JP2827016B2 - ポリビニルアルコールおよびその連続溶解法 - Google Patents

ポリビニルアルコールおよびその連続溶解法

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JP2827016B2 JP16693889A JP16693889A JP2827016B2 JP 2827016 B2 JP2827016 B2 JP 2827016B2 JP 16693889 A JP16693889 A JP 16693889A JP 16693889 A JP16693889 A JP 16693889A JP 2827016 B2 JP2827016 B2 JP 2827016B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、連続溶解に適したポリビニルアルコール
(以下、PVAと略記する)およびその連続溶解法に関す
るものである。
PVAは紙加工,繊維加工,接着剤,乳化剤,塗料,フ
ィルム等の幅広い分野で使用されているが、そのほとん
どの場合、PVAは水に溶解して使用されるので、効率的
に連続溶解できるPVAおよびその連続溶解法を提供する
本発明は産業上極めて有用である。
[従来の技術] 従来、デンプンの水性懸濁液(以下、水スラリーと略
記する)と生蒸気とを、蒸気噴出加熱器等の流体連続混
合装置を用いて混合し、瞬間的な加熱により、デンプン
水溶液を連続的に得る方法は、例えば、特公昭42-5170
号公報等にて開示され、広く実施されている。
しかしながら、PVAはデンプンとその用途が同一であ
ったり、また両者は混合使用される場合が多いにもかか
わらず、PVAに関してはほとんど連続溶解は実施されて
おらず、バッチ方式で溶解しているのが実状である。そ
の理由は種々あるが、デンプンに使用されている上記の
装置と方法による連続溶解にPVAが適していないことが
大きな理由の一つである。即ち、デンプンに使用されて
いる上記の装置と方法によりPVAの連続溶解を行なう
と、配管内を閉塞させるトラブルを生じたり、スラリー
を安定してポンプ輸送出来なかったり、得られるPVA水
溶液中に未溶解粒子が残り、均一なPVA水溶液が得られ
ないからである。
上記した欠点の一つである未溶解粒子が残る欠点を改
良するために、デンプンの連続溶解に使用されているの
と同様な装置と方法によりPVAを加熱処理した後、引続
きその水溶液を加熱加圧状態に保ったまま一定時間保持
し得る滞留系へ導く方法が特公昭60-55539号公報に開示
されている。
[発明が解決しようとする課題] PVAの連続溶解特有の問題点を明確にするため、デン
プンの連続溶解の工程と対して説明する。
従来から行なわれているデンプンの連続溶解の工程
は、先ず、水とデンプン粉末とをスラリータンク内で攪
拌装置による攪拌下に混合し、デンプン水スラリーを調
製する。次いで、そのデンプン水スラリーをポンプによ
り、パイプ及びスラリー流量調節バルブを経由して、蒸
気噴出加熱器内へ連続的に圧入する。スラリーの連続圧
入と並行して生蒸気を蒸気噴出加熱器へ連続的に導入す
る。蒸気噴出加熱器内ではデンプン水スラリーと生蒸気
は接触後、瞬時にスラリーは昇温し、かつデンプンは溶
解して高温のデンプン水溶液が連続的に得られる。
このデンプンの連続溶解において、デンプン、即ち被
溶解物質は、その水スラリーがポンプによりスラリータ
ンクから加熱器まで輸送できる流動性とパイプ,ポン
プ,加熱器等を詰まらせる塊を含まない均一性等の特性
を有し、かつその水スラリーは急速加熱により瞬間的に
溶解するので安定した連続溶解が出来る。即ち、バッチ
溶解と比較して、連続溶解する被溶解物質にはこれ等の
特性が特に強く要求される。
しかるに、被溶解物質としてのPVAはこれ等の特性を
備えていないため、デンプンの連続溶解の工程をそのま
まPVAの溶解に適用しても安定して連続的に均一なPVA水
溶液は得られない。その原因としては、具体的には、第
1に、デンプンは水中において、その糊化温度以上に加
熱されると瞬間的に溶解するが、PVAは粒子表面より順
次連続的に溶解し、かつ粒子径約1700μ程度の粗粒子を
も含むので、急速加熱しても瞬間的には溶解せず、未溶
解粒子が液中に残りやすい。
第2に、PVA粒子は水スラリー中において吸水が大き
い。例えば、デンプン粒子は20℃の水中に30分間放置後
遠心脱水(6000G×15分間)した時の重量増加率は50〜1
00重量%であるのに対し、重合度1700、ケン化度99モル
%のPVAは同一条件で1000重量%を越えるごとく、大き
な吸水を示す。従って、スラリー中の水はPVA粒子に吸
水されるため、粒子間に存在してスラリーの流動性を維
持していた水が減少するので、PVAの水スラリーの流動
性は大幅に低下し、水スラリーをポンプにより輸送でき
ないという問題が発生する。
第3に、PVAはその水スラリーを調整するとき、分散
不良によりPVAが塊になり易く、連続溶解する工程にお
いて、この塊を含む不均一な水スラリーを加熱器へ輸送
する際に、途中の配管,ポンプ,バルブやその加熱器自
体等にその塊が詰まり、スラリーの輸送が出来なくなる
ため、連続溶解が実施できなくなる。又、例えスラリー
の過設備を設置しても、吸水により粘着性の生じたPV
Aによる材の目詰りを回復することは容易でなく、か
つ回復しても再び詰まるので、過設備を設けても安定
かつ連続的に継続して溶解を行なうためには実質的な効
果はない。
以上、第2及び第3の原因として記載したPVA水スラ
リーの流動性の低下及びPVAの水中分散不良によるスラ
リー中での塊の発生は、いずれも使用されるPVAの粒子
径が小さいほどその傾向が著しい。即ち、PVAの微粒化
は上記流動性及び分散性を更に悪化させる。
一方、PVAの連続溶解における溶解性を向上させるた
めに、前述した様に蒸気噴出加熱器の後に滞留系を用い
てPVAを完全溶解する方法(特公昭60-55539号公報)が
提案されているが、この方法では加熱器を通過した未溶
解PVAを滞留系により完全溶解することを特徴としてい
るが、加熱器に導入される迄の間において、PVA水スラ
リーの流動性低下により、スラリーが輸送出来なかった
り、均一なPVA水スラリーが得られないためにスラリー
中で塊となったPVAが配管等に詰まったりする問題点の
解決には全く寄与していないので、蒸気噴出加熱器に一
定濃度のPVA水スラリーを均一に供給することができな
いために、加熱器のみでは安定かつ連続してPVA水溶液
を製造することが難かしい。
本発明は、この様な従来技術に鑑みてなされたもので
あり、微粒子のPVAからなり、水分散性および水スラリ
ーの流動性が良好で、急速加熱により連続溶解すること
ができる連続溶解用PVA、およびそのPVAの水スラリーを
連続溶解して均一なPVA水溶液を連続的に得る方法を提
供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、連続溶解に適したPVAについて検討し
た結果、水に対し分散不良を起こし、塊を生じ易いため
PVAの水溶解においては従来使用を極力避けてきた粒子
径の小さい微粒状PVAの保水度を調節することにより、
連続溶解特有の諸問題を解決し、連続溶解に適したPVA
を得ると共にそのPVAの水スラリーを連続溶解する方法
を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、重合度が500を超え、最大粒子径が2
50μ以下の微粒子で、その保水度が80〜200重量%の範
囲にあることを特徴とする連続溶解用PVAである。
また、本発明は、重合度が500を超え、最大粒子径が2
50μ以下の微粒子で、その保水度が80〜200重量%の範
囲にあるPVAの水スラリーを蒸気噴出加熱器へ連続的に
供給し、他方同時に生蒸気を連続的に供給し、その蒸気
噴出加熱器内で両者を接触混合して均一なPVA水溶液を
連続的に得ることを特徴とするPVAの連続溶解法であ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るPVAの粒子径は250μ以下、好ましくは18
0μ以下が望ましい。通常、PVAは1700μ程度の大きな粒
子を含んでいる。粒子径が250μを超える粒子を含むPVA
は、そのPVAの水スラリーと生蒸気とを連続的に接触加
熱しても、瞬間的には完全に溶解せず、連続的に得られ
るPVA水溶液中にPVA粒子が混在するが、本発明の微粒PV
Aは同様な方法により均一溶解することができる。
本発明のPVAは粒子径が250μ以下の微粒PVAであれば
よく、その粒子径の調製方法は特に制限されることはな
い。微粒PVAを容易に得る方法としては、例えば、各種
の分級および篩分けによる方法が挙げられる。篩分けに
よる方法としては、例えば乾燥状態にあるPVAを所定の
目の開きを持つ篩を使用して篩分けし、篩の目を通過し
たいわゆる篩下品が微粒PVAとして用いられる。通常250
μ以下の微粒PVAは、JIS規格60メッシュの篩で篩分けし
た篩下品として得られる。即ち、本発明においては、PV
Aの粒子径が250μ以下とは、PVAの最大粒子径が250μ以
下を意味する。微粒子を高率に含有するPVAを得るため
には、乾燥PVAを粉砕機で粉砕したり、ケン化条件を粒
子が細かくなるように選定したり、又、ケン化を終了し
た過前のPVA有機溶剤スラリーを湿式粉砕処理したり
する方法があり、これらを2種類以上を組み合わせるこ
とも可能である。
本発明においては、PVA粒子を、その粒子径を250μ以
下に細かくすることにより、急速加熱で連続溶解するこ
とができるが、この微粒子にすることだけでは、微粒PV
Aの水分散性、水スラリーの流動性が悪く、本発明の目
的を達成するためには、微粒PVAの水分散性および水ス
ラリーの流動性を改良をしなければならない。
しかるに、PVAの水分散性および水スラリーの流動性
は、PVAの粒子径,ケン化度,重合度,共重合内容やそ
の程度,変性内容やその程度等多くの要因の組み合わせ
によって変わり、単純に限定することができない。本発
明者等はPVAの水分散性,水スラリーの流動性は共に主
としてPVA粒子の水中における吸水膨潤に基づくもので
あることに着目し、パルプの吸水膨潤性を測定するため
に利用されている保水度測定法(紙パルプ技術協会発行
「J.TAPPI紙パルプ試験方法,No.26-78,パルプの保水度
試験方法」,1978年)に準ずる後述の方法によりPVA粒子
の保水度を測定し、この保水度によりPVAの水分散性,
水スラリーの流動性を総合的に特定することができるこ
とを見出した。
即ち、本発明による微粒PVAの保水度は80〜200重量
%、好ましくは90〜190重量%の範囲にあるものが望ま
しい。PVAの保水度が80重量%未満であるときはPVAの水
分散性及び水スラリーの流動性は良好であるが、粒子径
を小さくしても連続溶解時の瞬間的な生蒸気との接触加
熱で得られる水溶液中に未溶解粒子が残りやすい。
他方、微粒PVAの保水度が、200重量%を超えるとき
は、PVAの水スラリー製造時に微粒PVAの分散不良が極め
て発生しやすく、そのために生じた塊が配管、ポンプ、
加熱器等で詰りを起すので、安定かつ連続的にPVA水溶
液を得ることができない。更に、保水度が200重量%を
超えるときは、比表面積の大きい微粒PVAは、特に吸水
が速く、PVA粒子間に存在して流動性を維持していた水
がPVAに吸収されて減少するので、PVAの水スラリーの流
動性は急速、かつ、大巾に低下し、微粒PVAの水スラリ
ーはポンプ輸送できなくなる。
一方、単に、重合、ケン化,乾燥工程を経て得られる
粒子径250μ以下の微粒子PVAの保水度は、通常1000重量
%を超えるので、本発明のPVAを得るためには保水度を8
0〜200重量%に調節する必要がある。
保水度に関する要因が多くあることはすでに述べた
が、それ等の要因は得られるPVA水溶液の使用目的や粒
子の加熱溶解性に基づいて決められているので、PVAの
水分散性やスラリーの流動性を改良するために、それ等
を恒久的に換えたり、影響を与える方法を採ることは好
ましくない。従って、保水度の調節はPVAを水溶液化す
ることによりその効果が自動的にすべて消滅し、その後
のPVAの性能に影響を与えない公知の湿熱処理法、例え
ば、特公昭42-20778号公報に記載されている方法が適し
ているが、これに限定されるものではない。
PVA粒子の湿熱処理の方法としては、例えば、PVAの製
造工程においてPVAの有機溶剤スラリーを過後、有機
溶剤をまだ含有する状態のPVA粒子を攪拌しながら、そ
れに噴霧などの方法で水を添加混合後、加熱乾燥するこ
とにより、乾燥と同時に湿熱処理する方法が工業的に有
利であるが、ケン化反応系やケン化後のPVAの有機溶剤
スラリーに水を添加後、過、加熱乾燥したり、乾燥PV
Aに水を添加後、加熱乾燥することによってもPVAの湿熱
処理を行うことができる。
PVAに施された湿熱処理の効果は、そのPVAを粉砕、篩
分けしても、又乾燥状態を維持して貯蔵しても、消失す
ることはない。
PVAの湿熱処理効果の調節は湿熱処理時、PVAに対する
水の添加率、加熱温度、加熱時間等により行なうことが
可能であり、特にその効果を強くしたいときは、湿熱処
理を2回以上繰り返し施すことにより達成できる。
湿熱処理のためにPVAに添加する水は、PVAの品質上、
イオン交換水や蒸留水等の精製した水が好ましいが、通
常の水を用いても湿熱処理の効果は変らない。又、添加
する水は水単独でも、メタノールやエタノール等の低級
アルコール、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の水溶
性無機塩類、更には消泡剤や界面活性剤等を含む水も使
用できる。
本発明のPVAは、粒子系250μ以下の微粒子で、かつ保
水度が80〜200重量%の範囲であればよく、ビニルエス
テルの重合体、2種以上のビニルエステルの共重合体、
ビニルエステルとビニルエステルに共重合可能な単量体
の共重合体等をケン化して得られるPVA、該PVAを変性処
理したPVA、あるいはこれ等のPVAを2種以上含有するPV
Aを包含する。本発明のPVAのケン化度、重合度は特に制
限されないが、湿熱処理により保水度を調節する場合に
は、湿熱処理の効果を付与しやすい点より、ケン化度は
90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、重合度は
200以上、更に好ましくは400以上である。
次に、本発明のPVAの連続溶解法について説明する。
本発明のPVAを連続溶解するための水スラリーを調整
するのに用いる水は水質、水温共に特に制限はなく、通
常PVAの溶解に使用されている水を使用できる。また、
その水温は本発明のPVAの分散性、水スラリーの流動性
に支障のない範囲で、高い方が生蒸気の使用量の面から
経済的であり、通常10〜30℃の範囲が好ましい。
本発明のPVAを連続溶解するために調整される水スラ
リー中には、必要に応じて、トウモロコシ,小麦,ジャ
ガイモ,サツマイモ,コメ,タピオカ等より得られるデ
ンプン類やこれらのデンプンを原料とする変性デンプン
類、カルボキシメチルセルローズ,メチルセルローズ等
の糊剤、酸,アルカリ等のデンプン加水分解剤兼pH調節
剤、デンプン分解酵素類、クレー,タルク,炭酸カルシ
ウム,酸化チタン,コロイド状シリカ,塩化ナトリウム
等の無機物質、カーボンブラック,アセチレンブラック
等の微粒子状炭素類、グリオキザール,尿素樹脂,メラ
ミン樹脂等の耐水化剤、グリコール類やグリセリン等の
可塑剤、離型剤、界面活性剤、滑剤、着色剤、消泡剤、
防かび剤、ゴムラテックス類、合成樹脂エマルジョン等
の公知の物質を、PVAの連続溶解を行なう上でPVAの溶解
性、水スラリーの流動性、水分散性に支障の無い範囲
で、1種又は2種以上共存させ、PVAとの混合水溶液を
得ることができる。
特に、PVAの水スラリー中にデンプン類や変性デンプ
ン類を含有する場合には、そのデンプン類の含有量はPV
A/デンプン類=4/1〜1/4の範囲が好ましい。
スラリー中に予め各種物質を共存させておくことは溶
解作業上便利であるが、PVAの水スラリー中に共存させ
ることによって、あるいはそのスラリーと生蒸気が連続
的に接触するときの熱や剪断力によって、物理的、化学
的変化を起こし不都合を生ずる物質は、連続溶解した後
のPVA水溶液に添加すればよい。
本発明によるPVAを連続溶解するために調整される水
スラリー中のPVA含有率は、特に制限されないが、通常
5〜20重量%が好適であり、20重量%を超えると水スラ
リーの流動性が低く、他方5重量%未満ではPVA重量当
りの蒸気使用率が高く、不経済である。
第1図は本発明のPVAの連続溶解法の基本的工程を示
す概略図である。本発明のPVAは第1図に示す工程に従
って、連続溶解することが出来る。先ず、水1とPVA粉
末2とをスラリータンク3内で攪拌装置4により攪拌下
に混合し、PVAの水スラリーを調製する。次いで、そのP
VA水スラリーをポンプ6により、パイプ5、7及びスラ
リー流量調節バルブ8を経由して、蒸気噴出加熱器9の
スラリー入口部aより同蒸気噴出加熱器9内へ連続的に
圧入する。PVAの水スラリーの連続圧入と並行して生蒸
気10を生蒸気流量調節バルブ11を経由して蒸気噴出加熱
器9へ生蒸気入口部bより連続的に導入する。蒸気噴出
加熱器9内でPVAの水スラリーと生蒸気10は接触後、瞬
時にスラリーは昇温し、かつPVAは溶解して高温のPVA水
溶液を連続的に、水溶液排出部cに接続された水溶液排
出パイプ13を経由して得ることができる。12は水溶液サ
ンプリングバルブである。
上記の第1図は連続溶解工程の基本的概要を示すもの
であって、工業的に実施する場合には、第1図に種々の
機能を追加することが出来る。例えば、水スラリーの供
給を中断せぬためスラリータンクを複数基設け交互に使
用したり、スラリータンクに加えてスラリーサービスタ
ンクを設けてサービスタンク中のスラリーを供給してい
る間にスラリータンク内で引続いて供給するスラリーを
調整したり、スラリー輸送ポンプを複数基設置してスラ
リー輸送を容易にしたり、加熱器の下流に水溶液を過
する過器を設置したり、水溶液排出管に水溶液を同伴
される空気などの非凝縮性ガスや蒸気を水溶液より分離
する分離器や水溶液の受タンク兼水希釈による濃度調整
混合槽や、更に均一混合のためのラインミキサーを設置
したり、スラリータンクに循環装置を設けたり、ポン
プ、加熱器、過器、分離器等の各々に対しバイパス配
管を設ける等の公知の方法により種々の機能を追加する
ことが出来る。
また、必要に応じて、蒸気噴出加熱器内で加熱溶解し
た後のPVA溶液を熟成するために、蒸気噴出加熱器を通
過した後のPVA溶液を一定時間加熱或いは加熱加圧状態
に保ってもよい。
本発明のPVAを連続的に溶解する際に用いられる蒸気
噴出加熱器は、水スラリー及び生蒸気各々の導入口と、
水スラリーと生蒸気の接触により生ずる高温の溶液を排
出する排出口を有し、水スラリーと生蒸気とを連続かつ
瞬間的に接触させる機能を持つものであれば特に制限す
ることなく使用でき、例えば、特公昭42-5170号公報に
「蒸気噴出加熱器」として記載されている様な装置が適
しているが、特にこれに限定されるものではない。
次に、本発明のPVA粒子の保水度測定方法を示す。PVA
粒子の保水度はPVA粒子を20℃の水中に30分間浸漬後、6
000Gで15分間遠心脱水して得られる吸水膨潤したPVAの
重量をX(グラム)、これを105〜115℃で乾燥した絶乾
後の重量をY(グラム)とする時、下式で算出される。
[実施例] 以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明す
る。
実施例1 ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリケン化後
過して、メタノールと酢酸メチルの混合溶剤を含有す
るPVAを得た。このPVAを攪拌しながら、乾燥PVA重量換
算8重量%に相当する量の水を、水とメタノールの等重
量混合液として、このPVAに噴霧添加した。
次いで、このPVAを、110℃に加熱された乾燥機中で、
攪拌しながら2時間乾燥兼湿熱処理を行なった。更に、
そのPVAを粉砕、篩分けして得られた微粒PVAの粒子径は
150μ以下、保水度140重量%で、重合度1740、ケン化度
99.3モル%であった。
この様にして得られた微粒PVAを、あらかじめスラリ
ータンク内で攪拌されている20℃の水中に投入し、濃度
15重量%のPVAの水スラリーを得た。尚、この水スラリ
ーにはPVAに対して、0.05重量%の消泡剤(サンノプコ
社製、SNデフォーマー#483)を含有させた。
次いで、スラリータンク中のこの水スラリーをポンプ
により、1時間当り300lの割合で、蒸気噴出加熱器へ連
続的に圧送供給し、同時にその加熱器へゲージ圧力3.5k
g/cm2の生蒸気を連続的に供給し、スラリーと生蒸気を
加熱器内で連続的に接触混合し、瞬間的に120℃に昇温
しPVAを加熱連続溶解した。
水溶液排出パイプより安定かつ連続的に高温のPVA水
溶液を得ながら、水溶液サンプリングバルブを開いて高
温のPVA水溶液を耐熱性の透明ガラス容器に採り、直ち
にそのままの状態及びその水溶液を10倍に冷水希釈した
状態の各々の液中に残存する未溶解粒子を目視観察し、
更にこの希釈液を250メッシュ(63μ)の金網で過
し、金網上に残る未溶解粒子の有無を調べた。上記いず
れの方法によっても未溶解粒子は認められなかった。
本実施例において、本発明によるPVAは水に均一に分
散し、その水スラリーは輸送に充分な流動性を有してお
り、3時間継続運転の間トラブルによる運転の停止はな
く、安定して連続的に均一なPVA水溶液を得ることがで
きた。
実施例2 実施例1で使用した本発明のPVAとデンプン(日本食
品化工社製、酸化デンプンMS-3800、粒子径15〜20μ)
を用いて、PVA/デンプン=3/7(重量比)で濃度20重量
%のPVA/デンプン混合水スラリーを調整した。この混合
水スラリーは均一に分散しており、かつ充分輸送可能な
スラリー流動性を有していた。
次いで、この混合水スラリーを実施例1と同一条件で
連続溶解し、均一溶解したPVA/デンプンの混合水溶液
を、トラブルによる停止も無く、安定かつ連続的に得
た。
実施例3〜7,比較例1〜6 粒子径及び保水度を種々変化させたPVAにつき実施例
1と同様に連続溶解した。得られた結果を表−1に示
す。
実施例8 ポリ酢酸ビニルに代えてラウリルビニルエーテル1.8
重量%を共重合したポリ酢酸ビニルを用いた以外は実施
例1と同様にしてラウリルビニルエーテル共重合微粒PV
Aを得た。この微粒PVAの粒子径は、150μ以下、保水度
は、160重量%で、重合度1450、ケン化度98.7モル%で
あった。
このラウリルビニルエーテル共重合微粒PVAを実施例
1と同様にして、濃度10重量%のPVA水スラリーを得
た。このPVA水スラリーは均一に分散しており、かつ充
分輸送可能なスラリー流動性を有していた。次いで、こ
のPVA水スラリーを実施例1と同一条件で連続溶解し、
