JP2835889B2 - 老香除去清酒及びその製造方法 - Google Patents

老香除去清酒及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、清酒の貯蔵中や瓶詰後
の市販酒に発生する不快臭である老香(過熟臭、瓶香の
一種)を、選択的且つ効率的に除去するための工業的方
法、及び、該方法によって得られた老香のない高品質の
清酒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】老香は、貯蔵や瓶詰後の清酒製品に発生
する焦臭、インドール臭、バニラ臭等の不快複合香であ
る。通常、老香は、上槽した清酒を火入れ殺菌(60〜
65℃)した後にタンク貯蔵して熟成させるが、この貯
蔵中に発生するものである。また、瓶詰後の市販清酒に
も老香が発生し、製品の評価を著しく低下せしめるもの
でもある。
【0003】清酒においては、貯蔵熟成中に着色が増加
し、雑味が強くなり、老香も発生する。これらの程度
は、貯蔵温度が高いほどそして貯蔵期間が長いほど、強
くなるものである。このようにして発生する老香は、清
酒特有の芳香(エステル香、アルコール香)とは異な
り、老酒(らおちゅう)様の香りを呈し、清酒の香りの
中でも不快とされるもののひとつであって、通常の場
合、清酒にとって商品価値を下げる要素のひとつであ
る。この老香は、単一成分からなるものではなく、揮発
性イオウ化合物、インドール臭、バニラ臭、焦げ臭等各
種の物質が複雑に関与する複合臭である。
【0004】そこで老香を抑制、除去するために、従来
より酵母処理及び活性炭処理が知られているが、前者は
実験室規模では用いられているものの工業的には行われ
ておらず、現在工業的に実施されている処理は専ら後者
の活性炭処理である(灘酒研究会「灘の酒用語集」(昭
54−10−1)p236〜237)。
【0005】しかしながら、これら既知の処理の内、酵
母処理は、固定化酵母で数日間処理するものであるが、
固定化酵母の作製が困難であり、酒質(特にアルコール
分)の変化が大きく、また処理に長期間を要するため、
工業的な老香除去方法としては好ましくない。一方、活
性炭処理は、瓶詰前の製成工程の中で活性炭(粉末炭、
粒状炭)で数時間〜数日間処理するものであって、脱
色、老香の除去、味の淡麗化を図るものであるが、老香
を充分に除去しようとすれば処理に長期間を要し、その
結果香気成分も除去されることとなるし、理論的には活
性炭の再生は可能であるものの再生にはコストがかかる
ため工業上実際には再生は行われておらず、経済的にも
大きなロスであるし、大量に排出される使用済活性炭に
は廃棄物の問題も副生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の欠点を一挙に解決するためになされたものであ
って、老香のみを選択的に除去することができ、短時間
で処理が完了し、再生利用が可能な低コスト且つ工業的
な大規模清酒処理方法を開発する目的でなされたもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、各方面から研究を
行った結果、包接作用を有するサイクロデキストリンに
着目したが成功するに至らず、そして更に研究の結果そ
のポリマーを用いることによって所期の目的を達成しう
るとの新知見を得、この新知見を基礎として遂に完成さ
れたものである。
【0008】以下、本発明について詳しく説明する。サ
イクロデキストリン(以下、CDということもある)
は、数個のグルコース分子がα−1,4−グルコシド結
合で環状に結合した非還元性のマルトオリゴ糖の1種で
ある。サイクロデキストリンは、例えば、澱粉をサイク
ロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ等の
酵素を作用させて製造することができ、グルコース分子
数が6個のα−CD、7個のβ−CD、8個のγ−CD
等が知られている。
【0009】本発明においては、CDではなく、CDを
ポリマー化したサイクロデキストリンポリマー(以下、
CDのポリマーをCDPということもある)を用いるも
のである。CDPは、CDに包接作用を持たせたままポ
リマー化して水不溶化ないし難溶化させたものであっ
て、老香のみを選択的に包接するという特徴を有し、包
接物を系外に容易に除去することもできるし、再生する
ことによりくり返し使用することも可能である。CDP
としては、α−CDP、β−CDPのいずれもが単用な
いし併用することができる。
【0010】CDのポリマー化は常法によればよく、α
−CDまたはβ−CDの場合は、例えば(1)CD自体
をエピクロルヒドリンなどの多官能化合物で架橋する方
法、(2)予じめ活性基を有する母体を作っておき、そ
の活性基とCDとを化学的に結合する方法、等によって
容易にポリマー化することができる。また、CDPは市
販されてもおり(例えば「FN−CD−01」、「FN
−CD−02」:オルガノ株式会社製)、容易に入手す
ることができる。
【0011】本発明を実施するには、清酒とCDPとを
接触せしめればよく、バッチ法、カラム法(連続法)等
すべての方法が利用でき、両者を接触せしめるだけで充
分に所期の目的が達成できるので本発明は工業化にきわ
めて適している。バッチ式処理の場合は、老香を感じる
清酒にCDPを適当量(好ましくは0.1〜20%、更
に好ましくは、1〜8%、処理時間が長ければ低濃度で
も所期の目的が充分に達成できる)添加し、適当な温度
(室温で充分である)で適当な時間(室温の場合、30
分〜3時間で充分である)必要あれば攪拌しながら両者
を接触せしめればよい。そして接触処理終了後、濾過、
遠心分離、デカンテーションその他既知の固液分離手段
によってCDPを除去する。またカラム法の場合は、カ
ラムにCDPを充填しておき、これに老香を感じる清酒
を適宜流速で流せば所期の目的が達成される。
【0012】本発明によれば、清酒とCDPとを接触せ
しめるだけで、清酒の他の成分にはほとんど影響を与え
ることなく老香のみを選択的に除去することができ、し
かも処理は簡便且つ短時間に完成する。そのうえ、除去
処理後のCDPは、バッチ法ではこれを取り出した後
に、そしてカラム法の場合はそのままの状態で、溶離液
と接触せしめれば、CDPに包接(吸着)された物質は
容易に脱着するので、CDPはくり返し使用できるとい
う卓越した利点も得られる。しかも溶離液としても格別
の液体を使用する必要はなく、エタノール等のアルコー
ル;水性アルコール;温水、熱水;希水酸化カリウム、
同ナトリウム等希アルカリ水;希塩酸、希リン酸等の希
酸その他が単用ないし組み合わせて使用できる。
【0013】以下、本発明の実施例について述べる。
【0014】
【実施例1】老香を感じる清酒にβ−CDP(FN−C
D−01:オルガノ株式会社製)をそれぞれ0.3〜3
%添加し、室温で2時間攪拌してバッチ法による処理を
行った。
【0015】処理終了後、熟練した12名のパネルによ
り5点法によるパネルテストを行い、下記する表1の結
果を得た。この結果から明らかなように、官能評価の結
果、CDP処理によって老香が低減、除去されることが
分った。
【0016】
【表1】
【0017】
【実施例2】実施例1で処理した清酒について、老香の
構成成分のひとつであるジメチルジスルフィド(DMD
S)をガスクロマトグラフィーにより測定し、チオール
化合物をイールマン試薬を用いて測定し、それぞれ下記
する表2の結果を得た。この結果から明らかなように、
CDP処理によって清酒中の老香が低下、減少すること
が機器分析によっても確認された。
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、熟成後の清酒から、好
ましい香りではない老香のみを選択的に除去することが
でき、しかもその処理はCDPと清酒とを単に接触せし
めるだけで充分であるので、工業的処理として非常にす
ぐれており、且つ接触時間もごく短時間で済み、そのう
えバッチ法、カラム法のいずれも可能であり、使用済の
CDPは再生してくり返し利用することが可能であるの
で経済的にもすぐれた効果が奏される。
【0020】したがって本発明によれば、老香のないす
ぐれた品質の清酒製品が自由に得られるだけでなく、熟
成による着色や味の濃醇さはそのまま保持した従来にな
い新しいタイプの清酒の開発も可能となるのである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−146271(JP,A) 特開 昭62−282577(JP,A) 特開 昭60−94081(JP,A) 特開 昭57−118756(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12G 1/00 - 3/12 C12H 1/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 老香を感じる清酒をサイクロデキストリ
    ンポリマーで処理することを特徴とする清酒中の老香の
    除去方法。
  2. 【請求項2】 サイクロデキストリンポリマーとしてα
    −またはβ−サイクロデキストリンポリマーを使用する
    ことを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2の方法によって
    老香を除去してなる清酒。
JP22525991A 1991-08-12 1991-08-12 老香除去清酒及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2835889B2 (ja)

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JP5205665B2 (ja) * 2009-02-27 2013-06-05 独立行政法人酒類総合研究所 清酒の老香発生の程度を予測する方法
JP5954740B2 (ja) * 2013-06-06 2016-07-20 月桂冠株式会社 Dmts発生の予測方法、清酒の劣化予測方法、清酒および清酒の製造方法

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