JP2793622B2 - 液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録装置

Info

Publication number
JP2793622B2
JP2793622B2 JP1049492A JP4949289A JP2793622B2 JP 2793622 B2 JP2793622 B2 JP 2793622B2 JP 1049492 A JP1049492 A JP 1049492A JP 4949289 A JP4949289 A JP 4949289A JP 2793622 B2 JP2793622 B2 JP 2793622B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
liquid
signal
auxiliary signal
bubble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1049492A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02258264A (ja
Inventor
隆 木村
卓朗 関谷
智昭 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP1049492A priority Critical patent/JP2793622B2/ja
Publication of JPH02258264A publication Critical patent/JPH02258264A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2793622B2 publication Critical patent/JP2793622B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、液体噴射記録装置に関し、より詳細には、
インクジェットプリンタに関する。
従来技術 ノンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生
が無視し得る程度に極めて小さいという点において、最
近関心を集めている。その中で、高速記録が可能であ
り、而も所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記
録の行える所謂インクジェット記録法は極めて有力な記
録法であって、これまでにも様々な方式が提案され、改
良が加えられて商品化されたものもあれば、現在もなお
実用化への努力が続けられているものもある。
この様なインクジェット記録法は、所謂インクと称さ
れる記録液体の小滴(droplet)を飛翔させ、記録部材
に付着させて記録を行うものであって、この記録液体の
小滴の発生法及び発生された記録液小滴の飛翔方向を制
御する為の制御方法によって幾つかの方式に大別され
る。
先ず第1の方式は、例えば米国特許第3060429号明細
書に開示されているもの(Tele type方式)であって、
記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記
録液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上
に記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行うもので
ある。
これに就いて、更に詳述すれば、ノズルと加速電極間
に電界を掛けて、一様に帯電した記録液体の小滴をノズ
ルより吐出させ、該吐出した記録液体の小滴を記録信号
に応じて電気制御可能な様に構成されたxy偏向電極間を
飛翔させ、電界の強度変化によって選択的に小滴を記録
部材上に付着させて記録を行うものである。
第2の方式は、例えば米国特許第3596275号明細書、
米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(S
weet方式)であって、連続振動発生法によって帯電量の
制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された
帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられてい
る偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を
行うものである。
具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録ヘ
ッドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出
口)の前に記録信号が印加されている様に構成した帯電
電極を所定距離だけ離して配置し、前記ピエゾ振動素子
に一定周波数の電気信号を印加することでピエゾ振動素
子を機械的に振動させ、前記吐出口より記録液体の小滴
を吐出させる。この時前記帯電電極によって吐出する記
録液体小滴には電化が静電誘導され、小滴は記録信号に
応じた電荷量で帯電される。帯電量の制御された記録液
体の小滴は、一定の電界が一様に掛けられている偏向電
極間を飛翔する時、付加された帯電量に応じて偏向を受
け、記録信号を担う小滴のみが記録部材上に付着し得る
様にされている。
第3の方式は、例えば米国特許第3416153号明細書に
開示されている方式(Hertz方式)であって、ノズルと
リング状の帯電電極間に電界を掛け、連続振動発生法に
よって、記録液体の小滴を発生霧化させて記録する方式
である。即ちこの方式ではノズルと帯電電極間に掛ける
電界強度を記録信号に応じて変調することによって小滴
の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録す
る。
第4の方式は、例えば米国特許第3747120号明細書に
開示されている方式(Stemme方式)で、この方式は前記
3つの方式とは根本的に原理が異なるものである。
即ち、前記3つの方式は、何れもノズルより吐出され
た記録液体の小滴を、飛翔している途中で電気的に制御
し、記録信号を担った小滴を選択的に記録部材上に付着
させて記録を行うのに対して、このStemme方式は、記録
信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させ
て記録するものである。
つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を
有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に、
電気的な記録信号を印加し、この電気的記録信号をピエ
ゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従っ
て、前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記
録部材に付着させることで記録を行うものである。
これ等、従来の4つの方式は各々に特長を有するもの
であるが、又、他方において解決され得る可き点が存在
する。
即ち、前記第1から第3の方式は記録液体の小滴の発
