JP2812086B2 - 電気炊飯器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鍋及び蓋を誘導加熱す
る加熱コイルを用いて炊飯工程を実行する電気炊飯器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に炊飯に関する諸データによれば、
米の主成分である澱粉質がα化する割合が高いほど、甘
みが増し、かつ消化吸収面でもよいため、良好な炊飯と
いわれている。このα化は水と熱により促進させられる
ため、熱的に見て、鍋内のご飯の出来を炊きむらなく均
一に良好な状態に仕上げるためには、鍋（米）全体を均
一に加熱する必要がある。また、良好なツヤと、弾力に
富むご飯に仕上げるために、炊飯の最終工程でご飯表面
を加熱し、ご飯表面に残存する余分な水分を蒸発させる
必要がある。

【０００３】そこで、従来は図５に示す複数のヒータを
備えた炊飯器を用いていた。すなわち、鍋１０１と、こ
の鍋１０１の上方を覆う蓋１０２と、鍋１０１の底部を
誘導加熱する加熱コイル１０３と、鍋１０１側部を伝導
加熱する第１のコードヒータ１０４と、蓋１０２を伝導
加熱する第２のコードヒータ１０５を備えている。ま
た、加熱コイル１０３は制御回路収納ボックス１０６内
のインバータ回路により高周波電流が供給される構成で
ある。鍋１０１はその外側を誘導加熱対応の磁性体材料
１０１ａで形成し、内側を熱伝導材１０１ｂで形成して
いる。第１のコードヒータ１０４は鍋１０１の側部外周
を覆う保護枠１０７へ、第２のコードヒータ１０５は蓋
１０２の下部開口部を覆う放熱板１０８へ各々配設され
ている。１０９は鍋１０１内の温度を検出する温度検出
器である。

【０００４】次に、上記電気炊飯器の動作について説明
する。まず、炊飯の前炊き工程では加熱コイル１０３の
みにインバータ回路から高周波電流が供給され、鍋１０
１の底部を誘導加熱する。そして、炊きあげ工程へ移行
し、鍋１０１内が所定温度に達した時温度検出器１０９
により沸騰検知し、第１のコードヒータ１０４、及び第
２のコードヒータ１０５へ各々電力が供給され、以降、
加熱コイル１０３、コードヒータ１０４，１０５により
鍋１０１全体を加熱する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電気炊
飯器では、鍋１０１側部、及び上部を加熱するためのヒ
ータがコードヒータにて構成されていたため高出力下で
の使用は耐久寿命面で限界があり、したがって高熱源を
得るに至らず、結果ご飯の食味、炊きむら面で限界があ
り、最良の炊飯動作を行うに至らなかった。

【０００６】本発明はこのような問題点を解決した電気
炊飯器を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記第１の目的を達成す
るために本発明は、鍋の底部を誘導加熱する第１の加熱
コイルと、前記鍋上方を覆う蓋体と、前記蓋体の内側に
設けられた放熱板を誘導加熱する第２の加熱コイルと、
前記第１の加熱コイルに高周波電流を供給する第１のイ
ンバータ回路と、第２の加熱コイルに高周波電流を供給
する第２のインバータ回路と、前記第１及び第２の加熱
コイルの加熱出力を制御する制御装置と、前記放熱板上
部に配設された感熱部材とを備え、前記感熱部材により
前記鍋内の被加熱物の沸騰検知を行うとともに、前記第
２の加熱コイルへの高周波電流の供給を、前記感熱部材
の沸騰検知と連動させたものである。

【０００８】また、上記目的を達成するための本発明の
第二の手段は、制御装置は炊飯工程時、感熱部材による
沸騰検知後、入力電力調整手段により第１のインバータ
回路の発振周波数を可変するものである。

【０００９】

【作用】上記第１の手段によれば、第１のインバータ回
路から第１の加熱コイルへ高周波電流が供給され、鍋を
発熱させ、鍋内の被加熱物が沸騰すると放熱板上部に配
設された感熱部材により沸騰検知し、第２のインバータ
回路から第２の加熱コイルへ高周波電流の供給が追加さ
れ、放熱板を発熱させ、ご飯上部の空気層を介し間接的
にご飯を加熱する。したがって、鍋内は第１の加熱コイ
ルと、第２の加熱コイルにより上下からご飯全体を加熱
されることとなり、炊きむらの少ない均一なご飯に仕上
げ、さらに、第２の加熱コイルによりご飯表面に残存す
る余分な水分を蒸発させることができ、良好なツヤを有
し、弾力の富むご飯に仕上げることができる。

