JP2803610B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2803610B2 JP7310361A JP31036195A JP2803610B2 JP 2803610 B2 JP2803610 B2 JP 2803610B2 JP 7310361 A JP7310361 A JP 7310361A JP 31036195 A JP31036195 A JP 31036195A JP 2803610 B2 JP2803610 B2 JP 2803610B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真プロセス
によって画像形成を行う複写機,プリンタ或いはファク
シミリ等に装備される電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスは、光導電性を有する
感光体の表面にコロナ放電などの電荷を帯電させた後、
画像露光を行い静電潜像を形成させ、トナーによる現像
で可視化することによって画像形成を行うプロセスであ
る。このプロセスに用いる電子写真感光体は、暗所で優
れた帯電能力を有し、且つ光照射によって、帯電した電
荷を速やかに消失する能力が必要とされる。
【0003】かかる電子写真感光体は、従来より、S
e,CdS,ZnO等の無機光導電性化合物を主成分と
してきたが、生産性や有害性等の点で問題があった。こ
のため、かかる問題点を克服するために、昨今にあって
は、有機光導電性物質を主成分とした感光体の開発が盛
んに行われ、実用化されている。さらに、有機光導電性
物質は、分子構造や結晶形を変えることにより、無機感
光体では困難であった近赤外波長域の感度を有すること
ができるため、これらを用いた感光体は、近赤外波長域
に発振波長を有する半導体レーザーを光源としたデジタ
ル方式の電子写真プロセスの感光体として重要視されて
いる。
【0004】有機光伝導物質を用いた電子写真感光体と
しては、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)支持
体上に電荷発生材料を含む塗料および電荷輸送材料を含
む塗料を順次塗布した後、乾燥して電荷発生層と電荷輸
送層とを形成した機能分離型の積層型電子写真感光体が
広く用いられている。
【0005】特に、近年、近赤外波長域に非常に優れた
感度を有するオキソチタニウムフタロシアニン(以下、
「TiOPc」とする)が注目され、感光体の電荷発生
材料として実用化されており、昨今にあっては、TiO
Pcを電荷発生層に用いた感光体のほとんどが、正孔輸
送層と組み合わせた負帯電積層型感光体として多用され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したTiOPcを
用いた感光体は、TiOPcのイオン化ポテンシャルが
5.24〔eV〕(但し、理研計器製表面分析装置AC
−1による測定)と小さいため、アルミニウム支持体か
ら正孔の注入が起きやすく、感光体の電荷保持能力が低
くなり易い。そこで、アルミニウム支持体からの正孔注
入を制御する方法としてアルミニウム支持体と電荷発生
層の間に中間層を設けることが多い。
【0007】上記の中間層としては、ポリアミド樹脂,
アクリレート樹脂,ポリウレタンなどで形成される下引
き層やアルミニウム支持体の表面を陽極酸化して形成さ
れる酸化皮膜が、単層又は積層して用いられている。し
かしながら、下引き層は温度および湿度の変化に伴う抵
抗値の変化が大きいという欠点を有し、又、酸化皮膜が
薄いと正孔注入の制御が不十分となり、酸化皮膜が厚い
と感光体の残留電位を高くしてしまうという欠点があ
る。
【0008】一方、高感度化と高い電荷保持率のほか
に、電子写真感光体には、感度の最適化が必要とされ
る。
【0009】現在の電子写真プロセスは、高速化および
高解像度化に関する進歩が著しい。デジタル方式の電子
写真プロセスにおける高速度化,高解像度化は、いずれ
も、1ドットの露光時間が短くなる。即ち、同じ光源を
用いて電子写真装置を高解像度化した場合、必然的に1
ドットあたりの露光量が少なくなり、感光体の高感度化
が求められる。
【0010】これに対して、TiOPc(オキソチタニ
ウムフタロシアニン)は、実用化されている多くの電荷
発生材料と比較して非常に高感度であるため、高速で且
つ高解像度な電子写真装置の感光体として適している
が、高感度であるがゆえに照射光量の高い半導体レーザ
ーを光源を装備し且つ印字速度の遅い電子写真装置では
画像がつぶれやすい。即ち、TiOPcを用いた感光体
