JP2796790B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

気体圧縮機

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JP2796790B2 JP1975796A JP1975796A JP2796790B2 JP 2796790 B2 JP2796790 B2 JP 2796790B2 JP 1975796 A JP1975796 A JP 1975796A JP 1975796 A JP1975796 A JP 1975796A JP 2796790 B2 JP2796790 B2 JP 2796790B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はカーエアコン等に
用いられる気体圧縮機に関し、特に起動トルクの増大
等、運転再開時のオイル圧縮による不具合を防止したも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の気体圧縮機は図2に
示すようにケーシング1の開口端をフロントヘッド2で
塞ぎ、そのケーシング1内に圧縮機本体3を収納する構
成が採用されている。
【0003】圧縮機本体3はフロントサイドブロック4
とリアサイドブロック5間に内周略楕円筒状のシリンダ
6を有し、この両サイドブロック4、5とシリンダ6に
よって形成されるシリンダ室7内にはロータ8が回転可
能に横架されている(図3参照)。
【0004】ロータ8にはその端面間を貫通してロータ
軸8aが一体に設けられており、ロータ軸8aはフロン
トサイドブロック4のF軸受4aとリアサイドブロック
5のR軸受5aにより支持されている。
【0005】図3に示すように、ロータ8には径方向に
スリット状のベーン溝9、9…が形成され、このベーン
溝9、9…にはベーン10、10…が進退自在に装着さ
れており、ベーン10、10は、ロータ8の回転時には
遠心力とベーン溝底部の油圧とによりシリンダ6の内壁
側に付勢される。
【0006】フロントおよびリアサイドブロック4、
5、シリンダ6、ロータ8、ベーン10、10…により
仕切られたシリンダ室7の小室は、圧縮室11、11…
と称され、ロータ8の回転により容量の大小変化を繰り
返す。
【0007】このような圧縮機本体3においては、ロー
タ8が回転して圧縮室11、11…の容量が変化する
と、その容量変化により吸入室12の低圧冷媒ガスを吸
気し圧縮する。この際、吸入室12の低圧冷媒ガスは、
ケーシング外部のエアコンシステム側(図示省略)より
吸入口1aを介して導入される。
【0008】圧縮後の高圧冷媒ガスは、圧縮室11、1
1…からシリンダ6の吐出孔13、吐出弁14、シリン
ダ6の外周切欠部6a、リアサイドブロック5の吐出連
絡路19、油分離器15、油貯溜室16を順に通過し、
その後吐出口1bよりケーシング外部のエアコンシステ
ム側(図示省略)に至る。このとき、油分離器15では
高圧冷媒ガスから潤滑油成分を分離し、分離の潤滑油成
分は油貯溜室16の底部に溜り、潤滑油の油溜り17を
形成する。
【0009】油貯溜室16に貯溜された潤滑油は、オイ
ル通路18を介してF軸受4a、R軸受5a等の摺動部
へ圧送供給される。この圧送供給は、圧縮室11と油貯
溜室16、すなわち低圧部と高圧部の圧力差によるもの
であり、また、油貯溜室16が高圧部となるのは、上記
の如く圧縮後の高圧冷媒ガスが油貯溜室16を通過する
ことによるものである。
【0010】このように、吐出孔13は圧縮室11、1
1…から油貯溜室16側に圧縮後の高圧冷媒ガスを吐出
するための手段として、また、オイル通路18は油貯溜
室16から圧縮機本体3の摺動部(F軸受4a、R軸受
5a等)側に潤滑油を圧送供給するための手段として設
けられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の気体圧縮機にあっては、摺動部への潤滑油
の圧送供給が圧縮室11(低圧部)と油貯溜室16(高
圧部)の圧力差によるものであるため、圧縮動作を停止
しても、その圧力差が残っている間は油貯溜室16から
オイル通路18、摺動部(F軸受4a、R軸受5a等)
を介し圧縮室11側への潤滑油の流入が止まらず、特
に、圧縮動作の停止時は吐出過程がないことから、圧縮
室11に一旦流入した潤滑油が油貯溜室16側に戻るこ
ともなく、圧縮動作の停止中に、圧縮室11に潤滑油が
多量に溜ってしまう。
【0012】このように潤滑油が圧縮室11に溜ると、
圧縮動作を再開したとき、潤滑油がミストとしてでなく
油のまま圧縮される、いわゆるオイル圧縮が生じ、起動
トルクと起動時のショックが増大する。
【0013】この発明は上述の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、運転再開時のオイル圧
縮による不具合、たとえば起動トルクの増大等を防止し
た気体圧縮機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は吸入室の低圧冷媒ガスを吸気
し圧縮するための圧縮室を備えてなる圧縮機本体と、上
記圧縮機本体の摺動部に供給される潤滑油を貯溜する油
貯溜室と、上記圧縮室から上記油貯溜室側に圧縮後の高
圧冷媒ガスを吐出するための吐出孔と、上記油貯溜室か
ら上記圧縮機本体の摺動部側に潤滑油を圧送供給するた
めのオイル通路とを備え、上記圧縮室と油貯溜室の圧力
差により、油貯溜室からオイル通路を介して圧縮機本体
の摺動部に潤滑油を供給する、気体圧縮機において、上
記吐出孔の近傍に、上記圧縮室側と油貯溜室側とを連通
させるための常時開の均圧孔を設けたことを特徴とす
る。
【0015】請求項2記載の発明は均圧孔の両開口端の
うち、油貯溜室側の開口端を圧縮室側の開口端より大径
に形成してなる、ことを特徴とする。
【0016】この発明では、圧縮機本体での圧縮動作を
停止すると、その直後に油貯溜室の圧力が均圧孔を介し
て圧縮室に開放され、油貯溜室と圧縮室の圧力が短時間
で均圧となり、その両室の圧力差による圧縮室への潤滑
油の流入が防止される。
【0017】また、均圧となるまでの過程で、潤滑油が
圧縮室11に侵入し続けたとしても、均圧孔を介して圧
縮室に開放されたガスは、ロータ8を逆回転させ、圧縮
室に侵入した潤滑油を吸入室または吸入室を介してケー
シング外部のエアコンシステム側(図示省略)に移動
し、圧縮室に潤滑油が溜まることを防ぐ。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る気体圧縮機
の実施形態について図1を基に詳細に説明する。
【0019】なお、気体圧縮機の基本的な構成、すなわ
ち圧縮機本体3、油貯溜室16、吐出孔13、オイル通
路18等を有し、圧縮機本体3は吸入室12の低圧冷媒
ガスを吸気し圧縮するための圧縮室11を備え、油貯溜
室16は圧縮機本体3の摺動部(F軸受4a、R軸受5
a等)に供給される潤滑油を貯溜し、吐出孔13は圧縮
室11から油貯溜室16側に圧縮後の高圧冷媒ガスを吐
出するための手段として、またオイル通路18は油貯溜
室16から圧縮機本体3の摺動部側に潤滑油を圧送供給
するための手段として設けられていること、および、オ
イル通路18を介する油貯溜室16から圧縮機本体3の
摺動部側への潤滑油の圧送供給は圧縮室11と油貯溜室
16の圧力差によるものであること等は従来と同様なた
め、それと同一部材には同一符号を付し、その詳細説明
は省略する。
【0020】この気体圧縮機にあっては、吐出孔13の
近傍に、これとは別個独立にシリンダ6を穿設して常時
開の均圧孔20が設けられており、均圧孔20の一端は
圧縮室11に、また、均圧孔20の他端はシリンダ6の
外周切欠部6aに開口されている。
【0021】つまり、均圧孔20はシリンダ6の外周切
欠部6aおよびリアサイドブロック5の吐出連絡路19
を介し圧縮室11側と油貯溜室16側(図2参照)とを
常時連通させる手段として設けられている。
【0022】この均圧孔20は、圧縮機本体3での圧縮
動作が停止したとき、油貯溜室16の圧力を圧縮室11
側に開放し、その停止後直ちに油貯溜室16と圧縮室1
1を均圧なものとして、両室16、11の圧力差による
圧縮室11への潤滑油の流入を防止する。
【0023】均圧孔20は常時開であるため、均圧孔2
0が大きすぎると、圧縮動作時に、圧縮室11内の冷媒
ガスが圧縮されないまま均圧孔20を経て圧縮室11外
に多量に漏れてしまい、圧縮効率の大幅な低下を招くお
それがある。逆に、均圧孔20が小さすぎると、圧縮停
止時に、高圧冷媒ガスが均圧孔20をスムーズに流れ
ず、油貯溜室16と圧縮室11が均圧となるまでに時間
がかかり、この間、両室16、11の圧力差による圧縮
室11への潤滑油の流入が止まらず、圧縮室11に潤滑
油が溜ってしまい、均圧孔20を設けた意義がなくな
る。
【0024】したがって、均圧孔20の大きさ、個数、
開口形状、開口面積等は、上記事情に鑑み、圧縮効率の
低下を可能な限り防止でき、かつ圧縮動作の停止時に、
油貯溜室16から圧縮室11側への高圧冷媒ガスのスム
ーズな流れが得られるものとする。
【0025】次に、上記の如く構成された気体圧縮機の
動作について図1を基に図2および図3を参照しながら
説明する。
【0026】なお、気体圧縮機の運転を開始すると、圧
縮機本体3が吸入室12の低圧冷媒ガスを吸気し圧縮す
ること、この圧縮後の高圧冷媒ガスは圧縮室11からシ
リンダ6の吐出孔13、吐出弁14、シリンダ6の外周
切欠部6a、リアサイドブロック5の吐出連絡路19、
油分離器15、油貯溜室16を順に通過し、その後吐出
口1bよりケーシング外部のエアコンシステム側(図示
省略)に至ることは従来と同様なため(図2、図3参
照)、その詳細説明は省略する。
【0027】この気体圧縮機によれば、運転を停止した
とき、すなわち圧縮機本体3での圧縮動作を停止する
と、その停止直後に、油貯溜室16に残存している高圧
冷媒ガスが吐出連絡路19、外周切欠部6a、均圧孔2
0を順に通過して圧縮室11に流入する。このように圧
縮室11に流入した高圧冷媒ガスは、さらに圧縮機本体
3の摺動部(F軸受4a、R軸受5a等)側まで至る。
【0028】これにより、油貯溜室16の圧力が圧縮室
11および圧縮機本体3の摺動部側に開放され、圧縮室
11、油貯溜室16、圧縮機本体3の摺動部の圧力が短
時間ですべて均圧となり、圧縮室11と油貯溜室16の
圧力差による圧縮室16への潤滑油の流入が防止され
る。
【0029】すなわち、この実施形態の気体圧縮機にあ
っては、吐出孔13の近傍に、圧縮室11側と油貯溜室
16側とを連通させるための常時開の均圧孔20を設け
たものである。このため、圧縮機本体3での圧縮動作の
停止後直ちに、油貯溜室16の圧力が均圧孔20を介し
て圧縮室11に開放され、この両室11、16の圧力が
短時間で均圧となり、両室11、16の圧力差による圧
縮室16への潤滑油の流入が防止される。よって、圧縮
停止時(運転停止時)に圧縮室16に溜る余分な潤滑油
が可及的に減少し、運転再開時における圧縮機本体3で
のオイル圧縮がなくなり、小さな起動トルクでも運転を
再開することができ、かつオイル圧縮による起動時のシ
ョックが減少する。
【0030】なお、均圧孔20は一端から他端までが同
径の孔として構成してもよいが、圧縮停止時に、より一
層スムーズに均圧孔20を冷媒ガスが流れるようにする
観点から、均圧孔20の両開口端20a、20bのう
ち、油貯溜室16側の開口端20bを圧縮室11側の開
口端20aより大径に形成することもできる。
【0031】
【発明の効果】この発明に係る気体圧縮機にあっては、
上記の如く吐出孔の近傍に、圧縮室側と油貯溜室側とを
連通させるための常時開の均圧孔を設けたものである。
このため、圧縮動作の停止後直ちに、油貯溜室の圧力が
均圧孔を介して圧縮室に開放され、この両室の圧力が短
時間で均圧となり、両室の圧力差による圧縮室への潤滑
油の流入が防止される。よって、圧縮停止時(運転停止
時)に圧縮室に溜る余分な潤滑油が可及的に減少し、運
転再開時における圧縮機本体でのオイル圧縮がなくな
り、小さな起動トルクでの運転再開と、オイル圧縮によ
る起動時のショック低減等を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の要部の説明図。
【図2】従来の気体圧縮機の断面図。
【図3】図2に示す III−III 線断面図。
【符号の説明】
3 圧縮機本体 4a F軸受(摺動部) 5a R軸受(摺動部) 11 圧縮室 12 吸入室 13 吐出孔 16 油貯溜室 18 オイル通路 20 均圧孔

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入室の低圧冷媒ガスを吸気し圧縮する
    ための圧縮室を備えてなる圧縮機本体と、 上記圧縮機本体の摺動部側に供給される潤滑油を貯溜す
    る油貯溜室と、 上記圧縮室から上記油貯溜室側に圧縮後の高圧冷媒ガス
    を吐出するための吐出孔と、 上記油貯溜室から上記圧縮機本体の摺動部側に潤滑油を
    圧送供給するためのオイル通路とを備え、 上記圧縮室と油貯溜室の圧力差により、油貯溜室からオ
    イル通路を介して圧縮機本体の摺動部側に潤滑油を供給
    する、 気体圧縮機において、 上記吐出孔の近傍に、上記圧縮室側と油貯溜室側とを連
    通させるための常時開の均圧孔を設けたことを特徴とす
    る気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 均圧孔の両開口端のうち、油貯溜室側の
    開口端を圧縮室側の開口端より大径に形成してなる、 ことを特徴とする請求項1記載の気体圧縮機。
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