JP2798604B2 - 鋳造方法及び鋳造装置 - Google Patents

鋳造方法及び鋳造装置

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JP2798604B2
JP2798604B2 JP6088369A JP8836994A JP2798604B2 JP 2798604 B2 JP2798604 B2 JP 2798604B2 JP 6088369 A JP6088369 A JP 6088369A JP 8836994 A JP8836994 A JP 8836994A JP 2798604 B2 JP2798604 B2 JP 2798604B2
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邦明 吉川
敏幸 脇
公明 竹内
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株式会社平本工業所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造方法及び鋳造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造すべき製品に厚肉部と薄肉部とがあ
る場合に、溶湯の凝固速度違いから厚肉部に引け巣を
発生し易いことはよく知られている。例えば、エンジン
用ピストンを軽合金の重力鋳造法によって得る場合、ス
カート部に比べて肉厚の厚いヘッド部は溶湯の最終凝固
部になるため、該溶湯の凝固収縮によって上記引け巣を
発生することがある。このような引け巣等の鋳造欠陥の
防止には、キャビティ内の溶湯の凝固の進行に方向性を
もたせる指向性凝固が有効であることは知られている。
しかし、それを押湯のみで行なうには該押湯のボリュー
ムを大きくする必要があり、歩留まりが悪くなる。
【0003】これに対して、鋳型のキャビティに注入さ
れた溶湯を加圧することによって上記引け巣を防止する
という技術は一般に知られている。例えば、特開平2−
303671号公報には、消失模型鋳造法において、湯
口の溶湯に加圧蓋の周縁のフランジを没入させることに
よって該加圧蓋の内部空間をシールし、その状態で該内
部空間に加圧エアを供給することによって溶湯を加圧す
るようにした鋳造方法が記載されている。また、実開平
3−106250号公報には、重力金型鋳造において、
注湯後の湯口を塞いだ状態で押湯口に加圧プランジャを
圧入することが記載されている。さらに、重力鋳造では
なく、溶湯を金型に圧入するダイカスト法も一般に知ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、割り金型の場
合は、溶湯を加圧すると該溶湯が分割型の合わせ面の隙
間に洩れるという問題がある。特に上記エンジン用ピス
トンのような複雑な形状を有する物を鋳造する場合に
は、多数の分割型を組み合わせる必要があることから、
個々の分割型の寸法誤差の影響が相乗的に現われて上記
合わせ面の隙間が大きくなり易く、ダイカストの採用が
難しいと共に、重力鋳造法においても注湯後に溶湯を加
圧すると、上記合わせ面の隙間から溶湯が洩れることに
なる。
【0005】すなわち、本発明の課題は、割り金型を用
いた重力鋳造法あるいは低圧鋳造法において、溶湯を加
圧した際の該溶湯の洩れを防止し、溶湯を確実に加圧す
ることができるようにして、歩留まりを高めながら鋳造
欠陥のない鋳造品を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用】本発明は、
上記課題を解決するために、上記割り金型における湯口
又は押湯を構成する分割型に、その合わせ面の隙間に洩
れる溶湯を速やかに凝固させる手段を設け、該溶湯が凝
固した後に、湯口又は押湯の凝固前の溶湯を加圧するよ
うにするものである。以下、上記課題を解決する各請求
項に係る発明を説明する。
【0007】<請求項1に係る発明> この発明は、湯口又は押湯が複数の分割型を合わせるこ
とによって構成されている割り金型を用いた鋳造方法で
あって、上記湯口又は押湯を構成する分割型に、該分割
型の合わせ面の隙間に洩れた溶湯を該合わせ面との接触
によって当該割り金型の他の面に接触した場合よりも早
く凝固させる凝固促進手段を設けておき、上記割り金型
のキャビティに溶湯を注入し、上記湯口又は押湯に該湯