をこのような装置で使用するには、感度をある程度調整
する必要がある。
【0011】この場合、一般的には、積層型感光体の感
度調整は電荷発生層の膜厚で制御によって行われる。こ
れは単純に電荷発生材料の量を制御することであり、電
荷発生層の膜厚が薄いと低感度に、厚いと高感度にな
る。
【0012】しかしながら、このような方式で感度調整
できる範囲は比較的狭い。即ち、極端に薄い膜厚は、均
一に塗布することが困難であり、電荷発生材料の無い部
分が生じる場合があるためである。また、電荷発生層を
極端に厚くしても、照射光が電荷発生層の表面近傍で吸
収されるため高感度化にはならない。更に、電荷発生層
を厚くすると(即ち、電荷発生材料の量を増やすこ
と)、電荷発生材料の熱励起による電荷発生量を増やす
ことにつながり、感光体の電荷保持率が低下するという
不都合が生じる。
【0013】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、とくに、電荷発生材料としてTiOPc(オ
キソチタニウムフタロシアニン)を用い、電荷保持能力
に優れ且つ残留電位の低い高性能な電子写真感光体を、
更には広範囲での感度調整が可能で且つ種々の電子写真
装置で良好な画像を得ることが可能な電子写真感光体を
提供することを、その目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、電荷発生層と電荷輸送層とを有し、負
帯電で使用する積層型電子写真感光体において、前述し
た電荷発生層が、オキソチタニウムフタロシアニンと、
チオインジゴ顔料とを含むこと、という構成を採ってい
る。ここで、チオインジゴ顔料は、
【化2】 表示される部材が使用されている。これにより、高い
電荷保持能力を有する電荷発生層が得られる。
【0015】また、前述した電荷発生層は、オキソチタ
ニウムフタロシアニン(TiOPc)とチオインジゴ顔
料との所定量をバインダ樹脂中に分散したものを溶媒に
て溶解し又は分散して成る塗料に基づいて形成される。
このようにすると、薄膜の形成が容易となる。
【0016】更に、前述した電荷発生層は、その膜厚
が、0.05〔μm〕乃至5〔μm〕の範囲に設定され
ているが、好ましくは0.1から2〔μm〕程度が適当
であることが実験的に明らかとなった。
【0017】ここで、チオインジゴ顔料は、イオン化ポ
テンシャルが5.45〔eV〕(理研計器製表面分析措
置AC−1による測定)と適当に高く、この顔料を電荷
発生層に含ませることにより、アルミニウム支持体から
の正孔注入量を低減することができ、結果として感光体
の電荷保持能力が向上する。
【0018】また、チオインジゴ顔料は、TiOPcと
比較して近赤外波長域に殆ど感度を持たないため、電荷
発生層中のチオインジゴ顔料とTiOPcの混合比を変
えることにより、広範囲にわたって感度調整が可能とな
り、さまざまな電子写真装置で良好な画像が得られる電
子写真感光体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0020】図1において、電子写真感光体は、アルミ
ニウム支持体10と、このアルミニウム支持体10上に
形成された中間層11と、この中間層11の上に塗布さ
れた電荷発生層12と、この電荷発生層12の上の塗布
された電荷輸送層13とから構成されている。
【0021】電荷発生層12は、オキソチタニウムフタ
ロシアニン(TiOPc)とチオインジゴ顔料とを混合
して、バインダ樹脂中に分散し、溶媒にて溶解し又は分
散して成る塗料に基づいて形成される。これにより、高
い電荷保持能力を有する電荷発生層12を得ることがで
きる。
【0022】ここで、チオインジゴ顔料は、
【化3】 表示される部材が使用されている。
【0023】上記バインダ樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルホマール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、アクリル樹脂、フェノール樹脂等があり、これ
らを単独又は二種類以上組み合わせて用いられる。
【0024】上記電荷発生層12は、チオインジゴ顔
料,TiOPcおよびバインダ樹脂を、トルエン、キシ
レン、モノクロルベンゼン、メチルアルコール、エチル
アルコール、酢酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロ
フラン、又はシクロヘキサン等の溶媒に溶解し又は分散
して成る塗料を、アルミニウム支持体上に又はアルミニ
ウム支持体上に形成された中間層上に塗布することによ
って形成される。
