JP2838334B2 - 重合体製造時のスケール付着防止剤およびスケール付着防止方法 - Google Patents

重合体製造時のスケール付着防止剤およびスケール付着防止方法

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JP2838334B2
JP2838334B2 JP17292A JP17292A JP2838334B2 JP 2838334 B2 JP2838334 B2 JP 2838334B2 JP 17292 A JP17292 A JP 17292A JP 17292 A JP17292 A JP 17292A JP 2838334 B2 JP2838334 B2 JP 2838334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばビニルエステル
やアクリル酸のようなエチレン性二重結合を有する単量
体を重合する際に、重合器に重合体のスケールが付着す
ることを防止する薬剤および防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合器内で単量体を重合して重合体を製
造する場合、重合器の内壁面などに重合体がスケールと
して付着する問題が知られている。スケールが付着する
と重合器の冷却能力が低下したり、重合体の収率が低下
してしまう。さらに、スケールが剥離して製品に混入す
ると、重合体が不均質になり品質低下を招く。そのため
2〜3バッチに1回の割合でスケールを除去する必要が
あり、多大な労力と時間を要す。また、スケールには毒
性のある未反応の単量体が含まれているため、作業には
十分な注意が必要である。
【0003】例えば、エチレン性二重結合を有する単量
体の重合において、スケール付着を防止する方法として
は、各種の物質をスケール防止剤として重合器内壁面等
へ塗布する方法が知られている。スケール防止剤として
適当な物質としては、例えば染料や顔料(特公昭45-308
35号公報および特公昭52-24953号公報)、芳香族アミン
化合物(特開昭51-50887号公報)、フェノール性化合物
と芳香族アルデヒドとの反応生成物(特開昭55-54317号
公報)が開示されている。これらの物質を用いた重合体
スケールの付着防止方法は、塩化ビニルのようなハロゲ
ン化ビニル単量体、あるいはその単量体を主体とし、こ
れと共重合可能な単量体を少量含む単量体混合物の重合
において有効である。
【0004】しかし、従来のスケール付着防止剤は、上
記各公報に開示された物質に代表されるように、有色の
ものが多い。そのため、重合器内壁面へ塗布された有色
のスケール付着防止剤が溶解、剥離して重合系に混入す
ると、得られる製品重合体が着色して品質が低下すると
いう問題がある。
【0005】また、前記のスケール付着防止方法では、
使用される単量体および重合開始剤(触媒)の種類、重
合形式、重合器の内壁の材質等の諸条件によって重合体
スケールの付着防止効果が異なり、有効かつ確実にスケ
ール付着を防止することは困難であった。
【0006】具体的には、例えばペルオキソ二硫酸カリ
ウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アセチルシクロ
ヘキシルスルホニルパーオキサイド、ビス(2−エトキ
シエチル)パーオキシジカーボネートのような酸化力の
強い重合開始剤を使用した場合、塗膜を形成しているス
ケール付着防止剤が酸化分解されるため、スケールの付
着防止効果が低下する。また、ステンレス製またはその
他のスチール製の重合器内壁面では、グラスライニング
された重合器内壁面に比してスケールが付着し易いとい
う問題もある。
【0007】そのうえ、重合に供せられる単量体がスチ
レン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステルおよび
アクリロニトリルをはじめとする一般式 CH2=CR1R2[R1
は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または-CnH
2n+1、-COOH 、-COOM (Mはアルカリ金属またはアンモ
ニウムイオン)、-COOCnH2n+1 、-CN 、-C6H5、-C6H4R
3( R3は水素原子、-OH、-CH3または -CH=CH2)、-OCOCnH
2n+1、-OCnH2n+1 もしくは-CH=CH2 、nは整数である]
で表わされる単量体である場合には、これらの単量体が
上記のスケール付着防止方法で形成される塗膜に対して
大きい溶解能を有するために、塗膜の一部または全部が
溶解して失われ、スケール付着を効果的に防止すること
が出来ない。なかでもスチレン、α−メチルスチレン、
アクリル酸エステルおよびアクリロニトリルは、スケー
ル防止剤からなる塗膜に対する溶解能が著しく大きいた
め、所望のスケール付着防止効果を得ることが出来なか
った。特にステンレス製重合器を用いる場合にはスケー
ル付着が起き易い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、エチレン性二重結合を有
