JP2828489B2 - 含クロム溶銑の製造方法 - Google Patents

含クロム溶銑の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、竪型炉を用いて原料中に有するクロム源か
ら極力クロムの収率を高めた操業の可能な含クロム溶銑
の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、クロム成分を含有する特殊鋼やステンレス鋼
は、一旦溶製された含クロム溶銑を主要な出発原料と
し、これを精錬して製造されている。古くから行われて
きたこの含クロム溶銑の製造方法として、クロム鉱石か
ら一旦フエロクロムを造りそれから含クロム溶銑とする
方法がある。しかしながらこの方法は、電気炉や電気精
錬炉を使用するので原料の溶解やクロム酸化物の溶融還
元に多くの電力を費やして多大なエネルギーコストがか
かる欠点があつた。
これに対して近年、大電力を使用しない方法として、
上部に原料装入口をまた下部付近に上下2段の羽口を有
する竪型炉の原料装入口から鉄源,炭材及び造滓材から
主として成り更にクロム源の一部を加えることのある装
入原料を装入し、上下段の各羽口から高温空気又は高温
酸素富化空気を吹き込むと共に上段羽口からマグネシウ
ム酸化物及びクロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原
料を炉内へ供給し、この様々なクロム原料中に含有され
るクロム酸化物を溶融還元しながら含クロム溶銑を出銑
して製造する方法が特開昭60−162718号公報や、特開昭
62−54007号公報や、特開昭62−167808号公報や、特開
昭62−167809号公報などに開示されている。しかしなが
ら、このような従来技術においては、クロム原料中に含
有されているクロムの収率換言すればクロム歩留が、低
いという問題点が存在し、この問題点については未解決
であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前述の従来技術の欠点を解消し、安価なク
ロム鉱石や、含クロム溶銑を主要な出発原料として使用
した特殊鋼やステンレス鋼の製造工程において副産物と
して発生するスラグ,ダスト,スラジ等をできるだけ手
を加えずに多量にクロム原料として積極的に使用し、こ
の竪型炉の上段羽口からこのような粉粒状のクロム原料
として供給しても常に高いクロム収率で含クロム溶銑の
製造を可能とさせることを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは種々検討した結果、このクロム収率は炉
内で生成されるスラグの組成に大きく影響され、スラグ
組成上の次の2つの成分特性、即ち {(wt%Al2O3)+(wt%MgO)} 及び {(wt%CaO)/(wt%SiO2)} の値をそれぞれ特定の適正な範囲に調整維持することに
より、前述の課題を達成できることを究明して本発明を
完成した。
以下、図面を用いて本発明に係る含クロム溶銑の製造
方法について詳細にを説明する。
第1図は本発明におけるスラグ組成上の成分特性値の
適性範囲を示す図、第2図は実施例,比較例のスラグ組
成上の成分特性値を示すグラフ、第3図は本発明方法が
適用される竪型炉の1例の概略断面図を含む含クロム溶
銑製造設備の概略図である。
先ず、本発明方法が適用される含クロム溶銑の一般的
製造方法を第3図により説明する。
空気供給源1から送られてくる空気を必要に応じて酸
素供給源2によつて酸素富化し、更に熱交換器3によつ
て高温(通常600〜1,200℃)に加熱した後、炉の下部付
近に上下2段に設けられている上段羽口4と下段羽口5
とから竪型炉6内へ吹き込む。一方、炉の上部の原料装
入口7から種々の装入原料を装入する。この装入原料は
鉄源,炭材及び造滓材から主として成り、更にクロム源
の一部を加えることがある。このクロム源の一部として
は通常、クロムを含有する鉄源や高炭素フエロクロムが
使用され、クロム源の全部を次に説明する上段羽口4か
らのクロム原料供給に頼る場合以外は上部の原料装入口
7から装入され、むしろこの方が一般的である。このよ
うに炉の上部の原料装入口7から原料を装入すると共
に、ホツパー8内のマグネシウム酸化物及びクロム酸化
物を含有する粉粒状のクロム原料(以下、単にクロム原
料又は吹込みクロム原料と言うことがある)9を高温空
