JP2800510B2 - 磁気ヘッド及び薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド及び薄膜磁気ヘッド

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JP2800510B2
JP2800510B2 JP3317697A JP31769791A JP2800510B2 JP 2800510 B2 JP2800510 B2 JP 2800510B2 JP 3317697 A JP3317697 A JP 3317697A JP 31769791 A JP31769791 A JP 31769791A JP 2800510 B2 JP2800510 B2 JP 2800510B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置等の
磁気記録再生装置に用いられる磁気ヘッド及び薄膜磁気
ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14は従来の磁気ヘッドを示す斜視図
である。図14において1はスライダーで、スライダー
1はフェライト等の酸化物磁性材料によって構成されて
いる。またスライダー1の媒体対向面には一対の互いに
平行な浮上レール2,3がそれぞれ設けられている。又
浮上レール2と浮上レール3の間には所定のトラック幅
TWを有したセンターレール4が設けられている。5は
フェライト等の酸化物磁性材料によって構成されたC字
型のコアで、コア5は磁気ギャップを介してセンターレ
ール4の端面に突き合わされ、接合ガラス6にてスライ
ダー1に接合されている。7はコア5の胴部に巻回され
た巻線である。図15は図14図に示した磁気ヘッドの
磁気ギャップ部の拡大側面図である。図15において、
1はスライダー、5はコア、6は接合ガラスで、これら
は図14に示すものと同じである。8はコア5のギャッ
プ対向面に形成された金属磁性膜で、金属磁性膜8はF
e−NiやFe−Al−Si等の金属磁性材料で構成さ
れており、スパッタリング法等の薄膜形成技術によって
形成されている。9は磁気ギャップとなり、SiO2
の非磁性材料によって構成された非磁性膜で、非磁性膜
9はスパッタリング法等の薄膜形成技術でスライダー1
の端面に形成される。
【0003】以上のように構成された磁気ヘッドにおい
て以下その動作を図16及び図17を用いて説明する。
【0004】図16及び図17において10は図14に
示した磁気ヘッド、11は磁気ディスク、12は空気流
である。磁気ディスク11が回転していない時は磁気ヘ
ッド10は磁気ディスク11に接触した状態となる。磁
気ディスク11が回転し始めると、磁気ヘッド10と磁
気ディスク11は互いに擦れ合うようになる。磁気ディ
スク11の回転数が一定以上になると、磁気ディスク1
1の表面に強い空気流が発生するようになり、図17図
に示すように磁気ヘッド10は磁気ディスク11から離
れ、磁気ディスク11から一定の距離を保って浮上する
ようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の構成では、磁気ディスク11が回転していないときは
磁気ヘッド10の媒体対向面は常に磁気ディスク11表
面に接触している状態となるので、活性な金属で構成さ
れた金属磁性膜8が、磁気ディスク11表面に塗布して
ある潤滑剤や、磁気ディスク11表面に結露した水分に
よって変色等を起こし、磁気ヘッドの諸特性が劣化する
という問題点があった。
【0006】本発明は前記従来の問題点を解決するもの
で、金属磁性膜が潤滑剤や結露した水分等によって変色
等を起こさず、諸特性の劣化を起こさない磁気ヘッドを
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、金属磁性材料の構成する媒体対向面を他の部材が構
成する媒体対向面より窪ませた。
【0008】
【作用】この構成により、磁気ディスク表面に設けられ
た潤滑剤や水分が金属磁性材料に接触しない。
【0009】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例における磁気ヘ
ッドを示す斜視図である。図1において1はスライダ