する単量体を重合する際に、重合器への重合体スケール
の付着を防止し、且つ、着色が少なく高品質な重合体が
得られる重合体製造時のスケール付着防止剤およびスケ
ール付着防止方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めになされた本発明の重合体製造時のスケール付着防止
剤は、一般式 CH2=CR1R2[R1は水素原子またはメチル
基、R2は水素原子または-CnH2n+1、-COOH 、-COOM (M
はアルカリ金属またはアンモニウムイオン)、-COOCnH
2n+1 、-CN 、-C6H5、-C6H4R3 ( R3は水素原子、-OH、-CH
3または -CH=CH2)、-OCOCnH2n+1、-OCnH2n+1 もしくは-
CH=CH2 、nは整数である]で表わされるエチレン性二
重結合を有する単量体を重合する際に使用されるもの
で、アントラキノン系天然色素およびけん化度70モル%
以上のアルコールを含有する。
【0010】同じく本発明の重合体製造時のスケール付
着防止方法は、前記一般式で表わされるエチレン性二重
結合を有する単量体を重合する際に、重合器の単量体が
接する部分の少なくとも一部に、前記本発明のスケール
付着防止剤を含む塗膜を形成することを特徴としてい
る。
【0011】アントラキノン系天然色素としては、例え
ば、テクトキトン、3-ヒドロキシ−2-メチルアンスラキ
ノン、2-ヒドロキシアンスラキノン、アリザリン、キサ
ントプルプリン、ルビアジン、ムンジスチン、クリソフ
ァン酸、カルミン酸、ケルメシン酸、ラッカイン酸Aお
よびこれらの誘導体が挙げられる。
【0012】ポリビニルアルコールは、壁面への残留性
や耐モノマー造膜性等を高めるために、けん化度および
平均重合度の高いものを用いる。
【0013】ポリビニルアルコールのけん化度は70モル
%以上であることが必要であり、80モル%以上、さらに
は90モル%以上のものが好ましい。特に98モル%以上の
ものが好適である。なお、けん化度が70モル%未満の場
合は、壁面への残留性や耐モノマー造膜性が不十分にな
る。
【0014】ポリビニルアルコールの平均重合度は1000
以上、さらには1500以上であることが好ましい。特に20
00以上のものが好適である。ポリビニルアルコールは、
一種を単独で用いても、けん化度や平均重合度が異なる
ものを複数種組み合わせても良い。
【0015】アントラキノン系天然色素とポリビニルア
ルコールとの重量比は100:0.1 〜5000である。好まし
くは 100:1〜1000である。
【0016】アントラキノン系天然色素およびけん化度
70モル%以上のポリビニルアルコールを含むスケール付
着防止剤は、適当な溶媒に溶解して塗布液を調製し、重
合器の内壁面等に塗布、乾燥して使用する。
【0017】溶媒は、水をはじめ、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-ブタノ
ール、2-メチル−1-プロパノール、2-メチル−2-プロパ
ノール、3-メチル−1-ブタノール、2-メチル−2-ブタノ
ール、2-ペンタノールのようなアルコール系溶剤、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの
ようなケトン系溶剤、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メ
チル、アセト酢酸メチルのようなエステル系溶剤、4-メ
チルジオキソラン、エチレングリコールジエチルエーテ
ルのようなエーテル系溶剤、フラン類、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルのよう
な非プロトン系溶剤が使用できる。これらは単独で用い
ても複数種を混合して用いても良い。塗布液中のアント
ラキノン系天然色素およびポリビニルアルコールの合計
濃度は、 0.001〜20重量%程度に設定しておく。
【0018】スケール付着防止効果を高めるため、スケ
ール付着防止剤の塗布液に、例えば、親水性高分子(ア
ニオン性、カチオン性、両性)、界面活性剤、アミン系
化合物、フェノール基含有化合物、キノン系化合物を添
加しても良い。
【0019】スケール付着防止剤塗布液のpHは、7.0 以
上であることが好ましい。必要に応じてpH調整剤とし
て、例えば硫酸、ほう酸、りん酸、酢酸、シュウ酸、酒
石酸、乳酸、p-トルエンスルホン酸、フィチン酸、チオ
グルコール酸、グルコール酸、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、アンモニア水、エチレンジアミンを加えて
もよい。
【0020】このようにして調製した塗布液は、例え
ば、重合器の内壁面をはじめ、撹拌翼、撹拌軸、コンデ
ンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナットのよう
な、重合反応中に単量体が接触する部位に塗布、乾燥し
て塗膜を形成する。この他にも、塗布液はモノマ蒸留
塔、コンデンサ、モノマ貯蔵タンク、バルブ内面等のよ
うな未反応単量体の回収系統のスケールが付着する恐れ
