JP2805385B2 - 多針ミシン - Google Patents

多針ミシン

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JP2805385B2 JP18668490A JP18668490A JP2805385B2 JP 2805385 B2 JP2805385 B2 JP 2805385B2 JP 18668490 A JP18668490 A JP 18668490A JP 18668490 A JP18668490 A JP 18668490A JP 2805385 B2 JP2805385 B2 JP 2805385B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は複数の針棒を備えていてそれらを選択的に
縫位置に位置させることにより、各々に付された複数種
の糸を選択的に利用して縫製を行ない得るようにしてあ
る多針ミシンに関する。
〔従来の技術〕
この種の多針ミシンとしては、横動自在の保持枠に、
夫々針を備える複数の針棒を上下動自在に装着し、保持
枠を横動させることによりそれらの針棒を選択的に縫位
置に位置させ、縫位置に位置した針棒を昇降機構により
上下動させて縫製を行なうようにしたものがある(例え
ば特公昭57−9837号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
この従来の多針ミシンでは、針棒の上下速度を上げて
縫製速度を高速化する為に、上記昇降機構による針棒の
上下動のストロークを小さくすると、針棒の上昇位置が
低くなって針とその下の針板との間隔が小さくなり、縫
製終了後におけるそこへの被縫製物の出し入れが難儀と
なる問題点があった。
本願発明は上記従来技術の問題点(技術的課題)を解
決する為になされたもので、縫製時には、縫位置にある
針棒を上昇位置よりも低い中間位置を上死点として上下
動させることによりそのストロークを小さくでき、しか
もそのように上死点を下げても、縫製後は上記針棒を他
の針棒と同様の高い上昇位置まで上げることができるよ
うにした多針ミシンを提供することを目的としている。
〔課題を解決する為の手段〕
上記目的を達成する為に、本願発明における多針ミシ
ンは、保持枠には、夫々下部に縫製用の針を備える複数
の針棒が夫々上昇位置と下降位置との間の上下動を自在
に並設してあると共に、上記各針棒には各々を上昇位置
に向けて付勢するばねが夫々個別に付設してあり、上記
保持枠は各針棒を交換的に縫位置に位置させ得るよう横
動自在に構成してあり、一方上記縫位置に位置させる針
棒を上下動させる為の昇降機構を有している多針ミシン
において、上記縫位置に位置させる針棒を上記上昇位置
よりも低い中間位置に押下げる為の押下機構を備え、上
記昇降機構の上下動の幅は、上記針棒を上記中間位置を
上死点として上下動させるように設定したものである。
〔作用〕
縫製時、縫位置に位置した針棒は押下機構によって中
間位置まで押し下げられる。昇降機構はその針棒を上記
中間位置を上死点として上下動させ、縫製が行なわれ
る。縫製終了後、縫位置の針棒は上昇位置まで上昇さ
れ、針下での被縫製物の取替や移動、あるいは保持枠の
横動による針棒の交換が行なわれる。
[実施例] 以下本願の実施例を示す図面について説明する。第
1、2図において、1は針板で、周知のごとく針孔1aを
有する。2は針板1の上方に設けられたミシンヘッドで
ある。該ミシンヘッド2について説明すると、3はヘッ
ドフレーム、4は上下動自在の針棒、5はカバー、6は
図示外の駆動装置によって回動されるようにした主軸、
7は主軸6により作動されて針棒4を上下動させるよう
にした昇降機構、8は針棒4を押し下げるようにした押
下機構を夫々示す。
次に上記針棒4に関連する構造について第3図をも参
照して説明する。10はヘッドフレーム3に枢着した針棒
の保持枠を示し、該保持枠10に複数の針棒4が夫々平行
な状態で、しかも第2図に示される上昇位置と第7図に
示される下降位置との間の上下動を自在に装着してあ
る。11は周知の針棒切替機構で、保持枠10を横動例えば
その回動中心(後述の案内棒と同心)を中心に回動させ
ることによって、複数の針棒4を選択的に縫位置即ち針
孔1aの上方位置に到来させ得るようになっている。符号
12〜21は針棒4に関連する公知(例えば特開昭51−9947
或は特開昭60−173156)の部材を示し、12は針棒の上端
に備えられた当片、13は下端に備えられた止具、14は
針、15は針棒4に対し上下動自在の押え体、16は布押え
部、17,18は針棒4を上昇位置に向けて付勢するばね
で、夫々圧縮ばねが用いてある。19は掛合部材、19aは
該部材19における下片で、当片12とばね18の上端との間
に介設してある。20は部材19における掛合部、21は掛合
部材19と一体化され、かつ下端を押え体15に連繋させた
振止片を夫々示す。
次に第2図に基づき針棒の昇降機構7について説明す
る。24は針棒4と平行な状態でヘッドフレーム3に取付
けた案内棒、25は案内棒24に対し上下動自在に装着した
昇降体、26は主軸6の回動力を受けて、昇降体25を上下
動させるようにした駆動機構で、一例として符号27〜31
の部材で構成されたクランク機構が用いてある。即ち27
は主軸6に固着した偏心輪、28はクランクロッド、29は
枢軸30でもってヘッドフレーム3に枢着したレバー、31
はレバー29の自由端と昇降体25との間を連繋させるよう
にしたリンクを夫々示し、主軸6の回動によりレバー29
が第6図及び第7図に示されるように上下に揺動し、そ
れによって昇降体25が上下動するようにしてある。
次に上記昇降体25及びそれに関連する構造について第
2、4、5図に基づき説明する。34は昇降体における本
体で、上下方向に穿設された透孔34aに前記案内棒24が
挿通されて、案内棒24に対する上下動が可能となってい
る。35は本体34における持出部で、図示される如く針棒
4の側に持出された部分である。36は針棒4との係合部
として例示する係合子で、上記持出部35の先部に枢着具
(例えばボルト)37によって枢着してある。38は係合子
36と一体形成の受アームで、その自由端部は二又状に形
成されて、次に述べる操作機構との係合部となってい
る。39は該係合部38における間隙を示す。次に40は上記
係合子36の操作機構を示す。41は該機構における操作手
段として例示するロータリーソレノイドで、ヘッドフレ
ーム3に固定してある。42はソルノイド41の回転軸41a
に取付けた駆動アーム、43はアーム42の先端部に取付け
た操作片で、針棒4と平行な方向に長く形成してあり、
前記間隙39に位置させてある。
次に第1、2図に基づき押下機構8について説明す
る。該機構8は縫位置に到来した針棒4を第2図に示さ
れる上昇位置から第6図に示される中間位置に押し下げ
る為のもので以下のように構成してある。45は押下手段
として例示するエアーシリンダで、取付片46によってヘ
ッドフレーム3に取付けてある。47は押下片で、エアー
シリンダ45におけるピストンロッド45aに取付けてあ
る。
次に上記構成のミシンの動作を説明する。
(A)縫製準備について 縫製が行われていない状態においては、縫位置の針棒4
も第1図に想像線で示されるように上昇位置にあって、
全ての針棒4は上昇位置にある。この場合、昇降機構7
における係合子36は第8図の状態にあり、第2図の如く
針棒4との連繋が断たれた状態となっている。この状態
において、被縫製物50例えば布体51,52でもって綿53を
サンドイッチにした状態のキルティングが、針板1の上
にもたらされる。この場合、全ての針棒4は高い上昇位
置にあって針板1と針14或いは布押え部16との間の間隔
が大きい(針板1と布押え部16との間隔は例えば27〜28
mm或いは35mm)為、上記被縫製物50を上記の場所にもた
らす作業は容易である。尚上記被縫製物50は単体で或い
は布駆動用の枠に装着された状態で上記の場所にもたら
される。
(B)縫製について 準備が完了すると、押下機構8におけるシリンダ45のピ
ストンロッド45aが伸長して押下片47により掛合部20が
押さえられ、縫位置にある針棒4が第6図の如く中間位
置に下降させられる(この場合布押え部16と針板1との
間隔は例えば17.5mmである)。そしてロータリーソレノ
イド41が作動され、操作片43が第4図に示される位置に
至る。この為係合子36は第6図に示されるように針棒4
との係合が可能な係合位置、即ち本実施例では当片12の
直上位置に位置する。この状態において主軸6が回動す
ると、前に述べたように昇降体25が上下動し、係合子36
は第6図の位置を上死点、第7図の位置を下死点とする
上下動の振り幅で上下動する。係合子36の下降過程では
係合子36が当片12を押し下げ、一方上昇過程では係合子
36が掛合部20を押し上げ、針棒4は上記第6図の位置を
上死点、第7図の位置を下死点として上下動する。この
上下動によって通常の如く縫製が行なわれる。尚被縫製
物50に刺さった針14を被縫製物50から引き抜く力が弱く
てよい場合、当片12が係合子36に当接した状態で、係合
子36の上動に伴いばね17,18により針棒4が押し上げら
れる場合もある。上記のように針棒4が上下動する場
合、針棒4の上下動のストロークが小さい為、その上下
動時の速度を一定値以下に制限した場合、1回の上下動
に要する時間はストロークが大きい場合に比べて少なく
て足りる。従って主軸6の回転数を高めて一定時間内の
上下動の回数を増大させることができ、縫製速度の高速
化を図ることができる。或いは逆に一定時間内の上下動
の回数が一定の場合は、針棒4の上下動の速度が遅くて
よく、従って布押え部16が被縫製物50を介して針板1を
叩く衝撃は小さくなって、縫製時の低騒音化を図り得る
効果もある。
(C)上記縫製中における目とびについて この場合には、昇降体25が第6図に示されるように上死
点に至った時点乃至は昇降体25が上記上死点に至る上昇
過程においてロータリーソレノイド41が第8図の如く作
動され、操作片43は第8図に示される位置に至る。この
為係合子36は第8図に示されるように上記係合位置から
退避した退避位置に至る。従って、引き続いて昇降体25
が下降するときには係合子36は当片12には係合せず、針
棒4を中間位置に残したまま昇降体25のみが下降する。
ソレノイド41が第8図の状態になっている間、係合子36
は上記のような退避位置に位置する為、昇降体25は針棒
4を伴うことなく上下動を繰り返す。これにより被縫製
物に対する縫製は目とびの状態となる。
(D)縫製に用いる針棒4の切替について 第6図の如く針棒4が中間位置まで上昇した状態におい
て、係合子36が第8図の位置に退避され、次にシリンダ
45のピストンロッド45aが第2図の如く収縮し、針棒4
はばね17の付勢力によって上昇位置まで上昇される。こ
の状態において針棒切替機構11が作動され、次に縫製に
用いる針棒4が縫位置に位置される。その後は前記
(B)の場合と同様の動作が行われる。
(E)被縫製物の取替の場合 前記(D)場合と同様に針棒4が上昇位置に上昇され、
被縫製物の取替が行われる。
〔発明の効果〕
以上のように本願発明にあっては、縫製を行なう場
合、複数の針棒4,4・・・を交換的に縫位置に到来させ
ることにより、各針別に夫々付された複数種の糸を選択
利用して縫製できるは勿論のこと、 縫位置にある針棒4によって縫製をする場合、上昇位
置よりも低い中間位置を該針棒4の上死点として上下動
させるから、縫製の為のストロークを小さくして針棒4
の上下動に要する時間を短くできる特長がある。このこ
とは、前述の如く針棒4の上下動回数を増して縫製速度
の高速化を図り得る有用性がある。
しかも上記のように縫位置の針棒4の上死点を低くし
たものであっても、縫製終了後は、その針棒4の押下げ
を解くことによって他の針棒と同様の高い上昇位置まで
上昇させることができ、針14と針板1との間隔を大きく
できて、キルティングのような嵩高の被縫製物であって
も針下の位置への出し入れを容易化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本願の実施例を示すもので、第1図はカバーの一
部を破断して示すミシンヘッドの正面図、第2図はミシ
ンヘッドの縦断面図、第3図は複数の針棒と昇降機構と
の関係を示す略示斜視図、第4図は係合子が係合位置に
ある状態において昇降体と針棒との関係を示す平面図
(案内棒及び昇降体の本体に関しては第2図のIV−IV線
位置での断面を示すと共に、一部の針棒における掛合部
材の一部を破断した状態を示す)、第5図は昇降体及び
それと操作機構との関係を示す分解斜視図、第6図は針
棒が中間位置にある状態を示すミシンヘッドの縦断面
図、第7図は針棒が下降位置ある状態を示すミシンヘッ
ドの縦断面図、第8図は係合子が退避位置に移動した状
態を示す第4図と同様の図。 4……針棒、7……昇降機構、8……押下機構、10……
保持枠、17,18……付勢用のばね、36……係合部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保持枠には、夫々下部に縫製用の針を備え
    る複数の針棒が夫々上昇位置と下降位置との間の上下動
    を自在に並設してあると共に、上記各針棒には各々を上
    昇位置に向けて付勢するばねが夫々個別に付設してあ
    り、上記保持枠は各針棒を交換的に縫位置に位置させ得
    るよう横動自在に構成してあり、一方上記縫位置に位置
    させる針棒を上下動させる為の昇降機構を有している多
    針ミシンにおいて、上記縫位置に位置させる針棒を上記
    上昇位置よりも低い中間位置に押下げる為の押下機構を
    備え、上記昇降機構の上下動の幅は、上記針棒を上記中
    間位置を上死点として上下動させるように設定してある
    ことを特徴とする多針ミシン。
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