JP2019098667A - サーマルプリントヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】 放熱性を向上させることが可能なサーマルプリントヘッドを提供する。【解決手段】 z方向を向く主面11を有する基板10と、主面11に積層されたグレーズ層20と、グレーズ層20の上に配置された電極30と、主走査方向に配列され、かつ各々が電極30に導通する複数の発熱部を含む抵抗体40と、を備え、基板10の主成分は、窒化アルミニウムであり、グレーズ層20は、主面11を覆う第1層21と、第1層21を覆い、かつ電極30が配置される第2層と、を有し、第1層21の構成材料は、半結晶化ガラスであり、第2層22の構成材料は、非晶質ガラスである。【選択図】 図6
Description
本発明は、サーマルプリントヘッドに関する。
サーマルプリントヘッドは、感熱紙などの記録媒体に印字するサーマルプリンタの主たる構成要素である。特許文献1には、従来のサーマルプリントヘッドの一例が開示されている。同文献に開示されているサーマルプリントヘッドは、絶縁性基板と、絶縁性基板の上を覆うグレーズ層と、グレーズ層の上に配置された電極と、電極に導通し、かつ主走査方向に配列された複数の発熱部(発熱抵抗体を構成)とを備える。電極を介した通電により複数の発熱部が選択的に発熱することによって、記録媒体にドット印字がされる。
近年では、高速印字が可能なサーマルプリントヘッドが要求されている。高速印字を可能とするためには、通電により温度が上昇した複数の発熱部の温度を、より速やかに下げる必要がある。また、複数の発熱部において温度が上昇した状態が継続すると、にじみなどが発生し、印字品質が低下する。複数の発熱部の温度を、より速やかに下げるためには、複数の発熱部から発せられた熱を効率よく外部に放出させる必要がある。
本発明は上述の事情に鑑み、放熱性を向上させることが可能なサーマルプリントヘッドを提供することをその課題とする。
本発明によれば、厚さ方向を向く主面を有する基板と、前記主面に積層されたグレーズ層と、前記グレーズ層の上に配置された電極と、主走査方向に配列され、かつ各々が前記電極に導通する複数の発熱部を含む抵抗体と、を備え、前記基板の主成分は、窒化アルミニウムであり、前記グレーズ層は、前記主面を覆う第1層と、前記第1層を覆い、かつ前記電極が配置される第2層と、を有し、前記第1層の構成材料は、半結晶化ガラスであり、前記第2層の構成材料は、非晶質ガラスであることを特徴とするサーマルプリントヘッドが提供される。
本発明の実施において好ましくは、前記第1層の内部には、複数の気泡が形成されている。
本発明の実施において好ましくは、複数の前記気泡は、前記主面と前記第1層との境界近傍に位置する。
本発明の実施において好ましくは、複数の前記発熱部は、前記グレーズ層に接している。
本発明の実施において好ましくは、複数の前記気泡は、主走査方向および副走査方向において一様に分布している。
本発明の実施において好ましくは、前記基板の厚さ方向視において、複数の前記気泡の一部が前記発熱部に重なっている。
本発明の実施において好ましくは、複数の前記気泡の最大直径は、前記第1層の厚さの半分以下である。
本発明の実施において好ましくは、前記第1層のガラス転移点は、前記第2層のガラス転移点よりも高い。
本発明の実施において好ましくは、前記第1層の成分は、酸化ホウ素を含む。
本発明の実施において好ましくは、前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さと同一である。
本発明の実施において好ましくは、前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さよりも小である。
本発明の実施において好ましくは、前記グレーズ層は、前記主面の全体を覆っている。
本発明の実施において好ましくは、前記電極は、共通電極および複数の個別電極を有し、前記共通電極は、前記抵抗体とは副走査方向に離間し、かつ主走査方向に延びる連結部と、各々が前記連結部から前記抵抗体に向けて延びる複数の第1帯状部と、を有し、各々の前記個別電極は、副走査方向において前記抵抗体に対して前記連結部とは反対側から前記抵抗体に向けて延びる第2帯状部を有し、前記第2帯状部は、主走査方向において隣り合う2つの前記第1帯状部の間に位置する。
本発明の実施において好ましくは、前記抵抗体は、複数の前記第1帯状部および複数の前記第2帯状部の双方に交差している。
本発明の実施において好ましくは、前記第1帯状部および前記第2帯状部は、前記グレーズ層と前記抵抗体との間に挟まれた区間を有する。
本発明の実施において好ましくは、前記グレーズ層に接し、かつ前記電極の一部および前記抵抗体を覆う保護層をさらに備える。
本発明にかかるサーマルプリントヘッドによれば、放熱性を向上させることが可能となる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
図1〜図10に基づき、本発明の一実施形態にかかるサーマルプリントヘッドA10について説明する。サーマルプリントヘッドA10は、基板10、グレーズ層20、電極30および抵抗体40を備える。さらに、サーマルプリントヘッドA10は、保護層50、ワイヤ60、駆動IC71、封止樹脂72、コネクタ73および放熱器74を備える。これらの図のうち、図4は、理解の便宜上、保護層50を透過している。
これらの図に示すサーマルプリントヘッドA10は、抵抗体40に含まれる複数の発熱部41(詳細は後述)を選択的に発熱させることによって、感熱記録紙などの記録媒体81に印字を施す電子デバイスである。サーマルプリントヘッドA10の構造は、いわゆる平面型であるため、適用される記録媒体81は、ロール紙など予め曲げられたものに限定される。また、サーマルプリントヘッドA10は、印刷および焼成により抵抗体40が形成された、いわゆる厚膜型である。
ここで、説明の便宜上、サーマルプリントヘッドA10の主走査方向を「x方向」と呼び、サーマルプリントヘッドA10の副走査方向を「y方向」と呼ぶ。また、基板10の厚さ方向を「z方向」と呼ぶ。z方向は、x方向およびy方向の双方に対して直交している。さらに、以下の説明では、基板10の厚さ方向視を「平面視」と呼ぶ。
基板10は、図1および図2に示すように、x方向に延びる帯状とされている。基板10は、窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスである。基板10の構成材料は、窒化アルミニウム、および合成樹脂バインダなどである。なお、基板10の構成材料は、これらに加えて遮光材料を含めてもよい。当該遮光材料は、たとえば炭素(C)である。サーマルプリントヘッドA10では、基板10の厚さは、0.6mmとされている。また、基板10の物性値は、熱伝導率が80〜180W/(m・K)、熱膨張率が4.0〜4.5×10−6/Kである。図3に示すように、基板10は、z方向において互いに反対側を向く主面11および裏面12を有する。
グレーズ層20は、図6および図7に示すように、基板10の主面11に積層されている。サーマルプリントヘッドA10では、グレーズ層20は、主面11の全体を覆っている。グレーズ層20は、第1層21および第2層22を有する。グレーズ層20は、主面11に対して第1層21、第2層22の順に積層された二層構成となっている。グレーズ層20は、端面20Aおよび表面20Bを有する。端面20Aは、y方向のうち一方を向く。表面20Bは、z方向において主面11と同じ側を向く。表面20Bは、第2層22の一部をなしている。表面20Bと端面20Aとの境界付近に位置する端面20Aの上端は、曲面となっている。
図6および図7に示すように、第1層21は、基板10の主面11に接し、かつ主面11の全体を覆っている。第1層21の構成材料は、半結晶化(準結晶)ガラスである。第1層21は、白色を呈する。第1層21の成分は、酸化ホウ素(B2O3)を含む。第1層21を構成する半結晶ガラスは、たとえばSiO2−B2O3−Al2O3−ZrO2系ガラスである。第1層21のガラス転移点は、約740℃である。サーマルプリントヘッドA10では、第1層21の厚さT1は、30μmとされている。
図6および図7に示すように、第1層21の内部には、複数の第1気泡211が形成されている。複数の第1気泡211が、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「複数の気泡」に相当する。複数の第1気泡211は、基板10の主面11と第1層21との境界近傍に位置する。また、複数の第1気泡211は、x方向およびy方向において一様に分布している。第1気泡211の最大直径は、第1層21の厚さの半分以下である。サーマルプリントヘッドA10では、複数の第1気泡211の最大直径は、15μm以下とされている。図8では、複数の第1気泡211の直径D1,D2,D3を示している。直径D1が複数の第1気泡211の最大直径を示しており、直径D3が複数の第1気泡211の最小直径を示している。また、これらの直径の大小関係は、直径D1、直径D2、直径D3の順に小となっている。
図6および図7に示すように、第2層22は、z方向において基板10の主面11と同じ側を向く第1層21の面に接し、かつ第1層21の当該面の全体を覆っている。第2層22の構成材料は、非晶質ガラスである。第2層22は、透明または白色を呈する。第2層22を構成する非晶質ガラスは、SiO2−BaO−Al2O3−SnO−ZnO系ガラスである。第2層22のガラス転移点は、約680℃である。このため、第1層21のガラス転移点は、第2層22のガラス転移点よりも高い。第2層22の厚さT2は、第1層21の厚さT1と同一である。サーマルプリントヘッドA10では、第2層22の厚さT2は、30μmとされている。なお、図9に示すように、第2層22の厚さT2は、第1層21の厚さT1よりも小とすることができる。図8に示すように、第2層22の内部には、複数の第2気泡221が形成されている。複数の第2気泡221の最大直径は、複数の第1気泡211の直径D3よりも極めて小である。複数の第2気泡221は、x方向およびy方向において一様に分布している。複数の第2気泡221の大半は、第2層22の内部に留まっている。このため、グレーズ層20の表面20Bは、比較的平滑となっている。
ここで、基板10と、グレーズ層20(第1層21および第2層22)との熱膨張率について説明する。第1層21および第2層22の熱膨張率は、基板10の熱膨張率よりも高い。また、第1層21の熱膨張率は、第2層22の熱膨張率よりも低い。したがって、基板10およびグレーズ層20の熱膨張率は、基板10、第1層21、第2層22の順に高くなる。
電極30は、図4および図5に示すように、グレーズ層20の上に位置する表面20Bに配置されている。電極30は、抵抗体40に通電するための導電経路を形成している。電極30は、共通電極31および複数の個別電極32を有する。共通電極31は、負極であり、複数の個別電極32は、正極である。電極30では、複数の個別電極32から抵抗体40を経由して共通電極31に向けて電流が流れる。電極30の構成材料の一例として、金(Au)を主成分とするレジネートペーストが挙げられる。電極30の厚さは、0.6〜1.2μmである。
図4および図5に示すように、共通電極31は、第1連結部312および複数の第1帯状部311を有する。第1連結部312は、抵抗体40とはy方向に離間し、かつx方向に延びる帯状である。第1連結部312が、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「連結部」に相当する。第1連結部312は、y方向における基板10の一端寄りに配置されている。第1連結部312の位置は、電極30に流れる電流のy方向における下流端にあたる。また、複数の第1帯状部311は、各々が第1連結部312から抵抗体40に向けて延びる帯状である。複数の第1帯状部311は、等間隔となるようにx方向に配列されている。各々の第1帯状部311は、基部311Aおよび延出部311Bを有する。基部311Aは、矩形状であり、かつy方向における一端が第1連結部312につながっている。延出部311Bは、基部311Aから抵抗体40に向けて延びている。基部311Aおよび延出部311Bの幅(x方向における長さ)は、延出部311Bの幅の方が、基部311Aの幅よりも小である。なお、延出部311Bの幅は、25μm以下とされている。基部311Aは、y方向において第1連結部312と延出部311Bとの間に挟まれている。
サーマルプリントヘッドA10では、図5に示すように、共通電極31の第1連結部312には、金属薄層301が積層されている。金属薄層301は、x方向に延びている。金属薄層301の構成材料は、銀(Ag)粒子と、ガラスフリットとが含有された導電性ペーストである。金属薄層301の電気抵抗率は、電極30の電気抵抗率よりも低い。このため、第1連結部312に流れる電流の一部が金属薄層301に流れるため、共通電極31において電流をより速やかに流下させることができる。
図4および図5に示すように、複数の個別電極32は、y方向において抵抗体40に対して共通電極31の第1連結部312とは反対側から抵抗体40に向けて延びている。複数の個別電極32は、グレーズ層20の表面20Bにおいて、各々の駆動IC71に対応した束状となって配置されている。複数の個別電極32は、抵抗体40において選択された部分に電圧を印加する。複数の個別電極32は、x方向に配列されている。各々の個別電極32は、第2帯状部321、第2連結部322および接続部323を有する。
図4および図5に示すように、第2帯状部321は、y方向において抵抗体40に対して共通電極31の第1連結部312とは反対側から、抵抗体40に向けて延びる帯状である。第2帯状部321は、x方向において隣り合う2つの共通電極31の第1帯状部311の間に位置する。第2帯状部321は、基部321Aおよび延出部321Bを有する。基部321Aは、矩形状であり、かつy方向における一端が第2連結部322につながっている。延出部321Bは、基部321Aから抵抗体40に向けて延びている。基部321Aおよび延出部321Bの幅(x方向における長さ)は、延出部321Bの幅の方が、基部321Aの幅よりも小である。なお、延出部321Bの幅は、25μm以下とされている。基部321Aは、y方向において第2連結部322と延出部321Bとの間に挟まれている。
図4に示すように、第2連結部322は、第2帯状部321からy方向において抵抗体40から遠ざかる側に延びる帯状であり、かつ第2帯状部321と接続部323とを連結している。第2連結部322は、平行部322Aおよび斜行部322Bを有する。平行部322Aは、一端が接続部323につながり、かつy方向に沿っている。平行部322Aの幅(x方向における長さ)は、20μm以下とされている。斜行部322Bは、y方向に対して傾斜している。斜行部322Bは、y方向において平行部322Aと、第2帯状部321の基部321Aとの間に挟まれている。また、図3に示すように、各々の駆動IC71に対応して束状に配置された複数の個別電極32では、x方向における両端での平行部322Aと斜行部322Bとの境界位置に、y方向に沿ったずれΔLが生じている。
図4に示すように、接続部323は、y方向において第2連結部322に対して第2帯状部321とは反対側に位置する。接続部323は、第2連結部322の平行部322Aにつながっている。接続部323は、第1接続部323Aおよび第2接続部323Bを含む。隣り合う2つの第1接続部323Aに挟まれた平行部322Aの幅(x方向における長さ)は、10μm以下とされている。また、第2接続部323Bは、y方向において第1接続部323Aよりもさらに抵抗体40から遠ざかる側に位置する。第2接続部323Bは、隣り合う2つの第1接続部323Aに挟まれた平行部322Aにつながっている。
抵抗体40は、図4および図5に示すように、x方向に延びる帯状である。抵抗体40は、複数の第1帯状部311(共通電極31)と、複数の第2帯状部321(複数の個別電極32)との双方に交差している。また、図6および図7に示すように、第1帯状部311および第2帯状部321は、グレーズ層20と抵抗体40との間に挟まれた区間を有する。平面視において、隣り合う第1帯状部311の当該区間と、第2帯状部321の当該区間との間に挟まれた抵抗体40の領域が、電極30により選択的に通電されることによって発熱する発熱部41とされている。発熱部41が発熱することによって、図3に示す記録媒体81にドット印字がされる。抵抗体40の構成材料は、電極30の構成材料よりも電気抵抗率が高い。抵抗体40の構成材料は、たとえば酸化ルテニウム(RuO2)およびガラスフリットが含有された電気抵抗率が比較的高い導電性ペーストである。抵抗体40の厚さは、4〜6μmとされている。
図8に示すように、複数の発熱部41は、グレーズ層20の表面20Bに接している。また、平面視において、複数の第1気泡211の一部が発熱部41に重なっている。
保護層50は、図6および図7に示すように、グレーズ層20の表面20Bに接し、かつ電極30の一部および抵抗体40を覆っている。保護層50は、接続部323を含む複数の個別電極32の領域を露出させている。保護層50の構成材料は、非晶質ガラスである。図8において示す保護層50の厚さt0(z方向におけるグレーズ層20の表面20Bから後述する頂面50Bまでの長さ)は、約10μmである。保護層50は、端面50Aおよび頂面50Bを有する。端面50Aは、y方向のうちグレーズ層20の端面20Aが向く側を向く。頂面50Bは、z方向において基板10の主面11と同じ側を向く。頂面50Bと端面50Aとの境界付近に位置する端面50Aの上端は、曲面となっている。z方向における端面50Aの下端は、端面20Aと面一である。
図6および図7では、保護層50の厚さt1,t2,t3を示している。厚さt1は、z方向における電極30の上端から保護層50の頂面50Bまでの長さである。厚さt1は、約8μmである。厚さt2は、z方向における抵抗体40の上端から頂面50Bまでの長さである。厚さt2は、約3μmである。厚さt3は、z方向における金属薄層301の上端から頂面50Bまでの長さである。厚さt3は、約4μmである。また、図6および図7に示すように、z方向において、電極30を覆う保護層50の頂面50Bと、抵抗体40を覆う保護層50の頂面50Bとの間に、段差Δtが形成されている。
駆動IC71は、図1および図3に示すように、基板10の主面11に搭載され、かつ複数の個別電極32を選択的に通電させる。これにより、抵抗体40に含まれる複数の発熱部41が選択的に発熱する。駆動IC71には、複数のパッド(図示略)が設けられている。なお、駆動IC71は、y方向において基板10とは分離され、かつ放熱器74に支持された配線基板に搭載してもよい。当該配線基板は、たとえばガラスエポキシ樹脂を構成材料とする基材の上に、銅などの金属からなる配線が配置されたものである。
ワイヤ60は、図3および図4に示すように、駆動IC71の各々のパッドと、各々の個別電極32の接続部323とを接続している。これにより、駆動IC71は、複数の個別電極32に導通している。また、ワイヤ60は、駆動IC71の各々のパッドと、基板10の主面11に配置された配線(図示略)とを接続している。ワイヤ60の構成材料は、たとえば金である。
封止樹脂72は、図1および図3に示すように、駆動IC71およびワイヤ60を覆っている。さらに、封止樹脂72は、保護層50から露出している複数の個別電極32の領域(接続部323など)を覆っている。封止樹脂72の構成材料は、たとえばアンダーフィルの用途にされる、黒色かつ軟質の合成樹脂である。
コネクタ73は、図1〜図3に示すように、y方向において駆動IC71に対して電極30および抵抗体40とは反対側に位置する基板10の端部に設けられている。コネクタ73は、サーマルプリントヘッドA10をサーマルプリンタに接続するための外部接続端子である。コネクタ73は、基板10の主面11に配置された配線に接続され、かつワイヤ60および駆動IC71を介して複数の個別電極32に導通している。また、コネクタ73は、主面11に配置された配線を介して共通電極31の第1連結部312に導通している。
放熱器74は、図2および図3に示すように、基板10の裏面12に接合材(図示略)を介して接合されている。接合材は、たとえば熱伝導率が比較的高い両面テープである。放熱器74の構成材料は、たとえばアルミニウム(Al)である。
図10に示すように、x方向における基板10の両端には、裏面12につながる切欠面13が形成されている。切欠面13は、裏面12と、yz面(y方向およびz方向に沿った面)との双方に対して傾斜し、かつy方向において一様に形成されている。切欠面13は、サーマルプリントヘッドA10の製造において基板10を切断するために形成された切り込み溝の痕跡である。当該切り込み溝は、ダイヤモンドカッタなどにより形成される。なお、yz面に投影した切欠面13の長さは、1.3〜1.6μmである。
次に、サーマルプリントヘッドA10の作動について説明する。
図3に示すように、サーマルプリントヘッドA10の複数の発熱部41は、サーマルプリンタに組み込まれたプラテンローラ82に対向している。複数の発熱部41を覆う保護層50の領域と、プラテンローラ82との間に、記録媒体81が挟まれている。サーマルプリンタの使用時では、プラテンローラ82が回転することにより、記録媒体81が一定速度で送られる。その際、複数の発熱部41が選択的に発熱することにより、熱が保護層50を介して記録媒体81に伝わり、記録媒体81に印字が施される。同時に、複数の発熱部41から発せられた熱は、グレーズ層20にも伝わる。グレーズ層20に伝わった熱の一部は、グレーズ層20に蓄えられ、残りの熱は、基板10および放熱器74を介して外部に放出される。
次に、図11〜図16に基づき、サーマルプリントヘッドA10の製造方法の一例について説明する。
まず、図11に示すように、基板10を用意する。基板10は、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスである。
次いで、図12に示すように、基板10の主面11に積層される第1層21を形成する。第1層21の形成は、半結晶化ガラスのペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより行う。半結晶化ガラスの焼成では、焼成炉の温度を半結晶化ガラスの結晶化温度(790〜870℃)よりも高い温度まで上昇させた後、温度を保持せずに徐々に降下させる。このように形成された第1層21の内部には、複数の第1気泡211が形成される。複数の第1気泡211は、主面11と第1層21との境界近傍に留まる。複数の第1気泡211は、半結晶化ガラスの焼成において、半結晶化ガラスを構成する酸化物(SiO2およびB2O3など)の一部が基板10に含まれる窒化アルミニウムに反応して酸素(O2)が熱分解するために発生する。