ー、2,3は浮上レール、4はセンターレール、5はコ
ア、6は接合ガラス、7は巻線でこれらは従来の構成と
同じである。図2は図1に示した磁気ヘッドのギャップ
部の拡大側面図である。図2において13はコア5のギ
ャップ対向面に形成された金属磁性膜で、金属磁性膜1
3はFe−Ni系合金,Fe−Al−Si系合金,Fe
系アモルファス及びCo系アモルファス等の金属磁性材
料で構成されており、スパッタリング法等の薄膜形成技
術によって形成されている。また金属磁性膜13には媒
体対向面14からtだけ窪んだ凹部15が形成されてい
る。本実施例ではtは10nmにした。このように金属
磁性膜13の媒体対向面側に凹部15を設けたことによ
り、金属磁性膜13は磁気ディスクが回転していない時
磁気ディスクと接触しないので、活性な金属磁性膜13
が磁気ディスク上に塗布された潤滑剤や表面に結露した
水分に接触することはなく、金属磁性膜13に変色等が
発生せず、磁気ヘッドの諸特性を劣化させることはな
い。
【0010】次に凹部15の窪み量tと磁気ヘッドの相
対出力との関係を説明する。本実施例の磁気ヘッドにお
いてギャップ長が0.5μmのものと0.3μmのもの
を用いて測定を行った。浮上量は100nmとし、測定
結果を図3にまとめた。図3から判るように両者とも窪
み量tが20nmを超えると相対出力が急激に低下して
いることが判る。従って窪み量tが20nmを超えない
ように凹部15を形成しなければならないことが判る。
また磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の厚さが2n
m程度なので、窪み量tは2nm〜20nmが好まし
い。
【0011】次に金属磁性膜13に凹部15を形成する
方法の一実施例を説明する。磁気ヘッドが完成した状態
で、フェライトがエッチングされずに、金属磁性膜13
がエッチングされるアルカリ性のエッチング液に5〜1
0分間浸漬し、その後に流水にてエッチング液を十分洗
い流す。すると金属磁性膜13のみがエッチングされ、
金属磁性膜13の媒体対向面14側に凹部15が形成さ
れる。この時エッチング液のPHは12〜13が好まし
い。
【0012】以上のように本実施例によれば、コア5の
ギャップ対向面に形成した金属磁性膜13を媒体対向面
14から窪ませて、凹部15を設けることによって、磁
気ディスクが回転していないとき、直接磁気ディスク表
面に塗布された潤滑剤や、磁気ディスク表面に結露した
水分等に金属磁性膜13が接触していないので、金属磁
性膜13に変色等が発生せず、磁気ヘッドの諸特性を劣
化させることはない。
【0013】次に第2の実施例について説明する。図
4,図5,図6はそれぞれ本発明の第2の実施例におけ
る磁気ヘッドを示す斜視図及び部分拡大図及び部分拡大
断面図である。図4,図5,図6において16はスライ
ダー部で、スライダー部16の媒体対向面には互いに平
行な一対の浮上レール17,18がそれぞれ設けられて
いる。またスライダー部16はセラミック等の非磁性材
で作成された基板16a,16bと、基板16aと基板
16bとの間に設けられた積層コア19によって構成さ
れている。更にスライダー部16の端面には巻線溝16
cが設けられている。20,21はそれぞれコアで、コ
ア20は巻線溝16cを設けた端面に磁気ギャップとな
る非磁性物を介して当接しており、しかもその当接位置
は浮上レール18の端面となっている。またコア21も
巻線溝16cを設けた端面に磁気ギャップとなる非磁性
物を介して当接しており、しかもその当接位置は浮上レ
ール17の端面となっている。本実施例では1トラック
対応の磁気ヘッドであるので、コア21はセラミック等
の非磁性材のみで構成されており、コア20はセラミッ
ク等の非磁性材料でできた基板20a,20bで積層コ
ア19を挟んだ構成となっている。図5は図4のH部を
拡大した図である。図5において22は磁気ギャップで
ある。積層コア19はこの図から判るように金属磁性膜
19aと絶縁膜19bを交互に積層して構成されてい
る。本実施例の場合、金属磁性膜19a及び絶縁膜19
bはそれぞれ3層及び2層であるが、それぞれもっと数
を増やしたり減らしたりしてもよい。また金属磁性膜1
9aはFe−Ni系合金,Fe−Al−Si系合金,F
e系アモルファス及びCo系アモルファス等の金属磁性