のある部位にも塗布することが望ましい。塗布面の材質
は、例えば、ステンレス、その他のスチールおよびガラ
スライニングされた面など、特に制限はない。
【0021】塗布液の塗布方法は、ハケ塗り、スプレィ
塗布、塗布液で重合器を満たした後に抜き出す方法等任
意である。塗布には特開昭57-61001号公報に開示されて
いるような、重合器内の上部にノズルを設けて自動的に
スプレィ塗布する方法を用いることが出来る。特開昭59
-11303号公報に開示されているように、スケール防止剤
を水玉模様状に塗布しても良い。また、特開昭55-36288
号公報に開示されているような、キャリアガスとして水
蒸気を用いてスケール防止剤を噴霧塗装する自動塗布方
法を用いても良い。キャリアガスには、塩化ビニルモノ
マ(特表昭56−501116号公報)を用いても、低沸点炭化
水素ガス(特表昭56−501117号公報)を用いても構わな
い。
【0022】塗布液の乾燥は室温から 100℃までの温度
範囲で行なう。乾燥には、塗布後、温風を当てる方法
や、重合器内壁面等の塗布面を予め30〜80℃に加熱して
おき、その加熱面に塗布液を直接塗布しても良い。乾燥
後は、必要に応じて塗布面を水洗する。塗膜は、0.001g
/m2 以上、特に0.05〜2g/m2であることが好ましい。ま
た、上記の塗布作業は、1バッチの重合ごとに行なって
も良いが、一度形成した塗膜はかなりの耐久性を有し、
スケール付着防止作用が持続するので、塗布作業は、通
常1〜十数バッチごとに行なえば良い。
【0023】本発明のスケール付着防止方法は、重合の
形式によらず適用可能である。懸濁重合、乳化重合、溶
液重合、塊状重合および気相重合のいずれの重合形式に
おいても有効である。上記のように重合器内壁等の単量
体が接触する部分に塗膜を形成した後、前述した一般式
CH2=CR1R2で表わされるエチレン性二重結合を有する単
量体やそれと共重合可能な単量体を仕込み、常法に従っ
て重合を実施する。その他、必要に応じて用いられる重
合媒体や、単量体を分散させるための分散剤等を加えて
も良い。
【0024】重合形式毎に具体的に説明すると、懸濁重
合および乳化重合の場合には、重合は一般に水および分
散剤を重合器に仕込んだ後、重合開始剤(触媒)および
単量体を仕込み(重合器の内圧は通常0〜10kgf/cm2・G
になる)、必要に応じて重合中に水、分散剤および重合
開始剤の一種または複数種を添加することによって行な
われる。重合は、目的の反応率に達した時(通常、反応
率が80〜 100%に達した時)に完了したと判断される。
この場合、単量体 100重量部に対して、水は約50〜500
重量部の割合で用いられ、分散剤は約0.01〜30重量部、
重合開始剤は約0.01〜5重量部の割合で用いられる。
【0025】溶液重合の場合には、重合媒体として、水
の替わりに例えばトルエン、キシレン、ピリジンのよう
な有機溶媒が使用される。分散剤は必要に応じて用いら
れる。その他の条件は、一般に懸濁重合や乳化重合につ
いての条件と同様である。
【0026】塊状重合の場合には、重合器内を窒素ガス
で置換するか、または約0.01〜 760mmHgの圧力に排気し
た後、単量体および触媒を仕込み、−10〜 250℃で重合
が行なわれる。
【0027】本発明のスケール防止方法が有効な単量体
としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのよ
うなビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸および
それらのエステルまたは塩、ブタジエン、クロロプレ
ン、イソプレンのようなジエン系単量体、スチレン、ア
クリロニトリル、α−メチルスチレン、ビニルエーテル
が挙げられる。
【0028】また、重合系に例えば重合開始剤、分散
剤、固体分散剤、乳化剤、充填剤、安定剤、滑剤、連鎖
移動剤のような、従来から重合体の製造に用いられてい
る各種の添加剤が含まれていても、スケール付着防止剤
は有効に作用する。以下に具体的な物質名を列挙してお
く。
【0029】重合開始剤は、例えばt-ブチルパーオキシ
ネオデカネート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシ
ジカーボネート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオ
キサイド、α−クミルパーオキシネオデカネート、クメ
ンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキ
サイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ビス(2−エト
キシエチル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパ
ーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4-ジクロ
ルベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、α,α'-アゾビスイソブチロニトリ
