JP2788562B2 - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

Info

Publication number
JP2788562B2
JP2788562B2 JP3285057A JP28505791A JP2788562B2 JP 2788562 B2 JP2788562 B2 JP 2788562B2 JP 3285057 A JP3285057 A JP 3285057A JP 28505791 A JP28505791 A JP 28505791A JP 2788562 B2 JP2788562 B2 JP 2788562B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
protective layer
drive circuit
resistant substrate
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3285057A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0531934A (ja
Inventor
隆行 山本
繁範 大田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP3285057A priority Critical patent/JP2788562B2/ja
Publication of JPH0531934A publication Critical patent/JPH0531934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2788562B2 publication Critical patent/JP2788562B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッドに関
し、さらに詳しくはサーマルヘッドの発熱抵抗体列を発
熱駆動するために用いられる複数の駆動回路素子を被覆
する保護層の材料の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は典型的な構成のサーマルヘッド1
の断面図であり、以下の従来例の説明に参照するととも
に、後述される実施例においても参照する。サーマルヘ
ッド1は、たとえば酸化アルミニウムAl23などのセ
ラミックから形成される電気絶縁性を有する耐熱性基板
2を備える。耐熱性基板2上にはたとえばガラスなどの
材料から成る蓄熱層3が図1の紙面と垂直方向に帯状に
延びて形成される。蓄熱層3の長手方向と交差する方向
の一方側にはたとえば銀ペーストを印刷して厚膜共通電
極層4が形成される。
【0003】このような耐熱性基板2の全面を被覆して
たとえば窒化タンタルTa2 Nなどから成る抵抗体層5
が形成される。抵抗体層5上であって前記厚膜共通電極
層4の上部には厚膜共通電極層4と平行に延びる薄膜共
通電極6がたとえばアルミニウムなどの金属材料を用い
てスパッタリングおよびエッチングなどの薄膜技術を用
いて形成される。蓄熱層3に関して薄膜共通電極6と反
対側には複数の帯状の個別電極7が図1紙面と垂直方向
に複数列形成され、これら薄膜共通電極6と個別電極7
とに挟まれる抵抗体層5が複数の発熱抵抗体から成る発
熱抵抗体列8として構成される。
【0004】この個別電極7には発熱抵抗体列8を選択
的に発熱駆動する複数の駆動回路素子9が発熱抵抗体列
8の配列方向と平行に配置される。駆動回路素子9に
は、耐熱性基板2上に前記個別電極7の形成工程時に同
時に形成される信号ライン10を介して、感熱印画デー
タや各種制御信号が供給される。駆動回路素子9は個別
電極7および信号ライン10との接続を実現するため下
面に高さH1(図3参照)のバンプ11を有しており、
フェイスダウンボンディングにて接続される。
【0005】信号ライン10には外部配線基板12が接
続される。外部配線基板12はたとえば合成樹脂材料か
ら成る支持フィルム13と、支持フィルム13上に形成
された回路配線14とを備える。一方、耐熱性基板2は
たとえばアルミニウムなどをプレス成形またはダイカス
ト成形して得られる放熱板15上に接着剤によって接着
される。この放熱板15上には前記外部配線基板12
が、合成樹脂材料から成るスペーサ16を介して固定さ
れる。また前記薄膜共通電極6および個別電極7などを
被覆して、耐摩耗層17がたとえばスパッタリングなど
の薄膜技術で形成され、前記複数の駆動回路素子9はエ
ポキシ樹脂などから成る保護層18でその配列方向に亘
り全面に被覆される。
【0006】従来のサーマルヘッドでは下記のような問
題点を有している。
【0007】(1)前記保護層18はエポキシ系樹脂が
用いられている。エポキシ系樹脂は線膨張係数が2.0
×10-5-1であり、耐熱性基板2を構成するセラミッ
クの熱膨張係数は0.73×10-5-1であり、その基
板2の線膨張係数aと、エポキシ系樹脂の線膨張係数b
との比率は、b/aで2.74となり、大幅に異なって
いる。またエポキシ系樹脂は弾性率が1300kg/m
2 と比較的高い材料である。
【0008】一方、保護膜18を形成するにはエポキシ
系樹脂を前記複数の駆動回路素子9の全面を被覆するよ
うに塗布した後、たとえば120〜150℃に加熱して
硬化させる。この後、たとえば25℃程度の常温に降温
させるに際して、前記線膨張係数の相異により保護膜1
8が耐熱性基板2よりも収縮量が大きく、しかもエポキ
シ系樹脂の保護層18の弾性率が比較的大きいため、耐
熱性基板2に図1の紙面と垂直方向に沿う反りが生じて
しまう。
【0009】このような反りを生じている状態では、耐
熱性基板2と放熱板15との接着に際して発熱抵抗体列
8の配列方向に沿って接着剤層の層厚が不均一となり、
発熱抵抗体列から放熱板15への熱放散に不均一を生じ
る。このような不均一は感熱記録時において濃度むらを
生じ印画品質を低下させてしまう。この接着作業におけ
る位置合わせに関して作業性が低下してしまうことにな
る。また信号ライン10と外部配線基板12との接続に
おいても位置合わせの精度が低下し、また作業性も低下
してしまう。
【0010】このような事態を防ぐために、保護層18
の硬化後に外力により耐熱性基板2の反りを矯正しよう
とすると、保護層18の弾性率が大きいため保護層18
の周縁部でクラックが生じやすくなる。このようなクラ
ックが発生した場合、たとえば水分などが保護層18内
に侵入し、個別電極7などを腐食させてしまうととも
に、腐食の進行により個別電極7などが断線してしまう
場合も生じる。
【0011】前述したような問題点を回避するために保
護層18にシリコン系樹脂を用いる従来例が知られてい
る。このようなシリコン系樹脂はいわゆるシリコンゴム
であり、耐熱性基板2との線膨張係数はやはり大幅に異
なるけれども、比較的弾性率が小さいという特徴を有し
ている。このため保護層18形成後の温度降下に伴い耐
熱性基板2との間で収縮量の差が生じる場合であって
も、保護層18は弾性変形して耐熱性基板2には反りを
生じないようにしている。
【0012】しかしながらこのようなシリコン系樹脂を
用いる場合では弾性率が低いことから硬度が低く、製造
工程時や使用時に外圧が加わることにより容易に変形し
てしまい、駆動回路素子9などを損傷してしまう場合が
ある。このため図4の従来例のサーマルヘッド1aのよ
うに、保護層18付近を全面に亘って覆うヘッドカバー
25などを必要とし、部品点数が増大するとともに製造
工程も複雑化する。ヘッドカバー25は、信号ライン1
0に臨む位置の凹溝26内に弾性を有する押圧部材27
が収納され、ねじ28によってヘッドカバー25が外部
配線基板12およびスペーサ16を介して放熱板15に
螺着されると、外部配線基板12を信号ライン10に押
圧して固定する。
【0013】このような保護層18には、実際の使用時
において感熱紙19や転写用フィルムなどが接触する場
合があり、シリコン系樹脂の場合、このような接触時に
摩擦係数が大きく紙詰まりを生じやすいという課題を有
している。また保護層18を構成する樹脂の線膨張係数
を耐熱性基板2の線膨張係数に近づけるために、樹脂中
にフィラーを分散させることが考えられる。この場合、
フィラーを分散させた樹脂が駆動回路素子9と耐熱性基
板2との間に侵入し、加熱時に樹脂中のフィラーが熱膨
張して、駆動回路素子9の能動面を押圧し、能動面を損
傷するという課題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来例
のサーマルヘッド1の保護層18はフィラーを分散させ
たエポキシ系樹脂やシリコン系樹脂などから形成されて
おり、これらにはいずれも上述したような問題点が存し
ている。
【0015】本発明の目的は、上述の技術的課題を解消
し、製造工程が簡略化されるとともに印画品質を向上
し、かつ構成の小形化を図ることができるサーマルヘッ
ドを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数個の発熱
抵抗体が直線状に配列された基板上に、下面に高さH1
のバンプを有する複数個の駆動回路素子を、フェイスダ
ウンボンディングによって配列実装し、前記基板の線膨
張係数と、ほぼ同等の線膨張係数を有し、かつ最大粒径
がH1よりも小さい無機質フィラーを含有する樹脂から
成る保護層で前記複数個の駆動回路素子を被覆すること
を特徴とするサーマルヘッドである。
【0017】
【0018】
【0019】
【作用】本発明に従えば、駆動回路素子は、基板の線膨
張係数とほぼ同等の線膨張係数を有し、かつ最大粒径が
駆動回路素子の下面に設けられたバンプの高さよりも小
さい無機質フィラーを含有する樹脂材料から成る保護層
で被覆される。したがって保護層の形成時または使用時
に比較的高温状態となっても駆動回路素子の能動面が樹
脂中のフィラーによって押圧されることがなく、その
後、温度が降下する際に、保護層と耐熱性基板との間に
降温による収縮量の大幅な差が生じるのを防止し、たと
えば耐熱性基板に反りを生じる事態を防いでいる。これ
により印画品質が格段に向上される。
【0020】またサーマルヘッドの製造工程時において
も耐熱性基板に不所望な反りを生じないように維持する
ことができ、耐熱性基板に位置決めされて接続される他
の構成要素との間で位置決めが容易になるとともに作業
工程が簡略化される。
【0021】また本発明では、前記保護層は樹脂材料に
バンプの高さより小さい径のフィラーを分散して成る。
したがって駆動回路素子と耐熱性基板との間に隙間が存
する場合であっても、この隙間を充填してサーマルヘッ
ドの信頼性を向上する。またこのような材料の保護層は
粘度が小さく、前記駆動回路素子に塗布する場合でもそ
の層厚を薄くすることができ、サーマルヘッドの小形化
に寄与する。
【0022】
【実施例】図1は典型的な構造のサーマルヘッド1の断
面図であり、図2はサーマルヘッド1の斜視図である。
図1図示の構成は従来例において説明したが、以下本発
明の実施例に即して詳細に説明する。サーマルヘッド1
の耐熱性基板2はたとえば酸化アルミニウムAl23
どのセラミックから形成され、前述したように0.73
×10-5-1の線膨張係数を有する。耐熱性基板2上に
はたとえばガラスなどの材料から成る蓄熱層3が、耐熱
性基板2の端部付近で図1の紙面と垂直方向に帯状に延
びて形成される。
【0023】蓄熱層3に隣接して、たとえば銀ペースト
などを印刷などの厚膜技術により塗布し、焼成して厚膜
共通電極層4が形成されるる。この段階の耐熱性基板2
のほぼ全面に亘りたとえば窒化タンタルTa2 N、ニク
ロムNi−Crあるいは酸化ルテニウムRuO2 などか
ら成り、周知の蒸着やスパッタリングあるいはエッチン
グなどの薄膜技術により抵抗体層5が形成される。
【0024】抵抗体層5上で厚膜共通電極層4と蓄熱層
3の一部に亘り、たとえばアルミニウムを前記薄膜技術
にてパターン形成して薄膜共通電極6が形成される。蓄
熱層3に関して薄膜共通電極6と反対側には薄膜共通電
極6と同一材料、同一製造工程にて帯状の複数の個別電
極7が、蓄熱層3の延びる方向に沿って複数列配列され
て形成される。この薄膜共通電極6と個別電極7とに挟
まれる抵抗体層5が個々の発熱抵抗体であり、これらは
蓄熱層3の延びる方向に沿って複数配列されて発熱抵抗
体列8が構成される。