均一溶解したラウリルビニルエーテル共重合PVA水溶液
を閉塞、輸送不能等のトラブルによる停止もなく、安定
かつ連続的に得た。
結果の評価基準 (1) 分散性 PVA又はPVAとデンプンを水に分散して得られた水スラ
リーの状態及びそのスラリー輸送時の状況を下記の4水
準で示す。
A…塊を含まず、均一に分散し、詰りなし。
B…極くわずか塊を含むが、分散し詰りなし。
C…塊を含み、しばしば詰りが発生する。
D…多数の塊を含み、詰りが多発する。
(2) 流動性 PVA又はPVAとデンプンを水に分散して得られた水スラ
リーの状態及びそのスラリー輸送時の状況を下記の4水
準で示す。
A…充分な流動性を有し、安定かつ連続的に輸送及び溶
解が可能である。
B…流動性を有し、連続的に輸送及び溶解が可能であ
る。
C…流動性低く、輸送がしばしば中断する。
D…流動せず、輸送できない。
(3) 溶解性 水スラリー状のPVA又はPVAとデンプンを連続溶解して
得た水溶液の状態を下記3水準で示す。
A…未溶解粒子を含まず、均一に溶解している。
B…未溶解粒子を含んでいる。
C…未溶解粒子を多数含んでいる。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明によれば、微粒子のPVAか
らなり、水分散性および水スラリーの流動性が良好で、
急速加熱により連続溶解することができる連続溶解用PV
Aを得ることができる。
また、そのPVAの水スラリーと生蒸気を蒸気噴出加熱
器へ連続的に供給し、両者を接触混合してPVAの水スラ
リーを連続溶解することにより均一なPVA水溶液を連続
的に容易に得ることができる。
さらに、前記PVAとデンプンを水に分散した水スラリ
ーを、生蒸気と蒸気噴出加熱器にて連続的に接触混合す
ることにより、均一なデンプン含有PVA水溶液を連続的
に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のPVAの連続溶解法の基本的工程を示す
概略図である。 1……水、2……PVA粉末 3……スラリータンク、4……攪拌装置 5,7……パイプ、6……ポンプ 8……スラリー流量調節バルブ 9……蒸気噴出加熱器 10……生蒸気 11……生蒸気流量調節バルブ 12……水溶液サンプリングバルブ 13……水溶液排出パイプ a……スラリー入口部 b……生蒸気入口部 c……水溶液排出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−225506(JP,A) 特開 昭54−77659(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 3/02 C08J 3/12 C08J 3/07 C08L 29/04 C08J 3/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合度が500を超え、最大粒子径が250μ以
    下の微粒子で、その保水度が80〜200重量%の範囲にあ
    ることを特徴とする連続溶解用ポリビニルアルコール。
  2. 【請求項2】重合度が500を超え、最大粒子径が250μ以
    下の微粒子で、その保水度が80〜200重量%の範囲にあ
    るポリビニルアルコールの水性懸濁液を蒸気噴出加熱器
    へ連続的に供給し、他方同時に生蒸気を連続的に供給
    し、その蒸気噴出加熱器内で両者を接触混合して均一な
    ポリビニルアルコール水溶液を連続的に得ることを特徴
    とするポリビニルアルコールの連続溶解法。
  3. 【請求項3】前記ポリビニルアルコールの水性懸濁液に
    デンプンが含有されている請求項2記載のポリビニルア
    ルコールの連続溶解法。
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