JP2868811B2 - 液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録装置

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JP2868811B2 JP30117489A JP30117489A JP2868811B2 JP 2868811 B2 JP2868811 B2 JP 2868811B2 JP 30117489 A JP30117489 A JP 30117489A JP 30117489 A JP30117489 A JP 30117489A JP 2868811 B2 JP2868811 B2 JP 2868811B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、液体噴射記録装置に関し、より詳細にはイ
ンクジェットプリンタに関する。
従来技術 ノンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生
が無視し得る程度に極めて小さいという点において、最
近関心を集めている。その中で、高速記録が可能であ
り、而も所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記
録の行える所謂インクジェット記録法は極めて有力な記
録法であって、これまでにも様々な方式が提案され、改
良が加えられて商品化されたものもあれば、現在もなお
実用化への努力が続けられているものもある。
この様なインクジェット記録法は、所謂インクと称さ
れる記録液体の小滴(droplet)を飛翔させ、記録部材
に付着させて記録を行うものであって、この記録液体の
小滴の発生法及び発生された記録液小滴の飛翔方向を制
御する為の制御方法によって幾つかの方式に大別され
る。
先ず第1の方式は、例えば米国特許第3060429号明細
書に開示されているもの(Tele type方式)であって、
記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記
録液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上
に記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行うもので
ある。
これに就いて、更に詳述すれば、ノズルと加速電極間
に電界を掛けて、一様に帯電した記録液体の小滴をノズ
ルより吐出させ、該吐出した記録液体の小滴を記録信号
に応じて電気制御可能な様に構成されたxy偏向電極間を
飛翔させ、電界の強度変化によって選択的に小滴を記録
部材上に付着させて記録を行うものである。
第2の方式は、例えば米国特許第3596275号明細書、
米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(S
weet方式)であって、連続振動発生法によって帯電量の
制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された
帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられてい
る偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を
行うものである。
具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録ヘ
ッドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出
口)の前に記録信号が印加されている様に構成した帯電
電極を所定距離だけ離して配置し、前記ピエゾ振動素子
に一定周波数の電気信号を印加することでピエゾ振動素
子を機械的に振動させ、前記吐出口より記録液体の小滴
を吐出させる。この時前記帯電電球によって吐出する記
録液体小滴には電荷が静電誘導され、小滴は記録信号に
応じた電荷量で帯電される。帯電量の制御された記録液
体の小滴は、一定の電界が一様に掛けられている偏向電
極間を飛翔する時、付加された帯電量に応じて偏向を受
け、記録信号を担う小滴のみが記録部材上に付着し得る
様にされている。
第3の方式は、例えば米国特許第3416153号明細書に
開示されている方式(Hertz方式)であって、ノズルと
リング状の帯電電極間に電界を掛け、連続振動発生法に
よって、記録液体の小滴を発生霧化させて記録する方式
である。即ちこの方式ではノズルと帯電電極間に掛ける
電界強度を記録信号に応じて変調することによって小滴
の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録す
る。
第4の方式は、例えば米国特許第3747120号明細書に
開示されている方式(Stemme方式)で、この方式は前記
3つの方式とは根本的に原理が異なるものである。
即ち、前記3つの方式は、何れもノズルより吐出され
た記録液体の小滴を、飛翔している途中で電気的に制御
し、記録信号を担った小滴を選択的に記録部材上に付着
させて記録を行うのに対して、このStemme方式は、記録
信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させ
て記録するものである。
つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を
有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に、
電気的な記録信号を印加し、この電気的記録信号をピエ
ゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って
前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録部
材に付着させることで記録を行うものである。
これ等、従来の4つの方式は各々に特長を有するもの
であるが、又、他方において解決され得る可き点が存在
する。
即ち、前記第1から第3の方式は記録液体の小滴の発
生の直接的エネルギーが電気的エネルギーであり、又、
小滴の偏向制御も電界制御である。その為、第1の方式
は、構成上はシンプルであるが、小滴の発生に高電圧を
要し、又、記録ヘッドのマルチノズル化が困難であるの
で高速記録には不向きである。
第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル化が可能で
高速記録に向くが、構成上複雑であり、又記録液体小滴
の電気的制御が高度で困難であること、記録部材上にサ
