JP2804849B2 - 赤外線温度画像測定装置及びそれを備えた成膜装置 - Google Patents

赤外線温度画像測定装置及びそれを備えた成膜装置

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JP2804849B2
JP2804849B2 JP2405836A JP40583690A JP2804849B2 JP 2804849 B2 JP2804849 B2 JP 2804849B2 JP 2405836 A JP2405836 A JP 2405836A JP 40583690 A JP40583690 A JP 40583690A JP 2804849 B2 JP2804849 B2 JP 2804849B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線画像を用いて温
度測定対象物の温度を測定する赤外線温度画像測定装置
及びそれを備えた成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、簡便に加熱対象物の温度を測
定する方法は、一般的に以下の二種類の方法が取られて
いる。その第一の方法は、測定対象物に対して熱電対を
接触させ、その起電力を測定し温度を知る方法である。
この方法は、例えば、特開昭60−131430号公報
中にも述べられているように、半導体基板や、磁気ディ
スク基板、光ディスク基板のような基板の両面を使用す
る基板に対して、熱電対を接触させることにより、その
基板表面が損傷を受けてしまうと言う問題がある。また
接触することにより、塵埃が発生する恐れもある。更に
この測定方法では、熱電対を接触させた部分の局部的な
温度が測定できるのみで、広い領域にわたる被測定物の
温度分布を測定することは、非常に困難であった。
【0003】第二の方法は、測定対象物から放射される
特定波長の赤外線強度を測定し、測定対象物の輻射率と
温度換算テーブルから温度を求める方法である。黒体の
放射強度と赤外線スペクトル分布および温度の関係は、
プランク(Planck)の法則により一義的に決まる
ことが原理的に明かである。この方法は、例えば特開昭
60−131430、特開昭62−79641、特開昭
63−24133号公報等で述べられているように、測
定対象物に対して非接触で被測定物の温度を測定するこ
とができる。しかし、特開昭60−131430、特開
昭62−79641号公報は、石英等の光ファイバーを
用い赤外線を検出器まで導き温度を測定しており、一点
を測定していることになる。従って、二次元的な温度分
布を測定するには不向きであった。
【0004】一方、二次元的な温度分布を非接触で測定
する手段として、一般的に赤外線画像撮像装置、いわゆ
る赤外線カメラ(または、サーモグラフィー等と呼ばれ
ている)が使用されていることは周知の通りである。こ
れは、測定対象物から放射される赤外線を二次元の赤外
線画像として撮像し、この画像の赤外線強度から温度を
換算し、温度画像を得るものである。なお、これに関連
するものとしては、例えば特開昭63−217238号
公報が挙げられる。これによれば、スキャナで基板上を
直線的に走査し、ミラーブロックMBを光軸OXを中心
に回転させ、結果として二次元的な走査を行って赤外線
強度を測定し、基板の温度分布を求めている。
【0005】精密な温度制御が必要な従来の真空薄膜形
成装置において、真空槽内で移動する基体を加熱する場
合には、赤外線ランプヒータや電熱線ヒータなどの発熱
体(加熱ヒータ)を用いて基体を加熱していた。この
時、基体の加熱温度を制御する方法は、発熱体付近又は
基体付近の固定された特定点の温度を熱電対により計測
し、この温度が目標温度になるようフィードバック制御
する。また、この他に温度計測によるフィードバック制
御を行わず、単にヒータに流す電流値を制御するだけで
ヒータの温度を制御する方法もある。そして、この発熱
体から放射される輻射熱と、その経過時間によって基体
の温度を目的とする温度に制御していた。これら方法
は、真空槽内を移動する基体の温度を直接計測し、基体
自身の温度を制御することが困難であると言う理由か
ら、多くの場合これら方法が採用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で、二次
元的な温度分布を赤外線カメラで測定する手法は、被測
定物の測定範囲が狭い場合については有効であった。例
えば、半導体基板一枚を測定する場合の様に測定範囲が
直径200mm程度であれば十分機能していた。しか
し、これ以上の大面積になると、特に蒸着やスパッタ手
法を用いた真空成膜装置や、熱処理炉や真空加熱槽など
では、装置上の制約から容易に目的としている範囲の温
度分布を測定することができなかった。例えば、真空成
膜装置や熱処理炉などは、槽内が真空であったり、高温
であったりする為、測定のための赤外線を透過する窓を
必要以上に大きくできない。そのため、例えば500m
m×700mm程度の大きさの物を測定対象とする場合
は、温度分布を1回の赤外線カメラでの撮影では測定で
きなかった。更に、槽内で測定対象物が移動している場
合に於いても測定が可能であることが必要であったが、
今までは、この様な測定対象物の温度計測を行える手段
がなかった。
【0007】一方、測定対象物を遠方より赤外線カメラ
にて撮像して、広範囲に渡る測定を行う方法があるが、
この場合には光路が長くなるため測定系が大きくなり、
温度画像が小さくなってしまう。また赤外線カメラと測
定対象物の間に存在する大気が赤外線を吸収し、測定に
悪影響を及ぼしてしまうと言う問題も生じる。また、上
記特開昭63−217238号公報記載のような加熱制
御方法では、ヒータから放射する赤外線が基板温度の測
定に悪影響を与えることが配慮されていなかった。この
ように、非接触でかつ大面積の温度分布を測定する場
合、特に真空中や高温中で移動する大面積の物体の温度
を簡単に非接触で精度良く測定する有効な手段はなかっ
た。
【0008】広い面積を有する加熱対象物を加熱する場
合には、しばしばその温度分布が問題となる。例えば、
上記の薄膜形成装置に関して言えば、膜を形成する基体
に不均一な温度分布が生じると、形成された膜質にばら
つきが生じる。その為、基体が均一に加熱されるような
加熱装置、及び加熱ヒータを制御する機能が必要であっ
た。また、均一に加熱されているかどうか基体の温度分
布を観測することが必要であった。上記成膜装置におけ
る従来の基体の加熱制御方法につき更に詳述すると、多
くの場合次ぎの二通りの方法が用いられるが、その第一
の方法は、発熱体付傍、もしくは基体付傍の温度を固定
された熱電対により計測し、この計測値を目標値温度に
合わせるように発熱体の投入電流をフィードバック制御
する方法である。しかしこの方法は、熱電対の固定点が
ずれると発熱体の発熱温度が変わってしまう問題があっ
た。即ち、基体の温度を直接測定して加熱制御を行って
いないため、基体自身の温度が目標値からずれていても
解からない。この為、基体温度を再現性、並びに温度制
御性が悪かった。
【0009】第二の方法は、基体から放射する赤外線の
強度を測定し、これを温度に換算して、基体温度の情報
を得る方法である。この方法で測定された基体自身の温
度から、発熱体の投入電力を制御する方法である。しか
しこの方法では、基体から放射される赤外線のみなら
ず、発熱体から放射される直接的な、または反射してき
た間接的な赤外線が、温度計測装置の受光素子に入射し
てしまい、誤差を発生させる。これら誤差発生の原因と
なる赤外線は、強度が強く、温度測定の為の基体が放射
してくる赤外線が埋もれてしまい、基体の真の温度測定
が不能になったり測定結果が不正確になってしまうとい
う問題が生じた。
【0010】一方、加熱された基体に温度分布が存在す
ると、成膜後の膜物性に分布が生じてしまうことがあ
る。例えば磁気ディスク円板の場合、円板内で温度分布
が生じると成膜した磁性膜の磁気特性に差が生じ、磁気
ディスク円板一周の再生出力にうねりが発生する。ま
た、複数のディスク基板を保持して成膜するパレット内
で温度分布が生じると、同一パレット内で成膜された磁
気ディスク基板の磁気特性に大きなばらつきが生じてし
まうことがあった。
【0011】本発明の目的は、上記従来の問題点を解消
することにあり、その第1の目的は赤外線画像から二次
元の温度分布の測定が可能な温度計測器である赤外線カ
メラを用い、この赤外線カメラが一度に撮影できない様
な広範囲の測定対象物(以下基体と略称)に対しても、
温度分布の計測が可能な赤外線温度画像測定装置を、第
2の目的はそれを備えた成膜装置を、それぞれ提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
には、広い面積を有する基体の温度分布を測定する手段
が必要となる。広に面積の温度測定を行うには、1回の
撮像で取り込める赤外線撮像装置の視野の広さに限界が
あるので、二次元の温度画像を複数の領域に分割して測
定し、その後この分割された温度画像情報を合成して再
生することにより、広範囲の測定基体に対しても温度分
布の測定が可能となる。分割測定された温度画像情報を
合成、再生する手段は、周知の小形コンピュータ等で可
能であり必ずしも専用機は必要としない。
【0013】分割して温度画像を計測する方法として
は、固定された基体に対して赤外線カメラを移動させて
温度画像を取り込む方法、カメラを固定し測定基体を移
動させて温度画像を取り込む方法、赤外線カメラと測定
基体とを相互に移動させて温度画像を取り込む方法等が
ある。更に、赤外線カメラを固定しておき、赤外線光路
に赤外線をレンズ、ミラー等で反射、集光させて赤外線
カメラに像を写しだす光学系がある場合、この光学系を
移動させながら分割した温度画像を測定する方法もあ
る。
【0014】上記の温度分布の測定方法を応用して大面
積の加熱基体が均一な温度分布を示すように加熱を行う
ことができる加熱装置について以下に述べる。基体を加
熱する手段として一般的に知られているものには、例え
ば、電熱器、電磁加熱器、高周波加熱器等、種々の方法
があるが、ここでは加熱機構として加熱ランプ、電熱ヒ
ータ等の電熱器を用いた加熱装置について述べる。大面
積の加熱基体に対して均一な温度分布を得るには、均一
な温度分布を必要とする面積に応じ、その面積と同等以
上の範囲に複数個の加熱機構を配置する。この時の配置
方法は、温度分布が発生し易い方向に配置する必要があ
る。これら複数個の加熱機構は、各々が独立して出力を
制御できる装置である必要がある。
【0015】このような加熱機構と出力制御機構を持つ
加熱装置は、加熱基体の加熱温度が低い部分は出力を大
きく、加熱基体の加熱温度が高い部分は出力を小さく出
力制御機構を設定することにより、加熱基体の目的とす
る範囲内の温度分布を均一にすることができる。更に、
前述した赤外線温度画像計測装置を用い、測定した広範
囲にわたる二次元の温度分布画像より温度分布を検出し
て、目的範囲内の温度分布が予め定められた所定の均一
な温度分布になる様に出力制御機構を自動制御する装置
にすることもできる。
【0016】上述した温度分布の計測手段と加熱装置と
を真空薄膜形成装置に設ければ、膜を形成する基体の温
度分布を均一にできるため、形成した膜の品質を一様に
することができる。つまり、この種の成膜装置において
は、基体の温度分布が形成される膜の均一性に直接影響
するものであるから、本発明の手段を備えた成膜装置に
よれば上述のように品質の一様な優れた成膜を実現する
ことができる。また、加熱装置も同様であり、基体に対
して均一な温度制御が可能であることから熱処理された
処理基体は均一に加熱されるため、得られる処理基体の
品質が一様になる。
【0017】以下、本発明の目的達成の手段につき、更
に具体的に説明する。先ず、本発明の上記第1の目的
は、 (1)加熱された基体から放射する赤外線を撮像して赤
外線画像を生成する赤外線撮像装置と、この赤外線画像
を赤外線温度画像情報に変換して前記基体の温度計測を
行う手段とを具備して成る温度計測装置であって、前記
基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して撮像する手
段と、前記撮像装置により時間的、空間的に分割されて
撮像された個々の赤外線画像情報を赤外線温度画像情報
に変換する手段と、この分割された赤外線温度画像情報
を逐次蓄積し、この蓄積された前記基体全体の赤外線温
度画像情報を合成して前記基体全体の温度分布を再生す
る手段とを有して成り、前記基体の赤外線撮像領域を複
数個所に分割して撮像する手段を、前記基体を一定方向
に移動させ、この移動に同期させて前記基体を部分的に
分割して前記赤外線撮像装置により赤外線画像を複数回
にわたり撮像する構成とした赤外線温度画像測定装置に
より、また、 (2)上記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して
撮像する手段を時間的、空間的に制御する制御系と、こ
の分割撮像された赤外線画像情報に基づいて赤外線温度
画像情報に逐次変換された温度情報を蓄積する手段と、
この蓄積された前記基体全体の赤外線温度画像情報を合
成して前記基体全体の温度分布を再生する手段とを備え
た主制御装置を有して成る上記(1)記載の赤外線温度
画像測定装置により、また、 (3)上記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して
撮像する手段として、前記基体を一定方向に移動させ、
この移動に同期させて前記基体を部分的に分割して上記
赤外線撮像装置により赤外線画像を複数回にわたり撮像
する構成とした上記(1)もしくは(2)記載の赤外線