生の直接的エネルギーが電気的エネルギーであり、又、
小滴の偏向制御も電界制御である。その為、第1の方式
は、構成上はシンプルであるが、小滴の発生に高電圧を
要し、又、記録ヘッドのマルチノズル化が困難であるの
で高速記録には不向きである。
第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル化が可能で
高速記録に向くが、構成上複雑であり、又記録液体小滴
の電気的制御が高度で困難であること、記録部材上にサ
テライトドットが生じ易いこと等の問題点がある。
第3の方式は、記録液体小滴を霧化することによって
階調的に優れた画像が記録され得る特長を有するが、他
方霧化状態の制御が困難であること、記録画像にカブリ
が生ずること及び記録ヘッドのマルチノズル化が困難
で、高速記録には不向きであること等の諸問題点が存す
る。
第4の方式は、第1乃至第3の方式に比べ利点を比較
的多く有する。即ち、構成上シンプルであること、オン
デマンド(on−demand)で記録液体をノズルの吐出口よ
り吐出して記録を行う為に、第1乃至第3の方式の様に
吐出飛翔する小滴の中、画像の記録に要さなかった小滴
を回収することが不要であること及び第1乃至第2の方
式の様に、導電性の記録液体を使用する必要性がなく記
録液体の物質上の自由度が大であること等の大きな利点
を有する。而乍ら、一方において、記録ヘッドの加工上
に問題があること、所望の共振数を有するピエゾ振動素
子の小型化が極めて困難であること等の理由から記録ヘ
ッドのマルチノズル化が難しく、又、ピエゾ振動素子の
機械的振動という機械的エネルギーによって記録液体小
滴の吐出飛翔を行うので高速記録には向かないこと、等
の欠点を有する。
更には、特開昭48−9622号公報(前記米国特許第3747
120号明細書に対応)には、変形例として、前記のピエ
ゾ振動素子等の手段による機械的振動エネルギーを利用
する代わりに熱エネルギーを利用することが記載されて
いる。
即ち、上記公報には、圧力上昇を生じさせる蒸気を発
生する為に液体を直接加熱する加熱コイルをピエゾ振動
素子の代りの圧力上昇手段として使用する所謂バブルジ
ェットの液体噴射記録装置が記載されている。
しかし、上記公報には、圧力上昇手段としての加熱コ
イルに通電して液体インクが出入りし得る口が一つしか
ない袋状のインク室(液体)内の液体インクを直接加熱
して蒸気化することが記載されているに過ぎず、連続繰
返し液吐出を行う場合は、どの様に加熱すれば良いか
は、何等示唆されるところがない。加えて、加熱コイル
が設けられている位置は、液体インクの供給路から遥か
に遠い袋状液室の最深部に設けられているので、ヘッド
構造上複雑であるに加えて、高速での連続繰返し使用に
は、不向きとなっている。
しかも、上記公報に記載の技術内容からでは、実用上
重要である発生する熱で液吐出を行った後に次の液吐出
の準備状態を速やかに形成することは出来ない。
このように従来法には、構成上、高速記録化上、記録
ヘッドのマルチノズル化上、サテライトドットの発生お
よび記録画像のカブリ発生等の点において一長一短があ
って、その長所を利する用途にしか適用し得ないという
制約が存在していた。
熱エネルギーにより記録液中に気泡を発生させ、その
体積膨張時の作用力により記録液を吐出させる方式に
は、特開昭58−36464号公報に述べられたように解決す
べき問題点が存在する。即ち、気泡消滅時にメニスカス
が急激に後退し、メニスカスの表面状態が破壊され、そ
のメニスカス破壊口からの空気流入によってメニスカス
の液路内への後退し過ぎ現象が起こり、液滴の大きさが
不均一になったり、液滴飛翔速度や飛翔方向にバラツキ
が生じ、時には記録液の不吐出現象が起こり、印字品質
に著しい低下を生じてしまうという欠点があった。
特開昭58−36464号公報は、この欠点を解決しようと
したものであるが、駆動用電気パルスのエネルギーに関
しては、何ら開示されておらず、実際にメニスカスの後
退し過ぎを防止するには、どの位の電圧をどの位の時間
与えればよいか、全く判らず、また、本発明者らの種々
の実験により、駆動電圧を増大したり、駆動パルス巾を
長くし、熱的信号の立下がりを伸ばした場合、液滴を形
成する主気泡(熱的信号印加後の1つ目の気泡)に続い
て、2次気泡(2つ目の気泡)が発生し、この2次気泡
は、後退中のメニスカスを再度、吐出口方向に移動させ
るに十分な体積を有しており、この結果、吐出口よりミ
スト状に記録液が吐出、飛散してしまう(スプラッシュ
現象)という欠点を見出した。特開昭58−36464号公報
に示されたような各種、駆動用電気パルスにおいても、
上記欠点が見られ、かえって印字品質を低下させるとい
う欠点があった。
また、特開昭58−11169号公報は、発熱体の信頼性,
長期安定性の為に、駆動パルスを複数にするのみで、上
記欠点についての開示はなされておらず、複数パルスに
より前述したように2次気泡さらに3次気泡が発生し、
印字品質の低下を招いてしまった。
目的 本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもの
で、メニスカスの後退しすぎを防ぎ、常に安定した吐出
を行う最適なエネルギータイミングを見出し、それらを
明示し、高品質の画像記録を行うこと、また、安価に上
記目的ができる液体噴射記録法を提案することを目的と
してなされたものである。
構成 本発明は、上記目的を達成するために、記録液を吐出
する為の吐出口と、該吐出口に前記記録液を導く為の液
路と、前記記録液に熱エネルギーを作用させる為の熱エ
ネルギー発生体と、該熱エネルギー発生体により気泡を
発生させ、該気泡の体積増加にともなう作用力によって
前記記録液を前記吐出口より飛翔せしめる液体噴射記録
装置において、前記気泡を発生させる為に、前記熱エネ
ルギー発生体に入力する画素信号の後に、少なくとも1
つ以上の補助信号を入力し、前記画素信号および補助信
号を入力することにより、得られる気泡体積の曲線が前
記画素信号および補助信号の入力によるピークができる
程度に前記画素信号から前記補助信号を離して入力する
こと、更には、前記補助信号は、Vp2・tp>Vs2・tsなる
信号(Vp:画素信号の電圧,tp:画素信号のパルス巾,Vs:
補助信号の電圧,ts:補助信号のパルス巾)であること、
更には、前記補助信号は、Vs(n−1)・ts(n−
1)>Vsn2・t sn(n=2,3,…)なる信号(Vs(n−
1):n−1番目の補助信号の電圧,ts(n−1):n−1
番目の補助信号のパルス巾,Vsn:n番目の補助信号の電
圧,t sn:n番目の補助信号のパルス巾)であることを特
徴としたものである。
最初に、第5図に基づいてバブルジェットによるイン
ク噴射の原理について説明する。図中、21は蓋基板、22
は発熱体基板、27は選択(独立)電極、28は共通電極、
29は発熱体、30はインク、31は気泡、32は飛翔インク滴
である。
(a)は定常状態であり、オリフィス面でインク30の
表面張力と外圧とが平衡状態にある。
(b)はヒータ29が加熱されて、ヒータ29の表面温度
が急上昇し隣接インク層に沸騰現像が起きるまで加熱さ
れ、微小気泡31が点在している状態にある。
(c)はヒータ29の全面で急激に加熱された隣接イン
ク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、この気泡31が生長
