JP2794423B2 - 車両駆動系制御装置および制御方法 - Google Patents

車両駆動系制御装置および制御方法

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JP2794423B2
JP2794423B2 JP63262657A JP26265788A JP2794423B2 JP 2794423 B2 JP2794423 B2 JP 2794423B2 JP 63262657 A JP63262657 A JP 63262657A JP 26265788 A JP26265788 A JP 26265788A JP 2794423 B2 JP2794423 B2 JP 2794423B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車輪を弾性に富んだ支持装置を介して人や
荷物を載置する車体に固定し、該車輪を高応答のアクチ
ュエータにより駆動する車両駆動系の制御装置および制
御方法に関し、特に車両駆動系を常に安定に制御する車
両駆動系制御装置および制御方法に関する。
〔従来技術およびその問題点〕
車輪を備えた車両は、一般に第2図に示すような車両
駆動系制御装置により駆動される。この制御装置は、車
両の運転指令に基づいて車輪が出力すべきトルクを演算
するトルク指令演算部1と、該トルク指令演算部1より
出力されたトルク指令に基づいてアクチュエータの出力
を制御するための制御信号を演算するアクチュエータ制
御信号演算部2と、該アクチュエータ制御信号演算部2
より出力されたアクチュエータ制御信号に基づいてアク
チェータ4の出力を制御する出力制御部3と、アクチェ
ータ4とからなり、該アクチェータ4から出力されたト
ルクは車軸5を介して車輪6を駆動し車両の駆動力を得
る。
このような従来の車両駆動系制御装置では、これまで
特に急激な加減速運転、または、過負荷運転を必要とし
なかったため、系が極端に振動的したり不安定になるこ
とはなかった。
ところが、横風などの外乱に対し車両をアクティブに
制御し走行安定性を向上させるシステム、または、車両
の加速時および制動時においてタイヤのスリップ率を的
確に制御しタイヤと路面の摩擦状態を最適な状態にコン
トロールするシステム等においては、アクチェータに対
し高応答の制御と短時間の過負荷運転が要求される。そ
のため、この従来の装置では、飽和などの非線形特性や
温度等の急激な変化による系のパラメータ変動が生じ、
その結果として車輪駆動系が極端に振動し、時には系が
不安定になるという問題を生ずる。この原因は、サスペ
ンションや弾性変形するタイヤなどによりバネ系と非線
形特性やパラメータ変動を有する駆動系との干渉による
ものである。
この対策として、摩擦ダンパなどを取り付ける方法が
考えられるが、充分に振動が抑制できるわけではなく、
また、かなり大がかりなものとなるため、重量、スペー
ス、経済性の面から実現不可能である。
一方、非線形特性やパラメータ変動のない高出力のア
クチェータを使用する方法もあるが、この場合も、高価
で重量、体格の大きなアクチェータが必要となり、実用
上実現が難しいという問題があった。
そこで、本発明者らは、上述の如き従来技術の問題点
を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験を重ねた結
果、本発明を成すに至ったものである。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、通常時のみならずアクチュエータの
過負荷運転時などにおいても、安定化した振動のない高
応答の車両駆動系制御装置および制御方法を提供するに
ある。
本発明者らは、上述の従来技術の問題点に対し、以下
のことに着眼した。
すなわち、従来の車両駆動系制御装置においては、急
激な加減速運転や過負荷運転を行う時、サスペンショ
ン、弾性変形するタイヤなどによるバネ系と非線形特
性、パラメータ変動を有する駆動系とが干渉し、車輪駆
動系の極端な振動といった不安定現象が発生していた。
本発明者らは、車輪駆動系の近似モデルに基づいて検出
できない車両の状態量を推定し、各々の状態量にフィー
ドバックゲインを掛けて状態フィードバックすることに
より系を安定化し、振動などの不安定現象が発生しない
ようになして、従来技術の主たる問題点を解決すること
に着眼した。また、指令値に対し定常偏差もなくかつ高
応答で動作すること、アクチェータの出力限界に基づく
非線形特性に対しても十分に安定であること、付加する
検出器も極力少なくまた安価であること、さらには、推
定された状態量がトラクション・コントロールなどの他
の車両制御または運転状態のモニタとして利用できるこ
とに着眼し、高性能で信頼性の高い車輪駆動系制御装置
を実現した。
〔第1発明の説明〕 発明の構成 本第1発明の車両駆動系制御装置(特許請求の範囲第
(1)項記載の発明)は、第1図に示すように、人や荷
物を載置する車体と弾性に富んだ支持装置により支えら
れた車輪100と該車輪100を駆動するためのアクチュエー
タ手段60を備えた車両駆動系を制御する装置において、
車両の運転指令に基づき車輪100が出力すべきトルクを
演算するトルク指令演算手段10と、該トルク指令演算手
段10から出力された目標トルクに基づき車両駆動系を安
定化する最適制御量を得る動的補償手段30と,該動的補
償手段30より出力された制御量信号に基づき車両駆動系
を制御するために必要な制御に見合うアクチュエータ制
御量を演算するアクチュエータ制御信号演算手段40とか
らなり,前記トルク指令演算手段10より出力された目標
トルクに見合う制御量を演算する制御量演算手段20と、
該制御量演算手段20より出力されたアクチュエータ指令
信号に基づきアクチュエータ手段60の出力を制御する出
力制御手段50と、該出力制御手段50より出力された信号
に基づき車輪の制御トルクを出力するアクチュエータ手
段60と、該アクチュエータ手段60の出力トルクを車輪に
伝達するトルク伝達手段90と、車両の速度およびアクチ
ュエータの出力軸の回転速度などの車両の状態量を検出
する車両状態量検出手段70と、該車両状態量検出手段70
より出力された車両状態量信号と前記制御量演算手段20
からの信号に基づき、車両駆動系をアクチェータ側の慣
性系と車体側の慣性系とをバネで結合した近似モデルで
模擬して前記制御量を得るのに必要な他の状態量を推定
し前記制御量演算手段20の動的補償手段30に該推定状態
量および前記車両状態量を出力する状態量推定手段80と
からなることを特徴とするものである。
発明の作用 まず、トルク指令演算手段10において、車両の運転指
令に基づいて車輪が出力すべきトルクを演算し、制御の
目標値として出力する。
そして、制御量演算手段20において、該トルク指令演
算手段10より出力された目標トルクに見合う制御量を演
算し、アクチュエータ指令信号を出力する。
さらに、出力制御手段50において、該制御量演算手段
20より出力されたアクチュエータ指令信号に基づきアク
チュエータ手段60の出力を制御する。
そして、該出力制御手段50より出力される制御量信号
に基づき、アクチュエータ手段60を駆動し、トルク伝達
手段90を介して車輪100を回転させ車両の駆動力を得
る。
ここで、本発明の車両駆動系制御装置では、車両状態
量検出手段70において、車両の速度およびアクチュエー
タ手段60の出力軸の回転速度などの車両の状態量を検出
し、該状態量に相当する電気信号などに変換する。そし
て、状態量推定手段80において、該車両状態量検出手段
70より出力された推定状態量および車両状態量信号と前
記制御量演算手段20からの信号に基づき、車両駆動系を
アクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで結
合した近似モデルで模擬して前記制御量を得るのに必要
な他の状態量を推定し、該推定状態量および前記車両状
態量を出力する。該状態量推定手段80より出力された推
定状態量および車両状態量は前記制御量演算手段20の動
的補償手段30に入力され、この動的補償手段30において
これら状態量と前記トルク指令演算手段か10ら出力され
た目標トルクとに基づいて車両駆動系を安定化する最適
制御量を得る。次いで、アクチュエータ制御信号演算手
段40において、該動的補償手段30より出力された制御量
信号に基づき車両駆動系を制御するために必要な制御量
に見合うアクチュエータ制御量を演算し、アクチュエー
タ制御信号を出力する。
発明の効果 本第1発明により、サスペンションや弾性変形するタ
イヤなどによるバネ系と非線形特性、パラメータ変動な
どを有する駆動系が干渉し、通常、振動といった不安定
現象が発生する車両駆動系においても、車両駆動系の近
似モデルに基づいて検出できない車両の状態量を推定
し、各々の状態量に的確なフィードバックゲインを掛け
て状態フィードバックする。そのため、系が常に安定な
状態に保たれ、振動などの不安定現象のない車両駆動系
が実現できる。すなわち、本発明の制御装置では、車両
の駆動力を制御する際、状態量推定手段80において、車
両状態量検出手段70より出力された推定状態量および車