温度画像測定装置により、また、 (4)上記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して
撮像する手段として、前記基体を一方向に移動させ、こ
の基体の移動方向に対して直交する方向に細長いスリッ
ト状に分割して上記赤外線撮像装置により赤外線画像を
複数回にわたり順次基体の移動と同期させて撮像する構
成とした上記(1)もしくは(2)記載の赤外線温度画
像測定装置により、また、 (5)上記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して
撮像する手段として。上記赤外線撮像装置を所定の測定
範囲内で移動可能な構成とし、一区画で赤外線画像を測
定している間は静止しており、前記移動可能な範囲内で
順次隣接する領域を移動しながら複数回にわたり分割し
て撮像するようになした上記(1)もしくは(2)記載
の赤外線温度画像測定装置により、そしてまた、 (6)上記主制御装置に一次蓄積された基体全体の赤外
線温度画像情報を逐次蓄積する外部記憶装置を具備して
成る上記(2)記載の赤外線温度画像測定装置により、
達成される。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】上記第2の目的は、 (11)薄膜を形成する基板とこれを保持する治具から
なる基体に、加熱処理を施す加熱機構と、加熱された基
体から放射する赤外線を撮像して赤外線画像を生成する
赤外線画像装置と、この赤外線画像を赤外線温度画像情
報に変換して前記基体の温度計測を行う手段とから成る
赤外線温度画像測定装置を具備した真空薄膜形成装置に
おいて、前記加熱機構は独立に出力制御できる複数個の
加熱機構を配設したものであり、前記赤外線温度画像測
定装置により前記複数個の加熱機構の出力制御が行われ
る手段を具備しており、真空薄膜形成装置内における前
記加熱機構の部位と、加熱された基体の温度を計測する
部位とが仕切り板を介して位置的に隔てらた異なる位置
に配設して成る真空成膜装置により、達成される。ま
た、上記第2の目的は、 (12)真空槽と、この真空槽を真空排気する手段と、
この真空槽内の試料台(もしくは試料保持手段)に基体
が所定の加熱温度で保持されて薄膜を形成する手段とを
有する真空薄膜形成装置であって、前記基体を所定加熱
温度で保持する手段として、下記(8)、(9)もしく
は(10)記載の加熱装置を具備して成る真空成膜装置
により、達成される。すなわち、 (8)加熱槽内に基体と対向配置した加熱機構と;この
加熱機構により加熱された前記基体から放射する赤外線
を撮像して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、こ
の赤外線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体
の温度計測を行う手段とを有して成る温度計測装置と;
この温度計測装置からの出力に基づいて前記基体の温度
を加熱制御する温度制御装置とを備えた加熱装置であっ
て、前記温度計測装置を上記(1)、(2)、(3)、
(4)、(5)もしくは(6)記載の赤外線温度画像測
定装置で構成すると共に、予め設定された基体の所定加
熱温度分布からのづれ量を演算処理する手段と、この演
算出力に基づいて発生させたディジタル制御信号をアナ
ログ信号に変換して前記加熱機構の温度を適正温度分布
に制御する温度制御手段とを備えて成る加熱装置によ
り、また、 (9)上記(2)もしくは(4)記載の赤外線温度画像
測定装置の主制御装置に、上記予め設定された基体の所
定加熱温度分布からのづれ量を演算処理する手段と、こ
の演算出力に基づいて上記温度制御手段を制御するディ
ジタル制御信号を発生させる手段とを配設して成る上記
(8)記載の加熱装置により、そしてまた、 (10)上記加熱槽内に独立した加熱機構を、基体の温
度分布が生じる方向に複数個配設し、これ等各々の加熱
機構を独立して、上記温度制御手段によりその出力制御
を行い基体の加熱温度を予め設定された所定温度分布に
設定し得るようにして成る上記(8)記載の加熱装置に
より達成される。上記第2の目的は、また、(13)上
記真空槽をスパッタリング処理室として成る上記(1
2)記載の真空成膜装置により、また、 (14)仕込み室、加熱室、スパッタ室及び取り出し室
がそれぞれゲートバルブを介して直列に接続されると共
に、前記各室に排気系が接続されそれぞれ独立に各室を
排気する手段と、複数の基体の両面がそれぞれ開放され
て保持される複数のパレット群を前記仕込み室に挿入
し、これを前記加熱室、スパッタ室及び取り出し室の各
室に順次搬送する手段とを具備して成り、前記加熱室を
上記(8)記載の加熱装置で構成して成るスパッタリン
グ成膜装置により、また、 (15)上記真空槽をCVD処理室として成る上記(1
2)記載の真空成膜装置により、そしてまた、 (16)仕込み室、加熱室、CVD処理室及び取り出し
室がそれぞれゲートバルブを介して直列に接続されると
共に、前記各室に排気系が接続されそれぞれ独立に各室
を排気する手段と、複数の基体の両面がそれぞれ開放さ
れて保持される複数のパレット群を前記仕込み室に挿入
し、これを前記加熱室、スパッタ室及び取り出し室の各
室に順次搬送する手段とを具備して成り、前記加熱室を
上記(8)記載の加熱装置で構成して成るCVD成膜装
置によっても、達成される。
【0022】上記(12)〜(16)記載の真空成膜装
置、スパッタリング成膜装置及びCVD成膜装置に適用
する際の更に好ましい基体の温度計測方法及び基体の加
熱装置について以下に説明する。基体の温度分布を測定
する方法は、前述の通り赤外線撮像装置(カメラ)により
基体が放射する赤外線画像を撮像し、これを基体の温度
画像に変換する方法が簡便である。また、温度画像とす
ることで温度分布が視覚的で理解しやすい。このとき、
加熱機構となる加熱ヒータから放射する赤外線の直接光
及び反射光を避ける為に、赤外線カメラを加熱ヒータか
ら隔てた位置に設置し、必要に応じて遮蔽板を用い、加
熱ヒータからの赤外線の直接光や反射光が赤外線カメラ
に入射しない構成として温度計測を行うことが望まし
い。更に真空槽中の基体を撮像するには、反射防止膜を
施したSi等の赤外線の透過率の高い窓を真空槽の温度
測定部に設けたダクトに設置し、更に赤外線光路となる
ダクト内を含む真空槽の内壁を例えば、陽極酸化等によ
る黒体化処理を施して、輻射率を高め赤外線が内壁で反
射せず吸収される構成とすることが望ましい。これによ
り、加熱ヒータからの影響の無い良好な赤外線画像及び
温度画像が得られ、基体の温度分布を精度よく測定する
ことが出来る。
【0023】また、加熱装置においは、複数個に分割さ
れた個々の加熱ヒータのそれぞれを独自に温度制御可能
な機能を有する集合体で構成し、赤外線温度計測装置に
より基体全体の温度分布を実測し、かつ、目的とする設
定温度値との温度差を演算させる。この演算結果から加
熱制御装置は、実測された温度分布に応じて個々の加熱
ヒータの出力を制御し、基体全体が目的とする設定温度
値になるように動作する。その結果、温度分布が生じる
ことなく、基体全体の温度が均一に目的する一定温度に
設定される。
【0024】これら赤外線温度計測手段と加熱制御手段
は、成膜装置の加熱装置として好ましくは、特に磁気デ
ィスク等の比較的面積の大きい基体に薄膜をスパッタ法
等で形成する装置に好適である。これにより成膜装置
は、広い面積の基体温度分布が測定でき、特に連続的に
成膜する装置においては、この温度分布情報に基づいて
次に移動してくる基体に対して、ヒータ出力のフィード
バック制御を行うことにより、基体の温度分布が均一
で、常に安定した加熱制御が可能となる。
【0025】
【作用】広範囲にわたる温度画像を測定する装置と、そ
の測定方法及びこれを応用した加熱装置と、更にはかか
る加熱装置を備えた真空薄膜形成装置(成膜装置)につい
ての一例を具体的に示し、以下に本発明の作用について
詳述する。
【0026】(1)装置構成 図1は、温度測定装置の基本構成を説明するためのブロ
ック概略図で、測定対象物の基体の赤外線カメラを移動
させながら温度画像を分割して測定する装置例を示す。
測定対象物である平板状の基体1は、搬送系2によって
搬送系制御装置3の制御により一定方向(この例では矢
印方向)に搬送、停止することができる構成となってい
る。赤外線カメラ4の先端には、ダクト5が設置されて
おり、これに赤外線カメラ4が固定されている。赤外線
カメラ4とダクト5は、更にリニアステージ6上に設置
されており、このリニアステージ6及びリニアステージ
駆動系10により赤外線カメラ4とダクト5は、基体1の
搬送方向に対して垂直、かつ基体と平行方向に往復移動
することができ機構となっている。
【0027】なお、この例ではダクト5は、基体1の搬
送方向に対して垂直方向に長細い形状をしており、従っ
て一度に測定できる画像領域の範囲もこれに従い、a、
b、c、dで囲まれた枠内の範囲となる。赤外線カメラ
4で計測された画像情報は、赤外線画像であるため、赤
外線カメラ制御装置4−1でこれを温度画像情報に変換
する。赤外線カメラ制御装置4-1は、赤外線カメラモ
ニタ4−2に温度測定画像を写し出し、また主制御装置
7の温度画像データの送信要求に対してデータを送信す
る機能を有する。主制御装置7は、位置検出器8、搬送
系制御装置3の割り込み要求を受信し、リニアステージ
制御装置11、赤外線カメラ制御装置4−1の制御を司
り、部分的に測定され、これを逐次一時的に蓄積した温
度画像情報を合成し、モニタ7−1に温度合成画像情報
を出力し、また合成した温度画像情報を外部記憶装置7
−2に保存する機能を有する。
【0028】(2)温度測定手順 この装置による温度測定手順を以下に説明する。基体1
に温度測定範囲の位置を示すマーカ9を取り付け、それ
を位置検出器8のセンサ8−1で検出することにより測
定を開始する。基体1の搬送方法は、搬送方向の温度測
定範囲に相当する長さを間欠的に搬送するステップ搬送
の場合と、一定の速度で搬送する定速搬送の場合があ
る。いずれの場合も測定可能であるが、ここでは以下の
二つの例について説明する。
【0029】ステップ搬送例 ステップ搬送しながら測定する方法を図2のフローチャ
ートに示す。搬送系制御装置3は、基体1を周期的に等
間隔で間欠的に搬送する。主制御装置7は、位置検出器
8により基体のマーカ9を検出したら、搬送系制御装置
3からのステップ搬送終了時に発生する割り込みを許可
し、直ちにリニアステージ駆動系10によって赤外線カ
メラ4とダクト5を測定位置へ移動させ温度画像を測定
する。赤外線カメラ制御装置4−1は、温度画像データ
を主制御装置7へ転送する。その後、主制御装置7は、
直ちに次の測定位置へ赤外線カメラ4とダクト5を移動
させ、温度画像情報を測定し、データを転送してもら
う。搬送が停止している間にこれをP回繰り返し、基体
1が1ステップ搬送されるときを待つ。その後、搬送系
制御装置3は搬送系2を制御し、基体1がa−b間の距
離を1ステップ搬送され、一時停止した後に主制御装置
7に対して割り込みを発生する。そして同様に赤外線カ
メラとダクトを移動させながら温度画像をP回測定す
る。
【0030】以上の手順をQ回繰り返し、目的とする測
定範囲の温度分布を測定する。この時、主制御装置7で
は、転送してきた温度画像情報を図3のモニタ画面に示
すように順次合成する。つまり1回の測定で得た二次元
の温度画像情報d(y,x)を主制御装置7内のデータ
配列(y,x)の位置に再配列して行きながら一枚の温
度合成画像を作る。この時の測定範囲は、Q・(a−b
間距離)×P・(b−c間距離)となる。目的範囲の測定
を終了したならば、搬送系制御装置3からの割り込みを
禁止し、合成したデータを外部記憶装置7−2へ保存す
る。そして次の基体の測定待ち状態となる。
【0031】定速搬送例 次に基体1を定速搬送させる測定法は、赤外線カメラ4
を移動させずに基体1のみを搬送しながら測定する場合
について記載する。定速搬送しながら測定する方法を図
4のフローチャートに示す。定速搬送する測定法は、位
置検出器8により測定位置を検出したら、基体1の搬送
速度vと測定視野a−b間の距離wより、wを搬送する
所要時間tを計算し、t秒間隔のタイマー割り込みを設
定する。その後直ちに第1回目の温度画像を測定、デー
タ転送を行い主制御装置7に温度画像データを再配列す
る。後はt秒毎にタイマー割り込みが生じ、その都度a-
b-c-d の撮像視野を測定、データ転送し、主制御装置7
で温度画像を合成して行く。目的とする測定範囲である
Q回のデータを取り終えた後、タイマー割り込みを禁止
し、合成した画像の表示と画像データを外部記憶装置7
−2へ保存する。そして次の基体の測定待ち状態とな
る。つまり、1回の測定で得た二次元の温度画像データ
d(y,1)を主制御装置7内のデータ配列(y,1)
の位置に再配列して行きながら一枚の温度合成画像を作
る。この時の測定範囲は、Q・(a−b間距離)×(b−
c間距離)となる。
【0032】(3)加熱装置への応用例 上記の赤外線温度計測装置を用い、加熱領域の温度分布
を検出して加熱装置の出力を個々に制御し、均一な温度
分布を実現する加熱装置例を図5に示す。即ち、図5
(a)は一部断面正面図、図5(b)は一部断面側面図
を示し、搬送系2により長方形の板状の基体1を加熱搬
送する装置に、前述の本発明の温度計測装置(ただし、
カメラ4とダクト5は固定)と加熱機構(ヒータ)13
とを付加した加熱装置の要部構成例である。また、図6
は、温度計測に基づいて加熱装置における加熱機構13を
制御する全体の制御系について示したものである。
【0033】搬送される基体1の個々に分割して計測さ
れた温度画像情報を一つの画像に合成する方法は、上述
の通りである。主制御装置7では、合成した温度画像情
報に取づき、設定した温度と測定した温度画像から温度
分布を検出する。加熱槽12内の加熱機構13は、個々
に温度制御ができるように各々が加熱制御装置14を持
つ。そして、主制御装置7で検出された基体の温度分布
は、予め所定値に設定された加熱設定温度との差に応じ
て個々の加熱機構13への出力を算出し、制御データを
生成する。つまり、温度制御用のディジタル信号を発生
させる。D/A(Digital/Analogue)変換器15で
は、この制御データより個々の加熱制御装置14に対し
てアナログ信号を発生する。加熱制御装置14は、この
アナログ信号に比例した出力で加熱機構13を駆動し基体
1を加熱する。従って、現在加熱している基体は、これ
以前に加熱された基体の温度分布情報により、温度分布
が小さくなる様に補正された個々の加熱機構の出力によ
り加熱される為、均一な基体1の加熱が可能となる。
【0034】(4)真空薄膜形成装置(成膜装置)への
応用例 本発明がどのように作用するか、後の実施例において詳
述する図15のスパッタ装置図を用いて説明する。同図
(a)は横断平面図を、同図(a)は縦断正面図を示し
たものである。この装置の構成は、仕込み室19、加熱
室20と温度測定室30とを有する加熱槽12、スパッ
タ室21、取り出し室22が直線的に連なる連続成膜装
置であり、各室はゲートバルブ23で仕切られており、
独立した排気系24を持っている。スパッタ室21は、
多層膜を連続的に成膜できるようにこの例では21−
1、21−2、21−3の3室に仕切られており、種類
の異なる材料を両面同時に成膜することができる。基板
17は、パレット18と呼ばれる複数の基板を保持する
ホルダに装着される。仕込み室19及び取り出し室22
は、複数枚のパレット18をストックすることができ、
成膜時には仕込み室19から連続的に搬出され、加熱、
成膜できる装置構成となっている。
【0035】図16(a)は、図15から加熱槽12を
抜き出した要部断面図である。図示のように加熱槽12
は、加熱室20と温度計測室30とに別れている。パレ
ット18は、搬送系2により一定速度で移動しながら加
熱室20で加熱される。その後、温度計測室30の前を通
過することにより、センサ8−1〔図15(b)参照〕で
パレット18を検知し、測定が開始される。加熱ヒータ
13の位置に対する温度計測室30の設定位置は、加熱
ヒータ13より下流側で、スリット状の仕切り板29を
加熱室20と温度計測室30との間に設置した。このス
リット状の仕切り板29は、加熱ヒータ13からの赤外
線が温度計測室30に入射するのを防止するためのもの
である。また、真空ダクト5内部や仕切り板29を含む
温度計測室30の内壁を粗面化し、黒体化処理(例えば
陽極酸化による)することが望ましく、これにより内壁
の輻射率を高め赤外線の反射光に基づく測定誤差を低減
することができる。このような好ましい構成を採ること
により、基体の温度測定に際しては加熱ヒータ13から
の直接光や反射光の影響を受けないため、正確な基体の
温度分布測定が可能となる。
【0036】図16(b)は、同図(a)のA−A′断
面を拡大した縦断側面図である。真空ダクト5は、真空
槽(加熱槽12)に直接取り付けられ、温度計測室30
の一部を構成し内部は加熱室20と同様に高真空に排気
される。赤外線画像を撮影する為の赤外線窓31は、赤
外線検出系が感度のある波長、3〜5μmを透過する反
射防止膜を被覆したSi材を用いた。この時、真空ダク
ト5内は高真空であるため、パレット18から赤外線カメ
ラ4までの距離が長くても空気の対流や水蒸気による吸
収の影響がなくなり、良好な温度分布画像が得られ、測
定精度が向上する。
【0037】図15図に示した加熱室部20と温度計測
室30を用いた加熱制御を行う制御系を図17、及び図
18に示す。搬送されるパレット18の温度画像の合成
の方法は、真空ダクト5による視野範囲(図18のa、
b、c、dで囲まれる範囲)を一度に測定できる温度測
定範囲として、基体の搬送速度vに同期させて測定する
タイミングを取りながら、順次周期的に測定する。この
時のタイミングは、a−b間距離を搬送に要する時間で
あるから(a−b間距離)/v秒となる。1回で測定し
た赤外線画像は、その輝度に応じて赤外線カメラ制御装
置4−1で温度画像に変換されて主制御装置7に送信さ
れ、主制御装置は、これを保持する。次の測定タイミン
グで得られた温度画像データを主制御装置7に転送し、
ここで2つの温度画像データを合成する。更に、次の測
定タイミングで測定されたパレットの温度画像と、今ま
でに測定された温度画像データとの合成を行う。
【0038】このように基体(パレット18)の部分的
な温度分布画像を逐次撮像し、これを画像合成すること
で1回の撮像で測定し切れない広い範囲の基体でも全体
の温度分布画像を得ることができる。そして、図19
(a)、(b)に示すように主制御装置7のモニター7
−1に表示される画面には、温度画像の合成順にリアル
タイムで温度分布画像をカラー表示する。温度分布画像
は、同図(a)の画面内(1)に示したように温度の高
低を16段階で表示し、各段階の色を変えてカラー表示
する。この時寒暖色を使い分け、温度が高い程暖色に、
温度が低い程寒色になる様に配色することで、視覚的、
感覚的に温度分布が理解しやすくした。この他に、画面
内(2)、(3)、(4)、(5)に示したように目標
温度、各ヒータの設定温度、ヒータの出力電流値、など
のヒータ情報や、指定点の温度、目標値との差、基板温
度の推移など温度分布情報を同時に表示することで視覚
的に理解し易くした。また、同図(b)の画面内
(6)、(7)、(8)に示したように、更に基板平均
温度や各測定点温度のパレット間推移の変化等が、同時
に解かるような表示方法も用意した。
【0039】図17、図18に示したように加熱ヒータ
13は、個々に温度制御ができるように各々が加熱制御
装置14を持つ。発熱体には、その近傍に加熱ヒータの
温度を測定する熱電対33を取り付け、加熱制御装置1
4は、目標設定値に対して、熱電対33の出力による発
熱温度のフィードバック制御を行う。主制御装置7で
は、設定した温度と合成した温度画像に基づき、温度分
布を演算し、加熱設定温度との差に応じて個々の加熱ヒ
ータの発熱体設定値の発熱温度を算出し、制御データを
生成する。温度画像データ及び温度分布データは、ディ
ジタル処理されているため、算出される制御データは、
ディジタル信号となる。D/A(Digital/Analogue)
変換器15では、主制御装置7が送信する制御コードを
解釈して、個々の加熱制御装置14に対して温度設定値
のアナログ信号と、加熱ヒータ入/切信号を発生する。
加熱制御装置14は、この設定値の大きさに応じて加熱
ヒータ13を駆動しパレット18を加熱する。従って、
現在加熱している基体は、これ以前に加熱された基体の
温度分布情報に基づいて温度分布が小さくなるように補
正された個々の加熱ヒータ13の出力によって加熱される
為、均一なパレット18の加熱が可能となる。
【0040】
【実施例】本発明の一実施例を以下、図面を参照しなが
ら説明する。 〈実施例1〉 この実施例は、温度測定方法と温度測定装置に関するも
ので、始めに全般的な実施状況について説明する。つま
り、本発明の特徴である温度測定領域を複数個所に分割
して温度画像を計測し、この個々の温度画像を蓄積し
て、全体の計測が完了した段階でこれらを一つの温度画
像として合成し、再生する方法及び手段について、いく
つかの例を提案している。例えば、固定した赤外線カメ
ラに対して測定対象である基体をX,Y方向に走査する
方法や、固定した基体に対して赤外線カメラをX,Y方
向に走査する方法、基体を一方向に移動させながら、赤
外線カメラを基体移動方向に対して基体と平行でかつ直
交する方向に走査させて温度画像を合成する方法、また
は赤外線カメラを固定しておき赤外線光路にレンズ、ミ
ラー等を設け赤外線を反射、集光させて赤外線カメラま
で像を導き写しだす光学系を用い、この光学系を移動ま
たは、ミラーを駆動させながら分割した温度画像を測定
する方法などである。
【0041】本実施例では、まず基体を一方向に移動さ
せながら赤外線カメラを基体移動方向に対して基体と平
行でかつ直交する方向に走査させて温度画像を合成する
方法で測定する装置例を示す。赤外線カメラは、二次元
の赤外線画像を撮像する装置であるから、測定範囲を分
割する方法は多数選択できる。図1に装置全体の基本構
成の概略をブロック図で示すように、赤外線カメラ4の
受光部前方にダクト5と言う長方形の開口部を持つ筒状
の構造体を設けた。このダクト5は、測定対象物である
基体1から放射される赤外線以外の赤外散乱光を低減さ
せるための、いわゆる迷光を遮断する構造体である。従
って、一度に撮像できる赤外線画像領域は、ダクト5を
通した視野に限定される。
【0042】本実施例では、この温度計測装置を設置す
る装置の関係上、長方形の開口部を持つ形状のダクトと
したが、測定対象物である基体の形状と、測定範囲(領
域)の分割方法及びこの温度計測装置を設置する環境に
よっては、種々の形状が選択できる。測定装置及びその
系は、小形であることが望ましいことから、赤外線カメ
ラ4のレンズ先頭から基体1の表面までの距離は、通常
20cmから120cm程度であり、また赤外線カメラ
4の撮像視野は画像のひずみが問題にならない程度の1
20度以下が望ましい。図1に示した赤外線温度画像計
測装置の各部の機能は、以下の通りである。赤外線カメ
ラ4は、撮像素子をアルゴンの断熱膨張を利用して冷却
する必要があるためアルゴンボンベ16を付属している。
本実施例で用いた赤外線カメラ4は赤外線強度を16階
調の温度テーブルに変換する能力がある。したがって、
温度テーブルの最低温度、1階調の温度幅、及び測定対
象物の輻射率を設定することにより、撮像した赤外線画
像を16階調に設定した温度レベルに変換し、これをカ
ラー表示した温度画像を得ることができる。
【0043】赤外線カメラ4は、一画面で256×20
0の画素を有し、これら一点の画素に対する温度を知る
ことができる。また、撮像した温度画像は、指定した範
囲のみのデータを主制御装置7に転送することができ
る。リニアステージ6には、サーボモータ、エンコー
ダ、ブレーキが配設されたリニアステージ駆動系10が
接続されており、リニアステージ制御装置11によって
位置決め、速度、加速度等が制御される構成になってい
る。主制御装置7からリニアステージ制御装置11に位
置データを送信することにより、赤外線カメラ4とダク
ト5は指定位置へ移動する。基本1には、測定位置を示
すマーカ9が設けられており、これをセンサー8−1を
介して位置検出器8が検知すると測定を開始するように
なっている。搬送系2の制御は、一般的に加熱制御機構
や温度測定機構とは独立しているが温度計測装置の主制
御装置7によって搬送系2を制御しながら、基体1をス
テップ搬送しても、定速で連続的に搬送しても温度測定
が可能な構成になっている。
【0044】次に、基体1の搬送方法の違いによる温度
測定法の例を3種類示し、その測定法によって制限され
る項目を示す。 (1)温度計測装置の主制御装置7が搬送機構を制御し
て基体1をステップ搬送している場合、主制御装置7は
一区画の温度分布の測定を終えてから搬送系制御装置に
1ステップ搬送する司令を出し、1ステップ搬送を終え
ると再び主制御装置7は隣接する次の区画の温度分布の
測定を開始する。これを複数回繰り返し、目的とする測
定領域全体の温度を測定する方法である。この方法は、
基体の搬送速度が主制御装置7の測定に要する時間に依
存する。その為、測定に要する時間より短い間隔では搬
送できない。また、一度に測定する搬送方向の幅(a−
b間)は、ステップ搬送する幅と同じ幅にする必要があ
る。 (2)搬送機構が独立しており、搬送系制御装置が基体
1をステップ搬送している場合、基体1が停止している
間に、基体の搬送方向に対して直交する方向の温度測定
を全て終了しておかなければならない。また、一度に測
定する搬送方向の幅(a−b間)は、ステップ搬送の幅
と同じ必要がある。 (3)搬送機構が独立しており、搬送系制御装置が基体
1を定速搬送している場合、主制御装置7は、基体1の
搬送速度に合わせて測定する間隔を制御しなければなら
ない。
【0045】つまり、基体1を(a−b間)搬送する間
に1回の測定を終了している必要がある。更に、基体の
搬送方向に対する直交する方向の測定は1回に限定され
る。なぜなら、赤外線カメラ4とダクト5を移動させて
測定している間にも基体1は搬送されているので、完全
に合成した温度画像は得られない。そして測定は、測定
に要する時間tと搬送方向の測定幅(a−b間)wと搬
送速度vによって制限される。つまり、t≦w/vが成
立する条件でなければならない。
【0046】〈実施例2〉 この例は、搬送機構が独立しており、基体1をステップ
搬送して温度計測した実際の温度測定の一例を図1及び
図2を用いて示すものである。まず、測定は、図2のフ
ローチャートに示す手順で測定されるように主制御装置
7にプログラムした。基体1の大きさは、幅が1200
mm、長さが900mmの金属母材の平板であり、基体
の輻射率は0.3である。温度計測装置が1回に測定で
きる基体の範囲は、a−b、c−d間が68mm、b−
c、a−d間が560mmの範囲である。この基体1
は、搬送系制御装置3の制御によりステップ搬送しなが
ら加熱されてきた基体である。搬送周期は、1ステップ
68mmで、12秒間停止するシーケンスとした。従っ
て、この基体を測定するには、幅方向に2回、長さ方向
(搬送方向)に13回測定すれば基体1のほぼ全体の温
度分布を測定することができる。つまり、図2のP=
2,Q=13である。主制御装置7は、センサ8−1を
介して位置検出器8がマーカ9を検出すると主制御装置
7に対して割り込みを発生し、主制御装置は測定ルーチ
ンに入る。測定の所要時間は、測定、データ転送に1秒
未満、赤外線カメラ4とダクト5の移動に3秒程度、画
像の合成、表示に4秒程度であり、ステップ搬送が停止
している間に2か所の測定を完了する。
【0047】温度画像の合成は、図3のモニタ画面に示
した通りであり、d(1,1)からd(13,2)まで
の26回の測定データを順次合成し、モニター7−1に合
成画像を表示し、温度分布を視認できるようにした。そ
して、基体1枚分の測定が終了した後、主制御装置7に
一時的に蓄積しておいたこの1枚分の温度画像データを
外部記憶装置7−2に保存し、次の新たな基体を測定す
る用意をして、再度ステップ搬送されている基体のマー
カの検出待ちとなるようにした。このようにして基体1
の温度分布を測定した結果を図7に示す。モニタ7−2
には、カラー表示されるが、図7には温度の等高線図で
示した。これより基体1の両側の温度が中心部に比べて
20℃から45℃程度低いことが判る。
【0048】〈実施例3〉 次に搬送機構が独立しており、基体を定速搬送して温度
計測した実施例を説明する。測定は、図4のフローチャ
ートに示す手順で測定されるよう、主制御装置7にプロ
グラムした。基体1の大きさは、幅が600mm、長さ
が900mmの金属母材の平板であり、基体の輻射率は
0.3 である。温度計測装置が一度に測定できる基体の範
囲は、a−b、d−c間が68mm、b−c、a−d間
が560mmの範囲である。温度計測装置の構成は、先
の実施例2と同様である。この基体1は、搬送系制御装
置3の制御により一定速度で搬送しながら加熱されてき
た基体である。搬送速度は、18cm/分とした。従っ
て、この基体を測定するには、先に述べた通り定速搬送
であるため幅方向には1回、長さ方向(搬送方向)に2
2.67秒周期に13回測定すれば、基体1のほぼ全体
の温度分布を測定することができる。
【0049】つまり、図4のQ=13、w=68、v=
18、t=22.67である。主制御装置7は、位置検
出器8がセンサ8−1を介してマーカ9を検出すると主
制御装置7に対して割り込みを発生し、主制御装置7は
測定ルーチンに入る。測定の所要時間は、測定、データ
転送に1秒未満、合成画像の表示に4秒程度であり、2
2.67秒周期ではt≦w/vの条件が成立する。温度
画像の合成は、図3に示した通りであり、d(1,1)
からd(13,1)までの13回の測定データを順次合
成し、モニター7−1に合成画像を表示し、温度分布が
視認できるようにした。そして、実施例3と同様に基体
1枚分の測定が終了した後、この1枚分の蓄積された温
度画像データを外部記憶装置7−2に保存し、次の新た
な基体を測定する用意をして、再度、搬送されて来る基
体のマーカの検出待ちとなるようにした。このようにし
て基体1の温度分布を測定した結果は、先に示した図7
と同様の結果が得られ、基体両側の温度が中央部と比較
して15℃から25℃低いことが判った。
【0050】〈実施例4〉 この例は、上記実施例の温度測定装置で基体温度を計測
し、この計測結果に基づいて加熱機構を制御し、均一な
加熱が実現できるようにした加熱装置の例を示すもので
ある。大面積の加熱基体を熱する時、その加熱基体の温
度分布が問題となる。そこで本発明では、温度分布が発
生する方向に合わせて加熱機構を複数個独立させて設置
し、これら個々の加熱機構の出力をそれぞれ独立に制御
することにより、均一に加熱された加熱基体が得られる
ようにしたものである。
【0051】図5にこの加熱装置の概要を示す。図5
(a)及び(b)は、それぞれ先に説明したように一部
断面正面図及び一部断面側面図である。加熱装置の構成
は、加熱槽12中に加熱機構13と加熱対象物である基
体1を搬送する搬送系2を設置し、外部には搬送系を制
御する搬送系制御装置3と個々の加熱機構の出力を制御
する加熱制御装置14を装備している。更に加熱槽12は
幅720mm、長さ600mm、厚さ5mmの金属母材
の基体1を一枚囲う大きさであり、実施例1に記載した
赤外線温度計測装置のダクト5を片面に装備している。
加熱槽12中の加熱機構13は、加熱ランプ型のヒータ
を用い、片側に一本2kWのヒータを5本づつ、計10
本設置した。
【0052】基体1は、上下の搬送系2により保持され
ながら搬送され、加熱槽12中で両面から加熱される。
そして加熱槽12の出口付近の片側に赤外線カメラ4と
ダクト5を設置して、加熱された基体の温度分布を実施
例1に記載した温度計測装置で測定した。測定範囲の関
係から赤外線カメラとダクトを搬送方向に対して直交す
る方向に移動して測定する必要がない為、赤外線カメラ
とダクトは加熱槽12に固定してある。ダクト5は、基
体1の搬送方向に対して直交する方向に細長いスリット
状の開口をしており、スリットの幅毎に分割して温度画
像を測定し、基体1枚分の合成した温度分布画像を得
た。ここでスリット状の開口部から基体の温度画像を1
回に測定できる範囲は、62mm×640mmである。
基体の温度分布が生じる方向は、図7にも示した通り、
搬送方向に対して直交する方向に生じ、両端ほど温度が
低くなる傾向がある。従って、ヒータ13の設置方法
は、基体の搬送方向に対して垂直方向にヒータ5本を配
置した。そして、ヒータ13を配置した位置は、基体の
上下の幅720mmに対して中心に1本、中心から16
0mm上下に隔てて1本づつ、更に中心から320mm
上下に隔てて1本づつ計片面に5本を設置した。これは
両面とも同じである。
【0053】そして、次の条件下で温度分布が改善され
る様に基体1を加熱して温度分布を測定した。基体1の
輻射率は0.03基体搬送速度は定速搬送で18cm/
分、加熱制御装置14はヒータ電流制御による加熱を行
い、加熱槽12の上方から順にヒータの番号をNo.1か
らNo.5とすると、それぞれの設定電流値をNo.1
=4.2A,No.2=3.5A,No.3=3.5
A,No.4=3.8A,No.5=4.6Aとした。
これは、両面とも同じ電流値である。加熱されてきた基
体1をダクト5を通して赤外線カメラ4で温度分布を測
定した。測定の方法は、実施例3に記載した通りであ
る。その結果を図8に示す。これより図7のように、温
度分布の発生を考慮していない加熱装置で加熱した基体
の温度分布を実施例1の温度計測装置で測定した例と比
較すると、基体の温度分布が、明らかに改善されている
ことが判る。
【0054】〈実施例5〉 次に、上記実施例に記載した加熱装置と温度計測装置を
用い、温度計測装置の主制御装置7が、基体の温度分布
が均一になるように加熱制御装置14の出力を制御する
ことができるように構成した加熱装置の例を示す。図6
は、装置全体における加熱温度制御系の構成を示したも
のである。図示の装置構成で、搬送系2は主制御装置7
から独立しており、定速で基体1を搬送する。主制御装
置7で検出された基体1の温度分布は、予め定められた
加熱設定温度との差に応じて個々のヒータ13への出力
を算出し、制御データを生成(ディジタル制御信号を発
生)し、D/A変換器15へ送る。D/A変換器15は、
個々の加熱制御装置14に対して制御データに基づく大
きさのアナログ信号を発生する。加熱制御装置14は、
D/A変換器からのアナログ信号に比例した出力でヒー
タ13を駆動し基体1を加熱した。従って、現在加熱し
ている基体は、これ以前に加熱された基体の温度分布情
報により、温度分布が小さくなるように補正された個々
のヒータ出力により加熱される為、均一な基体の加熱が
可能となる。
【0055】主制御装置7に於ける温度分布検出方法と
加熱制御方法の一例を図9に示す。両方法とも、主制御
装置7に与えたプログラムにより制御した。その手順を
以下に示す。図9(a)は、ヒータ13の出力制御を行わ
ずに加熱した基体の温度分布の等高線で示した図であ
る。この二次元的な画像データは、主制御装置7のデー
タ配列に記憶している。主制御装置7では、この配列か
ら基体後方(搬送方向に対する後方)のα−α′ライン
の温度分布を求める〔図9(b)に示した図〕。
【0056】そして、ヒータ13を設置した位置に対応
する区間内の平均温度を求める、本実施例では、図9
(b)に示すようにNo.1からNo.5の5か所のヒ
ータに対応する位置a−b間、b−c間、c−d間、d
−e間、e−f間を決め、それぞれの区間をA,B,
C,D,Eとする。AからE区間の平均温度を求めた
ら、200℃の設定温度と比較してその差を求める。こ
の差に応じ主制御装置7は、個々の加熱制御装置14に
対応する出力を算出し、D/A変換器15にデータを送信
する。
【0057】以上の処理により、均一な加熱温度分布に
なるような修正されたヒータ出力が得られる。温度分布
を検出する処理に、α−α′ラインの温度分布を求める
理由は、独立した制御ができるヒータ13の設置方向と同
じ方向の温度分布を求めなければならない為である。ま
た基体の搬送方向に対して後方部分の温度分布を求める
理由は、基体を連続して加熱装置へ搬送するため、1枚
目の基体の測定が終わったときは、次の新たな基体が既
に加熱されている。従って主制御装置7が、温度分布の
測定を終了し、ヒータ13への出力を再設定したときに
は、基体の後方だけの温度分布が改善される。この為、
基体の後方の温度分布を検出した。
【0058】以上の制御系で加熱制御した結果は、図8
と同様に温度分布が改善された結果を得た。図7では、
温度分布の発生に考慮していない加熱装置で加熱したと
きの基体の温度分布を実施例1の温度計測装置で測定し
た例である。両図から主制御装置7は、自動的に基体の
温度分布を縮小(改善)する様に動作していることが判
る。なお、主制御装置7の誤動作による加熱暴走を防止
するための安全策が必要である。本実施例では、加熱制
御装置14の回路上で加熱電流の上限を設定したり、主
制御装置のプログラムで制御電流の上限や制御電流範囲
を規定したりして、加熱暴走を防止した。
【0059】〈実施例6〉 この例は、上記実施例1から実施例5の赤外線温度計測
装置とその測定方法及び加熱装置と加熱温度制御方法を
真空成膜装置に適応した場合の例である。真空中で薄膜
を形成する方法は、多種の方法が実用化されている。い
ずれの場合も薄膜を形成するには基体の温度が重要なパ
ラメータとなる。特に大面積にわたり均質な膜を形成す
る場合は、膜を形成する基体の温度分布が問題となる。
本実施例では、スパッタ成膜手法を用いた真空薄膜形成
装置に本発明の加熱温度制御方法を適応した例を示すも
のである。
【0060】本実施例で用いたスパッタ装置は、図10
に示すようなスパッタ磁気ディスク用の成膜装置であ
る。なお、図10(a)及び図10(b)は、それぞれ
この成膜装置の横断平面図及び縦断正面図を示してい
る。この装置の構成は、大きく分けると、仕込み室1
9、加熱槽12(加熱室20と温度計側室30とを含
む)、スパッタ室21及び取り出し室22の4室から成
る。そして、これら各室は、ゲートバルブ23を介して
互いに直列に接続されていると共に、各室には排気系2
4が配設され、それぞれ独立に所定の真空度に保持でき
るようになっている。仕込み室19内には、予熱ヒータ
19′が設けられ後述するパレット18が複数枚収納で
きるようになっている。
【0061】また、加熱室20は、上記実施例4及び5
の加熱装置が適用されて構成されており、温度計側室3
0の一部を構成する加熱槽12の壁面には温度測定装置
が設けられているが、この図ではダクト5とカメラ4の
みが示され、その他の部分は省略されている。スパッタ
室21は、この例では3種のスパッタリングを行うた
め、スリット21′を介して3つの室21−1〜21−
3に分かれている。そして、これらの各室には、ターゲ
ット25−1〜25−3が配設されている。また、取り
出し室22は、次々とスパッタ室21でスパッタ処理さ
れたパレット18が、順次整列して収納される構成と成
っている。
【0062】また、これら仕込み室19、加熱槽12
(加熱室20と温度測定室30)、スパッタ室21及び
取り出し室22の4室には、パレット18を順次搬送す
る搬送系2が配設されている。この装置では、5.25
インチの磁気ディスク用の基板17(以後、単に基板と
記載する)を9枚、両面をそれぞれ開放して保持できる
パレット18と呼ぶ板状の基板ホルダーがあり、これに
基板17を装着して複数枚のパレット18を同時に真空
槽内に仕込むことができるようになっている。なお、パ
レット18大きさは、搬送方向に対して幅(高さ)が7
20mm、長さが600mmである。
【0063】上記の通り、真空槽は、仕込み室19、加
熱槽12、スパッタ室21、取り出し室22の4室が連
続しており、それぞれの真空槽はゲートバルブ23で仕
切られていて、これ等は独立した真空排気系24で高真
空排気ができる。また、スパッタ室21では、多層膜が
形成できるように異種類の3種のターゲット25−1〜
25−3が隔てて設置してあり、基板の両面に同時に成
膜することができるようになっている。パレット18
は、搬送系2により一枚づつ仕込み室19から搬送さ
れ、順次加熱室20、スパッタ室21を経て成膜され、
取り出し室22にストックされる。
【0064】この装置は、スパッタ室21の真空を開放
せずに連続的に基板17の入れ換えができる、所謂イン
・ライン方式のスパッタ装置である。なお、この他にパ
レット枚葉方式のイン・ライン方式スパッタ装置も実用
化されているが、このような装置に本発明を適用するこ
とも可能であるこは言うまでもない。パレット枚葉方式
とは、スパッタ室21を大気開放せずにパレット18を
1枚づつ真空槽内に搬入して、個別の真空槽で真空排
気、加熱、成膜、大気圧リーク等の処理を搬送しながら
行い、膜を形成する装置である。枚葉方式のイン・ライ
ン方式スパッタ装置については、後の実施例で示す。
【0065】ここで加熱室20は、上記のように実施例
4、実施例5に記載した加熱装置と同等の機能、構造を
有するものであり、ヒータ13は、パレット18の搬送
方向に対して垂直方向に両面5本づつ設置してある。ま
た加熱槽12は、高真空に対応した真空槽となってい
る。また、加熱槽に付属している赤外線温度計測用のダ
クト5は、パレット搬送方向に対して直交する方向に細
長いスリット状の測定開口部を持った構造であり、リー
クがなく耐圧のある真空用ダクトとなっている。また、
ダクト5には赤外線を透過する反射防止膜付のシリコン
の窓を設け、赤外線カメラ4は、この窓を透過してきた
赤外線を撮像し温度計測をした。なお、窓材としては、
他にサファイア、反射防止膜付のゲルマニウムも利用で
きる。ダクトを通して1回に測定できる視野の広さは、
パレット18上で短辺が55mm、長辺が650mmで
ある。その他の機構として、赤外線カメラ制御装置4−
1、主制御装置7、位置検出器8、加熱制御装置14等
の制御機器は、実施例4及び5に示した装置と同様な機
能を持っている。また、搬送系2は、主制御装置7から
独立しており、パレット18を定速搬送させて、加熱、
成膜を行った。
【0066】以下に、このスパッタ装置を用いた実際の
成膜の事例について説明する。成膜方法は、まずパレッ
ト18に5.25インチ基板17を装着し、これを仕込
み室19に複数枚仕込む。真空排気後、全てのゲートバ
ルブ23を開き、加熱室20のヒーターとスパッタ室2
1のターゲット25に電力を投入し、加熱と放電を行
う。この後、搬送系2を駆動してパレット18を1枚づ
つ順に搬送する。搬送系2は、搬送速度18cm/分で
定速搬送を行った。一定の速度で搬送されているパレッ
ト18は、加熱室20で加熱された後、温度計側室30
で基板17とパレット18との温度分布を測定し、その
後、多層膜の成膜を行って取り出し室22へストックし
た。また、基板17の加熱温度は、200℃に設定し
た。
【0067】パレット18と基板17の温度分布の測定
方法と加熱装置の出力制御方法は、実施例2の計測方法
及び加熱制御方法と同じである。但し、スパッタ装置に
適応するに当たり、主制御装置7に与えたプログラムに
若干の変更を加えた。まず、連続的に搬送されるパレッ
ト18の内、どのパレットを測定するかを指定できるよ
う機能追加した。ダクト5の下方に取り付けた位置検出
器8は、赤外線透過型の位置センサーであり、パレット
18がこのセンサー光を横切ったときから測定が開始さ
れる。またパレットには、マーカ9となる切り込みを付
け、パレット18の通過枚数をカウントし、指定したパ
レット18となったら測定を開始する機能を持たせた。
【0068】また、プログラムは、パレット18上に存
在する輻射率の異なる複数個の測定対象に対し、順次輻
射率を設定しながら測定して、輻射率の異なる測定対象
に対してそれぞれ温度分布が測定ができるようにした。
温度を測定する対象は、パレット18と基板17という
ように異なる材質、表面をした対象である為、両者の輻
射率は大きく異なる。例えば、基板17、パレット18
の輻射率を測定すると基板17の輻射率は0.19、パ
レット18の輻射率は0.32であった。従って、測定
時の輻射率を基板17に合わせるともう一方の対象であ
るパレット18の測定ができないという問題が生じる。
そこで基板17の輻射率に設定して温度画像を測定した
後、更にパレット18の輻射率に設定して温度画像を測
定する。その後、両者の温度画像データから、パレット
18だけの温度合成図と基板17だけの温度合成図を再
合成することで、基板17を含むパレット18全体の温
度分布を測定した。
【0069】本実施例では、測定領域内に存在する2種
類の測定対象物に対して2回の輻射率設定、測定を行
い、これを画像合成したが、これは2種類以上の測定対
象物が存在する場合に於いても同様に測定が行える。た
だし、多数種の測定対象が存在する場合、測定に時間が
かかり、画像の合成が複雑になる恐れがある。このよう
にして基板17を搬送しながら成膜前に加熱し、その基
板温度と温度分布を測定した。その結果を次に示す。ま
ず、スパッタ装置に適応した本発明の加熱装置で温度分
布改善の為のヒータ出力制御を行ない比較例の場合は、
加熱装置の個々のヒータ13に投入するヒータ電流をす
べて一定にしてパレット18の加熱搬送を行った。ヒー
タ電流は、全てのヒータに対して3.5Aとし、この時
に加熱されたパレット18と基板17の温度分布を測定
した。
【0070】その結果を図11に示す。この図の等高線
図は、パレット18の温度分布図と基板17の温度分布
図を合成した温度分布図である。同図より温度分布は、
パレットの上下で低く、中心部が高い温度分布となって
いた。基板17の温度も中段が高く、下段が25℃程度
低くなっていた。
【0071】〈実施例7〉 次に主制御装置7が、パレット18及び基板17の温度
分布が均一になるよう個々のヒータ13の出力を制御し
ながら加熱して、成膜した実施例を示す。上記実施例6
と同様、図10のスパッタ装置を用いて基板に成膜し
た。加熱出力を制御するに当たり、温度分布の検出方
法、制御方法は、実施例5の図9に示した通りである。
つまり、主制御装置7が、加熱したパレット18及び基
板17の温度分布を赤外線温度画像計測装置により測定
した結果から温度分布を検出する。そして、この検出結
果から個々の加熱制御装置14に対して加熱出力をフィ
ードバックして、パレット18及び基板17の温度分布
が均一になるよう個々のヒータ13の出力を制御しなが
ら、搬送されるパレット18を加熱した。このようにし
て均一な温度分布を得た基板17は、成膜工程へと搬送
された。その他の成膜条件、例えば加熱設定温度、パレ
ット搬送速度等は、いずれも実施例6と同じである。
【0072】この温度分布制御を行った結果を図12に
温度等高線図で示す。図11の温度分布制御を行わなか
った結果と比較すると、図12の場合は、温度分布が小
さくなっており、格段に改善されていることが判る。パ
レット18内の温度分布も、9枚の基板17の温度分布
も約±5℃以内に収まっている。更に、パレット18を
28枚連続して搬送し、加熱、成膜を行ったときに測定
したパレット毎の基板平均温度を求めた。図13にこの
結果を温度分布制御をしなかった場合と比較して示す。
図13(a)の温度分布制御を行わなかった比較例の場
合は、温度分布も大きいが、搬送したパレット枚数が増
えるにつれて平均温度が徐々に上昇して行くことが判
る。これに対して温度分布制御を行った図13(b)場
合は、基板17の温度分布も小さいが、搬送したパレッ
ト18の枚数とは無関係に基板平均温度は、ほぼ一定に
制御されていることが判る。
【0073】以上の結果から、温度分布制御を行うこと
により、パレット18内の温度分布を均一にし、更にパ
レット間の温度ばらつきも改善することができた。パレ
ット18の1枚目は、ヒータ13の出力を制御するため
の温度分布データがないので特定の温度分布データが必
要となる。そこで、パレット18の均一な温度分布を得
るための個々のヒータ電流値は、毎回大きく変わること
がないことから、設定温度に対する個々のヒータ電流値
のデータをあらかじめ用意するか、または先回の測定デ
ータを外部記憶装置7−2から呼び出して、1枚目のパ
レットから温度分布制御を行った。基板17の両面の温
度差が問題になる場合は、温度計測装置を両面に設置し
て基板17の両面の温度分布を測定することができる。
この場合、1台の主制御装置7で、2台の赤外線カメラ
制御装置4−1を制御し、両面の温度画像を計測して温
度分布を求め、更に両面のヒータ13の出力制御まで行
った。
【0074】搬送系2が、パレット18を搬送すると
き、不連続的に滑りが生じてパレット18を一定速度で
搬送できない場合がある。このような場合、一定間隔の
時間で温度画像を測定していると、合成した画像に歪み
が生じる。それ故、このような場合には、パレット18
の搬送距離と測定する周期を同期させる機構が必要とな
る。この機構の簡単な方法は、パレット18に測定の時
期を知らせるマーカの役割を果たす機能を付加してお
き、これから発せられる信号で主制御装置7は割り込み
処理を行い、画像を測定する方法である。図14は、パ
レット18に温度画像を測定するタイミングを生じさせ
る機能を付加したパレットの一例である。パレット18
には、マーカ9とは別にタイミングを取る検出穴26を
設け、この穴に発光素子27から発せられる光が通過
し、向かい合った受光素子センサー28がこの光を受光
したときに、主制御装置7に測定の割り込みを要求する
機構になっている。
【0075】以上、スパッタリング成膜装置の例につき
説明してきたが、本発明は1回の赤外線撮像では撮り切
れない広い撮像領域の温度分布状態の計測及びそれに基
づいた加熱温度の制御装置を具備した成膜装置に好適で
あり、やはり成膜時に基板の温度制御が必要なCVD成
膜装置にも適用してみたが、上記実施例7と同様の結果
が得られた。本発明は、その他種々の非接触状態で大面
積の基体の温度を計測するとき及びそれに基づいた均一
な温度分布の加熱制御を必要とする加熱装置を構成する
ときに極めて有効である。さらにまた、これとは逆に均
一な温度分布に制御するに限らず、それぞれの温度制御
装置14を動作させて独立に各ヒータ13を制御し、積
極的に所定の温度分布を形成する温度制御をも行い得る
ことは言うまでもない。以下の実施例8〜12では、更
に改良された温度計測装置、加熱制御装置を備えた成膜
装置例について説明する。
【0076】〈実施例8〉 図15及び図16は、スパッタ磁気ディスク用の成膜装
置の例を示したものである。装置構成は、実施例6に示
した図10と基本的に類似しているが、加熱機構、温度
計測装置及び加熱制御装置等に改良を加え、成膜条件の
重要なパラメータである基板温度について、比較的広い
範囲に対してより均一な温度分布が得られるようにした
ものである。図15(a)は、本装置の横断平面図を、図
15(b)は、縦断正面図をそれぞれ示す。図16(a)
は、図15の加熱槽12の部分を、図16(b)は、そ
の横断側面拡大図を示したものである。図15に示す通
り、本発明に沿った構成で加熱ヒータ13、赤外線カメ
ラ4を設置した。つまり、パレット18が搬送される方
向に対して、真空加熱槽12により構成される加熱室2
0の下流側に温度計測室30を設置し、この加熱室20
と温度計測室30との間にパレット18が通るスリット
状の仕切り板29を設置した。更に、図16に詳細に示
したように温度計測室30を構成する真空加熱槽12の
壁面には搬送方向に対して直交方向に長いスリット状の
開口部を有する真空ダクト5を設置した。そして、ダク
ト5内を含む温度計測室30の内壁は、全て陽極酸化処
理による黒体化を行い、赤外線の反射率が低くなるよう
にした。また、温度計測室30の真空槽並びに真空ダク
ト5の外壁には、図示されていない水冷による冷却手段
を設け真空槽内壁からの赤外線放射を極力押さえるよう
にした。
【0077】このように工夫することで、加熱ヒータ1
3から放射される赤外線が直接的、または反射して赤外
線カメラ4に入射しないため、加熱ヒータ13からの赤
外線の影響のない良好な温度分布画像が得られるように
なった。この成膜装置では、更に基体が存在する雰囲気
と、温度を計測するための測定装置が存在する雰囲気と
を異なるようにした。つまり、温度測定の対照物である
パレット18及び基板17は、真空槽内にあるが、赤外
線カメラ4は大気側に配設した。この為、真空ダクト5
には赤外線が透過する赤外線窓31が必要となる。本実
施例では、この窓材に赤外線透過率が高く、反射防止処
理を施したSi板を使用した。なお、窓材としては、こ
の他に例えばAl23、CaF2、LiF等があり、一
般に赤外線光学部品として使用されるものであれば何れ
のものでもよい。
【0078】真空ダクト14が必要な理由は、以下の理由
による。まず、真空ダクト5を用いることにより、赤外
線窓31材が小型化できた。窓材は大型化すると高価に
なり、強度的にも弱くなる。そして真空ダクトを設置す
ることで、測定対象の基板以外から放射されてくる不要
な赤外線が赤外線カメラ4に入射せず、赤外線ノイズ光
が低減できた。また、真空ダクト5を赤外線カメラレン
ズの直前まで延長すことにより、大気による赤外線吸収
の影響や、大気の対流による画像の揺らぎがなくなっ
た。
【0079】一方、ダクト内を真空排気できない場合
は、乾燥窒素等の赤外線を吸収しないガスでダクト中の
空気を置換する方法も有効である。また、赤外線のカメ
ラ自体を乾燥窒素中の雰囲気に設置する方法も有効であ
り、水蒸気による赤外線吸収がなくなり安定になる。真
空ダクト5は、搬送方向に対して直交方向に長いスリッ
ト状の開口部を有する形状とした。従って一度に撮像で
きる画像範囲は、真空ダクト5の開口部を基体に投射し
た範囲(図18のa−b−c−dで囲まれた範囲)とな
る。また、基体の温度測定領域を複数に分割して測定し
た個々の温度画像の合成法は、先の作用の項及び実施例
で詳述した通りである。
【0080】〈実施例9〉 次に、図17を用いて基体の温度を複数に分割して実測
した個々の画像を主制御装置が合成して得た温度分布画
像から、基体の現実の温度分布に応じ、各々の加熱ヒー
タ出力を適正に制御し、基体全体の温度分布が均一にな
るように制御する加熱制御方法の例を示す。図17は、
図15に示した成膜装置の加熱室20と温度計測室30
とに、ヒータ制御系と、温度画像合成を司る制御部とを
結合した加熱制御装置のブロック図を示したものであ
る。
【0081】基板17が搭載されたパレット18全体の
温度分布画像は、先の作用の項で詳述した方法と同一の
方法で測定する。主制御装置7は、この実測された温度
