JP2836306B2 - しごきローラー付き画像転写装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、画像転写装置に関す
る。さらに詳しくは、画像形成材料の取り付け取り外し
が簡単であり、かつ画像形成材料に起因する見当ずれを
生ずることがない画像形成材料添着装置を具備する画像
転写装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近来、支持体の一方の面に感光性層を塗
布した画像形成材料を画像露光し、ついで感光性層に形
成された画像を、一般的には加温下で、紙等の画像受容
体に転写する校正印刷等に適した単色または多色のプリ
プレスプルーフが作成されるようになってきた。

【０００３】紙等の画像受容体をあらかじめ加温してお
き、これに画像形成材料の感光性層を圧着させて感光性
層に形成された画像を紙に転写する場合、１枚の紙に４
色刷りの場合には４色の画像が重ねて転写されることに
なる。この場合画像形成材料の圧胴への取付時等にしわ
等が発生すると重ね刷りした２色目以降の画像に見当狂
いが生じることとなり、校正印刷の目的に適う美麗な印
刷物を得ることができない。

【０００４】本発明で用いられる画像形成材料は、支持
体と、該支持体の一方の面に形成された感光性層、およ
び保護膜とからなる。支持体および保護膜はセルロース
アセテート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチ
レンテレフタレート等の材料からなる薄いフィルムまた
はシートが使用される。支持体および保護膜は、このよ
うに柔らかい材料からできているので、圧胴への取付時
にしわ等が発生し易いという特性を有している。

【０００５】上記プリプレスプルーフの作成用装置とし
て、画像形成材料を添着した圧胴と画像受容体を添着し
た転写胴とを、画像形成材料の感光性層と画像受容体と
を相対するようにして両胴を接触加圧させ、両胴間のニ
ップにおいて感光性層に形成された画像を画像受容体に
転写する装置が一般に提案されている。かかる装置にお
いて、圧胴における画像形成材料取付装置として、従来
画像形成材料のような柔らかいシート状物を、取り付け
取り外しが容易であり、かつしわ等を生ずることなく、
見当精度に優れた状態で保持する装置の開発は強く希求
されてきたが、このような希求を満足する装置は未だ開
発されていなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、プリプレス
プルーフの作成用装置等の画像転写装置において、画像
形成材料のような柔らかいシート状物を、見当精度に優
れ、しかもシート状物の取り付け、取り外しが容易な画
像形成材料添着装置を具備する画像転写装置の提供を目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、画像形成材料
を添着した圧胴と画像受容体を添着した転写胴とを具備
し、画像形成材料の感光性層に形成された画像を圧胴と
転写胴との間のニップに導入して該画像を画像受容体に
転写する装置において、該転写装置が、画像形成材料の
上辺と下辺を幅方向全域にわたって圧胴表面に保持する
ための画像形成材料添着装置と画像形成材料を圧胴表面
に密着させるしごきローラーとを具備し、該上辺側保持
装置が、圧胴表面に設けた一部切り欠け部に設置したシ
ート受け部と、該シート受け部と該切り欠け部のシート
取付方向近傍の圧胴表面とを被覆するマグネットシート
とからなり、該しごきローラーが、該切り欠け部のシー
ト取付方向近傍の圧胴表面上のマグネットシートに接触
自在であることからなる画像転写装置を提供する。

【０００８】以下本発明を添付図面に基づいて詳細に説
明する。図１は、画像形成材料を添着する圧胴１と画像
受容体例えば紙を添着する転写胴２とを具備する画像転
写装置の概略断面図を示す。図２は、圧胴１の一部拡大
断面図を示す。圧胴１には一部切り欠け部３を設け、該
切り欠け部にはシート受け部４を設置する。シート受け
部４は、その先端が圧胴１の円周面よりも外側に出ない
長さとする。圧胴１および転写胴２が回転した時にシー
ト受け部４あるいは転写胴２の表面を傷付けないためで
ある。圧胴１は、画像形成材料取付時には圧胴に示す矢
印方向に回転させる。マグネットシート５をシート受け
部４および一部切り欠け部３の圧胴に示す矢印の逆方向
の圧胴表面の一部にかかるように設置して、シート受け
部および圧胴表面の一部とマグネットシートとの間で画
像形成材料６を保持する。マグネットシート６をピンジ
ョイント（図示せず）を介して一部切り欠け部の圧胴回
転方向（圧胴の矢印方向）前部に回動自在となるように
取付けてもよい。マグネットシートによる画像形成材料
保持操作を簡易ならしめるためである。