ル、α,α'-アゾビス−2,4-ジメチルバレロニトリル、
ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニ
ウム、p-メンタンハイドロパーオキサイドが使用出来
る。
【0030】分散剤は、例えば部分けん化ポリビニルア
ルコール、ポリアクリル酸、酢酸ビニルと無水マレイン
酸の共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等
のセルロース誘導体、ゼラチン等の天然または合成高分
子化合物が使用できる。
【0031】固体分散剤は、例えばリン酸カルシウム、
ヒドロキシアパタイトが挙げられる。
【0032】乳化剤は、例えばソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンアル
キルエーテルのようなノニオン性乳化剤、ラウリル硫酸
ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等
のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウムのようなアニオン性乳化剤が
挙げられる。
【0033】充填剤は、例えば炭酸カルシウム、酸化チ
タン等が挙げられる。
【0034】安定剤は、例えば三塩基性硫酸鉛、ステア
リン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレート、ジオク
チルすずメチルカプチドが使用可能である。
【0035】滑剤は、例えばライスワックス、ステアリ
ン酸、セチルアルコールが挙げられる。
【0036】可塑剤は例えばジオクチルフタレート、ジ
ブチルフタレートが挙げられる。
【0037】連鎖移動剤は、例えばt-ドデシルメルカプ
タン等のメルカプタン類およびトリクロロエチレンが挙
げられる。
【0038】なお、本発明の方法を適用した場合に特に
好適な重合は、例えばポリスチレン、ポリメチルメタク
リレートおよびポリアクリロニトリル等のビーズやラテ
ックスの製造、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(C
R)、イソプレンゴム(IR)およびイソブチレン−イソプレ
ンゴム(IIR) のような合成ゴムの乳化重合による製造、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS) 樹脂の
製造を行なう重合である。
【0039】
【作用】重合器を用いてエチレン性二重結合を有する単
量体を重合する際に、重合器内壁のような単量体が接触
する部分に、アントラキノン系天然色素およびけん化度
70モル%以上のポリビニルアルコールを含む塗膜を形成
しておく。すると重合系に存在するエチレン性二重結合
を有する単量体、その初期縮合物および生成重合体の重
合器内壁面への物理的吸着および化学的吸着が上記の塗
膜によって抑制され、スケールの付着が防止される。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 ・スケール付着防止剤塗布液の調製 後述の表1〜表4に示す組成比に従い、アントラキノン
系天然色素およびポリビニルアルコールを溶媒に溶解
し、pH調整剤を加え、スケール付着防止剤の塗布液を調
製する。表1〜表4に、各実施例および比較例に使用す
るアントラキノン系天然色素とポリビニルアルコールの
種類、それらの重量比、溶媒(溶媒の組成比)、合計濃
度、pH調整剤および塗布液のpHを示す。ポリビニルアル
コールは表5に示す市販品を使用した。なお、比較例5
はアントラキノン系天然色素の代りにアジン系合成染料
のC.I.アシッドブラック2を用いた例である。
【0041】・重合試験 得られた塗布液を、内容積1000リットルの撹拌器付ステ
ンレス製重合器の内壁、撹拌軸、撹拌翼その他単量体が
接触する部位に噴霧器を用いて塗布し、ジャケットを50
℃に設定して10分間加熱、乾燥した後、水洗して塗膜を
形成する。
【0042】このようにしてスケール防止処理を施した
重合器に水550kg、スチレン125kg、スチレン−ブタジエ
ンゴムラテックス(固形分濃度50%)120kg 、アクリロ
ニトリル50kg、合成ゴム重合用乳化剤(播磨化成工業
(株)製、バンディス T-100P)2.5kg 、水酸化ナトリウ
ム0.1kg 、t-ドデシルメルカプタン1.5kg およびペルオ
キソ二硫化カリウム0.3kg を仕込み、撹拌しながら70℃
で3時間重合した。
【0043】・スケール付着量の測定 重合終了後、重合器内壁面に付着した重合体スケールを
壁面より掻き落とし、壁面1m2 当たりの重量を測定す
る。
【0044】・明度指数(L値)の測定 次に、各実施例および比較例で得られた重合体の明度指
数を測定し、着色の有無を判定する。明度指数は以下の
方法で測定した。
【0045】得られた重合体ラテックス1kgに2%硫酸
マグネシウム溶液1kgを加え、凝集沈殿を行なった後、
沈殿物を濾別する。濾別した沈殿物を80〜90℃の熱水で
2〜3回洗浄した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間