【0025】前記発熱抵抗体列8を発熱駆動する駆動回
路素子9が、耐熱性基板2上に発熱抵抗体列8の配列方
向に沿って複数配置される。この駆動回路素子9は下面
に接続用のバンプ11を有し、個別電極7と同一材料、
同一製造工程時に形成される複数列の信号ライン10と
個別電極7とに、それぞれフェイスダウンボンディング
にて接続され、信号ライン10から感熱記録用の印画デ
ータや制御信号などが供給される。
【0026】図3は駆動回路素子9付近の拡大断面図で
ある。図3を併せて参照して、各駆動回路素子9は1つ
の駆動回路素子9あたり64ビットの出力で各発熱抵抗
体の配列方向密度が8ドット/mmのとき、発熱抵抗体
列8の配列方向と直交する方向の幅W1(例として1.
2mm)、配列方向長さL2(例として7mm)および
層厚t1(例として0.55mm)のサイズであり配列
ピッチP1(例として8mm)で配列される。また、前
記バンプ11は高さH1(例として50〜60μm)に
形成され、個別電極7と信号ライン10とにはたとえば
半田などにより接続される。このような接続法により、
駆動回路素子9の使用時において発生する熱はバンプ1
1を介して個別電極7および信号ライン10に放散され
る。
【0027】前記信号ライン10に外部から印画データ
などを供給するための外部配線基板12が、たとえば半
田や異方性導電体などにより信号ライン10に接続され
る。外部配線基板12は合成樹脂材料から成る電気絶縁
性の支持フィルム13と、この上に形成された回路配線
14とを含んで構成される。
【0028】前記薄膜共通電極6、個別電極7などを被
覆してたとえばスパッタリングなどの薄膜技術により前
記材料から成る耐摩耗層17が形成される。また駆動回
路素子9および、個別電極7と信号ライン10との駆動
回路素子9との接続に拘わる部分を被覆して、耐熱性基
板2とほぼ同等の線膨張係数を有し、比較的弾性率の低
い樹脂材料から成る保護層18が、たとえば耐熱性基板
2から高さd1(例として0.8mm以下)に形成され
る。
【0029】保護層18を形成する合成樹脂材料は前記
特性を満足する範囲で多種類の材料のいずれか1つが選
択されるが、好適な実施例では耐熱性樹脂、一例として
ポリエーテルアミドを基本分子とした合成樹脂材料であ
り、炭酸カルシウムCaCO3 などのセラミック材料ま
たは酸化亜鉛あるいは溶融シリカ(球状フィラー)など
から成り、ほぼ球形の形状を有するフィラーを分散した
混合材料が選ばれる。保護層として、ポリエーテルアミ
ド樹脂を基本材料としエポキシ樹脂を混合して前記フィ
ラーを混合してもよい。前記ポリエーテルアミドを基本
分子とする樹脂材料とフィラーとの混合比は、フィラー
を70〜95重量%、好ましくは80〜90重量%に選
ぶ。これはフィラーの混合比率を増減することにより保
護層18の線膨張係数が減少/増大するため、保護層1
8の線膨張係数を耐熱性基板2の線膨張係数とほぼ同等
の線膨張係数とするためである。
【0030】また前述したように保護層18を構成する
材料をポリエーテルアミド樹脂とエポキシ樹脂との混合
樹脂材料にフィラーを混合する場合、エポキシ樹脂の混
合比率は0.5〜5重量%が望ましいことが確認され
た。これは耐熱性基板2の表面には耐湿性の向上および
腐食防止のために合成樹脂材料から成る皮膜(以下、ソ
ルダーレジストと称する)が形成されている。このよう
なソルダーレジストと保護層18との密着強度を向上す
るために、前記エポキシ樹脂を混合するものであるが、
前記混合比率範囲未満では密着強度が低く、また前記範
囲を超える場合では、保護層18の線膨張係数が過度に
高くなるためである。前記フィラーの最大粒径は、バン
プの高さH1(50〜60μm)よりも小さく選ばれ、
好ましくは平均粒径13μm、最大粒径40μmに選ば
れる。
【0031】前記フィラーの径を上述のように選択する
根拠は、本件発明者の実験により下記のとおりである。
前述したようなフィラーの粒径は均一ではなく、或る範
囲でばらつきを有している。このとき図1および図3に
示されるように、駆動回路素子9と耐熱性基板2、具体
的には抵抗体層5とは前記バンプ11の高さH1を隔て
ている。したがって駆動回路素子9と抵抗体層5とに前
記高さH1程度の粒径のフィラーが入り込むと、サーマ
ルヘッド1の製造時および使用時における熱による膨張
/収縮時に駆動回路素子9の抵抗体層5に臨む能動面を
損傷する場合がある。このような事態を防止するため、
本発明ではフィラーの最大粒径をH1以下、たとえば最
大40μmに選んでいる。このようなフィラーは前記樹
脂材料に混合されたとき以下の機能を実現する。
【0032】(1)フィラーとの混合樹脂材料を駆動回
路素子9を被覆して塗布したとき、駆動回路素子9と耐
熱性基板2との間に形成される隙間に侵入してこれを充
填する。これによりこの隙間に空気層が形成される事態
を防止し、個別電極7や信号ライン10の腐食を防止
し、信頼性を向上させる。
【0033】(2)保護層18の表面の摩擦係数を低下
させ、サーマルヘッド1の使用時に感熱紙19の端部が
保護層18に接触した場合でも、これを円滑に滑走させ
紙詰まりを生じる事態を防止する。
【0034】(3)前記ポリエーテルアミドを基本分子
とする樹脂材料単独の場合と比較し、熱伝導率を増大
し、サーマルヘッド1の使用時に駆動回路素子9におい
て発生される熱の放散を向上する。
【0035】上述した構成の混合樹脂材料は本件発明者
の実験によれば、線膨張係数が0.5〜1.0×10-5
-1、ヤング率が100〜1000kg/mm2 、好適
には200〜800kg/mm2 、鉛筆硬度が3〜5H
以上にできることが確認された。前記混合樹脂材料のヤ
ング率を上述の範囲に選ぶのは、下記の点に因る。すな
わちヤング率が高いほど熱硬化後、耐熱性基板2を弯曲
させる力が増大する。したがって保護層18の熱硬化後
であっても耐熱性基板2における前記反りを実質的に抑
制できる範囲に選ばれる。このような特性の混合樹脂材
料を保護層18に用いることにより下記の効果が実現さ
れる。
【0036】本発明者等が繰返し行った実験によれば、
耐熱性基板2の線膨張係数aに対する保護層18の線膨
張係数bの比率b/aが0.4〜2.0の範囲内に、好
適には0.6〜1.4の範囲内にあれば、本発明の目的
が優位に達成でき、実用上支障がないことを確認した。
【0037】耐熱性基板2と保護層18との線膨張係数
をほぼ同等とし、また保護層18を比較的弾性率が小さ
い特性としたので、保護層18を形成するにあたり昇温
して硬化させ、その後、たとえば25℃程度の常温に復
帰する場合に、従来技術の項で述べたような線膨張係数
が相異する場合に生じる耐熱性基板2の反りの発生を防
止することができる。これにより耐熱性基板2と外部配
線基板12との接続における位置合わせを高精度に行う
ことができるとともに接続における作業性が向上し、ま
た作業の自動化が可能となる。さらに、耐熱性基板2と
放熱板15との接着に際して相互の位置決めが高精度か
つ容易に行うことができ、また従来技術の項で説明した
ような耐熱性基板2の反りに基づく感熱記録動作時の濃
度むらを防止し、印画品質を向上することができる。
【0038】以上のように本実施例では、耐熱性基板2
と保護層18との線膨張係数をほぼ同等とすることによ
り、前記製造時および使用時における駆動回路素子9か
らの発熱および、使用環境における熱の影響により耐熱
性基板2と保護層18との間で生じ得る応力を解消する
ことができ、保護層18が前記応力によりその周縁部に
おいて不所望に剥離する事態を防止できる。また弾性率
を従来技術におけるエポキシ系樹脂を用いた場合と比較
し、ほぼ半減しており、製造時における熱試験の熱サイ
クルおよび使用時の昇温に伴い保護層18にクラックが
生じる事態を防ぐことができる。このクラックの防止
は、従来技術で述べたように耐熱性基板2に反りが生じ
ないことによっても達成される。これにより信頼性を格
段に向上することができる。
【0039】前記混合樹脂材料の塗布量により耐熱性基
板2の反りの程度に変化が生じる事態を防止できるた
め、駆動回路素子9の大きさを変更した場合であって
も、同一の混合樹脂材料を用いて保護層18を形成で
き、サーマルヘッド1の特性に影響を及ぼす事態が防が
れる。
【0040】保護層18は前述したように比較的高硬度