口又は押湯から溶湯が溢れることを阻止するシール部材
を嵌入し、上記湯口又は押湯の凝固前の溶湯に圧力を加
えることを特徴とする。
【0008】この発明においては、湯口又は押湯を構成
する分割型に凝固促進手段が設けられているから、該分
割型の合わせ面の隙間に洩れ出た溶湯が早期に凝固して
該隙間を塞ぐことになる。よって、上記溶湯の加圧によ
って該溶湯が上記合わせ面の隙間から洩れることが防止
され、溶湯に加圧力を確実に伝えることができるととも
に、歩留まりも高くなり、さらに、鋳造後の型の清掃も
容易になる。
【0009】<請求項2に係る発明> この発明は、上記請求項1に記載されている鋳造方法に
おいて、上記湯口又は押湯にシール部材を嵌入する工程
は、該湯口又は押湯の溶湯に圧力を加えるよう該シール
部材を該溶湯に接触させて該湯口又は押湯に圧入するこ
とによって行ない、上記シール部材の圧入後にさらに上
記湯口又は押湯の凝固前の溶湯に圧力を加える工程は、
該湯口又は押湯の中央部に上記シール部材の下面からプ
ランジャを突出させることによって行なうことを特徴と
する。
【0010】この発明の場合は、シール部材を湯口又は
押湯に圧入することによって溶湯を加圧する効果を得る
ことができ、さらに、プランジャによって溶湯を加圧す
るから、結局、溶湯は二段に、つまり、その凝固の初期
と凝固が進んだ半凝固時とに加圧されることになる。よ
って、鋳物全体に加圧力が行き渡り、鋳造組織の緻密化
を図る上で有利になる。また、上記シール部材による加
圧の際にも、上記分割型の合わせ面の隙間に洩れ出る溶
湯は上記凝固促進手段によって速やかに凝固するから、
過剰な溶湯の洩れを生ずることはない。
【0011】<請求項3に係る発明> この発明は、上記請求項1又は請求項2に記載されてい
る鋳造方法において、上記割り金型のキャビティに溶湯
を注入する工程では、該溶湯に圧力をかけずに注湯する
重力鋳造法を採用することを特徴とする。
【0012】この発明においては、溶湯の注入が該溶湯
の自重によるものであるから、割り金型各部の型合わせ
部の隙間への溶湯の洩れが少なくなり、複雑形状の製品
キャビティを多数の分割型の組み合わせによって構成す
る場合に有利になる。
【0013】<請求項4に係る発明> この発明は、上記請求項3に記載されている鋳造方法に
おいて、上記割り金型の湯口系が押湯を備えておらず、
湯口を構成する分割型に上記凝固促進手段が設けられて
おり、該湯口に上記シール部材を嵌入することを特徴と
する。
【0014】この発明においては、押湯がないから、金
型の構成を簡単なものにする上で有利になり、シール部
材も湯口のみに設けることで足り、しかも歩留まりが高
くなる。
【0015】<請求項5に係る発明> この発明は、上記請求項1乃至請求項4のいずれか一に
記載されている鋳造方法において、上記割り金型がエン
ジン用ピストンを鋳造するものであることを特徴とす
る。この発明において、エンジン用ピストンは、一般に
厚肉のヘッド部と薄肉のスカート部とがあり、スカート
部が比較的複雑な形状を有するため、多数の分割型を必
要とするとともに引け巣を生じ易いから、上記請求項1
乃至請求項4の各発明の作用が効果的に発揮される。
【0016】<請求項6に係る発明> この発明は、湯口又は押湯が複数の分割型を合わせるこ
とによって構成されている割り金型を備えている鋳造装
置であって、上記湯口又は押湯を構成する分割型に設け
られ、該分割型の合わせ面の隙間に洩れた溶湯を該合わ
せ面との接触によって当該割り金型の他の面に接触した
場合よりも早く凝固させる凝固促進手段と、上記湯口又
は押湯から溶湯が溢れないように該湯口又は押湯に嵌入
し保持されるシール部材と、上記湯口又は押湯の凝固前
の溶湯に圧力を加える加圧手段とを備えていることを特
徴とする。
【0017】この発明においては、上記凝固促進手段、
シール部材及び加圧手段を備えているから、請求項1に
係る発明を実施することができる。
【0018】<請求項7に係る発明> この発明は、上記請求項6に記載されている鋳造装置に
おいて、上記凝固促進手段が、上記分割型の合わせ面の
隙間における溶湯と該分割型との接触面積が多くなるよ
う当該対向する合わせ面に形成された互い嵌合する凹部
と凸部とによって構成されていることを特徴とする。
【0019】この発明においては、上記分割型の対向す
る合わせ面と溶湯との接触面積が凹部及び凸部の形成に
よって広くなっているから、溶湯は分割型に熱を奪われ
易くなって早期に凝固する。
