JP2825184B2 - 変圧器 - Google Patents

変圧器

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JP2825184B2
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正章 滝本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は変圧器に係り、特に鉄心磁路にギャップを有
する変圧器の構造に関する。
〔従来の技術〕
通常、変圧器の鉄心磁路中には、電源を切った後にも
残留磁束が残っており、変圧器の電源を再投入したとき
電圧の投入位相によっては大きな突入電流が流れる。こ
の励磁突入電流を減らすためには残留磁束を小さくすれ
ばよく、鉄心磁路の一部にギャップを設ければ、前記残
留磁束は減少する。この原理について第3図、第4図を
用いて説明する。
鉄心1に残留磁束Φが残っているとき、供給電圧e
が0の位相で電源が投入されたとき、過渡磁束Φは最大
値(2Φ+Φ)となり、この磁束を発生させるため
の励磁電流は、変圧器定格電流の20〜30倍にも達する。
ギャップを有しない鉄心の磁化特性は第4図(b)の
曲線P,Q,Rで示されるとき、鉄心には図示Brの残留磁束
が残っている。磁路の一部に同図(a)に示すl2のギャ
ップを設けると、ギャップl2により減磁力H′が作用
し、残留磁束は図示Bpまで減少する。この大きさは となり、μは真空の透磁率で約10-6であるからl1に比
べ短いl2でもθは相当に大きな値になる。このように鉄
心磁路にギャップを設ければ残留磁束は小さくなり、励
磁突入電流を抑制することができる。
従来技術における変圧器は、鉄心磁路の一部に設けら
れたギャップに絶縁物を介在させ機械的に固定する構造
であった。例えば、第8図に示すようなギャップGを設
けると、ギャップには通電時、吸引力が働いているが、
負荷電流に高調波が含まれると吸引力が変動し異状騒音
が発生する場合がある。ギャップ鉄心については、特開
昭58−131720号公報に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、前記ギャップによる振動に対して配
慮がされておらず、鉄心を励磁したとき、前記ギャップ
から発生する騒音が問題となっていた。本発明は従来技
術の上記問題点に鑑み、鉄心磁路におけるギャップによ
る騒音を低減するに好適な変圧器を提供することを目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、複数枚の短冊状薄鋼板または複数枚の
薄鋼板を同一平面内に、少なくとも1個所に切欠部、開
口部の少なくとも何れか1つを有するように配列し、若
しくは、前記切欠部、開口部が互いにラップするように
複数層密着積層して縮減断面を形成した鉄心磁路からな
る変圧器によって達成される。
〔作用〕
上記構成により、励磁突入電流を抑制すると共に、鉄
心磁路の切欠部、開口部における薄鋼板は、面接触によ
る相互摩擦力で強固に一体化しているため、ギャップに
起因する鉄心振動による騒音は発生しない。
〔参考例〕
以下、本発明創成の前提となる技術の参考例を第1
図、第2図により説明する。鉄心1はケイ素鋼板2およ
び3を交互に積重ねて構成する。このときケイ素鋼板2
と3との接合部にはギャップGを設ける。ギャップGは
大きい程、鉄心1中の残留磁束は少なくなり励磁突入電
流の最大値は第2図に示すような特性を示す。このため
1箇所当りのギャップGを2〜10mmとすれば励磁突入電
流は抑制され、組立におけるバランスもよく作業性向上
に好適である。
ケイ素鋼板2、3は通常0.2〜0.5mmの薄板を使用して
交互に積層し金具(図示せず)により締付ける。このた
めケイ素鋼板2、3相互は摩擦力で強固に一体化するこ
とができる。
第5図〜第7図は他の参考例を示す図である。第5図
は複数枚のケイ素鋼板2、3をまとめて積層し、鉄心1
の組立作業性を向上したものである。第6図は、ケイ素
鋼板2の端面をジグザグに加工し、ギャップ効果を持た
せたもの、第7図はケイ素鋼板2の角部をカットしギャ
ップ効果を持たせたものである。
第9図は、第1図の鉄心1を組立てするときの製作方
法を示す。上部鉄心を挿入する場合、コイル4の上にス
ペーサ5を配置すると共に、スペーサ5の厚さTを適正
に選択することにより、ギャップGの寸法が定まる。
第10図はギャップGの位置を上部鉄心および下部鉄心
側に設けた参考例を示す。
第11図(a),(b),(c)は三相鉄心に適用した
参考例を示す。第11図(a)の製作方法は、第12図
(a)、および(b)を交互に積層することにより組立
てる。第11図(b),(c)も同様な方法による。第11
図(d)は鉄心直線部にギャップGを設けた参考例を示
す。上記各参考例は、複数枚の短冊状ケイ素鋼板2、3
を同一平面に組合せ配列した要素をギャップGが同一個
所に重ならないように積層したものを示すが、ケイ素鋼
板は短冊状に限定せず、例えば第13図に示すように、E
型、I型鉄心の場合にも、ケイ素鋼板4と2を組み合わ
せ他の参考例と同様に、同図(a)および同図(b)を
交互に積層することによりギャップGを形成してもよ
い。第11図(d)の参考例についても同様のことがいえ
る。
〔実施例〕
第14図(a)、(b)は、本発明の実施例を示す図で
ある。第14図(a)に示す穴状の開口部Kまたは切欠部
Rを有するケイ素鋼板5と同図(b)に示すケイ素鋼板
5′とを交互に積層するもの、また、これを拡張して同
図(a)若しくは図(b)を単独に積層するもの、ま
た、開口部Kまたは切欠部R(ともに形状限定せず)の
複数個所設け、これを積層するものも同様の効果が得ら
れる。さらにまた、ギャップGと、開口部Kと、切欠部
Rとが混在するように積層して鉄心を形成することも可
能である。
請求項1における縮減断面を備える鉄心とは、切欠
部、開口部を有するコア鉄心を含み、実施例の切欠部、
開口部を備える薄鋼板の積層鉄心を総括した内容を示す
ものである。
なお、上記実施例は、高調波電流が多く含まれる負荷
に使用しても異状音が発生しないという効果がある。
〔発明の効果〕
本発明の実施により、容易に磁路中にギャップに匹敵
する効果を有する鉄心を形成することができ、励磁突入
電流抑制に効果をもたらすと共に、特殊な締付装置を要
することなく確実にギャップの部分を密着固定するとと
もに、変圧器の騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の前提となる変圧器の参考例を示す斜視
図、第2図は第1図変圧器の特性を示す図、第3図は励
磁突入電流発生の説明図、第4図は参考例の原理説明図
である。第5図〜第7図は他の参考例見取り図であり、
第8図は従来技術のの正面図、第9図は第1図参考例の
鉄心組立法を示す説明図、第10図〜第13図は他の参考例
を示す正面図、第14図は本発明の一実施例を示す正面図
である。 1……鉄心 2、3、4、5、5′……ケイ素鋼板 4……コイル、G……ギャップ K……開口部、R……切欠部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄鋼板を複数枚積層して磁路を形成する鉄
    心の一部に縮減断面を有する変圧器において、 ロ字形薄鋼板素片を複数枚積層した鉄心を有し、 この鉄心は、前記ロ字形の外形線に切欠部と前記ロ字形
    の面積内に開口部を有する同形同寸法の薄鋼板素片の複
    数枚を積み重ねた1層または2層以上の組合わせにより
    縮減断面を形成していることを特徴とする変圧器。
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