JP2820956B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2820956B2 JP1132258A JP13225889A JP2820956B2 JP 2820956 B2 JP2820956 B2 JP 2820956B2 JP 1132258 A JP1132258 A JP 1132258A JP 13225889 A JP13225889 A JP 13225889A JP 2820956 B2 JP2820956 B2 JP 2820956B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は機械的特性、寸法安定性、耐薬品性および成
形品の外観に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。更に
詳しくは、特定のマレイミド系共重合体とポリアミド、
変性ポリオレフィン系重合体およびそれ以外の熱可塑性
樹脂からなり、ポリアミドの耐薬品性を保持しながら、
機械的特性、寸法安定性が改善され、しかも外観の優れ
た成形品を与える熱可塑性樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
ポリアミドは機械的特性、耐薬品性、耐摩耗性、電気
的特性等の性質に優れている反面、耐衝撃性(ノッチ
付)、耐熱性が低く、また、成型収縮率が大きく、成型
品にヒケ、ソリ等の不具合が発生しやすい欠点を有して
いる。更に、吸湿性が高いため、成型加工時に成型品外
観の不良現象が発生しやすいばかりでなく、成型品の寸
法あるいは形状の変化が大きく、成型品の機械的特性も
変化しやすいことが知られている。また、溶融樹脂の粘
度が低く、射出成型時に成型機のノズルから溶融樹脂が
糸を引くように流れ出すドルーイング現象が起き易く、
成型操作が煩雑となる欠点を有している。
ポリアミドのこのような欠点を改良する目的で、ポリ
アミドに種々の高分子物質を混合あるいは反応させる試
みが行われてきた。例えば、ポリスチレンあるいはスチ
レン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂を
溶融混合することが行われたが(特公昭38−23476号、
同40−7380号、米国特許第3,243,478号、同3,243,479
号、西ドイツ公開特許第2,403,889号)、これらの樹脂
はポリアミドとの相容性に劣るため、得られた組成物か
らなる成型品に層状の剥離現象が観察され、機械的性質
にも劣っていた。また、ポリアミドにスチレンと不飽和
ジカルボン酸無水物単量体との共重合体を混合する試み
がなされたが(特開昭56−50931号)、得られた組成物
は熱安定性に乏しかった。相容性の改善を目的として、
スチレンと不飽和ジカルボン酸無水物単量体との共重合
体をスチレン系樹脂とポリアミドとの相容可剤として使
用した三成分からなる組成物が知られているが(特開昭
60−195157号)、得られた組成物は相容性、熱安定性の
改良は果たされているものの、その効果は不十分であっ
た。不飽和ジカルボン酸のイミド化合物を含む共重合体
とポリアミドとを溶融混合して製造される。両高分子鎖
が結合した共重合体が知られているが(特開昭57−5771
9号、同57−141426号)、得られた共重合体の性質は溶
融混合機による製造条件の影響を受け易く、工業的に不
利を来した。更には、得られた共重合体の耐熱性、耐衝
撃性は必ずしも十分ではなかった。不飽和ジカルボン酸
無水物単量体と芳香族ビニル共重合体とポリアミドと変
性ポリオレフィンからなる組成物も知られているが(特
開昭61−171751号)、これらは耐熱性、熱安定性におい
て不十分である。この改良として、マレイミド系単量体
の共重合体とポリアミドおよび変性ポリオレフィンから
なる三成分系の組成物が知られているが(特開昭62−59
647号、同62−179546号)、得られた組成物からなる成
型品はゲート近傍の表面に不良現象が認められ、層剥離
性があり、衝撃値、伸び、剛性などのバランスの点で不
十分であった。
〔発明が解決しようとする課題〕 以上のように、ポリアミドの諸特性を改良する試みは
数多くなされてきたが、その効果はいずれも実用上不十
分であった。
本発明の目的とするところは、機械的特性、寸法安定
性、耐薬品性および成形品の外観に優れたポリアミド系
樹脂組成物を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明では、(A):芳香族ビニル単量体基30
〜65モル%、マレイミド系単量体基30〜50モル%、不飽
和ジカルボン酸無水物単量体基3〜20モル%およびその
他の共重合可能な単量体基0〜35モル%からなるマレイ
ミド系共重合体10〜50重量%、(B):ポリアミド10〜
60重量%、(C):不飽和ジカルボン酸無水物単量体基
および/または不飽和カルボン酸単量体基0.1〜10重量
%で変性された変性ポリオレフィン系重合体0〜40重量
%、および(D):上記の(A)、(B)および(C)
以外の熱可塑性樹脂20〜80重量%からなり、(A)成分
のマレイミド系共重合体が0.01〜1.0ミクロンの分散粒
子を形成することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であ
って、得られた組成物は耐衝撃性、伸び、剛性などの機