両状態量信号と前記制御量演算手段20からの信号を入力
し、これらの値により、車両駆動系をアクチェータ側の
慣性系と車体側の慣性系とをバネで結合した近似モデル
で模擬し、制御量を得るのに必要な他の状態量を推定す
る。これにより、通常の系では検出できない状態量も近
似モデルの状態量を使用することにより、推定が可能に
なる。なお、この推定状態量は、車体、タイヤシムなど
のバネ、アクチュエータ、慣性などを含めた車体全体か
らみた振動現象を考慮したものであり、これら振動現象
を的確に抑えることができる。また、 また、これを実現するために特別な機械要素を必要と
しないので重量、スペースの面で有利であり、ひいて
は、経済性、信頼性においても優れている。
さらに、状態量推定手段により推定された状態量は、
トラクション・コントロールなどの他の車両制御への情
報として、または運転状態のモニタとして利用できるの
で、全体的には検出器の低減が可能となりコスト、スペ
ース、信頼性の面で利するところが大きい。
〔第2発明の説明〕 発明の構成 本第2発明の車両駆動系制御方法(特許請求の範囲第
(8)項記載の発明)は、人や荷物を載置する車体と弾
性に富んだ支持装置により支えられた車輪と該車輪を駆
動するためのアクチュエータ手段を備えた車両駆動系の
制御方法であって、車両の運転指令に基づき車輪が出力
すべきトルクを演算し、該目標トルクに見合う制御量に
基づきアクチュエータの出力を制御することにより、車
輪の制御トルクを出力制御する車両駆動系制御方法にお
いて、車両の速度およびアクチュエータ出力軸の回転速
度などの車両の状態量と前記制御量に基づいて車両駆動
系をアクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネ
で結合した近似モデルで模擬して前記制御量を得るのに
必要な他の状態量を推定し、該推定状態量および車両状
態量と前記目標トルクに基づいて車両駆動系を安定化す
る最適制御量を得、これにより、前記目標トルクを動的
に補償してなることを特徴とするものである。
発明の作用 本第2発明の車両駆動系制御方法は、車両の運転指令
に基づき車輪が出力すべきトルクを演算し、該目標トル
クに見合う制御量に基づきアクチュエータの出力を制御
することにより、車輪の制御トルクを出力制御する車両
駆動系制御方法において、先ず、車両の速度およびアク
チュエータ出力軸の回転速度などの車両の状態量と前記
制御量に基づいて、車両駆動系をアクチェータ側の慣性
系と車体側の慣性系とをバネで結合した近似モデルで模
擬して前記制御量を得るのに必要な他の状態量を車両駆
動系の近似モデルを使うなどして推定する。
次に、該推定状態量および車両状態量と前記目標トル
クに基づき、該状態量にフィードバックゲインを掛けた
結果を前記トルク指令から減算するなどして車両駆動系
を安定化する最適制御量を得る。
このように、前記目標トルクを動的に補償することに
より、車両駆動系を安定化する。
発明の効果 本第2発明の車両駆動系の制御方法により、サスペン
ションや弾性変形するタイヤなどによるバネ系と非線形
特性、パラメータ変動などを有する駆動系が干渉し、通
常、振動といった不安定現象が発生する車両駆動系にお
いても、車両駆動系の近似モデルに基づいて検出できな
い車両の状態量を推定し、各々の状態量に的確なフィー
ドバックゲインを掛けて状態フィードバックする。その
ため、系が常に安定な状態に保たれ、振動などの不安定
現象がなく、しかも信頼性の高い車両駆動系が実現でき
る。
〔他の発明の説明〕
以下、本第1発明の車両駆動系制御装置に関するその
他の発明について、述べる。
本発明の第1発明の車両駆動系制御装置の状態量推定
手段および制御量演算手段のさらに具体例な発明につい
て述べると、以下のようである。
すなわち、本発明の第3の発明は、前記第1発明にお
いて、状態量推定手段80は、車両状態量検出手段70より
出力された推定状態量および車両状態量信号と前記制御
量演算手段20からの信号を入力する。そして、これらの
入力信号から車輪駆動系を模擬した近似モデルの状態量
を演算する。ここで、近似モデルの状態量と実機の状態
量との偏差が常に零に収束するように設計する。これに
より、検出できない状態量についても近似モデルの状態
を使用すること、すなわち、推定が可能になる。
次に、動的補償手段30において、状態量推定手段80か
ら出力された推定状態量および実際の車両状態量にフィ
ードバックゲインを掛け、その結果をトルク指令演算手
段10からのトルク指令値から減算する、いわゆる状態フ
ィードバックをする。そして、この結果を制御入力信号
としてアクチェータ制御信号演算手段40に出力する。こ
こで、各々の状態量に対するフィードバックループは、
1入力出力系におけるマイナーループと同様な働きをす
るため、仮に、系の理想的な状態からのずれ(各状態量
の定常値からの偏差)が生じても、それをすみやかに減
少させるように作動する。ゆえに、車両駆動系は、常
に、安定な状態に保たれる。
このようにすることにより、この本第3の発明の制御
装置では、車両の駆動力を制御する際、状態量推定手段
80において、車両状態量検出手段70より出力された推定
状態量および車両状態量信号と前記制御量演算手段20か
らの信号を入力し、これらの値により、車両駆動系を模
擬した近似モデルの状態量を実機の状態量に追従させ
る。これにより、検出できない状態量も近似モデルの状
態量を使用することにより、すなわち推定が可能にな
る。続いて動的補償手段30において、各々の状態量にフ
ィードバックゲインを掛けその結果をトルク指令演算手
段10からのトルク指令から減算する、いわゆる状態フィ
ードバックをする。ここで、各々の状態量に対するフィ
ードバックゲインは、系の理想的な状態からのずれ(各
状態量の定常値からの偏差)に対し、それをすむやかに
減少させるような値に設定するため、車両駆動系の安定
化がはかられる。
また、本第1発明の車両駆動系制御装置は、アクチェ
ータ制御信号演算手段40と出力制御手段50とアクチェー
タ手段60とトルク伝達手段90と車輪100と車両状態量検
出手段70とからなる部分を制御工学における制御対象と
して考えることができる。ここで、制御入力をu、出力
をy、状態ベクトルを とすると、 なる状態方程式で表わすことができる。ここで である。また、ここでは動的補償手段や状態量推定手段
などの計算遅れを前記制御対象側に含めているので、u
(k)をu(k−1)としている。これをブロック図で
表わすと第3図のようになり、アクチェータ制御信号演
算手段60と出力制御手段50とアクチェータ手段60とトル
ク伝達手段90と車輪100を行列 からなる制御対象80によりまとめた構成となる。
さて、(1)式は、実際の制御対象を有限次数の線形
方程式で表した近似モデルである。この近似モデルは状
態量推定手段80において状態量を推定する際に使用す
る。そのため、これをどのように構成するかは制御特性
を決める上で極めて重要である。
本発明の車両駆動系制御装置は、上記近似モデルの構
成方法、状態量推定手段80、動的補償手段30の方式の違
い等により、以下のような他の発明を採り得る。
第4の発明は、状態量推定手段80において、車両駆動
系をアクチェータ手段60側の慣性系と車体側の慣性系と
をバネで結合した近似モデルで模擬し、この近似モデル
と同一次元のモデルを使用することにより状態量の推定
を行う推定手段を具備することを特徴とする車両駆動系
制御装置である。
第4の発明による近似モデルは、第4図、第5図によ
り説明することができる。
第4図は、車両駆動系の1輪分を表したものである。
アクチェータ手段60は減速機RG、車軸90を介して車輪10
0を駆動しており、それらは支持装置SDを介して車体に
固定されている。ここで、車輪100の回転方向に対する
歪と支持装置SDの前後方向の変形は、車軸100の回転方
向の弾性変形と等価である。ゆえに、第5図のように、
アクチェータ手段60側の慣性系(慣性モーメント:Jm,粘
性摩擦係数:Dm)と車体側の慣性系(慣性モーメント:J
v,粘性摩擦係数:Dv)をバネ(バネ係数:K)で結合した
近似モデルで表せる。なお、アクチェータ側60側の回転
角をθm、回転角速度をωm、また、車体側の回転角を
θv、回転角速度をωvとし、それぞれの偏差を△ω、
△θとしている。
第4の発明では、この近似モデルとまったく同じモデ
ルを状態量推定手段内に構成し、制御入力に対する出力
を演算する。そして、演算された出力と検出器により検
出した出力とを比較しその偏差が零に収束するようにフ
ィードバックする。その結果、状態量推定手段内の状態
量は実機の状態量に追従することになり推定可能とな
る。これは、現代制御理論における同一次元オブザーバ
である。
第4の発明によれば、実際の車両駆動系を少ない次数
で近似でき近似精度も高い。また、近似モデルとまった
く同じモデルを状態量推定手段内に設けるため推定した
状態量が物理的な意味を持つ諸量となり都合がよい。ま
た、ノイズ等にも強い。
第5の発明は、状態量推定手段80において、車両駆動
系をアクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネ
で結合した近似モデルで模擬し、この近似モデルに対し
