JP2788076B2 - 加水分解性シリル基含有アゾ系化合物 - Google Patents

加水分解性シリル基含有アゾ系化合物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、加水分解性シリル基含有アゾ系化合物に関
する。
[従来の技術・発明が解決しようとする課題] ビニル系重合体の分子末端に種々の官能基を導入し、
その官能基をビニル系重合体の架橋や分散粒子化などす
る際に利用し、ビニル系重合体を機能化することが知ら
れている。
たとえば特公昭43−16147号公報では、4,4′−アゾビ
ス(シアノバレリン酸)およびチオグリコール酸を各々
重合開始剤および連鎖移動剤として用い、分子末端にカ
ルボキシル基を有するアクリル系共重合体を合成し、該
共重合体の分散粒子の安定化や、架橋反応に利用したり
している。
一方、加水分解性シリル基含有ビニル系共重合体につ
いて、本発明者らは特開昭57−36109号公報にてメルカ
プトアルキルシランを連鎖移動剤として用いる方法を提
案している。しかしながら、連鎖移動剤のみではビニル
系重合体の分子末端に導入される加水分解性シリル基の
量に限界があること、またメルカプトアルキルシランを
大量に使用してえられたビニル系重合体は耐候性が低下
する傾向があることなどの問題がある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた
結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(I): (式中、AはA(YH)nで表わされる活性水素基を有す
る式: で表わされるアゾ系化合物からn個のYH基を除いた基、
Yは−O−で表わされる基、R1は炭素数1〜4のアルキ
ル基、R2は炭素数1〜3のアルキレン基、Xはメトキシ
基、エトキシ基、mは1〜3の整数、nは2〜8の整数
を示す)で表わされる加水分解性シリル基含有アゾ系化
合物に関する。
[実施例] 本発明の加水分解性シリル基含有アゾ系化合物は、一
般式(I): で表わされる化合物である。
一般式(I)中のAは、A(YH)nで表わされる活性
水素基を有する式: で表わされるアゾ系化合物からn個のYH基を除いた基で
ある。
Yは−O−で表わされる基であり、活性水素基の数n
は2〜8である。
前記一般式(I)中のR1は、炭素数1〜4のアルキル
基であり、R1が2個存在するばあい、これは同じであっ
てもよく、異なっていてもよい。
前記炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、た
とえばメチル基、エチル基、ブチル基などがあげられ
る。
また前記一般式(I)中のR2は、炭素数1〜3のアル
キレン基である。
前記炭素数1〜3のアルキレン基の具体例としては、
たとえばメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが
あげられる。
前記一般式(I)中のXは、メトキシ基、エトキシ基
であり、Xが2〜3個存在するばあい、これらは同じで
あってもよく、異なっていてもよい。
前記一般式(I)中のmは1〜3の整数である。前記
一般式(I)中のnは2以上で、Aとn個のYHとが結合
した活性水素基を有するアゾ系化合物に存在する活性水
素基の数以下の整数であり、2−8である。
一般式(I)で表わされる化合物は、前記活性水素基
を有するアゾ系化合物と、たとえば一般式(II): (式中、R1、R2、X、mは前記と同じ)で示されるイソ
シアネート基を含有する加水分解性シリル基含有化合物
とを反応させることによりえられる。
前記一般式(II)で表わされる化合物の具体例として
は、たとえばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラ
ンなどがあげられるが、これらに限定されるものではな
い。
活性水素基を有するアゾ系化合物と一般式(II)で表
わされる化合物との反応は、アゾ系化合物のアゾ基のラ
ジカル分解をできるだけ押さえるために、反応に使用す
るアゾ系化合物の10時間半減期温度以下のできるだけ低
温で行なうことが好ましい。
反応温度を下げるために、活性水素基とイソシアナー
ト基との反応を促進する触媒、たとえばジメチルドデシ
ルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンな
どの3級アミン、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸
錫などの有機スズ化合物などを用いてもよい。
前記反応においては、アゾ系化合物に存在する活性水
素基1モルに対して、一般式(II)で示される化合物に
存在するイソシアナート基を0.8〜1.2モルの割合になる
ように反応させるのが好ましい。
前記反応を行なうに際し、溶剤は用いてもよく、用い
なくてもよいが、溶剤を用いるばあいには活性水素基を
有しない溶剤、たとえばトルエン、キシレン、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトンなどの溶剤を用いるのが好まし
い。またトルエンなどの芳香族系溶剤を用いると、反応
前に予め共沸蒸留により水分を除いておくことができ
る。
用いるアゾ系化合物の活性水素基の種類により、えら
れる加水分解性シリル基含有アゾ系化合物のシリル基と
アゾ系化合物を結合する化学結合の種類はかわるが、本
発明のばあい水酸基であるのでウレタン結合となる。
このようにして本発明の加水分解性シリル基含有アゾ
系化合物が合成される。
えられた本発明の加水分散性シリル基含有アゾ系化合
物は新規な化合物であり、この化合物をラジカル重合の
開始剤として用いることにより、また必要に応じて加水
分解性シリル基を有する連鎖移動剤(以下、特定の連鎖
移動剤ともいう)を併用することにより、加水分解性シ
リル基を分子末端に有する新規なテレケリックビニル系
重合体をうることが可能となる。
テレケリック構造はそれを有する重合体から架橋ポリ
マーをうるばあい、均一な架橋構造がえられる、分子末
端に位置する架橋性官能基がより効率よく架橋に関与し
うるなどの特徴を有する。
一方、加水分解性シリル基は加水分解および縮合の2
段階の反応により安定なシロキサン結合を形成しながら
架橋構造を形成するため、耐候性、耐熱性が良好になる
という特徴を有する。
本発明の加水分解性シリル基含有アゾ系化合物を重合
開始剤として用い、また必要に応じて特定の連鎖移動剤
を用い、ビニル系モノマーをラジカル重合またはラジカ
ル共重合させることにより、ビニル系重合体の分子末端
に加水分解性シリル基を導入した重合体が製造される。
重合は塊状重合、溶液重合、非水分散型重合および乳
化重合のいずれでもよい。
前記ビニル系重合体を製造する際に用いられるビニル
系モノマーにはとくに限定はないが、具体的にはメチル
(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートはアクリ
レートまたはメタクリレートを示す、以下同様)、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリ
フルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート、不飽和ポリカルボン酸
(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)と炭素数1
〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまた
はハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチ
レンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトル
エンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビ
ニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリ
ルなどのニトリル基含有ビニル化合物;グリシジル(メ
タ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル化合物;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、アミノ
エチルビニルエーテルなどのアミノ基など含有ビニル化
合物;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)ア
クリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチル(メ
タ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジア
ミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン、N−
ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリ
ロイルモルホリンなどのアミド基など含有ビニル化合
物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、アロニクス5700(東亜合成化学工業(株)
製)、Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−
1、Placcel FM−4(以上、ダイセル(株)製)などの
水酸基含有ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、それらの塩(アルカリ金
属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、無水マレイン
酸などの不飽和カルボン酸無水物;塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、エ
チレン、イソブチレン、イソプレン、マレイミド、N−
ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他の
ビニル化合物;CF2=CF2、CHF=CF2、CH2=CF2、CH2=CH
F、CClF=CF2、CHCl=CF2、CCl2=CF2、CClF=CClF、CH
F=CCl2、CH2=CClF、CCl2=CClF、CF3CF=CF2、CF3CF
=CHF、CF3CH=CF2、CF3CF=CH2、CF3CF=CHF、CHF2CF
=CHF、CF3CH=CH2、CH3CF=CH2、CH3CF=CH2、CH3CF=
CH2、CF2ClCF=CF2、CF3Cl=CF2、CF3CF=CFCl、CF2ClC
Cl=CF2、CF2ClCF=CFCl、CFCl2CF=CF2、CF3CCl=CCl
F、CF3CCl=CCl2、CClF2CF=CCl2、CCl3CF=CF2、CF2Cl
CCl=CCl2、CFCl2CCl=CCl2、CF3CF=CHCl、CClF2CF=C
HCl、CF3CCl=CHCl、CH2CCl=CCl2、CF2ClCH=CCl2、CF
2ClCCl=CHCl、CCl3CF=CHCl、CF2ICF=CF2、CF2BrCH=
CF2、CF3CBr=CHBr、CF2ClCBr=CH2、CH2BrCF=CCl2、C
F3CBr=CH2、CF3CH=CHBr、CF2BrCH=CHF、CF2BrCF=CF
2、CF3CF2CF=CF2、CF3CF=CFCF3、CF3CH=CFCF3、CF2
=CFCF2CHF2、CF3CF2CF=CH2、CF3CH=CHCF3、CF2=CFC
F2CH3、CH2=CFCH2CH3、CF3CH2CH=CH2、CF3CH=CHC
H3、CF2=CHCH2CH3、CH3CF2CH=CH2、CFH2CH=CHCFH2
CH3CF2CH=CH2、CH2=CFCH2CH3、CF3(CF22CF=CF2
CF3(CF23CF=CF2などのフルオロオレフィン;メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニ
ルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビ
ニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシル
ビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−メチル
−1−ペンチルビニルエーテルなどの鎖状アルキルビニ
ルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シクロ
ヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエ
ーテル類、フェニルビニルエーテル、o−,m−,p−トリ
ルビニルエーテルなどのアリールビニルエーテル類、ベ
ンジルビニルエーテル、フエネチルビニルエーテルなど
のビニルエーテル化合物;一般式(III): (式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基お
よびアラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、R4
重合性二重結合を有する有機基、X、mは前記に同じ)
で示される加水分解性シリル基含有ビニル化合物などが
あげられる。これらのビニル系モノマーは単独で用いて
もよく、2種以上併用してもよい。とくに加水分解性シ
リル基含有ビニル化合物を使用することにより、えられ
るビニル系重合体の側鎖にも加水分解性シリル基を導入
することができる。
前記一般式(III)で示される加水分解性シリル基含
有ビニル化合物の具体例としては、たとえば などがあげられる。
前記加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤の具体例
としては、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、
(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3、(CH3O)3SiCH
2 3S−SCH2 3Si(OCH3、トリクロロシランな
どがあげられる。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の製造に
おいて、一般式(I)で表わされるアゾ系化合物の使用
割合は、モノマー混合物100部(重量部、以下同様)に
対して0.1〜20部が好ましい。また、前記特定の連鎖移
動剤を用いるばあいは、その使用割合は、モノマー混合
物100部に対して0.1〜10部が好ましい。
重合温度は重合開始剤として使用される本発明のアゾ
系化合物の分解温度にあわせて設定され、通常は0〜20
0℃の間で設定される。
溶液重合を行なうばあいには、トルエン、キシレン、
シクロヘキサン、n−オクタンなどの炭化水素系溶剤、
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミドなどのアミド系溶剤;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリ
コールモノアルキルエーテルなどのアルコール系溶剤ま
たはこれらの混合物が用いられうる。とくにアルコール
系溶剤は、重合体の保存安定性を向上させる効果がある
ので好ましい。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体は、前記
の新規なラジカル重合開始剤および必要に応じて使用さ
れる特定の連鎖移動剤により加水分解性シリル基を導入
した新規なビニル系重合体である。
重合反応において、ビニル系モノマーを用いたばあい
の重合反応の停止には不均化反応と再結合反応の2種あ
ることが知られている。
前記ビニル系重合体の両分子末端に、定量的に加水分
解性シリル基を導入したばあい、つまりテレケリック化
の必要なばあい、スチレン、ブタジエン、アクリロニト
リル、フルオロオレフィン/ビニルエーテル系のような
再結合停止がおこるモノマーでは、本発明のアゾ系化合
物(ラジカル重合開始剤)を用いることにより、テレケ
リック構造のビニル系重合体がえられる。
一方、アクリル系モノマーのように不均化停止が優先
するモノマーでも本発明のアゾ系化合物と特定の連鎖移
動剤とを併用することにより、重合体の分子末端へのシ
リル基の導入率を上げることができ、テレケリック構造
のビニル系重合体がえられる。
このようにしてえられる加水分解性シリル基含有ビニ
ル系重合体は、塗料、フィルム、成形材料用として用い
られるばあいは数平均分子量1,000〜100,000、さらには
1,000〜50,000であるのが好ましく、シーラント、ゴム
材料として用いるばあいは数平均分子量4,000〜100,00
0、さらには6,000〜100,000であるのが好ましい。
分子末端に架橋反応性の官能基を有する重合体やその
官能基をテレケリックに有する重合体は、たとえばゴム
弾性の必要な領域、たとえばゴム材料やシーラントで
は、それを用いてえられた硬化物が均一な架橋構造を形
成するために良好なゴム弾性がえられることが知られて
いる。また分子末端に位置する架橋反応性の官能基は、
それらが側鎖として位置するばあいよりも効率よく架橋
反応に関与することが知られている。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体は安定な
シロキサン結合を形成しながら架橋、硬化するため、ゴ
ム材料、シーラント、フィルム、塗料、接着剤、粘着
剤、ポッティング材、成形材料などとして有用である。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体を硬化さ
せるにあたって硬化触媒を用いても、用いなくてもよい
が、用いるばあいにはアルキルチタン酸塩;リン酸、p
−トルエンスルホン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性
化合物;エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン
などのアミン類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫
マレートなどの有機スズ化合物;水酸化ナトリウム、ナ
トリウムメチラートなどの塩基性化合物のほか、特開昭
57−105446号公報、同59−124954号公報などに示されて
いるものなどが使用しうる。
硬化触媒の使用量は、硬化性重合体100部に対して0.0
05〜10部、好ましくは0.1〜8部である。
硬化は常温で進行するが、100〜200℃の高温で短時間
に硬化させることも可能である。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体に、たと
えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[β
−アミノエチル]−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ランのようなアミノシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシランのようなエポキシシラン、アミノシ
ランとエピコート828のようなエポキシ化合物やエポキ
シシランとの反応物、メチルオルトシリケート、エチル
オルトシリケート、メチルトリメトキシシランなどの部
分加水分解物を添加することにより、各種基材に対する
密着性を向上させることができる。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体には安定
化のために、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メ
チルオルトシリケート、エチルオルソシリケート、メチ
ルトリメトキシシランなどの加水分解性エステルを脱水
剤として用いてもよい。
前記加水分解性シリル基含有ビニル系重合体は、ゴム
材料、シーラント、塗料、接着剤、粘着剤、フイルム、
ポッティング材、成形材料などの用途に有用である。
つぎに本発明の加水分解性シリル基含有アゾ系化合物
を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない
範囲でいかなる態様も可能である。
実施例1(加水分解性シリル基含有アゾ系化合物の合
成) 撹拌機、チッ素導入管、温度計およびコンデンサーを
備えた反応器に、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](淡黄色
結晶)20gを入れ、トルエン5gを加えたのち、50℃、真
空下でトルエンを完全に留去させた。そののち、γ−イ
ソシアナートプロピルトリエトキシシラン35gおよびジ
ブチルスズジウラレート0.1gを加え、撹拌下、チッ素雰
囲気中、50℃で5時間反応させた。反応の進行とともに
淡黄色結晶が溶解し、反応終了後、微量の結晶が残存し
た淡黄緑色の液体をえた。
えられた液体を赤外吸収スペクトル分析法により分析
したところ、2270cm-1のイソシアナート基の吸収は消失
していた。
反応器にトルエンを加えて不溶の未反応アゾ化合物を
ろ別により取除いたのち、真空下でトルエンを留去さ
せ、53gの淡黄緑色液状物をえた。
えられた液状物について赤外吸収スペクトル分析(岩
塩板上で測定)を行なったところ、1530cm-1にウレタン
結合の吸収、950cm-1に−Si−O−C2H5の吸収が認めら
れた。該赤外吸収スペクトル測定結果を第1図に示す。
また、GPC法により前記液状物を分析したところ、面
積比で92%の単一ピークが認められた。またVPO(蒸気
圧法)法による分子量は775であった。
これらの結果から、えられた液状物が下記構造の加水
分解性シリル基含有アゾ化合物(a)であることを確認
した。
(分子量783(計算値)) 使用例1(加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の合
成) 撹拌機、チッ素導入管および温度計を備えた反応器
に、スチレン3.2g、n−ブチルアクリレート10.3g、メ
チルメタクリレート11.5g、実施例1でえられたアゾ化
合物(a)1.5gおよびキシレン11.4gを加え、撹拌下、
チッ素雰囲気中、110℃で4時間重合させ、無色透明の
重合体溶液をえた。
重合転化率は99%、えられた重合体の数平均分子量は
18,000であった。
つぎにえられた重合体100部(固形分)に対し、硬化
触媒(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート/N,N−
ジメチルドデシルアミン=2/1(重量比)の混合物)2
部を加え、テフロン板上にスパチュラで厚さ約100μの
フィルムを形成させたのち、120℃で60分間焼付けた。
硬化したフィルムは無色透明であり、アセトン抽出法
によるゲル分率は75%であった。
一方、焼付けずに常温で24時間放置したフィルムも硬
化していた。
使用例2(加水分解性シリル基含有ビニル系重合体の合
成) 100ccのステンレス製オートクレーブにキシレン11.4
g、エチルビニルエーテル10gおよび実施例1でえられた
アゾ系化合物(a)2.0gを仕込み、ドライアイス−メタ
ノールで−78℃に冷却し、オートクレーブを減圧脱気し
たのちクロロトリフルオロエチレン15gをオートクレー
ブ内に導入し、100℃に昇温し、5時間反応させた。冷
却後、未反応モノマーを除去し、無色透明の重合体溶液
をえた。
えられた重合体の数平均分子量は12,000であった。
つぎにえられた重合体100部(固形分)に対し、硬化
触媒(2−エチルヘキシルアシッドホスフェート/N,N−
ジメチルドデシルアミン=2/1(重量比)の混合物)2
部を加え、テフロン板上にスパチュラで厚さ約100μの
フィルムを形成させたのち、120℃で60分間焼付けた。
硬化したフィルムは無色透明で、ゴム状の強靭なフィ
ルムであり、アセトン抽出法によるゲル分率は95%であ
った。
一方、焼付けずに常温で24時間放置したフィルムも硬
化していた。
[発明の効果] 本発明の加水分解性シリル基含有アゾ系化合物は新規
な化合物であり、ラジカル重合開始剤として使用しう
る。該化合物を用いることにより、ビニル系重合体の末
端に加水分解性シリル基を含有する重合体、好ましくは
テレケリック重合体を容易に製造することができる。そ
してえられた重合体は耐候性に優れ、ゴム材料、シーラ
ント、塗料、接着剤、粘着剤、フィルム、ポッティング
剤、成形材料などに好適に使用しうる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1でえられた本発明のアゾ系化合物の
一例の赤外線吸収スペクトル分析結果を示すチャートで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 7/18 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): (式中、AはA(YH)nで表わされる活性水素基を有す
    る式: で表わされるアゾ系化合物からn個のYH基を除いた基、
    Yは−O−で表わされる基、R1は炭素数1〜4のアルキ
    ル基、R2は炭素数1〜3のアルキレン基、Xはメトキシ
    基、エトキシ基、mは1〜3の整数、nは2〜8の整数
    を示す)で表わされる加水分解性シリル基含有アゾ系化
    合物。
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