かつ低摩擦係数である。これにより使用時における感熱
紙19や転写フィルムなどが保護層18に接触した場合
でも保護層18の変形や欠損の発生が防止でき、従来技
術の項で説明したヘッドカバー25の小形化を図ること
ができるとともに、保護層18の一部分を感熱紙19の
挿入時の案内手段の一部として使用することができ、部
品点数の削減と製造工程の簡略化とを図ることができ
る。
【0041】駆動回路素子9として、前記層厚t1=
0.55mmのサイズのものを使用する場合、従来例で
は保護層18の高さd1はたとえば1.2mm以下程度
であったのに対し、本実施例では前記高さd1を0.8
mm以下にできることを確認した。これは、従来のエポ
キシ樹脂を用いた場合、低熱膨張率化するために、より
多くのフィラーの含有が必要であり、そのために高粘度
となっていたためである。これによりプラテンローラ2
1と保護層18との間隔が増大されることになり、駆動
回路素子9と発熱抵抗体列8との距離L1を短縮するこ
とができ、サーマルヘッド1の小形化に寄与することが
できる。
【0042】上記実施例においては、耐熱性基板2がア
ルミナセラミックスであり、これに対して保護層18が
ポリエーテルアミドを基本分子とした樹脂であるが、本
発明によれば、この実施例に限らず、次の例によって
も、本発明の目的が達成できるものである。
【0043】すなわち、耐熱性基板と樹脂とを種々変更
しても、両者間のほぼ同等の線膨張係数に設定できるの
であれば、次の例1〜例9の各組合わせであってもよ
い。ただし()内の数は線膨張係数(℃-1)である。
【0044】 (例1)基板:AlN←→樹脂:ポリエーテルアミドを
ベース(0.5×10-5) (例2)基板:SiC←→樹脂:ポリエーテルアミドを
ベース(0.4×10-5) (例3)基板:ジルコニア←→樹脂:ポリエーテルアミ
ドをベース(1.1×10-5) (例4)基板:ポリフェニレンサルファイド樹脂←→樹
脂:エポキシ系(2.5×10-5) (例5)基板:アルミ金属←→樹脂:エポキシ系(2.4
×10-5) (例6)基板:Cu金属←→樹脂:エポキシ系(1.7×
10-5) (例7)基板:Fe金属←→樹脂:ポリエーテルアミド
をベース(1.2×10-5) (例8)基板:Fe−Ni合金←→樹脂:ポリエーテル
アミドをベース(0.7×10-5) (例9)基板:Ni金属←→樹脂:ポリエーテルアミド
をベース(1.3×10-5)
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、駆動回路素子は、基板
の線膨張係数とほぼ同等の線膨張係数を有し、かつ最大
粒径が駆動回路素子の下面に設けられたバンプの高さよ
りも小さい無機質フィラーを含有する樹脂材料から成る
保護層で被覆される。したがって保護層の形成時または
使用時に比較的高温状態となっても駆動回路素子の能動
面が樹脂中のフィラーによって押圧されることがなく、
駆動回路素子の能動面の損傷を有効に防止でき、その
後、温度が降下する際に、これらの間に降温による収縮
量の大幅な差が生ぜず、たとえば耐熱性基板に反りを生
じる事態を防いでいる。これにより印画品質が格段に向
上される。またサーマルヘッドの製造工程時においても
耐熱性基板に不所望な反りを生じないように維持するこ
とができ、耐熱性基板に位置決めされて接続される他の
構成要素との間で位置決めが容易になるとともに作業工
程が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するサーマルヘッド1
の断面図である。
【図2】サーマルヘッド1の斜視図である。
【図3】駆動回路素子9付近の拡大断面図である。
【図4】従来例のサーマルヘッド1aを示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド 2 耐熱性基板 7 個別電極 8 発熱抵抗体列 9 駆動回路素子 10 信号ライン 11 バンプ 12 外部配線基板 15 放熱板 18 保護層 19 感熱紙 21 プラテンローラ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/335

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の発熱抵抗体が直線状に配列され
    た基板上に、下面に高さH1のバンプを有する複数個の
    駆動回路素子を、フェイスダウンボンディングによって
    配列実装し、 前記基板の線膨張係数と、ほぼ同等の線膨張係数を有
    し、かつ最大粒径がH1よりも小さい無機質フィラーを
    含有する樹脂から成る保護層で前記複数個の駆動回路素
    子を被覆することを特徴とするサーマルヘッド。
JP3285057A 1990-10-31 1991-10-30 サーマルヘッド Expired - Fee Related JP2788562B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3285057A JP2788562B2 (ja) 1990-10-31 1991-10-30 サーマルヘッド

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-114903 1990-10-31
JP11490390 1990-10-31
JP3285057A JP2788562B2 (ja) 1990-10-31 1991-10-30 サーマルヘッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0531934A JPH0531934A (ja) 1993-02-09
JP2788562B2 true JP2788562B2 (ja) 1998-08-20

Family

ID=26453552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3285057A Expired - Fee Related JP2788562B2 (ja) 1990-10-31 1991-10-30 サーマルヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2788562B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5834441B2 (ja) * 2011-03-25 2015-12-24 セイコーエプソン株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンター

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62279962A (ja) * 1986-05-29 1987-12-04 Tdk Corp サ−マルヘツド
JPH0215359U (ja) * 1988-07-12 1990-01-31

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0531934A (ja) 1993-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9050826B2 (en) Thermal head and thermal printer equipped with the same
JP2009226868A (ja) サーマルプリントヘッド
US6335750B2 (en) Thermal print head
JP2788562B2 (ja) サーマルヘッド
JP5802032B2 (ja) サーマルプリントヘッド
JP5080335B2 (ja) サーマルプリントヘッド
JP3103551B2 (ja) サーマルプリントヘッド
CN212353294U (zh) 一种能够抑制基板弯曲的热敏打印头
JP2019031058A (ja) サーマルプリントヘッド及びサーマルプリンタ
WO2020241581A1 (ja) サーマルプリントヘッド
JPH0994991A (ja) サーマルプリントヘッド
JP6643207B2 (ja) サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
EP3842242B1 (en) Thermal head and thermal printer
JP2019098667A (ja) サーマルプリントヘッド
JP7444972B2 (ja) サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
JP6012201B2 (ja) サーマルプリントヘッドおよびその製造方法
JP7454696B2 (ja) サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
US11498342B2 (en) Thermal head and thermal printer
JP6080668B2 (ja) サーマルプリントヘッドおよびその製造方法
JPH0852890A (ja) サーマルプリントヘッド
JPH0939281A (ja) 熱印字ヘッド
JP2023128840A (ja) サーマルプリントヘッド
JP2023072918A (ja) サーマルプリントヘッド、およびサーマルプリントヘッドの製造方法
JP3004095B2 (ja) サーマルヘッドの製造方法
CN111942029A (zh) 一种能够抑制基板弯曲的热敏打印头

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090605

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090605

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100605

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110605

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees