JP2790289B2 - 射出成形によるステンレス焼結体の製造方法 - Google Patents

射出成形によるステンレス焼結体の製造方法

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、射出成形によるステンレス焼結体の製造方
法に関する。
<従来の技術> 材料歩留り、機械加工費の削減等を目的として、溶製
ステンレス鋼に代りステンレス焼結体が注目されてい
る。特に射出成形法、金型加圧成形法等の微粉末を原料
とするステンレス焼結体は、高密度な焼結体が得られる
ため溶製ステンレス鋼に近い耐食性が得られる点で発展
が期待されている。
このような微粉末を原料とするステンレス焼結体は、
まず原料微粉末と各種の有機物からなる成形助剤とを混
合して、この混合物を射出成形、金型加圧成形等の各種
成形方法にて成形する。次いで得られた成形体より前記
の有機物を除去(脱脂)し、この有機物除去処理後の成
形体を焼結することにより得られる。
本発明者らも、このような微粉末ステンレス焼結体の
特性に注目し、溶製ステンレス鋼に匹敵する耐食性を確
保するための条件について研究を重ね、ステンレス焼結
体において、高水準の耐食性を確保するためには、ステ
ンレス焼結体おけるCおよびOの含有量が、 C≦0.06wt%,O:≦0.3wt% であることが重要な要件の一つであることを発見し、先
にこれを提案した(特願昭63−156841号)。
Cの含有量が低いほど焼結体の耐食性が向上するのは
周知のとおりであるが、 C:≦0.06wt%を達成することにより、焼結の際に液相
が出現することによる気孔の粗大化や、(Fe,Cr)C等
の炭化物の生成による低Cr帯の生成を抑え、耐食性を向
上させることができる。
さらに、Oの含有量が低いほど緻密化が容易に進み、
焼結密度が高くなり、その結果耐食性は向上する。ま
た、O:≦0.3wt%を達成することにより、Cr系酸化物の
生成による焼結の阻害を防止し、高密度な焼結体が得ら
れ耐食性が向上する。
本発明者らは同時に、上記の要件は、あらかじめC/O
のモル比を0.3〜3に調整した成形体を、減圧下にて焼
結し、引き続き非酸化性雰囲気にて焼結することにより
達成できること、さらに、成形体におけるC/Oモル比の
調整方法として、脱脂体を湿水素中にて400〜700℃で加
熱温度を変更して熱処理する方法(以下、“C/O調整熱
処理”とする)が有効であることを見出し、同明細書に
開示した。
ところが、焼結前の成形体のCおよびOの含有量は同
一の脱脂処理を行なった場合、成形体のサイズ、肉厚、
用いた原料粉末の純度、添加する有機物の種類および量
により大幅に異なるものである。
そのため、これらの種々の成形体のC/Oモル比を調整
するためには、それぞれの成形体に対し、 同一の脱脂処理で別々のC/O調整熱処理を施す; 別々の脱脂処理で同一のC/O調整熱処理を施す; 必要があった。
しかし、多品種、少量生産に対応する場合には、単一
の脱脂処理条件およびC/O調整熱処理条件を採用しない
限り製造コストが高くなり経済性に問題がある。また、
CおよびOの含有量を調整するためにC/O調整熱処理工
程を追加することも製造コスト等の点で有利ではない。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、以上の実状に鑑みて為されたもので、耐食
性に優れるステンレス焼結体の製造にあたり、経済性を
損なう原因の排除を目的とするものであり、具体的には
サイズ、肉厚、用いた原料粉末の純度、添加する有機物
の種類および量により大幅に変動する脱脂処理後のCお
よびOの含有量を熱処理にて調整する必要はなく、Cお
よびOの含有量が少ない、好ましくはCおよびOの含有
量が C:≦0.06wt%,O:≦0.3wt% である耐食性に優れたステンレス合金焼結体を容易に得
ることができる射出成形によるステンレス焼結体の製造
方法を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を
重ね、ステンレス焼結体の製造に関して原料粉末中のC
およびOの含有量、脱脂処理後のCおよびOの含有量お
よび焼結体中のCおよびOの含有量の推移に対する工程
要因の影響に着目して種々実験を重ねた。
その結果、用いる原料粉末のCおよびOの含有量のバ
ランスを調整することにより、得られる焼結体のCおよ
びOの含有量を共に低減することができること。さらに
は、原料として用いられるアトマイズ粉末のCおよびO
の含有量の低減には限界があるものの、Cの含有量を大
幅に低減する必要がある際にはOの含有量の増量するこ
とにより、また、Oの含有量を大幅に低減する必要があ
る際にはCの含有量を増量することにより、CおよびO
の含有量のバランスを調整して焼結体のCおよびOの含
有量を共に低減することができることを見出して本発明
を成すに至った。
すなわち、本発明は、平均粒径が20μm以下であり、
かつ含有するCとOの量比が1.5×C(wt%)+1.8≧0
(wt%)≧0.75×C(wt%)+0.15であるアトマイズ法
により製造されるステンレス鋼粉末と有機バインダーと
を混練した後射出成形し、得られた成形体を非酸化性雰
囲気中にて脱脂処理した後、0.1Torr以下の減圧下にて
焼結後つづけて0.1Torrより高い圧力の非酸化性雰囲気
下で焼結することを特徴とする射出成形によるステンレ
ス焼結体の製造方法、である。
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明に用いる射出形成用粉末は、アトマイズ法によ
り作製された、基本的にはステンレス組成からなるもの
である。
本発明者らは、前記したようにステンレス焼結体の製
造に関して原料粉末中のCおよびOの含有量、脱脂処理
後のCおよびOの含有量および焼結体中のCおよびOの
含有量の推移に対する工程要因の影響に着目して種々実
験を重ねた。
その結果、ステンレス焼結体を射出成形にて作製する
場合、成形助剤として添加される有機物はバインダとし
て利用されるものであり、10wt%程度の熱可塑性樹脂あ
るいはワックス類を主体とする混合物であるため、脱脂
処理によって完全に除去することができず(故意に完全
に除去せず、脱脂後の成形体強度を確保する場合もあ
る)成形体に残留していた。
本発明者らはさらに実験を重ね、射出成形における成
形体のサイズ、肉厚、原料として用いた粉末の純度、添
加するバインダの種類および量、さらには脱脂ヒートパ
ターンに対して、脱脂後の成形体における残留バインダ
量はC量に換算すると0.2〜1.0wt%の範囲内にあること
を見出した。
また、脱脂後の成形体中の0の含有量は、原料粉末の
それと有意差がないことも発見した。
以上のことにより、低炭素・低酸素の金属焼結体を射
出成形により作製する場合は、脱脂体のCおよびOの含
有量は原料粉末のそれに対しCを0.2〜1.0wt%加えたも
のが得られることを考慮する必要がある。
さらに、用いる原料粉末のCおよびOの含有量を決定
する際には、脱脂体のCおよびOの含有量と、焼結体の
CおよびOの含有量との関係を考慮する必要がある。
本発明者らは、各種の射出成形体の脱脂体を種々の条
件にて焼結した結果、焼結によるC減量に対するO減量
の比は、必ず0.75〜1.5の範囲内にあることを発見し
た。
以上より、原料粉末、脱脂体および焼結体のC、Oの
含有量を各々Cp、Cb、CsよおびOp、Ob、Osとし、本発明
のC、Oの含有量範囲の限定理由を説明する。
まず、焼結体と脱脂体とのC、Oの含有量の関係よ
り、 1.5≧(Ob−Os)/(Cb−Cs)≧0.75 ……… が成り立つ。
さらに、焼結体のC、Oの含有量が、高耐食性の条件
Cs≦0.06wt%、Os≦0.3wt%を同時に満たすためには、
脱脂体のC、Oの含有量は、 1.5×Cb(wt%)+0.3≧Ob(wt%)≧ 0.75×Cb(wt%)−0.05 ……… の範囲内にあることが必要である。
また、焼結時のCとOの直接反応による最終焼結体の
C、Oの平衡値は、Oの含有量が大きいほどCの含有量
は小さくなるため、耐食性に影響の大きいCの含有量を
より低減するために、焼結前のOの含有量を過剰にする
ことが好ましい。したがって、脱脂体Oの含有量の下限
値を高耐食性側に、0.05wt%上乗せして、脱脂体のC、
Oの含有量は、 1.5×Cb(wt%)+0.3≧Ob(wt%)≧ 0.75×Cb(wt%) ……… の範囲内に規定することが必要となる。
さらに、脱脂体と原料粉末とのC、Oの含有量の関係
は、前述の通り、 Cp(wt%)+1.0≧Cb(wt%)≧ Cp(wt%)+0.2 ……… Op(wt%)=Ob(wt%) ……… であることを考慮して、〜式より、本発明の原料粉
末のC、Oの含有量を、 1.5×Cp(wt%)+1.8≧Op(wt%)≧ 0.75×Cp(wt%)+0.15 ……… の範囲内に限定することが必要となる。
以上のように組成を限定した本発明の射出成形用粉末
を用いて初めて、低炭素・低酸素の優れた耐食性を有す
る金属焼結体を、脱脂後の熱処理等を行なう必要なく容
易に得ることができる。
本発明の射出成形用粉末は、CおよびOの含有量が上
記の範囲内にある以外は、基本的にはステンレス組成か
らなるものである。
ステンレス組成とは、公知のステンレス鋼およびステ
ンレス合金の組成であり、SUS430等のフェライト系、SU
S410,SUS420等のマルテンサイト系、SUS304,SUS316等の
オーステナイト系等のステンレス鋼組成や、インコネル
500、モネル合金、ハステロイ等のステンレス合金組
成、その他のステンレス組成はいずれも適用可能であ
る。
本発明の射出成形用粉末は、基本的に上記のような組
成を有するものであるが、原料粉末中のCおよびOの含
有量を調整する方法としては、例えば、粉末をアトマイ
ズ法により作製する際に溶融金属中への炭素添加量を調
整する方法や、原料粉末を実質的に焼結しない低温の酸
化性雰囲気中にて処理する方法、さらにはそのようにし
て得られた原料粉末を混合した混合粉末にて微調整して
もよい。また、アトマイズ法によって得られる金属粉末
スラリーの乾燥時間を調整することによりOの含有量を
調整してもよい。
なお、本発明の射出成形用粉末を作製するアトマイズ
法としては、高圧水アトマイズ法、高圧ガスアトマイズ
法、高圧油アトマイズ法等、高圧アトマイズ媒体を用い
る通常のものはいずれも適用可能である。
本発明の射出成形用粉末の平均粒径は20μm以下、よ
り好ましくは7〜14μmである。
平均粒径が20μm以下であるとき、得られる金属焼結
体の密度が高くなる、表面粗度が小さくなる、気孔径が
小さくなる等の効果がある。
なお、このような原料粉末の粒径の調整は、アトマイ
ズパラメーター(アトマイズ媒体圧力、溶融金属の注入
径等)の調整および分級等により行なえばよい。
本発明の金属焼結体の製造方法は、前記のような本発
明の射出成形用粉末を金型加圧成形することにより成形
体を作製し、この成形体を非酸化性雰囲気中にて脱脂処
理した後に、0.1Torr以下の減圧下で焼結し、次に非酸
化性雰囲気にて焼結を行う。
なお、本発明の製造方法にて金属焼結体を製造する際
に用いる射出成形用粉末の最適なCおよびOの含有量
は、例えば本発明の射出成形用粉末を数種類用意して、
脱脂、焼結のための熱処理条件を一定にしておき、各工
程におけるCおよびOの含有量変化に関する前述の関係
を考慮して試作実験を行なうことにより容易に決定する
ことができる。
成形体を射出成形にて作製するには、平均粒径が20μ
m以下の、本発明の射出成形用粉末を、まず成形助剤と
してのバインダと混合・混練し、射出成形用コンパウン
ドを調整する。
適用可能なバインダは、熱過疎性樹脂類、ワックス
類、あるいはその混合物を主体とする公知のバインダは
いずれも適用可能であり、また必要に応じて可塑剤、潤
滑剤、脱脂促進剤等を添加してもよい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系、ポリエチレン
系、ポリプロピレン系およびポリスチレン系等の一種、
あるいは二種以上を混合して用いることができる。
ワックス類としては、蜜ろう、木ろう、モンタンワッ
クス等の天然ろう、低分子ポリエチレン、ミクロクリス
タリンワックス、パラフィンワックス等の合成ろう等の
一種、あるいは二種以上を混合して用いることができ
る。
可塑剤はバインダの主成分により適宜選択すればよ
く、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル
酸ジ−エチル(DEP)、フタル酸ジ−n−ブチル(DHP)
等が例示できる。
潤滑剤としては、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸
エステル等が適用可能であり、場合によってはワックス
類を潤滑剤として兼用してもよい。
また、必要に応じ、脱脂促進剤として樟脳等の昇華性
物質を添加してもよい。
なお、このようなバインダと原料粉末との混合比は、
通常:50:50〜40:60程度の容量比である。
原料粉末とバインダとの混練方法は特に制限はなく、
加圧ニーダ、バンバリーミキサー、2軸押出し機等の各
種のニーダ等によればよい。
このようにして調製した射出成形用コンパウンドは、
必要に応じペレダイザー、粉砕器等を用いて造粒を行な
いペレットとしてもよい。
次いで、得られた射出成形用コンパウンドまたはペレ
ットを射出成形して成形体を作製する。
射出成形は、通常のプラスチック用射出成形機、ある
いは、セラミック用、金属粉末用の射出成形機等、通常
の射出成形に用いられる射出成形機を用いて行なえばよ
い。
この際において、射出圧力は通常0.5〜2.5t/cm2
度、温度は100〜180℃程度である。
次に、得られた成形体の脱脂処理を行なう。
本発明の金属焼結体の製造方法においては、脱脂処理
は非酸化性雰囲気中、好ましくは窒素雰囲気、アルゴン
雰囲気にて行なわれる。また、必要に応じこれらの雰囲
気を加圧、または減圧してもよいのは公知の通りであ
る。
脱脂処理の処理温度は最高温度で450〜650℃程度、ま
たは保持時間は0.5〜6hr程度である。なお、この時の昇
温速度を速くしすぎると、得られた成形体に割れや膨れ
が生じるので、5℃/hr〜20℃/hr程度で一定速度で昇温
するのが好ましい。
本発明においては、このように射出成形にて得られた
脱脂済みの成形体を焼結して金属焼結体を製造する。
本発明の製造方法における焼結においては、焼結を2
段階とし、前半の焼結を0.1Torr以下の減圧下1000〜130
0℃にて行ない一定時間保持した後に、不活性ガス等の
非酸化性ガスを導入し、0.1Torrをこえる圧力の雰囲気
にてさらに後半の焼結を行う。この際において、前半の
真空焼結は1×10-3Torr以下の減圧下で、0.5〜4hr程度
保持するのが好ましい。後半の焼結温度は、通常1200〜
1370℃程度、保持時間は0.5〜4hr程度である。
本発明の金属焼結体の製造方法は、基本的には以上の
ように行なわれるものであり、脱脂、脱蝋処理等の有機
物除去の後に、C/O熱処理等を行なう必要なく、経済的
に、しかも容易にCおよびOの含有量が低い、好ましく
はC:≦0.06wt%、O:≦0.3wt%の、耐食性の優れた金属
焼結体を製造することができる。
<実施例> 以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明する。
高圧水アトマイズ法により、表1に示される平均粒系
およびCおよびOの含有量が異なる射出成形用のステン
レス粉末を用意した。
これらの粉末におけるCの含有量は、アトマイズ操業
時の溶融金属へのC添加量にて調整した。Oの含有量は
アトマイズによって得られる金属粉末スラリーの乾燥時
間により調整した。さらに粉末の組成は、CおよびOの
含有量を除いてSUS316,SUS304,SUS430組成となるように
アトマイズ操業時の溶融金属組成を調整した。なお、粒
度は分級により調製し、マイクロトラック法により体積
平均粒径を求めた。
各粉末に対し、成形助剤として熱可塑性樹脂系バイン
ダ(アクリル樹脂を主体とする混合物)あるいはワック
ス系バインダ(パラフィンを主体とする混合物)を加圧
ニーダによって混練して射出成形用コンパウンドを調製
した。成形助材の添加量および何れの粉末にどの成形助
剤を添加したかは表1に示す。
このようにして調製した各材料を用い、射出成形にて
試験片を作製した。
得られた射出成形体は、窒素雰囲気中にて+7℃/min
の速度で600℃まで昇温し、60分間保持した後に冷却し
て脱脂体とした。脱脂体のCおよびOの含有量を表1に
示す。
このようにして得られた脱脂体は、0.0001Torrの減圧
下にて1155℃にて2時間保持した後、1atmのアルゴン雰
囲気中にて1365℃まで昇温し、2時間保持して焼結を終
了した。各焼結体のCおよびOの含有量および発錆試験
の結果を表1に示す。
なお、発錆試験は、試験液中に焼結体を浸漬し、40℃
で12h保持した後、目視観察によって、焼結体の発錆の
有無を観察した。発錆がある場合は×、無い場合は○で
評価する。試験液は、SUS316、SUS304については人工汗
を使用し、SUS430については3%食塩水を使用した。
以下、表1より本発明の効果を説明する。
表1に示される結果より、射出成形用粉末と脱脂体と
の間では、Oの含有量には有意差がなく、Cの含有量に
おいて0.2〜1.0wt%程度の増加が見られる。
原料粉末のOの含有量がこのCの含有量の増加量に相
当するだけの量を持たない場合、すなわち本発明にて規
定するOの含有量よりも少ない場合(No.1−7)には、
Oの含有量は低減できるが焼結後のCの含有量が多くな
ってしまい、また発錆も認められた。逆にOの含有量が
規定量よりも多い場合(同NO.1−6)には、Cの含有量
は低減できるがOの含有量が多くなってしまい、やはり
発錆が認められた。これに対し、原料粉末のCおよびO
の含有量が本発明の比率内にある場合(No1−1〜1−
4,1−8〜1−11,2−1,〜2−6,3−1,3−2)は、いず
れも C:≦0.06wt%,O:≦0.3wt% を達成することができ、発錆もない高耐食性を有する金
属焼結体を得ることができた。
以上のように、本発明の射出成形によるステンレス焼
結体の製造方法によれば、添加有機物の種類および量、
成形体のサイズ、肉厚等に関係なく、最終的に得られる
焼結体のCおよびOの含有量を低減することができ、耐
食性の高い金属焼結体を得ることができる。
また、本発明に適用可能なアトマイズ法により作製し
たステンレス原料粉末は、オーステナイト系(SUS316,S
US3204)からフェライト系(SUS430)に渡り広く適用す
ることができる。
<発明の効果> 以上のように構成される本発明の射出成形によるステ
ンレス焼結体の製造方法によれば、アトマイズ法により
作製されたステンレス粉末を原料とするステンレス焼結
体を製造するに際し、適用するステンレス組成、添加有
機物の量および種類、焼結体のサイズ、肉厚等に影響さ
れず、単一の脱脂処理の後に、C/O熱処理等を行なう必
要なく、経済的に、しかも容易にCおよびOの含有量が
低い、耐食性の優れた金属焼結体を製造することができ
る。
フロントページの続き (72)発明者 大坪 宏 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭51−121415(JP,A) 特開 昭53−110904(JP,A) 特開 昭62−280304(JP,A) 日本鉄鋼協会編 「第3版 鉄鋼便 覧」 第▲V▼巻 鋳造・鍛造・粉末冶 金」 昭57−10−1 丸善発行,P. 489

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が20μm以下であり、かつ含有す
    るCとOの量比が1.5×C(wt%)+1.8≧O(wt%)≧
    0.75×C(wt%)+0.15であるアトマイズ法により製造
    されるステンレス鋼粉末と有機バインダーとを混練した
    後射出成形し、得られた成形体を非酸化性雰囲気中にて
    脱脂処理した後、0.1Torr以下の減圧下にて焼結後つづ
    けて0.1Torrより高い圧力の非酸化性雰囲気下で焼結す
    ることを特徴とする射出成形によるステンレス焼結体の
    製造方法。
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