テライトドットが生じ易いこと等の問題点がある。
第3の方式は、記録液体小滴を霧化することによって
階調性に優れた画像が記録され得る特長を有するが、他
方霧化状態の制御が困難であること、記録画像にカブリ
が生ずること及び記録ヘッドのマルチノズル化が困難
で、高速記録には不向きであること等の諸問題点が存す
る。
第4の方式は、第1乃至第3の方式に比べ利点を比較
的多く有する。即ち、構成上シンプルであること、オン
デマンド(on−demand)で記録液体をノズルの吐出口よ
り吐出して記録を行う為に、第1乃至第3の方式の様に
吐出飛翔する小滴の中、画像の記録に要さなかった小滴
を回収することが不要であること及び第1乃至第2の方
式の様に、導電性の記録液体を使用する必要性がなく記
録液体の物質上の自由度が大であること等の大きな利点
を有する。而乍ら、一方において、記録ヘッドの加工上
に問題があること、所望の共振数を有するピエゾ振動素
子の小型化が極めて困難であること等の理由から記録ヘ
ッドのマルチノズル化が難しく、又、ピエゾ振動素子の
機械的振動という機械的エネルギーによって記録液体小
滴の吐出飛翔を行うので高速記録には向かないこと、等
の欠点を有する。
更には、特開昭48−9622号公報(前記米国特許第3747
120号明細書に対応)には、変形例として、前記のピエ
ゾ振動素子等の手段による機械的振動エネルギーを利用
する代わりに熱エネルギーを利用することが記載されて
いる。
即ち、上記公報には、圧力上昇を生じさせる蒸気を発
生する為に液体を直接加熱する加熱コイルをピエゾ振動
素子の代りの圧力上昇手段として使用する所謂バブルジ
ェットの液体噴射記録装置が記載されている。
しかし、上記公報には、圧力上昇手段としての加熱コ
イルに通電して液体インクが出入りし得る口が一つしか
ない袋状のインク室(液室)内の液体インクを直接加熱
して蒸気化することが記載されているに過ぎず、連続繰
返し液吐出を行う場合には、どの様に加熱すれば良いか
は、何等示唆されるところがない。加えて、加熱コイル
が設けられている位置は、液体インクの供給路から遥か
に遠い袋状液室の最深部に設けられているので、ヘッド
構造上複雑であるに加えて、高速での連続繰返し使用に
は、不向きとなっている。
しかも、上記公報に記載の技術内容からでは、実用上
重要である発生する熱で液吐出を行った後に次の液吐出
の準備状態を速やかに形成することは出来ない。
このように従来法には、構成上、高速記録化上、記録
ヘッドのマルチノズル化上、サテライトドットの発生お
よび記録画像のカブリ発生等の点において一長一短があ
って、その長所を利する用途にしか適用し得ないという
制約が存在していた。
バブルジェット記録方法は、いわゆるdrop on demand
記録法に極めて有効に適用され、吐出オリフィスを、高
密度に設けることができるばかりでなく、吐出オリフィ
スと、同密度で駆動部(すなわち、発熱部)を設けるこ
とができる為、高密度マルチオリフィス化が容易に具現
できる優れた記録法である。しかし、コピア等のより高
精細な画像品質を狙うには、まだ解決すべき問題点が存
在する。中でも高解像度、高品質の画像を得るには、記
録画素に階調性を持たせることが極めて効果的な方法で
ある。しかしながら、従来、バブルジェット記録方法に
おいて、階調性を表現する方法としては、特公昭62−48
585号公報に記載されているように、1つの流路に設け
られた複数の電気・熱変換体の各々に入力される駆動信
号の入力タイミングのズレを可変制御することにより階
調記録を行なうことが知られている。また、特公昭62−
46358号公報には、1つの液室中に供給された記録媒体
液を、熱する位置に設けられた複数個の発熱体から記録
すべき情報を表わす信号のレベルに応じて、所定数の発
熱体を選択して駆動することにより吐出液滴径を変える
技術が開示されている。しかしながら、いずれの技術
も、その明細書より明らかなように、吐出口に通じる流
路に沿って発熱体を設けたいわゆるエッジシュータ型の
ヘッドに関するものであり、エッジシュータ型の場合、
1つの吐出口に対して、1つの発熱体を形成して使用す
るものにおいては、高密度化が可能で、その特徴を大い
に発揮できるが、上記のように1つの吐出口に対して、
その吐出口に通じる流路にそって複数個の発熱体を形成
したようなものにおいては、各発熱体を独立に制御する
ための制御電極が多くなり、高密度化が困難となり、本
来の特徴をいかすことができないという不具合がある。
また、エッジシュータ型の場合、吐出口から発熱体まで
の距離が吐出特性(滴速度、または/および滴の大きさ
等)に大きな影響を与えるため、各発熱体の吐出口から
の距離が異なる上記のような例では、それらを制御して
階調性を出すことは極めて困難な技術を要し、必ずしも
実用的とは言えない。
また、さらに特開昭59−124863号公報、特開昭59−12
4864号公報には、吐出用の気泡を発生させるとともに、
さらに別の吐出エネルギー調整用の気泡を発生させて、
階調記録を行なう技術、あるいは、さらに吐出エネルギ
ー調整部に小開口を設け、液滴の大きさを変えて階調記
録を行なう技術が開発されている。しかしながら、吐出
のための発熱体と、吐出エネルギー調整用の発熱体が離
れているため両者による圧力のタイミングをうまく合わ
せることが困難であるという問題や、吐出エネルギー調
整用の発熱体が位置する場所が袋小路状になっており、
新しいインクが供給されにくく、その部分のインク温度
が上昇し、一定の安定した条件で吐出エネルギー調整用
の発熱体を駆動することが困難であるという問題があ
り、必ずしも満足すべき階調記録が得られない。
さらに、特開昭59−207265号公報には、パルス群で発
熱体を駆動させ、気泡を繰り返し生成、消滅させて、そ
の回数(即ち、パルス群中のパルスの数)に応じて階調
表現を行なう技術が開示されている。しかしながら、バ
ブルジェット記録方法においては1つの気泡の生成・消
滅は通常数10μsで行なわれ、上記のように連続的に気
泡を成長・収縮させた場合、各々の気泡で吐出したイン
クに対して、新しいインクを極めて速やかにリフィルし
なければならず、流路を太くしたり、流路形状を工夫し
たりする必要が生じ、製造上困難であるばかりでなく、
高密度・高集積化上不都合な要因となる。また、1画素
を形成する為のエネルギーは、必然的に多くなり、256
ノズル程度以下のヘッドでは、それほど問題にはならな
くても、それよりさらに高集積した場合、特にフルライ
ンタイプのヘッドとした場合には、電源コスト等の面で
極めて大きな問題となる。さらに発熱量も当然多くな
り、高周波数で駆動した場合、基板に蓄熱してしまい、
吐出安定性が悪くなったり、スプラッシュ現象が発生し
たり、ついには吐出不能となってしまうという不具合が