械的特性のバランスが良く、吸湿性が低いため寸法安定
性も良好で、しかもその成形品は美麗な外観を与えるも
のである。
本発明で用いるマレイミド系共重合体の製造方法につ
いては特に制限はなく、例えば芳香族ビニル単量体、マ
レイミド系単量体、不飽和ジカルボン酸無水物単量体お
よびその他の共重合可能な単量体のラジカル共重合によ
り製造することができる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレ
ン等があり、マレイミド系単量体の具体例としては、マ
レイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−プロピルマイレミド、N−ヘキシルマレイミ
ド、N−シクロエキシルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド、N−トリルマレイミド等があり、不飽和ジカル
ボン酸無水物単量体の具体例としては、無水マレイン
酸、無水メチルマレイン酸、無水1,2−ジメチルマレイ
ン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレイン酸
等があり、その他の共重合可能な単量体の具体例として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリ
レート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル
(メタ)アクリレート、アクタデシル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキ
シエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート等があり、これらを単独で、あるいは併用し
て用いることができる。ただし、ここでメチル(メタ)
アクリレートとはメチルアクリレートあるいはメチルメ
タクリレートを示すものとする。
これらの単量体の共重合方法については特に制限はな
く、公知のラジカル共重合方法を任意に採用できる。
本発明で用いるマレイミド系共重合体を製造する他の
方法として、芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸
無水物単量体およびその他の共重合可能な単量体の共重
合体をアンモニアあるいは第一級アミンと反応させて酸
無水物基をイミド化する方法を例示することができる。
高分子鎖中に酸無水物基を有する高分子物質とアミン化
合物とのイミド化反応は公知であり、例えば、特公昭61
−26936号あるいは同61−8456号に開示されている方法
に従って、高分子物質とアミン化合物とを反応させて、
目的とするイミド基を有するマレイミド系共重合体を製
造することができる。
イミド化反応に用いられる第一級アミンを例示する
と、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、
デシルアミン、アニリン、トルイジン、ナフチルアミ
ン、クロロフェニルアミン、ジクロロフェニルアミン、
ブロモフェニルアミン、ジブロモフェニルアミン等があ
る。
イミド化反応は、オートクレーブを用いて溶液状態、
塊状溶融状態あるいは懸濁状態で反応を行うことができ
る。また、スクリュー押出機等の溶融混練装置を用い
て、溶融状態で反応を行うことも可能である。
溶液反応に用いられる溶媒は任意であり、例えば、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラ
ン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等が例
示される。
イミド化の反応温度は50〜350℃の範囲が好ましく、1
00〜300℃の範囲が特に好ましい。
イミド化反応は触媒の存在を必ずしも必要としない
が、用いるならばトリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン等の第三級アミンが好適である。
本発明で用いられるマレイミド系共重合体は、芳香族
ビニル単量体基30〜65モル%、マレイミド系単量体基30
〜50モル%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体基3〜20
モル%およびその他の共重合可能な単量体基0〜35モル
%からなる。更に、好ましい範囲は、芳香族ビニル単量
体基50〜60モル%、マレイミド系単量体基40〜50モル
%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体基3〜10モル%お
よびその他の共重合可能な単量体基0〜30モル%であ
る。芳香族ビニル単量体基が30モル%未満では、均質な
組成を有する重合体を工業的に再現性よく製造すること
が困難であり、当該マレイミン系共重合体をポリアミド
と混合して得られた組成物の熱安定性、成型加工性、機
械的強度等の性質が劣る。また、芳香族ビニル単量体基
が65モル%を越えるか、あるいはマレイミド系単量体基
が30モル%未満であると得られた組成物の耐熱性が劣
り、マレイミド系単量体基が50モル%を越えると得られ
た組成物の成型加工性が劣る。不飽和ジカルボン酸無水
物単量体基が3モル%未満であるとポリアミドと混合し
て得られた組成物の相容性が不良で、マレイミド系共重
