をも操作量として用いる請求項7記載の焼却炉の燃
    焼制御装置。
JP25151093A 1993-10-07 1993-10-07 焼却炉の燃焼制御装置 Expired - Lifetime JP2840184B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25151093A JP2840184B2 (ja) 1993-10-07 1993-10-07 焼却炉の燃焼制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25151093A JP2840184B2 (ja) 1993-10-07 1993-10-07 焼却炉の燃焼制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07103444A JPH07103444A (ja) 1995-04-18
JP2840184B2 true JP2840184B2 (ja) 1998-12-24

Family

ID=17223889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25151093A Expired - Lifetime JP2840184B2 (ja) 1993-10-07 1993-10-07 焼却炉の燃焼制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2840184B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07103444A (ja) 1995-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2647217B2 (ja) 複合制御方法
JP5683338B2 (ja) 循環式流動焼却炉の温度制御装置及びその温度制御方法
CN110618706A (zh) 一种基于数据驱动的多级智能脱硝在线优化控制系统
JP4292126B2 (ja) ストーカ型ごみ焼却炉の燃焼情報監視制御装置
US6754542B1 (en) Control arithmetic apparatus and method
JPH079288B2 (ja) 固形燃焼装置の燃料供給制御方法
JP2840184B2 (ja) 焼却炉の燃焼制御装置
JP4201781B2 (ja) 焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラム
JP5314946B2 (ja) 加熱炉制御装置
JP2005169331A (ja) 脱硝制御方法及びそのプログラム
JP2001198438A (ja) 脱硝装置のアンモニア注入量制御方法
JP2000179804A (ja) ボイラドラムの水位制御装置
JPH03238024A (ja) 排ガス脱硝制御装置
JP2790780B2 (ja) 焼却炉の燃焼制御装置
JP2022183710A (ja) 制御装置、ゴミ焼却設備、制御方法およびプログラム
JP3425707B2 (ja) ごみ焼却炉の燃焼制御装置及びその方法
JP2742364B2 (ja) 焼却炉の温度制御装置
JPH025222Y2 (ja)
JP2971421B2 (ja) 流動床式焼却炉の燃焼制御方法
KR100194446B1 (ko) 쓰레기소각로의 연소제어방법 및 그 장치
JP3115964B2 (ja) 焼却炉制御方法
WO1993025849A1 (en) Method of controlling concentration of oxygen in combustion exhaust gas for combustion equipment
JPH04208306A (ja) 固形燃焼装置の燃焼制御方法
JPH07111268B2 (ja) 給湯機の制御装置
JPH09187625A (ja) 排煙脱硝設備のアンモニア注入量制御装置及び方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081016

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101016

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111016

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111016

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 15

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131016

EXPY Cancellation because of completion of term