生じた。この為、高熱伝導率の基板を使用したり、吐出
周波数を低くしたりしなければならず、安価に高密度、
高集積ヘッドを作製可能、あるいは、4KHzを越える超高
周波数吐出が可能というようなバブルジェット記録方法
の特徴を生かせないという問題がある。
また、特公昭59−31943号公報には、発熱量調整構造
を有する発熱部に、階調情報に応じた熱量を発生させる
ことで階調記録を行なう技術が開示されている。しかし
ながら、その明細書中に示されているような平面構造を
台形にした発熱体においては、幅が狭くなった部分にお
いて熱ストレスおよび/あるいは、気泡消滅時の衝激力
により断線が生じやすく信頼性に欠ける。また、断面構
造において保護膜、蓄熱層、発熱体に厚み勾配を設ける
構造は、現在の薄膜形成技術においては困難な技術を必
要とし、また、できたとしても非常に高価なものとな
る。
さらに、特開昭63−42869号公報には、発熱体の通電
時間を変えることによって気泡の発生回数を変更し、吐
出量を可変にする技術が開示されている。しかしなが
ら、その明細書中に開示されているように、複数回、気
泡発生させるには、単発発生に比べ、はるかに長い通電
時間を必要とし、すなわち大きな吐出エネルギーが必要
となる。また、通電時間が長くなると吐出周波数が低く
なるという不具合もある。
目的 本発明は、以上のような従来技術の欠点に鑑みなされ
たものであり、吐出滴量を変化させ、安定した階調記録
を行なうことを主たる目的とする。また、別の目的は、
特別な補助手段を設けず、安価な階調記録ヘッドを提供
することである。さらに別の目的は、超高密度(例えば
16本/mmを越える)に配列された階調記録ヘッドを提供
することである。さらに別の目的は、高集積化(例え
ば、256ノズルを越える)が可能な階調記録ヘッドを提
供することである。さらに別の目的は、高周波数駆動
(例えば、4KHzを越える)が可能な階調記録ヘッドを提
供することである。
構成 本発明は、上記目的を達成するために、記録液を吐出
する為の吐出口と、前記記録液に熱エネルギーを作用さ
せる為の熱エネルギー発生体と、前記熱エネルギーによ
り気泡を発生させ、前記気泡の体積増加にともなう作用
力によって、前記記録液を前記吐出口より飛翔せしめる
液体噴射記録装置において、1つの印加信号により気泡
の生成〜膨張〜収縮〜2次気泡の膨張〜2次気泡の収縮
〜消滅を行わせ、画情報に応じて熱エネルギー発生体へ
の通電時間はほぼ一定にし、印加電圧を変えることによ
り、前記2次気泡の体積を変え、それに応じて前記記録
液の吐出量を可変としたことを特徴としたものである。
まず、最初に、第2図に基づいて、本発明を好適に実
現するバブルジェット方式によるインク噴射の原理を説
明する。
(a)は定常状態であり、オリフィス面でインク2の表
面張力と外圧とが平衡状態にある。
(b)はヒーター3が加熱されて、ヒーター3の表面温
度が急上昇し隣接インク層に沸騰現象が起きるまで加熱
され、微小気泡4が点在している状態にある。
(c)はヒーター3の全面で急激に加熱された隣接イン
ク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、この気泡4が成長
した状態である。この時、ノズル内圧力は、気泡の成長
した分だけ上昇し、オリフィス面での外圧とのバランス
がくずれ、オリフィスよりインク柱が成長し始める。
(d)は気泡が最大に成長した状態であり、オリフィス
面より気泡の体積に相当する分のインク2が押し出され
る。この時、ヒーター3には、電流が流れていない状態
にあり、ヒーター3の表面温度は降下しつつある。気泡
5の体積の最大値は電気パルス印加のタイミングからや
やおくれる。
(e)は気泡5がインク等により冷却されて収縮を開始
し始めた状態を示す。インク柱の先端部では押し出され
た速度を保ちつつ前進し、後端部では気泡の収縮に伴っ
てノズル内圧の減少によりオリフィス面からノズル内へ
インクが逆流してインク柱にくびれが生じている。
(f)はさらに気泡5が収縮し、ヒーター面にインクが
接しヒーター面がさらに急激に冷却される状態にある。
オリフィス面では、外圧がノズル内圧より高い状態にな
るためメニスカスが大きくノズル内に入り込んで来てい
る。インク柱の先端部は液滴になり記録紙の方向へ5〜
10m/secの速度で飛翔している。
(g)はオリフィスにインクが毛細管現象により再び供
給(リフィル)されて(a)の状態に戻る過程で、気泡
は完全に消滅している。8は飛翔インク滴である。
第3図は、上記噴射原理によるバブルジェット記録ヘ
ッドの全体斜視図である。図中、9は発熱体基板、10は
蓋基板、11はインク供給口、12はオリフィスである。
第1図は、本発明による液体噴射記録装置の一実施例
を説明するためのもので、発熱抵抗体を用いる気泡発生
手段の構造を説明するための図である。第1図(a)は
記録ヘッドのオリフィス側から見た正面部分図、第1図
(b)は、第1図(a)に一点鎖線X−Xで示す部分で
切断した場合の切断部分図である。図中、13は基板、14
は蓋基板、15はオリフィス、16は液吐出部、17は熱作用
部、18は熱発生部、19は熱作用面、20は下部層、21は電
気熱変換体(発熱抵抗体)、22は保護層、23,24は電極
である。その表面に電気熱変換体が設けられた基板13の
表面に、所定の密度で所定の巾と深さの溝を所定数設
け、蓋基板10で覆う様に接合することによって、オリフ
ィス15と液吐出部16が形成された構造を有している。25
は流路壁、26は上部層である。液吐出部16は、その終端
に液滴を吐出させるためのオリフィスと、電気熱変換体
21より発生される熱エネルギーが液体に作用し気泡を発
生し、その体積の膨張と収縮による急激な状態変化を引
き起こす所である熱作用部17を有している。
熱作用部17は電気熱変換体21の熱発生部18の上部に位
置し、熱発生部18の液体と接触する熱作用面19をその底
面としている。熱発生部18は、基板13上に設けられた下
部層20、該下部層20上に設けられた発熱抵抗層21、該発
熱抵抗層21には、熱を発生させる為に該層21に通電する
ための電極23,24がその表面に設けられている。電極23
は、各液吐出部の熱発生部に共通の電極であり、電極24
は、各液吐出部の熱発生部を選択的に発熱させる為の選
択電極であって、液吐出部の流路に沿って設けられてい
る。
基板13の材料としては、ガラス、セラミックス、金
属、或いはシリコン等である。
発熱抵抗体21を構成する材料として、有用な物には、
例えば、タンタル−SiO2の混合物、窒化タンタル、ニク
ロム、銀−パラジウム合金、シリコン半導体、あるいは
ハフニウム、ランタン、ジルコニウム、チタン、タング
ステン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の
金属の硼化物があげられる。
これらの発熱抵抗体21を構成する材料の中で、特に金
属硼化物が優れたものとしてあげる事ができ、その中で
も最も特性が優れているのが、硼化ハフニウムであり、
ついで、硼化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタ
ル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順となっている。
発熱抵抗体21は、上記の材料を用いて、フォト・リソ
グラフや、電子ビーム蒸着やスパッタリング、CVD、プ
ラズマCVD等の手法を用いて形成することができる。発
熱抵抗体21の膜厚は、単位時間当りの発熱量が所望通り
となるように、その面積、材質及び熱作用部の形状及び
大きさ、更には実際面での消費電力等にしたがって決定
されるものであるが、通常の場合、0.001〜5μm、好
適には0.01〜1μmとされる。
電極23,24を構成する材料としては、通常使用されて
いる電極材料の多くのものが有効に使用され、具体的に
は、例えばAl,Ag,Au,Pt,Cu等の金属、及びそれらの合金
等があげられ、これらを使用して蒸着やスパッタリング
等の手法で所定位置に、所定の大きさ、形状、厚さで設
けられる。
保護層22に要求される特性は、発熱抵抗体21で発生さ
れた熱を記録液体に効果的に伝達することを妨げずに、
記録液体や、気泡消滅時の衝撃力より発熱抵抗体21を保
護することである。保護層22を構成する材料として有用
なものには、例えば酸化シリコン、酸化マグネシウム、
酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等
があげられる。これらは、電子ビーム蒸着、スパッタリ
ング、CVD法、プラズマCVD法、気相成長法等の薄膜形成
手法を用いて形成することが出来る。保護層22の膜厚
は、通常0.01〜10μm、好適には0.1〜5μm、最適に
は0.1〜3μmとされるのが望ましい。
また、保護層形成後、発熱部17を除く電極部分に電極
保護層を設けても良い。電極保護層に要求される特性
は、耐インク性、耐熱性に優れ、電気絶縁性が良いこと
等である。よって、成膜性が良く、ピンホールが少な
く、使用インクに対し膨潤、溶解しないことが要求され
る。電極保護層を形成する材料としては、上記条件を満
たす多くのものが使用出来る。例えば、シリコン樹脂、
フッ素樹脂、芳香族ポリアミド、付加重合型ポリイミ
ド、金属キレート重合体、チタン酸エステル、エポキシ
樹脂、フタル酸樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、P−ビ
ニルフェノール樹脂、ザイロック樹脂、トリアジン樹脂
等の樹脂、さらに高密度マルチオリフィスタイプの記録
ヘッドを作製するのであれば、上記した有機材料とは別
に、微細フォトリソグラフィー加工が極めて容易とされ
る有機質材料を使用するのが望ましい。
以上のように構成される発熱体基板上に感光性樹脂で
流路を形成する。スピナー或いはロールコーター等の塗
布手段を用いて、感光性ポリアミドワニスあるいは感光
性ポリイミドワニス等の耐キャビテション性のある樹脂
を塗布する。感光性樹脂の層厚としては特に制限される
ものではないが、インクジェット記録ヘッドとしての実
用性を考慮するならば、少なくとも5〜100μm程度、
好適には10〜50μm、最適には15〜50μmとするのが望
ましい。従って、感光性樹脂としても、このような厚さ
に積層し得るものが好ましく、市販の感光性樹脂として
は、前述の感光性ポリアミドワニス、即ちプリンタイト
EF95、トプロン(Toplon)、ナイロンプリント(Nylonp
rint)、或いは感光性ポリイイド、即ちフォトニースVR
−3140、セレクティラックスHTR−2が好ましい。
このようにして、感光性樹脂が積層された基板に、以
下に示すような露光或いは現像等の処理を施し、感光性
樹脂から成るインク流路壁を形成する。尚、以下主とし
て感光性樹脂をフォトニースVR−3140とした場合を例と
して、これらの処理について説明するが、インク流路壁
の形成方法は、用いる感光性樹脂に応じた任意のものと
し得る。
感光性樹脂を積層した基板に必要に応じてプリベーク
を施す。プリベーク終了後所望のパターンを有するフォ
トマスクを、フォトニースVR−3140の上に重ね、ついで
このフォトマスクを介して露光を行う。露光終了後、フ
ォトニースVR−3140の未露光部分をフォトニースVR−31
40用の現像液DV−505を用いて現像し、未露光部分を溶
解除去することによって、流路となる溝を形成する。こ
うして未露光部分を溶解除去した後、ポストベークを施
して基板上に残存するフォトニースVR−3140を硬化さ
せ、基板上に所望のパターンを有するインク流路壁たる
フォトニースVR−3140の硬化膜を形成する。以上フォト
ニースVR−3140等の液状タイプの感光性樹脂の形成方法
を説明したが、感光性ドライフィルムを用いて形成する
こともできる。このようにして形成された基板と、流路
の天井部分を形成するための蓋基板10を接着層を介して
接合する。蓋基板の材料としては、発熱体基板と同様の
ものが使用出来る。即ち、シリコン、ガラス、セラミッ
クス等である。これら材料で形成した基板に感光性ドラ
ムフィルムを半硬化の状態で設け、溝が形成された基板
に接合した後、熱をかけ本硬化させ、発熱体基板と蓋基
板を接合する。
本発明において使用される記録液体は、後述する熱物
性値及びその他の物性値を有する様に材料の選択と組成
成分の比が調合される他に従来の記録法において使用さ
れている記録液体と同様化学的物理的に安定である他、
応答性、忠実性、曳糸化能に優れている事、液路殊に吐
出口において固まらない事、流路中を記録速度に応じた
速度で流通し得る事、記録後、記録部材への定着が速や
かである事、記録濃度が充分である事、貯蔵寿命が良好
である事、等々の特性を与える様に物性が調整される。
本発明に使用される記録液体は、液媒体と記録像を形
成する記録剤及び所望の特性を得る為に添加される添加
剤より構成され、前記の物性値を得る範囲において液媒
体及び添加剤の種類及び組成比の選択によって、水性、
非水性、溶解性、導電性、絶縁性のいずれも得ることが
出来る。
液媒体としては、水性媒体と非水性媒体とに大別され
るが、使用される液媒体は、前記の物性値を調合される
記録記録液体が有する様に他の選択される構成成分との
組み合せを考慮して下記のものより選択される。
その様な非水性媒体としては、例えばメチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコー
ル、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニル
アルコール、デシルアルコール等の炭素数1〜10のアル
キルアルコール;例えば、ヘキサン、オクタン、シクロ
ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシロール等の炭化水
素系溶剤;例えば、四塩化炭素、トリクロロエチレン、
テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素系溶剤;例えば、エチルエーテル、ブチルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;例
えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピル
ケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン系溶剤;ギ酸エチル、メチルアセテート、プロピル
アセテート、フェニルアセテート、エチレングリコール
モノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;例
えばジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;石油
系炭化水素溶剤等が挙げられる。
これ等の列挙した液媒体は使用される記録剤や添加剤
との親和性及び記録液体としての後述の諸特性を満足し
得る様に適宜選択して使用されるものであるが更に、後
記の特性を有する記録液体が調合され得る範囲内におい
て、必要に応じて適宜二種以上を混合して使用しても良
い。又、上記の条件内においてこれ等非水性媒体と水と
を混合して使用しても良い。
上記の液媒体の中、公害性、入手の容易さ、調合のし
易さ等の点を考慮すれば、水又は水・アルコール系の液
媒体が好適とされる。
記録剤としては、調合される記録液体が前記の諸物性
値を有するようにされる他、長時間放置による液路内や
記録液体供給タンク内での沈降、凝集、更には輸送管や
液路の回詰りを起こさない様に前記液媒体や添加剤との
関係において材料の選択がなされて使用される必要があ
る。この様な点からして、液媒体に溶解性の記録剤を使
用するのが好ましいが、液媒体に分散性又は難溶性の記
録剤であっても液媒体に分散させる時の記録剤の粒径を
充分小さくしてやれば使用され得る。
使用され得る記録剤は記録部材によって、その記録条
件に充分適合する様に適宜選択される。記録剤としては
染料及び顔料を挙げることが出来る。有効に使用される
染料は、調合された記録液体の後述の諸特性を満足し得
る様なものであり、好適に使用されるのは、例えば水溶
性染料としての直接染料、塩基性染料、酸性染料、可溶
性建染メ染料、酸性媒染染料、媒染染料、非水溶性染料
としての硫化染料、建染メ染料、酒精溶染料、油溶染
料、分散染料等の他、スチレン染料、ナフトール染料、
反応染料、クロム染料、1:2型錯塩染料、1:1型錯塩染
料、アゾイック染料、カチオン染料等の中より選択され
るものである。
具体的には、例えばレゾリングリルブルーPRL、レゾ
リンイエローPCG、レゾリンピンクPRR、レゾリングリー
ンPB(以上バイヤー製)、スミカロンブルーS−BG、ス
ミカロンレッドE−EBL、スミカロンイエローE−4GL、
スミカロンブリリアントブルーS−BL(以上住友化学
製)、ダイヤニックスイエロー−HG−SE、ダイヤニック
スレッドBN−SE(以上三菱化成製)、カヤロンポリエス
テルライトフラビン4GL、カヤロンポリエステルブルー3
R−SF、カヤロンポリエステルイエローYL−SE、カヤセ
ットターキスブルー776、カヤセットイエロー902、カヤ
セットレッド026、プロシオンレッドH−2B、プロシオ
ンブルーH−3R(以上日本化薬製)、レバフィックスゴ
ールデンイエローP−R、レバフィックスブリルレッド
P−B、レバフィックスブリルオレンジP−GR(以上バ
イヤー製)、スミフィックスイエローGRS、スミフィッ
クスB、スミフィックスブリルレッドBS、スミフィック
スブリルブルーPB、ダイレクトブラック40(以上住友化
学製)、ダイヤミラーブラウン3G、ダイヤミラーイエロ
ーG、ダイヤミラーブルー3R、ダイヤミラーブリルブル
ーB、ダイヤミラーブリルレッドBB(以上三菱化成
製)、レマゾールレッドB、レマゾールブルー3R、レマ
ゾールイエローGNL、レマゾールブリルグリーン6B(以
上ヘキスト社製)、チバクロンブリルイエロー、チバク
ロンブリルレッド4GE(以上チバガイギー社製)、イン
ジコ、ダイレクトテープブラックE・Ex、ダイアミンブ
ラックBH、コンゴーレッド、シリアスブラックBH、オレ
ンジII、アミドブラック10B、オレンジRO、メタニール
イエロー、ビクトリアスカーレット、ニグロシン、ダイ
アモンドブラックPBB(以上イーゲー社製)、ダイアシ
ドブルー3G、ダイアシドファスト・グリーンGW、ダイア
シド・ミーリングネービーブルーR、インダンスレン
(以上三菱化成製)、ザボン−染料(BASF製)、オラゾ
ール染料(CIBA製)、ラナシン−染料(三菱化成製)、
ダイアクリルオレンジRL−E、ダイアクリルブリリアン
トブルー2B−E、ダイアクリルターキスブルーBG−E
(三菱化成製)などの中より前記の諸物性値が調合され
る記録液体に与えられるものが好ましく使用できる。
これ等の染料は、所望に応じて適宜選択されて使用さ
れる液媒体中に溶解又は分散されて使用される。
有効に使用される顔料としては、無機顔料、有機顔料
の中の多くのものが好適に使用される。そのような顔料
として具体的に例示すれば無機顔料としては、硫化カド
ミウム、硫黄、セレン、硫化亜鉛、スルホセレン化カド
ミウム、黄鉛、ジンククロメート、モリブデン赤、ギネ
ー・グリーン、チタン白、亜鉛華、弁柄、酸化クロムグ
リーン、鉛丹、酸個コバルト、チタン酸バリウム、チタ
ニウムイエロー、鉄黒、紺青、リサージ、カドミウムレ
ッド、硫化銀、硫酸鉛、硫酸バリウム、群青、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、鉛白、コバルトバイオレッ
ト、コバルトブルー、エメラルドグリーン、カーボンブ
ラック等が挙げられる。
有機顔料としては、その多くが染料に分類されている
もので染料と重複する場合が多いが、具体的には次のよ
うなものが好適に使用される。
(a)不溶性アゾ系(ナフトール系) ブリリアントカーミンBS、レーキカーミンFB、ブリリ
アントファストスカーレッド、レーキレッド4R、パラレ
ッド、パーマネントレッドR、ファストレッドFGR、レ
ーキボルドー5B、バーミリオンNO.1、バーミリオンNO.