合体分散粒子の粒子径が大きくなり、機械的強度が劣
り、しかも当該組成物の成型物に剥離現象が観察され
る。また、不飽和ジカルボン酸無水物単量体基が20モル
%を越えると当該組成物のマレイミド系共重合体分散粒
子の粒子径が小さくなりすぎ、成型加工性が劣り、また
成型物の熱安定性が不良となり、表面が鮫肌状に荒れる
こともある。
本発明で用いられるポリアミドは特に制限はなく、脂
肪族、芳香族あるいは脂環族のジカルボン酸とジアミン
とから得られるポリアミド、アミノカルボン酸あるいは
環状ラクタム類から得られるポリアミド等であってよい
が、具体例を挙げるとナイロン6、ナイロン6・6、ナ
イロン6・9、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイ
ロン4・6、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリア
ミド、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ
(ヘキサメチレンイソフタラミド)、ポリ(m−キシリ
レンアジパミド)等の芳香族環を含むポリアミド等があ
り、これらを単独で、あるいは併用して用いることがで
きる。
本発明で使用される変性ポリオレフィン系重合体は不
飽和ジカルボン酸無水物単量体および/または不飽和ジ
カルボン酸単量体により変性され変性ポリオレフィン系
重合体で、好ましくはゴム状弾性を有する。
変性ポリオレフィン系重合体とは、オレフィン単量体
の重合体あるいは共重合体の変性物を指し、用いられる
オレフィン単量体の具体例としては、エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、シクロ
ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブ
テン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、1
−ヘキセン、シクロヘキセン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン等がある。また、当該変性ポリオレフ
ィン系重合体は必要に応じて、4−エチリデンノルボル
ネン、ジシクロペンタジエン等の非共役ジエン単量体、
アクリル系単量体等が、ゴム状弾性を示す範囲で共重合
されていてよい。
また本発明で使用される前記以外の熱可塑性樹脂とし
ては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−α−メ
チルスチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジ
エン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リフェニレンオキサイド等がある。
本発明では、マイレイミド共重合体10〜50重量%、ポ
リアミド10〜60重量%、変性ポリオレフィン重合体0〜
40重量%およびそれ以外の熱可塑性樹脂20〜80重量%を
混合して組成物とするが、マレイミド系共重合体が10重
量%未満あるいはポリアミドが60重量%を越えては、得
られた組成物の耐熱性、成型加工性あるいは吸湿性の改
良程度が不十分であり、マレイミド系共重合体が50重量
%を越えるか、あるいはポリアミドが10重量%未満であ
っては当該組成物の機械的強度、耐薬品性あるいは耐摩
耗性が劣る。
また、変性ポリオレフィン系重合体が40重量%以上で
は剛性の低下が大きすぎる。
また変性ポリオレフィン重合体の好ましい組成範囲を
例示するならば、エチレン20〜90モル%、α−オレフィ
ン単量体10〜80モル%およびその他の単量体0〜10モル
%であり、エチレン含有率が50〜85モル%であることが
特に好ましい。また、これら変性ポリオレフィン系重合
体のTgは−10℃以下、特に好ましくは−30℃以下であ
る。
変性ポリオレフィン系重合体を変成する不飽和ジカル
ボン酸無水物単量体はマレイミド系共重合体を構成しう
る単量体として既に例示されたものを使用できるが、無
水マレイン酸が特に好ましく、不飽和カルボン酸単量体
はアクリル酸、メタクリル酸等がある。
変性ポリオレフィン系重合体中の不飽和ジカルボン酸
無水物単量体基あるいは不飽和カルボン酸基の含有率は
0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%が特に好まし
い。0.1重量%未満であっては得られた組成物の機械的
強度が不十分であり、成型品に層状の剥離現象が観察さ
れることがあり、10重量%を越えると機械的強度あるい
は熱安定性を損なうことがある。
本発明でいう変性とは、ポリオレフィン系重合体の主
鎖あるいは側鎖に変性に用いられた単量体基、例えば、
無水マレイン酸基が存在することを示しており、ランダ
ム共重合、グラフト重合等の公知技術で変性を行なうこ
とができる。変性方法は特に制限はなく、例えば、特公
昭39−6810号、特公昭52−43677号、特公昭53−5716
号、特公昭56−9925号、特公昭58−445号等に開示され
た方法に従って変性を行うことができる。また、主鎖へ
の導入よりグラフト体として変性をしてあるものが、低
温衝撃値などの点で好ましい。更に、未反応の単量体残
基は0.5重量%以下少ない程好ましい。
変性ポリオレフィン系重合体の分子量は特に制限はな
