JP2802971B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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孝 菅
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置、特に、スイ
ッチング特性の優れた半導体装置の構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン等の半導体材料によりP
N接合を形成した半導体装置、例えば、整流ダイオ−
ド、トランジスタ、サイリスタ等に種々の構造が実用化
されている。
【0003】図1は従来の半導体装置の一例を示す構造
であって、整流ダイオ−ドとして利用されるものであ
る。図1において、2は一導電型半導体領域(例えば、
N領域)、3は2と逆導電型の逆導電型半導体領域(例
えば、P+領域)、1は2と同一の一導電型高濃度半導
体領域(例えば、N+領域)、5は絶縁膜(例えば、酸
化膜)、6はアノ−ドオ−ミック金属、7はカソ−ドオ
−ミック金属であり、一導電型半導体領域2と逆導電型
半導体領域3との間に主接合を形成し、整流用の半導体
装置を構成する。
【0004】図1のP+N型半導体装置に順電圧を印加
すると、0.052ボルト(300゜K)を越える電圧
からはP+領域3よりN領域2に正孔が注入され、N領
域2には電子と正孔がほぼ同数流れるようになる。順電
圧の印加を取り去ると、N領域2の電子は有効質量が小
さいために、移動度μeが正孔の移動度μhにくらべて
大きいため、P+領域3側に移動し去ったり、近くの正
孔と再結合して短時間に消滅する。一方、移動度の小さ
な正孔は、N+領域1側への移動に数μ秒程度の長時間
がかかり、無視し得る電荷量になるまでは次の信号を入
力できない。なお、゜KはKELVIN単位温度を意味
し、絶対温度として摂氏温度Cに対し(K=273+
C)の関係にある。従って300゜Kは27℃を意味
し、一般に常温として慣用的に使用される。
【0005】従って、前記せる正孔を速い速度で捕獲
し、消滅させ、逆回復時間(trr)を改善した半導体装
置が実用化されている。第1に、半導体領域内にAu、
Fe、Pt、Cu等の重金属をド−ピングしてキャリア
電荷の再結合を促進する重金属ド−ピング型半導体装置
又は接合がある。この型では、trrの値を数μsec
〜数nsecとすることができる。
【0006】第2に、他の従来技術例として図1のP+
領域の電子ポテンシャルより低い電子ポテンシャルをも
った金属をN領域表面にショットキ接触させることによ
り移動度の小さな正孔の注入をおさえ、ほとんど移動度
の大きな電子流でキャリア電荷を構成することにより、
trrを数10nsec〜数nsecの半導体装置又は
接合を得ることができる。
【0007】しかして、前記の第1及び第2の半導体装
置又は接合はスイッチング特性の改善をなし得るが、第
1の装置又は接合は、不純物として重金属ド−ピングを
するため、逆漏れ電流や順電圧降下の増加をもたらし、
又、第2の装置又は接合は、低い電子ポテンシャルをも
つ金属とのショットキ接合を形成するほど、高い逆電圧
印加時に、この低いポテンシャルを越える電子流が多量
となり、結果として逆漏れ電流の増大をもたらす。この
ように、スイッチング特性を改善した従来の半導体装置
は特に、逆方向特性の低下、即ち、逆漏れ電流の増大に
問題があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、逆方向電圧印加時の逆漏れ電
流を小さく、高速のスイッチングタイムを得る半導体装
置の提供を目的とする。
【0009】
【実施例】図2は本発明の実施例1の構造図で、(a)
は断面正面図、(b)はX−X′平面図である。図1と
同一符号は同一部分をあらわす(以下、各図共、同様と
する。)。一導電型半導体領域2として10Ω・cmの
N型シリコン基板を用い、その表面から公知の方法で、
逆導電型半導体領域3として、幅10μm、深さ5μm
のP+領域を形成した。又、N型シリコン基板2の表面
に、P+領域3の中心位置から正孔の拡散長Lh以下の距
離l=10μmの位置で幅1μm、深さ2μmのP+領
域から成る捕獲領域4を形成する。4は3によってはさ
まれたキャリア電荷の通路内に設けられることになる。
なお、10Ω・cmのN型シリコン中の正孔拡散長Lh
は300゜Kで約110μmである。次いで、3、4の
P+領域形成熱処理時と同時に公知の方法で絶縁膜5
(酸化膜)を形成する。更に、アノ−ドオ−ミック金属
6、N+領域1、カソ−ドオ−ミック金属7をそれぞ
れ、形成し接続した。なお、捕獲領域4は、電気的には
アノ−ド、カソ−ド等の外部電極から強制的な電位を与
えられず、浮遊電位状態におくものとする。
【0010】図2の構造において、捕獲領域4のP+領
