JP2822933B2 - 耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents
耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法Info
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Description
鉛系めっき鋼板とその製造方法に関し、詳細には、塗装
されることなく用いられる溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変
現象が防止されて優れた表面外観を呈する溶融亜鉛系め
っき鋼板及びその製造方法に関するものである。
ていることから、塗装が施されることなく用いられるこ
とも多く、例えば建築資材やガードレール等をはじめ幅
広く利用されている。
板は、降伏点伸びが大きく、加工を施すことによりスト
レッチャーストレインと呼ばれる不具合が発生するの
で、スキンパスロールで軽く圧下するスキンパス圧延を
施すことにより機械的性質を改善することが一般的であ
る。
鋼板では、表面にスパングルと呼ばれる華模様が形成さ
れて金属光沢が過大な状態になっているが、スキンパス
を行うことにより上記スパングルを消失させて、適度な
光沢及び色調を得ることができる。
面への付着も、表面外観を損なう要因の一つとして挙げ
られるが、スキンパス圧延はめっき鋼板表面に付着した
ドロスの除去にも有効である。
融亜鉛系めっき鋼板は、時間が経過すると表面が部分的
に黒く変色する黒変が発生するという問題が指摘されて
おり、特に塗装を施すことなく裸使用する場合には、上
記黒変は非常に目立ち易く、著しく商品価値を損なうも
のである。
れており、例えばめっき後にNiイオンやCoイオン
を有する溶液で処理する方法(特開昭59−17738
1)、スキンパス圧延後、加熱処理する方法(特開昭
55−131178)、めっき表面をアルカリ水溶液
で洗浄する方法(特開昭61−110777)、めっ
き後クロメート処理前にブラスト処理を行う方法(特開
昭63−166974)等が開示されている。
別な処理設備を必要とするものであり、新たな設備投資
をすることなく、スキンパス圧延を施した溶融亜鉛系め
っき鋼板の表面外観を改善できる技術の開発が要望され
ていた。
に着目してなされたものであって、黒変防止に特別な処
理設備を用いないことを前提として、スキンパス圧延を
施した後に黒変が発生することなく、即ち耐黒変性に優
れた溶融めっき鋼板及びその製造方法を提供しようとす
るものである。
明に係る溶融亜鉛系めっき鋼板とは、めっき後にスキン
パス圧延が施されてなる溶融亜鉛系めっき鋼板であっ
て、スキンパス圧延によって改質された新生部の面積比
率が10%以上40%以下であることを要旨とするもの
であり、上記溶融亜鉛系めっき鋼板を製造するにあたっ
ては、表面粗度が、Ra:6〜15μmで且つPPI5
0:3〜10であるロールを用いて、伸び率0.2〜
3.0%でスキンパス圧延を施すことが推奨される。
ッチャストレインの防止、ドロスやスパングルの消失と
いう観点からスキンパス圧延が施され、その後上記スキ
ンパス圧延が誘因である黒変の発生を防止することを目
的として、スキンパス圧延後に何らかの処理を施してい
た。これに対して本発明者らは、スキンパス圧延の方法
自体を見直すことにより、黒変を防止することに成功し
たものである。
る。溶融亜鉛系めっき鋼板を製造するにあたっては、ク
ロメート処理等の化成処理を施すことが一般的である
が、めっき後にスキンパス圧延を施すことなく化成処理
を施した場合には、黒変現象は生じない。これは、溶融
めっき後の凝固過程で最表面にめっき成分の酸化物層が
形成され、この酸化物層が化学的に安定であることから
黒変が発生しないものと考えられる。
化成処理を行うと、上記酸化物層がスキンパスロールに
より破壊され、そのまま化成処理皮膜が形成されて被覆
されることとなる。表面の酸化物層が破壊された状態で
はめっき層は不安定であり、安定な酸化物となるには酸
素が必要である。しかしながら、化成処理皮膜によりめ
っき表面への酸素の供給は抑制されているので、化学量
論的に安定な酸化物となることができない。即ち、めっ
き表面には、亜鉛と酸素の元素比が整数ではない非化学
量論的化合物が形成されることとなり、この化合物が黒
く見える為に黒変現象が生じるものと考えられる。
を制限することによって黒変現象を低減するものであ
る。具体的には、スキンパス圧延によって改質された新
生部の面積比率を10〜40%に制御することにより黒
変の発生防止が可能となる。上記新生部が、スキンパス
ロールの表面に形成された凸部(ピーク)により改質さ
れた部分であり、上記非化学量論的化合物が生成するも
のの、表面に微細かつ均一に分散しているので黒変を招
くことはない。尚、上記新生部の面積比率を測定するに
あたっては、光学顕微鏡を用いて写真撮影を行い、画像
解析装置により測定すれば良い。
と、スキンパス圧延本来の目的であるストレッチャース
トレインの発生防止や、スパングルやドロスの消失等に
よる外観向上効果が十分に期待できない。一方、面積比
率が40%を超えると黒変の発生を十分に防止できな
い。従って、新生部の面積比率は10〜40%とするこ
とが必要であり、15%以上、35%以下が好ましい。
の製造方法により限定されるものではないが、以下の方
法により製造することができる。即ち、表面粗度を特定
の範囲に限定したスキンパスロールを用いて、特定の伸
び率で圧延を施す方法である。具体的には、表面粗度が
Ra:6〜15μmでかつ、PPI50:3〜10である
ロールを用いて、伸び率0.2〜3.0%でスキンパス
圧延を行う方法である。
Raとは、JIS B0601に規定されている中心線
平均粗さであり、Raが6μm未満であると、新生部の
面積比率が大きくなり過ぎ、黒変の発生を十分に防止で
きなくなる。一方、Raが15μmを超えるロールを製