【０００９】シート受け部４は、圧胴の軸長方向に少な
くとも１本のピン７を有するピンバー８であってもよい
（図２）。ピンバー８の使用は、ピンバーのピンに画像
形成材料に設けたピン孔を嵌めることにより画像形成材
料の位置合わせを容易ならしめる利点がある。このとき
には、マグネットシート５にもピンバーのピンに対応す
るピン孔を設け、該ピン孔をピンバーのピンに嵌めるこ
とにより、マグネットシートの設置位置を容易に設定で
きるという利点がある。シート受け部４およびピンバー
８は、マグネットシートと引き合う材料、例えば鉄等か
ら形成されるが、圧胴１はマグネットシートと必ずしも
引き合う材料から形成されている必要はない。マグネッ
トシートに適度な硬度、柔軟性を持たせることにより、
シート受け部４で受けた力により圧胴表面で画像形成材
料を保持させてもよい。

【００１０】圧胴１の表面上で画像形成材料６を保持し
たマグネットシート５の上にしごきローラー１０を接触
させる。しごきローラー１０とマグネットシート５との
画像形成材料添着時の接触位置は、しごきローラー１０
のマグネットシート５との接触点が画像形成材料６の保
持側圧胴表面となるように設定する。画像形成材料添着
時にしごきローラー１０の接触点が、シート受け部４と
圧胴表面との間にくると、画像形成材料添着初期に該材
料の位置ずれが生じて見当狂いの原因となるため好まし
くない。またしごきローラー１０をマグネットシート５
の無い位置、即ち圧胴表面に直接接触させると、画像形
成材料の縦方向での位置ずれ、あるいは画像形成材料の
浮き上がり部分に起因するしわ発生等により、見当狂い
の原因となる。しごきローラー１０のマグネットシート
との接触圧力は、スプリングまたはガイド（共に図示せ
ず）等により、あるいはその自重により適宜調整され
る。しごきローラー１０は、その不使用時には、画像転
写装置のフレームに設けたガイドレール（図示せず）等
の手段により圧胴から離れた位置に移動させておくこと
が、画像形成材料の取付け、取り外し作業、あるいは画
像の転写作業を容易ならしめるために必要である。しご
きローラー１０は、シリコーンゴムのような耐熱性樹脂
で被覆され、適度の摩擦力を画像形成材料との間で有す
るものを使用する。

【００１１】圧胴１には、一部切り欠け部３の前方部
（矢印方向）に圧胴１の円周面よりも内側となるように
他の切り欠け部１１を設けておくことが、好ましい。圧
胴１および転写胴２の回転時に、転写胴２に設置された
画像受容体（図示せず）把持用クランプ１２の破損、あ
るいは圧胴表面の損傷を防止するためである。

【００１２】以下本発明の画像転写装置についてその作
用を説明する。画像形成材料６の上辺側がシート受け部
４の上にくるように載置し、ついでマグネットシート５
をシート受け部４と、画像形成材料の保持側である圧胴
表面とを被覆するように載置する。マグネットシートに
より画像形成材料を保持することにより、画像形成材料
が面でシート受け部あるいはピンバーに圧着される。こ
のため画像形成材料を圧胴に巻き付けるときにかかる引
張力が画像形成材料の全面にかかることとなり、画像形
成材料の部分的伸び、特にピン孔付近での部分的伸びが
防止されるので、位置ずれなく、見当精度よく画像形成
材料を設置できる。