乾燥し、樹脂を得た。
【0046】得られた樹脂を9×9cm、厚さ0.1cm の型
枠に入れ、 195℃、50〜60kgf/cm2で加熱し、最終圧力1
90kgf/cm2で加圧成形して測定用試料を作成する。この
試料について、 JIS Z 8730 (1980)に記載のハンターの
色差式における明度指数Lを求め、L値が大きい程白色
度が高いと評価した。
【0047】L値は次のようにして求める。
【0048】JIS Z 8722の記載に従って、標準光C、光
電色彩計(日本電色工業株式会社製、Z-1001DP型測色色
差計)を用い、刺激値直読方法により、XYZ表色系の
刺激値Yを求める。照明および受光の幾何学的条件とし
ては、JIS Z 8722の4.3.1 項に記載の条件dを採用し
た。刺激値Yを、JIS Z 8730(1980)に記載の、式、L=
10Y1/2 に代入すればL値が算出される。
【0049】表1〜4に、スケール付着量および明度指
数(L値)の測定結果を示す。なお実施例1〜18は本
発明を適用する例、比較例1〜5は本発明を適用外の例
である。また、表においてAはアントラキノン系天然色
素を表わし、Bはポリビニルアルコールを表わす。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】これらの試験結果によれば、各実施例で重
合された重合体は、明度指数Lが80以上と白色度が高く
着色が少ないことがわかる。
【0056】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
重合体製造時のスケール付着防止方法によれば、エチレ
ン性二重結合を有する単量体を重合する際に、重合器内
壁面へのスケール付着を、重合器内壁面の材質にかかわ
らず効果的に防止することが出来る。
【0057】スケール付着防止剤として重合器内壁面等
に塗布するアントラキノン系天然色素およびけん化度70
モル%以上のポリビニルアルコールを含む塗膜は、着色
性が少ないことに加え重合系に溶解しないため、着色が
なく白色度の高い重合体を得ることが可能である。例え
ばスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル
およびアクリロニトリルのような溶解能が著しく大きな
単量体を含む重合系にも有効である。
【0058】さらに、本発明の方法を用いて重合を行な
えば、スケール付着防止剤の塗布作業を数バッチ乃至十
数バッチに一回の割合で行なえば良いため、スケールの
除去作業を重合のバッチ毎に行なう必要がなく、生産性
向上に大いに貢献する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 余野 政義 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社塩ビ技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 CH2=CR1R2 [R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または-C
    nH2n+1、-COOH 、-COOM(Mはアルカリ金属またはアン
    モニウムイオン)、-COOCnH2n+1 、-CN 、-C6H5、-C6H4R
    3 ( R3は水素原子、-OH、-CH3または -CH=CH2)、-OCOCn
    H2n+1、-OCnH2n+1もしくは-CH=CH2 、nは整数である]
    で表わされるエチレン性二重結合を有する単量体を重合
    する際のスケール付着防止剤であって、アントラキノン
    系天然色素およびけん化度70モル%以上のポリビニルア
    ルコールを含有することを特徴とする重合体製造時のス
    ケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】 一般式 CH2=CR1R2 [R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または-C
    nH2n+1、-COOH 、-COOM(Mはアルカリ金属またはアン
    モニウムイオン)、-COOCnH2n+1 、-CN 、-C6H5、-C6H4R
    3 ( R3は水素原子、-OH、-CH3または -CH=CH2)、-OCOCn
    H2n+1、-OCnH2n+1もしくは-CH=CH2 、nは整数である]
    で表わされるエチレン性二重結合を有する単量体を重合
    する際に、重合器の単量体が接する部分の少なくとも一
    部に、アントラキノン系天然色素およびけん化度70モル
    %以上のポリビニルアルコールを含む塗膜を形成するこ
    とを特徴とする重合体製造時のスケール付着防止方法。
JP17292A 1991-02-22 1992-01-06 重合体製造時のスケール付着防止剤およびスケール付着防止方法 Expired - Fee Related JP2838334B2 (ja)

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