【００１０】また、第２の手段によれば、感熱部材の検
出温度に基づいて鍋底部の第１の加熱コイルの加熱出力
を可変できるので、第１の加熱コイルと第２の加熱コイ
ルの加熱出力の合計出力を一定に抑えられ、したがっ
て、一般家庭における電源設備でも良好な炊飯工程を実
行する。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例について図１〜
図３を参照しながら説明する。

【００１２】まず、本発明の電気炊飯器の全体構成を図
２により参照する。図において、１は電気炊飯器の本体
で、この本体１の上部に開閉自在な蓋２が配されてい
る。本体１内には、鍋３を収納する収納部４を設け、鍋
３と鍋収納部との間に空気層５を形成している。鍋収納
部４の外側底部にはドーナツ状の第１の加熱コイル６が
配されている。鍋収納部４の上部には、蓋２を軸支する
上枠７が設けられ、この上枠７に蓋２を加熱する第２の
加熱コイル８が配されている。

【００１３】蓋２は図３に示すように、蓋カバー２ａ
と、その蓋カバー２ａの裏側に取り付ける放熱板２ｂ
と、放熱板２ｂの外周に配されるリング状の鍋パッキン
９と、放熱板２ｂの上部に配される感熱部材１０からな
る。放熱板２ｂはその外周部を上枠７に配した第２の加
熱コイル８と対向するように折り曲げ、放熱板２ｂを第
２の加熱コイル８で誘導加熱する構成である。すなわ
ち、第２の加熱コイル８と対向する放熱板２ｂの少なく
とも外周内面は磁性材料で構成し、第２の加熱コイル８
の磁界で加熱するようにしている。

【００１４】また、図２において、１１は制御ユニット
で、第１の加熱コイル６に高周波電流を供給する第１の
インバータ回路１２ａ、第２の加熱コイル８に高周波電
流を供給する第２のインバータ回路１２ｂの出力をそれ
ぞれ制御する。１３は温度検出手段で、鍋収納部４の底
部に設けた穴４ａを貫通して鍋３の外底部に当接する構
成とし、鍋３内の被加熱物の温度を検出するようにして
いる。１４はフェライト棒で、第１の加熱コイル６の下
方へ磁束が漏れるのを防止している。同様に第２の加熱
コイル８からの磁束が漏れるのをフェライト棒１５で防
止している。

【００１５】次に、上記電気炊飯器の電気回路を図１に
より説明する。図において、１６は交流電源で、電源ス
イッチ１７を介して全波整流器１８が接続される。全波
整流器１８の出力側には第１のインバータ回路１２ａ、
第２のインバータ回路１２ｂが接続され、この第１，第
２のインバータ回路１２ａ，１２ｂから第１の加熱コイ
ル６、第２の加熱コイル８にそれぞれ高周波電流が供給
される。第１，第２のインバータ回路１２ａ，１２ｂは
それぞれスイッチング素子（図示せず）を含み、これら
スイッチング素子はそれぞれ第１のスイッチング素子駆
動手段１９ａ、第２のスイッチング素子駆動手段１９
ｂ、によりオン、オフ駆動される。第１，第２のスイッ
チング素子駆動手段１９ａ，１９ｂは制御回路２０によ
り動作制御される。制御回路２０は、感熱部材１０の検
出温度により沸騰検知を行い、第２のスイッチング素子
駆動手段１９ｂの動作を開始し、第２のインバータ回路
１２ｂに接続された第２の加熱コイル８の加熱出力を制
御する。制御回路２０に加え、第１，第２のスイッチン
グ素子駆動手段１９ａ，１９ｂで制御装置２１を構成し
ている。２２は直流電源で、交流電源１６の電圧をトラ
ンス２３で降圧した後、整流、定電圧化して制御回路２
０に電力供給する。

【００１６】上記構成において、動作を説明する。炊飯
開始後第１の加熱コイル６へ高周波電流が供給され、鍋
３底部が発熱し、鍋３内の被加熱物が加熱される。時間
の経過とともに被加熱物が沸騰すると被加熱物上部の空
気層を介し放熱板２ｂへと熱伝導し、放熱板２ｂ上部に
配された感熱部材１０により沸騰検知される。沸騰検知
後、第２の加熱コイル８へ高周波電流が供給され、放熱
板２ｂが発熱し、さらに前記空気層を介し被加熱物上部
を加熱する。したがって、沸騰後、第１の加熱コイル６
と、第２の加熱コイル８により上下から被加熱物全体を
高出力にて加熱し、結果ご飯の出来を炊きむらなく、均
一に良好な状態に仕上げ、かつ、第２の加熱コイルによ
りご飯表面に残存する余分な水分を蒸発させることによ
り、良好なツヤを有し、弾力の富むご飯に仕上げること
ができる。

【００１７】次に、本発明の第２の実施例について、図
４により説明する。第２の実施例では、入力電力調整手
段２４を設けた点が上記第１の実施例と相違するので、
上記第１の実施例と同一の構成部品には同一の符号を付
し、その説明を省略する。

【００１８】制御装置２５内に設けた入力電力調整手段
２４により、第２のスイッチング素子駆動手段１９ｂの
駆動を調整し、スイッチング素子のオン、オフする周期
を制御することで、インバータ回路の発振周波数を可変
する構成である。沸騰検知後、第２のインバータ回路１
２ｂの発振周波数を所定値だけ低下させ、低下させた発
振周波数でスイッチング素子駆動手段１９ｂを動作させ
ることで、第２の加熱コイル８の出力を低下させた状態
とする。

【００１９】上記構成によれば、例えば、第１の加熱コ
イル６の加熱出力を沸騰検知前１２００Ｗとし、沸騰検
知後８００Ｗ、第２の加熱コイル８の加熱出力を４００
Ｗとすれば、合計加熱出力を同一にすることが可能とな
り、したがって、一般家庭における電源設備でも良好な
炊飯を実行することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかな通り、
本発明の第１の手段によれば、鍋内の被加熱物の沸騰検
知後、蓋体に設けられた放熱板を誘導加熱する第２の加
熱コイルへ高周波電流を供給することにより放熱板を加
熱させ、被加熱物を第１，第２の加熱コイルにより上下
より加熱することにより、炊きむらの少ない均一なご飯
に仕上げ、さらに、第２の加熱コイルによりご飯表面に
残存する余分な水分を蒸発させることができ、良好にツ
ヤを有し、弾力の富むご飯に仕上げることができる。

【００２１】また、第２の手段によれば、鍋内の被加熱
物の沸騰検知後、第１のインバータ回路の発振周波数を
低下する。すなわち、第１の加熱コイルの加熱出力を低
下させることで、第２の加熱コイルの加熱出力が追加さ
れても、第１，第２の加熱コイルの加熱出力計を一定に
抑えることができ、したがって、一般家庭における電源
設備でも良好な炊飯を実行することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す炊飯器の電気回路
図

【図２】同断面図

【図３】同要部断面図

【図４】本発明の第２の実施例を示す炊飯器の電気回路
図

【図５】従来の炊飯器の断面図

【符号の説明】

２ 蓋 ３ 鍋 ６ 第１の加熱コイル ８ 第２の加熱コイル １０ 感熱部材 １２ａ 第１のインバータ回路 １２ｂ 第２のインバータ回路 ２１，２５ 制御装置 ２４ 入力電力調整手段

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鍋の底部を誘導加熱する第１の加熱コイル
   と、前記鍋上方を覆う蓋体と、前記蓋体の内側に設けら
   れた放熱板を誘導加熱する第２の加熱コイルと、前記第
   １の加熱コイルに高周波電流を供給する第１のインバー
   タ回路と、第２の加熱コイルに高周波電流を供給する第
   ２のインバータ回路と、前記第１及び第２の加熱コイル
   の加熱出力を制御する制御装置と、前記放熱板上部に配
   設された感熱部材とを備え、前記感熱部材により前記鍋
   内の被加熱物の沸騰検知を行うとともに、前記第２の加
   熱コイルへの高周波電流の供給を、前記感熱部材の沸騰
   検知と連動させた電気炊飯器。
2. 【請求項２】制御装置は炊飯工程時、感熱部材による沸
   騰検知後、入力電力調整手段により第１のインバータ回
   路の発振周波数を可変する構成とした請求項１記載の電
   気炊飯器。