JP2810384B2 - 木部処理用白アリ防除剤 - Google Patents

木部処理用白アリ防除剤

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JP2810384B2 JP63212748A JP21274888A JP2810384B2 JP 2810384 B2 JP2810384 B2 JP 2810384B2 JP 63212748 A JP63212748 A JP 63212748A JP 21274888 A JP21274888 A JP 21274888A JP 2810384 B2 JP2810384 B2 JP 2810384B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はジメチル(4−エトキシフェニル){3−
(3−フェノキシ−4−フルオロフェニル)プロピル}
シラン(以下化合物Aと称す)と、[3,4−(メチレン
ジオキシ)−6−プロピルベンジル]ブチルジエチレン
グライコールエーテル(以下ピペロニルブトキサイドと
称す)を含有することを特徴とする木部処理用アリ防除
剤に関する。
〔従来の技術〕
近年、木材を食害する害虫、例えば白アリ,フナクイ
ムシ,ヒラタキクイムシ等の被害が問題となっている
が、これらの害虫に食害されないために、あらかじめ用
材や床下土壌に防虫剤を処理する方法が従来より行わ
れ、この目的のために殺虫、防虫成分としてクロルデ
ン,ディルドリン等の有機塩素系殺虫剤が使われてき
た。
しかしながら、これらの殺虫、防虫成分はいずれも残
留性、毒性、刺激性、環境汚染などの点で問題があり、
一昨年使用が禁止され、これらに替わるものとして、ク
ロルピリホス,ホキシムなどの有機リン剤が最近上市さ
れた。
〔発明が解決しようとする問題点〕 上記有機リン系白アリ防除剤は環境中で分解されやす
いため長期間にわたる白アリ防除効果が乏しく、また人
畜に対する安全性の点で問題が多いという欠点があり、
低毒性の新しい白アリ防除剤の開発が切望されている。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明者らは、低毒性を特徴とするピレスロイド系薬
剤ならびにピレスロイド様化合物でこの種の目的に使用
できるものを長年研究してきたが、その結果、クロルデ
ン,ディルドリンより殺虫性、残効性において優れた化
合物として化合物Aを見い出した。
化合物Aは、特にリン翅目の害虫,アブラムシ類,ウ
ンカ類等に高い殺虫活性を有するため農園芸用分野で実
用化が検討されているが、直翅目の害虫に対して低活性
であることからこれまで白アリ防除剤用途には不向きで
あると考えられていた。
しかるに本発明者らは白アリの生態等を考慮した時、
白アリ防除剤の殺虫、防虫成分の評価としては基礎殺虫
効力試験のみでは不適切であると考え、種々の化合物に
ついて実用的な木部処理試験を行ったところ化合物Aが
高い食害防止効果を示すことが明らかとなった。化合物
Aはピレスロイド系薬剤としての特長である昆虫に対す
る速効性、温血動物に対して低毒性という長所をもつと
同時に非常にすぐれた残効性を有している。
更に本発明者らは、化合物Aが有機塩素系殺虫剤や有
機リン剤と比べると高価な殺虫剤であることを鑑み、コ
ストダウンを図る目的で化合物Aとピレスロイド用共力
剤の混合による効果を白アリについて鋭意検討した結
果、サイネピリン500、オクタクロロジプロピルエーテ
ル、MGK−264、MGK−5026、セサミン、スルホキサイ
ド、NIA−16388など種々のピレスロイド用共力剤はいず
れも効果なく、白アリに対しては特異的に化合物Aと
〔3,4−(メチレンジオキシ)−6−プロピルベンジ
ル〕ブチルジエチレングライコールエーテルを1:1〜1:1
0の比率で配合した時のみが著しい効果を示すことを見
いだし本発明を完成した。
これまでは、例えばハエ、蚊などに対する試験結果か
ら、各種ピレスロイド用共力剤は化合物Aとの組み合わ
せでは多少の差があっても同様に共力効果を示すものと
考えられていただけに、白アリに対する特有の現象は従
来の知見からは全く予期しえないものである。この結
果、化合物Aの配合量を減らしても高い殺虫、防虫効果
を得ることができ、コスト面での実用的メリットは極め
て大きい。
本発明で用いる化合物Aは次式(I)で示され 分子中にケイ素原子を含有している。
木部処理用白アリ防除剤には殺虫、防虫成分として化
合物Aを0.01〜90重量%含有することができ、ピペロニ
ルブトキサイドと混合する場合、高い共力効果を奏する
化合物Aとピペロニルブトキサイドとの混合比は3:1〜
1:20(好ましくは1:1〜1:10)が適当である。
また、殺虫、防虫効果をより効率的に発揮させるため
に白アリ誘引剤を適宜配合してもよい。更に、本発明の
木部処理用白アリ防除剤に、例えばクロルピリホス、ホ
キシム、ピリダフェンチオンなどの有機リン剤、パーメ
スリン、フェンパレレート、フェンプロパスリンなどの
ピレスロイド剤あるいはトリプロピルイソシアヌレー
ト、カーバメート剤などの他の殺虫剤、また、次に示す
ような種々のタイプの防腐剤 CCA系化合物…CCA,CCBなど ハロフェノール系化合物…ペンタクロルフェニルラウ
レート,p−ブロモ−2,6−ジクロルフェノールなど ヨードプロパルギル系化合物…IF−1000,3−ヨード−
2−プロピニルブチルカーバメートなど 第4級アンモニウム化合物およびアミン塩…ベンザル
コニウムクロリド,ジアルキルジメチルアンモニウムク
ロリドなど 有機スズ化合物…ビス−(n−トリブチルスズ)オキ
シド,トリブチルスズテレフタレートなど その他…ナフテン酸亜鉛,キシリゲンアルミニウム塩
など を適宜混合して有用な多目的組成物を得ることもでき
る。
本発明木部処理用白アリ防除剤の剤型としては、防除
剤の性状、使用目的により、油剤、乳剤、水和剤、水溶
剤、粉剤、エアゾール剤など種々可能であるが油剤が一
般的に使用される。いずれの製剤も常法に従って調製す
ることができ、固体担体としては粘土類(カオリン,ベ
ントナイト類など)、タルク類などの微粉末ないし粉状
物があげられる。液体担体としては、水、アルコール
類、芳香族炭化水素類(例えばトルエン,キシレンな
ど)、脂肪族炭化水素類(例えばケロシン,灯油な
ど)、エステル類、ニトリル類などが使用できる。次に
界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル類、アルキ
ルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリ
エチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステ
ル類などがあげられる。その他適宜、カゼイン、ゼラチ
ン、でんぷん粉、CMC、ポリビニルアルコールなどの固
着剤や分散剤が使用される。また、本発明で使用される
化合物Aをマイクロカプセル化あるいはサイクロデキス
トリン包接化することにより、更に化学的安定性を増し
残効性を高めることができる。一方、化合物Aとピペロ
ニルブトキサイドの混合物についても上記と同様の効果
が得られる。
本発明の木部処理用白アリ防除剤の適用方法として
は、従来の方法例えば家屋木部に乳剤、油剤、水和剤、
粉剤などを散布あるいは泡沫施用したり、木材や合板な
どに塗布や加圧注入する方法や、更に白アリ防除用ベイ
ト剤あるいは着色ペイントやニス等に含浸させて白アリ
予防コーティング剤として施用することも可能である。
〔実施例〕
以下本発明の有用性を一層明確にするため、実施例及
び試験例について説明するが本発明がこれらのみに限定
されるものでないことはもちろんである。
実施例1 化合物A0.2部、及びIF−1000 0.8部を煙霧灯油に溶
解して全体を100部として油剤を得る。
実施例2 化合物A0.1部、ピペロニルブトキサイド0.4部、及び
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート0.7部
をプロピレングライコールモノメチルエーテル5部及び
煙霧灯油に溶解して全体を100部として油剤を得る。防
虫加工する木材をこの油剤に浸漬するか、この油剤を表
面に散布又は塗布する。
実施例3 化合物A2部、ピペロニルブトキサイド10部にソルポー
ルSM−200(東邦化学登録商標名)5部、キシロール20
部、白灯油63部を加え、これらをよくかく拌混合溶解し
て乳剤を得る。この乳剤を水で20倍に希釈し、その液に
木材を浸漬するか、表面に塗布又は散布する。合板製造
に使用するフェノール系尿素、メラミン系接着剤97.5部
にこの乳剤2.5部を加えてよく混合し使用する。
実施例4 化合物A1部、ピペロニルブトキサイド5部をトリオク
チルホスフェート25部に溶解し、塩化ビニル原料樹脂50
部、三塩基性硫酸鉛2.5部、およびタルク部16.5部を加
え、よく混合して電線被覆用の塩化ビニルコンパウンド
を得る。
試験例1 (木部処理試験) (社)日本しろあり対策協会規格に基づき、供試薬剤
の所定濃度の油剤を木片(1×1×2cm)に110g/m2の割
合で塗布し、2週間風乾後そのそれぞれを試験片とし
た。
次にこれらの試験片を同一のイエシロアリの巣箱内に
それぞれ各1片ずつ設置し、3週間後の食害による重量
減少率及び蟻道の状況を観察した。
なお表において、0〜Vで示される加害度合は生じた
蟻道数の程度であり、蟻道数ないし(0)から蟻道数著
しい(V)までの段階を示す。
(局部施用接触試験) イエシロアリの背部に供試薬剤の各種濃度のアセトン
溶液をマイクロシリンジにて局部施用し、24時間後の死
虫率から接触による薬剤の基礎効力を調べた。
ハエ、蚊、ゴキブリなど衛生害虫駆除では薬剤との接
触あるいは摂取によるノックダウン効果と引きつづいて
起こる致死効果が最も重要であるが、白アリ駆除の場合
は衛生害虫駆除の場合とは全く異なる。
すなわち、白アリは共生原生動物の助けでセルロース
を消化しこれの維持のために排出物を食べあう習性から
集団生活を営んでおり、白アリを一匹や数匹殺虫しても
防除にはならない。また、白アリは排出物や粘土などを
利用して巣や蟻道を加工し主に地中で生活するため衛生
害虫のように人目につくことはまれで、白アリの巣ごと
全滅させるかあるいは白アリの食害から木材や建築物を
保護することが白アリ防除剤の究極の役目といえる。従
って、局部施用接触試験は効力評価の目やすにはなると
してもそれだけでは意味をなさず、供試薬剤処理した木
片を白アリ生息環境下に設置し食害状況を観察する方法
(試験例1の木部処理試験)が(社)日本しろあり対策
協会の防蟻効力試験法として定められている。
試験の結果、化合物Aは局部施用接触試験では対照の
他のピレスロイド剤(No.2〜4)及び有機リン剤(No.
5;ホキシム)に比べて効力が低かったが、木部処理試験
では最も高い食害防止効果を示し、白アリ防除剤の殺
虫、防虫成分としての有用性が明らかとなった。
((社)日本しろあり対策協会規格では重量減少率が3
%以下の場合合格とされている。) 一方、他のピレスロイド剤であるパーメスリンは、局
部施用接触試験では高い活性を示したものの食害防止効
果は化合物Aよりかなり劣った。この理由の一つとし
て、パーメスリンが環境中で分解を受けやすい点があげ
られ、白アリ防除剤の開発にあたっては、実用的な総合
評価が必要であることを示している。
試験例2 化合物Aに種々のピレスロイド用共力剤を3倍量添加
した供試薬剤のアセトン溶液をマイクロシリンジにてイ
エシロアリの背部、イエバエ成虫の胸部背板及びハスモ
ンヨトウの背部に施用し48時間後の死虫率から共力剤に
よる殺虫力の共力効果をみたところ次の通りであった。
なお、対照薬剤として有機リン剤のクロルピリホスを用
いた。
試験の結果、化合物Aとピレスロイド用共力剤のうち
のピペロニルブトキサイドの組み合わせが、イエシロア
リに対してのみ特異的に高い共力効果を示すことが明ら
かとなった。一方、対照薬剤のクロルピリホスの場合、
共力剤の種類や供試昆虫の種類による共力効果の差異は
あまり認められなかった。
ヤマトシロアリについても同様の傾向が得られた。
試験例3 試験例2においてピペロニルブトキサイドのイエシロ
アリに対する特異的共力効果が明らかとなったので試験
例1に準じ、下記の供試油剤を用いて木部処理試験を行
ったところ以下の如くであった。
試験の結果、木部処理試験においても化合物Aにピペ
ロニルブトキサイドを加えることによって食害防止効果
が著しく増強し、ピペロニルブトキサイドが化合物Aの
濃度低減化に有効であることが確認された。なお、化合
物Aとピペロニルブトキサイドの混合比は重量減少率3
%以下が合格という基準から判断すると化合物Aの濃度
が0.1%の場合1:1〜1:2、化合物Aの濃度が0.05%の場
合1:1〜1:10で十分な効果が得られた。また、化合物A
とピペロニルブトキサイドの混合比が1:20のものではピ
ペロニルブトキサイドの添加量に比例するほどの効力ア
ップはなかった。
〔発明の効果〕
本発明の木部処理用白アリ防除剤は、従来の有機リン
系木部処理用白アリ防除剤に比べ、人畜に対する安全
性、土壌中の安定性及び白アリ防除効果にすぐれ、極め
て有用な防除薬剤を提供するものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジメチル(4−エトキシフェニル){3−
    (3−フェノキシ−4−フルオロフェニル)プロピル}
    シランと[3,4−(メチレンジオキシ)−6−プロピル
    ベンジル](ブチルエチレングライコールエーテルを、
    1:1〜1:10の比率で配合したことを特徴とする木部処理
    用アリ防除剤。
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