JP2811026B2 - 半導体処理方法及びその装置 - Google Patents

半導体処理方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は半導体処理方法及びそ
の装置に関するもので、更に詳細には、例えば、半導体
ウエハのエッチング、あるいは、薄膜形成処理等におい
て、所定の環境に設定された処理室内に配設される被処
理体に処理媒体を供給して、被処理体の表面処理を行う
半導体処理方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】集積度の大きい半導体では自然酸化膜を
含め、半導体表面の数原子層程度の原子・分子の種類や
その結合構造によって、半導体性能が決まると予測され
ている。したがって、半導体表面の原子・分子制御が重
要な課題となっている。
【0003】ところで、半導体製造工程で処理される半
導体ウエハは薄膜形成処理、露光処理及びエッチング処
理等の複数の工程を経て製造されるため、大気中の水分
によって表面に自然酸化膜が存在する。この自然酸化膜
は20オングストローム(A)程度で、集積度の小さい
半導体においては問題にはならないが、集積度の大きい
半導体においては支障をきたす虞れがある。すなわち、
自然酸化膜は凹凸形状の絶縁物であるため、自然酸化膜
上に電極を形成すると、酸化膜の絶縁性が電極との導電
を妨げて半導体の機能を低下させたり、酸化膜の凹凸が
電極の密着性を悪化させる等の問題がある。また、五酸
化タンタル(Ta2 O5 )のようなキャパシタを形成す
る際に、下地層との間に酸化膜が介在するとTa2 O5
が還元されて誘電体としての機能が低下してしまうとい
う問題がある。
【0004】このように自然酸化膜は、シリコンウエハ
においては半導体特性に極めて悪い影響を与えることが
判明されている。そのため、現状の自然酸化膜を除去す
る一般的な方法としては、例えば希HF溶液に浸漬する
方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、希HF
処理溶液に浸漬する方法は溶液を使用するため、溶液中
に汚染源を含有しやすいこと、また希HF処理後、Fの
結合した表面が酸化の出発点になるので、更にFを酸化
不活性な原子・分子に置換する必要があることが課題に
なっている。Fの除去については赤外線加熱やXeラン
プを照射する方法があるが、これらの方法では約900
℃の高温加熱が必要になるので、半導体製造工程には望
ましくない。以上のように現状の自然酸化膜除去工程で
は、十分満足すべき結果が得られていない。現状の問題
点を改善するために様々な研究が行われているが、その
ためには表面反応素過程の理解が必要不可欠であると同
時に、それを検出し得る感度の高い分析技術が必要であ
る。その分析技術として例えばオージェ電子分光法(A
ES)やX線光電子分光法(ESCA)等が用いられて
いる。しかし、これらの分析方法においてはHの検出が
極めて困難である。すなわち、オージェ電子分光法にお
いては、入射電子によって励起状態となる原子が基底状
態に遷移するときに、クーロン相互作用により放出され
るHの電子の存在する準位は1つしかなくエネルギーを
与える準位の高い電子がないため、原理的にオージェ過
程が存在せず検出が困難となる。また、X線光電子分光
法は、X線を照射した試料内から光電効果により飛び出
した光子運動エネルギーを検出することによって飛び出
した試料の電子軌道エネルギーを検知する方法で、電子
軌道のもつポテンシャルエネルギーが結合原子・分子の
違いによりエネルギーシフト(化学シフト)するので、
そのシフトの大きさから逆に結合原子・分子を同定でき
るが、Hの場合には、X線を照射しても飛び出す光電子
の確率(光電子離脱断面積)がほとんど0に近いので、
検出することが難しい。したがって、表面薄膜の成分の
分析が不正確となり、表面薄膜の制御を十分に行うこと
ができないという問題がある。
【0006】この発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、被処理体の表面薄膜の成分を正確に検出して、表面
処理を効率良く行えるようにした半導体処理方法及びそ
の装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の第1の半導体処理方法は、所定の環境に
設定された処理室内に配設される被処理体に処理媒体を
供給して、被処理体の表面処理を行う半導体処理方法を
前提とし、上記処理室と同一雰囲気の室内に、被処理体
と同質の試料を配設し、上記試料の一端面から入射され
る赤外光を試料内で全反射させた後に他端面から取出
し、その取出された赤外光の減少を検出することによ
り、上記試料を介して被処理体の状態を検出することを
特徴とするものである。また、この発明の第2の半導体
処理装置は、上記処理方法を実現するために、上記処理
室と同一の雰囲気の室と、上記室内に配設される被処理
体と同質の試料と、上記試料の一端面に赤外光を照射す
る光源と、上記試料から取出された赤外光を検出する検
出手段とを具備するものである。
【0008】この発明において、検出手段にて試料を透
過した赤外光の減少を検出することにより、被処理体と
同履歴の試料の表面の自然酸化膜等の表面薄膜の成分を
検出するのであるが、好ましくは検出された情報に基い
て処理媒体の供給を制御する方がよい。
【0009】上記室は処理室と同一雰囲気のものであれ
ば処理室と別体に設けてもよく、あるいは、処理室を兼
用したものであってもよい。ここで、処理室と同一雰囲
気とは、真空状態で同一圧力、同一温度で、同一の処理
媒体例えば反応ガスが供給される状態である。したがっ
て、室を別体に形成する場合には処理室と室とをロード
ロック等にて連結する方が好ましい。
【0010】上記試料の材質は被処理体と同質のもので
あれば任意のものでよく、例えばSiやGeを使用する
ことができ、また、被処理体の一部を利用することも可
能である。
【0011】上記検出手段は試料を透過した赤外光の減
少を検出するもので、例えばフーリエ変換赤外分光装置
(FT−IR装置)を使用することができる。
【0012】また、上記制御手段は検出手段からの信号
を受けてその情報を処理媒体の供給源に伝達するもの
で、例えば検出信号の波長成分と予め記憶された自然酸
化膜の成分とを比較演算する中央演算処理装置(CP
U)を使用することができる。
【0013】
【作用】上記のように構成されるこの発明によれば、処
理室と同一雰囲気の室内に配設される試料の一端面から
赤外光を入射し、試料内を全反射した後に他端面から取
出して赤外光の減少を検出することにより、被処理体と
同質の試料を介して被処理体の表面の薄膜状態を正確に
検出することができる。
【0014】また、検出された信号を制御手段に伝達す
ることにより、処理媒体の供給を制御でき、被処理体の
表面処理を効率良く行うことができる。
【0015】
【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基いて詳細
に説明する。
【0016】図1はこの発明に係る半導体処理装置の第
一実施例の概略断面図で、ダウンフロー式のプラズマエ
ッチング装置に付設された場合が示されている。
【0017】この発明の半導体処理装置は、プラズマエ
ッチング装置の処理室1に隣接される室2と、この室2
内に配設される試料3と、試料3の一端面に赤外光を照
射する光源4と、試料3を透過して他端面から取出され
た赤外光を検出する検出手段5と、検出手段5からの信
号と予め記憶されたデータとを比較演算処理し、その情
報をエッチング装置の反応ガス供給側に伝達する制御手
段であるCPU6とで構成されている。
【0018】この場合、室2には、エッチング装置のプ
ラズマ生成室2に接続するガス導入管7と連結するガス
導入口8と、真空ポンプ9に接続する排気管10と連結
する排気口11が設けられており、処理室1と同一雰囲
気状態となっている。なおこの場合、図1に想像線で示
すように、室2と処理室1とをロードロック12を介し
て連結することにより、処理室1と室2とを同一雰囲気
にすることができる。
【0019】また、室2の一端には光源4からの赤外光
を取入れる入光窓13が設けられ、他端には赤外光を取
出す取出し窓14が設けられている。これら窓13,1
4は室内と外気とを遮断し、かつ、赤外光の波長領域
(2.5〜25μm)を透過する必要があり、例えば臭
化カリウム(KBr)板を図示しないパッキングを介し
て窓13,14に固定した構造となっている。
【0020】試料3は、高屈折率を有する減衰全反射型
プリズムにて形成されており、この試料3の赤外光の入
射側及び取出し側の端面はそれぞれ赤外光を垂直に透過
すべく45°にカットされ、光源からの赤外光が入射側
端面3aから入射されて試料内を全反射した後、取出し
側端面3bから取出されるようになっている(図2参
照)。すなわち、光源4から照射された赤外光{例えば
波数400〜4000カイザー(cm-1)}が試料3の
内面を複数回全反射することにより、試料3の表面に形
成された自然酸化膜の成分OとSiとの間の振動と赤外
光の波数との関係により赤外光が吸収された状態で取出
される。なお、光源4の照射側に光軸調整手段16を設
けることにより、赤外光を正確に試料3に照射できるよ
うになっている。
【0021】検出手段5は試料3から取出された赤外光
の減少を検出するもので、例えばフーリエ変換赤外分光
装置(FT−IR装置)が使用される。このFT−IR
装置5は公知であるので、ここでは説明は省略する。
【0022】なお、エッチング装置は、被処理体である
シリコン製の半導体ウエハ15(以下にウエハという)
を配設する処理室1と、マイクロ波電源17からの電圧
を電極18,19に印加して反応ガスH2 をプラズマ化
するプラズマ生成室20とで構成されている。この場
合、処理室1内には、反応ガスの供給用ノズル21と、
ウエハ15を載置する載置台22が設けられ、また、処
理室1には、プラズマ生成室20に接続するガス導入管
7と連結するガス導入口8と、真空ポンプ9と接続する
排気管10と連結する排気口11が設けられている。
【0023】なおこの場合、処理室1と室2に接続する
ガス導入管7,7及び排気管10,10間には切換三方
弁23,24が設けられており、必要に応じて反応ガス
の供給及び排気量の調整が行われるようになっている。
【0024】次に、この発明の処理方法について説明す
る。
【0025】まず、室2内に試料3を配設した後、室内
を処理室1と同一の雰囲気となるように、室2内に反応
ガスを供給すると共に、真空ポンプ9により室内を真空
状態にする。このとき、試料3は表面処理されるウエハ
15と同一の履歴をもち、かつ、表面に自然酸化膜が形
成される。
【0026】次に、光源4から赤外光{波数400〜4
000カイザー(cm-1)}を試料3の入射側端面3a
に入射すると、赤外光は試料3の内面を全反射して取出
し側端面3bから取出され、FT−IR装置5にて赤外
光の減少が検出される。すなわち、光源4から照射され
た赤外光が試料3の内面を複数回全反射することによ
り、試料3の表面に形成された自然酸化膜の成分OとS
iとの間の振動と赤外光の波数との関係により赤外光が
吸収された状態で取出され、自然酸化膜の成分O及び結
合量が測定される。この検出された自然酸化膜の成分及
び結合量はFT−IR装置5に接続されるモニタ(図示
せず)により画像認識することができ、また、プリンタ
(図示せず)によってプリントアウトすれば、記録とし
て残すことができる。
【0027】また、この後、反応性プラズマを照射し、
ウエハ表面の自然酸化膜除去を行い、FT−IR装置5
からの信号をCPU6に伝達すると、CPU6にて予記
憶された自然酸化膜の成分のデータと検出データとが比
較演算処理され、その情報が反応ガス供給側の高周波電
源17に伝達される。したがって、反応ガスの供給を制
御することができ、酸化膜の除去が確認された後、エッ
チング処理を止めるようにするエッチング装置の反応ガ
スの終点検出に利用することができる。
【0028】図3はこの発明の第二実施例の概略断面図
が示されている。
【0029】第二実施例は室と処理室を兼用した場合で
あ。すなわち、処理室1に入光窓13と取出し窓14を
設け、処理室1内に配設されるウエハ15と隣接して試
料3を配設し、試料3の入射側面に光源4から赤外光を
照射するようにした場合である。
【0030】なお、ウエハ15と試料3は静電チャック
25にて固定される。また、図3において、その他の部
分は上記第一実施例と同じであるので、同一部分には同
一符号を付してその説明は省略する。
【0031】上記のように構成される第二実施例の処理
装置によれば、室2と処理室1とを兼用することができ
るので、装置の小型化が図れると共に、処理の迅速化が
図れる。
【0032】なお、第二実施例において、ウエハ15の
一部に入射側用と取出し側用とを45°にカットし、こ
のカット面に光源4から赤外光を照射することもでき、
これにより更に正確にウエハ15の表面の自然酸化膜の
成分及び結合量の検出を行うことができる。
【0033】図4はこの発明の第三実施例の概略断面図
が示されている。
【0034】第三実施例はこの発明の処理装置を薄膜形
成装置(CVD装置)に使用した場合である。すなわ
ち、真空の処理室1内に配設された載置台26上にウエ
ハ15と試料3とを載置し、光源4からの赤外光を入光
窓13を介して試料3の入射側面に照射すると共に、試
料3を全反射して透過した赤外光を取出し窓14を介し
てFT−IR装置5にて検出させるようにした場合であ
る。
【0035】なお、載置台26にはヒーター27が内蔵
されており、載置台26の上方には放電電極28が配設
されている。また、第三実施例において、その他の部分
は上記第一実施例及び第二実施例と同じであるので、同
一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0036】上記のように構成される第三実施例の処理
装置によれば、薄膜形成装置において処理されるウエハ
の表面に形成される自然酸化膜の成分及び結合量を検出
することができ、また、その検出信号をCPU(図示せ
ず)に伝達することにより、薄膜形成の反応ガスの制御
を行うことができる。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、上記のように構成されているので、被処理体と同一
の履歴をもった試料の内面に赤外光を全反射させること
によって被処理体の表面成分及び結合量を正確に検出す
ることができる。また、検出された情報に基いて処理媒
体の供給を制御することができるので、被処理体の表面
処理を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る半導体処理装置の第一実施例の
概略断面図である。
【図2】この発明における試料の断面図である。
【図3】この発明の第二実施例における半導体処理装置
の概略断面図である。
【図4】この発明の第三実施例における半導体処理装置
の概略断面図である。
【符号の説明】
1 処理室 2 室 3 試料 4 光源 5 検出手段(FT−IR装置) 6 制御手段(CPU) 15 被処理体(半導体ウエハ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/205 G01N 21/35 H01L 21/3065 H01L 21/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の環境に設定された処理室内に配設
    される被処理体に処理媒体を供給して、被処理体の表面
    処理を行う半導体処理方法において、 上記処理室と同一雰囲気の室内に、被処理体と同質の試
    料を配設し、 上記試料の一端面から入射される赤外光を試料内で全反
    射させた後に他端面から取出し、 その取出された赤外光の減少を検出することにより、上
    記試料を介して被処理体の状態を検出することを特徴と
    する半導体処理方法。
  2. 【請求項2】 検出された情報に基いて処理媒体の供給
    を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体処理
    方法。
  3. 【請求項3】 所定の環境に設定された処理室内に配設
    される被処理体に処理媒体を供給して、被処理体の表面
    処理を行う半導体処理装置において、 上記処理室と同一の雰囲気の室と、 上記室内に配設される被処理体と同質の試料と、 上記試料の一端面に赤外光を照射する光源と、 上記試料から取出された赤外光を検出する検出手段とを
    具備することを特徴とする半導体処理装置。
  4. 【請求項4】 検出手段にて検出された情報に基いて処
    理媒体の供給を制御する制御手段を具備することを特徴
    とする請求項3記載の半導体処理装置。
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