JP2818756B2 - 魚巣ブロック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、護岸ブロックを兼ね備
えた魚巣ブロックの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】海岸、河岸、湖岸、堤防などを保護する
ことを目的に護岸ブロックが敷設されているが、自然環
境を保全し魚の生態系を確保する必要性から、近時魚巣
部分を有するタイプの護岸ブロックが見られるようにな
ってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらは、基本的には
ブロックの前面部分に凹部を設けるか、内部空隙を構成
するために何種類かのブロックを組み合わせるかして構
築されるわけであるが、水の循環が悪いため淀みができ
て魚類の住拠となるには不向きなもの、施工が面倒なも
の、美観上の問題があるもの、等々が多く、理想的な魚
巣ブロックというものがないというのが実情であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は上記
問題に鑑み鋭意研究の結果遂に本発明を成したものであ
り、その特徴とするところは、積層、連設することによ
って護岸を兼ねた魚巣を構築するプレキャストコンクリ
ートブロックであり、背面壁を構成する直方体形状の背
面板と、その前方に位置する隔壁とを、１又は複数の連
結体によって連結した形状の一体成形品であって、該隔
壁は孔或いは切欠を有することによって前後方向に連通
しており、且つ該隔壁の高さは該背面板の高さと等し
く、幅は該背面板の幅よりも小さく、しかも該隔壁の前
面は左右方向に沿って凹凸するウェーブ面を構成してい
る点にある。

【０００５】即ち本発明は、背面板と隔壁とを距離をお
いて連結した構造であって、この背面板と隔壁との間を
魚巣としたタイプの一体型ブロックにおいて、該隔壁
は、内部空間と連通するための孔や切欠を有していると
共に、その大きさが、高さは背面板とほぼ等しく幅は背
面板よりも小さくなるように形成されて、魚類の出入り
や水の循環を容易にしている。更に隔壁の前面は左右方
向に沿って凹凸するウェーブ面を構成しており、このウ
ェーブ面によりブロック表面に多数の水流の渦が発生す
るので魚類の出入りや水の循環はより好適に行なわれ
る。しかも、こうした表面形状は美観的にも優れてい
る。

【０００６】

【実施例】以下図面に示す実施例に基づいて本発明を更
に詳細に説明する。

【０００７】図１は、本発明に係る魚巣ブロック１（以
下本発明ブロック１という）の一例を示すものであり、
本例の本発明ブロック１は、板状の背面板２と、連結体
３及び隔壁４から成る一体成形品である。背面板２の天
面には２つの突起２１と、図では見えないが背面板２の
底面にはこの突起２１と対向する位置に凹部２２があ
る。これらは、互いに嵌まりあって前後左右の動きを防
止するものであるが、そのまままっすぐ積層しても、左
右方向に半分ずつずらして積層しても嵌合する位置に設
けられている。

【０００８】個々のブロックの連結は、背面板２の側面
にある凹溝２３を突き合わせ、そのとき形成される孔に
コンクリート（いわゆる胴込めコンクリート）を打設す
ることによって行なう。また、この作業と前後する形
で、本発明ブロック１の内部空間には、適当な大きさ、
個数の割り栗石（図示せず）が詰められる。

【０００９】隔壁４の高さは背面板２の高さと等しい。
また隔壁４の幅は背面板２の幅よりも狭い。従って、本
発明ブロック１を積層連設した場合隔壁４同士は、上下
方向に関しては接合部分があり、左右方向に関しては離
反するという形態をとることになる。これは、魚類が出
入りするための間口は確保しつつ、構造物としての強度
にも貢献することを意味する。また魚類や流水等のブロ
ック内部空間への出入りは、この隔壁４同士の空隙だけ
でなく、４か所の切欠４１によって形成される孔によっ
ても可能である。

【００１０】また、隔壁４の前面は、左右方向（即ち水
の流れの方向）に沿って凹凸するウェーブ面４２を形成
している。このウェーブ面４２は、この付近を流れる水
によって渦を発生させることになるので、ブロック内部
空間の水の循環もより好適に行なえ、回遊魚の集合も図
られることになる。そして、このウェーブ面４２は、特
に河岸に本発明ブロック１を設置した場合等には対岸か
らよく見える部分であるが、このような「うねり」の連
続は、個性的であって美観上も優れたものであると言え
る。

【００１１】次に図２は、本発明ブロック１を連設した
状態を示すものであり、図１では図示できなかった割り
栗石５や、水流方向や渦（矢印）等が示されている。

【００１２】

【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明魚巣ブ
ロックは、積層、連設することによって護岸を兼ねた魚
巣を構築するプレキャストコンクリートブロックであ
り、背面壁を構成する直方体形状の背面板と、その前方
に位置する隔壁とを、１又は複数の連結体によって連結
した形状の一体成形品であって、該隔壁は孔或いは切欠
を有することによって前後方向に連通しており、且つ該
隔壁の高さは該背面板の高さとほぼ等しく、幅は該背面
板の幅よりも小さく、しかも該隔壁の前面は左右方向に
沿って凹凸するウェーブ面を構成していることを特徴と
するものであって、以下述べる如き種々の効果を有する
非常に高度な発明である。

【００１３】 構築して得られる護岸には、魚類が自
由に出入りできる孔と内部空間があるので、自然環境の
保全に寄与する。 前面にあるウェーブ面によりわずかな水流の渦が発
生するため、ブロック内の水質浄化が行なわれると共
に、回遊魚の集合が図られる。 隔壁の高さが背面板の高さと等しいため、積層した
場合に隔壁でも荷重を受け、強固な構造物となる。 背面板上下の凹凸により、前後及び左右方向の動き
に対して強固な構造物となる。 前面に凹凸があるため外観上も個性的且つ美麗な護
岸となる。 施工が簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る魚巣ブロックの一例を示す斜視図
である。

【図２】本発明に係る魚巣ブロックの使用状態の一例を
示す概略平面図である。

【符号の説明】

１ 本発明に係る魚巣ブロック ２ 背面板 ２１ 突起 ２２ 凹部 ２３ 凹溝 ３ 連結体 ３１ ４ 隔壁 ４１ 切欠 ４２ ウェーブ面 ５ 割り栗石

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積層、連設することによって護岸を兼ね
   た魚巣を構築するプレキャストコンクリートブロックで
   あり、背面壁を構成する直方体形状の背面板と、その前
   方に位置する隔壁とを、１又は複数の連結体によって連
   結した形状の一体成形品であって、該隔壁は孔或いは切
   欠を有することによって前後方向に連通しており、且つ
   該隔壁の高さは該背面板の高さとほぼ等しく、幅は該背
   面板の幅よりも小さく、しかも該隔壁の前面は左右方向
   に沿って凹凸するウェーブ面を構成していることを特徴
   とする魚巣ブロック。