気又は高温酸素富化空気と共に上段羽口4より竪型炉6
内へ吹き込む。炉内が高温となり、炉の上部から装入し
た諸原料の主として溶解反応と炉の上段羽口4から吹き
込まれた粉粒状のクロム原料9の溶融還元反応が進行
し、炉の下部の出銑樋10から含クロム溶銑を出銑させ、
出滓樋11から溶融スラグを排出させる。
また、竪型炉6からの排出ガスは燃焼装置12で可燃成
分を燃焼させ、熱交換機3を通過させた後に集塵装置13
を経て系外へ排出する。
本発明者らは、このような竪型炉6を用いて含クロム
溶銑を製造する場合、クロム収率がスラグ組成に大きく
影響されることに気付き、どのようなスラグ組成にする
と高い収率でクロム原料中のクロム酸化物を溶融還元で
きるかということに重点を置いて検討した。検討するに
当り、実際の操業条件に合うように、即ち上段羽口4か
ら吹き込む粉粒状のクロム原料9中のクロム酸化物を滞
溜時間の短い上下段羽口4,5間で如何に速く溶融して還
元するか、という点に注力した。
先ず、溶融に関しては上段羽口4から吹き込んだクロ
ム原料9中のクロム酸化物を上段羽口4近傍を降下中の
溶融スラグに短時間で溶融されることが必要である。そ
のためにはスラグ組成はどうあるべきかを検討した。そ
の検討内容は次のようであつた。クロム原料9として最
も一般的なクロム鉱石の組成はCr2O3:43〜57%,FeO:10
〜20%,SiO2:0〜5%,MgO:10〜19%,Al2O3:10〜14%で
ある。このような組成のクロム鉱石が上段羽口4から吹
き込まれて上段羽口4の近傍を降下している溶融スラグ
〔この溶融スラグは通常、炉の上部から装入された原料
中の炭材の灰分(シリカ及びアルミナが主成分)や造滓
剤(フラツクス)や炉内耐火物の溶損に由来するCaO−S
iO2−Al2O3−MgO系である〕に出会うと、その境界で先
ずFe,Alの成分が溶け出し最後にこのクロム鉱石中に含
有されている難溶解性のピクロクロマイト:MgO・Cr2O3
粒子が残る。そしてこの難溶解性のピクロクロマイト:M
gO・Cr2O3粒子が出会つた溶融スラグ中に溶解するので
ある。
しかしながら、この溶融スラグの組成上における成分
特性値である{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}が高いと
難溶解性のピクロクロマイト:MgO・Cr2O3粒子表層に難
溶解性のAl2O3−MgO系スピネルの濃縮層が形成され、難
溶解性のMgO・Cr2O3粒子の溶融スラグへの溶解を阻害す
るようになる。従つて、難溶解性のピクロクロマイト:M
gO・Cr2O3粒子の溶融スラグへの溶解を促進するために
は、溶融スラグ中の成分特性値{(wt%Al2O3)+(wt
%MgO)}が高くならないようにする必要がある。
次に、このように溶融スラグ中に溶解されたクロム酸
化物の還元に関しては、次のように検討した。即ち、ク
ロム酸化物の還元の主要な反応は、溶融スラグ中に溶解
したクロム酸化物と上下段羽口4,5間のコークス充填層
内に存在するカーボンとの直接還元反応である。しかし
ながら、上下段羽口4,5間には同時にメタル層も形成さ
れていて、その中には炉の上部から装入された諸原料中
の鉄源等に由来するSiが含まれており、溶融スラグ中に
溶解したクロム酸化物はこのメタル層中のSiによつても
還元される。そしてこの還元反応を促進するためには、
前述の溶融スラグ中の成分特性値{(wt%Al2O3)+(w
t%MgO)}を低めることの他に、スラグの塩基度{(wt
%CaO)/(wt%SiO2)}を大きくする必要がある。
これは以下に概略説明する理由による。溶融スラグ中
に溶解した前述の難溶解性のMgO・Cr2O3粒子をも含むク
ロム酸化物は、メタル層中のSiにより、下記の反応式に
示すように還元され、そして下式に示すように平衡す
る。
ここで、 前記与式において、溶融スラグ中のクロム酸化物の還
元反応を促進するには、このスラグ中のCr濃度,即ち
(wt%Cr)を極力低くせねばならないが、このためには
Vの値を大きくする必要がある。ところがこのV値を決
定するのに、(wt%MgO)は前述の理由で大きくするこ
とが好ましくないので、結局残つた他の{(wt%CaO)
/(wt%SiO2)}を大きくすることが必要となるのであ
る。
本発明者らは以上に述べた検討結果に基づいて更に検
討を進め、難溶解性のMgO・Cr2O3の溶融スラグへの溶解
及びメタル層中のSiによる溶融スラグ中のクロム酸化物
