JP2788750B2 - 限界電流式酸素センサの製造方法 - Google Patents

限界電流式酸素センサの製造方法

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JP2788750B2 JP1088298A JP8829889A JP2788750B2 JP 2788750 B2 JP2788750 B2 JP 2788750B2 JP 1088298 A JP1088298 A JP 1088298A JP 8829889 A JP8829889 A JP 8829889A JP 2788750 B2 JP2788750 B2 JP 2788750B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はセラミックスのポンピング作用を利用し、電
圧−電流特性のフラット域により酸素濃度を検出する限
界電流式酸素センサに関する。
[従来の技術] 第2図は従来の限界電流式酸素センサの製造方法を示
す断面図である。
先ず、固体電解質基板11の上面の所定領域に、例えば
多孔質白金からなるカソード電極12を形成する。そし
て、このカソード電極12と対応する固体電解質基板11の
下面領域に多孔質のアノード電極13を形成する。次い
で、カソード電極12上に、セランミックスキャップ15を
封止用ガラス16を介して固定する。このセラミックスキ
ャップ15はその中央部に表面から裏面に貫通する気体拡
散孔14を有する。この場合に、封止用ガラス16はセラミ
ックス粉を含有しており、固体電解質基板11の周縁部に
は封止用ガラス16の側壁が形成される。これにより、カ
ソード電極12とセラミックスキャップ15との間には、気
体拡散孔14を介して外部と接続した空間が形成される。
このようにして形成された酸素センサを酸素濃度を測
定せんとする雰囲気内に置き、カソード電極12とアノー
ド電極13との間に、カソード電極12が負極となるように
電圧を印加する。そうすると、カソード電極12の表面に
て酸素の解離(イオン化)反応が生じて周辺の酸素ガス
が消費され、アノード電極13の表面にて酸素イオンの結
合(分子化)反応が生じ、酸素イオンがカソード電極12
からアノード電極13に向けて固体電解質基板11内を移動
する。そして、カソード電極12とセラミックスキャップ
15との間の空間には、気体拡散孔14を介して外部から酸
素ガスが補給される。
而して、カソード電極12とアノード電極13との間に印
加する電圧が上昇すると共に電流も上昇していくが、電
圧のある領域で電流値が一定となるフラット域が観測さ
れる。これは、カソード電極12とセラミックスキャップ
15との間の空間への空気の流入が気体拡散孔14により制
約を受けるために生じるものであって、このフラット域
の電流値(以下、限界電流という)は測定雰囲気の酸素
濃度によって異なる。従って、この限界電流値と酸素濃
度との関係を予め求めておけば、酸素濃度を測定すべき
雰囲気に酸素センサを置いた後、その限界電流値を測定
することにより酸素濃度を知ることができる。
上述の如く限界電流式酸素センサにおいては、カソー
ド電極12の周囲に気体拡散孔14によってのみ外界と接触
する密閉空間を形成する必要がある。
第3図は従来の他の限界電流式酸素センサの製造方法
を示す断面図である。この方法においては、中央部に気
体拡散孔24を有する固体電解質基板21を使用する。
先ず、固体電解質基板21の上面及び下面の所定領域に
多孔質のカソード電極22及びアノード電極23を形成す
る。次に、この固体電解質基板21の上面にカソード電極
22を覆うようにしてアルミナ(Al2O3)粉又はジルコニ
ア(ZrO2−3Y2O3)粉等の多孔質の材料で中間層25を印
刷形成する。付いで、この中間層25を囲むようにして封
止用ガラスを印刷して封止部26を形成する。そして、50
0乃至600℃の温度に加熱することにより封止用ガラスを
一旦溶融させた後、凝固させてカソード電極22を封止す
る。これにより、カソード電極22の周囲は多孔質の中間
層25内に存在する状態で空気が覆うことになる。この酸
素センサも第2図に示す酸素センサと同様の機能を有す
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、第2図に示す酸素センサは、その構造
上構造コストが高いという難点がある。また、セラミッ
クスキャップ15を固体電解質基板11上に接着固定する構
造であるため、小型化が困難であるという欠点もある。
一方、第3図に示す酸素センサは、中間層25がカソー
ド電極22に接して存在するため、気体の拡散抵抗が大き
く、応答速度が遅いという欠点がある。また、電極効率
も低い。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであっ
て、一方の電極上に気体のみの空間を形成し、気体の拡
散抵抗が低減されて応答速度が速くなると共に、小型化
が容易な限界電流式酸素センサを低コストで製造できる
限界電流式酸素センサの製造方法を提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る限界電流式酸素センサの製造方法は、気
体拡散制限孔を有する基板上に電極を形成する工程と、
所定の分解点温度を有する耐熱性材料を前記電極を被覆
して被着することにより第1の膜を形成する工程と、前
記所定の分解点温度より高い融点を有する結晶化ガラス
及びセラミックス粉の混合物を前記第1の膜を被覆して
被着することにより第2の膜を形成する工程と、前記耐
熱性材料の分解点温度以上前記結晶化ガラスの溶融温度
未満の温度で焼成する工程と、前記結晶化ガラスの溶融
温度以上に昇温して結晶化ガラスを結晶化させる工程
と、を有することを特徴とする。
[作用] 本発明においては、電極を被覆するようにして、第1
の膜を形成し、この第1の膜を被覆するようにして、第
2の膜を形成する。前記第1の膜は耐熱性材料で形成
し、第2の膜は結晶化ガラスとセラミックス粉との混合
物で形成する。この耐熱性材料は第2の膜の材料である
結晶化ガラス及びセラミックス粉の混合物の融点よりも
低い温度で分解する性質を有している。
このため、各膜を形成した後、前記耐熱性材料の分解
点温度よりも高い温度に加熱して焼成することにより、
先ず、前記耐熱性材料が分解して気化し、ガスが発生す
る。この場合に、前記第2の膜はセラミックス粉を含有
しているため多孔質で通気性があり、耐熱性材料から発
生したガスは第2の膜を貫通して外部に放散される。
次いで、前記耐熱性材料の分解が終了した後、更に昇
温すると、前記結晶化ガラスが一旦溶融し、結晶化する
ことにより、結晶化ガラスがセラミックス粉と密着接合
する。これにより、前記耐熱性材料が占めていた部分が
空間となり、この空間が前記第2の膜により密閉され
て、基板との接触面を除いた電極の周囲には気体のみか
らなる密閉空間が形成される。このようにして製造され
た限界電流式酸素センサは電極と接触する中間層を有し
ないため、気体の拡散抵抗が小さく、応答速度が極めて
速い。また、センサ構造の小型化が容易であり、製造も
容易であるため、製造コストが低い。
[実施例] 次に、本発明の実施例について添付の図面を参照して
説明する。
第1図(a)乃至(c)は本発明の実施例方法を工程
順に示す断面図である。
先ず、第1図(a)に示すように、中央部に気体拡散
孔4が穿孔された板状の固体電解質基板1の上面及び下
面にポーラスな状態のカソード電極2及びアノード電極
3を形成する。そして、このカソード電極2及びアノー
ド電極3に、白金線等のリード線8を接続する。その
後、このカソード電極2を被覆するようにカーボンを塗
工し、第1の塗工膜5を形成する。そして、この第1の
塗工膜5の上に結晶化ガラスとセラミックス粉との混合
物を被覆印刷して、第2の塗工膜6を形成する。
固体電解質基板1の材質としては、例えば安定化ジル
コニア又は部分安定化ジルコニアがあるが、これらの材
料に限らず、酸素イオン透過性を有するものであれば種
々の材料が使用可能である。
また、カソード電極2及びアノード電極3は、例えば
ペースト状の白金を所定のパターンで印刷し、その後90
0℃温度で30分間加熱して焼結することにより形成でき
る。
更に、第1の塗工膜の材料としてはカーボンの他に、
ポリイミド、ポリエーテルスルホン又はフェノール樹脂
等の高融点素材があり、またこれらの2種類以上の素材
を混合して使用することもできる。
更にまた、第2の塗工膜としては、例えば結晶化ガラ
スとしてZA−106(商品名;日本電気ガラス(株)製)
を使用し、セラミックスとしてアルミナ(Al2O3)を使
用して、両者を重量比で1:1に混合したものを使用でき
る。この場合、結晶化ガラスはセラミックスに対してバ
インダとして作用する。セラミックスはその性質上多孔
質であるため、第2の塗工膜6は通気性を有する。セラ
ミックスとしてはアルミナの他にジルコニア等も使用可
能であり、また結晶化ガラスも前述の材料の外、種々の
ものを使用することができる。
次に、上述の各膜を形成した後、その全体を例えば電
気炉に装入して900℃の温度に加熱する。これにより、
第1図(b)に示すように、第1の塗工膜5を構成する
カーボンが周囲の酸素と反応して二酸化炭素となって気
化し、第2の塗工膜6の多孔質部分を通過して外部へ放
散される。その結果、カソード電極5と第2の塗工膜6
との間に空間が形成される。その後、温度の上昇に伴っ
て、第2の塗工膜6を構成する結晶化ガラスが溶融して
セラミックス粉と気密的に接合し、第2の塗工膜6は通
気性を消失する。
次いで、第1図(c)に示すように、第2の塗工膜6
を囲むようにして、封止用ガラス(例えば、ZA−106)
を印刷塗布し、封止部7を形成する。その後、焼成する
ことにより、封止部7が第2の塗工膜6上に固着され、
電極2の周囲に第2の塗工膜6及び封止部7により封止
された密閉空間を有する限界電流式酸素センサ素子が完
成する。
上述の如く本実施例においては、印刷工程及び焼成工
程によりカソード電極2と第2の塗工膜6との間に空間
を形成するため、小型の限界電流式酸素センサを低コス
トで製造できる。また、本実施例により形成された限界
電流式酸素センサは、カソード電極2の上面及び側面が
気体のみと接触しているため、気体の拡散抵抗が小さ
く、気体拡散孔4から流入した気体はすみやかにカソー
ド電極2に到達する。このため、応答速度が極めて速
い。
[発明の効果] 以上説明したように本発明方法によれば、電極上に所
定温度で分解する性質を有する耐熱性材料からなる第1
の膜を被覆形成し、この第1の膜を被覆するようにして
結晶化ガラス及びセラミックス粉の混合物からなる第2
の膜を形成し、前記耐熱性材料の分解点温度よりも高い
温度に焼成するから、耐熱性材料が気化しガスとなって
第2の膜を透過することにより第1の膜が消失し、次い
で第2の膜が結晶化してその通気性を消失する。これに
より、電極と第2の膜との間に気体のみからなる空間が
形成される。このため、本発明により製造された限界電
流式酸素センサは、気体拡散孔から電極表面上を通流す
る間のガスの拡散抵抗が極めて小さいので、安定した限
界電流特性を有すると共に、応答性が良好である。ま
た、電極が基板以外のものとは接触していないため、電
極効率が極めて高いと共に熱履歴に対して安定性を有し
ている。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至(c)は本発明の実施例方法を工程順
に示す断面図、第2図は従来方法により製造された限界
電流式酸素センサを示す断面図、第3図は従来の他の限
界電流式酸素センサを示す断面図である。 1,11,21;固体電解質基板、2,12,22;カソード電極、3,1
3,23;アノード電極、4,14,24;気体拡散孔、5;第1の塗
工膜、6;第2の塗工膜、7,26;封止部、8;リード線、15;
セラミックスキャップ、16;封止用ガラス、25;中間層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気体拡散制限孔を有する基板上に電極を形
    成する工程と、所定の分解点温度を有する耐熱性材料を
    前記電極を被覆して被着することにより第1の膜を形成
    する工程と、前記所定の分解点温度より高い溶融温度を
    有する結晶化ガラス及びセラミックス粉の混合物を前記
    第1の膜を被覆して被着することにより第2の膜を形成
    する工程と、前記耐熱性材料の分解点温度以上前記結晶
    化ガラスの溶融温度未満の温度で焼成する工程と、前記
    結晶化ガラスの溶融温度以上に昇温して結晶化ガラスを
    結晶化させる工程と、を有することを特徴とする限界電
    流式酸素センサの製造方法。
  2. 【請求項2】前記耐熱性材料は、カーボン、ポリイミ
    ド、ポリエーテルスルホン及びフェノール樹脂からなる
    群から選択された少なくとも1種の材料であることを特
    徴とする請求項1に記載の限界電流式酸素センサの製造
    方法。
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