JP2819892B2 - 表面層欠陥検出装置 - Google Patents

表面層欠陥検出装置

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JP2819892B2
JP2819892B2 JP27148891A JP27148891A JP2819892B2 JP 2819892 B2 JP2819892 B2 JP 2819892B2 JP 27148891 A JP27148891 A JP 27148891A JP 27148891 A JP27148891 A JP 27148891A JP 2819892 B2 JP2819892 B2 JP 2819892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材とその表面に形成
された表面層とを有する被検査体の表面層、例えば複写
機、レーザプリンタなどの画像出力装置に使用される感
光体ドラム表面の感光層等の欠陥を検出する表面層欠陥
検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機やレーザプリンタには感光体ドラ
ムまたは無端状の感光体ベルト等の感光部材が使用され
ている。次にこのような感光部材の構造および欠陥の種
類を図14により説明する。図14において、感光部材
01は、アルミ等の基材02とその表面に形成された感
光層03とから構成され、感光層03は前記基材02上
に順次積層されたアンダーコート層04、電荷発生層0
5、および電荷輸送層06から構成されている。前記感
光部材01の、感光層03表面に発生する欠陥として
は、表面の微妙な凸凹03aまたは感光層03が全て剥
離し、基板02が露出したような欠陥「機械傷」03b
がある。また、感光層03表面の電荷輸送層06が透光
性を有する場合には、前記電荷輸送層06または電荷発
生層05の各膜厚の変化05a,06bや感光層03中の
不純物07により欠陥が発生する。
【0003】このような感光部材01はコピー画質上の
欠陥を防ぐために全数の表面検査により品質確保が行わ
れている。前記感光部材01の機械傷03bは感光部材
01をユニットに組立てる時等に付く傷である。機械傷
03bによりコピー画質上で例えば白紙コピーの状態で
黒点が表れたり、べた黒コピーにおいて白点等が発生し
たりする。前記機械傷の大きさとしては0.2mm以上
のもので基板上の感光部材が完全に剥離し、スリット光
に対して強い散乱光を発する。
【0004】また前記感光部材01を製作するため、基
材02表面に感光層03を形成する際、アンダーコート
層04、電荷発生層05、および電荷輸送層06などを
順次積層するため、感光材料の塗布工程や蒸着工程を行
う必要がある。前記各工程においては塗布や乾燥による
「むら」「ふくらみ」「へこみ」「すじ」、塗布液の
「だれ」などが発生することがある。特に近年に高感
度、長寿命化が進み感光部材生産の主力となるOPC
(有機感光部材)では、機能分離を目的として感光材料
の塗布を複数の層にして行うため、上記の塗布むら等の
欠陥が発生しやすい。これらは主に従来の複写機に用い
られていた白黒の文字原稿ではコピー画質上には表れな
いが、近年の複写機の重要な機能である写真原稿などの
白と黒の中間程度の濃度が必要なコピー(中間調コピ
ー)で画質上濃度むらとして表れる欠陥である。目視で
は、大きさとしては0.1mmから1mm程度である
が、非常に微妙な欠陥であり蛍光灯等の下で丹念に観察
して初めて検出できる。
【0005】これらの表面欠陥に対する検査としては従
来から検査員による目視検査が行われている。しかしな
がら、目視による検査では、検査品質のばらつきや、検
査工数の増大、目視疲労による作業環境の悪化、作業者
確保の困難、作業者教育時間の増大などの問題があっ
た。そこで目視検査作業の自動化を目的とした表面層欠
陥検出装置を先に考案し、すでに実用新案登録出願(実
願平2−10721号)している。この実願平2−10
721号で提案した考案は、ハロゲン光スポット光を光
ファイバー束によりスリット光としシリンダーレンズで
集光して感光部材表面に投光し、「機械傷」からの散乱
光を縮小光学系によりラインセンサで受光する方法であ
る。
【0006】この実願平2−10721号の考案のよう
に、前記機械傷からの散乱光を受光して表面欠陥を検出
する方法は、表面の感光層が完全に剥離し、金属表面が
露出している機械傷に対しては有効であり、また、次の
ような特徴も有していた。すなわち、機械傷はハロゲン
光の光ファイバー束によるスリット光の投光により強い
散乱光を発生し、正反射方向の角度に対して10〜20
度ずらした位置においてラインセンサで受光することが
可能であった。しかし多層に塗布した感光層では各層の
厚みが0.1μmから数μm程度であるため、微妙な膜
厚の変化(図14の05a,06a参照)による「ふくら
み」「へこみ」等の欠陥には光ファイバー束によるスリ
ット光に対して散乱光をほとんど発生しない。このた
め、受光位置である正反射光方向から10〜20度ずら
した位置では、「へこみ」等の欠陥をラインセンサで検
出することが不可能であった。また膜厚の変化による
「むら」等の欠陥は、数%程度の反射率の違いを検出す
る必要があり、前記実願平2−10721号の考案によ
り散乱光を受光することでは検出できなかった。
【0007】また前記実願平2−10721号の考案の
応用例としてラインセンサの受光位置をハロゲン光スリ
ット光の正反射光位置に設定する方法も考えられるが、
ハロゲン光をスリット光に変換する光ファイバーアレイ
はファイバーの出射端面において光量の不均一が著しく
発生し、これがセンサ信号のノイズ成分となることや、
ファイバーからの光はシリンダーレンズにより方向が揃
っていることが原因で感光体機能上全く問題のない基板
の金属表面の周期数mmの「うねり」をセンサが検出し、
これがノイズ成分となること、等により感光体塗布層の
欠陥のみを抽出することが困難であった。さらに、前記
実願平2−10721号の考案は、光学系等の機械的装
置の考案であって、ラインセンサで受光した検出信号の
処理方法については記載されていない。
【0008】本発明者は、ラインセンサの検出信号から
欠陥信号を安定して抽出するための検出信号の処理方法
を発明し、すでに特許出願(特願平2−182980
号)している。この特願平2−182980号で提案し
た発明は、図15に示すようにラインセンサSの各受光
素子Si(i=1,2,…,k)毎の暗時出力Vi1とマ
スタードラムの測定光量Vi2とから各受光素子Si毎の
閾値Thiを決定し傷判定を行う方法である。すなわち、
k個の受光素子Si(i=1,2,…,k)を有するラ
インセンサ出力の温度変動に対して各受光素子Si毎の
暗時出力Vi1を測定し、またラインセンサで受光するマ
スタードラム(欠陥の無い基準の感光体ドラム)表面か
らの反射光量に対して、ラインセンサの各受光素子Si
毎の検出光量信号Vi2(1,2,…,k)を測定する。
そして、前記Vi1,Vi2を用いて各受光素子Si毎に閾
値Thiを次式(1)のように定める。 Thi=(Vi2ーVi1)×p+Vi1 …………………………… (1) 但し、i=1,2,…,k pは定数 そして、検査対象となる感光体ドラム(感光部材)表面
からの前記各受光素子Siの検出光量Viから感光部材表
面の欠陥を検出する場合、前記閾値Thiは、ラインセン
サSの各受光素子Siの検出信号が欠陥を検出したかど
うかを判断するための閾値として利用される。閾値Thi
は固定値であるがマスタードラムの測定を、ロット交換
毎や温度変動毎に実施して、閾値を更新する。これによ
り温度変動や、光量変動に対して正しく傷信号を抽出し
欠陥検出が可能となった。前記閾値Thiは、検査工程で
検出される表面欠陥の全ての種類について、不良と判定
すべき限度の見本を定め実験的に欠陥信号レベルpを求
めて算出される。発明者らの実験から欠陥の種類として
「機械傷」では、p=200%〜300%であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記図1
4に示す感光部材01に帯状の白色拡散光を照射してラ
インセンサの姿勢(または受光位置)を、感光層03表
面の帯状光の中心線部分からの反射光を受光する検出姿
勢(帯状光中心線受光位置)に設定することで、感光層
03の各膜厚の変化05a,06aや層中の不純物07に
より発生する欠陥検出信号が得られることを確認した。
このようにラインセンサの検出姿勢を帯状光受光位置に
設定する方法に本発明者が提案した前記特願平2−18
2980号の発明の固定閾値を適用した場合、塗布工程
で発生する「むら」などの欠陥信号レベルはマスタード
ラムの信号レベルに比べて±10〜50%程度であり、
「機械傷」が200〜300%であるのに比べ非常に小
さな欠陥信号レベルとなってしまう。また、この方法で
感光層欠陥を検出する場合、ドラム1本ごとに正常な面
のドラム毎の反射率ばらつきやドラムパイプの回転偏心
による受光光軸ずれから、反射率のばらつきが発生す
る。これにより正常な感光部材表面において±20%程
度の信号レベルの変動が発生する。
【0010】したがって、従来の「機械傷」を対象とし
た場合、ドラム1本ごとの正常な面の信号ばらつきが欠
陥信号レベルに比べ十分小さかったため、前記特願平2
−182980号の発明による閾値設定の方法で正しく
欠陥判定することが可能であった。一方塗布工程で発生
する「むら」などの欠陥はドラム1本ごとの正常な面の
信号ばらつきが、欠陥信号レベルと同等程度であるた
め、前記特願平2−182980号の発明による固定閾
値では正しく欠陥信号を抽出することができない。
【0011】また、感光層欠陥を検出する従来技術とし
て、特開昭59−49573号公報に開示されているよ
うな、帯電器、表面電位計、除電器等から構成された検
査装置により、感光部材の表面電位を測定する方式があ
る。この特開昭59−49573号公報に開示された方
法に本発明者が提案した前記特願平2−182980号
の発明の固定閾値を適用した場合、塗布工程で発生する
「むら」などの欠陥信号レベルはマスタードラムの信号
レベルに比べて±10〜50%程度であり、「機械傷」
が200〜300%であるのに比べ非常に小さな欠陥信
号レベルとなってしまう。
【0012】また、測定時のばらつきとして、感光部材
の帯電感度ばらつき、電位計プローブの測定時の位置変
動、帯電器の帯電むらがあり、これらにより正常な感光
部材表面において±20%程度の信号レベルの変動があ
る。さらに、未露光状態の初期帯電での表面電位特性し
か検査することが出来ないため「軸すじ」のような、写
真原稿などの中間調のコピーにおいて画質欠陥が表れる
ものの検出が不可能であった。「軸すじ」は多層感光部
材の最表面層で無色透明の「電荷輸送層」の膜厚変化に
よる感光部材の機能不良が顕在化するものであり、感光
部材の目視による検査では全く観察できない種類の欠陥
に基づくものである。したがって、この表面電位を測定
する方法も、前記ラインセンサの受光視野を帯状光中心
線受光位置に設定する方法と同様に、特願平2−182
980号の発明による固定閾値では正しく欠陥信号を抽
出することができない。
【0013】なお、前述の従来技術の問題点の説明は、
感光体表面の感光層の欠陥検出時の問題点として説明し
てきたが、前記問題点は感光層以外の表面層であって、
所定の光学特性または表面電位特性等の検出可能な種々
の物理量が均一であることを必要とする種々の表面層の
欠陥検出装置における問題点でもある。本発明は、感光
部材表面等の所定の形状的精度または所定の物理的特性
等を有する表面層の欠陥、特に塗布工程において発生す
る「むら」などの欠陥に対して、正しく欠陥信号を抽出
することが可能な表面層欠陥検出装置を提供することを
課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本発明の構成を説明するが、本発明の
構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を容易
にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだ
ものを付記している。なお、本発明を後述の実施例の符
号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易に
するためであり、本発明の範囲を実施例に限定するため
ではない。前記課題を解決するために、本出願の第1発
明の表面層欠陥検出装置は、基材(2)とその表面に形
成された表面層(3)とを有する被検査体(1)の表面
の状態に関する測定可能な物理量を前記被検査体(1)
表面の直交する主走査方向および副走査方向に走査しな
がら検出する物理量測定装置を備え、この物理量測定装
置によって検出される検出物理量により表面層欠陥を検
出する表面層欠陥検出装置において、検査対象となる被
検査体(1)と略同様に構成された欠陥の無い被検査体
表面の検出物理量に対応して設定された閾値(T1i,T
2i,T3i)を記憶する閾値記憶手段(M1,M2)と、被
検査体(1)表面の所定部分の走査によって得られる検
出物理量の平均値(Va)を算出する検出物理量平均値
算出手段(E1)と、算出された前記検出物理量平均値
(Va)を記憶する検出物理量平均値記憶手段(37)
と、前記所定部分の走査の後に続く走査で得られる検出
物理量Vi(i=1,2,…)から前記検出物理量平均値
(Va)を減算した検出補正物理量(Vi−Va)と前記
閾値(T1i,T2i,T3i)との差に対応する欠陥検出信
号(「0」,「1」)を出力する欠陥検出信号出力手段
(C1,C2)とを備え、前記物理量は光量であり、前記
物理量測定装置は、前記被検査体(1)表面に主走査方
向に延びる検査用の帯状拡散光を照射する光照射装置
(K)と、前記帯状拡散光の前記表面層(3)からの反
射光量を検出する主走査方向に沿って設けられた多数の
受光素子(Si)を有するラインセンサ(S)と、この
ラインセンサ(S)と前記被検査体(1)表面とを副走
査方向に相対的に移動させる移動装置(D)とを有し、
前記閾値(T1i,T2i,T3i)は前記各受光素子(S
i)毎に設定されたことを特徴とする。
【0015】また、本出願の第2発明の表面層欠陥検出
装置は、基材(2)とその表面に形成された表面層
(3)とを有する被検査体(1)の表面の状態に関する
測定可能な物理量を前記被検査体(1)表面の直交する
主走査方向および副走査方向に走査しながら検出する物
理量測定装置を備え、この物理量測定装置によって検出
される検出物理量により表面層欠陥を検出する表面層欠
陥検出装置において、検査対象となる被検査体(1)と
略同様に構成された欠陥の無い被検査体表面の検出物理
量に対応して設定された閾値(T1i,T2i,T3i)を記
憶する閾値記憶手段(M1,M2)と、被検査体(1)表
面の所定部分の走査によって得られる検出物理量の平均
値(Va)を算出する検出物理量平均値算出手段(E1)
と、算出された前記検出物理量平均値(Va)を記憶す
る検出物理量平均値記憶手段(37)と、前記所定部分
の走査の後に続く走査で得られる検出物理量Vi(i=
1,2,…)から前記検出物理量平均値(Va)を減算
した検出補正物理量(Vi−Va)と前記閾値(T1i,T
2i,T3i)との差に対応する欠陥検出信号(「0」,
「1」)を出力する欠陥検出信号出力手段(C1,C2)
とを備え、前記物理量は電位であり、前記物理量測定装
置は、前記被検査体(1)表面を一様に帯電させる帯電
器(41)と、中間調原稿からの反射光量と同程度の光
量による中間調露光を行う中間調露光装置(42)と、
前記被検査体(1)表面の電位を計測する微小表面電位
計(S′)と、この微小表面電位計(S′)と前記被検
査体(1)表面とを直交する主走査方向および副走査方
向に相対的に移動させる移動装置とを備えたことを特徴
とする。
【0016】
【0017】
【作用】前記本出願の第1発明の表面層欠陥検出装置
は、前記閾値記憶手段(M1,M2)に、検査対象となる
被検査体(1)と略同様に構成された欠陥の無い被検査
体表面の検出物理量に対応して設定された閾値(T1i,
T2i,T3i)が記憶されている。また、前記物理量測定
装置は、被検査体(1)表面の状態に関する測定可能な
物理量を前記被検査体表面の直交する主走査方向および
副走査方向に走査しながら検出する。前記被検査体
(1)表面の所定部分の走査によって得られる検出物理
量は、検出物理量平均値算出手段(E1)により平均値
(Va)が算出される。算出された前記検出物理量平均
値(Va)は検出物理量平均値記憶手段(37)に記憶
される。前記所定部分の走査の後に続く走査で得られる
検出物理量(Vi、i=1,2,…)から前記検出物理量
平均値(Va)を減算した検出補正物理量(Vi−Va)
と前記閾値(T1i,T2i,T3i)との差に対応する欠陥
検出信号(「0」,「1」)が前記欠陥検出信号出力手
段(C1,C2)から出力される。
【0018】したがって、被検査体(1)表面の各部分
における検出物理量(Vi、i=1,2,…)からそれら
の各部分の検出物理量(Vi)の平均値(Va)を減算し