した状態である。この時、ノズル内の圧力は、気泡の生
長した分だけ上昇し、オリフィス面での外圧とのバラン
スがくずれ、オリフィスよりインク柱が生長し始める。
(d)は気泡が最大に生長した状態であり、オリフィ
ス面より気泡の体積に相当する分のインク30が押し出さ
れる。この時、ヒータ29には電流が流れていない状態に
あり、ヒータ29の表面温度は降下しつつある。気泡31の
体積の最大値は電気パルス印加のタイミングからややお
くれる。
(e)は気泡31がインクなどにより冷却されて収縮を
開始し始めた状態を示す。インク柱の先端部では押し出
された速度を保ちつつ前進し、後端部では気泡の収縮に
伴ってノズル内圧の減少によりオリフィス面からノズル
内へインクが逆流してインク柱にくびれが生じている。
(f)はさらに気泡31が収縮し、ヒータ面にインクが
接しヒータ面がさらに急激に冷却される状態にある。オ
リフィス面では、外圧がノズル内圧より高い状態になる
ためメニスカスが大きくノズル内に入り込んで来てい
る。インク柱の先端部は液滴になり記録紙の方向へ5〜
10m/secの速度で飛翔している。
(g)はオリフィスにインクが毛細管現象により再び
供給(リフィル)されて(a)の状態にもどる過程で、
気泡は完全に消滅している。
次に、上記原理図に基づく記録ヘッドの構造について
説明する。
第6図は、本発明に用いられる記録ヘッドの全体斜視
図、第7図は、記録ヘッドの分解構成図で、(a)は蓋
基板、(b)は発熱体基板、(c)は蓋基板の裏面図で
ある。図中、23はインク供給口、24はインク吐出口、25
は流路、26は液室を形成するための領域である。また、
第8図は、上記発熱体基板の構成図で、基板8上に蓄熱
層9、発熱体層10、電極層11,12、発熱体保護層13、電
極保護層14をフォトファブリケーション、半導体プロセ
ス技術により形成して作られる。基板の材料としてはシ
リコン,セラミックス,ガラス等があるが、高周波応答
性、耐熱性,放熱性、さらに後述する駆動回路を発熱体
と同一基板上に設ける場合の実装上等の点からシリコン
が最適である。特に、駆動素子と高密度実装できるTFT
(Thin Film Transistor)で形成する際には、極めて優
れている。シリコン基板上に蓄熱層としてSiO2の熱酸化
膜を形成する。蓄熱層は発熱体ON時にはシリコン基板へ
熱が逃げるのを適度に押え、発熱体OFF時にはシリコン
基板へ適度に熱を伝えるという相反する特性が要求され
る。この為、蓄熱層の厚みが気泡発生・消滅に大きく影
響する為、適正な厚みを選択しなければならないが、通
常0.1〜10μm厚が好ましい。また、蓄熱層の形成方法
としては、他にスパッタ法やCVD法,プラズマCVD法等を
使用しても良い。
蓄熱層上に発熱体層及び電極層をスパッタ法、CVD
法、プラズマCVD法、真空蒸着法等の薄膜形成法により
形成後、選択エッチングにより所望のパターンを得る。
発熱体層を構成する材料としては、例えば、窒化タンタ
ル、ニクロム、銀−パラジウム合金及びシリコン半導
体、メタリックガラス、酸化スズ、更にハフニウム、ラ
ンタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングステ
ン、モリブテン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金属
及びその合金、並びにそれらの硼化物等があげられる。
中でも、特に金属硼化物が発熱体として優れている。そ
の中でも最も優れているのは硼化ハフニウム、次いで、
硼化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化
バナジウムである。発熱体の抵抗値は急激に高温にしな
ければならないことや、電流波形がいわゆるなまってい
ない波形、即ち、入力駆動信号に即やかに従がわなけれ
ばならないことから高抵抗にはできず、また、消費電力
の低減化より小さすぎても不都合である。よって、通常
10〜500Ω、好適には、15〜150Ωである。発熱体層の膜
厚は、上記抵抗値、耐久性等を考慮して、一般には1000
Å〜3μm、好適には、1500Å〜1μmとするのが良
い。
電極層の構成材料としては、通常使用されている電極
材料の多くのものが使用できる。例えば、Al、Ag、Pt、
Cu等である。
電極形成後、少なくとも発熱体を覆うように、保護層
12を設ける。保護層に要求される特性は、発熱体で発生
した熱を記録液に効果的に伝達すること、記録液より発
熱体を保護すると共に、気泡消滅時のダメージから発熱
体を保護することである。保護覆を構成する材料として
は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化マグネ
シウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコ
ニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化イットリ
ウム、酸化マンガン、酸化カルシウム、窒化アルミニウ
ム、窒化ボロン等の酸化物、窒化物およびこれらの複合
体があげられる。これら材料を用いて、蒸着法、スパッ
タ法、CVD法、プラズマCVD法、気相反応法、液体コーテ
ィング法等の膜形成手法により保護層を形成する。その
後、電極保護層14を形成する。電極保護層に要求される
特性としては、耐液性、耐熱性に優れ、電気絶縁性が良
いこと等である。よって、成膜性がよくピンホールが少
なく、使用インクに対し、膨潤、溶解しないことが要求
される。電極保護層を構成する材料としては、上記条件
を満たす多くの材料が使用できる。例えば、シリコン樹
脂、フッ素樹脂、芳香族ポリアミド、付加重合型ポリイ
ミド、金属キレート重合体、チタン酸エステル、エポキ
シ樹脂、フタル酸樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、P−
ビニルフェノール樹脂、ザイロック樹脂、トリアジン樹
脂等の樹脂がある。
更に、種々の有機化合物モノマー、例えばテオウレ
ア、テオアセトアミド、ビニルフェロセン、1,3,5−ト
リクロロベンゼン、クロロベンゼン、スチレン、フェロ
セン、ピロリン、ナフタレン、ペンタメチルベンゼン、
ニトロトルエン、アクリロニトリル、ジフェニルセレナ
イド、P−トルイジン、P−キシレン、N,N−ジメチル
−P−トルイジン、トルエン、アニリン、ジフェニルマ
ーキュリー、ヘキサメチルベンゼン、マロノニトリル、
テトラシアノエチレン、チオフエン、ベンゼンセレノー
ル、テトラフルオロエチレン、エチレン、N−ニトロソ
ジフェニルアミン、アセチレン、1,2,4−トリクロロベ
ンゼン、プロパン等を使用してプラズマ重合法によって
成膜させて形成することもできる。
しかしながら、高密度マルチオリフィスタイプの記録
ヘッドを作成するのであれば、上記した有機質材料とは
別に微細フォトリソグラフィー加工が極めて容易とされ
る有機質材料を電極保護層の形成材料として使用するの
が望ましい。そのような有機質材料として具体的には、
例えば、ポリイミドイソインドロキナゾリンジオン(商
品名:PIQ,日立化成製)、ポリイミド樹脂(商品名:PYRA
LIN、デュポン製)、酸化ポリブタジエン(商品名:JSR
−CBR、CBR−MOO1、日本合成ゴム製)、フォトニース
(商品名:東レ製)、その他の感光性ポリイミド樹脂等
が好ましいものとして挙げられる。
蓋基板の材質としては、例えば、ガラス、セラミッ
ク、シリコンウェハ、金属板等である。中でもガラス
は、大面積のものが取れること、透明であるので発熱体
基板との接合状態や、流路状態が目視できること等によ
り優れている。ガラスは、通常のソーダ石英ガラスはも
ちろんのこと、他に、例えば、ケイ酸ガラス、高ケイ酸
ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、
鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスが使用できる。蓋
基板には、流路となる微細溝が形成されている。この微
細溝は、マイクロカッターを用いて、巾、数μm以上、
深さ、10μm〜250μm程度の大きさで、且つ、ピッチ1
0μm以上の範囲で任意に切削形成することが可能であ
る。従って、この作成法によれば、極めて微細であるイ
ンク流路を従来になく高密度(8本/mm以上)に集積し
たマルチアレイ型の記録ヘッドを得ることが容易であっ
て、インクジェット記録分野に於ける現在の要望をかな
り満足させることができる。また、他の方法として、ガ
ラス基板を、フォトリソグラフィ技術と、エッチングに
より食刻して溝を形成することもできる。このようにし
て作られた蓋基板を発熱体基板と接着する。
接着法は以下のとおりである。
平板を洗浄した後、その片面にエポキシ樹脂を主体に
したアンカー層を塗工し、100℃で20分間、ベーキング
を行う。
次いで、このアンカー層上に下記組成の接合剤層を厚
さ約3μm〜10μm程度に塗工する。
エピコート#1007(商品名):500重畳部 芳香族アミン硬化剤:5重量部 シランカップリング剤:5重畳部 メチルエチルケトン:300重畳部 100℃で5分間、予備乾燥し半硬化させた後、塗工面
にダイヤモンドブレードカッター[例えば、Disco211/5
型(商品名)、Disco社製]を用いて、所定数の長尺細
溝を切削形成する。なお、この場合、平板の切削壁面、
つまり、長尺細溝の壁面は、表面粗さにして、約2〜5
μm程度の粗面として得られるが、本発明では、それ以
上の大きさのチッピング箇所が発生することは皆無に近
いことである。
この様に平板に切削加工を施した後、部品Aとして所
定の大きさに切断する。
因に、上記溝は、略々、10μm×10μm〜150μm×1
50μmの断面積で、ピッチ30μm〜200μmにして切削
される。
又、接合剤としては、上記の組成のものに限らない。
ここで用いるのに好適な接合剤は、加熱により接合作用
を生ずる材料であり、たとえば、エポキシ樹脂系接着
剤、フェノール樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、
シリコーン樹脂系接着剤、トリアジン樹脂、BT樹脂等を
例とする有機化合物系接着剤や、熔融銀塩類、低融点ガ
ラス類等の無機化合物類である。
発熱体基板上に流路を形成する流路壁を感光性樹脂に
よって作る方法を第9図に基づいて説明する。図中、15
は下層部、16は感光性樹脂、17は流路溝、18は蓋基板、
19はチタン系カップリング剤層である。スピンナーある
いはロールコーター等の塗工手段などを用いて、感光性
ポリアミドワニスあるいは感光性ポリイミドワニス等の
本発明に言う耐キャビテーションエロージョン性を有す
る樹脂を成分とする感光性樹脂16を積層する。感光性樹
脂16の積層厚さとしては特に制限されるものではない
が、インクジェット記録ヘッドとしての実用性を考慮す
るならば、少なくとも10〜100μm程度の比較的厚い層
とするのが好ましい。従って、感光性樹脂としても、こ
のような厚さに積層し得るものであることが好ましく、
市販の感光性樹脂16としては、前述の感光性ポリアミド
ワニス、すなわちプリントタイトEF95、トプロン(Topl
on)、ナイロンプリント(Nylonprint)、あるいは感光
性ポリイミドワニス、すなわちフォトニースVR−3140、
セレクティラックスWTR−2が好ましく用いられる。
このようにして感光性樹脂16が積層された基板に、以
下に示すような感光あるいは現像などの処理を施し、感
光性樹脂かる成るインク流路17を形成する。尚、以下主
として感光性樹脂16をフォトニースVR−3140とした場合
を例として、これの処理操作について説明するが、イン
ク流路壁の形成方法は、用いる感光性樹脂16の種類等に
応じた任意のものとし得ることは言うまでもない。
すなわち、感光性樹脂たるフォトニースVR−3140を積
層した基板に必要に応じてプリベータを施す。プリベー
タの条件は特に限定されるものではないが、本例では80
℃、80分とした。
プリベータ終了後、所望のパターンを有するフォトマ
スクをフォトニースVR−3140上に重ね、次いでこのフォ
トマスクを介して露光を行なう。
露光終了後、フォトニースVR−3140の未露光部分をフ
ォトニースVR−3140用の現像液DV−505を用いて現像
し、未露光部分を溶解除去することによって、インク流
路とする予定の溝を形成する。
こうして未露光部分を溶解除去した後、ポストベーク
を施して基板上に残存するフォトニースVR−3140の露光
部分を硬化させ、基板8上に所望のパターンを有するイ
ンク流路壁たるフォトニースVR−3140の硬化膜を形成す
る。ポストベーク条件は特に限定されるものではない
が、本例では、100℃,30分→300℃,30分→400℃,30分の
3段階で行なった。
このようにして感光性樹脂16の硬化膜から成るインク
流路壁16を形成した基板8上に、インク流路の覆となる
平板18を積層する。
シリコン基板上にSiO2の熱酸化膜を1μm厚に形成
後、発熱体層として硼化ハフニウムをスパッタ法により
1500Å厚に積層、さらに電子ビーム蒸着によりAl電極を
5000Å厚に形成する。発熱部は、その寸法を巾30μm、
長さ100μmとし、Al電極の抵抗を含め60Ωの抵抗値に
した。
次に、保護層として、SiO2をスパッタ法にて2μm厚
に形成後、さらに第2の保護層として、Taを0.5μm厚
にスパッタした。続いて電極保護層として、感光性ポリ
イミド(商品名:フォトニース:東レ製)を発熱部を除
く部分に形成した。このようにして作成した発熱体基板
に前述したように、感光性ドライフィルムで流路壁を形
成した。一方、蓋基板として、ガラスに接着層(流路の
感光性ドライフィルムとの接合力を強める為のバインダ
ー層)として、感光性ドライフィルムを50μm厚で形成
し、上記流路壁を設けた発熱体基板とUV硬化型接着剤で
接着し、ヘッドを形成した。
このヘッドに以下に示す記録液体を供給した。
本発明において使用される記録液体は、後述する熱物
性値及びその他の物性値を有する様に材料の選択と組成
成分の比が調合される他に従来の記録法において使用さ
れている記録液体と同様化学的物理的に安定である他、
応答性、忠実性、曳糸化能に優れている事、液路殊に吐
出口において固まらない事、流路中を記録速度に応じた
速度で流通し得る事、記録後、記録部材への定着が速や
かである事、記録濃度が充分である事、貯蔵寿命が良好
である事、等々の特性を与える様に物性が調整される。
本発明に使用される記録液体は、液媒体と記録像を形
成する記録剤及び所望の特性を得る為に添加される添加
剤より構成され、前記の物性値を得る範囲において液媒
体及び添加剤の種類及び組成比の選択によって、水性、
非水性、溶解性、導電性、絶縁性のいずれも得ることが
出来る。
液媒体としては、水性媒体と非水性媒体とに大別され
るが、使用される液媒体は、前記の物性値を調合される
記録記録液体が有する様に他の選択される構成成分との
組み合せを考慮して下記のものより選択される。
その様な非水性媒体としては、例えばメチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコー
ル、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニル
アルコール、デシルアルコール等の炭素数1〜10のアル
キルアルコール;例えば、ヘキサン、オクタン、シクロ
ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシロール等の炭化水
素系溶剤;例えば、四塩化炭素、トリクロロエチレン、
テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素系溶剤;例えば、エチルエーテル、ブチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;例
えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピル
ケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン系溶剤;ギ酸エチル、メチルアセテート、プロピル
アセテート、フェニルアセテート、エチレングリコール
モノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;例
えばジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;石油
系炭化水素溶剤等が挙げられる。
これ等の列挙した液媒体は使用される記録剤や添加剤
との親和性及び記録液体としての後述の諸特性を満足し
得る様に適宜選択して使用されるものであるが更に、後
記の特性を有する記録液体が調合され得る範囲内におい
て、必要に応じて適宜二種以上を混合して使用しても良
い。又、上記の条件内においてこれ等非水性媒体と水と
を混合して使用しても良い。
上記の液媒体の中、公害性、入手の容易さ、調合のし
易さ等の点を考慮すれば、水又は水・アルコール系の液
媒体が好適とされる。
記録剤としては、調合される記録液体が前記の諸物性
値を有するようにされる他、長時間放置による液路内や
記録液体供給タンク内での沈降、凝集、更には輸送管や
液路の目詰りを起こさない様に前記液媒体や添加剤との
関係において材料の選択がなされて使用される必要があ
る。この様な点からして、液媒体に溶解性の記録剤を使
用するのが好ましいが、液媒体に分散性又は難溶性の記
録剤であっても液媒体に分散させる時の記録剤の粒径を
充分小さくしてやれば使用され得る。
使用され得る記録剤は記録部材によって、その記録条
件に充分適合する様に適宜選択される。記録剤としては
染料及び顔料を挙げることが出来る。有効に使用される
染料は、調合された記録液体の後述の諸特性を満足し得
る様なものであり、好適に使用されるのは、例えば水溶
性染料としての直接染料、塩基性染料、酸性染料、可溶
性建染メ染料、酸性媒染染料、媒染染料、非水溶性染料
としての硫化染料、建染メ染料、酒精溶染料、油溶染
料、分散染料等の他、スチレン染料、ナフトール染料、
反応染料、クロム染料、1:2型錯塩染料、1:1型錯塩染
料、アゾイック染料、カチオン染料等の中より選択され
るものである。
具体的には、例えばレゾリングリルブルーPRL、レゾ
リンイエローPCG、レゾリンピンクPRR、レゾリングリー
ンPB(以上バイヤー製)、スミカロンブルーS−BG、ス
ミカロンレッドE−EBL、スミカロンイエローE−4GL、
スミカロンブリリアントブルーS−BL(以上住友化学
製)、ダイヤニックスイエロー−HG−SE、ダイヤニック
スレッドBN−SE(以上三菱化成製)、カヤロンポリエス
テルライトフラビン4GL、カヤロンポリエステルブルー3
R−SF、カヤロンポリエステルイエローYL−SE、カヤセ
ットターキスブルー776、カヤセットイエロー902、カヤ
セットレッド026、プロシオンレッドH−2B、プロシオ
ンブルーH−3R(以上日本化薬製)、レバフィックスゴ
ールデンイエローP−R、レバフィックスブリルレッド
P−B、レバフィックスブリルオレンジP−GR(以上バ
イヤー製)、スミフィックスイエローGRS、スミフィッ
クスB、スミフィックスブリルレッドBS、スミフィック
スブリルブルーPB、ダイレクトブラック40(以上住友化
学製)、ダイヤミラーブラウン3G、ダイヤミラーイエロ
ーG、ダイヤミラーブルー3R、ダイヤミラーブリルブル
ーB、ダイヤミラーブリルレッドBB(以上三菱化成
製)、レマゾールレッドB、レマゾールブルー3R、レマ
ゾールイエローGNL、レマゾールブリルグリーン6B(以
上ヘキスト社製)、チバクロンブリルイエロー、チバク
ロンブリルレッド4GE(以上チバガイギー社製)、イン
ジコ、ダイレクトテープブラックE・Ex、ダイアミンブ
ラックBH、コンゴーレッド、シリアスブラックBH、オレ
ンジII、アミドブラック10B、オレンジRO、メタニール
イエロー、ビクトリアスカーレット、ニグロシン、ダイ
アモンドブラックPBB(以上イーゲー社製)、ダイアシ
ドブルー3G、ダイアシドファスト・グリーンGW、ダイア
シド・ミーリングネービーブルーR、インダンスレン
(以上三菱化成製)、ザボン−染料(BASF製)、オラゾ
ール染料(CIBA製)、ラナシン−染料(三菱化成製)、
ダイアクリルオレンジRL−E、ダイアクリルブリリアン
トブルー2B−E、ダイアクリルターキスブルーBG−E
(三菱化成製)などの中より前記の諸物性値が調合され
る記録液体に与えられるものが好ましく使用できる。
これ等の染料は、所望に応じて適宜選択されて使用さ
れる液媒体中に溶解又は分解されて使用される。
有効に使用される顔料としては、無機顔料、有機顔料
の中の多くのものが好適に使用される。そのような顔料
として具体的に例示すれば無機顔料としては、硫化カド
ミウム、硫黄、セレン、硫化亜鉛、スルホセレン化カド
ミウム、黄鉛、ジンクロメート、モリブデン赤、ギネー
・グリーン、チタン白、亜鉛華、弁柄、酸化クロムグリ
ーン、鉛丹、酸個コバルト、チタン酸バリウム、チタニ
ウムイエロー、鉄黒、紺青、リサージ、カドミウムレッ
ド、硫化銀、硫酸鉛、硫酸バリウム、群青、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、鉛白、コバルトバイオレッ
ト、コバルトブルー、エメラルドグリーン、カーボンブ
ラック等が挙げられる。
有機顔料としては、その多くが染料に分類されている
もので染料と重複する場合が多いが、具体的には次のよ
うなものが好適に使用される。
(a)不溶性アゾ系(ナフトール系) ブリリアントカーミンBS、レーキカーミンFB、ブリリ
アントファストスカーレッド、レーキレッド4R、パラレ
ッド、パーマネントレッドR、ファストレッドFGR、レ
ーキボルドー5B、バーミリオンNO.1、バーミリオンNO.
2、トルイジンマルーン。
(b)不溶性アゾ系(アニライド系) ジアゾイエロー、ファストイエローG、ファストイエ
ロー10G、ジアゾオレンジ、バルカンオレンジ、パラゾ
ロンレッド。
(c)溶性アゾ系 レーキオレンジ、ブリリアントカーミン3B、ブリリア
ントカーミン6B、ブリリアントスカーレットG、レーキ
レッドC、レーキレッドD、レーキレッドR、ウォッチ
ングレッド、レーキボルドー10B、ボンマルーンL、ボ
ンマルーンM。
(d)フタロシアニン系 フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、フタ
ロシアニングリーン。
(e)染色レーキ系 イエローレーキ、エオシンレーキ、ローズレーキ、バ
イオレッドレーキ、ブルーレーキ、グリーンレーキ、セ
ピアレーキ。
(f)媒染系 アリザリンレーキ、マダカーミン。
(g)建染系 インダスレン系、ファストブルーレーキ(GGS)。
(h)塩基性染料レーキ系 ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ。
(i)酸性染料レーキ系 ファストスカイブルー、キノリンイエローレーキ、キ
ナクリドン系、ジオキサジン系。
液媒体と記録剤との量的関係は、調合される他に液路
の目詰り、液路内での記録媒体の乾燥、記録部材へ付与
された時の滲みや乾燥速度等の条件から、重量部で液媒
体100部に対して記録剤が通常1〜50部、好適には3〜3
0部、最適には5〜10部とされるのが望ましい。
記録液体が分散系(記録剤が液媒体中に分散されてい
る系)の場合、分散される記録剤の粒径は、記録剤の種
類、記録条件、液路の内径、吐出口径、記録部材の種類
等によって、適宜所望に従って決定されるが、粒径が余
り大きいと、貯蔵中に記録剤粒子の沈降が起って、濃度
の不均一化が生じたり、液路の目詰りが起ったり或いは
記録された画像に濃度斑が生じたり等して好ましくな
い。
このようなことを考慮すると、分散系記録液体とされ
る場合の記録剤の粒径は、通常0.01〜30μ、好適には0.
01〜20μ、最適には0.01〜8μとされるのが望ましい。
更に分散されている記録剤の粒径分布は、出来る限り狭
い方が好適であって、通常はD±3μ、好適にはD±1.
5μとされるのが望ましい(但しDは平均粒径を表わ
す)。
使用される添加剤としては、粘度調整剤、表面張力調
整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、湿潤剤及び赤外線吸収
発熱剤等が挙げられる。
粘度調整剤や表面張力調整剤は、前記の物性値を得る
為の他に、記録速度に応じて充分なる流速で液路中を流
通し得ること、流路の吐出口において記録液体の回り込
みを防止し得ること、記録部材へ付与された時の滲み
(スポット径の広がり)を防止し得ること等の為に添加
される。
粘度調整剤及び表面張力調整剤としては、使用される
液媒体及び記録剤に悪影響を及ぼさないで効果的なもの
であれば通常知られているものの中より適宜所望特性を
満足するように選択されて使用される。
具体的には、粘度調整剤としては、ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセ
ルロース、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリド
ン、アラビアゴムスターチ等が好適なものとして例示出
来る。
所望に応じて適宜選択されて好適に使用される、表面
張力調整剤としては、アニオン系、カチオン系及びノニ
オン系の界面活性剤が挙げられ、具体的には、アニオン
系としてポリエチレングリコールエーテル硫酸、エステ
ル塩等、カチオン系としてポリ2−ビニルピリジン誘導
体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等、ノニオン系とし
てポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
アルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン
等が挙げられる。
これ等の界面活性剤の他、ジエタノールアミン、プロ
パノールアミン、モルホリン酸等のアミン酸、水酸化ア
ンモニウム、水酸化ナトリウム等の塩基性物質、N−メ
チル−2−ピロリドン等の置換ピロリドン等も有効に使
用される。
これ等の表面張力調整剤は、所望の値の表面張力を有
する記録液体が調合されるように、互いに又は他方の構
成成分に悪影響を及ぼさず且つ前記の物性値が調合され
る記録液体に与えられる範囲内において必要に応じて二
種以上混合して使用しても良い。
これ等表面張力調整剤の添加量は種類、調合される記
録液体の他の構成成分種及び所望される記録特性に応じ
て適宜決定されるものであるが、記録液体1重量部に対
して、通常は0.0001〜0.1重量部、好適には0.001〜0.01
重量部とされるのが望ましい。
pH調整剤は、調合された記録液体の化学的安定性、例
えば、長時間の保存による物性の変化や記録剤その他の
成分の沈降や凝集を防止する為に所定のpH値となるよう
に前記の諸特性値を逸脱しない範囲で適時適当量添加さ
れる。
本発明において好適に使用されるpH調整剤としては、
調合される記録液体に悪影響を及ぼさずに所望のpH値に
制御出来るものであれば大概のものを挙げることが出来
る。
そのようなpH調整剤としては具体的に例示すれば低級
アルカノールアミン、例えばアルカリ金属水酸化物等の
一価の水酸化物、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
これ等のpH調整剤は、調合される記録液体が前記の物
性値をはずれない範囲で所望のpH値を有するように必要
量添加される。
使用される潤滑剤としては、調合される記録液体が後
記の諸物性値を逸脱しない範囲で本発明に係わる技術分
野において通常知られているものの中より有効であるも
の、殊に熱的に安定なものが好適に使用される。このよ
うな潤滑剤として具体的に示せば、例えばポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキ
レングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリ
コール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むア
ルキレングリコール;例えばエチレングリコールメチル
エーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエ
チレングリコールエチルエーテル等のジエチレングリコ
ールの低級アルキルエーテル;グリセリン;例えばメト
オキシトリグリコール、エトオキシトリグリコール等の
低級アルコールオキシトリグリコール;N−ビニル−2−
ピロリドンオリゴマー;等が挙げられる。
これ等の潤滑剤は、記録液体に所望される特性を満足
するように所望に応じて必要量添加されるものである
が、その添加量は記録液体全重量に対して、通常0.1〜1
0wt%、好適には0.1〜8wt%、最適には0.2〜7wt%とさ
れるのが望ましい。
又、上記の潤滑剤は、単独で使用される他、互いに悪
影響を及ぼさない条件において二種以上混用しても良
い。
本発明に使用される記録液体には、上記のような添加
剤が所望に応じて必要量添加されるが、更に記録部材に
付着する場合の記録液体被膜の形成性、被膜強度に優れ
たものを得るために、例えばアルキッド樹脂、アクリル
樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン等の樹脂重合体が添加されても良
い。
本発明で使用される記録液体は、前述した諸記録特性
を具備するように、比熱、熱膨張係数、熱伝導率、粘
性、表面張力、pH及び帯電された記録液滴を使用して記
録する場合には比抵抗等の特性値が特性の条件範囲にあ
るように調合されるのが望ましい。
即ち、これ等の諸特性は、曳糸現象の安定性、熱エネ
ルギー作用に対する応答性及び忠実性、画像濃度、化学
的安定性、液路内での流動性等に重要な関連性を有して
いるので、本発明においては記録液体の調合の際、これ
等に充分注意を払う必要がある。
本発明に有効に使用され得る記録液体の上記諸特性と
しては下記の第1表に示されるごときの値とされるのが
望ましてが、列挙された物性の総てが以下の第1表に示
されるごとき数値条件を満足する必要はなく、要求され
る記録特性に応じて、これ等の物性の幾つかが第1表の
条件を満足する値を取れば良いものである。而乍ら比
熱、熱膨張係数、熱伝導率、粘性、表面張力に関して
は、第1表の値に規定されるのが望ましい。勿論、調合
された記録液体の上記諸特性の中で第1表に示される値
を満足するものが多い程良好な記録が行われることは言
うまでも無い。
前述の記録ヘッド及び記録媒体を使用し、駆動電圧20
V、パルス巾5μsec、駆動周波数1KHzで駆動させた(駆
動方法1)。この時の駆動信号と気泡体積変化のグラフ
を第10図に示す。第10図のように、気泡が最大となる時
間tp1=10μsec、消滅する時間tp2=24μsecであり、体
積膨張時間と収縮時間は、ほぼ同一であった。特開昭58
−36464号公報のようにメニスカスの後退し過ぎを防ぐ
為、第11図に示すような駆動信号を与えたところ、tp1
とtp2の間にtp1とほぼ同体積を有する2次気泡が発生
し、オリフィスよりスプラッシュ現象が得られ、画像品
質は低下してしまった。
また、第12図に示すように、駆動信号を複数パルスで
形成したところ、同様の現象が見られた(駆動方法
2)。以下、本発明の実施例に基づいて説明する。
第1図は、本発明による液体噴射記録装置の一実施例
を説明するための駆動信号と気泡体積変化を表わした図
である。ここで、t1は補助信号印加時間、tp1は第1の
気泡が最大となる時間、tp2は駆動信号のみの時の気泡
消滅時間、tp3は補助信号を入れた時の気泡消滅時間、t
p4は2次気泡が最大となる時間、tp5は、第1の気泡と
2次気泡の間の体積最小となる時間である。
実験1 駆動信号として、20V、パルス巾5μsecを印加した。
さらに、本発明によるメニスカス後退し過ぎ防止の為
に、時間t1に電圧20V、パルス巾3μsecの第2のパルス
を入れる(駆動方法3)。第2パルスの入力時間t1は、
以下の第2表の実験結果より、tp1<t1≦tp2の範囲内、
即ち、気泡が最大体積となった後、収縮している時であ
る。さらに好適には、tp1<t1≦(2tp2+tp1)/3の範囲
内にすることにより、気泡が収縮し過ぎることなく、よ
りなめらかに気泡収縮が行なわれる。
上記のように、通常の駆動信号に加え、上記時刻にメ
ニスカス後退し過ぎ防止用の小パルス(以下補助信号)
を印加することで気泡消滅時間tp3は、駆動信号のみの
気泡収縮時間tp2の約6倍の120μsecまで伸び、かつ、
収縮も極めてなめらかにものとなった。さらに、第2図
のように、補助信号による気泡体積最大時間tp4とtp3
間に第2の補助パルスとして、20V、パルス巾3μsecの
補助信号を入れることで、さらに徐々にメニスカスを後
退させることができた(駆動方法4)。
以上の駆動方法による吐出結果は、以下の第3表のよ
うになり極めて良好なものとなった。また、これらは、
特に、回路構成を変えることなく実施できる極めて好適
な実施例である。
実験2 さらに、駆動方法3で補助信号の電圧を15Vとして、
気泡の体積変化を観察したところ、第3図のような結果
となり、さらになめらかな収縮曲線となった。また、補
助信号の電圧および/またはパルス巾を変化させて液滴
の噴射速度、方向の安定性を調べたところ第4表の結果
を得た。ここで、◎は速度、方向とも極めて安定、○は
ごくわずかなバラツキがみられるが画像品質に殆ど影響
しない。△はバラツキがあり画像品質に影響あり、×は
サテライトやスプラッシュ現象等により極めて不安定。
この結果より、駆動信号の電圧をVp、パルス巾をtpと
したとき、補助信号の電圧Vs、パルス巾tsは、Vp2tp≧V
s2tsを満たす時、良好な印字品質を得られることを見出
した。
また、駆動方法4で、第2,第3…の上記範囲を満たす
補助信号を印加することにより、極めて滑らかな気泡収
縮を行なうことができ、メニスカスの急激な後退による
吐出不良を防ぐことができた。
これらの駆動方法は、駆動方法3および駆動方法4に
比べ、補助信号による消費エネルギーを少なくできると
いう効果を有している。
第4図(a)〜(d)は、本発明の駆動方法を示す例
であり、全てにおいて良好な吐出が得られた。
(a)はtp1とtp2間に補助信号を2つ印加したものであ
る。
(b)は(a)において、2つ目の補助信号を1つ目の
補助信号より低エネルギーとしたものである。
(c)は、tp1とtp2間にVp2tp≧Vs2tsかつ、tp<tsなる
補助信号を印加したものである。
(d)は、前記駆動方法4で、Vs(n−1)・ts(n
−1)>Vs2n・t sn(n=2,3,…)を満たす補助信号を
印加したものである。
ここで、Vs(n−1):n−1番目の補助信号の電圧 ts(n−1):n−1番目の補助信号のパルス
巾 Vsn :n番目の補助信号の電圧 t sn :n番目の補助信号のパルス巾 効果 以上の説明から明らかなように、本発明によると、2
次気泡,3次気泡によるスプラッシュ現象等の吐出不良を
おこすことなく、メニスカスの後退し過ぎによる吐出不
良を解決できた。したがって、常に安定した吐出を行な
うことができ、画像品質を著しく良くすることができ
た。また、本発明は、特別な回路を必要とせず、よって
コストアップすることなく、高品質画像を得ることがで
きるという極めて優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による液体噴射記録装置の一実施例を
説明するための駆動信号と気泡体積変化を表わした図、
第2図は、第1及び第2の補助信号を用いた場合の気泡
体積変化を表わした図、第3図は、補助信号の電圧を変
えた場合の気泡体積変化を表わした図、第4図(a)〜
(d)は、本発明の駆動方法を示す図、第5図は、記録
ヘッドのバブルジェットインク吐出と気泡発生・消滅の
原理図、第6図は、記録ヘッドの斜視図、第7図は、記
録ヘッドの分解構成図で、(a)は蓋基板、(b)は発
熱体基板を示す図、(c)は記録ヘッドの蓋基板の裏面
図、第8図は、発熱体基板の構成図、第9図は、発熱体
基板上に流路を形成するための流路壁を設けた図、第10
図は、駆動方法1を示す図、第11図は、2次気泡の発生
を示す図、第12図は、駆動方法2を示す図である。 8……基板,9……蓄熱層,10……発熱体層,11,12……電
極,13……発熱体保護層,14……電極保護層,15……下部
層,16……感光性樹脂,17……流路溝,18……蓋基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−132267(JP,A) 特開 昭58−11169(JP,A) 特開 昭58−36461(JP,A) 特開 昭58−36464(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録液を吐出する為の吐出口と、該吐出口
    に前記記録液を導く為の液路と、前記記録液に熱エネル
    ギーを作用させる為の熱エネルギー発生体と、該熱エネ
    ルギー発生体により気泡を発生させ、該気泡の体積増加
    にともなう作用力によって前記記録液を前記吐出口より
    飛翔せしめる液体噴射記録装置において、前記気泡を発
    生させる為に、前記熱エネルギー発生体に入力する画素
    信号の後に、少なくとも1つ以上の補助信号を入力し、
    前記画素信号および補助信号を入力することにより、得
    られる気泡体積の曲線が前記画素信号および補助信号の
    入力によるピークができる程度に前記画素信号から前記
    補助信号を離して入力することを特徴とする液体噴射記
    録装置。
  2. 【請求項2】前記補助信号は、Vp2・tp>Vs2・tsなる信
    号(Vp:画素信号の電圧,tp:画素信号のパルス巾,Vs:補
    助信号の電圧,ts:補助信号のパルス巾)であることを特
    徴とする請求項1に記載の液体噴射記録装置。
  3. 【請求項3】前記補助信号は、Vs(n−1)・ts(n
    −1)>Vsn2・t sn(n=2,3,…)なる信号(Vs(n−
    1):n−1番目の補助信号の電圧,ts(n−1):n−1
    番目の補助信号のパルス巾,Vsn:n番目の補助信号の電
    圧,t sn:n番目の補助信号のパルス巾)であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射記録装置。
JP1049492A 1988-12-27 1989-03-01 液体噴射記録装置 Expired - Fee Related JP2793622B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1049492A JP2793622B2 (ja) 1988-12-27 1989-03-01 液体噴射記録装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-330487 1988-12-27
JP33048788 1988-12-27
JP1049492A JP2793622B2 (ja) 1988-12-27 1989-03-01 液体噴射記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02258264A JPH02258264A (ja) 1990-10-19
JP2793622B2 true JP2793622B2 (ja) 1998-09-03

Family

ID=26389892

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1049492A Expired - Fee Related JP2793622B2 (ja) 1988-12-27 1989-03-01 液体噴射記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2793622B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4848706B2 (ja) * 2005-08-25 2011-12-28 富士ゼロックス株式会社 液滴吐出装置及び液滴吐出方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS609906B2 (ja) * 1979-04-02 1985-03-13 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置のメニスカス破壊防止方法
JPS5811169A (ja) * 1981-07-10 1983-01-21 Canon Inc 液体噴射記録法
JPS5836461A (ja) * 1982-06-23 1983-03-03 Canon Inc 記録方法
JPS5836464A (ja) * 1982-07-21 1983-03-03 Canon Inc 液体記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02258264A (ja) 1990-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5754194A (en) Bubble jet recording with selectively driven electrothermal transducers
US7178912B2 (en) Liquid jet apparatus using a fine particle dispersion liquid composition
JP2793622B2 (ja) 液体噴射記録装置
JP2614265B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH01186331A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH02512A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JP2859647B2 (ja) 液体噴射記録装置
JP2868811B2 (ja) 液体噴射記録装置
JP2651188B2 (ja) 液体噴射記録方法
JP2825862B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH03173654A (ja) 液体噴射記録装置
JP2823858B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド
JP2651198B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド
JP2651189B2 (ja) 液体噴射記録方法
JP2953518B2 (ja) 液体噴射記録方法
JPH07156402A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH0267140A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH02277646A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH01202459A (ja) 液体噴射記録方法
JPH01190459A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH0653415B2 (ja) 液体噴射記録方法
JPH01184150A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JPH0753449B2 (ja) 液体噴射記録方法
JPH08164611A (ja) 液体噴射記録方法
JP2003041171A (ja) インク

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees