JP2825374B2 - 超電導素子 - Google Patents

超電導素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導近接効果を利用
した超電導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導体/常伝導体/超電導体接合で
は、これを構成する常伝導体中に両側の超電導体より及
ぼされる超電導近接効果によって、超電導電流を流すこ
とができる。このような接合を有する素子は、いわゆる
SNS接合型のジョセフソン素子として動作する。近
年、このような超電導接合において、超電導体として Y
系酸化物超電導体を用いると共に、常伝導体として Y系
酸化物超電導体の Yを一定の割合のPrで置換した電気伝
導性酸化物を用いることが試みられている。
【0003】このような酸化物高温超電導体のみを用い
た超電導素子は、液体窒素温度での動作が可能であり、
実用化に向けて研究が進められている。その中でも、上
述した超電導体として Y系酸化物超電導体を用い、かつ
常伝導体として Y系酸化物超電導体の Yの一部をPrで置
換した電気伝導性酸化物を用いた接合は、これらの格子
定数の差がほとんどなく、界面近傍の格子の乱れが極め
て少ないために、このような材料の組合せで超電導素子
を作製する研究が活発になってきている。
【0004】しかし、上記したような Y系酸化物超電導
体/(Y,Pr)系電気伝導性酸化物/ Y系酸化物超電導体に
よるSNS接合は、液体窒素温度での接合に流せる最大
の超電導電流の値、すなわち臨界電流Ic が十分に得ら
れないという問題を有していた。このような問題に起因
して、液体窒素温度で動作させる超電導素子として、上
記した接合を実用化することは困難とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、 Y系
酸化物超電導体とその Yの一部をPrで置換した電気伝導
性酸化物とを用いた、従来の超電導体/常伝導体/超電
導体接合は、液体窒素温度による臨界電流Ic の値が小
さいという問題を有していた。
【0006】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、超電導体としてY系酸化物超電導体
を用い、かつ常伝導体層として Y系酸化物超電導体の Y
の一部をPrに置換した(Y,Pr)系電気伝導性酸化物を用い
る際に、液体窒素温度による臨界電流Ic の値を安定に
増加させることを可能にした超電導素子を提供すること
を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の超電導
素子は、 Y系酸化物超電導体と、前記 Y系酸化物超電導
体の Yの少なくとも一部をPrで置換した常伝導体とを用
いて、超電導体/常伝導体/超電導体接合を構成した超
電導素子において、前記常伝導体層内の前記Prによる置
換割合が、前記超電導体層と常伝導体層との界面近傍か
ら該常伝導体層の内部に向けて、連続的に増加している
ことを特徴としている。
【0008】本発明に用いられる Y系酸化物超電導体
は、 Y-Ba-Cu-Oを基本構成元素とし、ペロブスカイト構
造を有する酸化物超電導体であり、実質的に下記の (1)
式で組成が表されるものである。
【0009】 式: YBa2 Cu3 O 7-δ ………(1) (式中、δは酸素欠損を表し、通常 1以下の数)ただ
し、各元素の比率は、製造条件等により数モル%程度の
割合で変動可能であり、また超電導特性を劣化させない
範囲で、 Yの一部は他の希土類元素と、またBaの一部は
他のアルカリ土類元素と置換可能である。
【0010】また、本発明に用いられる常伝導体は、上
記した Y系酸化物超電導体の Yの少なくとも一部をPrで
置換した電気伝導性酸化物であり、実質的に下記の (2)
式で組成が表されるものである。
【0011】 式:(Y1-x Prx )Ba2 Cu3 O 7-δ ………(2) (式中、 xは 0.4≦ x≦ 1を満足する数を示す)そし
て、本発明の超電導素子における常伝導体層は、上記
(2)式で実質的に表される(Y,Pr)系電気伝導性酸化物中
のPrによる置換割合を、超電導体層/常伝導体層の界面
近傍から常伝導体層の内部に向けて連続的に増加させた
ものである。このPrによる置換率の勾配は、接合の臨界
電流Ic と常伝導抵抗Rn とを考慮して適宜設定するも
のとするが、例えば常伝導体層内部のPrによる置換割合
を最大に設定する部分では、上記 (2)式における xの値
を 0.8〜 1程度とし、超電導体層/常伝導体層の界面近
傍では xの値を 0.4〜 0.8程度とすることが好ましい。
【0012】
【作用】一般に、SNS接合の臨界電流Ic の大きさ
は、これを構成する常伝導体中に隣接する超電導体より
及ぼされる超電導近接効果の大きさによって決定され
る。超電導近接効果とは、超電導体中のクーパーペアが
常伝導体中に拡散してきて起きる現象と理解されてい
る。したがって、超電導近接効果の大きさは、超電導体
/常伝導体界面近傍で、超電導体中から常伝導体中へク
ーパーペアが行き易いほど大きくなると考えられる。ク
ーパーペアが電子から構成されていることを考慮する
と、この条件は電子が超電導体/常伝導体界面を透過し
易いほど、近接効果が大きいと解釈しなおすことができ
る。
【0013】一方、量子力学で知られているように、電
子はポテンシャルやフェルミ速度等の物理状態の急激な
変化によって、古典力学では反射されないような界面に
おいても反射され、透過率が小さくなる。ここで、従来
の接合で常伝導体として用いられている、 Y系酸化物超
電導体の Yの一部をPrで置換した酸化物の電気伝導度
は、 Y系酸化物超電導体のそれに比べて1桁以上小さ
い。したがって、従来の接合構造では、それらの界面に
おいて電気伝導度が不連続に変化していたことになる。
これにより電子の大部分は、上記界面において反射さ
れ、クーパーペアの拡散、すなわち超電導近接効果が起
こりにくくなっていたものと考えられる。つまり、従来
の接合の臨界電流Ic が小さかった原因は、超電導体/
常伝導体界面近傍での電子の界面反射にあると考えられ
る。
【0014】これらのことから、超電導体/常伝導体の
界面近傍における電気伝導度を連続的に変化させること
によって、クーパーペアの拡散が容易となり、超電導近
接効果を大きくできることが分かる。そこで、本発明に
おいては、常伝導体層内のPrによる置換率を、超電導体
/常伝導体の界面近傍から常伝導体層の内部に向けて連
続的に増加させている。これにより、電気伝導度を界面
近傍で連続的に変化させることが可能となる。よって、
界面近傍での電子の量子力学的反射が抑えられ、電子の
透過率が大きくなり、超電導近接効果を大きくすること
ができる。この結果、液体窒素温度で動作させる超電導
素子を作製するのに十分な臨界電流Ic を得ることが可
能となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0016】実施例1 図1は、本発明の一実施例の積層型超電導素子の要部を
示す断面図である。下部超電導体層としては、 SrTiO3
基板1上に多元スパッタ法で成膜したY-Ba-Cu-O系酸化
物超電導体膜2を用いた。その上に常伝導体層として、
Prによる置換率を連続的に変化させると共に、常伝導体
層の中央部でPrの割合が最も高くなるように設定した、
(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜3を30nm程度の厚
さで形成した。このように、Prによる置換率を連続的に
変えるためには、例えば多元スパッタ法により、 YとPr
のスパッタパワーを連続的に変えて、(Y,Pr)-Ba-Cu-O膜
を成膜すればよい。さらに上記常伝導体層3上に、上部
超電導体層としてY-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜4を多
元スパッタ法により成膜した。この後、成膜装置より取
り出し、フォトレジスト(図示せず)をマスクとし、イ
オンミリング等の方法を用いて、上部 Y-Ba-Cu-O系酸化
物超電導体膜4、(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜
3を順次エッチングし、下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導
体膜2に対する電極を形成した。このようにして作製し
たSNS接合の大きさは、この実施例では10μm ×10μ
m とした。
【0017】このようにした得た積層構造体の深さ方向
への元素分析をイオンマイクロアナライザにより行っ
た。その結果を図2に示す。図2から分かるように、Pr
の割合は、下部超電導体層2/常伝導体層3および常伝
導体層3/上部超電導体層4のそれぞれの界面近傍から
常伝導体層3の内部に向けて、連続的に増加している。
また図3は、上記によって得た下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物
超電導体層2/(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物層3
/上部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体層4構造のSNS接
合を有する超電導素子の、液体窒素温度(77K) における
I−V特性を示す図である。図3から明らかなように、
明瞭なジョセフソン特性が得らた。また、上記接合の臨
界電流Ic の値は1.98mAであった。
【0018】また、本発明との比較のために、常伝導体
層として Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体の YをPrで完全に
置換したものを用いる以外は、上記実施例と同一条件
で、超電導体/常伝導体/超電導体接合を作製したとこ
ろ、臨界電流Ic の値は0.17mAであった。
【0019】実施例2 図4は、本発明の他の実施例の超電導素子の要部を示す
断面図である。この実施例の超電導素子は、常伝導体層
5としての(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜を多元
スパッタで作製する際に、 Yをスパッタせずに完全にPr
で置換して成膜した以外は、実施例1と同様な構成を有
している。ただし、常伝導体層5および上部超電導体層
4の成膜速度は、いずれもきわめて遅くした。
【0020】図5は、このようにして得た接合のイオン
マイクロアナライザによる深さ方向への元素分析結果で
ある。図5から明らかなように、Prの置換割合は界面近
傍から常伝導体層5内部に向けて連続的に増加している
ことが分かる。これは、常伝導層5の成膜時に下部超電
導体層2と常伝導体層5との間で、また上部超電導体層
4の成膜時に常伝導体層5と上部超電導体層4との間
で、それぞれ YとPrとの相互拡散が起こり、その結果Pr
の置換率が連続的に変化したためである。このようにし
てPrの置換率を連続的に変化させる際には、成膜速度が
重要となる。この実施例では、常伝導体層5の成膜速度
を 0.2nm/minとした。この接合も液体窒素温度(77K)に
おいて、良好なジョセフソン素子として動作した。ま
た、この接合の臨界電流Ic の値は、1.68mAであった。
【0021】また、本発明との比較のために、常伝導体
層の成膜速度を 2.5nm/minとする以外は、上記実施例と
同様にして、超電導体/常伝導体/超電導体接合を作製
したところ、臨界電流Ic の値は0.17mAであった。
【0022】この実施例のように、常伝導体層成膜時の
成膜速度を著しく遅くさせることによっても、成膜時の
相互拡散により、常伝導体層中のPrの置換率を連続的に
変化させることができる。そして、このようにして常伝
導体層中のPrの置換率を変化させることによっても、臨
界電流Ic を大幅に増大させることができる。
【0023】実施例3 図6は、本発明のさらに他の実施例の超電導素子の要部
を示す断面図である。この実施例では、まず SrTiO3
板1上に常伝導体層として、上方にいくほどPrの割合を
減少させた(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜6を、
多元スパッタ法により 100nmの厚さで形成した。次い
で、この常伝導体層上に、 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体
膜7を 200nmの厚さで成膜した。
【0024】この後、成膜装置より取り出してフォトレ
ジストをマスクとし、イオンミリング等の方法を用いて
10μm 幅を残してエッチングした。さらに、 Y-Ba-Cu-O
系酸化物超電導体膜7に 0.1μmの開口部8を、(Y,Pr)-
Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜6が露出するように形成
した。この開口部8の形成は、例えばEB露光装置とイ
オンミリング等とを用いれて行えばよい。
【0025】Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜7は、 2つ
の領域7a、7bに分離されている。そして、 Y-Ba-Cu
-O系酸化物超電導体膜7の 2つの領域7a、7bと、
(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜6とにより、SN
S接合が形成されている。
【0026】このようにした得た接合の超電導体層から
常伝導体層方向への元素分析結果を図7に示す。Prの置
換率は、常伝導体層と超電導体層との界面近傍から常伝
導体層内部に向けて連続的に増加していることが分か
る。この接合も液体窒素温度(77K)において、良好なジ
ョセフソン素子として動作した。また、上記接合の臨界
電流Ic の値は 4.1×10-5A であった。
【0027】また、本発明との比較のために、常伝導体
層として Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体の Yの完全にPrで
置換したものを用いる以外は、上記実施例と同一条件で
接合を作製したところ、臨界電流Ic の値は 4.3×10-6
A であった。
【0028】実施例4 図8は、本発明をエッジ接合型超電導素子に適用した実
施例の要部を示す断面図である。
【0029】この実施例では、まず SrTiO3 基板1上
に、下部超電導体層として多元スパッタ法で Y-Ba-Cu-O
系酸化物超電導体膜9を 200nm程成膜した。次いで、そ
の上に層間絶縁層10としてMgO膜を30nm程成膜した
後、さらに上部超電導体層として厚さ約 200nmの Y-Ba-
Cu-O系酸化物超電導体膜11および上部絶縁層12とし
て厚さ約50nmの MgO膜を順に成膜した。
【0030】次に、成膜装置より取り出してフォトレジ
ストをマスクとしてイオンミリングにより、上部絶縁層
12、上部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜11、層間絶
縁層10および下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜9を
順次斜めにエッチングした。この後、エッチングによっ
て形成した斜面上に、完全にPrで置換した(Y,Pr)-Ba-Cu
-O系電気伝導性酸化物膜13を 100nmの厚さで成膜し
た。
【0031】次いで、 YとPrとを相互拡散させるため
に、成膜装置内で 1気圧の酸素雰囲気中にて、 700℃で
2時間熱処理した。この後、成膜装置より取り出し、接
合の大きさを決めるために、フォトレジスト工程および
イオンミリング工程を用いて、上部絶縁層12、上部 Y
-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜11、層間絶縁層10およ
び下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜9を幅10μm にエ
ッチングし、さらにフォトレジストをマスクとしてイオ
ンミリングを用いて、垂直にエッチングすることを繰り
返して、上部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜11および
下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜9に電極を形成し
た。この実施例では、傾斜されたエッジ部に設けられた
(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜13を介して、S
NS接合が形成されている。
【0032】このようにした得た接合の常伝導体層13
から超電導体層9、10方向への元素分析結果を図9に
示す。Prの置換率は、常伝導体層と超電導体層との界面
近傍から常伝導体層内部に向けて連続的に増加している
ことが分かる。この接合も液体窒素温度(77K)におい
て、良好なジョセフソン素子として動作した。また、上
記接合の臨界電流Ic の値は 4.8×10-5A であった。
【0033】また、本発明との比較のために、常伝導体
層を成膜した後に熱処理を行わない以外は、上記実施例
と同一条件で接合を作製したところ、臨界電流Ic の値
は6×10-6A であった。
【0034】実施例5 図10は、本発明のさらに他の実施例の超電導素子の要
部を示す断面図である。この実施例では、まず適当な段
