JP2815028B2 - 降伏点伸びを有し、降伏比が低く、かつ低温靭性に優れた鋼管の製造方法 - Google Patents

降伏点伸びを有し、降伏比が低く、かつ低温靭性に優れた鋼管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、降伏点伸びを有し、降伏比が低く、かつ低
温靭性に優れた鋼管の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 近年鉄鋼材料を扱う各分野にわたって、競争力向上の
ための使用特性の向上、製造コストの低減など各種の要
求が高まっている。
このうち建築分野では、構造物の安全性向上のため、
特に耐震性向上のために降伏比の低下が望まれている。
これまでは主に厚板分野でこの要求が強かったが、最近
では鋼管分野でこの要求がたかまっている。低降伏比を
有する厚鋼板の製造方法に関しては、種々の方法が検討
されているが、残念ながら鋼管の分野では、少なくとも
建築用として検討された例はほとんどないのが現状であ
る、例えば電縫鋼管は、ホットコイルを成形して製造す
るが、成形の際の加工硬化により降伏比が上昇するた
め、降伏比の低い鋼管の製造には、不利な製造方法とさ
れている。
(発明が解決しようとする課題) 建築用低降伏比鋼管として、引張り強さ40キロ以上で
降伏比75%以下という要求があるが、現状の製造方法で
は製造が付可能である。つまり、ホットコイルを丸く成
形しただけで製造する非調質型、いわゆるアズロール型
では、その成形時の加工硬化のために、また調質型いわ
ゆるQT型では、その組織が焼戻しマルテンサイトとなる
ため、降伏比75%以下は達成されていない。
また、耐震構造用として必要な鋼材の材質特性として
最近、降伏比だけでなく応力−歪曲線の形状が注目され
だした。つまり、鋼材が充分な塑性伸び能力を持つため
には、第1図、第2図で示したAcの増加が必要であると
言われ始めている。そのためには、YRの低下はもちろん
であるが、さらに降伏点伸びの増大によって達成でき
る。第1図、第2図を比較すると明かなように、耐震構
造用としては第2図のような鋼材が適しているといえ
る。つまり耐震構造用としては、降伏点伸びを有し、か
つ降伏比の低い鋼管が必要である。
(課題を解決するための手段) そこで本発明者らは、降伏比を低下させるために、多
数の実験と詳細な検討を加えた結果、降伏比を低下させ
るためには、鋼のミクロ組織をフェライトを第2相の炭
化物の2相組織にする必要性を確認した。さらに、降伏
比を下げるためには、降伏点を下げ、引張り強さを高め
ることが重要であることも確認した。
さらに降伏点伸びを有するためには、A1〜AC3間の2
相域で歪(加工処理)を付与し、フェライト中に生成し
た転位を固溶炭素、固溶窒素でただちに固着し、その後
の急冷でフェライトと第2相の炭化物の2相組織とし
て、これにより降伏点伸びと低降伏比の両方を有する鋼
管の得られることを確認した。
本発明は、このような知見に基き、降伏点伸びを有
し、かつ低降伏比を有する鋼管の製造を可能にしたもの
で、その要旨とするところは、低炭素鋼鋼管を、AC3−2
00℃以上に加熱し、AC3−200℃以上で歪付与を開始し、
Ac3−200〜Ac3−20℃で0.1%〜50%の歪付与を終了した
後、15℃/sec以上の速度で冷却し、その後200〜600℃の
温度範囲で焼戻することを特徴とする、降伏点伸びを有
し、降伏比が低く、かつ低温靭性に優れた鋼管の製造方
法である。
(作用) 本発明においては、加熱温度をAC1〜AC3変態点間の高
めにし、その後温間加工や水冷することによって、パイ
プ成形の加工硬化の影響を除去しつつ、温間加工で新た
に歪を付与し、その時に発生した転位を直ちに固着し、
その後急冷することによって2相鋼化を達成することに
成功している。
次に本発明の鋼管成形・加熱・温間加工・冷却・テン
パーの条件について述べる。
まず、鋼管の製造については、特に規定はなくどのよ
うなものでも許容される。つまり、シームレス鋼管、UO
鋼管、スパイラル鋼管、電縫鋼管、鍛接鋼管等どのよう