の還元反応を促進させるためのスラグ組成、即ちこのス
ラグ組成中における成分特定値である前記{(wt%Al2O
3)+(wt%MgO)}と溶融スラグの塩基度{(wt%Ca
O)/(wt%SiO2)}とを各適正範囲を定めるための数
多くの実験を行つた。この実験において、含クロム溶銑
の出銑温度は省エネルギーや炉内耐火物の耐久性の向上
の観点から格別高温にする必要はなく、上部から装入さ
れた諸原料の溶解と羽口から吹き込まれた諸原料の溶融
還元反応に足る温度が確保されてから出銑されれば良い
のであり、含クロム溶銑や溶融スラグの融点,操業性,
クロムをはじめ各種有効金属の収率などによる経済性か
ら総合的に検討して実用性の高い1450℃〜1555℃の範囲
について特に実験を重ねた(これらの実験のうちの代表
的なものについては、後に実施例,比較例として示
す)。
その結果、竪型炉の上段羽口4からクロム原料9を吹
き込んで含クロム溶銑を製造する場合において、炉内で
生成し出滓樋11から排出する溶融スラグ組成のクロム収
率に及ぼす影響に関して、次のような新たな知見を得て
本発明を完成したのである。
即ち、炉の上部に原料装入口をまた炉の下部付近に上
下2段の羽口を有する竪型炉の原料装入口から鉄源,炭
材及び造滓材から主として成り更にクロム源の一部を加
えることのある装入原料を装入し、上下段の各羽口から
高温空気又は高温酸素富化空気を吹き込むと共に上段羽
口からマグネシウム酸化物及びクロム酸化物を含有する
粉粒状のクロム原料を炉内へ供給し、この粉粒状のクロ
ム原料中のクロム酸化物を溶融還元しながら含クロム溶
銑を出銑し製造するときのクロムの収率(クロム歩留)
に及ぼす溶融スラグ組成の影響は、第1図に示すよう
に、スラグ組成中の前記2つの成分特性値範囲の組合わ
せによる3つの領域、詳細には4つの領域によつて異な
る知見を得て、本発明を完成させたのである。
(I)領域A:{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}>21% この領域では、{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}が高
過ぎるため、難溶解性のMgO・Cr2O3粒子が溶融スラグ中
に溶解し切れず、このスラグの塩基度如何に拘わらずク
ロム収率は低い。
ここで本発明に言うクロム収率(wt%)とは、炉の上
部から装入された原料及び羽口から吹き込まれた原料が
炉内をトラベリングして炉の下部の出銑樋から含クロム
溶銑として出銑する一定期間における下式によつて定義
され、 そして通常、炉内投入原料の初期ソラベリングタイムを
除く一定期間において、投入原料中の全クロム純分量
(t)に対する出銑溶銑中に含有されるクロム純分量
(t)を重量百分率として算出される。出銑した溶銑中
に含有されなかつたクロムは、未還元のまま酸化物とし
て溶融スラグ中に残留したものと、炉の上部から排ガス
と共にダストとして系外に排出されたものとによつて収
支する。
(II)領域B:{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}≦21%で
且つ{(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≦0.85 この領域では、{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}が低
いため、難溶解性のMgO・Cr2O3粒子は溶融スラグ中に完
全に溶解するが、このスラグの塩基度が低過ぎるためク
ロム収率は低い。
(III)領域C:(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}≦21%で
且つ{(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≦0.85 この領域(図中斜線部分)では、{(%Al2O3)+
(%MgO)}が低いため、難溶解性のMgO・Cr2O3粒子は
溶融スラグ中に完全溶解し、且つスラグの塩基度も大き
いためクロム収率は高い。
この領域C内で、スラグの塩基度{(wt%CaO)/(w
t%SiO2)}が例えば1.2を超えて高くなると、スラグの
融点が高くなつてその流動性が悪くなるので操業しにく
くなるが、前述の如く含クロム溶銑の出銑温度が1450〜
1550℃の条件下においてはスラグの塩基度が 0.85≦{(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≦1.2 の範囲(第1図中の領域C′)なら操業は容易で高いク
ロム収率が得られる。
以上の知見から、本発明はマグネシウム酸化物及びク
ロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原料を上段羽口4
から吹き込みながら含クロム溶銑を出銑し製造する場
合、炉内で生成するスラグ組成を (wt%Al2O3)+(wt%MgO)}≦21% 且つ {(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≧0.85 の範囲に調整維持することを特徴とする。
このスラグ組成の調整は、最初は計算により前記スラ
グ組成となるように原料の配合割合を定め、操業開始後
は溶融スラグをサンプリングしてその分析結果によつて
上部の原料装入口7から装入する造滓剤の種類や品位,
割合,量を調整して行う。本発明においてはマグネシウ
ム酸化物及びクロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原
料9として最も一般的で安価なクロム鉱石の他、製造さ
れた含クロム溶銑を主要な出発原料とした特殊鋼や、ス
テンレス鋼製造工程で副産物として発生するスラグ,ダ
スト及びスラジの1種以上を有効に且つ積極的に利用す
ることができるのである。
このようにして、これらの粉粒状のクロム原料9に難
溶解性のピクロクロマイト:MgO・Cr2O3が含有されてい
ても、しかもできるだけ手を加えずに多量に使用してス
ラグ組成を前記範囲に調整維持することにより高いクロ
ム収率が得られ、そして円滑な操業が可能である。
〔実施例〕
実施例1〜8,比較例1〜7 炉内径1mの上下段各3本づつの羽口4,5を有する第3
図と同様の含クロム溶銑の製造設備を用い、第1表に示
す送風条件で1450〜1550℃の12%Crの含クロム溶銑を出
銑し製造した。
炉の上部から装入原料としては、第2表に示す原料を
使用し、生石灰,硅石については第3表に示す15水準の
スラグ組成になるように配合し、装入原料の割合,量を
調整してその組成を維持させた。第3表には各水準に対
応して、実施例,比較例のNo.を後に述べる実施例,比
較例のNo.を併せて記載した。
また、上段羽口4からはステンレス鋼製造工程で発生
した転炉スラグが29%,スラジ33%及びダスト(マグネ
シウム酸化物及びクロム酸化物を含有)38%の混合物で
あつて第4表に示す組成及び粒度のクロム原料を炉内へ
800kg/時間で吹き込んだ。
その結果、第2図に示す結果を得た。
即ち、スラグ組成が (wt%Al2O3)+(wt%MgO)}≦21% 且つ {(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≧0.85 の適正範囲にある水準No.2,3,4,5,7,8,9,10の場合は、
高いクロム収率が得られ、円滑な操業が可能であつた。
スラグ塩基度が1.20と高い水準No.10及び15の場合に
は、スラグ流動性が僅かに劣る傾向が見られたが、実際
操業上全く支障なかつた。
しかしながら、{(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}が25
%と高い水準No.11,12,13,14,15の場合には、難溶解性
のMgO・Cr2O3粒子が溶融スラグ中へ完全溶解しなかつた
ためクロム収率が低かつた。
水準No.1及び6の場合には、(wt%Al2O3)+(wt%M
gO)}が21%と低いために、難溶融性のMgO・Cr2O3粒子
は溶融スラグ中へ完全溶解したが、反面スラグの塩基度
が0.8と低いため、メタル層のSiによる溶融スラグ中の
酸化クロムの還元反応が促進せず、クロム収率がやゝ低
かつた。
実施例9〜16,比較例8〜14 O2富化率を8%とし、炉の上部から装入原料及び吹込
みクロム原料の装入量、吹き込み量をそれぞれ第5表及
び第6表のようにしたこと以外は実施例1〜8,比較例1
〜7と同様にして12%Crの含クロム溶銑を出銑し製造し
た。吹き込み原料としてはクロム鉱石を使用し、500kg/
時間で吹き込んだ。
その結果、実施例1〜8,比較例1〜7と全く同様に第
2図と同じ結果を得た。即ち、スラグ組成が適正範囲に
ある水準No.2,3,4,5,7,8,9,10の場合は、良好なクロム
収率が得られ、円滑な操業が可能であつた。
しかしながら、水準No.11,12,13,14,15の場合にはク
ロム収率は低く、また水準No.1,6の場合もクロム収率は
やゝ低かつた。
〔発明の効果〕
以上詳述した如く、本発明に係る含クロム溶銑の製造
方法は、竪型炉の上段羽口から粉粒状のクロム原料を吹
き込んで含クロム溶銑を製造するに当り、炉内で生成す
るスラグ組成に関し2つの成分特性値を特定の範囲に調
整,維持するように構成したことにより、以下に述べる
効果を有する。
(イ)難溶解性のピクロクロマイトを含有するマグネシ
ウム酸化物及びクロム酸化物を含有するクロム原料から
も、安定して高いクロム収率で含クロム溶銑を出銑し製
造することができ、また円滑な操業が可能である。
(ロ)また、クロム原料として安価なクロム鉱石を使用
し、電力を使用せず且つ高いクロム収率で含クロム溶銑
が得られるからコスト的に有利である。
(ハ)更に、製造された含クロム溶銑を主要な出発原料
とする特殊鋼やステンレス鋼製造工程で発生し難溶解性
のMgO・Cr2O3粒子を含有するスラグ,ダスト,スラジ等
を余り手を加えずともクロム原料として多量に使用する
ことができて、しかも良好なクロムの回収率で処理する
ことが可能であり、廃棄物中のクロムを有用に利用する
ことができるので省資源,環境改善の面でも非常に有効
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明におけるスラグ組成上の成分特性値の適
性範囲を示す図、第2図は実施例,比較例のスラグ組成
上の成分特性値を示すグラフ、第3図は本発明方法が適
用される竪型炉の1例の概略断面図を含む含クロム溶銑
製造設備の概略図である。 図面中 1……空気供給源 2……酸素供給源 3……熱交換機 4……上段羽口 5……下段羽口 6……竪型炉 7……原料装入口 8……ホツパー 9……クロム原料 10……出銑樋 11……出滓樋 12……燃焼装置 13……集塵装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 11/00 - 11/02 C22C 33/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部に原料装入口をまた下部付近に上下2
    段の羽口を有する竪型炉の前記原料装入口から鉄源,炭
    材及び造滓材から主として成り更にクロム源の一部を加
    えることのある装入原料を装入し、前記上下段の各羽口
    から高温空気又は高温酸素富化空気を吹き込むと共に前
    記上段羽口からマグネシウム酸化物及びクロム酸化物を
    含有する粉粒状のクロム原料を炉内へ供給し、この粉粒
    状のクロム原料を溶融還元しながら含クロム溶銑を出銑
    し製造するに当り、炉内で生成するスラグ組成を {(wt%Al2O3)+(wt%MgO)}≦21% 且つ {(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≧0.85 の範囲に調整位置することを特徴とする含クロム溶銑の
    製造方法。
  2. 【請求項2】1450〜1550℃の温度範囲の含クロム溶銑を
    出銑し製造するに当り、炉内で生成するスラグ組成を 0.85≦{(wt%CaO)/(wt%SiO2)}≦1.2 の範囲に調整維持する請求項1に記載の含クロム溶銑の
    製造方法。
  3. 【請求項3】マグネシウム酸化物及びクロム酸化物を含
    有する粉粒状のクロム原料として、難溶解性のピクロク
    ロマイト:MgO・Cr2O3を含有する原料を使用する請求項
    1又は2に記載の含クロム溶銑の製造方法。
  4. 【請求項4】マグネシウム酸化物及びクロム酸化物を含
    有する粉粒状のクロム原料として、難溶解性のピクロク
    ロマイト:MgO・Cr2O3を含有するステンレス鋼製造工程
    で副産物として発生するスラグ,ダスト及びスラジの1
    種以上を使用する請求項3に記載の含クロム溶銑の製造
    方法。
  5. 【請求項5】マグネシウム酸化物及びクロム酸化物を含
    有する粉粒状のクロム原料として、難溶解性のピクロク
    ロマイト:MgO・Cr2O3を含有するクロム鉱を使用する請
    求項3に記載の含クロム溶銑の製造方法。
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