いが、耐衝撃性、成型性のバランスから5万〜50万、特
に好ましくは10万〜30万のものが好ましい。
市販のこれら変性ポリオレフィン系重合体としては、
タフマーMP−0620(三井石油化学)がある。
本発明の組成物では、マレイミド系共重合体が分散粒
子を形成し、しかも当該分散粒子の粒子径が0.01〜1.0
ミクロンであることが必要である。特に好ましい粒子径
は0.04〜0.5ミクロンである。更に好ましくは0.05〜0.3
ミクロンである。ただし分散粒子の粒子径は、ヒドラジ
ン−水和物で処理した後にオスミック酸で染色した試料
から切削された超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察して
測定した値である。分散粒子径が0.01ミクロン未満であ
ると、ポリアミドと混合して得られた組成物の溶融粘度
が高く、成型物表面に鮫肌状の不良現象が発生する。分
散粒子径が1.0ミクロンを越えると、当該組成物の機械
的強度が劣る。
また、変性ポリオレフィン系重合体に関しても分散粒
子を形成し、独立した不定形で、ほぼ均一に分散してい
ることが望ましい。
本発明者らの知見によれば、同一のポリアミドを同量
用いる場合、当該組成物中の分散粒子径を決定する因子
として特に重要であるものは、マレイミド系共重合体中
の不飽和ジカルボン酸無水物単量体基の含有率であり、
含有率が低い場合には粒子径は大きく、含有率が高い場
合には粒子径は小さくなる。また、変性ポリオレフィン
系重合体中の有機酸基の含有量も同様に重要であり、イ
ミド化樹脂共重合体中の不飽和ジカルボン酸無水物単量
体基と同様の効果を示す。
本発明の組成物は、有機酸金属塩および/または脂肪
酸アミド化合物を含有することが好ましい。これらの化
合物を含有すると得られた組成物の衝撃強度が向上する
利点がある。
本発明で用いられる有機酸金属塩とは、ラウリン酸、
ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン
酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ヒドロキ
システアリン酸等の脂肪酸、フタル酸等の芳香属カルボ
ン酸と、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カ
ドミウム、アルミニウム、スズ、鉛等の金属との塩であ
る。マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛など、
2価の金属塩が好ましい。
また、脂肪酸アミドとは、前記の脂肪酸の第一アミ
ド、第二アミドであり、第二アミドは、メチレンビスス
テアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド等のビ
スアミドであってもよい。
本発明の組成物中の有機酸金属塩および/または脂肪
酸アミドの含有率は0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜
2重量%の範囲で、更に好ましくは0.2〜1重量%であ
る。0.01重量%未満であっては添加効果が認められず、
5重量%を越えると耐熱性、剛性等の性質が低下、衝撃
値の改良効果も小さいことがある。
特に好ましくは、これら有機酸金属塩と脂肪酸アミド
の併用にあり、有機酸金属塩と脂肪酸アミドの使用量
は、前記添加量内なら比率に特にこだわらないが、1:1
付近が好ましい。
また、酸化防止剤を含有することも可能であり、フェ
ノール系酸化防止剤の使用が変色などから好ましい。フ
ェノール系酸化防止剤として、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート(例えば、イルガノックス1076)、N−N′ヘ
キサメチレンビス(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシシンナムアミド(例えば、イルガノックス1098)、
3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2・
2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4・4′−メチレンビス(2・6−ジ−t−
ブチルフェノール)、4・4′−ブチリデンビス−6−
t−ブチル−m−クレゾール、2・6−ビス(2′−ヒ
ドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)
−4−メチルフェノール、1・1・3−トリス(2′−
メチル−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、1・3・5−トリメチル−2・4・6−ト
リス(3′・5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、4・4′−チオビス(2′−メチ
ル−6′−t−ブチルフェノール)、2・2′−チオビ
ス(4′−メチル−6′−t−ブチルフェノール)、4
・4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、1・1・1・1−テトラキス〔メチル−3−
(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕メタン、2・2′−チオジエチルビス
−〔3−(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)−プロピオネート〕、N−ラウロイル−p−ア
ミノフェノールおよびN−ステアロイル−p−アミノフ
ェノールなどがあり、一般ナイロン用とオレフィン用を
組合わせて使用したほうが好ましい。また、銅キレート
系のナイロン用酸化防止剤の使用ももちろん可能であ
る。
その他の要因として、分散粒子径はマレイミド系共重
合体とポリアミド、変性ポリオレフィン系重合体および
それ以外の熱可塑性樹脂との混合方法にも依存する。
マレイミド系共重合体とポリアミド、変性ポリオレフ
ィン系重合体およびそれ以外の熱可塑性樹脂の混合は、
通常の溶融混練装置を用いて行うことができるが、好適
に使用できる溶融混練装置としては、スクリュー押出
機、バンバリーミキサー、コニーダー、混合ロール等が
ある。
本発明の組成物は、用途に応じて他の添加剤あるいは
改質剤を加えて組成物とすることが可能であり、具体的
には、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の補
強繊維、タルク、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシ
ウム等の充填材、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、着色剤
等がある。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明する
が、実施例および比較例で用いた部および%はすべて重
量基準である。また、これらはいずれも例示的なもので
あって、本発明の内容を限定するものではない。
尚、各種性質の測定方法は次の通りである。
組成物中の分散粒子径:予めトリミングした試料をヒ
ドラジン一水和物中に浸漬して、60℃で48時間放置し
た。水洗後、この試料を1%オスミック酸水溶液中に浸
漬し、室温で24時間放置して染色した。染色した試料か
ら超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡写真を撮影し
た。得られた画像を解析して粒子径を求めた。
衝撃強度:ASTM D−256に従い、厚さ1/8″の射出成型
品によりノッチ付きアイゾットを測定した。雰囲気温度
は23℃。
耐薬品性:プレス成形した厚み2mmの短冊状の試験片
を1/4楕円治具にセットし、雰囲気温度23℃で試験片の
表面にジオクチルフタレートを塗布し、48時間放置後、
クラック発生の位置より臨界歪みを算出した。なお使用
した1/4楕円治具の最大歪み量は試験片厚み2mmの場合、
1.11である。
寸法安定性:ASTM D638の2号ダンベルを用い、湿度80
%、温度60℃で10日間処理した後、品温23℃まで冷却し
たダンベルの長さと絶乾状態、23℃のダンベルの長さの
差を寸法変化とした。
外観:5オンス射出成型機で裏面にボス、リブを有し、
かつ開口部を有する成型品を成型して成型品の外観を目
視判定した。成型温度は260℃。
(1)マレイミド系共重合体(A) マレイミド系共重合体は、攪拌器を備えたオートクレ
ーブ中にスチレン100部を仕込み、系内を窒素ガスで置
換した後、温度80℃に加熱した。これに、無水マレイン
酸67部、ベンゾインパーオキサイド0.2部をメチルエチ
ルケトン300部に溶解した溶液を8時間で添加した。添
加後、更に4時間温度を80℃に保った。
上記共重合体に対し、トリエチルアミン1.2部、アニ
リン38.1部を加え、130℃で7時間反応を行なった。反
応溶液を室温まで冷却し、激しく攪拌したメタノール30
0部に注ぎ、ろ別後乾燥し、マレイミド系共重合体(a
−2)を得た。他のマレイミド系共重合体も同様に作成
した。これらを表−1に示す。
(2)ポリアミド(B) 溶融重合法によって得られた次のナイロン6、ナイロ
ン66を使用。
b−1)ナイロン6;ε−カプロラクタムから得られた濃
硫酸相対粘度2.65のナイロン6。
b−2)ナイロン66;ヘキサメチレンジアミンとアジピ
ン酸の等モル塩から得られた濃硫酸相対粘度2.55のナイ
ロン66。
(3)変性ポリオレフィン系重合体(C) エチレン含量80モル%のエチレン・α−オレフィン共
重合体ペレット10kg、粉末状の無水マレイン酸120g、2
・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルペルオキシ)
ヘキサン−3 10.0gを窒素を流通した20lヘンシエルミ
キサーに仕込み、5分間攪拌して均一にブレンドし、こ
れを40mmφ押出機(窒素を流通、L/T−28、ダルメージ
型)にて、ペレット状とした。シリンダー温度は、重合
体温度が24℃になるように調節して、グラフト反応物
(c−1)を得た(無水マレイン酸の共重合体への導入
量は0.9重量%)。
(4)それら以外の熱可塑性樹脂(D) 下記熱可塑性樹脂を使用した。
d−1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体 電気化学社製ABS GR−2000 d−2)ポリカーボネート 帝人社製 パンライト L−1250 実施例−1〜7および−比較例−1〜5 前記のナイロン−6(b−1)10kgに、ステアリン酸
バリウム0.05重量%を20lヘンシェルにてブレンドし、4
0mmφ押出機にて240℃で押出し、ペレット化した物を5.
0kg、20lヘンシェルに投入、エチレンビスステアリルア
マイド0.5重量%をブレンド後、マレイミド系共重合樹
脂(a−2)3.5kg、変性ポリオレフィン系重合体(c
−1)1.5kg、酸化防止剤(オクタデシル−3−(3・
5−ジ−t−ブチル)−ヒドロキシフェニル−プロピオ
ネート0.25重量%およびN・N′−ヘキサメチレンビス
(3・5−ジ−t−ブチル)−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマミド0.5重量%)を投入し、ブレンド後、CTM(神戸
製鋼社製)付40mmφ押出機にて290℃で押出し、ペレッ
ト化した。
得られたペレット5kgと前記の電気化学社製ABS(GR−
2000)ペレット5kgをブレンド後、CTM付40mmφ押出機に
て270℃で押出した。得られた組成物中のマレイミド系
共重合体の分散粒子径は、0.1μmであった。また、変
性ポリオレフィン系重合体の分散粒子の状態も良好であ
る。このペレットを使用し射出成形機により、物性測定
用の試験型を作成、各種物性等を測定した。結果は表に
示す。同様に、実施例−2〜7、比較例−1〜5も行な
った。
尚、成形温度は270℃を標準とし、成形品の状況によ
って、若干の修正を行なった。
実施例および比較例の結果から次のことが明らかであ
る。
実施例−1と比較例−1からマレイミド系共重合体中
の不飽和ジカルボン酸無水物単量体基が3モル%未満で
あると衝撃強度が発現せず、またこの時のマレイミド系
共重合体の分散も不良で分散粒子系が大きくなってい
る。
一方、比較例−2のように不飽和ジカルボン酸無水物
基が多すぎて衝撃値は向上せず、外観不良を生じる。
比較例−3,4はb成分、c成分を含んでいない場合で
あるが、この場合も衝撃強度が発現せず、耐薬品性の指
標である臨界歪みも小さい。
比較例−5のa成分、d成分を含まず、b成分が60重
量%を越えると寸法変化が大きく、寸法安定性に難点が
ある。
これらに対し実施例−1〜7は衝撃強度、寸法安定
性、耐薬品性および成形品の外観においてバランスがと
れていることが判かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 101/00 35:06 77:00 23:26) (56)参考文献 特開 昭63−105051(JP,A) 特開 昭62−179546(JP,A) 特開 昭62−22844(JP,A) 特開 平2−132140(JP,A) 特開 昭63−193947(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 35/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A):芳香族ビニル単量体基30〜65モル
    %、マレイミド系単量体基30〜50モル%、不飽和ジカル
    ボン酸無水物単量体基3〜20モル%およびその他の共重
    合可能な単量体基0〜35モル%からなるマレイミド系共
    重合体10〜50重量%、 (B):ポリアミド10〜60重量%、 (C):不飽和ジカルボン酸無水物単量体基および/ま
    たは不飽和カルボン酸単量体基0.1〜10重量%で変性さ
    れた変性ポリオレフィン系重合体0〜40重量%、および (D):上記の(A)、(B)および(C)以外の熱可
    塑性樹脂20〜80重量%からなり、(A)成分のマレイミ
    ド系共重合体が0.01〜1.0ミクロンの分散粒子を形成す
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(D)成分の熱可塑性樹脂がアクリロニト
    リル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリ
    ル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合
    体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重
    合体、および/またはポリカーボネートである請求項1
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】有機酸金属塩および/または脂肪酸アミド
    を含有する請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
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