た値(Vi−Va)と前記閾値(T1i,T2i,T3i)と差
に対応する信号により欠陥を検出することになる。した
がって、被検査体(1)表面のある部分における検出物
理量(Vi,m-1)の平均値(Va,m-1)と、他の部分にお
ける検出物理量(Vi,n-1)の平均値(Va,n-1)との間
にバラツキが有る場合でも、それらのバラツキを補償で
きるので、同一の閾値(T1i,T2i,T3i)を用いて欠陥
を検出することができる。
【0019】また、前記第1発明の表面層欠陥検出装置
は、検出する物理量として光量を採用している。そし
て、前記本出願の第1発明の表面層欠陥検出装置は、前
記閾値記憶手段(M1,M2)に、検査対象となる被検査
体(1)と略同様に構成された欠陥の無い被検査体表面
の検出光量に対応してラインセンサ(S)の各受光素子
(Si)毎に設定された閾値(T1i,T2i,T3i)が記憶
されている。また、物理量測定装置は光照射装置(K)
を備えており、その光照射装置(K)は、前記被検査体
(1)の表面層(3)に主走査方向に延びる検査用の帯
状拡散光を照射する。主走査方向に沿って設けられた多
数の受光素子(Si)を有する前記ラインセンサ(S)
は、前記帯状拡散光の前記表面層(3)からの反射光量
を検出する。このラインセンサ(S)と前記被検査体
(1)表面とは、前記移動装置(D)により副走査方向
に相対的に移動させられる。したがって、ラインセンサ
(S)は、被検査体(1)表面の主走査方向および副走
査方向の全面からの反射光量を検出することができる。
また、検査用の光として前記帯状拡散光を使用すること
により、表面層の微妙な凹凸を感度良く検出することが
でき、また、透明または半透明な被検査体(1)表面層
の内部の異常も感度良く検出することができる。
【0020】前記被検査体(1)表面の所定部分の走査
によって得られる検出光量(Vi)からは、検出物理量
平均値算出手段(E1)により平均値(Va)が算出され
る。算出された前記検出光量(Vi)の平均値(Va)は
検出物理量平均値記憶手段(37)に記憶される。前記
所定部分の走査の後に続く走査で得られる検出光量Vi
(i=1,2,…)から前記検出光量(Vi)の平均値
(Va)を減算した検出補正光量(Vi−Va)と前記閾
値(T1i,T2i,T3i)との差に対応する欠陥検出信号
(「0」,「1」)が前記欠陥検出信号出力手段(C
1,C2)から出力される。
【0021】また、本出願の第2発明の表面層欠陥検出
装置は、検出する物理量として電位を採用している。そ
して、前記本出願の第2発明の表面層欠陥検出装置は、
前記閾値記憶手段(M1,M2)に、検査対象となる被検
査体(1)と略同様に構成された欠陥の無い被検査体表
面の検出電位に対応して設定された閾値(T1i,T2i)
が記憶されている。また、物理量測定装置の帯電器(4
1)は、前記被検査体(1)表面を一様に帯電させる。
この帯電された被検査体(1)表面には中間調露光装置
(42)により、中間調原稿からの反射光量と同程度の
光量による均一な中間調露光が行われる。前記被検査体
(1)表面の電位を計測する微小表面電位計(S′)と
前記被検査体(1)表面とは、前記移動装置(D)によ
り、互いに直交する主走査方向および副走査方向に相対
的に移動させられる。したがって、微小表面電位計
(S′)は、被検査体(1)表面の主走査方向および副
走査方向の全面の表面電位を検出することができる。
【0022】前記被検査体(1)表面の所定部分の走査
によって得られる検出表面電位(Vi)から、検出物理
量平均値算出手段(E1)により平均値(Va)が算出さ
れる。算出された前記検出表面電位(Vi)の平均値
(Va)は検出物理量平均値記憶手段(37)に記憶さ
れる。前記所定部分の走査の後に続く走査で得られる検
出表面電位Vi(i=1,2,…)から前記検出表面電位
の平均値(Va)を減算した検出補正表面電位(Vi−V
a)と前記閾値(T1i,T2i)との差に対応する欠陥検
出信号(「0」,「1」)が前記欠陥検出信号出力手段
(C1,C2)から出力される。
【0023】
【実施例】次に本発明の表面層欠陥検出装置の第1実施
例を図面を用いて説明する。図1,図2,図3は表面層
欠陥検出装置の第1実施例の構成の概略説明図で、図1
は概略斜視図、図2,3は図1の平面図である。そし
て、図2は本実施例の表面層欠陥検出装置のラインセン
サSが第1検出姿勢P1(後述)に保持されている状態
を示す図であり、図3は第2検出姿勢P2(後述)に保
持されている状態を示す図である。この第1実施例は検
出物理量として光量を採用している。図1,2,3にお
いて、被検査体としての感光体ドラム1は、前記図11
に示す感光体01と略同様の構成を備えており、円筒状
のアルミ基材2とその表面に形成された多層構造の有機
質の透光性の感光層(表面層)3とから構成されてい
る。そして、感光層3は図2,3に示すように、前記ア
ルミ基材2表面に順次積層された電荷輸送層4,電荷発
生層5、および電荷輸送層6から構成されている。前記
感光体ドラム1を支持するドラム支持装置Dは、ケース
11を備えている。ケース11上面には、ドラム支持部
材12が回転可能に支持されている。ドラム支持部材1
2の上面には前記感光体ドラム1が装着されるドラム装
着部が形成されており、下面には歯車13が設けられて
いる。前記ケース11内には、ステッピングモータ14
が収納されており、ステッピングモータ14の出力軸に
固定された駆動歯車15は、前記歯車13と噛み合って
いる。したがって、前記ドラム支持部材12に装着され
た感光体ドラム1は、前記ステッピングモータ14によ
り一定回転速度で回転駆動されるようになっている。
【0024】前記感光体ドラム1表面にその軸線に平行
な検査用の帯状光(スリット光)を照射する光照射装置
Kは白色拡散光源としての蛍光灯16と、反射鏡17
と、スリット形成板18とから構成されている。スリッ
ト形成板18にはスリット18aが形成されている。光
照射装置Kは、前記スリット18aから出射した白色拡
散光の帯状光(以下、「スリット光」ともいう)を前記
ドラム支持部材12に装着された感光体ドラム1表面
に、前記感光ドラム1の軸線と平行に照射するように配
置されている。本実施例では、前記スリット18aから
感光体ドラム1表面までの距離は約100mm、スリッ
ト光の縦幅は約15mm、φ84mmの感光体ドラム1
表面でのスリット光の横幅は約5mmに設定されてい
る。蛍光灯は一般に、拡散面の照度が高く光量分布の均
一性が良好であるので、本発明で使用する光源として適
している。
【0025】実験により、感光層3の検査に使用する蛍
光灯の種類としては、演色性改善のために用いられる3
波長域発光管に対して、分光分布の比較的広い白色蛍光
灯がはよい。これは、3波長域発光管の分光分布が3種
類の波長に集中しているため、感光層の表面と、下層の
感光層の表面による干渉光が発生しやすく信号上ノイズ
となって表れるためである。これに対して白色蛍光灯は
分光分布が比較的広く分布しており、干渉光の発生が少
ない。感光体ドラム1表面での前記スリット光の境界部
の反射光により感光体ドラム表面での微妙な凸凹を感度
よく検出するためには完全な拡散光源であることが望ま
しく、また、故障信号の感度向上のために、前記境界線
部分のコントラストは強いほど良い。これには蛍光灯ス
リット光装置の背面反射板12は艶消し黒塗装などの無
反射処理を行い背面反射板による2次反射を押さえると
よく、さらに市販のアパチャー管蛍光灯のような背面方
向の照度分布が小さく、前面開口部の光量の高いものを
用いるのがよい。センサ信号レベルを向上させるため
に、蛍光灯光源には商用周波数点灯や高周波点灯方式に
比べ直流点灯方式が好ましい。実験によれば直流点灯方
式は、商用周波数点灯に比べ約10%照度が向上した。
【0026】ラインセンサ支持装置Uにより互いに直交
するX,Y,Z軸回りに姿勢調整可能に支持されたライ
ンセンサSは、その長手方向(すなわち、X軸)に沿っ
て配置された2の12乗=4096個の受光素子Si(i
=1,2,…4096)(図2,3参照)とこれらの各
受光素子Siに前記感光体ドラム1表面に照射されたス
リット光像を結像させる縮小光学系Saとから構成され
ている。
【0027】前記ラインセンサ支持装置Uは、ラインセ
ンサSの長手方向に延びるX軸回りに回転調整される回
転テーブル21を備えている。回転テーブル21上に
は、ラインセンサSの光軸に平行なY軸および前記X軸
に垂直な軸回りに揺動可能なZ軸揺動テーブル22がZ
軸回りの姿勢を調整可能に支持されている。前記Z軸揺
動テーブル22上には、ラインセンサSの光軸に平行な
Y軸回りに揺動可能なY軸揺動テーブル23がY軸回り
の姿勢を調整可能に支持されている。したがって、ライ
ンセンサ支持装置Uは、ラインセンサSの姿勢をその受
光視野が前記感光体ドラム1表面上の前記スリット光像
の長手方向に伸びる境界線部分の位置に設定された図2
に示す第1検出姿勢(スリット光境界線受光姿勢)P1
および前記受光視野が前記感光体ドラム1表面上の前記
スリット光像の長手方向に伸びる中心線部分に設定され
た図3に示す第2検出姿勢(スリット光中心線受光姿
勢)P2に選択的に保持する機能を有している。
【0028】前記ラインセンサSの検出姿勢の調整精度
は検査面(感光体ドラム表面)上のセンサ分解能の10
倍程度あればよく、姿勢調整の分解能及び2箇所の受光
視野(ラインセンサSの前記第1または第2検出姿勢の
受光視野)の位置の繰り返し精度は、φ84の被検査ド
ラム(感光体ドラム)1を光学倍率5倍程度で受光する
場合において0.01度程度であり、これらは3軸回り
の姿勢調整可能な市販の自動ステージで容易に実現でき
る。ラインセンサSと光照射装置Kとの位置関係は、図
2,3に示すように、光照射装置Kの投光角度24とラ
インセンサSの受光角度25を等しくする。これによ
り、正反射光受光の位置となり光照射装置Kのスリット
光の感光層3に写像されるスリット光像をラインセンサ
Sが受光することができる。前記角度24,25として
は5度〜60度程度まで配置可能であるが、特に10〜
20度程度が欠陥を検出し易い。
【0029】図4は前記図1,2,3に示した感光層欠
陥検出装置の回路部分すなわち欠陥検出信号出力手段E
の説明図である。図4において、ラインセンサSの前記
4096(2の12乗)個の各受光素子Si(i=1〜4
096)で検出した検出光量信号は、A/D(アナログ
/デジタル)変換器31に入力されている。A/D変換
器31は、入力信号(前記検出光量信号)を6ビットの
デジタル信号、すなわち2の6乗=64レベルのデジタ
ル光量検出信号Vi(i=1〜4096)に変換して加算
器32に出力している。
【0030】加算器32は、前記A/D変換器31から
入力される各受光素子Siのデジタル光量検出信号とラ
ッチ33の出力信号とを加算して前記ラッチ33に出力
している。ラッチ33は、本実施例では18ビットのメ
モリにより構成されており、前記2の12乗個の各受光
素子Si(i=1〜4096)が出力する6ビットのデジ
タル光量検出信号Viを1ライン分記憶できるように構
成されている。前記加算器32およびラッチ33は、前
記ラインセンサSの駆動信号と同周期のサンプリングク
ロック信号34によって作動し、ラッチ33には前記受
光素子Siの1主走査ライン分の光量検出信号Viの総和
ΣViがラッチされるように構成されている。
【0031】また、ラッチ33は、主走査ラインの1ラ
イン毎の走査開始信号であるスタートパルス35をカウ
ントするカウンタ36が「1」をカウントする毎にラッ
チ33のラッチ信号をシフトレジスタ37に出力すると
ともにラッチデータがリセットされるように構成されて
いる。したがって、前記カウンタ36が「1」をカウン
トする毎にシフトレジスタ37には、常に受光素子Si
の1ライン分の検出光量の総和が出力される。
【0032】前記カウンタ36の出力信号はレジスタ3
8にも入力されている。このレジスタ38はカウンタ3
6からの入力信号に応じて、前記受光素子Siの1ライ
ン分の検出光量の総和が入力された前記シフトレジスタ
37の保持データを12ビット分下位側にシフトさせる
機能を有している。前記保持データが12ビット分下位
側にシフトされたシフトレジスタ37の保持データは、
前記4096(2の12乗)個の各受光素子Siが検出
した検出光量の平均値Vaとなる。
【0033】なお、本実施例では、主走査ラインを1ラ
イン分走査する毎に各受光素子Siの検出光量の平均値
Vaがシフトレジスタ37に保持されるように構成され
ているが、前記平均値Vaは、主走査ラインをnライン
分走査する毎にシフトレジスタ37に保持されるように
構成することも可能である。たとえば、前記平均値Va
が、主走査ラインを4ライン分(2の2乗ライン分)走
査する毎に検出されるように構成することが可能であ
る。この場合、前述の本実施例において、ラッチ33の
メモリは20ビット構成とし、前記カウンタ36は4ラ
インカウントする毎にラッチ33およびレジスタ38に
信号を出力するように構成し、シフトレジスタ37の下
位側へのシフトを14ビットとすればよい。このような
構成とすることにより、シフトレジスタ37が出力する
前記平均値Vaは、主走査ラインの4ライン分の検出光
量の平均値とすることができる。
【0034】前記A/D変換器31の出力する各受光素
子Siのデジタル検出光量信号Viおよび前記シフトレジ
スタ37の出力する検出光量の平均値Vaは、減算器3
9に入力されている。減算器39は入力信号Vi,Vaの
差Vi−Vaを出力しており、Vi−Vaは、比較器(すな
わち、欠陥検出信号出力手段)C1,C2に入力されてい
る。比較器C1,C2には閾値メモリM1,M2の出力信号
が入力されている。閾値メモリM1には、閾値T11,T1
2,…T1n(n=4096)、および閾値T21,T22,…T2
n(n=4096)が記憶されている。閾値T11,T12,…
T1n(n=4096)は前記ラインセンサSが前記第1検出
姿勢(スリット光境界線受光姿勢)P1に在るときの各
受光素子Siの前記6ビットのデジタル検出光量信号Vi
と比較されるプラス側の6ビットの閾値であり、閾値T
21,T22,…T2n(n=4096)は前記ラインセンサSが
前記第2検出姿勢(スリット光中心線受光姿勢)P2に
在るときの各受光素子Siの前記6ビットのデジタル検
出光量信号Viと比較されるプラス側の6ビットの閾値
である。
【0035】閾値メモリM2には、閾値T31,T32,…
T3n(n=4096)が記憶されている。閾値T31,T32,
…T3n(n=4096)は前記ラインセンサSが前記第2検
出姿勢(スリット光境界線受光姿勢)P2に在るときの
各受光素子Siの6ビットのデジタル検出光量信号Viと
比較されるマイナス側の6ビットの閾値である。前記各
閾値T11,T12,…T1n(n=4096)、閾値T21,T2
2,…T2n(n=4096)、および閾値T31,T32,…T3
n(n=4096)は、検査対象となる感光体ドラム1と略
同様に構成された欠陥の無い感光体ドラム表面の検出光
量信号に対応して設定された閾値である。
【0036】前記各閾値メモリM1,M2は、前記ライン
センサSの検出姿勢に応じた閾値選択信号A(図4参
照)、および前記サンプリングクロック信号34と同周
期の読出クロック信号Bによって各閾値T1i(i=1,
2,…,n、n=4096),またはT2i,T3iが読み
出されるように構成されている。すなわち、閾値選択信
号Aが前記第1検出位置P1に対応する「0」のときに
は閾値メモリM1から6ビットの閾値T1iが読み出さ
れ、閾値メモリM2からは「0」が出力される。また、
閾値選択信号Aが前記第2検出位置P2に対応する
「1」のときには閾値メモリM2から6ビットの閾値T2
iが読み出され、閾値メモリM2からは閾値T3iが出力さ
れる。
【0037】前記比較器C1は、入力されたVi−Vaに
一定値Voを加算して得られるVi−Va+Voと閾値メモ
リM1から呼び出される閾値T1iまたはT2iとの差Vi−
Va−Vo−T1i(またはT2i)を算出し、その算出値を
欠陥判別回路H1に出力している。欠陥判別回路H1は、
前記算出値が正の場合には欠陥検出信号を出力するよう
に構成されている。また、前記比較器C2は、入力され
たVi−Vaに一定値Voを加算して得られるVi−Va+
Voと閾値メモリM2から呼び出される閾値T3iとの差V
i−Va−Vo−T3iを算出し、その算出値を欠陥判別回
路H2に出力している。欠陥判別回路H2は、前記算出値
が負の場合には欠陥検出信号を出力するように構成され
ている。 前記符号32〜38で示された構成要素から
検出物理量平均値算出手段(すなわち、検出光量平均値
算出手段)E1が構成され、また、前記シフトレジスタ
37により検出物理量平均値記憶手段(すなわち、検出
光量平均値記憶手段)が構成されている。また、前記符
号31〜39,C1,C2,H1,H2,M1,M2等で示さ
れた構成要素から前記欠陥信号抽出手段Eが構成されて
いる。
【0038】次に前述の構成を備えた本発明の表面層欠
陥検出装置の第1実施例の作用を説明する。前記光照射
装置Kの白色拡散光源としての蛍光灯16からの出射光
はスリット18aにより前記ラインセンサSの受光素子
Si列の方向と平行な帯状のスリット光として前記感光
体ドラム1表面に照射される。この状態で、前記ライン
センサSの受光視野を前記感光体ドラム1表面上の前記
帯状のスリット光の長手方向に伸びる境界線部分に設定
する。すなわち、ラインセンサSを第1検出姿勢P1に
保持する。そして、ラインセンサ3により感光体ドラム
1表面からスリット光の反射散乱光を受光して主走査を
行うとともに、前記ドラム支持装置Dのドラム支持部材
12を回転させることにより感光体ドラム1表面とライ
ンセンサSとを副走査方向に相対的に移動させる。本実
施例では走査速度としては、主走査が1KHz程度、副
走査が0.2回転/秒程度である。 前記感光体ドラム
1表面に照射された帯状の白色拡散光(スリット光)
は、前記基材2表面とその表面に積層された多層構造の
透光性の感光層3により反射される。ラインセンサSが
第1検出姿勢P1に保持されている場合、感光層3表面
の前記帯状のスリット光の長手方向に延びる境界線部分
上の凸凹の存在、または感光層3が全て剥離してその下
の基板2が露出したような欠陥の存在により、ラインセ
ンサSの各受光素子Siによる光量検出信号が変化す
る。
【0039】すなわち図4から分かるように、感光体ド
ラム1表面のスリット光の境界線部分からの反射光量
は、ラインセンサSの各受光素子Siによって検出さ
れ、順次A/D変換器31によってデジタル検出光量信
号Viに変換される。前記A/D変換器31から加算器
32に入力される6ビットのデジタル検出光量信号の最
初の値V1(受光素子S1によって検出された第1ライン
のデジタル検出光量信号)は、ラッチ33の出力する1
8ビットの信号「00000000000000000
0」と加算される。このときの加算器32の出力信号は
V1であり、これはラッチ33にラッチされる。次に加
算器32に入力されるデジタル検出光量信号の値V2
(受光素子S2によって検出されたデジタル検出光量信
号)は前記ラッチ33の出力するデジタル検出光量信号
V1と加算される。このときの加算器32の出力信号は
V1+V2である。このようにして主走査ラインの1ライ
ン分の走査を行うとラッチ33には、主走査ラインの1
ライン分の検出光量信号の総和がラッチされる。
【0040】前記主走査ラインの1ライン分の走査が終
了して次のラインすなわち第2ラインの走査が開始され
ると、走査開始信号であるスタートパルス35をカウン
トするカウンタ36が「1」をカウントしてラッチ33
およびレジスタ38に信号を出力する。このカウンタ3
6の出力信号により、ラッチ33のラッチ信号(前記主
走査ラインの1ライン分の検出光量信号の総和)はシフ
トレジスタ37に出力されるとともに前記ラッチ33に
保持された信号はリセットされる。したがって、前記カ
ウンタ36が「1」をカウントする毎にシフトレジスタ
37には、常に受光素子Siの1ライン分の検出光量の
総和が出力される。
【0041】前記カウンタ36の出力信号が入力された
レジスタ38は、前記受光素子Siの1ライン分の検出
光量の総和が入力されたシフトレジスタ37の保持デー
タを12ビット分だけ下位側にシフトさせる。前記保持
データが12ビット分下位側にシフトされたシフトレジ
スタ37の保持データは、前記4096(2の12乗)
個の各受光素子Si(i=1〜4096)が検出した1
ライン分の検出光量Vi(i=1〜4096)の平均値Va
(=ΣVi/4096)となる。
【0042】一方前記主走査ラインの最初の1ライン分
のデジタル検出光量信号Viは、前記加算器32に入力
されるとともに、減算器39にも入力されている。とこ
ろが、前記主走査ラインの最初の1ライン分の走査中
は、前記シフトレジスタ37の出力は0である。したが
って、最初の1ラインの走査中の減算器39の出力は、
Vi−0となる。この最初の1ラインの走査によって得
られる欠陥判別回路H1の欠陥判別信号は本実施例では
無視することにする。この場合最初の1ラインの走査で
は、そのラインの欠陥判別は行われないことになるが、
感光体ドラム1を一回転させて、さらにもう1ライン分
回転させて欠陥判別を行うことにより、前記最初の1ラ
インの欠陥判定を行うことができる。
【0043】主走査ラインの2ライン目以降の走査にお
いては、減算器39には、A/D変換器31からのデジ
タル検出光量信号Viおよび1ライン前の検出光量の平
均値Vaが入力される。この場合例えば、第m−1ライ
ンの走査によって図5に示すデジタル検出光量信号の平
均値Va,m-1が得られ、第mラインの走査によって図5
に示すデジタル検出光量信号Vi,mが得られる。また、
第n−1ラインの走査によって図5に示すデジタル検出
光量信号の平均値Va,n-1が得られ、第nラインの走査
によって図5に示すデジタル検出光量信号Vi,nが得ら
れる。この図5に示す場合、第mラインの走査のときに
シフトレジスタ37から出力される感光層3の反射光量
の平均値Va,m-1は、第nラインの走査のときにシフト
レジスタ37から出力される反射光量の平均値Va,n-1
よりも大きいことになる。
【0044】この場合、感光体ドラム1の第mラインの
走査を行う部分の近傍と、第nラインの走査を行う部分
の近傍とは反射光量の平均値が異なることを意味してい
る。このような場合には、第mラインの走査によって得
られるデジタル検出光量信号Vi,mと、第nラインの走
査によって得られるデジタル検出光量信号Vi,nに対し
て、同一の閾値を適用して欠陥判定を行うことはできな
い。
【0045】そこで、前記減算器39により全受光素子
Si(i=1,2,…,4096)に対してVi−Vaを
算出すると、前記第m,nラインのデジタル検出光量信
号Vi,m,Vi,nに対して図6A,6BのようなデータV
i,m−Va,m-1,Vi,n-Va,n-1が得られる。但し、前記V
a,m-1およびVa,n-1は、それぞれ第m−1ライン目およ
び第n−1ライン目の各受光素子Siのデジタル検出光
量信号の平均値である。
【0046】減算器39の出力するVi−Vaは比較器C
1,C2に入力される。前記感光体ドラム1が前記第1検
出位置に保持されている場合、前記閾値選択信号Aが前
記第1検出位置P1に対応する「0」であり、このとき
には閾値メモリM1から6ビットの閾値T1iが読み出さ
れ、閾値メモリM2からは0が出力される。この場合、
比較器C1は、減算器39からの入力信号Vi−Vaに一
定値Voを加えた値すなわちVi−Va+Voと、閾値メモ
リM1からの入力信号T1iとを比較する。前記一定値Vo
を加える理由は、比較器C1で閾値T1iと比較する検出光
量の値をプラスの値に統一するとともに、閾値T1iのデ
ータの値をプラスの値に統一するためである。
【0047】比較器C1により全受光素子Si(i=1,
2,…,4096)に対してVi−Va+Voを算出する
と、前記第m,nラインのデジタル検出光量信号Vi,
m,Vi,nに対して図7A,7Bに実線で示すようなデー
タVi,m−Va,m-1+VoおよびVi,n-Va,n-1+Voが得
られる。この図7Aおよび7Bに示すデータVi,m−V
a,m-1+VoおよびVi,n-Va,n-1+Voは、前記感光体ド
ラム1の第mラインの走査を行う部分の近傍と、第nラ
インの走査を行う部分の近傍との反射光量の平均値のバ
ラツキを補正したデジタル検出光量信号である。この反
射光量の平均値のバラツキを補正した図7A,7Bに示
すデジタル検出光量信号Vi,m−Va,m-1+VoおよびV
i,n-Va,n-1+Voに対しては、同一の閾値T1i(図7
A,7Bの点線参照)を適用して欠陥判定を行うことが
できる。
【0048】比較器C1は、減算器39から入力される
各受光素子Si毎に入力される信号Vi−VaにVoを加え
た値Vi−Va+Voと、前記各受光素子Siに対応して閾
値メモリM1から読みだされた閾値T1iとの差であるVi
−Va+Vo−T1i(図7A,7B参照、但し、図7A,
7Bにおいては、第mラインおよび第nラインのViの
値には添字「,m」および「,n」が付記され、第m−1ラ
インおよび第n−1ラインのVaの値には添字「,m-1」
および「,n-1」が付記されている。)に応じた信号を欠
陥判別回路H1に出力する。図7A,7Bから分かるよ
うにVi−Va+VoがT1iよりも小さい場合はVi−Va
+Vo−T1iが負の値となるが、大きい場合はVi−Va
+Vo−T1iが正の値となる。比較器C1は、前記Vi−
Va+Vo−T1iの値が負の場合は「0」を出力し、正の
場合は「1」を出力する。欠陥判別回路H1は、比較器
C1の出力信号が「0」の場合には「0」を、正の場合
には「1」を記憶する。すなわち、欠陥判別回路H1
は、各受光素子Siの検出信号を2値化して記憶する。
【0049】図8A,8Bは、比較器C1の出力信号を
2値化した信号の説明図であり、前記図7A,7Bの信
号から得られる信号である。前記比較器C1の出力信号
が正の値の場合すなわち欠陥判別回路H1が「1」を記
憶している部分に対応する感光体ドラム1の感光層3に
は欠陥が存在することを意味する。そして、その欠陥は
各受光素子Si毎に検出されるので、欠陥部分の面積の
大きさ等も判別することができる。
【0050】なお、ラインセンサSが前記第1検出姿勢
P1に保持されている場合、感光層3表面の凹凸の存在
に応じて各受光素子Siのデジタル検出光量信号は正の
方向に変化し、負の方向に変化する欠陥検出信号は表れ
ない。したがって、この第1検出姿勢P1でのラインセ
ンサSによる光量測定においては、負の方向の閾値は不
要であるので、前記閾値メモリM2から出力される閾値
は0となるように設定されている。
【0051】前述のようにして、ラインセンサSを前記
第1検出姿勢P1に保持した状態で感光体ドラム1を1
回転以上させてその表面の全面を検査した後、前記ライ
ンセンサ支持装置Uの回転テーブル21を回転させて、
前記ラインセンサSの受光視野を前記感光体表面上の前
記帯状のスリット光の長手方向に伸びる中心線に設定す
る。すなわち、ラインセンサSを第2検出姿勢P2に保
持する。ラインセンサSがこの第2検出姿勢P2に保持
されている場合、感光層3を形成する透光性の各層(例
えば電荷発生層4,6、電荷輸送層5等)の各膜厚の変
化や各層中の不純物の存在は、ラインセンサSの各受光
素子Siによる光量検出信号の異常として(すなわち、
欠陥検出信号として)検出される。
【0052】ラインセンサSが第2検出姿勢P2に保持
されている場合も、前記第1検出姿勢P1に保持されて
いる場合と同様に、減算器39の出力信号はVi−Vaと
なる。なお、この第2検出姿勢P2の場合、閾値選択信
号Aが前記第2検出位置P2に対応する「1」となって
おり、このときには閾値メモリM2から6ビットの閾値
T2iが出力され、閾値メモリM2からは閾値T3iが出力
される。この場合、比較器C1は、減算器39からの入
力信号Vi−Vaに一定値Voを加えた値すなわちVi−V
a+Voと、閾値メモリM1からの入力信号T2iとを比較
する。また、比較器C2は、減算器39からの入力信号
Vi−Vaに一定値Voを加えた値すなわちVi−Va+Vo
と、閾値メモリM2からの入力信号T3iとを比較する。
【0053】比較器C1,C2では全受光素子Si(i=
1,2,…,4096)に対してVi−Va+Voが算出
され、前記第m,nラインのデジタル検出光量信号Vi,
m,Vi,nに対して図9A,9Bに実線で示すようなデー
タVi,m−Va,m-1+VoおよびVi,n-Va,n-1+Voが得
られる。この図9A,9Bに示す第m,nラインのデー
タVi,m−Va,m-1+VoおよびVi,n-Va,n-1+Voは、
前記感光体ドラム1の第mラインの走査を行う部分の近
傍と、第nラインの走査を行う部分の近傍との反射光量
の平均値のバラツキを補正したデジタル検出光量信号で
ある。この反射光量の平均値のバラツキを補正した各ラ
イン(第mラインおよび第nライン)のデジタル検出光
量信号Vi,m−Va,m-1+VoおよびVi,n-Va,n-1+Vo
に対しては、同一の閾値T2i,T3i(図9A,9Bの点
線参照)を適用して欠陥判定を行うことができる。
【0054】すなわち、比較器C1は、減算器39から
入力される各受光素子Si毎に入力される信号Vi−Va
にVoを加えた値Vi−Va+Voと、前記各受光素子Si
に対応して閾値メモリM1から読みだされた閾値T2iと
の差であるVi−Va+Vo−T2i(図9A,9B参照、
但し、図9A,9Bにおいては、第mラインおよび第n
ラインのViの値には添字「,m」および「,n」が付記さ
れ、第m−1ラインおよび第n−1ラインのVaの値に
は添字「,m-1」および「,n-1」が付記されている。)に
応じた信号を欠陥判別回路H1に出力する。また、比較
器C2は、前記信号Vi−Va+Voと、閾値メモリM2か
ら読みだされた閾値T3iとの差であるVi−Va+Vo−
T3iに応じた信号を欠陥判別回路H2に出力する。
【0055】図9A,9Bから分かるようにVi−Va+
VoがT2iよりも小さい場合はVi−Va+Vo−T2iが負
の値となるが、大きい場合はVi−Va+Vo−T2iが正
の値となる。比較器C1は、前記Vi−Va+Vo−T2iの
値が負の場合は「0」を出力し、正の場合は「1」を出
力する。欠陥判別回路H1は、比較器C1の出力信号が
「0」の場合には「0」を、正の場合には「1」を記憶
する。すなわち、欠陥判別回路H1は、各受光素子Siの
検出信号を2値化して記憶する。
【0056】また図9A,9Bから分かるように、Vi
−Va+VoがT3iよりも大きい場合はVi−Va+Vo−
T3iが正の値となるが、小さい場合はVi−Va+Vo−
T3iが負の値となる。比較器C2は、前記Vi−Va+Vo
−T3iの値が正の場合は「0」を出力し、負の場合は
「1」を出力する。欠陥判別回路H2は、比較器C1の出
力信号が「0」の場合には「0」を、正の場合には
「1」を記憶する。すなわち、欠陥判別回路H2は、各
受光素子Siの検出信号を2値化して記憶する。
【0057】図10A,10Bの上段のグラフは、比較
器C1の出力する2値化信号(閾値T2iとの比較によっ
て得られる信号)の説明図であり、図10A,10Bの
下段のグラフは、比較器C2の出力する2値化信号(閾
値T3iとの比較によって得られる信号)の説明図であ
る。そして、図10Aは前記図9Aの信号から得られる
信号であり、また、図10Bは前記図9Bの信号から得
られる信号である。前記各欠陥判別回路H1,H2が
「1」を記憶している部分(すなわち、比較器C1の出
力信号が正の値の部分および比較器C2の出力信号が負
の値の部分)に対応する感光体ドラム1の感光層3には
欠陥が存在することを意味する。そして、その欠陥は各
受光素子Si毎に検出されるので、欠陥部分の面積の大
きさ等も判別することができる。
【0058】なお、ラインセンサS1が第2検出姿勢P
2にあるときに検出される欠陥は、感光層3を形成する
透光性の各層(例えば電荷発生層6、電荷輸送層5等)
の各膜厚の変化や各層中の不純物の存在に基づく欠陥で
ある。
【0059】前記第1実施例では、光照射装置に白色散
乱光を出射する蛍光灯16とスリット18aとを用いて
いる。前記蛍光灯16は安価で市販されており、完全拡
散光を容易に出射させることができるので、光照射装置
Kを低コストで製作することができる。また、前記実施
例では、感光体ドラム1表面に投影されるスリット光の
像の長手方向に延びる境界線部分と、中心線の位置との
2カ所にラインセンサSの受光視野を設定するので、感
光層3表面の凹凸を検出できるとともに、多層からなる
感光層3の微妙な膜厚の変化による前記「色むら」や
「しみ」などの欠陥を検出することができる。さらに前
記第1実施例では、前記感光体ドラム1表面に照射され
たスリット光像をラインセンサSの受光素子Siに結像
させる手段として縮小光学系Saを用いているので、装
置の小型化が可能となる。さらにまた、感光層3表面の
帯状のスリット光の長手方向に延びる境界線部分からの
反射光を検出することにより、感光層3の表面部分の欠
陥を検出し、前記スリット光の中心線部分からの反射光
により感光層3の内部の欠陥を検出できるので、欠陥種
類の分類が可能となる。
【0060】次に図11〜13を参照して、本発明の表
面層欠陥検出装置の第2実施例を説明する。なお、この
第2実施例において、被検査体としての感光体ドラム1
は前記第1実施例と同じものを使用している。そして、
この第2実施例は表面層の欠陥を検出するための検出物
理量として表面電位を採用している点で前記光量を採用
した第1実施例と相違している。また、検出物理量(表
面電位)から欠陥検出信号を検出するための信号処理回
路は前記第1実施例と略同様の回路を使用している。以
下の第2実施例の説明において前記第1実施例の要素に
対応する要素には、前記第1実施例で使用した符号と同
一の符号を付して重複する詳細な説明は省略する。
【0061】図11,12において、被検査体としての
感光体ドラム1は、前記図14に示す感光体01と略同
様の構成を備えており、円筒状のアルミ基材2とその表
面に形成された多層構造の有機質の透光性の感光層(表
面層)3とから構成されている。そして、感光層3は図
12に示すように、前記アルミ基材2表面に順次積層さ
れた電荷輸送層4,電荷発生層5、および電荷輸送層6
