JP2820844B2 - 磁気カード等の不正使用防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、磁気カード等の不正
使用防止方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばプリペイドカードのような磁気カ
ードには、取引データ等を記録する磁気記録層（以下
「磁気ストライプ」と称す）が形成されている。また、
このカードの一部には、そのカード固有のデータをコー
ド化して磁気記録した識別マークが設けられている。こ
の識別マークのデータは上記磁気ストライプにも記録さ
れていて、カード使用時に互いのデータを読み取って比
較し、互いのデータが一致しないと、偽造カードである
と判断するようになっている。上記磁気ストライプやマ
ークは目視できないようにコーティングされている場合
もある。

【０００３】特開平２−２８６４００号公報には、上記
固有データを磁性インクで形成するとき、その塗布厚さ
を変えた構成の識別マークを有する磁気カードと、これ
を用いたカードの不正防止方法が開示されている。そし
て、カードの使用時に上記固有データを読み取って、こ
れが正しいときのみ取引データを読み取ってこのカード
を処理するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気ストラ
イプの磁気データを磁気テープに転写して、このテープ
をカード基材の所定の位置に貼り付けると、正規の取引
内容を記録した偽カードを作ることが可能である。同様
に、上記識別マークの磁気記録をテープに転写して、こ
れを上記カード基材に貼り付けると、磁気記録を再生し
たとき、真贋の区別ができない磁気カードを作成できる
ことになる。換言すると、磁気カードの不正使用を完全
に防止できない、という問題を残していることになる。

【０００５】そこで、本発明の目的は、磁気記録の転写
をできなくして磁気カードの不正使用を防止できる磁気
カード等の不正使用防止方法の提供にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の磁気カード等の
不正使用防止方法は、データを記録される磁気ストライ
プと、互いに保磁力の異なる磁性材をランダムに混入さ
れた磁性層とを有する磁気カード等を用い、上記磁性材
を上記磁性層の所定の位置において着磁し、着磁された
上記位置における上記磁性材の着磁状態を磁気ヘッド又
は磁電変換素子を用いて再生し上記磁気カード等の第１
の固有データとして読み取った後に上記磁性材の着磁を
イレースし、上記第１の固有データを上記磁気ストライ
プに記録しておいて、上記第１の固有データを上記磁気
ストライプに記録された上記磁気カード等の使用時に上
記磁性材を上記位置において着磁し再生して第２の固有
データとして読み取り、再生後に上記磁性材の着磁をイ
レースし、上記第２の固有データと上記第１の固有デー
タとを比較し、両データが不一致のとき不正使用と判断
する。

【０００７】

【０００８】

【作用】磁気ストライプには、該ストライプを形成され
ている磁気カードのカード基材固有の固有データを記録
する。

【０００９】磁気カードを使用するとき、上記カード基
材固有のデータを再生すると共に上記磁気ストライプに
記録してある固有データを再生して、両データが一致す
れば正規のカードと判断し、不一致のときは偽カードで
あるとして不正使用と判断する。

【００１０】

【実施例】以下、図示の実施例に基づいて本発明を詳細
に説明する。

【００１１】図１において、磁気カード１には、その長
手方向の側縁に沿って周知の構造からなる磁気ストライ
プ２が形成されている。磁気ストライプ２は、図２に示
すように、カード基材１１の一方の面に形成されてい
る。カード基材１１の一方の面には、印刷，接着或いは
ホットプレスによって磁性層１２が一体に形成されてい
る。

【００１２】磁性層１２は、磁気ストライプ２と異なる
構造であって、図３に示すように、互いに保持力の異な
る磁性材１３ａ，１３ｂ，１４ａ，１４ｂを含んでい
る。図３（ａ）に示す磁性層１２は、保磁力の異なる粉
砕粒からなる磁性材１３ａ，１３ｂをランダムに混入さ
れた樹脂層からなり、図３（ｂ）に示す磁性層１２は、
保磁力の異なる短繊維状の磁性材をランダムに混入され
たものである。磁性材１３ａ，１４ａは、高残留磁束材
であり、磁性材１３ｂ，１４ｂは低残留磁束材である。

【００１３】磁性層１２は、カード基材１１の上面に磁
性材１３ａ，１３ｂ（１４ａ，１４ｂ）をランダムに散
布したのち樹脂膜１５で固めるか、保磁力の異なる磁性
材をランダムに混入させた薄膜状の樹脂膜１５をカード
基材１１に一体化するか、カード基材１１に形成された
樹脂膜に磁性材をランダムに散布したのち樹脂膜を溶融
しながら磁性材を混入させる等の方法で形成される。磁
性材をランダムに混入するとは、単位面積当りに存在す
る高残留磁束材と低残留磁束材の割合が不均一なことを
意味している。

【００１４】保磁力の異なる磁性材をランダムに混入さ
れた磁性層１２を着磁したときの残留磁束密度は、これ
を測定したとき、測定個所毎に異なっていることにな
る。換言すると、磁性層１２の着磁状態は、個々の磁気
カードによって異なっていることを意味する。

【００１５】磁気カード１の磁気ストライプ２には、カ
ード利用者ごとに異なる取引データが記録されているの
であるが、本発明の磁気カードにおいては、磁性層１２
が有するカード基材の固有データも記録される。

【００１６】固有データは次のような工程を経て記録さ
れる。磁気ヘッド等の着磁手段を用いて磁性層１２を着
磁ラインＯに沿って着磁すると、これに混入されている
磁性材１３ａ，１３ｂがそれぞれの保磁力に応じて磁化
される。この磁性層１２の着磁状態を磁気ヘッドや磁電
変換素子で再生して固有データとし、このデータを磁気
ストライプにカード基材１１の固有のデータとして磁気
的に記録する。セキュリティの目的から、固有データ採
取後の磁性層１２の着磁はイレース手段でイレースして
おくことが望ましい。

【００１７】以上のように、カード基材１１の固有のデ
ータを記録された磁気ストライプ２を有する磁気カード
１を使用する場合の不正防止方法の実施について説明す
る。

【００１８】図１および図４において、図示されない磁
気カードリーダのカード通路には、磁気ストライプ２の
磁気記録を読み取る取引データ読取ヘッド３が配設され
ている。また、カード通路には、固有データを採取され
た部分の磁性層１２の着磁ラインＯに沿って着磁ヘッド
４，ハーフイレースヘッド５，固有データ読取ヘッド
６，イレースヘッド７がこの順で配置されている。

【００１９】取引データ読取ヘッド３は、取引データ読
取回路Ａに含まれていて、磁気ストライプ２に記録され
ている取引データと固有データを読み取ってこれを制御
回路Ｃに入力する周知の構造のヘッドである。制御回路
Ｃはマイクロコンピュータからなっていて、カードリー
ダを制御する駆動回路や、カードの不正使用が判明した
ときの表示駆動回路や、後述するデータ同士の比較をす
る比較回路等を含んでいる。

【００２０】各ヘッド４〜７は、固有データ読取回路Ｂ
に含まれていて、磁気カード１の走行に連れて順次作動
するように制御される。着磁ヘッド４は、磁性層１２の
磁性材１３ａ，１３ｂ（１４ａ，１４ｂ）を着磁する。
磁性層１２の着磁状態は、個々の磁性材の保磁力の違い
によりその波形が一様でない。

【００２１】ハーフイレースヘッド５は、保磁力の小さ
い磁性材１３ｂの残留磁束をイレースして、高残留磁束
を有する磁性材１３ａの着磁のみを残すものである。ハ
ーフイレースヘッドとしては、その磁力やカードとの距
離を工夫すれば永久磁石であっても良い。固有データ読
取ヘッド６は、磁性材１３ａの着磁状態すなわちカード
基材１１固有のデータを読み取って制御回路Ｃに入力す
るものである。この固有データ読取ヘッド６は、磁気ヘ
ッドに限らず磁電変換素子であっても良い。イレースヘ
ッド７は、読取後の固有データをイレースするものであ
って、ＤＣイレースヘッド若しくは永久磁石からなって
いる。

【００２２】いま、図１に示すように、磁気カードリー
ダに挿入された磁気カード１が示矢方向に走行させられ
ると、取引データ読取ヘッド３は磁気ストライプ２に記
録された取引データを読み取る。このデータはデジタル
化されて制御回路Ｃに入力される。一方、着磁ヘッド４
は、カード１の磁性材１３ａ，１３ｂを着磁する。着磁
された磁性材１３ａ，１３ｂは、ハーフイレースヘッド
５によってハーフイレースされて保磁力の大きい磁性材
１３ａの磁束のパターンすなわち固有データのみを残さ
れる。この固有データは、次の固有データ読取ヘッド６
で読み取られ、デジタル化されて制御回路Ｃに入力され
る。固有データ読取ヘッド６を通過すると、イレースヘ
ッド７によって磁性材の着磁状態が解消される。

【００２３】制御回路Ｃは、磁気ストライプ２から読み
取った固有データとカード基材１１の磁性層１２から読
み取った固有データとを比較する。磁気カードリーダに
挿入された磁気カード１が正規のものであれば、比較さ
れる固有データ同士が一致するので、制御手段Ｃは、こ
のカードによる処理を続行する信号を出力する。

【００２４】磁気ストライプ２から読み取った固有デー
タとカード基材から読み取った固有データが不一致であ
ると、制御回路Ｃは、偽カードであると判断して表示灯
やブザー等のアラームを作動させると共に当該カードに
よるこの後の処理を停止する信号を出力する。

【００２５】例えば、磁気ストライプ２の磁気情報は、
磁気転写等の手段によって、磁気テープに転写すること
ができるが、カード基材そのものの磁気情報（固有デー
タ）は磁気カード毎に異なっていて転写のしようがな
く、偽造カードを作ることができない。よって、磁気カ
ードの不正使用が防止できる。

【００２６】実施例によれば、カード基材の固有データ
を読み取った後にこのデータをイレースするので、磁気
カードリーダから取り出された磁気カードには固有デー
タが残っていないことになる。従って、このカードから
は固有の磁気情報を得ることができない。

【００２７】以上の説明では、磁気ストライプ２を設け
られたカード面に磁性層１２を設けた例を挙げたが、こ
の層は磁気ストライプ２を設けられた面と反対の面に形
成されても良いものである。また、図示の磁性層１２
は、カード基材１１の一方の面に形成した例であるが、
当該磁性層は、カード基材１１そのものに保磁力の異な
る磁性材をランダムに混入して形成されても良い。

【００２８】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、磁気スト
ライプにカード基材固有のデータを磁気情報として記録
し、このデータをカードの使用に際して着磁され再生さ
れるカード基材の固有データと比較するので、磁気デー
タの転写による偽カードが作成できずそのカードの不正
使用が防止できる。

【００２９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる磁気カードとこれを用いた不正
使用防止方法を説明する斜視図である。

【図２】本発明にかかる磁気カードの構成の一例を示す
図１中のＤ−Ｄ線拡大断面図である。

【図３】（ａ）は磁性材の一例を示す磁性層の拡大断面
図、（ｂ）は磁性材の異なる例を示す磁性層の拡大断面
図である。

【図４】本発明の方法を実施するシステムの一例を示す
概略ブロック図である。

【符号の説明】

１・・・磁気カード ２・・・磁気ストライプ ３・・・取引データ読取ヘッド ４・・・着磁ヘッド ５・・・ハーフイレースヘッド ６・・・固有データ読取ヘッド ７・・・イレースヘッド １１・・・カード基材 １２・・・磁性層 １３ａ・・・磁性材（高残留磁束材） １３ｂ・・・磁性材（低残留磁束材） １４ａ・・・磁性材（高残留磁束材） １４ｂ・・・磁性材（低残留磁束材） １５・・・樹脂膜

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】データを記録される磁気ストライプと、互
   いに保磁力の異なる磁性材をランダムに混入された磁性
   層とを有する磁気カード等を用い、 上記磁性材を上記磁性層の所定の位置において着磁し、 着磁された上記位置における上記磁性材の着磁状態を磁
   気ヘッド又は磁電変換素子を用いて再生し上記磁気カー
   ド等の第１の固有データとして読み取った後に上記磁性
   材の着磁をイレースし、 上記第１の固有データを上記磁気ストライプに記録して
   おいて、 上記第１の固有データを上記磁気ストライプに記録され
   た上記磁気カード等の使用時に上記磁性材を上記位置に
   おいて着磁し再生して第２の固有データとして読み取
   り、再生後に上記磁性材の着磁をイレースし、上記第２
   の固有データと上記第１の固有データとを比較し、両デ
   ータが不一致のとき不正使用と判断する磁気カード等の
   不正使用防止方法。