材料を用い、絶縁膜19bはSiO2等の絶縁材料を用
いる。このように構成された積層コア19は以下のよう
に作成される。基板16aの上にスパッタリングや蒸着
等の薄膜形成技術で金属磁性膜19aを形成し、その上
に同様な手法で絶縁膜19bを形成する。このように交
互に金属磁性膜19aと絶縁膜19bを積層していき、
所定の厚さ(トラック幅)になったら、ガラス等の接着
剤19cによって基板16bを接合して作成される。積
層コア19を有したコア20の方も同様に構成される。
図6は図5の線ABで切断した断面図である。図5から
判るように金属磁性膜19aの媒体対向面23側には
板16aと絶縁膜19bが構成する媒体対向面23から
tだけ窪んだ凹部19dが設けられている。本実施例で
は窪み量tは10nmとした。このように金属磁性膜1
9aに凹部19dを設けたことにより金属磁性膜19a
は磁気ディスクが回転していない時磁気ディスクと接触
しないので、活性な金属磁性膜19aが磁気ディスク上
に塗布された潤滑剤や表面に結露した水分に接触するこ
とはなく、金属磁性膜19aに変色等が発生せず、磁気
ヘッドの諸特性を劣化させることはない。
【0014】次に凹部19dの窪み量tと磁気ヘッドの
相対出力との関係を説明する。本実施例の磁気ヘッドに
おいてギャップ長が0.5μmのものと0.3μmのも
のを用いて測定を行った。浮上量は100nmとし、測
定結果を図7にまとめた。図7から判るように両者とも
窪み量tが20nmを超えると相対出力が急激に低下し
ていることが判る。従って窪み量tが20nmを超えな
いように凹部19dを形成しなければならないことが判
る。また磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の厚さが
2nm程度なので、窪み量tは2nm〜20nmが好ま
しい。
【0015】次に金属磁性膜16aに凹部19dを形成
する方法の一実施例を説明する。磁気ヘッドが完成した
状態で、基板等がエッチングされずに、金属磁性膜19
aがエッチングされるアルカリ性のエッチング液に5〜
10分間浸漬し、その後に流水にてエッチング液を十分
洗い流す。すると金属磁性膜16aのみがエッチングさ
れ、基板16aと絶縁膜19bが構成する媒体対向面2
3に対して金属磁性膜16aの媒体対向面23側に凹部
16dが形成される。この時エッチング液のPHは12
〜13が好ましい。
【0016】図8は第2の実施例の他の実施例であり、
図8において16aは基板、16bは基板、19は積層
コア、19aは金属磁性膜、19bは絶縁膜、19cは
接着剤であり、これらは図6に示す構成と同じである。
19eは積層コア19の媒体対向面23側に設けられた
媒体対向面23からtだけ窪んだ凹部である。この様に
構成された磁気ヘッドにおいても第2の実施例と同様の
効果を得ることができる。また窪み量tも2nm〜20
nmが好ましい。
【0017】次に第3の実施例を説明する。図9,図1
0,図11はそれぞれ本発明の第3の実施例を示す斜視
図及び部分拡大平面図及び部分拡大断面図である。図
9,図10,図11において、24はセラミック等の非
磁性材料によって構成されたスライダーで、スライダー
24には互いに平行な一対の浮上レール25,26が設
けられている。浮上レール25,26それぞれの端面に
は薄膜磁気ヘッド27、28がそれぞれ設けられてお
り、薄膜磁気ヘッド27にはコイル層に電流を流した
り、コイル層の電流を取り出したりするリード29,3
0が設けられている。又、薄膜磁気ヘッド28にも同様
なリード31,32が設けられている。図10は薄膜磁
気ヘッド27を示す透視拡大図である。図10におい
て、33は銅等の導電性材料で構成されたスパイラル状
のコイル層で、コイル層33には端部34,35がそれ
ぞれ設けられており、端部35にはリード29が接続さ
れており、端部34にはリード30が接続されている。
36はコイル層33の上に設けられた上部磁性層であ
る。薄膜磁気ヘッドを図11を用いて更に詳細に説明す
る。図11は図10の線EFによって切断した断面図で
ある。まず基板を兼ねたスライダー24の上にSiO2
等の絶縁材 料によって構成された絶縁層37を形成す
る。次に絶縁層の上に薄膜技術によって下部磁性層38
を形成し、その上にSiO2等の非磁性材料によって構
成され たギャップ層39を形成する。このギャップ層
39は磁気ギャップの役目をする。ギャップ層39の上
にコイル層33を形成する。コイル層33はまず蒸着等
の薄膜技術によってギャップ層39の上に導電膜を形成
し、導電膜をスパイラル状にリフトオフして作成され
る。次にコイル層33を覆うようにフォトレジスト等の
絶縁材料で絶縁層40を形成する。次に絶縁層40の上
に下部磁性層38とともに磁気回路を構成する様に上部
磁性層36を形成する。次に上部磁性層36及び上部磁
性層36からはみ出したコイル層33を覆うように保護
層41を形成する。保護層41はスパッタリング法等の
薄膜形成技術を用いて作成され、その構成材料は一般的
にSiO2等の耐候性の良い材料が用いられる。この様
に構成された 薄膜磁気ヘッドの上部磁性層36及び下
部磁性層38には金属磁性材料が用いられる。例えば上
部磁性層36としてFe−Ni系合金,Fe−Al−S
i系合金,Fe系アモルファス及びCo系アモルファス
等の金属磁性材料が用いられ、下部磁性層38も同様な
磁性材料が用いられる。また、上部磁性層36と下部磁
性層38の媒体対向面42側には基板24及びギャップ
層39が構成する媒体対向面42からtだけ窪んだ凹部
43,44がそれぞれ設けられている。本実施例では窪
み量tは10nmとした。このように上部磁性層36及
び下部磁性層38に凹部43,44をそれぞれ設けたこ
とにより、上部磁性層36及び下部磁性層38は磁気デ
ィスクが回転していない時磁気ディスクと非接触とする
ことができるので、活性な金属磁性材料でできた上部磁
性層36及び下部磁性層38が磁気ディスク上に塗布さ
れた潤滑剤や表面に結露した水分に接触することはな
く、上部磁性層36及び下部磁性層38に変色等が発生
せず、磁気ヘッドの諸特性を劣化させることはない。
【0018】次に凹部43,44の窪み量tと磁気ヘッ
ドの相対出力との関係を説明する。本実施例の磁気ヘッ
ドにおいてギャップ長が0.5μmのものと0.3μm
のものを用いて測定を行った。浮上量は100nmと
し、測定結果を図12にまとめた。図12から判るよう
窪み量tが20nmまでは窪みが無い薄膜磁気ヘッド
と相対出力にほとんど差が無い。窪み量tが20nmを
超えると相対出力が臨界的に変化し、急激に低下してい
ることが判る。従って窪み量tが20nmを超えないよ
うに凹部43,44を形成しなければならないことが判
る。また磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の厚さが
2nm程度なので、窪み量tは2nm〜20nmが好ま
しい。
【0019】次に上部磁性層36及び下部磁性層38そ
れぞれに凹部43,44を形成する方法の一実施例を説
明する。
【0020】完成した状態で、基板等がエッチングされ
ずに、金属磁性材料で構成された上部磁性層36及び下
部磁性層38がエッチングされるアルカリ性のエッチン
グ液に5〜10分間浸漬し、その後に流水にてエッチン
グ液を十分洗い流す。すると金属磁性材料でできた上部
磁性層36及び下部磁性層38のみがエッチングされ、
媒体対向面42側に凹部43,44がそれぞれ形成され
る。この時エッチング液のPHは12〜13が好まし
い。
【0021】次に第4の実施例について説明する。図1
3は本発明の第4の実施例における磁気ヘッドを示す側
面図である。
【0022】図13において45はフェライト等の酸化
物磁性材料によって構成されたI型のコアで、コア45
のギャップ対向面には金属磁性膜46が設けられてい
る。金属磁性膜46はFe−Ni系合金,Fe−Al−
Si系合金,Fe系アモルファス及びCo系アモルファ
ス等の金属磁性材料によって構成される。また金属磁性
膜46はスパッタリング法等の薄膜形成技術や鍍金法等
によって作成される。47はフェライト等の酸化物磁性
材料によって構成されたC型のコアで、コア47にはギ
ャップ対向面には金属磁性膜48が設けられている。金
属磁性膜48は金属磁性膜46と同様な材料でしかも同
様な方法で作成される。またコア47にはギャップ対向
面に開口した巻線溝49が形成されている。コア45と
コア47は金属磁性膜46と金属磁性膜48が対向する
ように磁気ギャップとなる非磁性膜50を介して突き合
わされ接合ガラス51にて接合されている。また金属磁
性膜46,48それぞれには媒体対向面52側に媒体対
向面52からtだけ窪んだ凹部53,54が設けられて
いる。本実施例では窪み量tは10nmとした。このよ
うに金属磁性膜46,48に凹部53,54を設けたこ
とにより金属磁性膜46,48が磁気ディスクが回転し
ていない時磁気ディスクと接触しないようにすることが
できるので、活性な金属磁性膜46,48が磁気ディス
ク上に塗布された潤滑剤や表面に結露した水分に接触す
ることはなくなるので、変色によって金属磁性膜46,
48に変色等が発生せず、磁気ヘッドの諸特性を劣化さ
せることはない。
【0023】凹部53,54の窪み量tと磁気ヘッドの
相対出力との関係はほぼ図3と同じである。従って凹部
53,54の窪み量tが20nmを越えると急激に相対
出力が低下する。また磁気ディスク表面に塗布された潤
滑剤の厚さが2nm程度なので、窪み量tは2nm〜2
0nmが好ましい。
【0024】次に金属磁性膜46,48にそれぞれ凹部
53,54を形成する方法の一実施例を説明する。
【0025】磁気ヘッドが完成した状態で、フェライト
がエッチングされずに、金属磁性膜46,48がエッチ
ングされるアルカリ性のエッチング液に5〜10分間浸
漬し、その後に流水にてエッチング液を十分洗い流す。
すると金属磁性膜46,48のみがエッチングされ、金
属磁性膜46,48の媒体対向面52側に凹部53,5
4が形成される。この時エッチング液のPHは12〜1
3が好ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明は、金属磁性材料の構成する媒体
対向面を他の部材が構成する媒体対向面より窪ませたこ
とにより、磁気ディスク表面に設けられた潤滑剤や水分
が金属磁性材料に接触しないので、金属磁性膜が潤滑剤
や結露した水分等によって変色等を起こさず、諸特性の
劣化を起こさない。さらに、図6に示す積層型磁気ヘッ
ドにおいては積層膜を構成する絶縁膜が金属磁性膜に対
して突出しているために、磁気ディスクとヘッドが接触
・摺動するコンタクトスタートストップ時や、ヘッドク
ラッシュ時にも、突出した絶縁膜が金属磁性膜を保護
し、金属磁性膜が削れてしまい、ヘッド特性が劣化して
しまうのを防ぐという効果を有する。また、図12に示
すグラフで明らかなように、薄膜磁気ヘッドの場合は磁
性層の窪み量tとヘッドの相対出力は臨界的な関係を有
し、それゆえ磁性層の窪み量tを2nm〜20nmとす
ることにより、薄膜磁気ヘッドにおいて相対出力を低下
させることなく、その磁性層は磁気ディスクが回転して
いない時でも磁気ディスクと非接触とすることができる
ので、活性な金属磁性材料でできた磁性層が磁気ディス
ク上に塗布された潤滑剤や表面に結露した水分に接触す
ることはなく、磁性層に変色などが発生せず、磁気ヘッ
ドの諸特性を劣化させることがないという効果を有す
る。さらに、薄膜磁気ヘッドの場合、基板及びギャップ
層が構成する媒体対向面が磁性層が構成する媒体対向面
よりも突出しているために、磁性層は突出した基板及び
ギャップ層により磁気ディスク表面から保護されること
になり、特にギャップ層は磁性層の中間に位置するため
に磁性層を狭い間隔で保護することが出来る。その結
果、磁性層はヘッドと磁気ディスクとが接触・摺動する
コンタクトスタートストップ時やヘッドクラッシュ時に
も削れる事なく、ヘッドの初期の良好な特性を長時間維
持することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における磁気ヘッドを示
す斜視図
【図2】本発明の第1の実施例における磁気ヘッドを示
す拡大側面図
【図3】金属磁性膜の窪み量と相対出力の関係を示すグ
ラフ
【図4】本発明の第2の実施例における磁気ヘッドを示
す斜視図
【図5】本発明の第2の実施例における磁気ヘッドを示
す部分拡大図
【図6】本発明の第2の実施例における磁気ヘッドを示
す部分拡大断面図
【図7】金属磁性膜の窪み量と相対出力の関係を示すグ
ラフ
【図8】本発明の第2の実施例の他の実施例を示す部分
拡大断面図
【図9】本発明の第3の実施例における磁気ヘッドを示
す斜視図
【図10】本発明の第3の実施例における磁気ヘッドを
示す部分拡大平面図
【図11】本発明の第3の実施例における磁気ヘッドを
示す部分拡大断面図
【図12】上部磁性層及び下部磁性層の窪み量と相対出
力の関係を示すグラフ
【図13】本発明の第4の実施例における磁気ヘッドを
示す側面図
【図14】従来の磁気ヘッドを示す斜視図
【図15】従来の磁気ヘッドを示す部分拡大側面図
【図16】磁気ヘッドの浮上方法を示す側面図
【図17】磁気ヘッドの浮上方法を示す側面図
【符号の説明】
1 スライダー 5 コア 9 非磁性膜 13 金属磁性膜 14 媒体対向面 15 凹部 19 積層コア 19a 金属磁性膜 19b 絶縁膜 19d 凹部 19e 凹部 22 磁気ギャップ 23 媒体対向面 36 上部磁性層 38 下部磁性層 39 ギャップ層 43 凹部 44 凹部 45 コア 46 金属磁性膜 47 コア 48 金属磁性膜 50 非磁性膜 53 凹部 54 凹部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−125320(JP,A) 特開 平5−28429(JP,A) 実開 平3−135906(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/187 G11B 5/31

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に金属磁性膜と絶縁膜とを交互に積
    層した積層コアを設け、少なくとも一方に巻線溝を形成
    した一対のコア構成体を設け、前記一対のコア構成体を
    磁気ギャップを介して突合せ、接合した磁気ヘッドであ
    って、積層コアの金属磁性膜が構成する媒体対向面を、
    前記基板及び前記積層コア中の絶縁膜が構成する媒体対
    向面よりも窪ませたことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】金属磁性膜が構成する媒体対向面を非磁性
    基板が構成する媒体対向面よりも2nm〜20nm窪ま
    せたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】絶縁膜をSiO2で、金属磁性膜をFe−
    Ni系合金,Fe−Al−Si系合金、Fe系アモルフ
    ァス及びCo系アモルファスにて構成したことを特徴と
    する請求項1記載の磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】基板上に金属磁性膜と絶縁膜を交互に積層
    した積層コアを設け、少なくとも一方に巻線溝を形成し
    た一対のコア構成体を設け、前記一対のコア構成体を磁
    気ギャップを介して突合せ、接合した磁気ヘッドであっ
    て、前記基板及び前記積層コア中の絶縁膜が構成する媒
    体対向面が、前記金属磁性膜の媒体対向面よりも突出し
    ていることを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】基板の上に金属磁性材料で構成された一対
    の磁性層をギャップ層を介して積層するとともに前記一
    対の磁性層の間にコイル層を設けた薄膜磁気ヘッドであ
    って、磁性層が構成する媒体対向面を、基板とギャップ
    層とが構成する媒体対向面よりもその断面が基板側とギ
    ャップ層側近傍は浅く、その中間部は深くなるように滑
    らかに窪ませるとともに、その窪みの深さを2〜20n
    mとしたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】前記基板及び前記ギャップ層が構成する媒
    体対向面が、前記磁性層が構成する媒体対向面よりも突
    出していることを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘ
    ッド。
  7. 【請求項7】一対の磁性層の少なくとも一方をFe−N
    i系合金、Fe−Al−Ni系合金,Fe系アモルファ
    ス及びCo系アモルファスにて構成したことを特徴とす
    る請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。
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