から構成されている。
【0062】前記感光体ドラム1は前記第1実施例と同
様のドラム支持装置Dにより回転可能に支持されてい
る。ドラム支持装置Dによって支持された感光体ドラム
1の周囲には、帯電器41,中間調露光装置42、微小
表面電位計S′、および除電器46が配置されている。
【0063】中間調露光装置42は、光源としての蛍光
灯43と前記蛍光灯43の前面に配置されたNDフィル
ター44とから構成されている。なお、露光装置42の
光源としては蛍光灯以外にハロゲン光源を使用すること
も可能であり、また、中間調露光装置42は光源からの
出射光をグレースケールチャート原稿に照射して、その
反射光をスリットを介して露光する構造とすることも可
能である。この中間調露光装置42は、露光後の表面電
位が未露光状態の電位と完全露光状態の電位の中間レベ
ルになるように露光量が調整されている。これは中間調
の原稿に相当する露光(以下、中間露光と略する)を行
って表面電位の測定を行うと「軸すじ」等の欠陥がよく
検出できるからである。実験によれば、中間調露光装置
42を、光源からの出射光をグレースケールチャート原
稿に照射して、その反射光をスリットを介して露光する
構造とした場合、0.2〜0.5グレーチャートを使用
するのが良く、特に0.2グレーチャートが最も大きな
欠陥信号が得られた。また中間調露光装置42の他の実
施例として、図11に仮想線で示すようなスポット型露
光装置45を用いてもよい。具体的には、ビーム径が数
mm程度となるハロゲン光スポット光装置や、被検査ドラ
ムが露光感度を持つ波長の半導体レーザービーム光装置
がよい。これ等は市販の物で容易に入手できる。スポッ
ト型露光装置45は、微小電位計S′の計測位置と等し
いX方向の位置に設定する。そして、電位計S′と露光
装置45は、X方向にステージ装置で等しい位置関係を
保って走査する。これにより、蛍光灯等の露光装置42
の場合、X方向の光量分布のむらによる露光量のばらつ
きが発生するのに対して、常に等しい光量になるので、
露光量を均一にすることができる。
【0064】前記微小表面電位計S′の検出信号は、図
13に示す欠陥信号抽出手段Eに入力されている。欠陥
信号抽出手段Eは、前記第1実施例の構成要素31〜3
9,C1,C2,H1,H2,M1,M2と略同様の構成要素
から構成されている。ただし、前記第1実施例では、ラ
インセンサSが第1検出姿勢および第2検出姿勢の2種
の姿勢に対して信号を検出していたので、各閾値メモリ
M1,M2からは前記各姿勢に対応してそれぞれ2種の閾
値が出力されるように構成されていたが、この第2実施
例では1種類の姿勢で検査を行う。したがって、この第
2実施例では、閾値メモリM1には1種類のプラス側の
閾値データT1iが主走査ラインの1ライン分記憶されて
おり、また、閾値メモリM2にはマイナス側の1種類の
閾値データT2iが主走査ラインの1ライン分記憶されて
いる。なお、後述するが、この第2実施例の主走査方向
は図11,13の矢印Y方向(感光体ドラム1表面の円
周方向)である。そして、この第2実施例では、前記第
1実施例の閾値選択信号Aは不要であるので、省略され
ている。
【0065】次に前述の構成を備えた本発明の表面層欠
陥検出装置の第2実施例の作用を説明する。この第2実
施例では、感光体ドラム1表面の走査は、図13の矢印
Y方向の走査(感光体ドラム1の周方向の走査)が主走
査であり、矢印X方向の走査(感光体ドラム1の軸方向
の走査)が副走査方向である。すなわち、この第2実施
例では、感光体ドラム1の回転により主走査を行い、前
記微小表面電位計S′を感光体ドラム1の軸方向(X方
向)に移動させて副走査を行うことにより、感光体ドラ
ム1表面に対し螺旋状走査を行う。この実施例における
走査速度は、主走査が60Hz程度、副走査が1mm/
秒程度であった。
【0066】感光体ドラム1を回転させながら、その表
面を前記帯電器41により一様に帯電させる。そして、
中間調露光装置42により、前記一様に帯電した感光体
ドラム1表面に対し、中間調露光を行う。この中間調露
光を行った感光体ドラム1表面の電位は、正常な部分と
欠陥のある部分とではその電位が異なる。したがって、
前記中間調露光を行った感光体ドラム1表面の電位を、
前記微小表面電位計S′により検出することにより、感
光体ドラム1表面の前記感光層3の欠陥を検出すること
ができる。
【0067】前記微小表面電位計S′によって検出され
た感光体ドラム1表面の検出電位は、前記欠陥信号抽出
Eにより、前記第1実施例と同様に処理されて欠陥信号
が抽出される。すなわち、前記感光体ドラム1表面の所
定部分の走査によって得られる検出表面電位は、検出物
理量平均値算出手段E1により平均値Vaが算出される。
算出された前記検出表面電位の平均値Vaは検出物理量
平均値記憶手段としてのシフトレジスタ37に記憶され
る。前記所定部分の走査の後に続く走査で得られる検出
表面電位Vi(i=1,2,…)から前記検出表面電位の
平均値Vaを減算した検出補正表面電位(Vi−Va)と
前記閾値メモリM1,M2に記憶された閾値T1i,T2iと
は比較器(すなわち、欠陥検出信号出力手段)C1,C2
において比較される。比較器C1,C2は前記第1実施例
と同様に、検出補正表面電位(Vi−Va)に一定値Vo
を加えた値(Vi−Va+Vo)と前記閾値メモリM1,M
2に記憶された閾値T1i,T2iとを比較し、信号(Vi−
Va+Vo−T1i),Vi−Va+Vo−T2i)の正または
負に応じて欠陥検出信号「0」または「1」を出力す
る。
【0068】したがって、この第2実施例も前記第1実
施例と同様に、感光体ドラム1表面の感光層3の各部分
における検出電位Viからそれらの各部分の検出電位の
平均値Vaを減算した値(Vi−Va)と前記閾値(Ti)
と差に対応する信号により欠陥を検出することになる。
したがって、感光体ドラム1の感光層3のある部分(例
えば、主走査ラインの第mライン目の部分)における検
出電位の平均値(Va,m)と、他の部分(例えば、主走
査ラインの第nライン目の部分)における検出電位の平
均値(Va,n)との間にバラツキが有る場合でも、それ
らのバラツキを補償できるので、同一の閾値T1iを用い
て欠陥を検出することができる。
【0069】なお、前記感光体ドラム1表面の各部分に
おける検出電位のバラツキすなわちセンサ出力変動は、
感光体ドラム1の偏心や、微小表面電位計S′を副走査
する際の感光体ドラム1表面との平行度不足による測定
面からセンサ表面までの距離の変化等の原因により生じ
るものである。
【0070】なおまた、欠陥を検出する際、未露光状態
と、中間露光と、完全露光状態の3種類の露光量を与え
た場合、中間露光の時のみ明確に欠陥信号が得られるこ
とを確認した。これは次の理由によるものと考えられ
る。「軸すじ」等の膜厚むらの欠陥をゼログラフィーの
プロセスから説明すれば、感光体ドラム1表面が例えば
初期帯電としてー800Vに帯電され、原稿の反射スリ
ット光もしくはポリゴンミラーにより走査されるレーザ
光により露光して潜像を形成し、現像、転写、定着器に
よりコピーを得る過程において、感光体ドラム1表面の
塗布むら等の欠陥部分は中間調原稿の露光レベルにおい
ては正常面では例えば表面電位がー300V程度となる
が、膜厚むら等の欠陥部分は感光層3の電荷輸送層の機
能不良が顕在化し表面電位が正常面に比べ100V程度
の差異が表れ、画質上に濃度の差として表れる。一方初
期帯電である未露光状態および完全露光状態では正常面
と表面電位の差は少なく画質上に欠陥は表れない。
【0071】以上、本発明の感光層故障検出装置の実施
例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱
することなく、種々の小設計変更を行うことが可能であ
る。たとえば、本発明の対象となる感光体は、実施例で
示した鏡面加工された金属ドラム上に塗布された透光性
を持つ感光体に限るものではなく、レーザプリンタ用に
金属ドラム基板を粗面加工してある感光体ドラムであっ
ても、また金属ドラムに限らずシート状の基板に塗布さ
れた感光体であっても、また透光性のない皮膜であって
も、塗布された感光体が均一で鏡面状であるから、同様
に欠陥を検出することが可能である。また感光体表面に
限らず、基板上に均一に皮膜を設けた表面の欠陥検査に
も有効である。
【0072】
【発明の効果】前述の本発明は、検出物理量平均値算出
手段でセンサ入力信号レベルの平均値を求めて、センサ
入力信号レベルの値を補正するので、感光部材ドラム等
の被検査体の表面の欠陥検査において光学式検出方式で
はドラム1本ごとの反射率の変動や、回転偏心による受
光視野変動の影響をなくして、正しく欠陥信号を抽出す
ることができる。また電気的検出方式では、帯電むら
や、ポイントセンサのセンサ面までの距離変動によるセ
ンサ出力変動の影響をなくして、正しく欠陥信号を抽出
することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の表面層欠陥検出装置の第1実
施例の概略斜視図である。
【図2】 図2は同実施例の概略平面図で、ラインセン
サSが第1検出姿勢(受光視野が帯状光の境界線部分に
設定されている姿勢)に保持されている状態を示す図で
ある。
【図3】 図3は同実施例の概略平面図で、ラインセン
サSが第2検出姿勢(受光視野が帯状光の中心線部分に
設定されている姿勢)に保持されている状態を示す図で
ある。
【図4】 図4は同実施例の回路部分すなわち欠陥信号
抽出手段Eの説明図である。
【図5】 図5は同実施例においてラインセンサSが第
1検出姿勢P1に有るときの作用説明図で、各受光素子
Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,Vi,nと、
第m−1,n−1ラインの検出信号の平均値Va,m-1,
Va,n-1とを示す図である。
【図6】 図6は同実施例においてラインセンサSが第
1検出姿勢P1に有るときの作用説明図で、各受光素子
Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,Vi,nか
ら、第m−1,n−1ラインの検出信号の平均値Va,m-
1,Va,n-1を減算した値を示す図である。
【図7】 図7は同実施例においてラインセンサSが第
1検出姿勢P1に有るときの作用説明図であり、また、
各受光素子Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,
Vi,nから、第m−1,n−1ラインの検出信号の平均
値Va,m-1,Va,n-1を減算した値に一定値Voを加えた
値と、閾値T1iとを示す図で、比較器C1で比較される
信号の説明図である。
【図8】 図8は同実施例においてラインセンサSが第
1検出姿勢P1に有るときの作用説明図で、各受光素子
Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,Vi,nか
ら、第m−1,n−1ラインの検出信号の平均値Va,m-
1,Va,n-1を減算した値に一定値Voを加えた値から、
閾値T1iを減算した後整形して得られる欠陥検出信号、
すなわち比較器C1の出力信号の説明図である。
【図9】 図9は同実施例においてラインセンサSが第
2検出姿勢P2に有るときの作用説明図であり、また、
各受光素子Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,
Vi,nから、第m−1,n−1ラインの検出信号の平均
値Va,m-1,Va,n-1を減算した値に一定値Voを加えた
値と、閾値T2i,T3iとを示す図で、比較器C1,C2
で比較される信号の説明図である。
【図10】 図10は同実施例においてラインセンサS
が第1検出姿勢P1に有るときの作用説明図で、各受光
素子Siの第mおよびnラインの検出信号Vi,m,Vi,n
から、第m−1,n−1ラインの検出信号の平均値Va,
m-1,Va,n-1を減算した値に一定値Voを加えた値か
ら、閾値T2i,T3iを減算した後整形して得られる欠陥
検出信号、すなわち比較器C1,C2の出力信号の説明図
である。
【図11】 図11は本発明の表面層欠陥検出装置の第
2実施例の概略斜視図である。
【図12】 図12は同第2実施例の概略平面図であ
る。
【図13】 図13は同第2実施例の回路部分すなわち
欠陥信号抽出手段Eの説明図である。
【図14】 図14は感光体(被検査体)の表面層(感
光層)の欠陥状態とその欠陥部分での反射光との説明図
である。
【図15】 図15は表面層欠陥検出装置の従来技術の
閾値設定方法の説明図である。
【符号の説明】
1…被検査体(感光体ドラム)、2…基材、3…表面層
(感光層)、16…蛍光灯、18a…スリット、37…
検出物理量平均値記憶手段、41…帯電器、42…中間
調露光装置 C1,C2…欠陥検出信号出力手段(比較器)、E1…検
出物理量平均値算出手段、K…光照射装置、M1,M2…
閾値記憶手段、P1…第1検出姿勢、P2…第2検出姿
勢、S…ラインセンサ、Si…受光素子、S′…微小表
面電位計、T1i,T2i,T3i…閾値、U…ラインセンサ
支持装置、Va…検出物理量平均値、Vi…検出物理量、
Vi−Va…検出補正物理量、X…帯状光(スリット光)
の長手方向またはラインセンサSの長手方向(多数の受
光素子Siが列設された方向)、Y…ラインセンサの光
軸方向、Z…被検査体1表面とラインセンサSとの相対
的移動方向、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−211636(JP,A) 特開 昭61−205806(JP,A) 特開 平3−242540(JP,A) 特開 昭58−143250(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 21/88 G01B 11/30 G01D 5/30 G03G 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材とその表面に形成された表面層とを
    有する被検査体の表面の状態に関する測定可能な物理量
    を前記被検査体表面の直交する主走査方向および副走査
    方向に走査しながら検出する物理量測定装置を備え、こ
    の物理量測定装置によって検出される検出物理量により
    表面層欠陥を検出する表面層欠陥検出装置において、 検査対象となる被検査体と略同様に構成された欠陥の無
    い被検査体表面の検出物理量に対応して設定された閾値
    を記憶する閾値記憶手段と、 被検査体表面の所定部分の走査によって得られる検出物
    理量の平均値を算出する検出物理量平均値算出手段と、
    算出された前記検出物理量平均値を記憶する検出物理量
    平均値記憶手段と、前記所定部分の走査の後に続く走査
    で得られる検出物理量から前記検出物理量平均値を減算
    した検出補正物理量と前記閾値との差に対応する欠陥検
    出信号を出力する欠陥検出信号出力手段とを備え、 前記物理量は光量であり、 前記物理量測定装置は、前記被検査体表面に前記主走査
    方向に延びる検査用の帯状拡散光を照射する光照射装置
    と、前記帯状拡散光の前記表面層からの反射光量を検出
    する主走査方向に沿って設けられた多数の受光素子を有
    するラインセンサと、このラインセンサと前記被検査体
    表面とを副走査方向に相対的に移動させる移動装置とを
    有し、 前記閾値は前記各受光素子毎に設定されたことを特徴と
    する表面層欠陥検出装置。
  2. 【請求項2】 基材とその表面に形成された表面層とを
    有する被検査体の表面の状態に関する測定可能な物理量
    を前記被検査体表面の直交する主走査方向および副走査
    方向に走査しながら検出する物理量測定装置を備え、こ
    の物理量測定装置によって検出される検出物理量により
    表面層欠陥を検出する表面層欠陥検出装置において、 検査対象となる被検査体と略同様に構成された欠陥の無
    い被検査体表面の検出物理量に対応して設定された閾値
    を記憶する閾値記憶手段と、 被検査体表面の所定部分の走査によって得られる検出物
    理量の平均値を算出する検出物理量平均値算出手段と、
    算出された前記検出物理量平均値を記憶する検出物理量
    平均値記憶手段と、前記所定部分の走査の後に続く走査
    で得られる検出物理量から前記検出物理量平均値を減算
    した検出補正物理量と前記閾値との差に対応する欠陥検
    出信号を出力する欠陥検出信号出力手段とを備え、 前記物理量は電位であり、 前記物理量測定装置は、前記被検査体表面を一様に帯電
    させる帯電器と、中間調原稿からの反射光量と同程度の
    光量による中間調露光を行う中間調露光装置と、前記被
    検査体表面の電位を計測する微小表面電位計と、この微
    小表面電位計と前記被検査体表面とを直交する主走査方
    向および副走査方向に相対的に移動させる移動装置とを
    有することを特徴とする表面層欠陥検出装置。
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