JP2836170B2 - リン修飾アルミナ及びその製造方法 - Google Patents

リン修飾アルミナ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐熱性組成物、特に耐熱性触媒担体として使
用されるリン修飾アルミナおよびその製造方法に関する
ものである。本発明に関するリン修飾アルミナは、例え
ば接触燃焼等の高温にて用いる反応の触媒担体として使
用される。
(従来の技術) 燃焼触媒は接触燃焼反応、自動車排ガス処理等に広く
用いられている。この触媒反応においては、反応温度が
例えば600℃以上と通常の触媒反応に比較して高温にな
るのが特徴的である。そして、800℃以上の温度で安定
な活性を有する触媒の開発が望まれている。
800℃以上の高温において長時間安定な触媒を見いだ
すには、活性点となる貴金属が高分散する為に高温にお
いても安定に高表面積を維持する触媒担体の開発が不可
欠である。即ち、1000℃以上、例えば1300℃の高温で焼
成した後も、高表面積を有する材料の開発が必要であ
る。一般的にアルミナは約1000℃で焼成しても約50m2/g
以上の高い表面積を保持するが、約1200℃で焼成すると
γ−アルミナからα−アルミナへと転移して急激にシン
タリングし、表面積は約5m2/g以下となる。さらに、130
0℃で焼成すると表面積は1m2/g以下と低下してしまう。
また、アルミニウムアルコキシドを原料とする製造方法
によっても、1300℃で焼成後はα−アルミナ化し、表面
積は10m2/g以下になる。即ち、アルミナでは、1300℃以
上の高温で焼成後も高表面積を保持する担体を得ること
は、困難である。
そこで、アルミナの複合酸化物とすることによりその
耐熱性を向上する方法が提案されている。例えば、希土
類元素を有するβ−アルミナ化合物あるいはマグネトプ
ランバイト型のヘキサアルミネート系層状化合物であ
る。
一方、アルミナにシリカを添加することにより、耐熱
性を向上する方法にも知られている。この方法では、シ
リカが粘性のガラス層でアルミナ表面を覆う為に担体の
シンタリングを防いでいると言われている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記の様な修飾アルミナでは、1200℃
以上では、α−アルミナ化が進行する為に表面積の低下
が著しく、耐熱性の点に課題がある。
(課題を解決する為の手段) そこで、本発明等はかかる課題を解決すべく鋭意検討
した結果、アルミニウム源とリン源とを特定の組成比と
し混合後、加熱、焼成することにより表面積の低下が抑
制されたアルミナが得られることを見い出し、本発明に
到達した。
即ち、本発明の目的は高温焼成後も高表面積を有する
特定のリン修飾アルミナの製造方法を提供することにあ
る。そして、その目的は、アルミニウムアルコキシドと
リン酸類をAl/P原子比が5〜200の範囲にて混合し、グ
リコール溶媒中でした後、1000℃以上で焼成することを
特徴とするリン修飾アルミナの製造方法により達成され
る。
以下、本発明の詳細に説明する。本発明に用いるアル
ミナ源としては、アルミニウムアルコキシドであって、
Al(OR)(R;アルキル基)で表した場合、アルキル基
の炭素数が6以下のアルミニウムアルコキシドが好適に
用いられる。特に、アルミニウムイソプロポキシドが好
適である。また、リン源としては、リン酸類であって、
リン酸あるいはリン酸エステルが好適に用いられる。
アルミニウムアルコキシドとリン酸類の混合比として
は、AlとPの原子比が5〜200、好ましくは5〜100であ
り、この範囲を外れると所望とす生成物が得られないの
で好ましくない。本発明にて使用するグリコール類とし
ては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が用い
られ、特に1,4−ブタンジオールが好適である。グリコ
ールの使用量としては、用いるアルコキシド全重量の合
計の1〜100倍、好ましくは5〜30倍の範囲で良好であ
る。
本発明においては、これらを混合して加熱する。アル
ミニウムアルコキシドは、必ずしもグリコール溶媒中に
溶解する必要がなく、懸濁した状態にてそのまま加熱し
ても良い。これらの混合物は、密閉容器中に入れ沸点以
上の温度にて加熱することが好ましい。通常は、100〜4
00℃、具体的には、用いるグリコールの沸点〜沸点より
100℃高い温度の範囲の温度で加熱する。反応時間とし
ては、加熱温度に依存するが、一般的には1時間から10
時間の範囲で充分に反応が進行する。
密閉容器内はグリコールの酸化を防止する為に不活性
ガスにて置換することが望ましい。また、加熱処理は必
ずしも撹はんを要しないが、撹はん条件下実施する方が
好ましい。
生成物はデカンテーションまたは濾過により集め、必
要に応じて洗浄する。得られた生成物は無色に近いゲル
であり、水に対しても安定である。
生成物は要すれば乾燥、仮焼して、好ましくは空気流
通下にて1000℃以上、好ましくは1000〜1500℃の温度で
焼成する。この焼成温度は、使用する反応条件に依存
し、少なくとも反応温度よりも高い条件で焼成するのが
一般的である。焼成雰囲気としては、残存する有機物を
除去する為に空気流通下の方が好ましい。
以上のようにして得られたリン修飾アルミナは、1000
℃以上の温度で焼成後も高表面積を維持する。特に、13
00℃で、例えば30分間焼成後も10m2/g以上の表面積を有
し、従来のアルミナ担体に比較して高表面積を維持して
いる。これは、本発明によるリン修飾アルミナでは、リ
ンがアルミナ中に均一に分散し、α−アルミナへの転移
を抑制している為と考えられる。
(実施例) 以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。実施例において、比表面積は試料を乾燥後、液体窒
素温度(77.4K),相対圧0.3で流通法により求めた。粉
末X線回折パターンは、Cu−Ka線で測定した。
(実施例1) 85%リン酸0.46g及びアルミニウムイソプロポキシド
8.11gの混合物(Al/P原子比=10)を1,4−ブタンジオー
ル130mlに懸濁し、これを300mlオートクレーブ中に入れ
た。オートクレーブ中を窒素で置換した後、300℃に昇
温して2時間加熱した。反応後、生成物を濾過により集
めメタノールで洗浄,風乾した。この生成物を40/hr
の空気気流中、3℃/分の速度で昇温、所定温度で30分
間焼成した。
生成物の焼成後の表面積を表1に示した。粉末X線回
折パターンによれば、1100℃焼成後のサンプルは、γ−
アルミナ,1300℃焼成後でθ−アルミナであった。
(実施例2) 85%リン酸0.23g及びアルミニウムイソプロポキシド
8.11gの混合物(Al/P原子比=20)を用いた以外は実施
例1と同様にして合成した。生成物の焼成後の表面積を
表1に示した。
(比較例1) リン酸を添加せず、アルミニウムイソプロボキシド1
2.5gを用いた以外は実施例1と同様にして合成した。生
成物の焼成後の表面積を表1に示した。焼成後のサンプ
ルの粉末X線回折パターンによれば、1100℃でθ−アル
ミナ、1300℃で完全にα−アルミナとなった。
(比較例2) 85%リン酸のかわりにアセチルアセトンジルコニウム
を1.94g用いた以外は実施例1と同様にして、Al/Zr原子
比=10にて合成した。生成物の焼成後の表面積を表1に
示した。粉末X線回折パターンによれば、1100℃焼成後
のサンプルはθ−アルミナとZrO2の混合物、1300℃焼成
後のサンプルはα−アルミナとZrO2の混合物であった。
(比較例3) 85%リン酸のかわりにアセチルアセトンジルコニウム
を0.97g用いた以外は実施例1と同様にして、Al/Zr原子
比=20にて合成した。生成物の焼成後の表面積を表1に
示した。
(発明の効果) 本発明により、耐熱性に秀れた高表面積を有するリン
修飾アルミナを得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムアルコキシドとリン酸類をア
    ルミニウム原子とリン原子との原子比(A1/P)が5〜20
    0の範囲で混合し、グリコール溶媒中で加熱した後、100
    0℃以上で焼成することを特徴とするリン修飾アルミナ
    の製造方法。
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