JP3625068B2 - データ記録再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ記録再生方法に関し、より具体的には、記録情報の秘匿性に優れたデータ記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は、銀行カード、IDカード、クレジット・カード、各種プリペイド・カードに使用されている。これらのカードでは、磁気記録情報を簡単には読み取れず、且つまた、その変造又は偽造品を簡単には作成できないようにすることが重要である。
【0003】
記録情報の隠蔽する従来技術として、データ記録層の上に軟磁性材料を積層する構成(昭和55年特許出願公開第93514号及び昭和56年特許出願公開第51136号など)や、高保磁力の磁性材料層の上に低保磁力の磁性材料層を積層し、高保磁力磁性材料層にデータを記録し、低保磁力磁性材料層にダミー・データを記録する構成(昭和54年特許出願公開第85007号、昭和60年特許出願公開第219635号、昭和61年特許出願公開第145727号など)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前者の従来例は、軟磁性材料層によりデータ記録層から外部に磁束が漏れないようにするものであるが、データ記録層に直交する方向(カードでは当該カードに垂直な方向)に弱い直流磁界を印加すると、データ記録層の磁化情報を外部から容易に読み取れるようになるという欠点がある。また、データ記録層の記録内容を容易に変更できるという欠点もある。
【0005】
後者の従来例は、低保磁力層のダミー・データで、高保磁力層の真データを隠蔽しているので、そのままでは、通常の再生装置で真データを再生解読したり、変更できないという長所があるが、低保磁力層のダミー・データのみを消去すると、通常の再生装置で真データを再生解読できるし、記録の変更もできるという欠点がある。
【0006】
本発明は、このような不都合を改善したデータ記録再生方法を提示することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ記録再生方法は、第1の磁性材料、及び、当該第1の磁性材料の保磁力よりも小さい保磁力を具備する第2の磁性材料を有する磁気記録媒体にデータを隠蔽記録するデータ記録再生方法であって、第1波長(λd)で隠蔽パターンを当該第1の磁性材料に記録すると共に、当該第1波長(λd)より長い第2波長(λt)で真データを当該第2の磁性材料に記録する記録ステップと、当該第1波長(λd)の整数倍に相当する実効ギャップ長を具備する再生ヘッドにより、当該真データを再生する再生ステップとを具備することを特徴とする。
【0008】
【作用】
上記手段により、低保磁力磁性材料(第2の磁性材料)に真データを記録し、高保磁力磁性材料(第1の磁性材料)に隠蔽パターンを記録するので、隠蔽パターンのみを消去することができない。従って、真データの磁化パターンのみを他の磁気記録媒体に転写するのは不可能になる。また、隠蔽パターンの波長(λd)の整数倍に相当する実効ギャップ長を具備する再生ヘッドを使用することにより、隠ぺいパターンのヘッド出力が空隙損失により小さくなり、真データを効率良く読み出すことが可能になる。
【0009】
隠蔽パターンにより真データを隠すことができ、解読のみならず、変造偽造をより困難にする。
【0010】
専用の再生ヘッドであれば、隠蔽パターンにかかわらず、真データのみを再生できるので、安価な再生装置で済む。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
本発明では、低保磁力磁性材料に真データを記録し、高保磁力磁性材に当該真データを隠蔽する隠蔽パターンを記録する。低保磁力磁性材料と高保磁力磁性材料は1つの層に混在させても、別々の層に形成してもよい。図1(a)は、基板10の上に、低保磁力磁性材料と高保磁力磁性材料を混合した磁性層12を塗付又は積層した実施例の断面図を示し、同(b)は、基板14の上に、高保磁力の磁性材料層16を積層し、更にその上に、低保磁力の磁性材料層18を積層した実施例の断面図を示す。図1(b)とは逆に、基板の上に、低保磁力磁性材料層を積層し、更にその上に、高保磁力磁性材料層を積層してもよい。
【0013】
磁性材料層12,18の上に、高透磁率の材料層を設け、磁気材料層12,16,18を磁気シールドしてもよい。こうすれば、マグネティック・ビューアによる目視観察を防げるし、簡易な磁気再生装置による再生も防げる。
【0014】
磁気記録の再生ヘッドと記録波長との間には、再生ヘッドのギャップ長(実効値)gが記録波長λの整数倍であるときに再生レベルが低下するという関係がある。これは空隙損失と呼ばれる(松本光功、伊藤彰義、森迫昭光「磁気記録工学」共立出版参照)。なお、実効ギャップ長は通常、光学的なギャップ長より大きい。
【0015】
本実施例では、これを利用し、再生ヘッドの実効ギャップ長の整数分の1倍の波長で高保磁力磁性材料に隠蔽パターンを記録し、低保磁力磁性材料には、隠蔽パターンの記録波長より長い波長で真データを記録する。即ち、真データの基本波長をλt、隠蔽パターンの基本波長をλd、再生ヘッドの実効ギャップ長をgとすると、
Figure 0003625068
とする。λtは例えば、g以上、例えば10g程度に設定する。即ち、g/λtを0.1〜0.2とする。
【0016】
真データの基本波長λt、隠蔽パターンの基本波長λd、及び再生ヘッドの実効ギャップ長gをこのように設定すると、当該再生ヘッドは、隠蔽パターンの信号成分を含まず、真データの信号成分を強く含む再生信号を出力する。
【0017】
図2は、隠蔽パターンの波形例を示す。図2(a)は、再生ヘッドのギャップ、同(b)は、ギャップ長gを波長とする一定周期パターンからなる隠蔽パターン波形、同(c)は、ギャップ長gを単位周期とするFM符号化方式でのデータ波形、同(d)は同(c)のデータ値、同(e)は、同(c)の磁化方向を示す。
【0018】
再生ヘッドのギャップの両端点a,bで磁位が等しければ、空隙損失が最大になり、ヘッド出力は最小になる。従って、図2(b)に示すような、ギャップ長gを周期とする単純パターンでだけでなく、同(c)に示すような波形パターンも隠蔽パターンとして使用し得る。
【0019】
図2(b)に示すような単純パターンより、図2(c)に示すような、ギャップ長gの中で多少の変化があった方が、隠蔽効果が高いことはいうまでもない。また、図2(b)と同(c)を組み合わせてもよいことは勿論であり、隠蔽する真データの波形に応じて、隠蔽パターンの波形を選択すれば、変造や偽造により強くなる。
【0020】
真データを記録波長(λt)600μmで記録し、隠蔽パターンを記録波長(λd)133μmで記録したものを、光学的ギャップ長120μmの専用磁気ヘッドで再生してみた。真データはg/λt=0.2、隠蔽パターンはg/λd=0.9である。なお、実効ギャップ長は光学的ギャップ長より10%程度大きいと想定している。このとき、当該専用ヘッドの出力波形は、ほぼ、真データの再生信号になっていた。光学的ギャップ長が25μmの通常の磁気ヘッドで再生すると、真データと隠蔽パターンの混合した出力波形になっていた。
【0021】
本実施例では、高保磁力磁性材料に隠蔽パターンを記録し、低保磁力磁性材料に真データを記録するので、隠蔽パターンのみを消去することができない。従って、真データの磁化状態のみを外部に転写したり、視覚的に読み取ったりすることができない。
【0022】
また、特定の再生ヘッドを用いることにより、真データの信号成分のみを取り出せるので、再生データ検出回路の回路構成を簡略化できるという利点もある。
【0023】
低保磁力磁性材料の真データの磁化状態と高保磁力磁性材料の隠蔽パターンの磁化状態を、合成した状態で単一磁化材料からなる磁気媒体に転記(例えば、熱転写)されることがある。このような偽造媒体は、真性の記録媒体が高保磁力磁性材料と低保磁力磁性材料からなることを検査することにより検出できる。異なる保磁力の磁性材料が使用されているのを確認するには、各保磁力に応じた記録電流で磁化し、その磁化波形を再生することにより確認できる。従って、特別の確認領域を設ける必要がある。例えば、銀行カードなどでは、図3に示すように、磁気ストライプの端部を確認領域とし、当該確認領域で低保磁力及び高保磁力の正規の磁性材料が使用されているか否かを確認する。
【0024】
真データ列の一部にダミー・データを配置し、当該ダミー・データ部分を隠蔽する隠蔽パターンデータ部分として、他の隠蔽パターン部分とは異なる適当な周期、例えば真データの記録波長の周期のパターンを使用することにより、隠蔽パターンも本来のデータであるかのごとく誤認させることができ、真データをより効果的に隠蔽することができる。
【0025】
真データと隠蔽パターン間の方位のずれ、所謂アジマス角がある場合や、磁気ヘッドのギャップ方向と真データ及び/又は隠蔽パターンの磁化方向との間に角度がある場合には、隠蔽パターンの周期などは磁気ヘッドのギャップ方向への射影値で評価されることはいうまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から容易に理解できるように、本発明によれば、秘匿性に優れ、変造偽造に強い磁気記録媒体を提供できる。また、専用の再生ヘッドであれば、隠蔽パターンにかかわらず、真データのみを再生できるので、安価な再生装置で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】本実施例の隠蔽パターンの波形例である。
【図3】保磁力確認領域を設けたカードの正面図である。
【符号の説明】
10:基板 12:低保磁力磁性材料及び高保磁力磁性材料の混合層 14:基板 16:高保磁力の磁性材料層 18:低保磁力の磁性材料層

Claims (1)

  1. 第1の磁性材料、及び、当該第1の磁性材料の保磁力よりも小さい保磁力を具備する第2の磁性材料を有する磁気記録媒体にデータを隠蔽記録するデータ記録再生方法であって、
    第1波長(λd)で隠蔽パターンを当該第1の磁性材料に記録すると共に、当該第1波長(λd)より長い第2波長(λt)で真データを当該第2の磁性材料に記録する記録ステップと、
    当該第1波長(λd)の整数倍に相当する実効ギャップ長を具備する再生ヘッドにより、当該真データを再生する再生ステップ
    とを具備することを特徴とするデータ記録再生方法。
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