JP3493397B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

気体圧縮機

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JP3493397B2 JP33321293A JP33321293A JP3493397B2 JP 3493397 B2 JP3493397 B2 JP 3493397B2 JP 33321293 A JP33321293 A JP 33321293A JP 33321293 A JP33321293 A JP 33321293A JP 3493397 B2 JP3493397 B2 JP 3493397B2
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徹 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカーエアコン等に用い
られる気体圧縮機に関し、特に、運転再開時における多
量な潤滑油の液圧縮による弊害、例えば異音の発生や起
動トルクの増大を防止し、小さな起動トルクで静かな運
転の再開を行えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の気体圧縮機は図3に示す
ように一端開口型のケーシング1を有し、ケーシング1
の開口端にはフロントヘッド2が取り付けられ、ケーシ
ング1内には圧縮機本体3が収納されており、圧縮機本
体3とフロントヘッド2との間には低圧室(吸入室)4
が、また圧縮機本体3とケーシング1の内壁との間には
高圧室(吐出室)5が設けられている。
【0003】圧縮機本体3は圧縮作業室6,6…を有
し、圧縮作業室6,6…はフロント及びリアサイドブロ
ック7,8、両サイドブロック7,8間に配設された内
周楕円状のシリンダ9、シリンダ9内に回転可能に配設
された円筒状のロータ10、及び図4に示すようにロー
タ10のベーン溝11,11…に摺動自在に配設された
ベーン12,12…により仕切られており、またロータ
10の軸心(ロータ軸13)は両サイドブロック7,8
の軸受部14,15により支持され、ベーン12,12
…はロータ10の回転による遠心力とベーン溝11,1
1…に供給される潤滑油の背圧によりシリンダ9の内壁
に付勢されるように設けられている。
【0004】この圧縮機本体3は、ロータ10が回転す
ると、圧縮作業室6,6…の容量が変化し、これにより
低圧室4の冷媒ガスを圧縮作業室6,6…内に吸い込み
圧縮して高圧室5に吐出する。
【0005】圧縮機本体3からケーシング1の底部まで
の空間は潤滑油を貯留する油貯留室16として設けられ
ており、油貯留室16は上記高圧室5に連通し、高圧室
5の圧力が作用するよう形成され、また、油貯留室16
には油供給路17の一端が開口されており、油供給路1
7の他端は軸受部14,15に開口されている。
【0006】このような気体圧縮機は、運転が開始され
ロータ10が回転すると、油貯留室16の潤滑油が油貯
留室16に作用する高圧室5の圧力により油供給路17
を介して軸受部14,15に圧送されると共に、このよ
うに一方の軸受部14に供給された潤滑油はベーン溝1
1,11…とベーン12,12…の隙間やフロントサイ
ドブロック7とロータ10の隙間を経て圧縮作業室6,
6…に流入したり、低圧室4に直接流入して圧縮作業室
6,6…に吸い込まれかつ圧縮され、また他方の軸受部
15に供給された潤滑油はベーン溝11,11…とベー
ン12,12…の隙間やリアサイドブロック8とロータ
10と隙間を経て圧縮室6,6…に流入しかつ圧縮され
る。
【0007】このように油貯留室16の潤滑油は、油貯
留室16に作用する高圧室5の圧力により、油供給路1
7を介して軸受部14,15、ベーン溝11,11…と
ベーン12,12…の隙間、並びにフロントまたはリア
サイドブロック7,8とロータ10の隙間等、圧縮機本
体3の摺動部分に圧送される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の気体圧縮機にあっては、運転停止後に低圧
室4と高圧室5を均圧状態に制御する手段は何等設けら
れてなく、運転を停止した後においても、低圧室4と高
圧室5に圧力差がある間は油貯留室16の潤滑油が油供
給路17を介して圧縮機本体3の摺動部分に圧送され続
けるため、圧縮機本体3の摺動部分から低圧室4に流入
する潤滑油が止まらず、最終的には油貯留室16の潤滑
油が著しく減り低圧室4に多量に溜まり、運転を再開し
たとき低圧室4から多量の潤滑油が吸い込まれかつ圧縮
されるので、運転再開時における多量な潤滑油の液圧縮
による弊害、例えば異音が発生したり、あるいは起動ト
ルクが増大することは避けられず、小さな起動トルクで
静かに運転を再開することができない。
【0009】この発明は上述の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは運転再開時における多量
な潤滑油の液圧縮による弊害、例えば異音の発生や起動
トルクの増大を防止し、小さな起動トルクで静かな運転
の再開を行うことが可能な気体圧縮機を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、吸入室の冷媒ガスを圧縮作業室
内に吸い込み圧縮して吐出室に吐出する圧縮機本体と、
上記吐出室の圧力が作用しかつ潤滑油を貯留する油貯留
室と、この油貯留室に作用する吐出室の圧力により油貯
留室の潤滑油を圧縮機本体の摺動部分に圧送するための
油供給路とを備える気体圧縮機において、上記気体圧縮
機を形成するフロントサイドブロックにあって、一端が
上記吐出室に開口され、かつ他端が上記吸入室に開口さ
れるとともに、上記フロントサイドブロックを貫通して
両端を直接に連絡するガス通路と、このガス通路内に配
設された圧縮ばねおよび弁体と、から構成される圧力制
御手段を備え、上記圧縮機本体による冷媒ガスの圧縮を
停止したとき、上記圧力制御手段は、上記吐出室と上記
吸入室の圧力差を感知し、上記吐出室の高圧の冷媒ガス
を上記吸入室に開放して、上記吐出室と上記吸入室を均
圧状態にすることを特徴とする。また、請求項2の発明
は、請求項1記載の発明において、上記弁体は、上記ガ
ス通路内の弁座に密着して該ガス通路を閉の状態にする
ことを特徴とする。
【0011】
【作用】この発明によれば、圧縮機本体による冷媒ガス
の圧縮を停止すると、圧力制御手段が高圧室の冷媒ガス
を低圧室に開放し、低圧室と高圧室を均圧状態に設定す
る。
【0012】
【実施例】以下、この発明に係る気体圧縮機の一実施例
について図1及び図2に基づき説明する。
【0013】なお、気体圧縮機の基本的な構成、例えば
ケーシング1内には圧縮機本体3が収納されており、圧
縮機本体3は低圧室4の冷媒ガスを圧縮作業室6,6…
内に吸い込み圧縮して高圧室5に吐出すること、圧縮機
本体3からケーシング1の底部までの空間は潤滑油を貯
留する油貯留室16として設けられており、油貯留室1
6には高圧室5の圧力が作用するよう形成されているこ
と、油貯留室16の潤滑油は油貯留室16に作用する高
圧室5の圧力により油供給路17を介して軸受部14,
15、ベーン溝11,11…とベーン12,12…の隙
間、並びにフロントまたはリアサイドブロック7,8と
ロータ10の隙間等、圧縮機本体3の摺動部分に圧送さ
れることは、上述の従来例と同様なため、同一部材に同
一符号を付しており、その詳細説明は省略する。
【0014】この気体圧縮機は図1に示す如くフロント
サイドブロック7に圧力制御手段として圧力制御バルブ
18が設けられており、圧力制御バルブ18はガス通路
19と、このガス通路19内に配設された圧縮ばね20
及び球状の弁体21から形成されている。
【0015】ガス通路19は一端が高圧室5に開口さ
れ、かつ他端が低圧室4に開口されており、またガス通
路19の一端は図2に示すようにその一部がシリンダ9
の端面と対向するように設けられている。
【0016】圧縮ばね20は図1中矢印イで示すように
弁体21をガス通路19の一端側に向かって押圧付勢す
るように設けられており、また弁体21は圧縮ばね20
の押圧付勢力により一部がシリンダ9の端面に当接して
止まり、ガス通路19の一端側から高圧室5側に抜け落
ちないように設けられている。
【0017】このような圧力制御バルブ18は、圧縮機
本体3が低圧室4の冷媒ガスを圧縮作業室6,6…内に
吸い込み圧縮して高圧室5に吐出する運転時には、高圧
室5の圧力が弁体21に作用し、これにより弁体21が
圧縮ばね20の押圧付勢力に逆らいながらガス通路19
内の弁座19aに密着し、ガス通路19を閉の状態に設
定すると共に、その運転を停止したときには、高圧室5
の圧力が低下し、これにより弁体21が圧縮ばね20の
押圧付勢力で元の位置に押し戻されて弁座19aから遠
ざかり、ガス通路19を開の状態に設定する。
【0018】次に、上記の如く構成された気体圧縮気の
動作について図1及び図2に基づき説明する。
【0019】この気体圧縮気によれば、運転が開始され
ロータ10が回転すると、圧縮機本体3が低圧室4の冷
媒ガスを圧縮作業室6,6…内に吸い込み圧縮して高圧
室5に吐出する。
【0020】このとき、高圧室5の圧力は油貯留室16
並びに圧力制御バルブ18の弁体21に作用し、これに
より弁体21は圧縮ばね20の押圧付勢力に逆らいなが
らガス通路19内の弁座19aに密着し、ガス通路19
を閉の状態に設定する。
【0021】即ち、圧縮機本体3による冷媒ガスの圧縮
を行う運転時においては、ガス通路19を介して高圧室
5と低圧室4が連通することはなく、高圧室5の圧力は
減圧されずそのまま油貯留室16に作用すると共に、油
貯留室16の潤滑油は油貯留室16に作用する高圧室5
の圧力により油供給路17を介して軸受部14,15、
ベーン溝11,11…とベーン12,12…の隙間、並
びにフロントまたはリアサイドブロック7,8とロータ
10の隙間等、圧縮機本体3の摺動部分に圧送される。
【0022】ここで、上記のような運転を停止すると、
圧縮機本体3から高圧室5に吐出される冷媒ガスが止ま
り、高圧室5の圧力が低下し、これにより圧力制御バル
ブ18の弁体21が圧縮ばね20の押圧付勢力で元の位
置に押し戻されて弁座19aから遠ざかり、ガス通路1
9を開の状態に設定する。
【0023】このため、高圧室5の冷媒ガスはガス通路
19を介して低圧室4に開放され、低圧室4と高圧室5
は均圧状態に設定される。
【0024】つまり、圧縮機本体3による冷媒ガスの圧
縮を停止すると、その直後に低圧室4と高圧室5の圧力
差がなくなり、これと略同時に油供給路17を介して圧
縮機本体3の摺動部分に圧送される潤滑油や、その摺動
部分から低圧室4に流入する潤滑油が停止する。
【0025】したがって、上記実施例の気体圧縮機によ
れば、圧縮機本体による冷媒ガスの圧縮を停止すると、
圧力制御バルブの弁体がガス通路を開の状態に設定し、
高圧室の冷媒ガスがガス通路を介して低圧室に開放さ
れ、低圧室と高圧室が均圧状態に設定されるため、運転
停止の直後から低圧室と高圧室の圧力差がなくなり、油
供給路を介して圧縮機本体の摺動部分に圧送される潤滑
油や、その摺動部分から低圧室に流入する潤滑油が停止
するので、低圧室に溜まる潤滑油が可及的に減少し、次
に運転を再開するとき低圧室から吸い込まれかつ圧縮さ
れる潤滑油が少なくなる、つまり運転再開時における多
量な液圧縮による弊害、例えば異音の発生や起動トルク
の増大が防止され、小さな起動トルクで静かな運転の再
開が可能となる。
【0026】
【発明の効果】この発明に係る気体圧縮機にあっては、
上記の如く圧縮機本体による冷媒ガスの圧縮を停止する
と、圧力制御手段が高圧室の冷媒ガスを低圧室に開放
し、低圧室と高圧室を均圧状態に設定するように構成し
たため、運転停止の直後から低圧室と高圧室の圧力差が
なくなり、油供給路を介して圧縮機本体の摺動部分に圧
送される潤滑油や、その摺動部分から低圧室に流入する
潤滑油が停止するので、低圧室に溜まる潤滑油が可及的
に減少し、次に運転を再開するとき低圧室から吸い込ま
れかつ圧縮される潤滑油が少なくなる、つまり運転再開
時における多量な液圧縮による弊害、例えば異音の発生
や起動トルクの増大が防止され、小さな起動トルクで静
かな運転の再開が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る気体圧縮機の断面図。
【図2】図1に示す II-II線断面図。
【図3】従来の気体圧縮機の断面図。
【図4】図3に示す IV-IV線断面図。
【符号の説明】
3 圧縮機本体 4 低圧室 5 高圧室 6 圧縮作業室 16 油貯留室 17 油供給路 18 圧力制御バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 29/10 331 F04C 18/344 351

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入室の冷媒ガスを圧縮作業室内に吸い
    込み圧縮して吐出室に吐出する圧縮機本体と、上記吐出
    の圧力が作用しかつ潤滑油を貯留する油貯留室と、こ
    の油貯留室に作用する吐出室の圧力により油貯留室の潤
    滑油を圧縮機本体の摺動部分に圧送するための油供給路
    とを備える気体圧縮機において、 上記気体圧縮機を形成するフロントサイドブロックにあ
    って、一端が上記吐出室に開口され、かつ他端が上記
    入室に開口されるとともに、上記フロントサイドブロッ
    クを貫通して両端を直接に連絡するガス通路と、 このガス通路内に配設された圧縮ばねおよび弁体と、 から構成される圧力制御手段を備え、上記圧縮機本体による冷媒ガスの圧縮を停止したとき、
    上記圧力制御手段は、 上記吐出室と上記吸入室の圧力差
    を感知し、上記吐出室の高圧の冷媒ガスを上記吸入室
    開放して、上記吐出室と上記吸入室を均圧状態にするこ
    とを特徴とする気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 上記弁体は、上記ガス通路内の弁座に密
    着して該ガス通路を閉の状態にすることを特徴とする請
    求項1に記載の気体圧縮機。
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