【0025】この際の溶媒としては、トルエン、キシレ
ン、モノクロルベンゼン、メチルアルコール、エチルア
ルコール、酢酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロフ
ラン又はシクロヘキサン等が用いられる。これらの溶媒
は、単独又は混合して用いられる。
【0026】そして、これらの塗布方法としては、スピ
ンコータ、アプリケータ、スプレ、コータ、バーコー
タ、ディップコータ、ドクターブレード等公知の手法が
用いられる。又、電荷発生層12の膜厚は、0.05か
ら5〔μm〕、好ましくは0.1から2〔μm〕程度が
適当である。
【0027】チオインジゴ顔料は、イオン化ポテンシャ
ルが5.45〔eV〕(理研計器製表面分析措置AC−
1による測定)と適当に高く、この顔料を電荷発生層1
2に含ませることにより、アルミニウム支持体からの正
孔注入量を低減することができ、結果として感光体の電
荷保持能力が向上する。
【0028】また、チオインジゴ顔料は、TiOPcと
比較して近赤外波長域に殆ど感度を持たないため、電荷
発生層12中のチオインジゴ顔料とTiOPcの混合比
を変えることにより、広範囲にわたって感度調整が行え
る。
【0029】電荷発生層12の上に形成される電荷輸送
層13は、電荷輸送材料とこれら分散固定するためのバ
インダ樹脂を溶媒中に溶解し、又は分散して構成される
電荷輸送用塗料を塗工することにより形成される。電荷
輸送用塗料には、酸化防止剤,表面潤滑剤,紫外線吸収
剤等の添加剤を用いることができる。
【0030】ここで、電荷輸送材料は、ポリ−N−ビニ
ルカルバゾーンおよびその誘導体、ピレンーホルムアル
デヒド混合物およびその誘導体、ポリシランおよびその
誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導
体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベ
ンジジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾク誘導
体、ブタジエン誘導体等公知の材料が挙げられる。そし
て、電荷輸送材料は、1種又は2種以上の組み合わせを
用いることができる。
【0031】電荷輸送材料を分散固定するためのバイン
ダ樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルホマール、ポリエステ
ル、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
フェノール樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、1種
又は2種以上組み合わせて用いることができる。そし
て、この場合の溶媒は、トルエン、キシレン、モノクロ
ルベンゼン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢
酸エチル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロ
ヘキサン等が用いられる。これらの溶媒も、単独で又は
混合として用いられる。
【0032】電荷輸送層13の膜厚は、5〜40〔μ
m〕、好ましくは15〜25〔μm〕程度が適当であ
る。又、電荷輸送層13の塗工方法としては、スピンコ
ータ、アプリケータ、スプレーコータ、バーコータ、デ
ィップコータ、ドクターブレード等の公知の手法が用い
られる。
【0033】そして、上記感光体において、電荷発生層
12中のチオインジゴ顔料とTiOPcの混合式を変え
ることにより、広範囲にわたって感度調整が可能とな
り、種々の電子写真装置で良好な画像が得られる電子写
真感光体を得ることができる。
【0034】
【実施例】次に、上記実施形態における具体的な実施例
について説明する。
【0035】(実施例1)図2示した赤外吸収スペクト
ルを持つTiOPcを1重量%、チオインジゴ顔料を1
重量%、ポリビニルブチラールを2重量%設け、これら
を96重量%のテトラヒドロフランと共にボールミルで
24時間分散して電荷発生層用塗料を作成した。
【0036】また、
【化4】 に示す電荷輸送材料を20重量%と、ポリカーボネート
(Z-200 :三菱瓦斯化学)20重量%とを塩化メチレン
60重量%に溶解して電荷輸送層用塗料を作成した。
【0037】そして、表面を陽極酸化することにより中
間層として機能する酸化皮膜(7μm)を形成したアル
ミニウム支持体上に、上述した電荷発生層用塗料および
電荷輸送層用塗料を順次浸漬塗工し、電荷発生層(0.