【００１３】シート受け部４としてピンバー８を採用し
た場合には、ピンバー８のピン７に対応する位置にピン
孔を設けた画像形成材料６のピン孔を該ピン７に嵌め、
ついでマグネットシートのピン孔を該ピン７に嵌める。
ピンバー８の使用は、画像形成材料およびマグネットシ
ートの設置位置を容易に設定できる点で好ましい。

【００１４】画像形成材料およびマグネットシートを設
置した後、しごきローラー１０をマグネットシート５上
に接触させる。ついで圧胴を矢印方向に回転させ、画像
形成材料をしごきローラーにより圧胴表面に密着させな
がら圧胴に巻き付けた後、画像形成材料の下辺部を下辺
保持装置に取り付ける。下辺保持装置は、圧胴表面に軸
長方向に沿って設けた粘着テープ、あるいは圧胴の他の
切り欠け部に設けたクランプ等特にその手段は限定され
るものではない。しごきローラー１０で圧胴表面に密着
された画像形成材料が、特に他の操作を必要とすること
なく、圧胴表面に固定されるので、一般には粘着テープ
が好ましく採用される。

【００１５】画像形成材料は柔らかい材料から出来てい
るため、一部切り欠け部３と圧胴に示す矢印の逆方向圧
胴表面付近で、画像形成材料の浮き上がり等が生ずる。
これをマグネットシート５およびしごきローラー１０で
固定することにより、画像形成材料は圧胴表面に全幅に
わたり均一に密着されるので、部分的浮き上がり等によ
る見当精度のずれを生じることなく、圧胴に巻き取られ
る。

【００１６】画像形成材料６は支持体、感光性層および
保護膜の構成からなり、一般には画像露光により画像形
成のされた該材料を、保護膜のついたままで上記操作に
より圧胴１に添着する。ついで、マグネットシート５を
取り外し、保護膜を除去し、ついでマグネットシート５
で再度保護膜のない画像形成材料をシート受け部４に圧
着する。

【００１７】多色例えば４色のプリプレスプルーフにお
いては、一枚の画像受容体例えば紙に４色の画像形成材
料を転写するため、画像形成材料を取付け、取り外しが
容易であり、かつ見当精度良く圧胴に添着する装置は、
非常に重要であり、本発明の画像転写装置は、かかる要
求に応えるものである。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、画像形成材料を取り付
け、取り外しが容易であり、かつ見当精度良く圧胴に添
着できる画像転写装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】画像転写装置の概略断面図である。

【図２】圧胴の画像添着装置の一部拡大図である。

【符号の説明】

１ 圧胴 ２ 転写胴 ３ 一部切り欠け部 ４ シート受け部 ５ マグネットシート １０ しごきローラー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G03F 7/26 - 7/42 G03F 3/10

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像形成材料を添着した圧胴と画像受容
   体を添着した転写胴とを具備し、画像形成材料の感光性
   層に形成された画像を圧胴と転写胴との間のニップに導
   入して該画像を画像受容体に転写する装置において、 該転写装置が、画像形成材料の上辺と下辺を幅方向全域
   にわたって圧胴表面に保持するための画像形成材料添着
   装置と画像形成材料を圧胴表面に密着させるしごきロー
   ラーとを具備し、 該上辺側保持装置が、圧胴表面に設けた一部切り欠け部
   に設置したシート受け部と、該シート受け部と該切り欠
   け部のシート取付方向近傍の圧胴表面とを被覆するマグ
   ネットシートとからなり、 該しごきローラーが、画像形成材料添着時に、該切り欠
   け部のシート取付方向近傍の圧胴表面上のマグネットシ
   ートに接触自在であることを特徴とする画像転写装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の画像転写装置において、
   シート受け部が、圧胴表面に設けられた一部切り欠け部
   に圧胴の軸長方向に設置された少なくとも１本のピンを
   有するピンバーであり、マグネットシートが、該ピンに
   対応する位置にピン孔を設けて画像形成材料を保持する
   ことを特徴とする画像転写装置。