造するには技術的困難を伴うと共に、ロールの寿命も短
くなる。従ってRaは6〜15μmに限定したが、8μ
m以上、12μm以下であるとより好ましい。
る様に、1インチ当りのピーク(50μinch以上の差を
持つ凹凸)の数である。上記スキンパスロールの表面粗
度においてPPI50が3未満であると、スキンパス圧延
による外観の向上効果が得られず、一方PPI50が10
を超えると、新生部の面積比率が大きくなり過ぎ、黒変
発生を十分に防止することができない。従ってPPI50
は、3〜10の範囲に規定したが、5以上、8以下であ
るとより好ましい。
未満の場合には、外観向上の効果が認められない。一方
伸び率が3.0%を超えると、黒変発生の防止効果が発
揮されないばかりか、ロール寿命が短くなり、ロールへ
亜鉛系めっきが付着するピックアップが極めて短時間で
生じる等、生産性の低下につながる。従って、上記伸び
率は0.2〜3.0%に設定したが、0.5%以上、
2.0%以下であるとより好ましい。
定されるものではなく、純Zn,5%Al−Zn,55
%Al−Zn等の溶融亜鉛系めっきをはじめ、黒変現象
が認められる溶融亜鉛系めっき鋼板であれば、いずれに
も適用することができる。また、本発明は溶融亜鉛系め
っきのめっき付着量によっても限定されるものではない
が、30〜190g/m2 の範囲が一般的である。
を施しても良く、一般的な化成処理としては、クロメー
ト処理やりん酸塩処理等が挙げられる。クロメート処理
には、塗布型クロメート,反応型クロメート,電解クロ
メート等があり、またクロメート処理皮膜上に、有機皮
膜や無機皮膜を塗布した複合皮膜等もあるが、本発明の
溶融亜鉛系めっき鋼板はいずれの化成処理を施した場合
であっても、優れた耐黒変性を発揮する。
規定するものでもないが、ロール寿命の観点から言え
ば、ロール表面にクロムめっき等を施して表面の硬化を
図ることが推奨される。
下記の実施例に限定されるものではなく、前・後記の趣
旨に徴して適宜変更することは本発明の技術的範囲に含
まれる。
を施し、化成処理を行った試験片を用意して、黒変の程
度、及び外観の検査を行った。めっき種類,めっき付着
量,化成処理の種類は、表1に示す。尚、化成処理の欄
において、Crはクロメート処理、Pはりん酸塩処理を
夫々示し、Cr/有機皮膜は、下層がクロメート皮膜で
上層がエポキシ系樹脂を主成分とする有機皮膜が形成さ
れていることを意味し、Cr/無機皮膜は下層がクロメ
ート皮膜で上層がシリカを主成分とする無機皮膜が形成
されていることを意味する。
っき表面を100倍で写真撮影して、画像解析装置(NI
RECO製 LUZEX500 )により、白色の部分をめっきまま
面、黒色の部分を新生面として分け、黒色部分の面積比
率を算出した。
Σ90)を用いてL値を測定し、その後試験片を50℃、
湿度98%で24時間保管した後、再び測定したL値の
差ΔLを算出して定量的に評価すると共に、目視により
以下の様に評価した。 ○:黒変がわずかに認められるか、全くない。 △:黒変が多少認められる。 ×:黒変が顕著に認められる。
した。 ○:スパングルが消失して光沢および色調が適度であ
る。 △:スパングルは消失しているが、スキンパス圧延直後
の色調が黒っぽい。 ×:スパングルにより光沢が過大であり、ぎらぎらとし
た感じ。 結果は、表1に併記する。
生部面積率が、本発明の範囲内にある溶融亜鉛系めっき
鋼板(No.1〜3,9,10,15〜17)は、耐黒
変性に優れ、外観も満足できる程度であることが分か
る。
種々のスキンパスロールを用意して、異なる伸び率で圧
延を行い、実施例1と同様にして色差ΔLを測定すると
共に、黒変及び外観を目視検査した。また、ロール寿命
も以下の様にして判定した。
Raが、初期値の50%となる圧延長さで判断した。但
し、スキンパスロールにめっき付着現象(ピックアッ
プ)が発生した場合は、その時点の圧延長さを圧延可能
長さとした。 ○:圧延可能長さ 3000m以上 △:圧延可能長さ 1500m以上 3000m未満 ×:圧延可能長さ 1500m未満 結果は表2に併記する。
ールの表面粗度及び伸び率が、本発明の範囲を満足する
製造方法で得られた溶融亜鉛系めっき鋼板(No.1,
2,9,16)は、耐黒変性に優れ、外観も満足できる
程度であり、しかもロール寿命も長いことが分かる。
で、黒変防止に特別な処理設備を用いることなく、耐黒
変性に優れた溶融めっき鋼板を製造することができるこ
ととなった。
Claims (2)
- 【請求項1】 めっき後にスキンパス圧延が施されてな
る溶融亜鉛系めっき鋼板であって、スキンパス圧延によ
って改質された新生部の面積比率が10%以上40%以
下であることを特徴とする耐黒変性に優れた溶融亜鉛系
めっき鋼板。 - 【請求項2】 めっき後にスキンパス圧延を施す溶融亜
鉛系めっき鋼板の製造方法であって、表面粗度が、R
a:6〜15μmで且つPPI50:3〜10であるロー
ルを用いて、伸び率0.2〜3.0%でスキンパス圧延
を行うことを特徴とする耐黒変性に優れた溶融亜鉛系め
っき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16246695A JP2822933B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板とその製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0913158A JPH0913158A (ja) | 1997-01-14 |
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-
1995
- 1995-06-28 JP JP16246695A patent/JP2822933B2/ja not_active Expired - Fee Related
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