2μm)および電荷輸送層(20μm)を形成すること
によって積層型の電子写真感光体を作製した。
【0038】そして、この作製した電子写真感光体につ
いて、半減露光感度、帯電から5秒後の電荷保持率、お
よび残留電位を、静電帯電試験装置(川口電機製EPA
8200)によって評価した(図3参照)。
【0039】(実施例2)図2に示した赤外吸収スペク
トルを持つTiOPcを0.5重量%、チオインジゴ顔
料を1.5重量%、ポリビニルブチラールを2重量%設
け、これらを96重量%のテトラヒドロフランと共にボ
ールミルで24時間分散して電荷発生層用塗料を作成
し、これに基づいて実施例1と同様に積層型電子写真感
光体を製作し、実施例1と同様の評価を行った(図3参
照)。
【0040】(実施例3)図2に示した赤外吸収スペク
トルを持つTiOPcを1.5重量%、チオインジゴ顔
料を0.5重量%、ポリビニルブチラールを2重量%設
け、これらを96重量%のテトラヒドロフランと共にボ
ールミルで24時間分散して電荷発生層用塗料を作成
し、前述した実施例1と同様に積層型電子写真感光体を
製作し、実施例1と同様の評価を行った(図3参照)。
【0041】(実施例4)構造式2の電荷輸送材料に代
えて、下記の構造式3の電荷輸送材料を用いた以外は、
実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製作し、実施
例1と同様の評価を行った(図3参照)。
【化5】
【0042】(比較例1)チオインジゴ顔料を用いず
に、図2に示した赤外吸収スペクトルを持つTiOPc
を2重量%、ポリビニルブチラールを2重量%をテトラ
ヒドロフランを96重量%と共にボールミルで24時間
分散して電荷発生層用塗料を作成した。そして、前述し
た実施例1と同様に、電荷発生層12を厚さ0.2〔μ
m〕で、また電荷輸送層13を厚さ20〔μm〕で形成
することによって積層型の電子写真感光体を作製し、実
施例1と同様の評価を行った(図3参照)。
【0043】(比較例2)電荷発生層12を膜厚を0.
1〔μm〕とした以外は上記比較例1と同様に積層型電
子写真感光体を製作し、実施例1と同様の評価を行った
(図3参照)。
【0044】実施例1〜4及び比較例1〜2の評価結果
を図3に示す。この評価結果から明らかのように、実施
例1〜4の積層型電子写真感光体は、いずれも電荷発生
層にチオインジゴ顔料を含んでおり、チオインジゴ顔料
を用いず作成した比較例1〜2の積層型電子写真感光体
と比較して、電荷保持率が著しく改善されている。ま
た、実施例1〜3の積層型電子写真感光体の評価結果
は、電荷発生層中のチオインジゴ顔料とTiOPcの混
合比を変えることにより、広範囲にわたって感度を調整
できることを示している。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、電荷発生材料にT
iOPcを用いた高感度な電子写真感光体において、T
iOPcと構造式1のチオインジゴ顔料を混合しバイン
ダー樹脂中に分散して電荷発生層を形成することによ
り、支持体からの正孔注入を制御し電荷保持能力の高い
電子写真感光体を提供できる。
【0046】また、上記感光体において、電荷発生層中
のチオインジゴ顔料とTiOPcの混合比を変えること
により、広範囲にわたって感度調整を行うことが可能と
なり、さまざまな電子写真装置にて良好な画像が得られ
る電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す部分断面図であ
る。
【図2】図1に開示した電荷発生層に含まれるオキソチ
タニウムフタロシアニンの赤外吸収スペクトルを示す線
図である。
【図3】実施例及び比較例の評価結果を示す図表であ
る。
【符号の説明】
10 アルミニウム支持体 11 中間層 12 電荷発生層 13 電荷輸送層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電荷発生層と電荷輸送層とを有し、負帯
    電で使用する積層型電子写真感光体において、 前記電荷発生層が、オキソチタニウムフタロシアニン
    と、次の構造式1で表示されるチオインジゴ顔料とを含
    むことを特徴とした電子写真感光体。【化1】
  2. 【請求項2】 前記電荷発生層は、オキソチタニウムフ
    タロシアニン(TiOPc)とチオインジゴ顔料との所
    定量をバインダ樹脂中に分散したものを溶媒にて溶解し
    又は分散して成る塗料に基づいて形成されることを特徴
    した請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記電荷発生層は、その膜厚が、0.0
    5〔μm〕乃至5〔μm〕の範囲に設定されていること
    を特徴とした請求項1又は2記載の電子写真感光体。
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