JP2813668B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JP2813668B2
JP2813668B2 JP22525489A JP22525489A JP2813668B2 JP 2813668 B2 JP2813668 B2 JP 2813668B2 JP 22525489 A JP22525489 A JP 22525489A JP 22525489 A JP22525489 A JP 22525489A JP 2813668 B2 JP2813668 B2 JP 2813668B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両用ベルト式無段変速機の変速制御装置
に関し、詳しくは、低摩擦路(低μ路)でのブレーキン
グ時のホィールロックに伴うベルトスリップ防止対策に
関する。
〔従来の技術〕
一般に無段変速機では、スロットル開度に応じたスプ
リング力とプライマリプーリ等の回転数に応じたピトー
圧とのバランス関係により変速制御されるようになって
いる。このため減速時には、アクセル開放でスプリング
力が最小になり、この状態で車速と共にプライマリプー
リ回転数,ピトー圧が低下するのに伴い、順次ダウンシ
フトして元に戻るようになる。ところで、低μ路でのブ
レーキング時のホィールロックが生じると、ピトー圧が
急激に零に低下して直ちに最大変速比に変速制御されて
しまう。このため、ブレーキ解除により車輪速度が回復
して急激に立上る場合は、最大変速比の状態のベルトが
車輪側の回転で急激に高速回転してプライマリプーリと
の間でベルトスリップが生じ、ベルトの耐久性を損うこ
とがある。そこで、かかる無段変速機の変速制御では、
このホィールロックに対してベルトスリップ防止対策を
施す必要がある。
そこで従来、上記無段変速機の変速制御のベルトスリ
ップ防止に関しては、例えば特開昭63−74732号公報の
先行技術がある。ここで、ステップモータにより変速制
御弁を動作する方式において、急ブレーキ時のホィール
ロックの場合は、ダウンシフト禁止手段により変速比大
側への変速を禁止することが示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記先行技術のものにあっては、ステップ
モータという単一のアクチュエータで変速制御し、更に
ホィールロック等の異常時もステップモータの作動を停
止するように制御する構成であるから、ピトー圧とスプ
リング力のバランス関係により変速比を制御するシステ
ムには適用できないという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、ピトー圧とスプリング力のバランス
関係により変速比を制御するシステムにおいて、簡易な
構成でホィールロック時に変速比を高速段側に保持して
ベルトスリップを防止することが可能な無段変速機の変
速制御装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の無段変速機の変速
制御装置は、変速比制御弁のプライマリシリンダに給排
油するスプールの一方に、スロットル開度に応じたスプ
リング力を付勢し、上記スプールの他方にはプライマリ
プーリ回転数に応じたピトー圧を作用して変速制御する
油圧制御系において、上記変速比制御弁のピトー圧ポー
トに隣接して、上記スプールのピトー圧作用側に必要に
応じて油圧を作用する制御圧ポートを設け、急ブレーキ
時のホィールロックの場合は、直ちに上記制御圧ポート
にライン圧を導入して、変速比を高速段側に保持するも
のである。
〔作用〕
上記構成に基づき、通常は変速比制御弁のスプールの
一方のピトー圧と他方のスロットル開度に応じたスプリ
ング力とのバランスを保つように変速制御され、急ブレ
ーキ時のホィールロックの場合は、ピトー圧ポートに隣
接したスプールのピトー圧作用側に油圧を作用する制御
圧ポートに各別にライン圧が導入される。そこで、スプ
ールは直ちに高速段側に移動保持され、プライマリ圧の
増大で変速比を強制的に高速段に保って、ホィールロッ
ク解除の際のベルトスリップを確実に防止するようにな
る。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図において、無段変速機の油圧制御系について述
べると、符号1はエンジン側のプライマリ軸であり、こ
のプライマリ軸1にプライマリプーリ2,プライマリシリ
ンダ3,ピトー圧センサ4が設けられる。符号5はセカン
ダリ軸であり、このセカンダリ軸5にもセカンダリプー
リ6,セカンダリシリンダ7が設けられ、プライマリプー