差を有する SrTiO3 基板14上に、多元スパッタ法等に
より Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜15を成膜した。こ
の Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜15は、 SrTiO3 基板
14の段差により、互いに電気的に絶縁された 2つの領
域15a、15bに分離されている。これらの上に、上
記段差を越えて連続させ、かつその上方にいくほどPrの
割合を増加させた、(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物
膜16を70nmの厚さで形成した。
【0035】この後、成膜装置より取り出して、フォト
レジストをマスクとしてイオンミリング等の方法を用い
て、段差を挟んで10μm 幅を残してエッチングした。さ
らに、 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜15a、15bに
それぞれ電極を取る目的で、(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導
性酸化物膜16を10μm の幅だけ残してエッチングし
た。
【0036】このようにした得た接合の常伝導体層から
超電導体層方向への元素分析結果を図11に示す。Prの
置換率は、常伝導体層と超電導体層との界面近傍から常
伝導体層内部に向けて連続的に増加していることが分か
る。この接合も液体窒素温度(77K)において、良好なジ
ョセフソン素子として動作し、その臨界電流Ic の値は
7.8×10-5A であった。
【0037】また、本発明との比較のために、常伝導体
層として Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体の Yの完全にPrで
置換したものを用いる以外は、上記実施例と同一条件で
接合を作製したところ、臨界電流Ic の値は 8×10-6A
であった。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超電導素
子によれば、超電導体/常伝導体の界面近傍部から常伝
導体層内部に向けてPrの割合を連続的に増加させている
ため、界面近傍での電子の量子力学的反射を小さくする
ことができ、よって接合の臨界電流を増大させることが
可能となる。これによって、液体窒素温度において良好
な特性を示す超電導素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による積層型超電導素子の要
部を示す断面図である。
【図2】図1に示す超電導素子のイオンマイクロアナラ
イザによる深さ方向の元素分析結果を示す図である。
【図3】図1に示す超電導素子の液体窒素温度における
I−V特性を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例による超電導素子の要部を
示す断面図である。
【図5】図4に示す超電導素子のイオンマイクロアナラ
イザによる深さ方向の元素分析結果を示す図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例による超電導素子の
要部を示す断面図である。
【図7】図6に示す超電導素子のイオンマイクロアナラ
イザによる深さ方向の元素分析結果を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例によるエッジ接合型の超電
導素子の要部を示す断面図である。
【図9】図8に示す超電導素子のイオンマイクロアナラ
イザによる深さ方向の元素分析結果を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例による超電導素子
の要部を示す断面図である。
【図11】図10に示す超電導素子のイオンマイクロア
ナライザによる深さ方向の元素分析結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…… SrTiO3 基板 2、9…下部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜 3、5、6、13、16…Prの置換割合を連続的に変化
させた(Y,Pr)-Ba-Cu-O系電気伝導性酸化物膜 4、11…上部 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体膜 7、15… 2つの領域に分離された Y-Ba-Cu-O系酸化物
超電導体膜 14…段差を有する SrTiO3 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水島 公一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平2−21676(JP,A) 特開 平3−196686(JP,A) 特開 平4−192381(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/00 H01L 39/22 - 39/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Y系酸化物超電導体と、前記 Y系酸化物
    超電導体の Yの少なくとも一部をPrで置換した常伝導体
    とを用いて、超電導体/常伝導体/超電導体接合を構成
    した超電導素子において、 前記常伝導体層内の前記Prによる置換割合が、前記超電
    導体層と常伝導体層との界面近傍から該常伝導体層の内
    部に向けて連続的に増加していることを特徴とする超電
    導素子。
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