2、トルイジンマルーン。
(b)不溶性アゾ系(アニライド系) ジアゾイエロー、ファストイエローG、ファストイエ
ロー10G、ジアゾオレンジ、バルカンオレンジ、パラゾ
ロンレッド。
(c)溶性アゾ系 レーキオレンジ、ブリリアントカーミン3B、ブリリア
ントカーミン6B、ブリリアントスカーレットG、レーキ
レッドC、レーキレッドD、レーキレッドR、ウォッチ
ングレッド、レーキボルドー10B、ボンマルーンL、ボ
ンマルーンM。
(d)フタロシアニン系 フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、フタ
ロシアニングリーン。
(e)染色レーキ系 イエローレーキ、エオシンレーキ、ローズレーキ、バ
イオレッドレーキ、ブルーレーキ、グリーンレーキ、セ
ピアレーキ。
(f)媒染系 アリザリンレーキ、マダカーミン。
(g)建染系 インダスレン系、ファストブルーレーキ(GGS)。
(h)塩基性染料レーキ系 ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ。
(i)酸性染料レーキ系 ファストスカイブルー、キノリンイエローレーキ、キ
ナクリドン系、ジオキサジン系。
液媒体と記録剤との量的関係は、調合される他の液路
の目詰り、液路内での記録液体の乾燥、記録部材へ付与
された時の滲みや乾燥速度等の条件から、重量部で液媒
体100部に対して記録剤が通常1〜50部、好適には3〜3
0部、最適には5〜10部とされるのが望ましい。
記録液体が分散系(記録剤が液媒体中に分散されてい
る系)の場合、分散される記録剤の粒径は、記録剤の種
類、記録条件、液路の内径、吐出口径、記録部材の種類
等によって、適宜所望に従って決定されるが、粒径が余
り大きいと、貯蔵中に記録剤粒子の沈降が起って、濃度
の不均一化が生じたり、液路の目詰りが起ったり或いは
記録された画像に濃度班が生じたり等して好ましくな
い。
このようなことを考慮すると、分散系記録液体とされ
る場合の記録剤の粒径は、通常0.01〜30μ、好適には0.
01〜20μ、最適には0.01〜8μとされるのが望ましい。
更に分散されている記録剤の粒径分布は、出来る限り狭
い方が好適であって、通常はD±3μ、好適にはD±1.
5μとされるのが望ましい(但しDは平均粒径を表わ
す)。
使用される添加剤としては、粘度調整剤、表面張力調
整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、湿潤剤及び赤外線吸収
発熱剤等が挙げられる。
粘度調整剤や表面張力調整剤は、前記の物性値を得る
為の他に、記録速度に応じて充分なる流速で液路中を流
通し得ること、液路の吐出口において記録液体の回り込
みを防止し得ること、記録部材へ付与された時の滲み
(スポット径の広がり)を防止し得ること等の為に添加
される。
粘度調整剤及び表面張力調整剤としては、使用される
液媒体及び記録剤に悪影響を及ぼさないで効果的なもの
であれば通常知られているものの中より適宜所望特性を
満足するように選択されて使用される。
具体的には、粘度調整剤としては、ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセ
ルロース、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリド
ン、アラビアゴムスターチ等が好適なものとして例示出
来る。
所望に応じて適宜選択されて好適に使用される、表面
張力調整剤としては、アニオン系、カチオン系及びノニ
オン系の界面活性剤が挙げられ、具体的には、アニオン
系としてポリエチレングリコールエーテル硫酸、エステ
ル塩等、カチオン系としてポリ2−ビニルピリジン誘導
体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等、ノニオン系とし
てポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
アルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン
等が挙げられる。
これ等の界面活性剤の他、ジエタノールアミン、プロ
パノールアミン、モルホリン酸等のアミン酸、水酸化ア
ンモニウム、水酸化ナトリウム等の塩基性物質、N−メ
チル−2−ピロリドン等の置換ピロリドン等も有効に使
用される。
これ等の表面張力調整剤は、所望の値の表面張力を有
する記録液体が調合されるように、互いに又は他の構成
成分に悪影響を及ぼさず且つ前記の物性値が調合される
記録液体に与えられる範囲内において必要に応じて二種
以上混合して使用しても良い。
これ等表面張力調整剤の添加量は種類、調合される記
録液体の他の構成成分種及び所望される記録特性に応じ
て適宜決定されるものであるが、記録液体1重量部に対
して、通常は0.0001〜0.1重量部、好適には0.001〜0.01
重量部とされるのが望ましい。
pH調整剤は、調合された記録液体の化学的安定性、例
えば、長時間の保存による物性の変化や記録剤その他の
成分の沈降や凝集を防止する為に所定のpH値となるよう
に前記の諸特性値を逸脱しない範囲で適時適当量添加さ
れる。
本発明において好適に使用されるpH調整剤としては、
調合される記録液体に悪影響を及ぼさずに所望のpH値に
制御出来るものであれば大概のものを挙げることが出来
る。
そのようなpH調整剤としては具体的に例示すれば低級
アルカノールアミン、例えばアルカリ金属水酸化物等の
一価の水酸化物、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
これ等のpH調整剤は、調合される記録液体が前記の物
性値をはずれない範囲で所望のpH値を有するように必要
量添加される。
使用される潤滑剤としては、調合される記録液体が後
記の諸物性値を逸脱しない範囲で本発明に係わる技術分
野において通常知られているものの中より有効であるも
の、殊に熱的に安定なものが好適に使用される。このよ
うな潤滑剤として具体的に示せば、例えばポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキ
レングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリ
コール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むア
ルキレングリコール;例えばエチレングリコールメチル
エーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエ
チレングリコールエチルエーテル等のジエチレングリコ
ールの低級アルキルエーテル;グリセリン;例えばメト
オキシトリグリコール、エトオキシトリグリコール等の
低級アルコールオキシトリグリコール;N−ビニル−2−
ピロリドンオリゴマー;等が挙げられる。
これ等の潤滑剤は、記録液体に所望される特性を満足
するように所望に応じて必要量添加されるものである
が、その添加量は記録液体全重量に対して、通常0.1〜1
0wt%、好適には0.1〜8wt%、最適には0.2〜7wt%とさ
れるのが望ましい。
又、上記の潤滑剤は、単独で使用される他、互いに悪
影響を及ぼさない条件において二種以上混用しても良
い。
本発明に使用される記録液体には、上記のような添加
剤が所望に応じて必要量添加されるが、更に記録部材に
付着する場合の記録液体被膜の形成性、被膜強度に優れ
たものを得るために、例えばアルキッド樹脂、アクリル
樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン等の樹脂重合体が添加されても良
い。
本発明で使用される記録液体は、前述した諸記録特性
を具備するように、比熱、熱膨張係数、熱伝導率、粘
性、表面張力、pH及び帯電された記録液滴を使用して記
録する場合には比抵抗等の特性値が特性の条件範囲にあ
るように調合されるのが望ましい。
即ち、これ等の諸特性は、曳糸現象の安定性、熱エネ
ルギー作用に対する応答性及び忠実性、画像濃度、化学
的安定性、液路内での流動性等に重要な関連性を有して
いるので、本発明においては記録液体の調合の際、これ
等に充分注意を払う必要がある。
本発明に有効に使用され得る記録液体の上記諸特性と
しては下記の第1表に示されるごときの値とされるのが
望ましてが、列挙された物性の総てが第1表に示される
ごとき数値条件を満足する必要はなく、要求される記録
特性に応じて、これ等の物性の幾つかが第1表の条件を
満足する値を取れば良いものである。而乍ら比熱、熱膨
張係数、熱伝導率、粘性、表面張力に関しては、第1表
の値に規定されるのが望ましい。勿論、調合された記録
液体の上記諸特性の中で第1表に示される値を満足する
ものが多い程良好な記録が行われることは言うまでも無
い。
以上のような構造のバブルジェット記録ヘッドにおい
て、従来は短時間に発熱体を急激に加熱し、発熱部表面
のインク層を瞬時に気化させることによって沸騰膜を作
り、膨張させるといういわゆる膜沸騰を起こすことによ
り、安定した気泡を発生させ、吐出を行なうものであっ
た。したがって、従来は発熱体への印加電圧としては、
気泡が発生しはじめる電圧Vo(閾値電圧)の1.02〜1.3
倍で駆動していた。しかし、本発明者らは、100μm×1
00μmの大きさ、抵抗値70Ωの発熱体に厚さ2μmの保
護層を設けた発熱体基板を試作し、純水中で通電加熱し
た時の気泡発生の様子を観察した結果、印加電圧Vpが14
V(第4図中の41)、15V(同図中の42)、16V(同図中
の43)においては、膜沸騰を起こしており、その時、第
4図のように、電圧を変化させても気泡の体積増加率
(dv/dt)、および最大体積(Vmax)には、大きな差違
がないことがわかった。これは膜沸騰状態では発熱部表
面に蒸気膜ができ、その蒸気膜が発熱部から液層への熱
の伝達を妨げる断熱層となり蒸気膜形成後は発熱部表面
の温度によらず慣性により膨張する為である。したがっ
て、膜沸騰状態では常に安定した気泡が作れるが、多少
電圧を変化させても吐出滴量に大きな違いはでないから
である。尚、この時の印加パルス巾は6μs、駆動周波
数は4.5KHzで駆動した。
一方、本発明者らは、30μm×100μmの大きさで、
抵抗値128Ωの発熱体を18本/mmの配列密度で、ノズル数
300のヘッドを試作し、被記録体として、三菱製紙製NM
マットコート紙を使用して駆動電圧を変えて印写実験を
行なった。第5図は入力電圧とドット径の関係を示した
グラフである。ここで、ノズルと紙間距離dはドット位
置精度に影響する為、適切な値に設定することが好まし
く、通常は、0.1≦d≦20mm、好適には、0.5≦d≦10m
m、最適には、0.5≦d≦5mmとするのがよい。
これからわかるように、26V以上の入力電圧に対し
て、ドット径が変化しており、さらに、このドット径
は、電圧に対応していることを見いだした。第6図は、
この発熱体基板をインクと略同じ物性のビヒクル中に浸
して気泡を観察したときの気泡長の時間変化を示したグ
ラフである。ここで、60は印加信号、61はVp=22V時の
気泡長変化、62はVp=26V時の気泡長変化、63はVp=27V
時の気泡長変化、64はVp=28V時の気泡長変化である。
また、この時、Voは17Vであった。これからわかるよう
に、Vp=26、即ち、Vp≧1.5Vo以上で2次気泡62−1,63
−1,64−1が発生しており、さらに、2次気泡の大きさ
は電圧に対応しており、最大1回目と同程度まで成長し
ていた。また、Vp=28V時には、さらに3次気泡64−2
の発生も見られた。これら2次気泡、3次気泡の発生
は、高電圧で駆動した場合に、発熱体表面が非常に高温
になり、気泡が生成、収縮し、再び液が発熱部表面と接
した時、気泡を再膨張させるのに十分な温度を発熱部表
面が有している為である。
また、本発明者らの実験により、2次気泡は、1回目
の気泡が完全に収縮しない状態から再膨張を開始するこ
とが観測された。2次気泡が再膨張を開始する時の気泡
の大きさ(発熱体長手方向の最大値)は、1回目の気泡
が発熱体の長手方向の長さの1/5から1の長さに収縮し
た時であった。
すなわち、本発明者らは、通電時間は略同一にして、
印加電圧を変更することにより、1つの印加信号により
気泡の生成〜膨張〜収縮〜2次気泡の膨張〜2次気泡の
収縮〜消滅の1連のプロセスを行なわせることで、2次
気泡の体積を変更してそれに応じて吐出量を可変にする
ことを見いだし、本発明に至ったものである。
2次気泡を効率良く生長させるには、基板の熱伝導、
即ち、放熱性やインク物性が大きく寄与する。中でも放
熱性が良過ぎると再膨張に要する温度を得るには、発熱
最高温度(発熱体をOFFした時の発熱部表面の温度)を
高くする必要があり、よって、発熱体を高エネルギーで
駆動する必要があり、消費電力や発熱体の寿命の点から
不都合である。
また、放熱性が悪いと、繰り返し吐出により蓄熱がお
こり、吐出が不安定となったり、遂には、吐出不能とな
る。よって、適切な放熱性を持たせる必要があり、通常
は、発熱体が最高温度に達する時間をt1、その時の発熱
部表面温度をT1、発熱体駆動信号がONした時の発熱部表
面温度をT0とするとき、発熱部表面温度が となる時間t1/2が2t1≦t1/2≦8t1となるように発熱体基
板を作製するのが好ましい。
また、印加電圧の可変手段としては、吐出量変更数に
応じた電圧を設けておき、スイッチングにより選択する
手段や、供給電圧を一定にしておき、吐出量に応じたデ
ータを、D/A変換によりアナログ値に変換し増幅する手
段等あり、適当な手段によって設定することができる。
また、第7図は、本発明を好適に実現する別の実施例
の流路のパターンである。74−1、74−2、74−3は吐
出口、71−1、71−2、71−3は発熱部、72−1、72−
2、72−3は流路である。本発明の実施例においては、
発熱部と吐出口間にインクの補給速度、補給量を向上さ
せる為の補助流路73−1、73−2、73−3を設けた。こ
れにより、1回目の気泡の収縮時に、十分かつ速やかに
インク補給される為、第8図のように電圧に対応してド
ット径を増大させる即ち、吐出量を増加させることがで
きる。
効果 以上の説明から明らかなように、本発明によると、特
別な補助手段を設けず、また大型化することなく階調記
録を行なうことができる。それにより、超高密度、高集
積階調記録ヘッドが実現できる。さらに、発熱体駆動時
間を従来と変更することなく行なえる為、高周波数駆動
が可能な階調記録ヘッドが実現できる。
更には、1つの印加信号により気泡の生成〜膨張〜収
縮〜2次気泡の膨張〜2次気泡の収縮〜消滅を行わせ、
画情報に応じて熱エネルギー発生体への通電時間をほぼ
一定にし、印加電圧を変えることにより、前記2次気泡
の体積を変え、それに応じて前記記録液の吐出量を可変
としたので、これにより、よりなめらかな階調が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による液体噴射記録装置の一実施例を
説明するためのもので、発熱抵抗体を用いる気泡発生手
段の構成を説明するための図、(a)は記録ヘッドのオ
リフィス側からみた正面部分図、(b)は(a)のX−
X線で示す部分で切断した場合の切断部分図、第2図
は、バブルジェット方式によるインク噴射の原理を説明
するための図、第3図は、バブルジェット記録ヘッドの
全体斜視図、第4図は、発熱体への印加電圧を変化させ
た場合の気泡発生の様子を示す図、第5図は、印加電圧
とドット径の変化を示す図、第6図は、気泡長の時間的
変化を示す図、第7図は、本発明を好適に実現するため
の流路パターンの他の実施例を示す図、第8図は、第7
図に示す流路パターンによる印加電圧とドット径の変化
を示す図である。 15…オリフィス、16…液吐出部、17…熱作用部、18…熱
発生部、19…熱作用面、20…下部層、21…発熱抵抗体、
22…保護層、23,24…電極、25…流路壁。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−42871(JP,A) 特開 昭63−42869(JP,A) 特開 昭55−132258(JP,A) 特開 平1−258958(JP,A) 特開 昭62−286749(JP,A) 特開 平1−202458(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05 B41J 2/205

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録液を吐出する為の吐出口と、前記記録
    液に熱エネルギーを作用させる為の熱エネルギー発生体
    と、前記熱エネルギーにより気泡を発生させ、前記気泡
    の体積増加にともなう作用力によって、前記記録液を前
    記吐出口より飛翔せしめる液体噴射記録装置において、
    1つの印加信号により気泡の生成〜膨張〜収縮〜2次気
    泡の膨張〜2次気泡の収縮〜消滅を行わせ、画情報に応
    じて熱エネルギー発生体への通電時間はほぼ一定にし、
    印加電圧を変えることにより、前記2次気泡の体積を変
    え、それに応じて前記記録液の吐出量を可変としたこと
    を特徴とする液体噴射記録装置。
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