画像より予め指定された複数個の特定位置の温度を算出
する。測定点を指定する基準は、図18に支持したよう
にAからRの18点とし、なるべくヒータ位置に対応し
た基板上の位置を指定した。これにより、1回分の撮像
で得た温度測定値よりパレット18の縦方向の温度分
布、例えば、測定点A,D,G,J,M,Pでの温度分
布を求めた。
【0082】主制御装置7には、予め目標基板温度に対
する加熱ヒータの発熱温度(ヒータ13に設置したフィ
ードバック用の熱電対33が指示する温度)と、パレッ
ト搬送速度との関係を示す近似式をプログラムして置
く。また、特定の搬送速度においては、基板温度と加熱
ヒータの発熱温度との関係テーブルをプログラムして置
く。これに目標基板温度を与えると一意的にヒータ発熱
温度が求まるようにプログラムして置く。もし成膜装置
が、パレット7を一定時間加熱室20で静止して基板加
熱を行う場合は、パレット搬送速度の代りに静止時間の
関係近似式、又は関係テーブルをプログラムして置く必
要がある。
【0083】次に加熱制御手順を図20に示し、先に示
した図17、図18と共にその動作を以下に説明する。 (1)主制御装置7に目標基板温度を設定する。 (2)主制御装置7は、目標基板温度に基づき加熱ヒー
タ13の発熱温度を算出し、このデータをD/A変換器
15に転送する。D/A変換器15では、個々の加熱制
御装置14に対して転送されたデータに基づくアナログ
値を出力する。 (3)主制御装置7は、個々の加熱ヒータ電源を入にす
る。 (4)加熱制御装置14は、それぞれのヒータ13を駆
動し、D/A変換器15が出力するアナログ値に相当す
る温度になるよう熱電対33の出力に基づくフィードバ
ック制御を行う。加熱制御装置14のフィードバック制
御は、一般的に行われている、オン・オフ制御,比例制
御(P),比例+積分制御(PI),比例+微分制御
(PD),比例+積分+微分制御(PID)の各方式で
制御することができる。(P:Proportional ,I:I
ntegral ,D:Differential) (5)ヒータ温度が目標値に達し、安定した後にパレッ
ト18を搬送し、加熱する。位置センサ8−1が、搬送
されてくるパレット18を検知したら赤外線を撮像し、
温度画像を合成する。 パレット1枚分の温度画像が測定できたら、温度分布を
求め、目標基板温度との差を算出し、新たなヒータ発熱
温度を演算する。ヒータ発熱温度を演算する時には、上
記に示したP,PI,PD,PID制御方法を適用して
も良い。 (6)そして、この結果をD/A変換器15にデータを
転送する。D/A変換器15は、新なるアナログ値を出
力して、これに相当する温度になるよう加熱制御装置1
4がフィードバック制御する。
【0084】つまり本実施例では、熱電対33で計測し
た加熱ヒータ13の発熱温度をフィードバック制御しな
がら、更に基板温度が均一になるように加熱ヒータ13
の発熱温度設定値をフィードバック制御するという二重
のフィードバック制御法を採用した。また、パレット1
枚分の温度画像の測定、合成が完了する以前にヒータ発
熱温度設定値をフィードバック制御する方法もある。つ
まり主制御装置7は、部分的な温度画像を測定した後に
(例えば、図18のB,E,H,K,N,Qの測定点を
測定した後に)基板の温度、及び分布を算出して新なる
ヒータ発熱温度を演算し、D/A変換器15にそのデー
タを転送する。この方法では、1枚のパレットの加熱途
中から温度分布が改善される。
【0085】また、図17のブロック図中のD/A変換
器15の代わりに、デコーダ機能だけを有するデコーダ
を用い、D/A変換機能を内蔵した加熱制御装置を使用
することでも実現できる。真空中での基板の放熱特性が
判れば、基板温度測定後からの経過時間により基板温度
が推定できる。従って、主制御装置7にこの放熱特性を
プログラムすることで成膜時の基板温度を推定すること
ができる。また逆に、成膜時の基板温度を与えることに
よって、基板の加熱温度を算出し、その温度で加熱する
ことも可能である。また、本加熱方法を用いれば、パレ
ット18内で故意に温度分布を与えることもできる。こ
れは、主制御装置7に温度分布の設定を予めプログラム
することで容易に実現できる。
【0086】〈実施例10〉 この例は磁気ディスクの製造例を示したものであり、上
記実施例8及び9で説明した赤外線温度計測装置と温度
測定法及び加熱制御方法を磁気ディスク用のスパッタ装
置に応用した場合の例について再び図15を用いて説明
する。スパッタ磁気ディスクの層構成は、一般に非磁性
基板上にCr又はCr合金中間膜を形成し、その上にC
o合金磁性膜、保護膜を順次形成した層構成である。ま
た、磁性膜材料によっては、中間膜のない層構成とする
場合もある。本実施例では、基板にNi−Pめっきした
アルミ合金板を用い、この基板面の円周上に微細な溝加
工を施したテクスチャ基板を使用した。また、磁気ディ
スクの層構成は、テクスチャ加工を施したNi−Pめっ
き基板上に、Cr中間膜、磁性媒体にCo−Cr−Ta
合金磁性膜、保護膜には炭素膜(C)の3層膜からなる
構造とした。従ってスパッタ室3には、上記3種類のタ
ーゲット材料21がそれぞれ対向して据え付けられる。
【0087】パレット18には、9枚の基板17が装着
され仕込み室19に仕込む。仕込み室19では、高真空
排気しながら、基板、パレットからの脱ガスの目的で予
備的な加熱を行った。スパッタ時には、スパッタ室21
にArガスを導入後、Cr,Co−Cr−Ta,Cの各
カソード32に電力を投入して放電させる。この間に実
施例9に示した加熱方法でヒータ部の温度を飽和させ
る。
【0088】次に、各室のゲートバルブ23を開き、仕
込み室19よりパレット18を1枚づつ搬送する。パレ
ット18は、20cm/分の一定速度で搬送した。パレ
ット18は、加熱室20で加熱された後、温度計測室3
0で搬送速度に同期させてダクト内視野範囲のカラー表
示による部分画像が測定される。測定されたこの画像情
報は逐次主制御装置7に蓄積され、後にこれらの画像情
報は合成され、図19(a)の出力画面に示すようにパ
レット全体の温度分布としてモニタ7−1にカラー画像
で表示される。また、図19(b)の出力画面に示すよ
うに複数のパレット間の温度推移も画面を切り替えるこ
とで表示できるようにした。
【0089】ここで測定した温度画像から、主制御装置
7は、温度分布を算出し基板の温度分布が小さくなるよ
うに加熱制御する。なお、加熱制御法、温度計測法は、
実施例8および9に記載した方法にしたがって同様に行
った。所定の温度まで加熱した基板に、Cr中間膜、C
o−Cr−Ta磁性膜、C保護膜の順に連続して所定の
膜厚まで成膜した。成膜完了したパレットは順次取り出
し室22にストックされ、全てのパレット18が成膜終
了後、取り出し室22のみを開放して磁気ディスクを得
た。
【0090】比較例として、加熱制御を行わない場合に
は、図25(1)に示すようにパレット内の上段、及び
下段の基板温度が中段の基板温度より10から30℃低
かった為、パレット内の9枚の磁気ディスク間で保磁力
の不均一が生じた。特に、図25(2)に示すように直
径8インチ以上の大型ディスク基板では、基板内で約2
0℃の温度分布が生じてしまい、Co−Cr−Ta磁性
媒体の膜厚が均一であるにもかかわらず〔図25(3)
参照〕、円周方向で保磁力に分布が生じた〔図25
(4)の破線参照、実線は実施例〕。この為ディスク1
周当たりのヘッド再生出力(エンべロープ出力)にうね
りが生じる〔図25(5)の破線参照、実線は実施例〕
問題があった。また、長時間に渡って複数枚のパレット
を成膜する為、加熱ヒータの温度が変動することがあ
り、パレット間でも磁気特性の変動が生じていた。
【0091】しかし、実施例に示した加熱方法によれ
ば、パレット内の基板温度分布は、図示されていないが
±4℃以内に制御できた為、成膜したパレット内の9枚
の磁気ディスクの特性は、いずれもほぼ同じ磁気特性を
示した。即ち、円周方向の保磁力及びヘッド再生出力
(エンベロープ出力)については、同図(4)、(5)
に実線で示したようにフラットな特性となっている。更
に、大型ディスク基板においても、基板内にて磁気特性
の分布は発生しなかった。また、長時間に渡る成膜も基
板温度を制御している為、パレット間での磁気特性変動
も生じなかった。更に、パレット内の9枚の磁気ディス
クは、Ni−P基板面にテクスチャ加工を施すことで円
周方向に強い磁気異方性が生じ、電磁変換特性のディス
ク1周当たりのヘッド再生出力に生じていたうねりを低
減することができた。
【0092】以上の実施例では、薄膜形成をスパッタ法
で行った例を示したが、本発明の温度制御法は、その他
CVD法による薄膜形成手法を用いた成膜装置において
も同様に有効であり、例えば、Si、Si−O、Si−
N、Cなどから金属系の材料まで形成可能であることを
確認している。いずれの材料の薄膜を形成するにも基板
の温度が膜質に大きな影響を与える。特に減圧下でRF
電源を印加して膜形成するプラズマCVD手法は、例え
ば太陽電池のような広い面積の基板に対しても膜形成が
可能である為、広い面積の基板の温度分布を測定し、均
一に加熱制御することで、均一な光電変換特性が得られ
た。
【0093】〈実施例11〉 図21は、パレット巡回方式の成膜装置に実施例8及び
実施例9に記載した赤外線温度計測装置と温度測定法及
び加熱制御装置を応用したスパッタ磁気ディスク対応の
成膜装置例について示したものである。この装置の特徴
は、成膜後パレット18を取り出し室22から搬出さ
せ、2台のリフタ34−1、34−2と逆方向搬送系
2′によりパレット18を仕込み室19前方の基板脱着
部35まで搬送する機能を付加したことである。基板脱
着部35では、自動機によりパレット18から成膜が完
了した基板17と成膜前の基板の入れ替えを行い、再度
仕込み室19に送り込む。従って、複数枚のパレット1
8を装置内で巡回させながら、かつ基板17の脱着を自
動的に行うことから量産装置に適している。搬送方法
は、各室の搬送系が独立しながら、その前後の搬送系と
連動して動作する。
【0094】その動作方法は、次の通りである。 (1)パレット18を仕込み室19へ搬入後、仕込み室
19の搬送系2は停止して、槽内は高真空排気される。 (2)排気完了後、加熱室20側のゲートバルブ23を
開き、パレット18を加熱室20へ搬入する。 (3)搬入後、加熱室20の搬送系2を停止し、ゲート
バルブ23を閉じ、真空排気しながらパッレト18及び
基板17を加熱する。加熱は、パレット18が加熱ヒー
タ13と向き合った状態で行われる。加熱ヒータ13
は、搬送方向に対して、直交する方向に所定間隔を置い
て5本並列に配置した。 (4)温度測定は、加熱終了後パレット18をスパッタ
室21へ搬送するときに測定を行う。加熱制御法、温度
計測法は、それぞれ先の作用の項及び実施例8、9の記
載した内容に基づいて行った。 (5)基板17の温度計測後、スパッタ室21内にパレ
ット18を搬入する。スパッタ室21では、パレット1
8が放電する中を一定速度で搬送され、通過する過程に
おいてCr中間膜、Co−Cr−Ta磁性膜、C保護膜
を基板17上に連続して所定の膜厚まで成膜した。
【0095】(6)成膜が完了したパレット18は、取
り出し室22へ搬送し、取り出し室を大気開放した後に
搬出する。その後パレット18は、上昇リフタ34−
1、逆方向搬送系2′に送られ、さらに下降リフタ34
−2により基板脱着部35まで搬送される。 (7)ここで自動機により成膜完了の基板17をパレッ
ト18から取り外し、新たな基板17を装着して仕込み
室19に送り出される。 このように装置内を巡回するパレット1枚毎に上記の動
作を繰り返し、磁気ディスクを得た。得られた磁気ディ
スクは、実施例10で得られた磁気ディスクと同様に面
内円周方向で均一な磁気特性が得られた。
【0096】〈実施例12〉 図22及び図23は、枚葉方式の成膜装置に実施例8及
び実施例9に記載した赤外線温度計測装置と温度測定法
及び加熱制御装置を応用したスパッタ磁気ディスク対応
の成膜装置例について示したものである。図22(a)
は一部破断平面図、図22(b)は一部破断正面面であ
り、図23(a)は図22の要部拡大縦断側面図、図2
3(b)は同じく図22のスパッタ室21の拡大縦断正
面図である。この装置の特徴は、基板を1枚ずつ成膜す
る装置であり、以下の構成からなっている。図23に示
すように基板17の仕込みと取り出しを兼ねた真空槽L
/UL(Load/Unload)室36、基板搬送系2を有す
る搬送室38、加熱室20及び連続して多層膜形成が可
能なように幾つかのスパッタ室21より構成されてお
り、各真空槽には真空排気系24が備えられている。
【0097】基板の処理動作は、以下の通りである。 (1)図23に示すように成膜前の基板17を入れたカ
セット41から基板を1枚ずつ取り出し、基板を保持す
るキャリア37に装着し、ホイスト39を下げてL/U
L室36に搬入する。その後L/UL室36の排気を行
う。 (2)L/UL室36の排気終了後、ゲートバルブ23
を開放し、基板17を搭載したキャリア37を搬送室3
8へ送り出す。加熱室20下に搬送すると、ホイスト3
9でキャリア37を加熱室20まで押し上げ、基板17
を加熱室20に挿入して一定時間基板を加熱する。 図23(a)、(b)に示す通り、加熱室20及びスパ
ッタ室21は、キャリア37を押し上げることにより、
他の真空槽から分離され構造となっており、独立した真
空排気系で真空排気する。
【0098】(3)加熱室20とスパッタ室21間の搬
送室38に設置した温度計測室30により、基板1枚の
温度を1回の撮影で温度画像を計測する。基板17が大
型の場合は、複数回に分割して撮影し、後に各温度画像
を合成して基板全体の温度画像を得ることも可能であ