なパイプ製造方法でも可である。これは、その後の熱処
理での加熱温度を加工歪が除去される温度に規定するた
めである。
次に成形後加熱温度をAc3−200℃以上にしたのは、こ
の温度範囲に加熱することによって、冷却後の2相鋼化
を達成しつつ鋼管製造の成形歪の除去を同時に狙ったた
めである。
その温度範囲で温間加工するのは、2相域で歪を付与
し、フェライト中に適量の転位を導入し、固溶炭素、固
溶窒素で直ちに固着し、その後の急冷によって生成する
2相鋼に降伏点伸びを持たせるためである。歪量として
は、0.1%以上であれば適量の転位を導入できると考え
られるが、逆に歪量が多すぎると降伏点伸びはあるもの
の降伏比が上昇しすぎるため、歪量は50%以下が望まし
い。歪付与の方法としては、長手方向、周方向、肉厚方
向およびその組み合わせ等、どの方向でも可である。つ
まり、単独の方向または複数の方向の加算が0.1%を越
えるような歪であればよい。また歪の種類としては、引
張り歪、圧縮歪とも可である。この温度範囲での加工は
通常温間サイジングであるが、その他引き抜き等の方法
も加えて、0.1%以上の歪を付与できれば、その方法は
特に問わない。
歪付与の終了温度をAc3−200〜Ac3−20℃にしたの
は、冷却後の2層鋼化を狙ったためであり、さらにフェ
ライト中の加工歪量の適正化を狙ったためである。すな
わち、AC1直上で角管成形後水冷すると、2相鋼化する
ものの、フェライトの加工歪が多すぎるためにフェライ
トの強度が高く、結果的に低降伏比を達成することがで
きない。AC1〜AC3の中間よりも高温、つまりAc3−200℃
より高温から冷却することによって、この2相鋼化と歪
適量化を両立できるため、この温度を下限とした。温間
加工での温度を高くしていくと、降伏比最下限を通過し
て今度は逆に降伏比が増加していく。これはフェライト
の面積率が減少してゆくためで、AC3に近づくと降伏比
が急激に増加する。これはフェライトの面積率がゼロに
近づくためである。このことから、加工温度の上限とし
て、Ac3−20℃を設定した。Ac3−200〜Ac3−20℃に加熱
後の冷却は、再加熱時にオーステナイト化してCの濃化
した部分を焼入組織とすることで充分硬化させ、引張り
強さを高め低降伏比を得るためである。冷却が不十分だ
と、焼入組織が充分に硬化せず、結果として低降伏比が
得られないため、冷却速度を15℃/sec以上に規定した。
通常は水冷であるが、冷却速度15℃/secが確保できれ
ば、その方法は問わない。
ところで、鋼種によっては加熱後急冷だけでは靭性の
よくないものがあり、靭性改善のために急冷後焼戻処理
の必要な場合がある。その際焼戻温度としては、フェラ
イトと第2相の炭化物の2相組織について、その前の急
冷で充分硬化した第2相部分をあまり高温で焼き戻すと
軟化しすぎ、これが引張り強さの低下つまり降伏比の上
昇の原因となるため、上限を600℃とした。しかし焼戻
温度が低くて、200℃未満になるとほとんど焼戻の効果
がなくなり、靭性が改善されない場合があるため、その
下限を200℃とした。
また、歪付与後冷却までの間に(例えば設備制約上)
空冷処理を入れざるを得ない場合がある。その場合、あ
まり空冷し過ぎると導入された転位が消滅してしまい、
2相域で歪を付与した意味がなくなる。従って空冷処理
を入れる場合は、Ac3−200〜Ac3−20℃で歪付与を完了
し、急冷することとした。
本発明は低炭素鋼に適用して好結果を得ることができ
る。好ましい成分組成としては、 C:0.03〜0.30% Si:0.02〜0.50% Mn:0.20〜2.00% Al:0.001〜0.100% N:0.0005〜0.0100 を基本成分とする低炭素鋼、または前記基本成分の他に
強度鋼の要求特性によって、 Cu:2.0%以下 Ni:9.5%以下 Cr:5.5%以下 Mo:2.0%以下 Nb:0.15%以下 V:0.3%以下 Ti:0.15%以下 B:0.0003〜0.0030% Ca:0.0080%以下 の1種または2種以上添加してもよい。
Cuは強度上昇、耐食性向上に有用で添加されるが、2.