【0020】<請求項8に係る発明> この発明は、上記請求項6又は請求項7に記載されてい
る鋳造装置において、上記分割型の合わせ面の湯口側の
端縁に該合わせ面に沿って上記シール部材の嵌入方向に
延び且つ上記湯口に開口した溝が形成されていることを
特徴とする。この発明の場合は、上記溝に硬いチル晶に
よる凝固層が形成されて合わせ面が内側から塞がれるた
め、溶湯に比較的高い圧力が加わっても凝固層の破壊が
少なくなり、合わせ面への溶湯の侵入が防止される。
【0021】<請求項9に係る発明> この発明は、上記請求項6、請求項7又は請求項8に記
載されている鋳造装置において、上記シール部材の断面
が上記湯口又は押湯の断面形状に対応する形状に形成さ
れていて、上記シール部材を上記湯口又は押湯に圧入す
る圧入手段を備えていることを特徴とする。
【0022】この発明においては、シール部材と湯口又
は押湯の断面形状が対応するものになっているから、該
シール部材を湯口又は押湯に圧入すると、該湯口又は押
湯の溶湯を加圧することができる。
【0023】<請求項10に係る発明> この発明は、上記請求項6乃至請求項9のいずれか一に
記載されている鋳造装置において、上記シール部材に該
シール部材を冷却するための冷却媒体を通す冷却通路が
形成されていることを特徴とする。
【0024】この発明においては、シール部材自体を冷
却することができるから、該シール部材の表面に溶湯の
凝固層を形成することができ、該シール部材と湯口又は
押湯の内周面との間から溶湯が洩れることを防止する上
で有利になる。また、シール部材の表面に凝固層が形成
されるから、該シール部材を湯口又は押湯に圧入してい
った際に溶湯を効果的に加圧することができる。
【0025】<請求項11に係る発明> この発明は、上記請求項9に記載されている鋳造装置に
おいて、上記シール部材には上記溶湯との接触面が凹凸
面に形成されていることを特徴とする。
【0026】この発明の場合は、シール部材と溶湯との
接触面積が上記凹凸面によって大きくなっているから、
該接触面に溶湯の凝固層が比較的速やかに形成され、該
シール部材による溶湯の加圧に有利になる。
【0027】<請求項12に係る発明> この発明は、上記請求項6乃至請求項11のいずれか一
に記載されている鋳造装置において、上記加圧手段が、
上記シール部材の下面より上記湯口の溶湯の中央部にプ
ランジャを進出させるものであることを特徴とする。
【0028】この発明においては、上記プランジャの溶
湯への進出によって該溶湯が加圧されることになる。
【0029】<請求項13に係る発明> この発明は、上記請求項6乃至請求項12のいずれか一
に記載されている鋳造装置において、上記湯口は、溶湯
を割り金型のキャビティに圧力をかけずに注入する重力
鋳造用の湯口であることを特徴とする。
【0030】この発明においては、溶湯の注入が該溶湯
の自重によるものであるから、割り金型各部の型合わせ
部の隙間への溶湯の洩れが少なくなり、複雑形状の製品
キャビティを多数の分割型の組み合わせによって構成す
る場合に有利になる。
【0031】<請求項14に係る発明> この発明は、上記請求項13に記載されている鋳造装置
において、上記割り金型の湯口系が押湯を備えておら
ず、湯口を構成する分割型に上記凝固促進手段が設けら
れており、該湯口に上記シール部材が嵌入されることを
特徴とする。
【0032】この発明においては、押湯がないから、金
型の構成を簡単なものにする上で有利になり、シール部
材も湯口のみに設けることで足り、しかも歩留まりが高
くなる。
【0033】<請求項15に係る発明> この発明は、上記請求項6乃至請求項14のいずれか一
に記載されている鋳造装置において、上記割り金型がエ
ンジン用ピストンを鋳造するものであることを特徴とす
る。この発明において、エンジン用ピストンは、一般に
厚肉のヘッド部と薄肉のスカート部とがあり、スカート
部が比較的複雑な形状を有するため、多数の分割型を必
要とするとともに引け巣を生じ易いから、上記請求項6
乃至請求項14の各発明の作用が効果的に発揮される。
【0034】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、湯口又は
押湯を構成する分割型に凝固促進手段を設けておいて、
注湯、シール部材の嵌入、溶湯の加圧を順に行なうよう
にしたから、溶湯が上記分割型の合わせ面の隙間から洩
れることを防止しながら、該溶湯の加圧により鋳造組織
の緻密化を図り、さらに歩留まりの向上及び鋳造におけ
る作業性の向上を図ることができる。
【0035】請求項2に係る発明によれば、上記湯口又
は押湯の溶湯に圧力を加えるようシール部材を該溶湯に
接触させて該湯口又は押湯に圧入するようにし、該シー
ル部材の圧入後にさらに上記シール部材の下面からプラ
ンジャを突出させるようにしたから、溶湯が分割型の合
わせ面の隙間から洩れることを防止しながら、溶湯を二
段に加圧して鋳造組織の緻密化を図ることができる。
【0036】請求項3に係る発明によれば、重力鋳造法
を採用したから、複雑形状の製品キャビティを多数の分
割型の組み合わせによって構成する場合でも型合わせ面
の隙間への溶湯の洩れを防止することができる。
【0037】請求項4に係る発明によれば、上記割り金
型の湯口系が押湯を備えておらず、湯口を構成する分割
型に上記凝固促進手段を設けて、該湯口に上記シール部
材を嵌入するようにしたから、鋳造装置の構造の複雑化
を避けることができるとともに、歩留まりも高くなる。
【0038】請求項5に係る発明によれば、上記割り金
型がエンジン用ピストンを鋳造するものであるから、上
記請求項1乃至請求項4の各発明によって当該ピストン
を得ることができる。
【0039】請求項6に係る発明によれば、湯口又は押
湯を構成する分割型に設けられた凝固促進手段と、該湯
口又は押湯のシール部材と、溶湯の加圧手段とを備えて
いるから、上記請求項1に係る発明を実施することがで
きる。
【0040】請求項7に係る発明によれば、上記凝固促
進手段が、上記分割型の合わせ面の隙間における溶湯と
該分割型との接触面積が多くなるよう当該対向する合わ
せ面に形成された互い嵌合する凹部と凸部とによって構
成されているから、金型構造を複雑にすることなく、上
記隙間に洩れる溶湯を早期に凝固させることができるよ
うになる。
【0041】請求項8に係る発明によれば、上記分割型
の合わせ面の湯口側の端縁に該合わせ面に沿って上記シ
ール部材の嵌入方向に延び且つ上記湯口に開口した溝が
形成されているから、溶湯に比較的高い圧力が加わって
も合わせ面の隙間への溶湯の侵入を防止することができ
る。
【0042】請求項9に係る発明によれば、上記シール
部材の断面が上記湯口又は押湯の断面形状に対応する形
状に形成され、上記シール部材を上記湯口又は押湯に圧
入する圧入手段を備えているから、シール部材によって
湯口又は押湯の溶湯を加圧することができる。
【0043】請求項10に係る発明によれば、上記シー
ル部材に該シール部材を冷却するための冷却媒体を通す
冷却通路が形成されているから、該シール部材と湯口又
は押湯の内周面との間から溶湯が洩れることを防止する
ことができるとともに、該シール部材による溶湯の加圧
に有利になる。
【0044】請求項11に係る発明によれば、上記シー
ル部材の溶湯との接触面に凹凸面が形成されているか
ら、該シール部材による溶湯の加圧に有利になる。
【0045】請求項12に係る発明によれば、上記加圧
手段が、上記シール部材の下面より上記湯口の溶湯の中
央部にプランジャを進出させるものであるから、該プラ
ンジャによって溶湯を確実に加圧することができる。
【0046】請求項13に係る発明によれば、上記湯口
は、溶湯を割り金型のキャビティに圧力をかけずに注入
する重力鋳造用の湯口であるから、複雑形状の製品キャ
ビティを多数の分割型の組み合わせによって構成する場
合に有利になる。
【0047】請求項14に係る発明によれば、上記割り
金型の湯口系が押湯を備えておらず湯口を構成する分割
型に上記凝固促進手段が設けられ、該湯口に上記シール
部材が嵌入されるものであるから、鋳造装置を簡単なも
のにしながら、歩留まりの向上が図れる。
【0048】請求項15に係る発明によれば、上記割り
金型がエンジン用ピストンを鋳造するものであるから、
上記請求項6乃至請求項14の各発明によって当該ピス
トンを得ることができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0050】<鋳造装置の構造> 図1に示すエンジン用ピストンの鋳造装置において、1
はピストンの頂面を形成する上型、2は前後に合わせら
れてピストンの外面を形成するとともに、湯口3を形成
する外型(図1では片側の金型のみを示している)、
4,4はピストンの内面を形成する左右のサイドコア、
5はピストンの頂部裏面を形成するセンタコアであり、
これらの分割型によってピストンを形成する製品部キャ
ビティ6が形成されている。また、7はシール部材、8
は加圧プランジャ、9はダイプレートである。
【0051】上型1は上ダイプレート11に固定され、
センタコア5は下ダイプレート12に固定されて、各々
上下動可能に設けられている。また、外型2及びサイド
コア4も前後又は左右に移動可能に設けられている。そ
して、図1に示す一方の外型2の合わせ面2aには湯口
3に沿って凹溝2bが形成されている。また、図2に示
すように、他方の外型2の合わせ面2aには上記凹溝2
bに嵌合する凸条2cが湯口3に沿って形成されてい
る。これらの互いに嵌合する凹溝2b及び凸条2cが、
外型2,2の合わせ面2a,2aの隙間に洩れた溶湯を
該合わせ面2aとの接触によって当該割り金型の他の面
に接触した場合よりも早く凝固させる凝固促進手段を構
成している。湯口3の断面形状は真円形である。
【0052】シール部材7は、上記湯口3の断面形状と
同じ断面真円形に形成されていて、上下動する圧入手段
13の下面に固定されている。シール部材7の中心には
上下方向の貫通孔が形成されていて、該貫通孔にはシー
ル部材7に対して上下動する上記加圧プランジャ8が挿
入されている。また、シール部材7の下面(溶湯と接触
する面)14は、複数の環状溝が上記加圧プランジャ8
と同心状に設けられて凹凸面に形成されている。
【0053】<鋳造方法> 上記分割型1,2,4,5を組み合わせて製品部キャビ
ティ6及び湯口3を形成する。図3に示すように、上記
湯口3から杓15によって溶湯(軽合金)16をキャビ
ティ6に注入する。溶湯16は金型との接触によってそ
の接触面から凝固していく。
【0054】上記凝固進行の途中の段階で、図1に示す
ように、シール部材7を下降させて該シール部材7の凹
凸状下面14を湯口3の溶湯16に接触させ、そのまま
湯口3に圧入していく。シール部材7と湯口3の溶湯と
の接触により、該シール部材7の凹凸状下面14に溶湯
の凝固層が形成される。この凝固層の形成は当該下面1
4が凹凸状に形成されていて、その接触面積が大きくな
っているから速やかなものになる。また、湯口3の内周
面とシール部材7の外周面との間に侵入する溶湯も該シ
ール部材7との接触によって凝固する。
【0055】従って、上記シール部材7の圧入によっ
て、溶湯16の凝固を開始している部分が効果的に加圧
され、その組織の緻密化が図れるとともに、指向性凝固
が促されることになる。また、当該圧入によって、湯口
3の溶湯16が外型2,2の合わせ面2a,2aの隙間
に洩れるが、この洩れた溶湯は該合わせ面2aとの接触
によって凝固する。その際、該合わせ面2aには凹溝2
bと凸条2cとによる凝固促進手段が形成されていて、
接触面積が大きくなっているから、当該凝固が速やかな
ものになり、溶湯が金型から洩れ出ることが防止される
とともに、当該合わせ面の隙間は溶湯の凝固層によって
塞がれることになる。
【0056】しかる後、加圧プランジャ8が下降して上
記シール部材7の下面中央より湯口3の中央部の溶湯1
6に進出する。この場合、湯口3の中央部の溶湯16は
外型2,2から内側に離れているため、該外型2による
冷却の影響が少なく、凝固前の状態(半凝固状態)にあ
る。よって、上記加圧プランジャ8は当該溶湯16内に
進入することができる。
【0057】上記加圧プランジャ8の進入によって、キ
ャビティ各部の凝固途中の溶湯が効果的に加圧され、そ
の組織の緻密化が図れることになる。この加圧プランジ
ャ8による加圧の際も、シール部材7と湯口3の内周面
との間や、外型2の合わせ面2aの隙間には凝固層が形
成されているから、溶湯の洩れは生ずることがなく、当
該加圧が効果的なものになる。
【0058】なお、上記例ではシール部材7によって溶
湯16を加圧するようにしたが、シール部材7は溶湯1
6に接触させるに止め、加圧プランジャ8のみによって
溶湯を加圧するようにしてもよい。その場合でも、溶湯
の洩れは上記同様に防止される。
【0059】<加圧手段についての参考例> 図4には加圧手段についての参考例が示されており、先
の加圧プランジャに代えてエア加圧手段を採用したもの
である。すなわち、シール部材7の中央にはエア通路2
1が上下方向に貫通するように形成されており、該エア
通路21にエア供給管22が接続されている。エア供給
管22にはエア源の圧力を増幅するための増幅器23が
介設されている。本例の場合も、鋳造方法自体は先の例
と大差がなく、所定の時に加圧プランジャを進出させる
代わりに上記エア加圧手段によって湯口3の溶湯16の
中央部に加圧エアを供給することになる。効果は先の例
と略同様である。
【0060】<溶湯の洩れ防止について> 図5に示すように、上記外型2,2の合わせ面2a,2
aの湯口3側の端縁に該合わせ面2aに沿って上記シー
ル部材7の嵌入方向に延び且つ上記湯口3に開口した溝
24を形成することは、溶湯16の洩れを防止する有効
な手段となる。すなわち、この場合は、上記溝24に硬
いチル晶による凝固層が形成されて合わせ面2a,2a
が内側から塞がれるため、溶湯16に比較的高い圧力が
加わっても当該凝固層の破壊が少なくなり、合わせ面2
a,2aへの溶湯の侵入が防止される。
【0061】図5に示す溝24は、断面が略矩形状に形
成されているが、図6に示すように断面三角形状の溝2
5に形成することもできる。また、溝25の両側に冷却
媒体(例えば冷却水)の流通路26を形成し、該溝25
に進入する溶湯の冷却を促進することは、早期に凝固層
が形成されるため、上記溶湯の洩れ防止に効果的であ
る。
【0062】<湯口3の断面形状について> 図7に示すように、湯口3の断面形状は楕円形状にする
ことができる。このようにすると、湯口3の溶湯1との
接触面積が大きくなるため、それだけ該湯口3の内周面
の凝固層の形成が促進され、上記シール部材7による溶
湯の加圧に有利になる。
【0063】<シール部材の冷却について> 図8に示すように、内筒27aと外筒27bとを嵌合す
ることによってシール部材27を形成し、該両筒の間に
冷却媒体の流通路27cを形成することは、シール部材
27の表面に凝固層を速やかに形成する好適な手段とな
る。同図において、28は上記流通路27cに冷却媒体
を供給排出する管である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳造装置の縱断面図
【図2】湯口部分の横断面図
【図3】キャビティへの注湯状態を示す縱断面図
【図4】エア加圧手段を備えた鋳造装置の縱断面図
【図5】溝を備えた湯口部分の横断面図
【図6】溝を備えた湯口部分の他の例を示す横断面図
【図7】湯口形状の他の例を示す横断面図
【図8】シール部材の冷却手段を示す縱断面図
【符号の説明】
1 上型 2 外型 2a 合わせ面 2b 凹溝 2c 凸条 3 湯口 4 サイドコア 5 センタコア 6 製品部キャビティ 7 シール部材 8 加圧プランジャ 13 圧入手段 14 シール部材7の下面 21 エア通路 22 エア供給管 23 増幅器 24 溝 25 溝 26 冷却媒体流通路 27 シール部材27c 冷却媒体流通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B22D 18/02 B22D 18/02 P (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 27/09 B22D 18/02 B22C 9/06

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯口又は押湯が複数の分割型を合わせる
    ことによって構成されている割り金型を用いた鋳造方法
    であって、 上記湯口又は押湯を構成する分割型に、該分割型の合わ
    せ面の隙間に洩れた溶湯を該合わせ面との接触によって
    当該割り金型の他の面に接触した場合よりも早く凝固さ
    せる凝固促進手段を設けておき、 上記割り金型のキャビティに溶湯を注入し、 上記湯口又は押湯に該湯口又は押湯から溶湯が溢れるこ
    とを阻止するシール部材を嵌入した後、 上記湯口又は押湯の凝固前の溶湯に圧力を加えることを
    特徴とする鋳造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されている鋳造方法にお
    いて、 上記湯口又は押湯にシール部材を嵌入する工程は、該湯
    口又は押湯の溶湯に圧力を加えるよう該シール部材を該
    溶湯に接触させて該湯口又は押湯に圧入することによっ
    て行ない、 上記シール部材の圧入後にさらに上記湯口又は押湯の凝
    固前の溶湯に圧力を加える工程は、該湯口又は押湯の中
    央部に上記シール部材の下面からプランジャを突出させ
    ることによって行なうことを特徴とする鋳造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載されている
    鋳造方法において、 上記割り金型のキャビティに溶湯を注入する工程では、
    該溶湯に圧力をかけずに注湯する重力鋳造法を採用する
    ことを特徴とする鋳造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されている鋳造方法にお
    いて、 上記割り金型の湯口系が押湯を備えておらず、湯口を構
    成する分割型に上記凝固促進手段が設けられており、該
    湯口に上記シール部材を嵌入することを特徴とする鋳造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記
    載されている鋳造方法において、 上記割り金型がエンジン用ピストンを鋳造するものであ
    ることを特徴とする鋳造方法。
  6. 【請求項6】 湯口又は押湯が複数の分割型を合わせる
    ことによって構成されている割り金型を備えている鋳造
    装置であって、 上記湯口又は押湯を構成する分割型に設けられ、該分割
    型の合わせ面の隙間に洩れた溶湯を該合わせ面との接触
    によって当該割り金型の他の面に接触した場合よりも早
    く凝固させる凝固促進手段と、 上記湯口又は押湯から溶湯が溢れないように該湯口又は
    押湯に嵌入し保持されるシール部材と、 上記湯口又は押湯の凝固前の溶湯に圧力を加える加圧手
    段とを備えていることを特徴とする鋳造装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載されている鋳造装置にお
    いて、 上記凝固促進手段が、上記分割型の合わせ面の隙間にお
    ける溶湯と該分割型との接触面積が多くなるよう当該対
    向する合わせ面に形成された互い嵌合する凹部と凸部と
    によって構成されていることを特徴とする鋳造装置。
  8. 【請求項8】 請求項6又は請求項7に記載されている
    鋳造装置において、 上記分割型の合わせ面の湯口側の端縁に該合わせ面に沿
    って上記シール部材の嵌入方向に延び且つ上記湯口に開
    口した溝が形成されていることを特徴とする鋳造装置。
  9. 【請求項9】 請求項6、請求項7又は請求項8に記載
    されている鋳造装置において、 上記シール部材の断面が上記湯口又は押湯の断面形状に
    対応する形状に形成されていて、 上記シール部材を上記湯口又は押湯に圧入する圧入手段
    を備えていることを特徴とする鋳造装置。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至請求項9のいずれか一に
    記載されている鋳造装置において、 上記シール部材に該シール部材を冷却するための冷却媒
    体を通す冷却通路が形成されていることを特徴とする鋳
    造装置。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載されている鋳造装置に
    おいて、 上記シール部材上記溶湯との接触面が凹凸面に形成さ
    れていることを特徴とする鋳造装置。
  12. 【請求項12】 請求項6乃至請求項11のいずれか一
    に記載されている鋳造装置において、 上記加圧手段が、上記シール部材の下面より上記湯口の
    溶湯の中央部にプランジャを進出させるものであること
    を特徴とする鋳造装置。
  13. 【請求項13】 請求項6乃至請求項12のいずれか一
    に記載されている鋳造装置において、 上記湯口は、溶湯を割り金型のキャビティに圧力をかけ
    ずに注入する重力鋳造用の湯口であることを特徴とする
    鋳造装置
  14. 【請求項14】 請求項13に記載されている鋳造装置
    において、 上記割り金型の湯口系が押湯を備えておらず、湯口を構
    成する分割型に上記凝固促進手段が設けられており、該
    湯口に上記シール部材が嵌入されることを特徴とする鋳
    造装置。
  15. 【請求項15】 請求項6乃至請求項14のいずれか一
    に記載されている鋳造装置において、 上記割り金型がエンジン用ピストンを鋳造するものであ
    ることを特徴とする鋳造装置。
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