リ2とセカンダリプーリ6との間にベルト8が巻装され
て、ベルト8のプライマリプーリ2,セカンダリプーリ6
に対する巻付け径の比を変えることで、無段変速した動
力をセカンダリ軸5に出力するようになっている。
符号20は変速比制御弁であり、弁本体21にスプール22
とプランジャ23とがスプリング24を介して挿入されてお
り、スロットル開度に応じて回転しながら押込み作用す
るシフトカム25がロッド26,スプリング27を介してプラ
ンジャ23に連結する。スプール22の溝22aに常時連通す
るポート21aは油路9によりプライマリシリンダ3に連
通し、このポート21aの左側にドレンポート21bが設けら
れ、右側のポート21cは油路10によりライン圧制御弁11,
セカンダリシリンダ7に連通する。またスプール22,プ
ランジャ23の端部のピトー圧ポート21d,21eは、共に油
路12によりピトー圧センサ4に連通している。
一方、スプール22のピトー圧ポート21dの側には更に
変速域を拡大し、またホィールロック等の制御圧ポート
21fが設けられ、スプール22において所定の受圧部22bが
段付きに形成され、更にこのポート21fでスプール22に
初期化スプリング28が付勢されている。そして、ピトー
圧油路12が変速比制御用デューティソレノイド弁15を介
して制御圧油路13により制御圧ポート21fに連通し、ピ
トー圧Pvを減圧した制御圧Pcを作用するようになってい
る。また、プランジャ23側のロッド26にはスリーブ29が
取付けられ、更に制御圧ポート21gが設けられて制御圧
油路13に連通している。そして変速比制御用デューティ
ソレノイド弁15のドレン側は、シフトロック用油路16を
介して3ウエイのシフトロック用ソレノイド弁14に連通
し、さらにシフトロック用ソレノイド弁14は、ライン圧
油路10とドレン側に選択的に連通構成される。
また、電子制御系について述べると、ブレーキスイッ
チ30,駆動輪回転数センサ31を有し、これらのスイッチ
およびセンサ信号が制御ユニット32のホィールロック判
定手段33に入力する。このホィールロック判定手段33
は、ブレーキスイッチ30がオンする状態で、駆動輪回転
数ωが略零に急減速した場合にホィールロックを判断す
る。そしてホィールロック時には、駆動手段34によりシ
フトロック用ソレノイド弁14をドレン側からライン圧油
路10側へ連通状態を切換え、シフトロック用油路16にラ
イン圧Psを供給し、ホィールロック解除後も所定時間こ
の切換状態に保つようになっている。また、変速比を所
望の変速ラインに沿って変化させるように変速比制御用
デューティソレノイド弁15のデューティ比を制御する変
速比制御手段35を有し、このデューティ信号が駆動手段
36を介して出力される。ここでホィールロック判定手段
33でホィールロックと判定した時は、変速比制御手段35
はデューティソレノイド弁15を常時ドレン側にはりつい
た状態とする固定デューティ比を出力し、シフトロック
用油路16のライン圧Psを制御圧油路13を介してポート21
fに供給することにより、変速比制御弁20のスプール22
はアップシフト側にはりついてポート21aと21cが常に連
通することから、変速比は高速段に保持する。
次いで、かかる構成の無段変速機の変速制御装置の作
用を、第2図のフローチャート用いて述べる。
先ず、ライン圧制御弁11のライン圧Psがセカンダリシ
リンダ7に供給されて常に所定のプーリ押付力を付与し
ており、このライン圧Psが変速比制御弁20のポート21c
に導かれている。また車両停止時には、ピトー圧センサ
4のピトー圧Pvが零のため、変速比制御弁20でスプール
22は左側に移動してポート21aがドレンポート21bに連通
しており、このためプライマリシリンダ3のプライマリ
圧Ppは零になる。そこでベルト8は、セカンダリプーリ
6側で巻付け径が大きくなり最大変速比iLの低速段に
なっている。
次いで、アクセルを踏込んで車両走行すると、シフト
カム25の回動によりロッド26,スプリング27を介してプ
ランジャ23が押込まれ、スプリング24に所定のスプリン
グ力Fが生じる。一方、車速が増大すると、プライマリ
プーリ2の回転数Npに応じてピトー圧センサ4からピト
ー圧Pvが生じ、これがスプール22でスプリング24のスプ
リング力Fに対抗して作用する。そしてピトー圧Pvの方
が大きくなると、スプール22の溝22aによりポート21aと
21cとの連通で、ライン圧Psがプライマリシリンダ3に
導入されて、プライマリ圧Ppが増大するのであり、これ
によりベルト8はプライマリプーリ2側で巻付け径が大
きくなり変速開始する。
一方、変速開始すると、変速比の減少に応じてプライ
マリプーリ2の回転数Npと共にピトー圧Pvは低下し、こ
れに伴いプライマリ圧Ppの上昇が抑えられるのであり、
こうしてピトー圧Pvとスプリング力Fとのバランスを保
ちながら最大変速比iLと最小変速比iHとの間で、プラ
イマリプーリ回転数Npが一定に変速制御される。
ここで、スロットル開度がθ12のように順次
増大すると、スプリング力Fが増してプライマリプーリ
回転数Npの高い側で変速制御されることになる。
なおピトー圧Pvは、ポート21eにおいてスリーブ29を
介してプランジャ23にも作用しており、このピトー圧Pv
によるプランジャ23の押込力でシフトカム25による押込
力が軽減される。
上記変速制御において、例えばデューティソレノイド
弁15が油路14を完全にドレンすると、制御圧Pcは零であ
り、上述のようにピトー圧Pvのみで制御される。次い
で、デューティソレノイド弁15によりピトー圧Pvを減圧
して所定の制御圧Pcが生じると、この制御圧Pcがスプー
ル22でピトー圧Pvに加算されて作用し、制御圧Pcに応じ
てスプリング力Fに抗した状態になる。そこで第2図の
ように、同一のスロットル開度θ12でもデュー
ティソレノイド弁15のデューティ比を0〜100%の間で
変化させることにより、変速比がプライマリプーリ回転
数Npの幅広い範囲で可変に制御可能となり、こうして制
御圧Pcの大きさに応じて変速域を拡大することが可能に
なる。
ここで例えば第2図中において、スロットル開度θ
のときに破線で示すような変速ラインで制御する場合、
まずa点からb点まではデューティソレノイド弁15はド
レンせず、制御圧Pcは略ピトー圧Pvと等しい状態でポー
ト21dにかかるピトー圧とスプリング力によりプライマ
リプーリ回転数NPが一定となるように変速制御され
る。次にb点以降では、種々の運転状態に応じてあるい
は運転者の選択に応じた所望の変速ラインに沿って変速
されるように、デューティソレノイド弁15のデューティ
比を変化させて制御圧Pcを低下させ、スプリング力Fに
抗する力を低下させる。そして変速比の上昇に伴ってプ
ライマリプーリ回転数Npも大きくなるようモジュレータ
作用して最大変速比のc点に至る。また、同様な作用に
よりパワーあるいはエコノミー走行等のモード変更も可
能となる。
なお制御圧Pcは、制御圧ポート21gでスリーブ29を介
してプランジャ23にも作用し、これにより上述と同様に
シフトカム25の押込力を軽減する。
上述の変速制御による車両走行時に、ブレーキ操作す
ると第2図のフローチャートが実行される。そこで低μ
路の急ブレーキ時に、駆動輪回転数ωが急激に低下する
と(dω/dt<k)、制御ユニット32によりソレノイド
弁14とデューティソレノイド弁15の連通状態が切換わ
り、ライン圧Psがデューティソレノイド弁15,制御圧油
路13を介して変速比制御弁20のスプール22の制御圧ポー
ト21fに供給される。このため、スプール22のポート21d
のピトー圧Pvが低下しても多大なライン圧Psが作用し、
これによりスプール22が右側に移動してポート21aと21c
とを連通した状態に保ち、プライマリ圧Ppを高圧に保持
する。そこで、第3図の最低変速ラインlLの点P1のよ
うなダウンシフト途中であっても、ブレーキ解除により
ホィールロックも解除して車輪によりプライマリプーリ
2,セカンダリプーリ6とベルト8とが回り始めると、高
いプライマリ圧Ppによりベルト8はプライマリプーリ2
の側に移行して最小変速比iHの点P2に強制的に変速さ
れ、所定時間この状態を保つ。このため、車輪回転が回
復して急激に立上り、これによりセカンダリプーリ6が
回転しても、ベルト8の回転は最小変速比iHにより比
較的低くなり、プライマリプーリ2に対するベルトスリ
ップが防止されるのである。そして所定時間経過後、制
御ユニット32によりソレノイド弁14の連通状態がドレン
側に切換わるとシフトロック用油路16の油圧はドレンさ
れ、制御圧ポート21fには再びデューティソレノイド弁1
5のデューティ比に応じた制御圧Pcが作用し、スプール2
2はこのときのピトー圧Pvに応じて点P3のような変速比
にダウンシフトして元に復帰する。
第4図において、本発明の他の実施例として機械的に
動作する方式について述べる。
この場合は、プライマリプーリ2の可動側プーリ2aに
取付けられて変速比を検出するセンサシュー40に係止片
40aが設けられ、この係合片40aに対し揺動可能なシフト
ロックアーム41が、高速段ではセンサシュー40の移動に
より外れるように設置される。そしてシフトロックアー
ム41の反対側には、ピトー圧油路12のピトー圧Pvが供給
されるプランジャ42が当接し、シフトロックアーム41の
中間にスプリング43が付勢されると共に、切換弁44の弁
体44aが連結してある。切換弁44には、ライン圧油路10
と制御圧ポート21f,21gへ油路13,変速制御用デューティ
ソレノイド弁15を介して連通するシフトロック用油路16
が連通し、弁体44aが下方移動すると油路10を閉じて油
路16をドレンし、弁体44aが上方移動すると油路10と16
とを連通するように切換える構成である。
かかる構成により低・中変速段では、シフトロックア
ーム41がセンサシュー40の係合片40aに係合して右下り
の揺動状態に規制され、切換弁44で油路16がドレン側に
連通した状態に保持される。そこで、変速比制御弁20の
スプール22にはポート21dのピトー圧Pvとデューティソ
レノイド弁15のデューティ比に応じたポート21fの制御
圧Pcが作用して、正常に変速制御される。一方、高速段
では、シフトロックアーム41から係合片40aが外れてフ
リーになるが、この場合に高い正規のピトー圧Pvが生じ
てプランジャ42に作用していると、シフトロックアーム
41は上述と同様に右下りの揺動状態を保つ。しかるにこ
の条件で、急ブレーキによるホィールロックが生じてピ
トー圧Pvが極度に低下すると、シフトロックアーム41が
左下りに揺動して切換弁44の弁体44を上方移動し、油路
10と16とを連通するように切換わる。そこで、変速比制
御弁20のスプール22の制御圧ポート21fには、デューテ
ィソレノイド弁15を介して油路16のライン圧Psが作用し
て、プライマリ圧Ppを増大するのであり、こうして上記
実施例と同様に高速段の変速状態に保持されることにな
る。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、本発明によれば、 無段変速機の変速制御において、急ブレーキ時のホィ
ールロックの場合は、変速比制御弁のスプールを制御圧
ポートからのライン圧により強制的に高速段側に動作し
て保圧するので、ホィールロック解除の際のベルトスリ
ップを確実に防止し得る。
さらに、変速比制御弁のスプールのピトー圧ポートに
隣接してピトー圧作用側に油圧を作用する制御圧ポート
を設け、この制御圧ポートにライン圧を供給または排出
する構成であるから、確実性,応答性を向上し得る。
さらにまた、第1図の電気的動作方式ではホィールロ
ック判断等を正確に行うことができ、第2図の機械的動
作方式では誤動作の危険がなく、コスト的に有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の無段変速機の変速制御装置の実施例を
示す油圧回路図、 第2図はホィールロックの作用のフローチャート図、 第3図は変速パターンを示す図、 第4図は本発明の他の実施例を示す油圧回路図である。 10……ライン圧油路、13……油路、14……ソレノイド
弁、20……変速比制御弁、21d……ピトー圧ポート、21
f,21g……制御圧ポート、22……スプール、44……切換
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 61/00 F16H 9/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変速比制御弁のプライマリシリンダに給排
    油するスプールの一方に、スロットル開度に応じたスプ
    リング力を付勢し、上記スプールの他方にはプライマリ
    プーリ回転数に応じたピトー圧を作用して変速制御する
    油圧制御系において、 上記変速比制御弁のピトー圧ポートに隣接して、上記ス
    プールのピトー圧作用側に必要に応じて油圧を作用する
    制御圧ポートを設け、 急ブレーキ時のホィールロックの場合は、直ちに上記制
    御圧ポートにライン圧を導入して、変速比を高速段側に
    保持することを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】上記制御圧ポートはソレノイド弁を介して
    ライン圧油路に連通し、 上記ソレノイド弁に、急ブレーキ時のホィールロックを
    判断してそれに応じた電気信号を出力する制御ユニット
    を回路接続することを特徴とする請求項(1)記載の無
    段変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】上記制御圧ポートは切換弁を介して上記ラ
    イン圧油路に連通し、 高速段でピトー圧が極度に低下した場合にのみ揺動する
    シフトロックアームに、上記切換弁を連動結合すること
    を特徴とする請求項(1)記載の無段変速機の変速制御
    装置。
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