出力に関する次元を格下げした最小次元のモデルを使用
することにより状態量の推定を行う推定手段を具備する
ことを特徴とする車両駆動系制御装置である。
第5の発明の近似モデルは、第4の発明の近似モデル
とまったく同じであるので近似モデルの説明を省く。
第5の発明では、近似モデルにおいて、出力に関する
状態量はすでに既知であることに着目してそれらに対す
る次元を格下げし、その結果得られる最小次元のモデル
を状態量推定手段80内に設ける。そして、原理的には、
制御入力に対する出力を演算し、演算された出力と車両
状態量検出手段70により検出した出力との偏差が零に収
束するようにフィードバックすることと等価な演算を行
う。
その時、状態量推定手段80内の状態量は実機の状態量
に追従することになり推定可能となる。これは、現代制
御理論における最小次元オブザーバである。
第5の発明によれば、第4の発明と同様に、実際の車
輪駆動系を少ない次数の近似モデルで近似でき近似精度
も高い。また、状態量推定手段80内で推定する際には、
さらに、次数の少ないモデルを使用するため推定するた
めの演算量が減少し制御回路の簡単化、高速化が可能と
なる。
第6の発明は、状態量推定手段80において、演算され
た出力と車両状態両検出手段70により検出した出力との
偏差をフィードバックする際、偏差に対するフィードバ
ックゲインを極配置法に基づいて決定することにより状
態量の推定を行う推定手段を具備することを特徴とする
車両駆動系制御装置である。
第6の発明では、状態量推定手段80において推定され
る状態量が極配置法で指定される極位置に対応した応答
速度で実際値に追従する。そのため、フィルタ的な効果
が現れノイズ等の外乱に対しても強い。
また、アナログ回路により構成することも容易である
ので、高応答、高精度の制御回路を実現できる。
第7の発明は、状態量推定手段80において、演算され
た出力と車両状態両検出手段70により検出した出力との
偏差をフィードバックする際、偏差に対するフィードバ
ックゲインを有限整定法に基づいて決定することにより
状態量の推定を行う推定手段を具備することを特徴とす
る車両駆動系制御装置である。
第7の発明では、状態量推定手段80において推定され
る状態量が状態量推定手段80に設けられたモデルの次数
に等しい演算回数で収束する。
そのため、演算周期が長い場合においても、短時間で
状態量を推定することができる。
第8の発明は、動的補償手段30において、状態量を状
態フィードバックする際にフィードバックゲインを最適
レギュータの手法に基づいて決定することにより最適制
御量を算出する補償手段を具備することを特徴とする車
両駆動系制御装置である。
第8の発明では、車両駆動系の応答が、動的補償手段
30において最適レギュレータにより設定した評価関数を
最小とする応答となる。
そのため、実用化する際に、個々の制御対象に応じた
適切なフィードバックゲインを設定することができる。
第9の発明は、動的補償手段30において、状態量を状
態フィードバックする際にフィードバックゲインを極配
置法に基づいて決定することにより最適制御量を算出す
る補償手段を具備することを特徴とする車両駆動系制御
装置である。
第9の発明では、車両駆動系の応答速度が、動的補償
手段30において極配置法により指定した極位置に対応し
た応答速度になる。
そのため、実用化する際に、車両駆動系として求めら
れる応答性能に応じた適切なフィードバックゲインを設
定することができる。
第10の発明は、動的補償手段30において、定常偏差を
なくすための積分補償手段を付加することを特徴とする
車両駆動系制御装置である。
第10の発明では、動的補償手段30において、入力指令
に対する偏差を積分しその積分値をフィードバックする
ため定常偏差は生じない。
そのため、積分特性のない制御対象に対しても系の状
態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、制
御がきわめて容易となる。
第11の発明は、動的補償手段30において、計算機の計
算遅れの影響を防ぐための計算遅れ補償手段を付加する
ことを特徴とする車両駆動系制御装置である。
第11の発明では、動的補償手段30を計算機で構成する
際、計算機の計算遅れも状態量として定義しフィードバ
ックする。
そのため、制御周期が長い場合においても、計算遅れ
の影響を極力小さくすることができる。
第12の発明は、動的補償手段30において、定常偏差を
なくすために積分制御手段を併用することを特徴とする
車両駆動系制御装置である。
第12の発明では、動的補償手段30において、入力指令
に対する状態量の偏差を積分しその積分値に積分ゲイン
を掛けた後入力指令に加算する。これにより、定常状態
における偏差が零となる。
そのため、積分特性のない制御対象に対しても、系の
状態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、
制御がきわめて容易となる。また、状態フィードバック
とは別に積分ゲインを設定できるので設計が容易であ
る。
第13の発明は、動的補償手段30において、出力制御手
段50およびアクチェータ手段60の出力限界から決まる制
御入力の上限値、下限値に基づいて、上限値より大きな
制御入力信号に対しては制御入力信号を上限値に再設定
し、その時の積分補償または積分制御の積分値について
は、制御入力信号が上限値になるような値を逆算しその
値に再設定し、下限値より小さな制御入力信号に対して
は制御入力信号を下限値に再設定し、その時の積分補償
または積分制御の積分値については、制御入力信号が下
限値になるような値を逆算しその値に再設定する手段を
具有することを特徴とする車両駆動系制御装置である。
第13の発明では、動的補償手段30において、限界値を
越える制御入力信号に対して、制御入力信号を限界値に
再設定した場合においても、その時の積分補償または積
分制御の積分値については、制御入力信号が限界値にな
るような値を逆算しにその値に再設定するため、系の動
作点は完全な飽和領域に入らず線形領域と飽和領域の境
界に再設定される。
そのため、制御入力が飽和するような状態において
も、状態フィードバックは利いており、常に車両駆動系
は安定化される。
第14の発明は、動的補償手段30において、出力制御手
段40およびアクチェータ手段60の出力限界から決まる制
御入力の上限値、下限値に基づいて、上限値より大きな
制御入力信号に対しては制御入力信号を上限値に再設定
し、その時の積分補償または積分制御の積分値について
は、制御入力信号が上限値になるような値を逆算し、逆
算した結果が正の場合にはその値に再設定し、逆算した
結果が負の場合には、零に再設定し、下限値より小さな
制御入力信号に対しては制御入力信号を下限値に再設定
し、その時の積分補償または積分制御の積分値について
は、制御入力信号が下限値になるような値を逆算し、逆
算した結果が負の場合にはその値に再設定し、逆算した
結果が正の場合には、零に再設定する手段を具有するこ
とを特徴とする車両駆動系制御装置である。
第14の発明では、動的補償手段30において、限界値を
越える制御入力信号に対して、制御入力信号を限界値に
再設定した場合においても、その時の積分補償または積
分制御の積分値については、制御入力信号が限界値にな
るような値を逆算しにその値に再設定するため、系の動
作点は完全な飽和領域に入らず線形領域と飽和領域の境
界に再設定される。
そのため、制御入力が飽和するような状態において
も、状態フィードバックは利いており、常に車両駆動系
は安定化される。
また、限界値を極端に越える制御入力信号により、再
設定された後の積分補償または積分制御の積分値の符号
が変わるような場合には、積分値を零に再設定する。
そのため、ノイズ等により積分値が本来の値から極端
にかけ離れた値に再設定されることはなく、常に安定で
信頼性の高い車輪駆動系が実現できる。
第15の発明は、トルク指令演算手段10において、定常
偏差をなくすために、あらかじめ定常偏差分のオフセッ
トをトルク指令値に加えるオフセット手段を具有するこ
とを特徴とする車両駆動系制御装置である。
第15の発明では、トルク指令演算手段10において、あ
らかじめ定常偏差分のオフセットをトルク指令値に加
え、状態量の定常値が本来の入力指令に落ち着くように
制御される。
そのため、積分特性のない制御対象に対しても、系の
状態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、
制御が極めて容易となる。また、積分補償、積分制御等
による極の追加もないため、系の応答性を上げることが
できる。
第16の発明は、車両状態量検出手段70において、アク
チェータ手段60の出力軸の回転速度を検出する回転速度
センサを具備することを特徴とする車両駆動系制御装置
である。
第16の発明では、比較的高精度で高応答な検出が容易
なアクチェータ手段60の出力軸の回転速度を検出するた
め、状態量推定手段80における状態量の推定精度が向上
する。
そのため、車両駆動系の制御においても高精度で高応
答な制御特性が得られる。
第17の発明は、車両状態量検出手段70において、車体