次いで、図13に示すように、第1層21に積層される第2層22を形成する。第2層22の形成は、非晶質ガラスのペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより行う。非晶質ガラスの焼成では、焼成炉の温度を非晶質ガラスのガラス転移点(約680℃)よりも高く、かつ第1層21を構成する半結晶化ガラスのガラス転移点(約740℃)よりも低い温度とする。また、第2層22の厚さT2は、第1層21の厚さT1と同一、または厚さT1よりも小とする。このように形成されたグレーズ層20(第2層22)の表面20Bは、平滑性が確保されたものとなる。なお、第2層22の内部には、複数の第2気泡221が形成されている。複数の第2気泡221は、第2層22の構成材料である非晶質ガラスに元々取り込まれていた空気に由来する。複数の第2気泡221は、複数の第2気泡221と比較して微細なものであるため、表面20Bの平滑性に影響を与えない。
次いで、図14に示すように、グレーズ層20の表面20Bに配置される電極30を形成する。電極30の形成にあたっては、まず、金を主成分とするレジネートペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより導電体層を形成する。そして、導電体層にエッチングによるパターニングを施すことにより、電極30が形成される。電極30を形成した後、電極30の一部の領域(共通電極31の第1連結部312)に積層される金属薄層301を形成する。金属薄層301の形成は、銀粒子と、ガラスフリットとが含有された導電性ペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより行う。
次いで、図14に示すように、電極30に導通する抵抗体40を形成する。抵抗体40の形成は、酸化ルテニウムおよびガラスフリットが含有された電気抵抗率が比較的高い導電性ペーストを厚膜印刷し、これを焼成することにより行う。この後、抵抗体40の抵抗値を調整するためのトリミングを適宜行う。
次いで、図15に示すように、グレーズ層20の表面20Bに接し、かつ電極30の一部および抵抗体40を覆う保護層50を形成する。保護層50の形成は、非晶質ガラスのペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより行う。保護層50を形成した後、ダイボンディングにより基板10に駆動IC71を搭載し、ワイヤボンディングによりワイヤ60を形成し、封止樹脂72を形成する。この後、y方向に沿って基板10を切断する。最後に、基板10にコネクタ73および放熱器74を取り付けることによって、サーマルプリントヘッドA10が得られる。
次に、サーマルプリントヘッドA10の作用効果について説明する。
サーマルプリントヘッドA10を構成する基板10の主成分は、窒化アルミニウムである。窒化アルミニウムを主成分とする基板10の熱伝導率は、80〜180W/(m・K)であり、サーマルプリントヘッドにおいて一般的に使用されるアルミナを主成分とした基板の熱伝導率(約20W/(m・K))よりも高い。このため、発熱部41で生じた熱をより速やかに外部に放出することができる。したがって、サーマルプリントヘッドA10によれば、放熱性を向上させることが可能となる。
サーマルプリントヘッドA10の放熱性を向上させることにより、記録媒体81への印字品質、並びに抵抗体40の耐久性を向上させることができる。また、複数の発熱部41の温度分布の偏りが抑制され、記録媒体81の発色がより均一されたものとなる。
サーマルプリントヘッドA10を構成するグレーズ層20は、基板10の主面11を覆う第1層21と、第1層21を覆う第2層22とを有する。第1層21の構成材料は、半結晶ガラスであり、第2層22の構成材料は、非晶質ガラスである。サーマルプリントヘッドA10の製造過程における第1層21の形成の際、第1層21が基板10と反応することにより、複数の第1気泡211が第1層21の内部に発生する。しかし、第1層21の構成材料が半結晶ガラスであるため、複数の第1気泡211は第1層21の内部に留まる。この状態で第2層22を形成することにより、複数の第1気泡211がグレーズ層20の表面20Bに浮き上がることを防止できる。したがって、表面20Bは平滑性が確保されたものとなるため、サーマルプリントヘッドA10の製造過程において、オープン不良などの不具合が発生することなく電極30を形成することができる。
第1層21の熱膨張率は、それを構成する材料特性から基板10の熱膨張率よりも高い。このため、基板10の主面11と第1層21との境界において、x方向およびy方向に熱ひずみが発生する。サーマルプリントヘッドA10では、複数の第1気泡211が当該境界の近傍に位置するため、複数の第1気泡211により熱ひずみが緩和される。したがって、複数の第1気泡211により主面11に発生する熱応力を緩和し、当該境界における層間剥離などを防止することができる。また、複数の第1気泡211は、x方向およびy方向において一様に分布している。これにより、主面11に発生する熱応力を、複数の第1気泡211により偏りなく一様に緩和することができる。
第1層21のガラス転移点は、第2層22のガラス転移点よりも高い。このため、第1層21の熱膨張率は、基板10の熱膨張率と、第2層22の熱膨張率との間の値をとる。これにより、基板10の主面11を第2層22が直接覆う構成と比較して、主面11に発生する熱応力を緩和することができる。また、サーマルプリントヘッドA10の製造過程における第2層22の形成の際、第2層22の焼成温度を第1層21のガラス転移点よりも低い温度とすることができる。これにより、第1層21の軟化が回避され、グレーズ層20の表面20Bに凹凸が発生することや、複数の第1気泡211が浮き上がることを防止できる。なお、第1層21の成分に酸化ホウ素が含まれることにより、第1層21のガラス転移点が第2層22のガラス転移点よりも高くなる。
さらに、平面視において、複数の第1気泡211の一部が発熱部41に重なっている。これにより、グレーズ層20の蓄熱機能を適切な状態で維持可能であり、発熱部41の極度な温度低下を防止できる。
第2層22の厚さT2は、グレーズ層20の蓄熱機能と、グレーズ層20の表面20Bの平滑性とが損なわれない範囲内で、第1層21の厚さT1よりも小としてもよい。これにより、サーマルプリントヘッドA10の放熱性を、より向上させることができる。
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A10:サーマルプリントヘッド
10:基板
11:主面
12:裏面
13:切欠面
20:グレーズ層
20A:端面
20B:表面
21:第1層
211:第1気泡
22:第2層
221:第2気泡
30:電極
301:金属薄層
31:共通電極
311:第1帯状部
311A:基部
311B:延出部
312:第1連結部
32:個別電極
321:第2帯状部
321A:基部
321B:延出部
322:第2連結部
322A:平行部
322B:斜行部
323:接続部
323A:第1接続部
323B:第2接続部
40:抵抗体
41:発熱部
50:保護層
50A:端面
50B:頂面
60:ワイヤ
71:駆動IC
72:封止樹脂
73:コネクタ
74:放熱器
81:記録媒体
82:プラテンローラ
T1,T2:厚さ
t0,t1,t2,t3:厚さ
D1,D2,D3:直径
ΔL:ずれ
Δt:段差
10:基板
11:主面
12:裏面
13:切欠面
20:グレーズ層
20A:端面
20B:表面
21:第1層
211:第1気泡
22:第2層
221:第2気泡
30:電極
301:金属薄層
31:共通電極
311:第1帯状部
311A:基部
311B:延出部
312:第1連結部
32:個別電極
321:第2帯状部
321A:基部
321B:延出部
322:第2連結部
322A:平行部
322B:斜行部
323:接続部
323A:第1接続部
323B:第2接続部
40:抵抗体
41:発熱部
50:保護層
50A:端面
50B:頂面
60:ワイヤ
71:駆動IC
72:封止樹脂
73:コネクタ
74:放熱器
81:記録媒体
82:プラテンローラ
T1,T2:厚さ
t0,t1,t2,t3:厚さ
D1,D2,D3:直径
ΔL:ずれ
Δt:段差
Claims (16)
- 厚さ方向を向く主面を有する基板と、
前記主面に積層されたグレーズ層と、
前記グレーズ層の上に配置された電極と、
主走査方向に配列され、かつ各々が前記電極に導通する複数の発熱部を含む抵抗体と、を備え、
前記基板の主成分は、窒化アルミニウムであり、
前記グレーズ層は、前記主面を覆う第1層と、前記第1層を覆い、かつ前記電極が配置される第2層と、を有し、
前記第1層の構成材料は、半結晶化ガラスであり、
前記第2層の構成材料は、非晶質ガラスであることを特徴とする、サーマルプリントヘッド。 - 前記第1層の内部には、複数の気泡が形成されている、請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
- 複数の前記気泡は、前記主面と前記第1層との境界近傍に位置する、請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
- 複数の前記発熱部は、前記グレーズ層に接している、請求項2または3に記載のサーマルプリントヘッド。
- 複数の前記気泡は、主走査方向および副走査方向において一様に分布している、請求項4に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記基板の厚さ方向視において、複数の前記気泡の一部が前記発熱部に重なっている、請求項5に記載のサーマルプリントヘッド。
- 複数の前記気泡の最大直径は、前記第1層の厚さの半分以下である、請求項2ないし6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記第1層のガラス転移点は、前記第2層のガラス転移点よりも高い、請求項2ないし7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記第1層の成分は、酸化ホウ素を含む、請求項8に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さと同一である、請求項8または9に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さよりも小である、請求項8または9に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記グレーズ層は、前記主面の全体を覆っている、請求項2ないし11のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記電極は、共通電極および複数の個別電極を有し、
前記共通電極は、前記抵抗体とは副走査方向に離間し、かつ主走査方向に延びる連結部と、各々が前記連結部から前記抵抗体に向けて延びる複数の第1帯状部と、を有し、
各々の前記個別電極は、副走査方向において前記抵抗体に対して前記連結部とは反対側から前記抵抗体に向けて延びる第2帯状部を有し、
前記第2帯状部は、主走査方向において隣り合う2つの前記第1帯状部の間に位置する、請求項2ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記抵抗体は、複数の前記第1帯状部および複数の前記第2帯状部の双方に交差している、請求項13に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記第1帯状部および前記第2帯状部は、前記グレーズ層と前記抵抗体との間に挟まれた区間を有する、請求項14に記載のサーマルプリントヘッド。
- 前記グレーズ層に接し、かつ前記電極の一部および前記抵抗体を覆う保護層をさらに備える、請求項2ないし15のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017233959A JP2019098667A (ja) | 2017-12-06 | 2017-12-06 | サーマルプリントヘッド |
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JP2017233959A JP2019098667A (ja) | 2017-12-06 | 2017-12-06 | サーマルプリントヘッド |
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JP2019098667A true JP2019098667A (ja) | 2019-06-24 |
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JP2017233959A Pending JP2019098667A (ja) | 2017-12-06 | 2017-12-06 | サーマルプリントヘッド |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020192562A (ja) * | 2019-05-27 | 2020-12-03 | 千住金属工業株式会社 | はんだペースト及びはんだペースト用フラックス |
-
2017
- 2017-12-06 JP JP2017233959A patent/JP2019098667A/ja active Pending
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JP2020192562A (ja) * | 2019-05-27 | 2020-12-03 | 千住金属工業株式会社 | はんだペースト及びはんだペースト用フラックス |
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