る。温度測定後の加熱制御方法は、実施例9の記載と同
じである。 (4)第1層目のスパッタ室21−1下にキャリア37
が搬送されてきたら、キャリア37を押し上げ基板17
をスパッタ室21−1内に挿入する。そして、図23
(a)に示すように対向する2つのカソード32に電力
を投入し、成膜時間と投入する電力の制御により所定の
膜厚まで成膜する。1層目が終了後、2層目以降も同様
の方法でスパッタ室21−2、21−3内で順次成膜
し、多層膜を得た。スパッタ室21のカソード32は、
円形状のターゲット25を備え、基板の両面に成膜でき
るよう対向している。基板17は、ターゲット25の中
心と基板17との中心が一致するよう位置調整されてお
り、静止対向して成膜する。
【0099】(5)成膜が完了後キャリアは、図22
(a)に示したように、搬送室38内の逆方向搬送系
2′(戻り側)でL/U L室36まで戻される。L/
UL室36では、成膜前の基板の搬送室38への搬出確
認後、ゲートバルブ23を閉じ、L/UL室36を大気
圧にする。搬入出ドア40を開放後、キャリア37を上
昇させ、L/UL室外へ基板を出す。ここで、成膜完了
の基板は、取り出され、新たに成膜前の基板17をキャ
リア37に装着させ、再び、上記(1)の工程から繰り
返される。基板カセット41とキャリア37間の基板脱
着は、自動機により行われる。温度計測室30は、加熱
室20からスパッタ室21へ搬送する時の搬送室38内
に設置した為、加熱室20からの赤外線が直接入射する
ことはないが、真空ダクト5などの光路となる部品の内
壁は実施例8の場合と同様に黒体化処理した。
【0100】この成膜装置は、成膜時には各スパッタ室
21に基板1枚とキャリア37を挿入するだけである
為、外気からの不純物ガスの持ち込みを少なくでき、更
にスパッタ室21には専用の真空排気系が装備されてい
ることからスパッタ雰囲気中の不純物ガス(例えば、H
2O、H2、CO2等)の濃度を低くすることができた。
また、この成膜装置は、磁気ディスクのみならず光磁気
ディスクのスパッタ装置としても利用した。光磁気ディ
スクは、磁場中で熱により磁化記録し、カー回転により
光学的に再生を行う記録再生装置である。磁性材料は、
Tb−Fe−Co系材料やNd−Fe−Co系材料を用
いたが、安定した微少な磁区を形成するには、膜面に対
する垂直方向の磁気異方性や保磁力が大きいことが必要
である。従って、成膜プロセスでは、基板加熱温度を高
精度に制御し、スパッタ雰囲気中の不純物ガス濃度を低
く押さえることにより、安定した磁区を形成できる光磁
気ディスクの多層膜を成膜することができた。
【0101】〈実施例13〉 図24は、回転ドラム方式のスパッタ装置に実施例8及
び9に記載した赤外線温度計測装置と温度測定法及び加
熱制御装置を適用した例を示したもので、同図(a)
は、横断平面図を、同図(b)は、一部破断正面図を示
す。この装置は、回転式ドラム状基板ホルダ44に基板
17を取り付け、このドラムが加熱ヒータ13前、及び
放電するターゲット25前を回転しながら基板に加熱、
成膜する種類のスパッタ装置である。そして、ターゲッ
ト25を備えたカソード32、シャッタ43、回転式ド
ラム状の基板ホルダ44、加熱部20、温度計測部30
が一つの真空槽45に付属しており、基板の取り付け及
び取り外し時には、真空槽内を大気開放する方式(バッ
チ方式)の装置である。
【0102】本装置での成膜方法は、回転式の八角形の
ドラム状基板ホルダ44に基板17を装着し、真空排気
を行う。真空度が10-5〜10-6Torr程まで排気
後、基板ホルダ44を回転させながら加熱を行う。そし
て目標真空度以下になったところで、成膜を開始する。
成膜は、まず、シャッタ43を閉じた状態で放電をさせ
る。これは、真空槽45を大気開放時に生じるターゲッ
ト25表面の酸化や汚染を一定時間スパッタすることに
より取り除く為である。この後、シャッタ43を開放し
て基板17上に膜を形成する。この時、基板ホルダ44
を一定回転数で回転させながら膜を所定の厚さまで堆積
させる。また、真空槽45に複数のカソード32を設置
することで多層膜も形成できる。
【0103】温度計測部30は、実施例8に記載した方
法に基づいて、基板ホルダ44の回転方向に対して加熱
ヒータ13の下手に設置した。この時、基板ホルダ44
が多角形のドラム状ホルダである為、ドラム回転時に加
熱ヒータ13、及びスパッタ時のカソード32からの赤
外線が、ホルダの平面に反射し、真空ダクト5内に入射
しないよう加熱ヒータ13及び真空ダクト5の位置を設
計した。なお、同図の46は隔壁である。仕切り板29
は、基板の温度計測部30に不要な赤外線が入射しない
ように、基板ホルダ44側に接触しない程度に突出した
構成をとる。また、温度計側部30の仕切り板29及び
ダクト5の内壁は、いずれも黒体化処理を施し、反射防
止をする。
【0104】温度画像の撮像は、回転軸に取り付けた位
置センサー8−1により測定タイミングを取り、八角形
ドラムの一面当たりを2回で撮影可能とした。そして、
ドラム1回転分(八面分)の温度分布画像を逐次撮像
し、それを合成して全体の温度分布画像を得た。温度分
布は、基板ホルダ44が回転する為、円筒軸方向に温度
分布が生じる。従って、円筒軸方向に加熱ヒータ13を
分割して設置し、この位置に対応させて基板温度の平均
値を算出して、加熱ヒータ13の出力制御を行った。こ
の時加熱制御方法は、実施例9の方法に基づいて行っ
た。スパッタ室21に装着するターゲット25としては
第1のスパッタ室21−1にはCrSi系合金を、第2
のスパッタ室21−2には例えばAl,Cr,Cuのご
とき電極形成用導体をそれぞれ装着し、セラミック基板
17上にCrSi系合金の薄膜抵抗体膜成膜した。この
抵抗体は、薄膜状の発熱抵抗体、薄膜多層配線基板の終
端抵抗体、混成IC基板の抵抗体などに使用されてい
る。
【0105】このような薄膜抵抗体の抵抗率(シート抵
抗)は、成膜時の基板温度にも影響される為、基板温度
と温度分布を均一になるように管理する必要がある。本
成膜装置により形成した抵抗体膜は、基板の温度計測
法、加熱制御法を適用することにより、基板ホルダの広
い範囲に於いて、抵抗率の分布を小さくすることがで
き、バッチ方式の成膜装置のスループットを上げること
ができた。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤外線温
度画像測定装置を用いることにより、赤外線カメラと測
定対象物である基体間の距離が短い小さな測定系であり
ながら、今まで測定することができなかったような広い
測定領域を必要とする基体に対しても、容易に温度分布
の測定をすることができるようになった。また、測定対
象物の基体が、静止している場合は勿論のこと、移動し
ている場合においても、その移動に同期させて大面積の
温度分布が測定可能である。特に、加熱装置や真空成膜
装置のように、基体が高温中や、真空中に存在し、かつ
移動している場合に、非接触で大面積の温度分布を測定
するには、本発明が非常に有効となる。
【0107】本発明の加熱装置によれば、加熱対象物で
ある基体を均一な温度分布が得られるように加熱制御す
ることができ、特に大きな面積を有する基体では有効で
あった。また、この加熱装置を真空成膜装置に適応した
例えばパレット搬送型のインライン方式のスパッタ装置
では、720mm×600mmのパレット内の温度分布
を±5℃以内に制御することができた。本発明の真空成
膜装置によれば、搬送される大面積のパレットの温度分
布が測定でき、この温度分布の測定結果に基づいて、加
熱装置への出力フィード・バックができる。この為、自
動的にパレット全体が±5℃程度の均一な温度分布にな
るように加熱制御ができ、また、パレット間における温
度のばらつきも小さくできる為、均質な成膜が可能とな
った。
【0108】また、パレット中のディスク基板1枚1枚
に対応した温度測定ができるようになったので、品質管
理及びプロセス制御の上で多大な貢献をした。さらにま
た、本発明の加熱温度制御方法を適用するとにより、必
要に応じ不均一な任意の所定温度分布にも調整可能な加
熱装置をも実現可能とした。
【0109】また、本発明の好ましい真空成膜装置の構
成例であるところの、真空槽の離間した異なる位置に仕
切り板を隔てて基体の加熱室と、温度計測室とを設置
し、前記温度計測室には赤外線透過窓を介して赤外線カ
メラがその一端に装着された真空ダクトを設け、しかも
赤外線光路となる真空ダクトを含む温度計測室内を黒体
化した装置によれば、加熱ヒータからの赤外線が、直接
または反射して赤外線カメラに入射することがなくな
り、加熱ヒータの影響によるノイズ成分が温度分布画像
に現れず、良好な温度分布画像が得られ、温度測定誤差
を低減することができた。即ち、この赤外線温度計測装
置を備えることで、成膜直前の基板温度を正確に測定で
きる真空成膜装置が得られた。また、成膜装置の真空槽
中を移動している基板の温度を測定する方法は、基板か
ら放射する赤外線を真空槽外で測定した。この時、赤外
線カメラのレンズ直前まで真空ダクトを延長することで
大気に影響されず、良好な温度分布画像が得られた。温
度分布画像の合成と温度制御を司る主制御装置は、この
基体の温度分布情報に基づき、予め設定した温度分布と
の差を求め個々の加熱ヒータを制御することで、目的と
する基体の温度分布が得られた。そしてこの加熱制御系
を真空成膜装置に適応することにより、目的の温度分布
で成膜可能な真空成膜装置が得られた。例えば磁気ディ
スクを構成するCo−Cr系媒体は、温度により保磁力
が変化し、基板の温度分布を含めた温度制御が磁性媒体
の性能に直接影響する。また高記録密度に伴う高保磁力
磁性媒体を成膜するには、Ni−P基板が磁化しない程
度の高い温度で成膜するプロセス適用するため、高い精
度の温度制御を必要とするが、本発明の赤外線温度計測
装置と加熱制御装置とを備えた成膜装置で製造した磁気
ディスクは、円周方向で磁気特性が均一でエンベロープ
出力のうねりの大きさを小さくすることができた。ま
た、温度管理が綿密に行えるので、ディスク基板間での
特性のばらつきを低減し、生産の歩留を向上させること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の赤外線画像計測装置の基本的な構成を
示した概略ブロック図である。
【図2】基体をステップ搬送しながら温度測定するとき
の測定フローチャートである。
【図3】主制御装置内で画像を合成する時のデータ配列
図である。
【図4】基体を定速搬送しながら温度測定するときの測
定フローチャートである。
【図5】本発明加熱装置の一実施例を示す説明図で、図
5(a)は一部断面正面図、図5(b)は側面図であ
る。
【図6】温度計測装置を付加して加熱出力を制御する本
発明加熱装置の一実施例となる制御系構成図である。
【図7】本発明の赤外線画像計測装置により測定した大
面積基体の温度分布図である。
【図8】本発明の赤外線画像計測装置により温度分布を
制御して得られた基体の温度分布図である。
【図9】本発明の加熱制御方法の説明図で、図9(a)
は温度分布の実測結果を等高線で示した温度分布図、図
9(b)はその結果に基づいて均一な設定温度に調整す
る加熱制御方法の説明図である。
【図10】本発明の一実施例となるスパッタ装置を示し
たもので、図10(a)は横断平面図、図10(b)は
縦断正面図である。
【図11】パレットと基板との温度分布図である。
【図12】温度分布を制御した時のパレットと基板の温
度分布図である。
【図13】パレット間の平均温度の変化を示した温度特
性図で、図13(a)は温度制御無しの比較例の特性
図、図13(b)は温度制御有りの特性図である。
【図14】温度測定のタイミングを取る機能を付けたパ
レットの斜視図である。
【図15】本発明を適用した連続スパッタ装置の概略図
を示したもので、図15(a)は横断平面図、図15
(b)は縦断平面図である。
【図16】図15の加熱室20及び温度計測室30を抜
き出した図で、図16(a)は横断平面図、図16
(b)は図16(a)のA−A′断面拡大図である。
【図17】温度計測装置を付加して加熱出力を制御する
加熱制御系構成図である。
【図18】温度画像の撮像範囲と分布測定点と加熱ヒー
タの設置位置との関係示した説明図である。
【図19】本発明の主制御装置のモニター画面を示した
図である。
【図20】温度計測をしながら加熱制御する手順を示し
たフローチャートである。
【図21】スパッタ装置にパレット巡回機能を追加した
本発明の異なる実施例となるスパッタ装置の縦断正面図
である。
【図22】本発明の更に異なる実施例となる枚葉方式ス
パッタ装置の概略図を示すもので図22(a)は一部破
断平面図、図22(b)は同じく一部破断正面図であ
る。
【図23】図22の枚葉方式スパッタ装置の要部を示し
たもので、図23(a)は図22の縦断側面図、図23
(b)は図22のスパッタ室内の縦断正面図である。
【図24】本発明の更に異なる実施例となる回転ドラム
方式スパッタ装置の概略図を示すもので、図24(a)
は横断平面図、図24(b)は一部破断正面図である。
【図25】基板の緒特性を示したもので、図25(1)
はパレット内基板の温度と保磁力との分布図、図25
(2)は8インチディスクの温度分布図、図25(3)
は円周方向の膜厚分布図、図25(4)は円周方向の保
磁力分布図、図25(5)はヘッド出力分布図である。
【符号の説明】
1…基体、2(2′)…搬送系、3…搬送系制御装置、 4…赤外線カメラ、4−1…赤外線カメラ制御装置、 4−2…赤外線カメラモニタ、5…ダクト、6…リニア
ステージ、 7…主制御装置、7−1…モニタ、7−2…外部記憶装
置、 8…位置検出器、8−1…センサー(受光素子)、 9…マーカ、10…リニアステージ駆動系 11…リニアステージ制御装置、12…加熱槽、 13…加熱機構(ヒータ)、14…加熱制御装置、 15…D/A変換器、16…アルゴンボンベ、 17…基板、18…パレット、19…仕込み室、 20…加熱室、21…スパッタ室、 22…取り出し室、23…ゲートバルブ、 24…真空排気系、25…ターゲット、 26…検出穴、27…センサー(発光素子)、 28…センサー(受光素子)、29…仕切り板、30…
温度計測室、 31…赤外線窓、32…カソード、33…熱電対、 34…リフタ、35…基板脱着部、 36…L/UL37キャリア、38…搬送室、39…ホ
イスト、 40…搬入ドア、41…カセット、42…排気口、 43…シャッタ、44…ホルダ、45…真空槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/31 H01L 21/31 D 21/66 21/66 H T (72)発明者 片岡 宏之 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所 生産技術研究所内 (72)発明者 阿部 勝男 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所 生産技術研究所内 (72)発明者 積田 則和 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所 小田原工場内 (72)発明者 重 則幸 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所 小田原工場内 (56)参考文献 特開 昭62−250344(JP,A) 特開 昭64−83124(JP,A) 特開 昭62−107065(JP,A) 特開 平1−268870(JP,A) 特開 昭62−89881(JP,A) 特開 平1−124726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01J 5/02 G01J 5/48 C23C 14/56 H01L 21/203 H01L 21/31 H01L 21/66

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱された基体から放射する赤外線を撮像
    して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、この赤外
    線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体の温度
    計測を行う手段とを具備して成る温度計測装置であっ
    て、前記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して撮
    像する手段と、前記撮像装置により時間的、空間的に分
    割されて撮像された個々の赤外線画像情報を赤外線温度
    画像情報に変換する手段と、この分割された赤外線温度
    画像情報を逐次蓄積し、この蓄積された前記基体全体の
    赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温度分布
    を再生する手段とを有して成り、前記基体の赤外線撮像
    領域を複数個所に分割して撮像する手段を、前記基体を
    一定方向に移動させ、この移動に同期させて前記基体を
    部分的に分割して前記赤外線撮像装置により赤外線画像
    を複数回にわたり撮像する構成とした赤外線温度画像測
    定装置。
  2. 【請求項2】加熱された基体から放射する赤外線を撮像
    して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、この赤外
    線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体の温度
    計測を行う手段とを具備して成る温度計測装置であっ
    て、前記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して撮
    像する手段と、前記撮像装置により時間的、空間的に分
    割されて撮像された個々の赤外線画像情報を赤外線温度
    画像情報に変換する手段と、この分割された赤外線温度
    画像情報を逐次蓄積し、この蓄積された前記基体全体の
    赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温度分布
    を再生する手段とを有して成り、前記基体の赤外線撮像
    領域を複数個所に分割して撮像する手段を、前記基体を
    一定方向に移動させ、この移動に同期させて前記基体を
    部分的に分割して前記赤外線撮像装置により赤外線画像
    を複数回にわたり撮像する構成とすると共に、時間的、
    空間的に制御する制御系と、この分割撮像された赤外線
    画像情報に基づいて赤外線温度画像情報に逐次変換され
    た温度情報を蓄積する手段と、この蓄積された前記基体
    全体の赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温
    度分布を再生する手段とを備えた主制御装置を有して成
    る赤外線温度画像測定装置。
  3. 【請求項3】加熱された基体から放射する赤外線を撮像
    して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、この赤外
    線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体の温度
    計測を行う手段とを具備して成る温度計測装置であっ
    て、前記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して撮
    像する手段と、前記撮像装置により時間的、空間的に分
    割されて撮像された個々の赤外線画像情報を赤外線温度
    画像情報に変換する手段と、この分割された赤外線温度
    画像情報を逐次蓄積し、この蓄積された前記基体全体の
    赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温度分布
    を再生する手段とを有して成り、前記基体の赤外線撮像
    領域を複数個所に分割して撮像する手段として、前記基
    体を一方向に移動させ、この基体の移動方向に対して直
    交する方向に細長いスリット状に分割して前記赤外線撮
    像装置により赤外線画像を複数回にわたり順次基体の移
    動と同期させて撮像する構成とした赤外線温度画像測定
    装置。
  4. 【請求項4】加熱された基体から放射する赤外線を撮像
    して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、この赤外
    線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体の温度
    計測を行う手段とを具備して成る温度計測装置であっ
    て、前記基体の赤外線撮像領域を複数個所に分割して撮
    像する手段と、前記撮像装置により時間的、空間的に分
    割されて撮像された個々の赤外線画像情報を赤外線温度
    画像情報に変換する手段と、この分割された赤外線温度
    画像情報を逐次蓄積し、この蓄積された前記基体全体の
    赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温度分布
    を再生する手段とを有して成り、前記基体の赤外線撮像
    領域を複数個所に分割して撮像する手段として、前記基
    体を一方向に移動させ、この基体の移動方向に対して直
    交する方向に細長いスリット状に分割して前記赤外線撮
    像装置により赤外線画像を複数回にわたり順次基体の移
    動と同期させて撮像する構成とすると共に、時間的、空
    間的に制御する制御系と、この分割撮像された赤外線画
    像情報に基づいて赤外線温度画像情報に逐次変換された
    温度情報を蓄積する手段と、この蓄積された前記基体全
    体の赤外線温度画像情報を合成して前記基体全体の温度
    分布を再生する手段とを備えた主制御装置を有して成る
    赤外線温度画像測定装置。
  5. 【請求項5】薄膜を形成する基板とこれを保持する治具
    からなる基体に、加熱処理を施す加熱機構と、加熱され
    た基体から放射する赤外線を撮像して赤外線画像を生成
    する赤外線画像装置と、この赤外線画像を赤外線温度画
    像情報に変換して前記基体の温度計測を行う手段とから
    成る赤外線温度画像測定装置を具備した真空薄膜形成装
    置において、前記加熱機構は独立に出力制御できる複数
    個の加熱機構を配設したものであり、 前記赤外線温度画像測定装置により前記複数個の加熱機
    構の出力制御が行われる手段を具備しており、真空薄膜
    形成装置内における前記加熱機構の部位と、加熱された
    基体の温度を計測する部位とが仕切り板を介して位置的
    に隔てらた異なる位置に配設して成る真空成膜装置。
  6. 【請求項6】真空槽と、この真空槽を真空排気する手段
    と、この真空槽内の試料台に基体が所定の加熱温度で保
    持されて薄膜を形成する手段とを有する真空薄膜形成装
    置であって、前記基体を所定加熱温度で保持する手段と
    して、加熱槽内に基体と対向配置した加熱機構と;この
    加熱機構により加熱された前記基体から放射する赤外線
    を撮像して赤外線画像を生成する赤外線撮像装置と、こ
    の赤外線画像を赤外線温度画像情報に変換して前記基体
    の温度計測を行う手段とを有して成る温度計測装置と;
    この温度計測装置からの出力に基づいて前記基体の温度
    を加熱制御する温度制御装置とを備えた加熱装置で構成
    すると共に、口径の小さい方の一端に赤外線透過窓を介
    して赤外線カメラが装着されたダクトを、前記真空槽の
    一部に配設して温度計測室を構成すると共に、前記ダク
    ト内を含む温度計測室の内壁を黒体化処理し、内壁の輻
    射率を大ならしめて構成した成膜装置。
  7. 【請求項7】上記真空槽をスパッタリング処理室として
    成る請求項6記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】上記真空槽をCVD処理室として成る請求
    項6記載の成膜装置。
  9. 【請求項9】真空槽と、この真空槽を排気する手段とを
    備えると共に、薄膜を形成する基板とこれを保持する治
    具からなる基体に、加熱処理を施す加熱機構と、加熱さ
    れた基体から放射する赤外線を撮像して赤外線画像を生
    成する赤外線画像装置と、この赤外線画像を赤外線温度
    画像情報に変換して前記基体の温度計測を行う手段から
    成る赤外線温度画像測定装置を具備した真空薄膜形成装
    置において、前記基体を加熱処理する装置内の部位と、
    加熱された基体の温度を計測する装置内の部位とが仕切
    り板を介して位置的に隔てらた異なる位置に配設され、
    口径の小さい方の一端に赤外線透過窓を介して赤外線カ
    メラが装着されたダクトを、上記真空槽の一部に配設し
    て温度計測室を構成すると共に、前記ダクト内を含む温
    度計測室の内壁を黒体化処理し、内壁の輻射率を大なら
    しめて構成した成膜装置。
  10. 【請求項10】上記加熱処理後の基体が赤外線を放射す
    る雰囲気と、この基体の赤外線温度画像を測定する赤外
    線温度画像測定装置の設置してある雰囲気とを、異なる
    雰囲気に構成して成る請求項9記載の成膜装置。
  11. 【請求項11】仕込み室と、加熱室と、温度計測室と、
    成膜室と、基板をこれら各室内に搬送する搬送手段とを
    少なくとも具備して成る成膜装置であって、前記搬送手
    段により連続して送られてくる基体に対して加熱処理を
    行なう手段と、続いて基体の温度分布を実測する手段
    と、予め設定された基体の所定温度分布と前記実測され
    た温度分布とのずれ量を演算し、温度分布を測定した基
    体以後の基体を、ずれ量の演算に基づく結果から予め設
    定している温度分布に制御するように、加熱機構の加熱
    出力制御を行う加熱制御手段とを具備して成る請求項9
    記載の成膜装置。
  12. 【請求項12】仕込み室と、加熱室と、成膜室と、取出
    し室とが直列的に配置され、基板をこれら各室内に搬送
    する搬送手段とを少なくとも具備して成る成膜装置であ
    って、前記基板の搬送手段を、複数の基体の両面が開放
    されて保持されるパレットが巡回可能な機構を持つパレ
    ット搬送系として成る請求項9記載の成膜装置。
  13. 【請求項13】基板の仕込み及び取り出しを行う真空槽
    と、基板の加熱を行う真空槽と、成膜を行う真空槽とか
    ら成り、基体を1枚ずつ連続して加熱、成膜の処理を行
    う為の搬送系を有して成る請求項9記載の成膜装置。
  14. 【請求項14】一つの共通する真空槽中に成膜手段と加
    熱手段とを有し、基板を保持する多角形の基板ホルダが
    回転しながら加熱及び成膜する成膜装置を具備して成る
    請求項9記載の成膜装置。
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