の車速を検出する車速センサを具備することを特徴とす
る車両系制御装置である。
第17の発明では、もともと他の車両制御で使用してい
る車速検出器の情報を使用して状態量推定手段80での状
態量の推定を行う。
そのため、検出器を付加する必要がなくなり経済的に
も有利である。
以上の基本的な発明の他に、本発明の車両駆動系制御
装置は、アクチェータ制御信号演算手段40、出力制御手
段50、アクチェータ手段60、の方式の違いにより、さら
に以下のような他の発明を採り得る。
第18の発明は、アクチェータ制御信号演算手段18を交
流モータのベクトル制御回路と電流制御回路で、出力制
御手段50をインバータ回路で、アクチェータ手段60を交
流モータで構成することを特徴とする車両駆動系制御装
置である。
上述の構成より成る第18の発明においては、堅牢、安
価、保守不要である交流モータを電子回路ならびに電気
的な電力変換回路で駆動することになる。
そのため、高精度、高応答の制御が可能な上、騒音も
小さくクリーンなシステムが実現する。また、保守もほ
とんど不要となる。
第19の発明は、アクチェータ制御信号演算手段40を電
流制御回路で、出力制御手段50をチョッパ回路で、アク
チェータ手段60を直流モータで構成することを特徴とす
る車両駆動系制御装置である。
上述の構成より成る第19の発明においては、制御が容
易な直流モータを電子回路ならびに電気的な電力変換回
路で駆動することになる。
そのため、第16の発明と同様に高精度、高応答の制御
特性が得られ、かつ騒音も小さくクリーンなシステムが
実現する。また、制御が容易であるため制御回路も簡単
化する。
第20の発明は、アクチェータ制御信号演算手段40を油
圧バルブ制御回路で、出力制御手段50を油圧バルブで、
アクチェータ手段60を油圧アクチェータで構成すること
を特徴とする車両駆動系制御装置である。
上述の構成より成る第20の発明においては、重量当り
の出力が非常に大きい油圧アクチェータを小さなバルブ
でコントロールすることになる。
そのため、電気式に比べ重量、スペースの面で有利と
なる。また、油圧源を共通にできるので、さらにコンパ
クトになる。
第21の発明は、アクチェータ制御信号演算手段40を変
速比演算回路で、出力制御手段50を変速比制御回路で、
アクチェータ手段60を無段変速機で構成することを特徴
とする車両駆動系制御装置である。
上述の構成より成る第21の発明においては、エンジン
等を動力源として無段変速機の変速比を変えることによ
り応答性の高い出力トルクの制御をする。
そのため、出力を大きくとることができ即応性にも優
れている。
第22の発明は、アクチェータ制御信号演算手段17を指
令トルクに対し各種操作量を演算する燃料噴射量演算回
路、吸入空気量演算回路および点火タイミング演算回路
で構成し、出力制御手段50を燃料噴射量制御回路、吸入
空気量制御回路および点火タイミング制御回路で構成
し、アクチェータ手段60をエンジンで構成することを特
徴とする車両駆動系制御装置である。
上述の構成より成る第22の発明においては、エネルギ
として化学エネルギを使用する。
そのため、エネルギ密度が高く、軽量の車両を構成で
きる。また、運転持続時間も長くとれ、走行距離も延び
る。さらに、出力を大きくとることも可能となる。
この他、トルク伝達手段90を構成する際、歯車による
減速機、タイミングベルト、チェーン、等の選択が有り
得る。また、ぞれらを省略しホィールモータ等によりダ
イレクトドライブすることが考えられる。しかし、これ
らは実用化する際の構成要素の選択であり本発明の本質
に関わるものではない。
〔実施例〕
以下に、本発明の内容を、具体的に説明する。
第1実施例 本発明の車両駆動系制御装置を、第6図および第7図
を用いて説明する。
本実施例の車両駆動系制御装置は、車両の走行安定
性、外乱抑止力向上を目指したアクティブ制御装置を有
する車両に適用したものである。
本実施例装置は、第6図に示すように、トルク指令演
算手段11と、制御量演算手段21と、出力制御手段51と、
アクチュエータ手段61と、車両状態量検出手段71と、状
態量推定手段81と、トルク伝達手段91と、車輪101とか
らなる。
トルク指令演算手段11は、車両の運転指令に基づいて
車輪101が出力すべきトルクを演算し、制御の目標値と
して出力する。
制御量演算手段21は、動的補償手段31とアクチュエー
タ制御信号演算手段41とからなる。動的補償手段31は、
前記トルク指令演算手段11より出力された目標トルクと
状態量推定手段81より出力された推定状態量および車両
状態量に基づいて車両駆動系を安定化する最適制御量を
演算する。
アクチュエータ制御信号演算手段41は、ベクトル制御
回路410と電流制御回路420とからなる。ベクトル制御回
路410は、前記動的補償手段31より出力された制御量信
号をベクトル制御演算して電流指令を求め、出力する。
電流制御回路420は、ベクトル制御回路410から出力され
た電流指令に実際の電流が追従するようにPWM制御演算
する。
出力制御手段51は、インバータ回路で構成され、前記
電流制御回路420より出力された最適制御量に相当する
電気信号に基づき、各相の出力電位をスイッチングして
交流モータをPWM制御する。
アクチュエータ手段61は、交流モータで構成され、ト
ルク伝達手段91を介して車輪101に接続し、前記出力制
御手段51から出力された信号に基づき該車輪101のトル
クを連続的に可変制御する。
トルク伝達手段91は、減速機911と車軸912とから構成
され、アクチュエータ手段61より出力されたトルクを回
転数変換して車輪101にトルクを伝達する。そして、該
駆動輪101には、弾性に富んだ市販のゴム製のタイヤが
一体的に取りつけられており、これらトルク伝達手段91
および駆動輪101は、支持装置SD1を介して車体に固定さ
れている。
車両状態量検出手段71は、回転速度検出センサで構成
され、前記交流モータ61の回転速度を検出し、該回転速
度に相当する電気信号を出力する。
状態量推定手段81は、前記制御量演算手段21の動的補
償手段31より出力された制御量信号と前記車両状態検出
手段71より出力された回転速度に相当する電気信号に基
づき系の状態量を推定し、該状態量推定量および前記回
転速度に相当する電気信号を出力する。
また、本実施例装置を分かり易く説明するため、アク
チュエータ制御信号演算手段41と出力制御手段51とアク
チュエータ手段61とトルク伝達手段91と車輪101と車両
状態量検出手段71とからなる部分、行列 による制御対象210として、第7図に示している。
なお、動的補償手段31は、減算器311と、加算器315
と、加減算器313と、係数行列乗算器312、314、317と、
演算子(Z-1II)316と、演算子(Z-1)318と、リミッタ
319とからなる。
減算器311は、前記トルク指令演算手段11から出力さ
れた目標トルクと、前記状態量推定手段81から出力され
た推定状態量および車両状態量を減算してトルク誤差を
出力する。
また、乗算器312は、減算器311より出力されたトルク
誤差に相当する電気信号を 倍してその結果を出力する。
また、加算器315は、減算器311より出力されたトルク
誤差に相当する電気信号と前記演算子316(Z-1II)から
出力されたトルク誤差の積算値に相当する信号を加算
し、新たなトルク誤差の積算値を出力する。
また、演算子316(Z-1II)316は、前記加算器315から
出力された新たなトルク誤差の積算値に相当する信号と
リミッタ319から出力された信号とからトルク誤差の積
算値を演算し出力する。
また、乗算器317は、演算子316より出力されたトルク
誤差の積算値に相当する電気信号を 倍して出力する。
また、乗算器314は、前記状態量推定手段81から出力
された状態量を 倍して出力する。
また、加減算器313は、前記乗算器312から出力された
信号と前記乗算器317ら出力された信号を加算し、およ
び前記乗算器314より出力された信号を減算して、新た
な制御量を出力する。
また、演算子(Z-1)318は、前記加減算器313から出
力された新な制御量を記憶してその値を出力する。
また、リミッタ319は、前記演算子318からの出力を上
限・下限値内に制限してその結果を出力する。
前記状態量推定手段81は、係数行列乗算器811、812、
815、816、818と加算器813、817および演算子814とから
なる。
乗算器811は、制御入力量を入力し、行列 を乗算する。乗算器812は、モータ回転速度を入力し、
行列 を乗算する。加算器813は、前記乗算器811からの出力と
乗算器812からの出力および乗算器815からの出力を加算
する。演算子814は、加算器813からの出力を入力し、そ
の結果を次回の演算まで保持する。この演算はZ-1を乗
算することに相当する。乗算器815は、演算子814に前回
から保持されていた演算結果に行列 を乗算する。乗算器816は、演算子814に前回から保持さ
れていた演算結果に行列 を乗算する。乗算器818は、モータ回転速度を入力し、
行列 を乗算する。加算器817は、前記乗算器816の出力と乗算
器818の出力を加算し、その結果である系の状態量を動
的補償手段31に出力する。
前記制御対象210は、アクチュエータ制御信号演算手
段41に相当するベクトル制御回路410と、電流制御回路4
20と、出力制御手段51に相当するインバータ回路と、ア
クチュエータ手段61に相当する交流モータと、トルク伝
達手段91に相当する減速機911および主軸912と、車輪10
1と、車両状態量推定手段71に相当する回転速度検出セ
ンサとにより構成される。
この制御対象210を、 なる状態方程式と出力方程式により近似する。上式をブ
ロック線図表示すると、係数行列乗算機211、214、215
と加算器212と演算子213とにより構成できる。
乗算器211は、制御入力uを入力し、行列 を乗算する。加算器212は、前記乗算器211からの出力と
乗算器215からの出力を加算する。演算子213は、加算器
212からの出力を次回の演算まで保持する。この演算
は、Z-1を乗算することに相当する。乗算器215は、演算
子213に前回より保持されていた演算結果に行列 を乗算することによりモータ回転速度を演算し、状態量
推定手段81へ出力する。
この実施例装置は、基本的に第4図と同様の方法であ
り、第5図に示すように、タイヤの回転方向に対する歪
と支持装置の前後方向の変形を、車軸の回転方向の弾性
変形に近似したモデルで考えたものである。
すなわち、アクチェータ側の慣性系(慣性モーメン
ト:Jm,粘性摩擦係数:Dm)と車体側の慣性系(慣性モー
メント:Jv,粘性摩擦係数:Dv)をバネ(バネ係数:K)で
結合した近似モデルである。なお、アクチェータ側の回
転角をθm、回転角速度をωm、また、車体側の回転角
をθv、回転角速度をωv、それぞれの偏差をΔω、Δ
θとし、モータトルクTmおよびホイールトルクThを、式
で表すと次のようになる。
Tm=Jm・P・Δω+Dm・Δω+Th Th=K・Δθ Th=Jv・P・ωv+Dv・ωv ここで、Dmは、タイヤ、支持装置などの弾性変形に対
する損失に関係した係数である。また、車体側の諸量に
ついては、減速機の減速比を使ってモータ側の値に換算
している。ここで、制御入力をu、出力をy、状態ベク
トルを とすると、系は なる状態方程式で表わすことができる。なお、添字“T"
は、行列の位置を示す。
以上は、連続系の状態方程式であるが、これを離散化
計算し計算機用の状態方程式に置き換える。得られた結
果を新たに と置くと、 と書き表すことができる。これを、ブロック図で表すと
第7図における制御対象210(構成要素:211〜215)とな
る。
つぎに、上式で表される制御対象に対し最小次元オブ
ザーバによる状態観測手段を設計する。すなわち、次の
式により、状態ベクトル を推定するオブザーバを構成する。
最小次元オブザーバの設計に際しては極配置法を適用
する。これにより、第7図における が決定される。この結果、制御入力uと出力yを入力し
状態ベクトル を推定する状態量推定手段81が実現する。推定された状
態ベクトル は、動的補償手段31に出力する。なお、最小次元オブザ
ーバの設計法および極配置法に関しては、制御工学にお
いてよく用いられる一般的な方法であり、ここでは説明
を省く。
動的補償手段31においては、状態量推定手段81で推定
された状態ベクトル に対しフィードバックゲインを掛けて、その結果をトル
ク指令演算手段11からのトルク指令から減算することに
より制御入力uを求める。これは、いわゆる状態フィー
ドバックであり、フィードバックゲインを適切に与える
ことにより車輪駆動系を安定化する制御入力信号を得る
ことができる。これを、式で表すと、 Tmr:トルク指令値 となる。なお、ここでは極配置法に基づいてフィードバ
ックゲインを決定する。すなわち、行列 に対する安定な固有値(絶対値が1より小さい)を指定
し、それを満足するkTを求める。なお、こ極配置法に関
しても、制御工学においてよく用いられる一般的な方法
により行う。以上により求められた を、 とすると行列 は次のように決定することができる。
つぎに、このシステムが定常状態において定常偏差を
生じないように、トルク指令値とホイールトルク推定値
との偏差に対し積分制御を施す。その時、制御入力uは となり、また、 は次のように決定することができる。
(k4:積分ゲイン) なお、出力制御手段51がインバータ回路で、アクチェ
ータ手段61が交流モータで構成されていることを考える
と、電流の定格値から制御入力の限界値が存在する。そ
こで、動的補償手段31の最終段に飽和特性を持ったリミ
ッタ319を設けている。また、飽和領域に達すると状態
フィードバックの効果がなくなる。これを防ぐために、
積分制御における積分値に対して、次のような処理を行
う。
I.u(k)>umaxの時、 u(k)=umaxとし、積分値は、 を満足するように再設定する。
但し、 となる時には、 とする。
II.u(k)<uminの時、 u(k)=umin とし、積分値は を満足するように再設定する。
但し、 となる時には、 とする。
以上をブロック図で表すと第7図における動的補償手
段31が得られる。
上述の構成より成る第1実施例においては、車両の駆
動力を制御する際、状態量推定手段81において、アクチ
ェータ制御信号演算手段41への制御入力信号と車両状態
量検出手段71からの実際の出力状態量を入力し、これら
の値により車両駆動系を模擬した近似モデルの状態量の
実機の状態量に追従させる。これにより、検出できない
状態量近似モデルにより推定された状態量を使用するこ
と、すなわち、推定が可能になる。続いて動的補償手段
31において、各々の状態量にフィードバックゲインを掛
けその結果をトルク指令演算手段11からのトルク指令か
ら減算する、いわゆる、状態フィードバックを行う。こ
こで、各々の状態量に対するフィードバックゲインは、
系の理想的な状態からのずれ(各状態量の定常値からの
偏差)に対し、それをすみやかに減少させるような値に
設定する。
本実施例によれば、サスペンションや弾性変形するタ
イヤを有する車輪101などによるバネ系と非線形特性、
パラメータ変動などを有する駆動系が干渉し、通常、振
動といった不安定現象が発生する車両駆動系において
も、車両駆動系の近似モデルに基づいて検出できない車
両の状態量を推定し、各々の状態量に的確なフィードバ
ックゲインを掛けて状態フィードバックする。そのた
め、系が常に安定な状態に保たれ、振動などの不安定現
象のない車両駆動系が実現できる。
また、これを実現するために特別な機械要素を必要と
しないので重量、スペースの面で有利であり、ひいて
は、経済性、信頼性においても優れている。
さらに、状態量推定手段81により推定された状態量
は、トラクション・コントロールなどの他の車両制御へ
の情報として、または運転状態のモニタとして利用でき
るので、全体的には検出器の低減が可能となりコスト、
スペース、信頼性の面で利するところが大きい。
また、本実施例では、状態量推定手段81において、車
両駆動系をアクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系と
をバネで結合した極めて簡潔な近似モデルで模擬してい
る。そして、この近似モデルにおいて、出力に関する状
態量はすでに既知であることに着目してそれらに対する
次元を格下げし、その結果得られる最小次元のモデルを
状態量推定手段81内に設けている。原理的には、制御入
力に対する出力を演算し、演算された出力と検出器によ
り検出した出力との偏差が零に収束するようにフィード
バックすることと等価な演算を行っている。すなわち、
状態量推定手段81内の状態量を実機の状態量に追従させ
ている。
従って、実際の車両駆動系を少ない次数の近似モデル
で近似でき近似精度も高い。また、状態両推定手段81内
で推定する際には、さらに、次数の少ないモデルを使用
するため推定するための演算量が減少し制御回路の簡単
化、高速化が可能となる。
また、本実施例においては、状態量推定手段81におい
て、フィードバック行列 を極配置法に基づいて決定しているため、推定される状
態量が極配置法で指定される極位置に対応した応答速度
で実際値に追従する。従って、フィルタ的な効果が現れ
ノイズ等の外乱に対しても強い。また、アナログ回路に
より構成することも容易であるので、高応答、高精度の
制御回路を実現できる。
同様に、動的補償手段81におけても、フィードバック
ゲインを極配置法に基づいて決定しているため、車両駆
動系の応答速度が、極配置法により指定した極位置に対
応した応答速度になる。従って、実用化する際に、車両
駆動系として求められる応答性能に応じた適切なフィー
ドバックゲインを設定することができる。
また、動的補償手段31において、入力指令に対する状
態量の偏差を積分しその積分値に積分ゲインを掛けたの
ち入力指令に加算する、いわゆる、積分制御を行ってい
るため、定常偏差は生じない。従って、積分特性のない
制御対象に対しても、系の状態量を常に入力指令に追従
させることが可能となり、制御がきわめて容易となる。
また、状態フィードバックとは別に積分ゲインを設定で
きるので設計が容易である。
また、動的補償手段81において、限界値を越える制御
入力信号に対しては、制御入力信号を限界値に再設定
し、その時の積分補償または積分制御の積分値について
は、制御入力信号が限界値になるような値を逆算し、そ
の値に再設定する。従って、系の動作点は完全な飽和領
域に入らず線形領域と飽和領域の境界に再設定される。
その結果として、制御入力が飽和するような状態におい
ても、状態フィードバックは作用することになり、常に
車輪駆動系は安定化される。
また、限界値を極端に越える制御入力信号により、再
設定された後の積分値の符号が変わるような場合には、
積分値を零に再設定する。そのため、ノイズ等により積
分値が本来の値から極端にかけ離れた値に再設定される
ことはなく、常に安定で信頼性の高い車輪駆動系が実現
できる。
また、車両状態量検出手段71においては、比較的高精
度で高応答な検出が容易なアクチェータの回転速度を検
出している。従って、状態量推定手段81における状態量
の推定精度が向上し、その結果、車両駆動系の制御にお
いても高精度で高応答な制御特性が得られる。
さらに、アクチェータ手段61として、竪牢、安価、保
守不要である交流モータを使用し、電子回路ならびに電
気的な電力変換回路で駆動している。従って、高精度、
高応答の制御が可能な上、騒音も小さくクリーンなシス
テムが実現する。また、保守もほとんど不要となる。
第2実施例 本発明の第2実施例の車両駆動系制御装置を説明す
る。
本実施例は、前記第1実施例の車両駆動系制御装置に
おいて、 の選び方および制御対象の構成を変えた例である。
以下、前記第1実施例との相違点を中心に詳述する。
本第2実施例の車両駆動系制御装置は、先ず、アクチ
ュエータ制御信号演算手段41を電流制御回路で、出力制
御手段51をPWM式のチョッパ回路で、アクチェータ手段6
1を直流モータで、車両状態量検出手段71をモータの回
転速度検出センサで構成している。
また、本実施例装置は、アクチェータ制御信号演算手
段31と出力制御手段41とアクチェータ手段51とトルク伝
達手段91と駆動輪101と車両状態量検出手段71とからな
る部分を行列 による制御対象として示している。
このシステムにおいて、近似モデルを前記第1実施例
と同様に構成することにより、 なる離散化された状態方程式を得ることができる。ま
た、状態量推定手段81においても、第1実施例と同様の
最小次元オブザーバを設計する。その時、制御対象210
ならび状態量推定手段81は、ブロック図で示すと第7図
における211〜215、811〜818となる。
動的補償手段31においては、積分補償を含んだ状態フ
ィードバックを行う。即ち、状態量推定手段81で推定さ
れた状態ベクトル 入力と状態ベクトルとの差 さらに積分補償の積分値に対しフィードバックゲインを
掛けてそれらを加算することにより制御入力uを求め
る。ここで、フィードバックゲインを適切に与えること
により車両駆動系を安定化する制御入力信号を得ること
ができる。これを、実現するために、次のように、系を
4次元に拡張して考える。
ここで、上式を を使って書き換えると、 となる。この拡張された系に対して、極配置法よりフィ
ードバックゲインを決定する。すなわち、行列 に対する安定な固有値(絶体値が1より小さい)を指定
し、それを満足する を求める。なお、この極配置法に関しては、前記第1実
施例と同様に制御工学においてよく用いられる一般的な
方法であるので詳細な説明は省く。
以上により求められた を、 とすると は次のように決定することができる。
この を用いて次に示す状態フィードバックを行うことによ
り、安定で定常偏差を生じない車両駆動系が実現でき
る。
なお、この場合も出力制御手段51がチョッパ回路で、ア
クチェータ手段61が直流モータで構成されていることを
考えると、電流の定格値から制御入力の限界値が存在す
る。そこで、動的補償手段31の最終段に飽和特性を持っ
たリミッタ319を設ける。また、飽和領域に達すると状
態フィードバックの効果がなくなる。これを防ぐため
に、積分制御における積分値に対して、前記第1実施例
のような処理を行う。
以上のようにすることにより、本第2実施例装置は、
前記第1実施例と同様の効果を奏するほか、以下のよう
な効果を奏する。
すなわち、動的補償手段31において、入力指令に対す
る偏差を積分しその積分値をフィードバックする、いわ
ゆる、積分補償を行っているため、定常偏差は生じな
い。従って、積分特性のない制御対象に対しても、系の
状態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、
制御がきわめて容易となる。
また、動的補償手段31において、限界値を越える制御
入力信号に対しては、制御入力信号を限界値に再設定
し、その時の積分補償の積分値については、制御入力信
号が限界値になるような値を逆算し、その値に再設定す
る。従って、系の動作点は完全な飽和領域に入らず線形
領域と飽和領域に境界に再設定される。その結果とし
て、制御入力が飽和するような状態においても、状態フ
ィードバックは作用することになり、常に車両駆動系は
安定化される。
さらに、アクチェータ手段61として、制御が容易な直
流モータを使用し、電子回路ならびに電気的な電力変換
回路で駆動しているので、高精度、高応答の制御が可能
な上、騒音も小さくクリーンなシステムが実現する。ま
た、制御が容易であるため制御回路も簡単化する。
第3実施例 本発明の第3実施例の車両駆動系制御装置を、第8図
を用いて説明する。
本実施例は、アクチェータ制御信号演算手段を変速比
演算回路で、出力制御手段を変速比制御回路で、アクチ
ェータ手段を無段変速機で車両状態量検出手段を車速検
出センサで構成している。また、トルク伝達手段は車軸
で、車輪は弾性に富んだタイヤが一体的に取りつけられ
た市販のタイヤで構成し、それらは支持装置を介して車
体に固定している。
以下、本実施例装置を、前記第1実施例との相違点を
中心に詳述する。
本第3実施例の車両駆動系制御装置は、第8図に示す
ように、アクチュエータ制御信号演算手段と、出力制御
手段、アクチェータ手段、トルク伝達手段、車輪、車両
状態量検出手段とからなる部分を、行列 による制御対象として示している。トルク指令演算手段
については、第2図、第3図におけるトルク指令演算手
段11と同じであるので図から省いている。
このシステムにおいて、近似モデルを第5図のように
構成する。そして、状態方程式を次のように表す。
この状態方程式をコントローラのサンプリングタイムで
離散化すると なる状態方程式を得ることができる。これを、ブロック
図で表すと第8図における制御対象230(構成要素:231
〜235)となる。
つぎに、上式で表される制御対象に対し同一次元オブ
ザーバによる状態量推定手段を設計する。すなわち、次
の式により、状態ベクトル を推定するオブザーバを構成する。
同一次元オブザーバの設計に際しては有限整定法を適用
する。すなわち、同一次元オブザーバの極をすべて零に
設定する。これにより、行列 833が決定される。行列 835、行列 831、行列 836については、制御対象230の近似モデルと同じであ
る。この結果、制御入力uと出力yを入力し状態ベクト
を推定する状態量推定手段83が実現する。推定された状
態ベクトル は、動的補償手段33に出力する。ただし、状態量が整定
するまでにオブザーバの次元の数回だけ演算を繰り返す
必要があるので、オブザーバの演算周期は他の演算の1/
3に設定する。なお、同一次元オブザーバの設計法およ
び有限整定法に関しては、制御工学においてよく用いら
れる一般的な方法である。
動的補償手段33においては、積分補償と計算送れ補償
を含んだ状態フィードバックを行う。すなわち状態量推
定手段83で推定された状態ベクトル 入力と状態ベクトルとの差 積分補償の積分値、1回前の制御入力に対し、フィード
バックゲインを掛けてそれらを加算することにより制御
入力uを求める。ここで、フィードバックゲインを適切
に与えることにより車両駆動系を安定化する制御入力信
号を得ることができる。これを実現するために、まず、
第2実施例と同様に、系を4次元に拡張して考える。
ここで、上式を を使って書き換えると、 となる。この拡張された糸に対して、最適レギュレータ
の手法に基づいてフィードバックゲインを決定する。す
なわち、評価関数 を最小にする をリカッチの方程式より求める。なお、最適レギュレー
タの手法に関しては、制御工学においてよく用いられる
一般的な方法であるので詳細な説明は省く。
以上により求められた を、 とすると、つぎに、次式の計算を行い、計算遅れ補償を
考慮した5次元モデルのフィードバックゲインを求め
る。
以上の計算から、第8図における を決定することができる。
を用いて次に示す状態フィードバックを行うことによ
り、安定で定常偏差を生じない車両駆動系が実現でき
る。
以上をブロック図で表すと第8図における動的補償手
段33が得られる。
上述の構成より成る第3実施例においては、車両の駆
動力を制御する際、状態量推定手段83において、アクチ
ェータ制御信号演算手段43への制御入力信号と車両状態
量検出手段73からの実際の出力状態量を入力し、これら
の値により車両駆動系を模擬した近似モデルの状態量を
実機の状態量に追従させる。これにより、検出できない
状態量も近似モデルにより推定された状態量を使用する
こと、すなわち、推定が可能になる。続いて動的補償手
段33において、各々の状態量にフィードバックゲインを
掛けその結果をトルク指令演算手段からのトルク指令か
ら減算する、いわゆる、状態フィードバックを行う。こ
こで、各々の状態量に対するフィードバックゲインは、
系の理想的な状態からのずれ(各状態量の定常値からの
偏差)に対し、それをすみやかに減少させるような値に
設定する。
以上のようにすることにより、本第3実施例装置は、
前記第1実施例と同様の効果を奏するほか、以下のよう
な効果を奏する。
すなわち、サスペンションや弾性変形するタイヤを含
む車輪などによるバネ系と非線形特性、パラメータ変動
などを有する駆動系が干渉し、通常、振動といった不安
定現象が発生する車両駆動系においても、車両駆動系の
近似モデルに基づいて検出できない車両の状態量を推定
し、各々の状態量に的確なフィードバックゲインを掛け
て状態フィードバックする。そのため、系が常に安定な
状態に保たれ、振動などの不安定現象のない車両駆動系
が実現できる。
また、本実施例では、状態量推定手段83において、車
量駆動系をアクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系と
をバネで結合した極めて簡潔な近似モデルで模擬してい
る。そして、この近似モデルとまったく同じモデルを状
態量推定手段83に構成し、制御入力に対する出力を演算
している。続いて、演算された出力と検出器により検出
した出力とを比較し、その偏差が零に収束するようにフ
ィードバックを行っている。すなわち、状態量推定手段
83の状態量を実機の状態量に追従させている。従って、
実際の車両駆動系を少ない次数で近似でき近似精度も高
い。また、近似モデルとまったく同じモデルを状態量推
定手段83内に設けるため推定した状態量が物理的な意味
を持つ諸量となり都合がよい。また、ノイズ等にも強
い。
また、状態量推定手段83において、フィードバック行
833を有限整定法に基づいて決定しているため、推定さ
れる状態量が状態量推定手段83に設けられたモデルの次
数に等しい演算回数で収束する。従って、そのため、演
算周期が長い場合においても、短時間で状態量を推定す
ることができる。
また、動的補償手段33において、フィードバックゲイ
ンを最適レギュレータの手法に基づいて決定しているた
め、車両駆動系の応答が、動的補償手段33において最適
レギュレータにより設定した評価関数を最小とする応答
となる。従って、実用化する際に、個々の制御対象に応
じた適切なフィードバックゲインを設定することができ
る。
また、動的補償手段33において、入力指令に対する偏
差を積分しその積分値をフィードバックする、いわゆ
る、積分補償を行っているため、定常偏差は生じない。
そのため、積分特性のない制御対象に対しても、系の状
態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、制
御がきわめて容易となる。
また、動的補償手段33を計算機で構成する際、計算機
の計算遅れも状態量として定義しフィードバックする、
いわゆる、計算遅れ補償を行なっている。従って、制御
周期が長い場合においても、計算遅れの影響を極力小さ
くすることができる。
また、車両状態両検出手段検出器においては、もとも
と他の車両制御で使用している車速検出器の情報を使用
して状態量推定手段83での状態量の推定を行っている。
従って、車両状態量検出手段を付加する必要がなくなり
経済的にも有利である。
さらに、アクチェータ手段として、無段変速機を適用
している。
そのため、エンジン等を動力源として無段変速機の変
速比を変えることにより、即応性に優れ、かつ出力の大
きなトルクの制御が可能となる。また、運転持続時間も
長くとれ、走行距離も延びる。
第4実施例 本発明の第4実施例の車両駆動系制御装置を、第9図
を用いて説明する。
本実施例は、アクチェータ制御信号演算手段を指令ト
ルクに対し各種操作量を演算する燃料噴射量演算回路と
吸入空気量演算回路および点火タイミング演算回路で、
出力制御手段を燃料噴射量制御回路と吸入空気量制御回
路および点火タイミング制御回路で、アクチェータ手段
をエンジンで、車両状態量検出手段をエンジン回転数検
出センサで構成している。また、トルク伝達手段はトラ
ンスミッションおよび車軸で、車輪は弾性に富んだタイ
ヤが一体的に取りつけられた市販のタイヤで構成し、そ
れらは支持装置を介して車体に固定している。
以下、本実施例装置を、前記第1実施例との相違点を
中心に詳述する。
本第4実施例の車両駆動系制御装置は、第9図に示す
ように、アクチュエータ制御信号演算手段と、出力制御
手段、アクチェータ手段、トルク伝達手段、車輪、車両
状態量検出手段とからなる部分を、行列 による制御対象として示している。トルク指令演算手段
については、第2図、第3図におけるトルク指令演算手
段11と同じであるので図から省いている。
このシステムにおいて、近似モデルを第5図のように
構成する。そして、状態方程式を次のように表す。
この状態方程式をコントローラのサンプリングタイム
で離散化すると、 なる状態方程式を得ることができる。これを、ブロック
図で表すと第9図における制御対象250(構成要素:251
〜255)となる。
つぎに、上式で表される制御対象250に対し同一次元
オブザーバによる状態量推定手段85を設計する。すなわ
ち、次の式により、状態ベクトル を推定するオブザーバを構成する。
同一次元オブザーバの設計に際しては極配置法を適用
する。すなわち、同一次元オブザーバの極を単位円内に
設定する。これにより、 が決定される。
については、制御対象250の近似モデルと同じである。
以上により、制御入力uと出力yを入力し状態ベクト
ルxを推定する状態量推定手段85が実現する。推定され
た状態ベクトル は、動的補償手段35に出力する。なお、同一次元オブザ
ーバの設計法および極配置法に関しては、制御工学にお
いてよく用いられる一般的な方法である。
動的補償手段35においては、計算遅れ補償を含んだ状
態フィードバックを行う。すなわち状態量推定手段85で
推定された状態ベクトル 出力y、1回前の制御入力に対し、フィードバックゲイ
ンを掛けてそれらを加算することにより制御入力uを求
める。ここで、フィードバックゲインを適切に与えるこ
とにより車両駆動系を安定化する制御入力信号を得るこ
とができる。これを、実現するために、系を4次元に拡
張して考える。
ここで、上式を を使って書き換えると となる。この拡張された系に対して、極配置法に基づい
てフィードバックゲインを決定する。すなわち、行列 に対する安定な固有値(絶対値が1より小さい)を指定
し、それを満足する を求める。なお、ここでの極配置法に関しても、制御工
学においてよく用いられる一般的な方法である。以上に
より求められた を、 とすると行列 は次のように決定することができる。
この行列 を用いて次に示す状態フィードバックを行うことによ
り、安定な車両駆動系が実現できる。
以上をブロック図で表すと第8図における動的補償手
段35が得られる。
トルク指令演算手段15においては、定常偏差をなくす
ために、あらかじめ定常偏差分のオフセットをトルク指
令値に加えている。すなわち、その時のトルク指令値が
Tmr′で回転速度がωmとすると、その時の定常状態に
おける定常偏差は次式のように、Tmr′とωmの関数で
一義的に定まる。
ΔTmr=f(Tmr′,ωm) そこで、トルク指令演算手段15の最終段では、トルク
指令値Tmr′にΔTmrを加算し、 Tmr=Tmr′+ΔTmr をr(k)として出力している。
上述の構成より成る第4実施例においては、車両の駆
動力を制御する際、状態量推定手段85において、アクチ
ェータ制御信号演算手段への制御入力信号と車両状態量
検出手段からの実際の出力状態量を入力し、これらの値
により車両駆動系を模擬した近似モデルの状態量を実機
の状態量に追従させる。これにより、検出できない状態
量も近似モデルにより推定された状態量を使用するこ
と、すなわち、推定が可能になる。続いて動的補償手段
35において、各々の状態量にフィードバックゲインを掛
けその結果をトルク指令演算手段15からのトルク指令か
ら減算する。いわゆる、状態フィードバックを行う。こ
こで、各々の状態量に対するフィードバックゲインは、
系の理想的な状態からのずれ(各状態量の定常値からの
偏差)に対し、それをすみやかに減少させるように値な
設定する。
以上のようにすることにより、前記第1実施例と同様
の効果を奏するほか、下記のような効果を奏する。
すなわち、状態量推定手段85において、車両駆動系を
アクチェータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで結
合した極めて簡潔な近似モデルで模擬している。そし
て、この近似モデルとまったく同じモデルを状態量推定
手段85内に構成し、制御入力に対する出力を演算してい
る。続いて、演算された出力と検出器により検出した出
力とを比較し、その偏差が零に収束するようにフィード
バックを行っている。すなわち、状態量推定手段85内の
状態量を実機の状態量に追従させている。従って、実際
の車両駆動系を少ない次数で近似でき近似精度も高い。
また、近似モデルとまったく同じモデルを状態観測手段
内に設けるため推定した状態量が物理的な意味を持つ諸
量となり都合がよい。また、ノイズ等にも強い。
また、状態量推定手段85において、フィードバック行
853を極配置法に基づいて決定しているため、推定され
る状態量が極配置法で指定される極位置に対応した応答
速度で実際値に追従する。そのため、フィルタ的な効果
が現れノイズ等の外乱に対しても強い。また、アナログ
回路により構成することも容易であるので、高応答、高
精度の制御回路を実現できる。
同様に、動的補償手段35におけても、フィードバック
ゲインを極配置法に基づいて決定しているため、車両駆
動系の応答速度が、極配置法により指定した極位置に対
応した応答速度になる。そのため、実用化する際に、車
両駆動系として求められる応答性能に応じた適切なフィ
ードバックゲインを設定することができる。
また、トルク指令演算手段15においては、あらかじめ
定常偏差分のオフセットをトルク指令値に加え、状態量
の定常値が本来の入力指令に落ち着くように制御してい
る。従って、積分特性のない制御対象に対しても、系の
状態量を常に入力指令に追従させることが可能となり、
制御が極めて容易となる。また、積分補償、積分制御等
による極の追加もないため、系の応答性を上げることが
できる。
また、車両状態量検出手段においては、比較的高精度
で高応答な検出が容易なアクチェータの回転速度を検出
している。従って、状態観測手段35における状態量の推
定精度が向上し、その結果、車輪駆動系の制御において
も高精度で高応答な制御特性が得られる。
さらに、アクチェータ手段として、エネルギ密度の高
い化学エネルギを使用するエンジンを適用している。従
って、軽量の車両を構成できる。また、運転持続時間も
長くとれ、走行距離も延びる。さらに、出力を大きくと
ることも可能となる。
以上の実施例のほか、車両駆動系制御装置をアナログ
回路またはロジック回路により構成することもできる。
また、第1から第22までの発明の組合せとしても、上記
実施例以外の組合せが有り得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の概念を示す概略構成図、第2図は従来
技術の概略構成図、第3図は本発明の車両駆動系の制御
対象の一例を示す概略構成図、第4図は本発明の車両駆
動系の一モデルを示す概略構成図、第5図は本発明の車
両駆動系の一近似モデルを示す概略構成図、第6図およ
び第7図は本発明の第1実施例を示し、第6図はその全
体を示す概略構成図、第7図はその車両駆動系の制御対
象を示す構成図、第8図は第2実施例の車両駆動系の制
御対象を示す構成図、第9図は第3実施例の車両駆動系
の制御対象を示す構成図である。 10、11……トルク指令演算手段、 20、21……制御量演算手段、 30、31……動的補償手段、 40、41……アクチュエータ制御信号演算手段 50、51……出力制御手段、 60、61……アクチュエータ手段、 70、71……車両状態量検出手段、 80、81……状態量推定手段、 90、91……トルク伝達手段、 100、101……車輪
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 41/14 B60L 9/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人や荷物を載置する車体と弾性に富んだ支
    持装置により支えられた車輪と該車輪を駆動するための
    アクチュエータ手段を備えた車両駆動系を制御する装置
    において、 車両の運転指令に基づき車輪が出力すべきトルクを演算
    するトルク指令演算手段と、 該トルク指令演算手段から出力された目標トルクに基づ
    き車両駆動系を安定化する最適制御量を得る動的補償手
    段と、該動的補償手段より出力された制御量信号に基づ
    き車両駆動系を制御するために必要な制御量に見合うア
    クチュエータ制御量を演算するアクチュエータ制御信号
    演算手段とからなり、前記トルク指令演算手段より出力
    された目標トルクに見合う制御量を演算する制御量演算
    手段と、 該制御量演算手段より出力されたアクチュエータ指令信
    号に基づきアクチュエータ手段の出力を制御する出力制
    御手段と、 該出力制御手段より出力された信号に基づき車輪の制御
    トルクを出力するアクチュエータ手段と、 該アクチュエータ手段の出力トルクを車輪に伝達するト
    ルク伝達手段と、 車両の速度およびアクチュエータの出力軸の回転速度な
    どの車両の状態量を検出する車両状態量検出手段と、 該車両状態量検出手段より出力された車両状態量信号と
    前記制御量演算手段からの信号に基づき、車両駆動系を
    アクチュエータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで
    結合した近似モデルで模擬して前記制御量を得るのに必
    要な他の状態量を推定し前記制御量演算手段の動的補償
    手段に該推定状態量および前記車両状態量を出力する状
    態量推定手段とからなることを特徴とする車両駆動系制
    御装置。
  2. 【請求項2】状態量推定手段が、車両駆動系をアクチュ
    エータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで結合した
    近似モデルで模擬し、この近似モデルと同一次元のモデ
    ルを使用することにより状態量の推定を行う推定手段を
    具備することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記
    載の車両駆動系制御装置。
  3. 【請求項3】状態量推定手段が、車輪駆動系をアクチュ
    エータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで結合した
    近似モデルで模擬し、この近似モデルに対し出力に関す
    る次元を格下げした最小次元のモデルを使用することに
    より状態量の推定を行う推定手段を具備することを特徴
    とする特許請求の範囲第(1)項記載の車両駆動系制御
    装置。
  4. 【請求項4】状態量推定手段が、車両状態量検出手段よ
    り出力された車両状態量信号と制御量演算手段より出力
    された信号との偏差をフィードバックするとともに、該
    偏差に対するフィードバックゲインを極配置法に基づい
    て決定することにより状態量の推定を行う推定手段を具
    備することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載
    の車両駆動系制御装置。
  5. 【請求項5】状態量推定手段が、車両状態量検出手段よ
    り出力された車両状態量信号と制御量演算手段より出力
    された信号との偏差をフィードバックするとともに、該
    偏差に対するフィードバックゲインを有限整定法に基づ
    いて決定することにより状態量の推定を行う推定手段を
    具備することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記
    載の車両駆動系制御装置。
  6. 【請求項6】動的補償手段が、推定状態量および車両状
    態量を状態フィードバックする際、フィードバックゲイ
    ンを最適レギュレータの手法に基づいて決定することに
    より最終制御量を算出する補償手段を具備することを特
    徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の車両駆動系制
    御装置。
  7. 【請求項7】動的補償手段が、推定状態量および車両状
    態量を状態フィードバックする際、フィードバックゲイ
    ンを極配置法に基づいて決定することにより最終制御量
    を算出する補償手段を具備することを特徴とする特許請
    求の範囲第(1)項記載の車両駆動系制御装置。
  8. 【請求項8】人や荷物を載置する車体と弾性に富んだ支
    持装置により支えられた車輪と該車輪を駆動するための
    アクチュエータ手段を備えた車両駆動系の制御方法であ
    って、車両の運転指令に基づき車輪が出力すべきトルク
    を演算し、該目標トルクに見合う制御量に基づきアクチ
    ュエータの出力を制御することにより、車輪の制御トル
    クを出力制御する車両駆動系制御方法において、 車両の速度およびアクチュエータ出力軸の回転速度など
    の車両の状態量と前記制御量に基づいて、車両駆動系を
    アクチュエータ側の慣性系と車体側の慣性系とをバネで
    結合した近似モデルで模擬して前記制御量を得るのに必
    要な他の状態量を推定し、該推定状態量および車両状態
    量と前記目標トルクに基づいて車両駆動系を安定化する
    最適制御量を得、これにより前記目標トルクを動的に補
    償してなることを特徴とする車両駆動系制御方法。
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