域の形成により、順電圧印加時に一導電型半導体領域2
であるN領域に注入された多量の正孔を順電圧の除去時
に急速に捕獲消滅することができる。
【0011】図3は、本発明装置のスイッチング特性図
であり、逆回復時間trrと距離lの関係を示す。図2
に示すように、Sは逆導電型半導体領域3ではさまれた
キャリア電荷の通路間隔、Wは捕獲領域4の幅、lは3
の中心から捕獲領域4間距離である。前記せる図2の半
導体装置において、W=1μm一定でSをパラメ−タに
した場合のtrrとlの関係を示しており、lを正孔の
拡散長Lh以内に選択することによりtrrの減少を達
成することができた。間隔Sが100μm、30μm、
2μmと小になるほどtrrも小さくなることがわか
る。このことはキャリア電荷の捕獲領域4への通路をせ
まくすることがより効果的であることを示しており、捕
獲領域4内及びその近傍でキャリア密度を高くすること
により、所謂、オ−ジェ再結合現象が見られ、急速に少
数キャリアが消滅するものと考えられる。なお、順方向
特性及び逆方向特性は図1のP+N接合のものと同等の
ものを得ている。
【0012】図4は、本発明の他の実施例2のX−X′
平面図を示す。断面正面図は図2(a)と同様の構造で
あり、省略した。しかして、図4では、捕獲領域4は逆
導電型半導体領域3で取り囲むようにしたキャリア電荷
の通路内に設けている。
【0013】図5は、本発明の他の実施例3の構造図で
ある。それは捕獲領域4の設置位置及び材料を変更した
実施例であって、設置位置は逆導電型半導体領域3には
さまれた一導電型半導体領域2の表面に形成し、その材
料を金属とした。3のP+領域の中心位置から4への位
置lは正孔の拡散長Lh以内に形成される。又、捕獲領
域4はアノ−ドオ−ミック金属6とは絶縁膜5で絶縁さ
れ、浮遊電位状態を保持せしむる。図5の本発明半導体
装置においても図3のスイッチング特性図とほぼ同様の
特性を示した。又、捕獲領域4の幅W及びキャリア電荷
の通路間隔Sが狭くなると捕獲領域4の近傍でオ−ジェ
再結合現象が発生しやすくなり、trrの減少傾向がつ
よまる。
【0014】図6は、本発明の他の実施例4の構造図で
ある。図6では、トレンチ溝により、P+領域3を分割
形成し、トレンチ溝の底部に捕獲領域4を蒸着等による
金属層又はP+半導体で形成し、P+領域3相互間はCV
D法によるSiO2等の絶縁物8で埋設した構造であ
り、前記の実施例と同様にtrrを減少できる。
【0015】半導体装置に設ける捕獲領域4の数や、図
2の捕獲領域4のP+領域の深さ、図6の捕獲領域4の
金属層の深さ、厚さは製造上、設計上の必要から任意に
選択し得るものであって図示のものに限定されない。
又、半導体の導電型の等価的な変換をはじめ、本実施例
の各部分の変形、変換、付加は本発明の要旨の範囲で任
意に選択実施し得るものである。なお、本発明の適用は
整流用の半導体装置に限定されることなく、整流接合を
有する各種の個別素子や集積回路装置等にも適用される
ものである。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明の半導体装置
は、順方向及び逆方向特性を劣化させることなく、スイ
ッチング特性を大幅に改善することができるので、広範
囲に利用でき、産業上の効果きわめて大なるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の半導体装置の構造図である。
【図2】本発明の実施例1の構造図であり、(a)は断
面正面図、(b)はX−X′平面図である。
【図3】図2の半導体装置のスイッチング特性図であ
る。
【図4】本発明の実施例2のX−X′平面図である。
【図5】本発明の実施例3の構造図である。
【図6】本発明の実施例4の構造図である。
【符号の説明】
1 一導電型高濃度半導体領域 2 一導電型半導体領域 3 逆導電型半導体領域(主接合) 4 捕獲領域 5 絶縁膜 6 アノ−ドオ−ミック金属 7 カソ−ドオ−ミック金属 8 絶縁膜 A アノ−ド C カソ−ド l、S、W 指定の寸法

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一導電型半導体領域に接し逆導電型半導
    体領域を設けて整流主接合を形成した半導体装置におい
    て、逆導電型半導体領域で取り囲むか、又は、狭むよう
    に形成したキャリア電荷の通路を設け、該通路の内部又
    は表面に正孔に対する低いポテンシャルをもつ半導体、
    又は金属から成るキャリア電荷の捕獲領域を設け、該逆
    導電型半導体領域の中心部と該捕獲領域の距離をキャリ
    ア電荷の拡散長以内にすると共に、該捕獲領域を浮遊電
    位状態に保持するようにしたことを特徴とする半導体装
    置。
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