0%を越えて添加しても強度の上昇代がほとんどなくな
るので、含有量の上限は2.0%とする。
Niは低温靭性の改善に有用で添加されるが、高価な元
素であるため含有量は9.5%を上限とする。
Crは強度上昇や耐食性向上に有用で添加されるが、多
くなると低温靭性、溶接性を阻害するため含有量は5.5
%を上限とする。
Moは強度上昇に有用であるが、多くなると溶接性を阻
害するため含有量は2.0%を上限とする。
Nbはオーステナイト粒の細粒化や強度上昇に有用で添
加されるが、多くなると溶接性を阻害するので含有量の
上限は0.15%とする。
Vは析出強化に有用であるが、多くなると溶接性を阻
害するため、含有量は0.3%を上限とする。
Tiはオーステナイト粒の細粒化に有用で添加される
が、多くなると溶接性を阻害するため、含有量は0.15%
を上限とする。
Bは微量の添加によって、鋼の焼入性を著しく高める
効果を有する。この効果を有効に得るためには、少なく
とも0.0003%を添加することが必要である。しかし過多
に添加するとB化合物を生成して、靭性を劣化させるの
で、上限は0.0030%とする。
Caは硫化物系介在物の形態制御に有用で添加される
が、多くなると鋼中介在物を形成し鋼の性質を悪化させ
るため、含有量は0.0080%を上限とする。
(実 施 例) 第1表に供試材の化学成分を示し、第2表に鋼管また
は綱管のサイズ、熱処理条件と、得られた鋼管の機械的
性質を示す。
第2表で示した鋼管No,A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1,H1,I1,
J1,K1,L1,M1,N1,O1,P1,Q1,R1,S1,T1,U1,V1はそれぞれ本
発明実施鋼であり、本発明の狙いとする低降伏比(降伏
比70%以下)を達成している。
これに対し、A2は加熱温度が高すぎるため降伏比が高
くなっている。A3は加熱温度が低すぎるため降伏比が高
くなっている。A4は加熱後の冷却速度が不足のため降伏
比が高くなっている。A5は焼戻温度が高すぎるため降伏
比がたかくなっている。A6は歪量が不足のため、降伏点
伸びが出ていない。A7は歪量が多すぎるため、降伏比が
高くなっている。
また、B2は焼戻温度が低すぎるため、低温靭性が改善
されていない。
C2は冷却速度が不足のため降伏比が高くなっている。
D2は加熱温度が低すぎるため降伏比が高くなっている。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り、本発明は40kgf/mm2以上の
高強度を有する低降伏比鋼管を、安価で製造可能とした
もので、産業上その効果は大である。
【図面の簡単な説明】 第1図は低YRであるが降伏点伸びがないためにACの面積
の小さい場合のSSカーブの例を示す図、第2図は低YRで
かつ降伏点伸びを有するためにACの面積の大きくなった
場合のSSカーブの例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−320(JP,A) 特開 平3−219017(JP,A) 特開 昭57−16119(JP,A) 特開 昭62−158822(JP,A) 特開 昭64−4424(JP,A) 特開 昭63−250418(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/06 C21D 9/08 B21C 37/06 B21C 37/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低炭素鋼鋼管を、Ac3−200℃以上に加熱
    し、Ac3−200℃以上で歪付与を開始し、Ac3−200〜Ac3
    −20℃で0.1%〜50%の歪付与を終了した後、15℃/sec
    以上の速度で冷却し、その後200〜600℃の温度範囲で焼
    戻することを特徴とする、降伏点伸びを有し、降伏比が
    低く、かつ低温靭性に優れた鋼管の製造方法。
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